(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の円柱状の蓄電素子の中心軸がそれぞれ互いに平行となるように、前記複数の蓄電素子が一列に配列されてなる素子配列体がN段以上(Nは、3以上の整数)設けられた蓄電モジュールであって、
1段目とN段目との間における素子配列体(以下、中間素子配列体と記す)を構成する蓄電素子を挟んで保持する一対の保持部材と、
前記一対の保持部材のうちの一方に設けられ、前記中間素子配列体を構成する蓄電素子の外周面を径方向内側に向かって押圧する押圧部材とを備え、
前記一対の保持部材のうちの他方には、前記中間素子配列体を構成する蓄電素子の外周面に接触する第1接触部が設けられ、
前記押圧部材は、前記一対の保持部材とは別体であり、前記保持部材よりも弾性率の低い材料からなり、
隣接する素子配列体同士は、前記蓄電素子が列方向に半ピッチずれて配列され、
前記押圧部材は、前記中間素子配列体を構成する蓄電素子の中心軸を含む、前記列方向に直交する仮想平面(以下、中心面と記す)上であって、前記中間素子配列体に隣接する素子配列体における列方向に隣接する2つの蓄電素子間に配置され、
前記押圧部材は、前記2つの蓄電素子のそれぞれの外周面に沿う湾曲面を有する蓄電モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本発明による蓄電装置の一実施の形態を説明する。本実施の形態に係る蓄電装置は、電動車両(たとえば電気自動車)の電動機駆動システムにおける車載電源装置に適用されるものである。なお、電気自動車の概念には、内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド電気自動車、および電動機を車両の唯一の駆動源とする純正電気自動車が含まれる。
【0011】
図1は、本発明に係る蓄電装置の一実施の形態の外観斜視図であり、
図2は、
図1に図示された蓄電装置の分解斜視図である。なお、以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向を
図1、
図2に図示する方向として説明する。
図1、
図2に図示する各方向は、蓄電装置100を搭載した車両における前後方向、左右方向、上下方向とそれぞれ一致している。
【0012】
蓄電装置100は、たとえば、リチウムイオンバッテリ装置であり、蓄電装置100の筐体である蓄電ケース2内に、蓄電素子としてリチウムイオン電池等の複数の二次電池101(
図6参照)を備えた蓄電モジュールが複数収容されている。蓄電ケース2は、大きな直方体の前側に小さな直方体が連結された形状を有している。
【0013】
蓄電ケース2は、
図2に示すように、メインケース11、サイドカバー12、アンダーカバー13、および、トップカバー14により構成されている。メインケース11、サイドカバー12、アンダーカバー13、トップカバー14は、たとえば、それぞれ、金属製の薄板をプレス加工することによって形成される。メインケース11は、上部、下部および左部が開口された枠形状を呈する部材である。
【0014】
サイドカバー12は、メインケース11の右部壁11aに対向して配置される部材であり、メインケース11の左部壁を構成し、メインケース11の左部の開口を閉じる。アンダーカバー13は、メインケース11の下部開口を閉じる部材であり、トップカバー14は、メインケース11の上部開口を閉じる部材である。サイドカバー12、アンダーカバー13、トップカバー14のそれぞれは、メインケース11にボルト等の締結部材により固定され、内部に電子部品を収容するための空間を形成する。
【0015】
図3は、サイドカバー12、トップカバー14およびアンダーカバー13、LBC4等が取り外された状態の蓄電装置100の斜視図である。
図4(a)はサイドカバー12が取り外された状態の蓄電装置100を左側から見た図であり、
図4(b)は
図4(a)に示す蓄電装置100内の各エリアを破線で模式的に示す図である。
【0016】
図3および
図4に示すように、蓄電ケース2内には、蓄電モジュール40A,40B,40Cが収容される蓄電モジュール収容エリア2A、および、ジャンクションボックス3が収容される制御ユニット収容エリア2B、ならびに、ハーネスや電圧検出線、温度センサ線等が集約される配線集約エリア2Cが形成されている。
【0017】
蓄電モジュール収容エリア2Aには、複数個(本実施形態では3個)の蓄電モジュール40A,40B,40C(以下、総称して蓄電モジュール40とも記す)が配置される。各蓄電モジュール40A,40B,40Cは、ハーネスにより直列に接続されている。
【0018】
各蓄電モジュール40A〜40Cは、直方体のブロック形状を呈しており、その長手方向がメインケース11内で上下方向に延在し、互いに前後方向に隣接して並列に配置されて収容されている。各蓄電モジュール40A〜40Cは、制御ユニット収容エリア2Bから離反する方向、すなわち後方に向かって蓄電モジュール40A、40B、40Cの順番に並べて配置されている。
図1および
図2に示すように、蓄電モジュール40は、サイドカバー12とともに通しボルト81によってメインケース11に固定される。なお、サイドカバー12には通しボルト81が挿通される貫通孔が設けられ、メインケース11の右部壁11aの右側面には通しボルト81と締結される裏ナット(不図示)が溶接されている。
【0019】
図3および
図4に示すように、メインケース11の後部上面には、SD(サービスディスコネクト)スイッチ53が配置されている。SDスイッチ53は、蓄電装置100の保守、点検の時の安全性を確保するために設けられた安全装置であり、スイッチとヒューズとを電気的に直列に接続した電気回路から構成され、サービスマンによって保守、点検時に操作される。本実施の形態では、SDスイッチ53は、蓄電モジュール40Bの負極端子および蓄電モジュール40Cの正極端子のそれぞれに接続され、蓄電モジュール40Bと蓄電モジュール40Cとの間を電気的に接続または遮断する。
【0020】
制御ユニット収容エリア2Bに配置されるジャンクションボックス3は、充放電電流の測定や信号出力、車両起動時に、インバータ内コンデンサへの突入電流を抑制するプリチャージ機能を有する制御回路である。ジャンクションボックス3の正極側端子と蓄電モジュール40Aの正極端子、ならびに、ジャンクションボックス3の負極側端子と蓄電モジュール40Cの負極端子は、それぞれハーネスで接続されている。
【0021】
制御ユニット収容エリア2Bの上方には、リチウムイオンバッテリコントローラ(LBC)4が配設されている(
図3において不図示)。LBC4は、蓄電モジュール40および各二次電池(単電池)に関し、電圧・電流・温度・充放電などを測定、監視、制御するための制御回路であり、LBCカバー15で覆われている。各蓄電モジュール40には電圧検出基板や温度センサ等が設けられている。LBC4は、各蓄電モジュール40の電圧検出基板と電圧検出線により接続され、温度検出センサと温度センサ線により接続されている。
【0022】
配線集約エリア2Cには、蓄電モジュール40Aの正極端子から引き出されたハーネスや各蓄電モジュール40A,40B,40Cの電圧検出基板から引き出された電圧検出線、各蓄電モジュール40A,40B,40Cの温度センサから引き出された温度センサ線等が集約されている。
【0023】
蓄電モジュール収容エリア2Aと制御ユニット収容エリア2Bとの境界や、配線集約エリア2Cと制御ユニット収容エリア2Bとの境界には、仕切板20が配置されている。仕切板20の前方が制御ユニット収容エリア2Bとされ、仕切板20の後方が蓄電モジュール収容エリア2Aと配線集約エリア2Cとが連通してなるエリア(以下、密閉空間部2D)とされている。配線集約エリア2Cに集約されたハーネスや電圧検出線、温度センサ線等は、仕切板20を貫通して制御ユニット収容エリア2Bに導かれる。なお、ハーネスや電圧検出線、温度センサ線等のそれぞれと、仕切板20の貫通孔との隙間は封止されている。
【0024】
密閉空間部2Dは、蓄電ケース2によって密閉された空間とされている。蓄電ケース2を構成する部材同士の隙間は、接着剤やパッキン等により封止されている。
図1および
図2に示すように、配線集約エリア2Cの左部の開口を覆うサイドカバー12には、円形状のガス排出口12gが設けられている。
【0025】
図5は蓄電モジュール40A(40)の斜視図であり、
図6は
図5に図示された蓄電モジュール40A(40)の分解斜視図である。蓄電モジュール40A,40B,40Cは、二次電池101の個数や細部が異なるが、それぞれほぼ同様の構成とされているため、以下、代表して蓄電モジュール40Aについて説明する。なお、蓄電モジュール40Aと蓄電モジュール40Bは、14個の二次電池101を有する構成であり、蓄電モジュール40Cは12個の二次電池101を有する構成となっている。
【0026】
図5に示すように、蓄電モジュール40Aには、長手(上下)方向両端部に、正極端子41および負極端子42が設けられている。蓄電モジュール40には、前側上部、前側下部、後側上部、後側下部の四隅のそれぞれに、左右方向に延在するボス43が設けられている。
【0027】
蓄電モジュール40は、略直方体形状であり、複数の二次電池(単電池)101が保持ケース111により保持された構成とされ、本実施の形態では左右3段に二次電池101が配列されている。保持ケース111は、六面体形状を有している。
【0028】
蓄電モジュール40Aの内部には、14個の二次電池101が配列されている。各二次電池101の正極および負極は、隣接する二次電池101の反対極性の負極および正極に導電部材191により接続され、14個すべてが直列に接続されている。直列に接続された複数の二次電池101のうち、最初の二次電池101と最後の二次電池101には、それぞれ外部引出し端子192が接続され、正極端子41と負極端子42に接続されている。
【0029】
図6に示すように、二次電池101は、円柱状のリチウムイオン二次電池であり、電解液が注入された円筒形の電池容器の内部に電池素子および安全弁等の構成部品が収納されて構成されている。正極側のガス排出機構である安全弁は、過充電などの異常によって電池容器の内部の圧力が所定の圧力になったときに開裂する開裂弁である。安全弁は、開裂によって電池蓋と電池素子の正極側との電気的な接続を遮断するヒューズ機構として機能するとともに、電池容器の内部に発生したガス、すなわち電解液を含むミスト状の炭酸系ガスを電池容器の外部に噴出させる減圧機構として機能する。
【0030】
電池容器の負極側には、負極側のガス排出機構である開裂溝が設けられており、過充電などの異常によって電池容器の内部の圧力が所定の圧力になったときに開裂する。これにより、電池容器の内部に発生したガスを負極端子側からも噴出させることができる。なお、ガス排出機構が動作して、電池容器内からガスが放出されると、密閉空間部2D(
図4(b)参照)内に放出されたガスは、上述したガス排出口12g(
図1参照)からガス排出流路(不図示)を介して車外に排出される。二次電池101の公称出力電圧は3.0〜4.2ボルト、平均公称出力電圧は3.6ボルトである。
【0031】
複数の二次電池101は、その中心軸がそれぞれ互いに平行となるように、かつ、保持ケース111の前後に延在するように保持ケース111内に配置されている。蓄電モジュール40Aは、保持ケース111内に素子配列体103がN段(本実施の形態では、N=3)に積層配置されている。各素子配列体は、複数の二次電池101が上下方向に一列に配列されて構成される。本実施の形態では、複数個×N段(本実施の形態では5個、4個、5個の3段)に配列されている。
【0032】
右側から数えて1段目の素子配列体である右端部側の素子配列体(以下、右端部素子配列体103Rと記す)は5個の二次電池101が上下方向に一列に配列されてなる。右側から数えて3段目の素子配列体である左端部側の素子配列体(以下、左端部素子配列体103Lと記す)は5個の二次電池101が上下方向に一列に配列されてなる。右側から数えて2段目の素子配列体であり、左端部素子配列体103Lと右端部素子配列体103Rとの間における素子配列体(以下、中間素子配列体103Mと記す)は4個の二次電池101が上下方向に一列に配列されてなる。
【0033】
本実施の形態では、複数の二次電池101が千鳥状に配置されている。左端部素子配列体103Lと右端部素子配列体103Rは、同じ配列で保持されている。これに対して、中間素子配列体103Mは、左端部素子配列体103Lおよび右端部素子配列体103Rに対して保持ケース111の長手(上下)方向、すなわち列方向に二次電池101の半個分だけずれた状態で保持される。
【0034】
換言すれば、左端部素子配列体103Lの配列ピッチと、右端部素子配列体103Rの配列ピッチと、中間素子配列体103Mの配列ピッチは同じに設定され、隣り合う素子配列体103同士で半ピッチずれて配列されている。このように、列方向(上下方向)に直交する段方向(左右方向)で隣り合う素子配列体103同士を列方向に偏位させた状態で保持することにより、隣り合った段の素子配列体103を互いに接近させることができ、段方向(左右方向)の寸法を短くすることができる。したがって、蓄電モジュール40Aの左右方向の長さ、すなわち蓄電モジュール40Aの高さ寸法を小さくすることができる。
【0035】
保持ケース111は、左右方向に分割された4つの保持枠部材、すなわち右端部保持枠部材121、第1中間保持枠部材131A、第2中間保持枠部材131Bおよび左端部保持枠部材141からなる。
【0036】
右端部素子配列体103Rを構成する各二次電池101は、この二次電池101の段方向外側に配置される右端部保持枠部材121と、右端部保持枠部材121に対向して配置される第1中間保持枠部材131Aとにより挟んで保持される。左端部素子配列体103Lを構成する各二次電池101は、この二次電池101の段方向外側に配置される左端部保持枠部材141と、左端部保持枠部材141に対向して配置される第2中間保持枠部材131Bとにより挟んで保持される。中間素子配列体103Mを構成する各二次電池101は、第1中間保持枠部材131Aと第2中間保持枠部材131Bとにより挟んで保持される。なお、各二次電池101の保持構造の詳細については、後述する。
【0037】
保持ケース111の左側面を構成する左端部保持枠部材141の左側面部142には上下方向に長い矩形形状の冷媒導入口116が形成され、保持ケース111の右側面を構成する右端部保持枠部材121の右側面部122には上下方向に長い矩形形状の冷媒導出口118が形成されている。
【0038】
保持ケース111内に配列された各二次電池101は、列方向に隣り合う二次電池101間および段方向に隣り合う二次電池101間に隙間が設けられた状態で保持されている。これにより、冷媒導入口116から導入された空気等の冷媒は、各二次電池101に接触して冷却しながら二次電池101間の隙間を通って、冷媒導出口118から導出する冷却構造が構成されている。
【0039】
保持ケース111の4つの保持枠部材121,131A,131B,141のそれぞれの四隅には、左右方向に延在するボス43が設けられ、ボス43には左右方向に貫通する貫通孔が設けられている。ボス43の貫通孔には、金属製の円筒状のカラーが設けられている。ボス43の貫通孔には、通しボルト81(
図2参照)が貫通される。
【0040】
図2に示すように、通しボルト81は、サイドカバー12の貫通孔から挿通され、保持ケース111のボス43の貫通孔を貫通して、メインケース11の右部壁11aの裏ナット(不図示)に締結される。これにより、蓄電モジュール40Aは、メインケース11の右部壁11aとサイドカバー12との間に挟まれて、サイドカバー12とともにメインケース11に固定される。このとき、蓄電モジュール40Aは、通しボルト81によって蓄電モジュール収容エリア2Aにおいて宙吊り状態で固定され、通しボルト81によって、メインケース11と蓄電モジュール40とサイドカバー12とが、通しボルト81の軸線方向、すなわち左右方向に圧縮力を受けて互いに固定される。
【0041】
各二次電池101を保持する各保持枠部材について詳細に説明する。
図6に示すように、右端部保持枠部材121は、一定の幅で上下方向に延在する平板状の右側面部122と、右側面部122の短手方向(前後方向)両側端から左方に起立して互いに対峙する一対の右壁部123を有する。一対の右壁部123は、右壁部123の長手方向両端で連結部126によって連結されている。
【0042】
一対の右壁部123には、右端部素子配列体103Rを構成する各二次電池101の右側部分をそれぞれ保持する第1右保持部124と、第1右保持部124に保持された各二次電池101の中心軸方向両側の端面をそれぞれ露出させる第1右開口窓部125が設けられている。
【0043】
第1中間保持枠部材131Aは、上下方向に延在して互いに対向する一対の第1壁部132Aを有する。一対の第1壁部132Aは、第1壁部132Aの長手方向両端で連結部133Aによって連結されている。第1中間保持枠部材131Aは、右端部保持枠部材121に重ねて結合され、右端部保持枠部材121の各右壁部123の左部に各第1壁部132Aが連続して接続される。
【0044】
一対の第1壁部132Aには、右端部素子配列体103Rを構成する各二次電池101の左側部分をそれぞれ保持する第1左保持部134Aと、中間素子配列体103Mを構成する各二次電池101の右側部分をそれぞれ保持する第2右保持部136Aとが設けられている。一対の第1壁部132Aには、第1左保持部134Aに保持された各二次電池101の中心軸方向両側の端面をそれぞれ露出させる第1左開口窓部135Aと、第2右保持部136Aに保持された各二次電池101の中心軸方向両側の端面をそれぞれ露出させる第2右開口窓部137Aが設けられている。
【0045】
各第1左保持部134Aと各第2右保持部136Aは、右端部素子配列体103Rと中間素子配列体103Mを互いに列方向に偏位させた状態で保持するために、互いに第1中間保持枠部材131Aの長手方向に二次電池101の半個分だけずれた位置に配置されている。つまり、互いに隣り合う第1左保持部134Aの間に、第2右保持部136Aの中心が位置している。第1壁部132Aの高さは、二次電池101の直径よりも短く形成されている。
【0046】
第2中間保持枠部材131Bは、上下方向に延在して互いに対向する一対の第2壁部132Bを有する。一対の第2壁部132Bは、第2壁部132Bの長手方向両端で連結部133Bによって連結されている。第2中間保持枠部材131Bは、第1中間保持枠部材131Aに重ねて結合され、第1中間保持枠部材131Aの各第1壁部132Aの左部に各第2壁部132Bが連続して接続される。
【0047】
一対の第2壁部132Bには、中間素子配列体103Mを構成する各二次電池101の左側部分をそれぞれ保持する第2左保持部134Bと、左端部素子配列体103Lを構成する各二次電池101の右側部分をそれぞれ保持する第3右保持部136Bとが設けられている。一対の第2壁部132Bには、第2左保持部134Bに保持された各二次電池101の中心軸方向両側の端面をそれぞれ露出させる第2左開口窓部135Bと、第3右保持部136Bに保持された各二次電池101の中心軸方向両側の端面をそれぞれ露出させる第3右開口窓部137Bが設けられている。
【0048】
各第2左保持部134Bと各第3右保持部136Bは、中間素子配列体103Mと左端部素子配列体103Lを互いに列方向に偏位させた状態で保持するために、互いに第2中間保持枠部材131Bの長手方向に二次電池101の半個分だけずれた位置に配置されている。つまり、互いに隣り合う第3右保持部136Bの間に、第2左保持部134Bの中心が位置している。第2壁部132Bの高さは、二次電池101の直径よりも短く形成されている。
【0049】
左端部保持枠部材141は、一定の幅で上下方向に延在する平板状の左側面部142と、左側面部142の短手方向(前後方向)両側端から右方に起立して互いに対峙する一対の左壁部143を有する。一対の左壁部143は、左壁部143の長手方向両端で連結部146によって連結されている。左端部保持枠部材141は、第2中間保持枠部材131Bに重ねて結合され、第2中間保持枠部材131Bの各第2壁部132Bの左部に各左壁部143が連続して接続される。
【0050】
一対の左壁部143には、左端部素子配列体103Lを構成する各二次電池101の左側部分をそれぞれ保持する第3左保持部144と、第3左保持部144に保持された各二次電池101の中心軸方向両側の端面をそれぞれ露出させる第3左開口窓部145が設けられている。
【0051】
各保持枠部材(121,131A,131B,141)は、固定ネジにより一体化され、保持ケース111として組み立てられる。これにより、各二次電池101は、その外周面を対向して配置される2つの保持枠部材で径方向に挟んで固定される。二次電池101を保持する保持ケース111は、外部からの振動や衝撃に耐えられるように、ある程度の強度が要求される。本実施の形態では、保持ケース111の材料は、ガラス繊維が添加(たとえば30%程度)されて強化されたポリブチレンテレフタレート(PBT)を採用した。
【0052】
右端部保持枠部材121の右側面部122は、保持ケース111の右側面を構成し、左端部保持枠部材141の左側面部142は、保持ケース111の左側面を構成する。右端部保持枠部材121の一対の右壁部123、第1中間保持枠部材131Aの一対の第1壁部132A、第2中間保持枠部材131Bの一対の第2壁部132B、および、左端部保持枠部材141の一対の左壁部143は、それぞれ保持ケース111の前側面および後側面の一部を構成する。
【0053】
右端部素子配列体103Rを構成する各二次電池101は、右端部保持枠部材121の各第1右保持部124と第1中間保持枠部材131Aの各第1左保持部134Aとの協働により、二次電池101の中心軸方向と径方向への移動が規制された状態で保持される。右端部保持枠部材121の第1右開口窓部125と、第1中間保持枠部材131Aの第1左開口窓部135Aとによって円形の開口が形成され、この開口から二次電池101の正極あるいは負極の電極面が露出される。
【0054】
中間素子配列体103Mを構成する各二次電池101は、第1中間保持枠部材131Aの各第2右保持部136Aと第2中間保持枠部材131Bの各第2左保持部134Bとの協働により、二次電池101の中心軸方向と径方向への移動が規制された状態で保持される。第1中間保持枠部材131Aの第2右開口窓部137Aと、第2中間保持枠部材131Bの第2左開口窓部135Bとによって円形の開口が形成され、この開口から二次電池101の正極あるいは負極の電極面が露出される。
【0055】
左端部素子配列体103Lを構成する各二次電池101は、第2中間保持枠部材131Bの各第3右保持部136Bと左端部保持枠部材141の各第3左保持部144との協働により、二次電池101の中心軸方向と径方向への移動が規制された状態で保持される。第2中間保持枠部材131Bの第3右開口窓部137Bと、左端部保持枠部材141の第3左開口窓部145とによって円形の開口が形成され、この開口から二次電池101の正極あるいは負極の電極面が露出される。
【0056】
右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101の保持構造を構成する第1右保持部124と第1左保持部134Aについて詳細に説明する。
図7は、二次電池101の保持構造を示す図である。
図8は、
図7の部分拡大図であり、右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101の保持構造を示す図である。
【0057】
図7および
図8に示すように、右端部保持枠部材121の第1右保持部124には、二次電池101の端部の外周面に沿うように、二次電池101の外周面の半径よりも僅かに大きい半径の半円弧状の凹陥面160が形成され、この凹陥面160に沿って略M字状の弾性変形可能な押圧部150が右側面部122に一体に成形されている。つまり、右側面部122と押圧部150とは同じ材料(本実施の形態では、ガラス繊維入りPBT)からなる。
【0058】
押圧部150は、凹陥面160に沿って湾曲した帯状部151と、右側面部122から左方に向かって立設された一対の支持部152とを有し、一対の支持部152で帯状部151が支持された両端支持梁状の弾性変形可能な構造体である。押圧部150は、帯状部151の中央部に右方に向かう力が作用すると、弾性変形して右方に撓み、左方に向かう反力を発生する。
【0059】
第1中間保持枠部材131Aの第1左保持部134Aには、二次電池101の端部の外周面に沿うように、二次電池101の外周面の半径よりも僅かに大きい半径の半円弧状の凹陥面161が形成され、この凹陥面161には2つの突起部162が形成されている。
【0060】
ここで、
図8に示すように、上下方向(素子配列体における列方向)に直交する仮想平面であって、二次電池101の中心軸CAを含む仮想平面を二次電池の中心面Sとする。押圧部150は二次電池の中心面S上に形成され、2つの突起部162は中心面Sに対して面対称に形成されている。つまり、中心面Sで2分される上側の領域および下側の領域のそれぞれに1つずつ突起部162が配置されている。右端部保持枠部材121の凹陥面160と第1中間保持枠部材131Aの凹陥面161とが合わさると、円形状の凹陥面が形成され、この円形状の凹陥面で二次電池101の軸方向端部を径方向外側から囲む。
【0061】
図8に示すように、2つの突起部162のうちの一方と二次電池101の外周面との接触点をA、2つの突起部162のうちの他方と二次電池101の外周面との接触点をB、押圧部150と二次電池101の外周面との接触点をCとする。接触点Cは、二次電池の中心面S上に設定され、接触点Aおよび接触点Bは、中心面Sに対して面対称の位置に設定される。換言すれば、接触点Aと接触点Bと接触点Cとを結ぶ三角形が、接触点Cを頂点とする二等辺三角形となるように各接触点の位置が設定されている。なお、接触点A,B,Cの3点が正三角形の頂点上に位置するように各接触点の位置を設定してもよい。
【0062】
二次電池101が円形状の凹陥面(160,161)に配置されると、押圧部150が撓んで(弾性変形され)、押圧部150が二次電池101の外周面を径方向内側に向かって押圧する。
【0063】
この構成により、右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101は、右端部保持枠部材121の押圧部150によって左方(径方向内方)に押圧された状態で第1中間保持枠部材131Aの2つの突起部162に接触している。これにより、右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101は、3点(A点、B点およびC点)で3方向からバランスよく保持され、押圧部150と突起部162とによって、その位置が拘束され、径方向の移動が規制されている。なお、第1右保持部124および第1左保持部134Aのそれぞれには、各二次電池101の中心軸方向の端面に対向する対向面が設けられ、この対向面によって二次電池101の中心軸方向の移動が規制される。
【0064】
左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101の保持構造は、上述の右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101の保持構造と同様である。
図7に示すように、左端部保持枠部材141の第3左保持部144は、右端部保持枠部材121の第1右保持部124と同様の構造であり、凹陥面160と押圧部150を備えている。第2中間保持枠部材131Bの第3右保持部136Bは、第1中間保持枠部材131Aの第1左保持部134Aと同様の構造であり、2つの突起部162が形成された凹陥面161を備えている。
【0065】
図7に示すように、左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101は、左端部保持枠部材141の押圧部150によって右方(径方向内方)に押圧された状態で第2中間保持枠部材131Bの2つの突起部162に接触している。これにより、左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101は、3点で3方向からバランスよく保持され、押圧部150と突起部162とによって、その位置が拘束され、径方向の移動が規制されている。なお、第3右保持部136Bおよび第3左保持部144のそれぞれには、各二次電池101の中心軸方向の端面に対向する対向面が設けられ、この対向面によって二次電池101の中心軸方向の移動が規制される。
【0066】
中間素子配列体103Mを構成する二次電池101の保持構造を構成する第2右保持部136Aと第2左保持部134Bについて詳細に説明する。
図7に示すように、中間素子配列体103Mを構成する各二次電池101は、隣り合う右端部素子配列体103Rや左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101に近接しているため、中間素子配列体103Mを保持するために、上述した押圧部150を配置するスペースがない。
【0067】
そこで、本実施の形態では、上述した押圧部150に代えて、小さなスペースでも十分に弾性変形させることができ、弾性変形量に応じた適度な反力(接触する二次電池101を押す力)を発生することのできる押圧部材180を設け、押圧部材180と2つの突起部172の3点で二次電池101を保持させるようにした。押圧部材180は、保持ケース111とは別体であり、その材料は、押圧部150の材料であるガラス繊維入りPBTに比べて弾性率が低い熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーを採用した。
【0068】
図9は
図7の部分拡大図であり、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101の保持構造を示す図である。なお、
図9では、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101が配置されていない状態を示し、二次電池101が配置されたときの二次電池101の外形(破線参照)と中心軸CAを図示している。
図10は押圧部材180の斜視図である。各押圧部材180は、後述するように、第2中間保持枠部材131Bの各第2左保持部134Bに設けられており、それぞれ同様の構成である。このため、以下、代表して第2中間保持枠部材131Bの一対の第2壁部132Bのうちの後側の第2壁部132Bの第2左保持部134B(
図6の太線で示す矩形部Gを参照)に設けられる押圧部材180について説明する。
【0069】
図9および
図10に示すように、押圧部材180の右端部には、二次電池101の中心軸CAに沿う直線状の溝183が一対設けられている(
図13参照)。一対の溝183の間には二次電池101に当接される主要突出部181が溝183の底部から右方に向かって突設され、一対の溝183の外方には一対の補助突出部182が溝183の底部から右方に向かって突設されている。換言すれば、主要突出部181と補助突出部182との間に溝183が形成され、一対の補助突出部182が主要突出部181を挟むようにして設けられている。主要突出部181および補助突出部182は、それぞれ所定幅で中心軸CAに沿うように延在している。
【0070】
図10に示すように、主要突出部181の端面は、二次電池101の外周面に当接し、外周面を押圧する当接面(押圧面)181aとされ、補助突出部182の端面は、二次電池101の外周面に当接し、外周面を押圧する当接面(押圧面)182aとされている。当接面181aおよび当接面182aは、それぞれ二次電池101の外周面に沿う湾曲面であり、右側から見たときに矩形状を呈している(
図13参照)。主要突出部181は、補助突出部182に比べて大きな反力を発生させることができるように、溝183の底面からの突出量が、補助突出部182に比べて大きく設定されている。
【0071】
図9および
図10に示すように、押圧部材180は、主要突出部181および補助突出部182が設けられる右端部から左方に向かって上下方向の長さが小さくなるように形成されている。
図9に示すように、押圧部材180の上下の側面186は、隣接する左端部素子配列体103Lの外周面に沿う湾曲面とされている。
【0072】
図10に示すように、押圧部材180の前後側面は、平坦な面とされている。押圧部材180の後側面には、後方に突出し、後述する収容凹部190の掛止孔195に装着される掛止突起185が設けられている。掛止突起185の右端面は、後述する掛止孔195に接触する平坦な掛止面185aとされている。掛止突起185には、右端部から左方に向かって徐々に突出高さが小さくなるようにテーパ面185bが形成されている。
【0073】
図11および
図12は、第2中間保持枠部材131Bの部分拡大斜視図であり、第2中間保持枠部材131Bの一対の第2壁部132Bのうちの後側の第2壁部132Bの第2左保持部134B(
図6の太線で示す矩形部Gを参照)を示している。
図11は押圧部材180が収容凹部190に収容されていない状態を示し、
図12は押圧部材180が収容凹部190に収容されている状態を示している。
図13は、収容凹部190に収容された押圧部材180を示す図であり、
図12の第2左保持部134Bを右側から見た図である。
【0074】
図11に示すように、第2中間保持枠部材131Bの第2左保持部134Bには、二次電池101の端部の外周面に沿うように、二次電池101の外周面の半径よりも僅かに大きい半径の半円弧状の凹陥面170が形成され、半円弧状の凹陥面170の底部には、凹陥面170から左方に向かって窪んだ収容凹部190が形成されている。
【0075】
図9および
図11に示すように、収容凹部190は、上述した押圧部材180の外形に対応して形成されており、凹陥面170から左方に向かうにしたがって、上下方向寸法が狭まるように形成されている。収容凹部190の深さ寸法(左右方向の寸法)は、押圧部材180の左端面から押圧部材180の主要突出部181の当接面181aまでの寸法よりも小さく形成されている。収容凹部190の幅寸法(前後方向の寸法)は、押圧部材180の前側面と後側面との間の寸法よりも僅かに大きく形成されている。
【0076】
図9および
図12に示すように、収容凹部190に押圧部材180が収容されると、主要突出部181および一対の補助突出部182は、それぞれ凹陥面170から二次電池側に向かって突出する。上述したように、主要突出部181の突出量は、補助突出部182の突出量よりも大きいため、中心軸CAから主要突出部181の当接面181aまでの最短距離は、中心軸CAから補助突出部182の当接面182aまでの最短距離よりも短い。
【0077】
図11に示すように、収容凹部190の後側面には、後側面から後方に向かって窪むように掛止孔195が形成されている。
図14は、
図13のXIV−XIV線切断断面模式図である。押圧部材180は、収容凹部190の右側の開口から左方に向かって押し込むことで収容凹部190に装着される。なお、押圧部材180は、収容凹部190の材料(PBT)に比べて柔らかく弾性率の低い材料(軟質の樹脂材である熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー)で形成されている。このため、収容凹部190に押圧部材180が押し込まれると、収容凹部190の開口部で押圧部材180の掛止突起185は前後方向に圧縮変形される。さらに、押圧部材180が押し込まれると、収容凹部190の掛止孔195で圧縮変形した掛止突起185が元の状態に戻り、掛止孔195に掛止突起185が挿入される。上述したように、掛止突起185には、テーパ面185bが形成されているため、テーパ面を形成しない場合に比べて、収容凹部190に対する押圧部材180の挿入性が向上されている。
【0078】
掛止孔195に押圧部材180の掛止突起185が挿入されると、掛止突起185の掛止面185aと掛止孔195の右側面とが対向して配置される。これにより、掛止孔195の右側面に掛止面185aが接触することで、押圧部材180の右方への移動が規制される。つまり、掛止孔195に掛止突起185が挿入されることで、押圧部材180が収容凹部190から脱落することが防止され、収容凹部190に押圧部材180が収容された状態が維持される。
【0079】
図9に示すように、第1中間保持枠部材131Aの第2右保持部136Aには、二次電池101の端部の外周面に沿うように、二次電池101の外周面の半径よりも僅かに大きい半径の半円弧状の凹陥面171が形成され、この凹陥面171には2つの突起部172が形成されている。
【0080】
押圧部材180は二次電池の中心面S上に形成され、2つの突起部172は中心面Sに対して面対称に形成されている。つまり、中心面Sで2分される上側の領域および下側の領域のそれぞれに1つずつ突起部172が配置されている。第1中間保持枠部材131Aの凹陥面171と第2中間保持枠部材131Bの凹陥面170とが合わさると、円形状の凹陥面が形成され、この円形状の凹陥面で二次電池101の軸方向端部を径方向外側から囲む。
【0081】
図9に示すように、2つの突起部172のうちの一方と二次電池101の外周面との接触点をD、2つの突起部172のうちの他方と二次電池101の外周面との接触点をE、押圧部材180の主要突出部181と二次電池101の外周面との接触点をFとする。接触点Fは、二次電池の中心面S上に設定され、接触点Dおよび接触点Eは、中心面Sに対して面対称の位置に設定される。換言すれば、接触点Dと接触点Eと接触点Fとを結ぶ三角形が、接触点Fを頂点とする二等辺三角形となるように各接触点の位置が設定されている。なお、接触点D,E,Fの3点が正三角形の頂点上に位置するように各接触点の位置を設定してもよい。
【0082】
二次電池101が円形状の凹陥面(170,171)に配置されると、押圧部材180が左右方向に圧縮(弾性変形)され、押圧部材180が二次電池101の外周面を径方向内側に向かって(すなわち右方に向かって)押圧する。
【0083】
この構成により、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101は、第2中間保持枠部材131Bの押圧部材180によって右方(径方向内方)に押圧された状態で第1中間保持枠部材131Aの2つの突起部172に接触している。これにより、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101は、3点(D点、E点およびF点)で3方向からバランスよく保持され、押圧部材180と突起部172とによって、その位置が拘束され、径方向の移動が規制されている。なお、第2右保持部136Aおよび第2左保持部134Bのそれぞれには、各二次電池101の中心軸方向の端面に対向する対向面が設けられ、この対向面によって二次電池101の中心軸方向の移動が規制される。
【0084】
なお、押圧部材180には、中心面Sに対して面対称となるように、一対の補助突出部182が設けられている。二次電池101を保持しているときの補助突出部182の弾性変形量(圧縮量)は、主要突出部181の弾性変形量(圧縮量)よりも小さい。このため、補助突出部182で発生する反力は、主要突出部181で発生する反力に比べて小さい。本実施の形態では、一対の補助突出部182で発生する反力を、主要突出部181の両側で補助的に作用させる構成とされているので、補助突出部を設けない場合に比べて、より安定して二次電池101の位置を拘束できる。
【0085】
本実施の形態では、押圧部材180により二次電池101を拘束するために必要な所定の反力を発生することができ、かつ、圧縮率が10%以下となるように、押圧部材180の左右方向寸法が調整されている。なお、圧縮率は、押圧部材180の圧縮前における中心面S上の左右方向寸法をt0、押圧部材180の圧縮後における中心面S上の左右方向寸法をt1とすると、(t0−t1)×100/t0(%)で表される。圧縮率を低く抑えることで、永久歪の発生を抑制できる。
【0086】
二次電池101の電池容器に局所的に大きな荷重が作用すると、電池容器の内部での短絡が生じるおそれがある。本実施の形態では、押圧部材180の接触部を3箇所に分割し、押圧部材180によって発生する反力を3箇所に分散させているので、二次電池101に局所的に作用する荷重(負荷)を低減できる。
【0087】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)蓄電モジュール40には、複数の円柱状の二次電池101が一列に配列されてなる素子配列体103が3段設けられている。蓄電モジュール40は、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101を挟んで保持する一対の保持枠部材(第1中間保持枠部材131Aおよび第2中間保持枠部材131B)を備えている。また、蓄電モジュール40は、一対の保持枠部材のうちの一方(第2中間保持枠部材131B)に設けられ、二次電池101の外周面を径方向内側に向かって押圧する押圧部材180を備えている。
【0088】
一対の保持枠部材のうちの他方(第1中間保持枠部材131A)には、二次電池101の外周面に接触する突起部172が設けられている。押圧部材180は、一対の保持枠部材とは別体であり、保持枠部材の材料(ガラス繊維入りPBT)よりも弾性率の低い材料(熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー)からなる。
【0089】
これにより、素子配列体103が3段設けられた場合であっても、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101に対して適切な押圧力を付与した状態で、二次電池101の位置を拘束できる。その結果、蓄電モジュール40に振動が加わることに起因して、中間素子配列体103Mを構成する二次電池相互間の位置ずれを抑制することができる。
【0090】
さらに、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101を押圧するために両端支持梁状の押圧部150を設けなくてよいので、隣り合う二次電池101同士の隙間が小さくなるように、各二次電池101を密集させて配置させることができ、蓄電モジュール40の小型化を図ることができる。
【0091】
(2)上述したように、右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101は、段方向外側に配置される右端部保持枠部材121と、右端部保持枠部材121に対向して配置される第1中間保持枠部材131Aとによって挟んで保持される。右端部保持枠部材121には、右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101の外周面を径方向内側に向かって押圧する押圧部150が設けられている。第1中間保持枠部材131Aには、右端部素子配列体103Rを構成する二次電池101の外周面に接触する突起部162が設けられている。押圧部150は、右端部保持枠部材121と同じ材料(ガラス繊維入りPBT)からなり、右端部保持枠部材121と一体に成形されている。
【0092】
同様に、左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101は、段方向外側に配置される左端部保持枠部材141と、左端部保持枠部材141に対向して配置される第2中間保持枠部材131Bとによって挟んで保持される。左端部保持枠部材141には、左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101の外周面を径方向内側に向かって押圧する押圧部150が設けられている。第2中間保持枠部材131Bには、左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101の外周面に接触する突起部162が設けられている。押圧部150は、左端部保持枠部材141と同じ材料(ガラス繊維入りPBT)からなり、左端部保持枠部材141と一体に成形されている。
【0093】
このように右端部素子配列体103Rおよび左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101に対して適切な押圧力を付与した状態で、二次電池101の位置を拘束できる。その結果、蓄電モジュール40に振動が加わることに起因して、右端部素子配列体103Rおよび左端部素子配列体103Lを構成する二次電池相互間の位置ずれを抑制することができる。また、上述したように、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101が適正な位置において拘束されているので、蓄電モジュール40に振動が加わることに起因する各素子配列体103間の位置ずれを抑制することができる。
【0094】
右端部保持枠部材121および左端部保持枠部材141のそれぞれに各押圧部150が一体に成形されている。これにより、たとえば右端部素子配列体103Rおよび左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101を、押圧部150に代えて、右端部保持枠部材121および左端部保持枠部材141とは別部材である押圧部材180により押圧する構成の蓄電モジュールに比べて、部品点数を低減できるとともに、低コスト化を図ることができる。
【0095】
(3)第2中間保持枠部材131Bは、二次電池101の中心軸方向両端部のそれぞれの外周面に沿うように形成された前後一対の円弧状の凹陥面170を有している。凹陥面170から窪んだ収容凹部190には、押圧部材180が収容されている。押圧部材180は、収容凹部190から二次電池101側に突出した主要突出部181の端面(当接面181a)および補助突出部182の端面(当接面182a)が、それぞれ二次電池101の外周面を押圧する押圧面とされている。二次電池101の外周面を押圧する3つの押圧面(当接面181a,182a)を有しているため、二次電池101に局所的に作用する荷重(負荷)を低減できる。つまり、局所的に大きな荷重が電池容器に作用することに起因して、内部短絡が生じることを防止できる。
【0096】
(4)収容凹部190には、掛止孔195が設けられ、押圧部材180の掛止突起185と係合可能とされている。これにより、押圧部材180が収容凹部190から脱落することが防止され、蓄電モジュール40を配置する向きを自由に設定できる。
【0097】
(5)凹陥面171には、二次電池101の外周面に接触する2つの突起部172が設けられている。突起部172は、二次電池の中心軸CAを含む仮想平面であって、押圧部材180と二次電池101との接触点Fを通る仮想平面(中心面S)で2分される領域のそれぞれに、一つずつ配置されている。これにより、中心面Sで2分される領域の一方に全ての突起部172を配置する場合に比べて、バランスよく二次電池101を保持できる。
【0098】
同様に、凹陥面161には、二次電池101の外周面に接触する2つの突起部162が設けられている。突起部162は、中心面Sで2分される領域のそれぞれに、一つずつ配置されている。これにより、中心面Sで2分される領域の一方に全ての突起部162を配置する場合に比べて、バランスよく二次電池101を保持できる。
【0099】
(6)弾性変形可能な押圧部150や押圧部材180によって、押圧力を二次電池101に付与した状態で二次電池101を保持するようにした。これにより、配列された二次電池101の外周の直径が僅かに異なるなど、二次電池101ごとに製作公差に起因するバラつきがある場合であっても、押圧部150や押圧部材180が変形して外周面の直径の公差を吸収することができる。
【0100】
このように、本実施の形態によれば、各二次電池101にバラつきがあったとしても、二次電池101の振動を抑えて安定して保持することができる。その結果、たとえば、二次電池同士を接続する導電部材191に荷重が作用し、二次電池101の電極面と導電部材191との溶接部が損傷するなどして、接触不良が生じることを防止できる。つまり、本実施の形態によれば、蓄電モジュール40に振動や衝撃が作用した場合であっても、安定した電気的な接続状態を保つことができる。
【0101】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、押圧部材180に一対の補助突出部182を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。一対の補助突出部182は、省略してもよいし、二対の補助突出部182を設けてもよい。主要突出部181を1つだけ設ける場合に限定されることもなく、同程度の突出量の主要突出部181を複数設けてもよい。
【0102】
(変形例2)
上述した実施の形態では、収容凹部190に掛止孔195を設け、押圧部材180の掛止突起185と係合するようにした例について説明したが、押圧部材180の脱落を防止する構成は、このような構成に限定されるものではない。たとえば、押圧部材180に掛止凹部を設けるとともに収容凹部190に掛止凸部を設けて、両者を嵌合させて、押圧部材180の収容凹部190からの脱落を防止してもよい。
【0103】
(変形例3)
上述した実施の形態では、押圧部材180の材料に、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーを採用した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、その他の軟質樹脂材を採用してもよい。
【0104】
(変形例4)
上述した実施の形態では、素子配列体103が3段設けられた蓄電モジュール40に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、素子配列体103をN段以上(Nは、3以上の整数)設けた蓄電モジュール40に適用できる。つまり、4段以上の素子配列体を有する蓄電モジュールにも本発明を適用できる。1段目とN段目(Nは、3以上の整数)との間における1つ以上の中間素子配列体のうちの少なくとも1つの中間素子配列体を構成する二次電池101を挟んで保持する一対の保持枠部材のうちの一方に押圧部材180を設け、一対の保持枠部材のうちの他方に接触部としての突起部172を設けることで、中間素子配列体を構成する二次電池101を安定して保持することができる。
【0105】
(変形例5)
上述した実施の形態では、1段目の素子配列体103が右端部に配置され、3段目の素子配列体103が左端部に配置されている例について説明したが、蓄電モジュール40を配置する向きは、これに限定されない。たとえば、1段目の素子配列体103が下端部に位置し、3段目の素子配列体103が上端部に位置するように蓄電モジュール40を配置してもよい。
【0106】
この場合、中間素子配列体103Mを構成する二次電池101を保持する一対の保持枠部材のうちの一方(第2中間保持枠部材131B)は、二次電池101の上側に配置され、一対の保持枠部材のうちの他方(第1中間保持枠部材131A)は、二次電池101の下側に配置されることになる。つまり、押圧部材180が二次電池101の上方に配置され、突起部172が二次電池101の下方に配置される。これにより、通常使用状態において、二次電池101の自重が押圧部材180に作用することが防止され、押圧部材180の耐久性を向上できる。
【0107】
(変形例6)
上述した実施の形態では、凹陥面161に2つの突起部162を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。凹陥面161に1つの突起部162を設けるようにしてもよい。この場合、中心面S上に突起部162を配置することが好ましい。同様に、上述した実施の形態では、凹陥面171に2つの突起部172を設ける例について説明したが、凹陥面171に1つの突起部172を設けるようにしてもよい。この場合、中心面S上に突起部172を配置することが好ましい。また、凹陥面161に3つ以上の突起部162を設けてもよいし、凹陥面171に3つ以上の突起部172を設けてもよい。
【0108】
(変形例7)
上述した実施の形態では、右端部素子配列体103Rおよび左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101を、押圧部150と突起部162とにより保持する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。右端部素子配列体103Rおよび左端部素子配列体103Lを構成する二次電池101を、中間素子配列体103Mと同様に、押圧部材180と突起部172とで保持する構成としてもよい。
【0109】
(変形例8)
上述の説明では、3つの蓄電モジュール40A〜40Cを設け、これらを直列接続するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、蓄電モジュール40が1つまたは2つだけであってもよく、4つ以上であってもよい。また、複数の蓄電モジュール40を並列接続するように構成してもよい。
【0110】
(変形例9)
リチウムイオン二次電池を蓄電素子の一例として説明したが、ニッケル水素電池などその他の二次電池にも本発明を適用できる。さらに、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタを蓄電素子とした場合にも本発明を適用できる。
【0111】
(変形例10)
上述した実施の形態では、電気自動車に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、これに限定されない。他の電動車両、たとえばハイブリッド電車などの鉄道車両、バスなどの乗合自動車、トラックなどの貨物自動車、バッテリ式フォークリフトトラックなどの産業車両の車両用電源装置を構成する蓄電装置にも本発明を適用できる。
【0112】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0113】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2014年第175587号(2014年8月29日出願)