特許第6236543号(P6236543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236543リソグラフィマシンワークピーステーブル、及びその垂直位置初期化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236543
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】リソグラフィマシンワークピーステーブル、及びその垂直位置初期化方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   H01L21/68 K
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-554320(P2016-554320)
(86)(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公表番号】特表2017-508184(P2017-508184A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2015072835
(87)【国際公開番号】WO2015127863
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】201410070238.1
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リャオ フェイホン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ ユエビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ハイリ
(72)【発明者】
【氏名】フー シューピン
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−232628(JP,A)
【文献】 特開2013−214024(JP,A)
【文献】 特開2010−267144(JP,A)
【文献】 特開2010−109330(JP,A)
【文献】 特開2010−080624(JP,A)
【文献】 特開2011−003891(JP,A)
【文献】 特開2008−199034(JP,A)
【文献】 特開2004−228383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/30、
21/027、
21/46、
21/67、
21/677、
21/68、
21/683、
G03F 7/20−7/24、
9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリソグラフィツールのウエハステージに使用される微動モジュールであって、
ベース、
微動プレート、
前記ベースと前記微動プレートとの間に固定される複数の垂直モータ、
それぞれが、前記ベースに固定される一端と前記微動プレートを支持するように構成された他端とを有する複数の重力補償器、
前記微動プレートの絶対位置を計測し、取得された絶対位置計測値に基づいて、前記微動プレートの絶対位置が所定の初期垂直位置に変化するように、前記複数の重力補償器における圧力を調整するように構成された複数の絶対位置センサ、及び、
前記微動プレートの前記ベースに対する相対位置を計測し、取得された相対位置計測値に基づいて、前記微動プレートが相対ゼロ位置に移動するように、前記微動プレートを制御するように構成された複数の相対位置センサを備える微動モジュール。
【請求項2】
前記複数の絶対位置センサが渦電流センサ、線形可変差動変圧器センサ、又は線形差動センサである請求項1に記載の微動モジュール。
【請求項3】
前記複数の相対位置センサがレーザ干渉計、レーザスケール、又はグレーティングスケールである請求項1に記載の微動モジュール。
【請求項4】
前記複数の重力補償器内の圧力は比例圧力バルブを用いて制御される請求項1に記載の微動モジュール。
【請求項5】
複数の長尺ミラー、及び円形ガス浮上器を更に有する請求項1に記載の微動モジュール。
【請求項6】
請求項1から5何れか1項に記載の微動モジュールを備えるフォトリソグラフィツールのウエハステージ。
【請求項7】
水平モジュール、プリアライメントモジュール、及び基板搬送モジュールを更に有する請求項6に記載のウエハステージ。
【請求項8】
請求項1から5何れか1項に記載の微動モジュールの垂直位置の初期化のための方法であって、
ステップ1)前記微動プレートの絶対位置と所定の初期垂直位置との差がしきい値よりも小さいか否かを判断し、しきい値よりも小さければステップ3)へ進み、そうでなければステップ2)へ進むステップ、
ステップ2)前記差に基づいて前記重力補償器内の圧力を調整し、前記ステップ1)に戻るステップ、
ステップ3)前記複数の相対位置センサを用いて垂直ゼロイング処理を実施するステップ、及び、
ステップ4)前記垂直ゼロイング処理の結果に基づいてゼロ位置ずれを調整するステップを有する方法。
【請求項9】
前記ステップ2)における前記重力補償器内の圧力を調整が、実際の位置とプリセットされた位置との差分に比例係数を乗じることにより、変更される前記重力補償器内の圧力の量を計算することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各グレーティングスケールがゼロ位置マーク共に配置されており、
前記ステップ3)が、前記ゼロ位置マークがスキャンされたときに高い電気レベルを出力し、そうでなければ低い電気レベルが出力されることを含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ4)が、前記垂直ゼロイング処理のゼロ位置誤差結果に基づいて前記グレーティングスケールのゼロ位置ずれを調整することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ2)における前記重力補償器内の圧力の調整がフィードバック制御ループによって遂行され、該フィードバック制御ループが、
前記微動プレートの加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する軌道生成器、
前記加速度、速度、及び位置を示す前記軌道生成器からの信号に基づいてフィードフォワード力を生成するフィードフォワードコントローラ、
前記微動プレートのプリセットされた位置と実際の絶対計測値との間の差を、フィードバック制御力を生成するための入力として取得するフィードバックコントローラ、及び、
前記フィードフォワードコントローラにより生成されたフィードフォワード力と前記フィードバックコントローラにより生成されたフィードバック制御力との結合を、前記複数の重力補償器のための圧力にデカップリングするアクチュエータデカップリングモジュールを含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から5何れか1項に記載の微動モジュールの垂直位置を初期化する方法であって、
1)前記複数の絶対位置センサを含む第1のフィードバック制御ループを用いて、前記複数の垂直モータに対して閉ループ制御を実施するステップ、
2)前記複数のモータにより、前記微動プレートの絶対位置が初期垂直位置しきい値の範囲に入るように、前記微動プレートを移動するステップ、
3)前記複数の相対位置センサをクリアするステップ、及び、
4)前記複数の相対位置センサを有する第2のフィードバック制御ループを用いて、前記複数の垂直モータに対して閉ループ制御を実施するステップを有する方法。
【請求項14】
前記第1のフィードバック制御ループが、
前記微動プレートの加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する第1の軌道生成器、
前記加速度、速度、及び位置を示す前記第1の軌道生成器からの信号に基づいてフィードフォワード力を生成する第1のフィードフォワードコントローラ、
前記複数の絶対位置センサにより取得された前記絶対位置計測値を、前記微動プレートの絶対位置値にデカップリングし、該絶対位置値を出力する第1の計測デカップリングモジュール、
プリセットされた前記微動プレートの絶対位置値と、前記第1の計測デカップリングモジュールから出力された前記微動プレートの絶対位置値との差を、フォードバック制御力を生成するための入力として取得する第1のフィードバックコントローラ、及び、
前記第1のフィードフォワードコントローラにより生成されたフィードフォワード力と前記第1のフィードバックコントローラにより生成されたフィードバック制御力との結合を、前記複数のモータのための圧力にデカップリングするモータアクチュエータデカップリングモジュールを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のフィードバックループが、
前記微動プレートの加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する第2の軌道生成器、
前記加速度、速度、及び位置を示す前記第2の軌道生成器からの信号に基づいてフィードフォワード力を生成する第2のフィードフォワードコントローラ、
前記複数の相対位置センサにより取得された前記絶対位置計測値を、前記微動プレートの相対位置値にデカップリングし、該相対位置値を出力する第2の計測デカップリングモジュール、
プリセットされた前記微動プレートの絶対位置値と、前記第2の計測デカップリングモジュールから出力された前記微動プレートの絶対位置値との差を、フォードバック制御力を生成するための入力として取得する第2のフィードバックコントローラ、及び、
前記第2のフィードフォワードコントローラにより生成されたフィードフォワード力と前記第2のフィードバックコントローラにより生成されたフィードバック制御力との結合を、前記複数のモータのための圧力にデカップリングするモータアクチュエータデカップリングモジュールを含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造に関し、特に、フォトリソグラフィツールにおけるウエハステージ、及びその垂直位置を初期化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトグラフィツールは、マスク上のパタンをウエハ又はガラス基板上に転写するために使用される。この過程において、ウエハ又はガラス基板は、その垂直位置がフォーカスレベルシステム(FLS)の設定に従ってフォーカスされかつ水平にされつつ、マスクステージと同期して水平に移動するために、ウエハステージにより運ばれる。ウエハステージの動きのエラーは、投影物の画像品質に直接に影響を与える。垂直フォーカス及び水平エラーを削減するため、ウエハステージの垂直位置は、ベースフレームから垂直モーションモジュールへの低周波振動の伝達をブロックするための低い剛性の重力補償装置により支持される垂直モーションモジュールにより維持される。そのような低い剛性の重力補償装置の典型的な設計が、特許文献1に開示される。特許文献2は、典型的なウエハステージを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許公開102486215号公報
【特許文献2】中国特許公開102537049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に開示されるように、ウエハステージの正確な垂直位置は、それをグレーティングスケール、すなわち相対位置フィードバックに基づいて制御することにより実現される。ウエハステージの垂直ゼロ(初期)位置の確立は、初期化の間、ゼロイング処理により実施される。加えて、ゼロイング処理の前に、ウエハステージの初期垂直位置、すなわち絶対位置としても知られるその物理的位置が重力補償装置により確保される。しかしながら、重力補償装置が、絶対位置に対するフィードバックループなしに、圧力制御ループを用いて制御されると、初期位置は、ガス供給における圧力変動、及び負荷によりもたらされる外乱から非常に影響を受けやすく、重力補償装置の剛性が低いほど、ガス供給圧力変動及び負荷により生じる外乱に起因して、初期垂直相対位置に大きなずれが生じる。
【0005】
初期垂直位置における無視できないドリフトの考えられる帰結は:1)ウエハステージにおける円筒状の気体軸受けの空気圧振動によるウエハステージの初期化の失敗;2)初期化の間の無視できない垂直ゼロイング誤差、それはウエハステージの全システムに対する大きなゼロ位置のずれをもたらし得る;3)初期化後の垂直モーションの正確性の低下、を含む。
【0006】
試験データは、上記したウエハステージの垂直ずれは最大で0.3mmであることを示し、これは最大許容値である0.1mmを超える。これは、制御バルブの正確性を増すことで軽減され得るものの、根本原因を取り除くことはできない。現在、十分でないウエハステージの確実性の主因は、絶対ゼロ位置基準が存在しないことに起因するその初期垂直位置における偏差にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術の短所を克服するために、本発明は、既存のウエハステージ及び前述の方法に、その垂直位置初期化のための垂直ゼロ位置基準を加える。
【0008】
本発明は、ベース、微動プレート、ベースと微動プレートとの間に固定される複数の垂直モータ、それぞれがベースに固定される一端と微動プレートを支持するように構成された他端とを有する複数の重力補償器、微動プレートの絶対位置を計測し、取得された絶対位置計測値に基づいて、微動プレートの絶対位置が所定の初期垂直位置に変化するように、複数の重力補償器における圧力を調整するように構成された複数の絶対位置センサ、及び、微動プレートのベースに対する相対位置を計測し、取得された相対位置計測値に基づいて、微動プレートが相対ゼロ位置に移動するように、微動プレートを制御するように構成された複数の相対位置センサを備える、フォトグラフィツールのウエハステージに用いられる微動モジュールを提案する。
【0009】
好ましくは、複数の絶対位置センサは、渦電流センサ、線形可変差動変圧器センサ、又は線形差動センサであり得る。
【0010】
好ましくは、複数の相対位置センサは、レーザ干渉計、レーザスケール、又はグレーティングスケールであり得る。
【0011】
好ましくは、複数の重力補償器内の圧力は、比例圧力バルブを用いて制御され得る。
【0012】
好ましくは、微動モジュールは、複数の長尺ミラー、及び円形ガス浮上器を更に含み得る。
【0013】
本発明は、また、上記の微動モジュールを組み込み、更に水平モジュール、プリアライメントモジュール、及び基板搬送モジュールを含むフォトリソグラフィツールを提案する。
【0014】
本発明は、更に、微動モジュールの垂直位置の初期化のための方法であって、
ステップ1)前記微動プレートの絶対位置と所定の初期垂直位置との差がしきい値よりも小さいか否かを判断し、しきい値よりも小さければステップ3)へ進み、そうでなければステップ2)へ進むステップ、
ステップ2)前記差に基づいて前記重力補償器内の圧力を調整し、ステップ1)に戻るステップ、
ステップ3)前記複数の相対位置センサを用いて垂直ゼロイング処理を実施するステップ、及び、
ステップ4)前記垂直ゼロイング処理の結果に基づいてゼロ位置ずれを調整するステップを有する方法。
【0015】
上記方法において、ステップ2)における重力補償器内の圧力を調整は、実際の位置とプリセットされた位置との差分に比例係数を乗じることにより、変更される前記重力補償器内の圧力の量を計算することを含み得る。
【0016】
上記方法において、各グレーティングスケールがゼロ位置マーク共に配置されていてもよく、ステップ3)は、ゼロ位置マークがスキャンされたときに高い電気レベルを出力し、そうでなければ低い電気レベルが出力されることを含み得る。
【0017】
上記方法において、ステップ4)は、垂直ゼロイング処理のゼロ位置誤差結果に基づいてグレーティングスケールのゼロ位置ずれを調整することを含み得る。
【0018】
上記方法において、ステップ2)における重力補償器内の圧力の調整はフィードバック制御ループによって遂行さてもよく、フィードバック制御ループは、
微動プレートの加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する軌道生成器、
加速度、速度、及び位置を示す軌道生成器からの信号に基づいてフィードフォワード力を生成するフィードフォワードコントローラ、
微動プレートのプリセットされた位置と実際の絶対値計測値との間の差を、フィードバック制御力を生成するための入力として取得するフィードバックコントローラ、及び、
フィードフォワードコントローラにより生成されたフィードフォワード力とフィードバックコントローラにより生成されたフィードバック制御力との結合を、複数の重力補償器のための圧力にデカップリングするアクチュエータデカップリングモジュールを含んでいてもよい。
【0019】
本発明の他の態様において、フォトグラフィツールのウエハステージの垂直位置を初期化する方法であって、
1)複数の絶対位置センサを含む第1のフィードバック制御ループを用いて、複数の垂直モータに対して閉ループ制御を実施するステップ、
2)複数のモータにより、微動プレートの絶対位置が初期垂直位置しきい値の範囲に入るように、微動プレートを移動するステップ、
3)前記複数の相対位置センサをクリアするステップ、及び、
4)前記複数の相対位置センサを有する第2のフィードバック制御ループを用いて、前記複数の垂直モータに対して閉ループ制御を実施するステップを有する方法が提案される。
【0020】
この方法において、第1のフィードバック制御ループは、
微動プレートの加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する第1の軌道生成器、
加速度、速度、及び位置を示す第1の軌道生成器からの信号に基づいてフィードフォワード力を生成する第1のフィードフォワードコントローラ、
複数の絶対位置センサにより取得された絶対位置計測値を、微動プレートの絶対位置値にデカップリングし、絶対位置値を出力する第1の計測デカップリングモジュール、
プリセットされた微動プレートの絶対位置値と、第1の計測デカップリングモジュールから出力された微動プレートの絶対位置値との差を、フォードバック制御力を生成するための入力として取得する第1のフィードバックコントローラ、及び、
第1のフィードフォワードコントローラにより生成されたフィードフォワード力と前記第1のフィードバックコントローラにより生成されたフィードバック制御力との結合を、複数のモータのための圧力にデカップリングするモータアクチュエータデカップリングモジュールを含み得る。
【0021】
この方法において、第2のフィードバックループは、
微動プレートの加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する第2の軌道生成器、
加速度、速度、及び位置を示す軌道生成器からの信号に基づいてフィードフォワード力を生成する第2のフィードフォワードコントローラ、
複数の相対位置センサにより取得された絶対位置計測値を、微動プレートの相対位置値にデカップリングし、相対位置値を出力する第2の計測デカップリングモジュール
プリセットされた微動プレートの絶対位置値と、第2の計測デカップリングモジュールから出力された微動プレートの絶対位置値との差を、フォードバック制御力を生成するための入力として取得する第2のフィードバックコントローラ、及び、
第2のフィードフォワードコントローラにより生成されたフィードフォワード力と第2のフィードバックコントローラにより生成されたフィードバック制御力との結合を、複数のモータのための圧力にデカップリングするモータアクチュエータデカップリングモジュールを含み得る。
【0022】
本発明によれば、ウエハステージは、全システムに対するその垂直ゼロ位置の安定性が改良され、それにより、垂直ゼロイングの不正確性に起因する低い垂直動きの精度から生じる低信頼性の問題が解決される。加えて、本発明に係るウエハステージ及び方法は、グレーティングスケールの垂直取り付け及び調整を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の利点及び精神は、添付図面と合わせて読まれる下記の詳細な説明を参照してより理解されるであろう。
図1】本発明に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージの概略図。
図2】本発明に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージにおける微動モジュールの概略図。
図3】本発明の第1実施形態に係るフォトグラフィツールにおけるウエハステージの垂直位置の初期化のための方法を図解して示すフローチャート。
図4】本発明の第2実施形態に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージの垂直位置の初期化における制御処理を示す図。
図5】本発明の第2実施形態に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージの垂直位置ゼロイングのための方法を示すフローチャート。
図6】本発明の第3実施形態に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージの垂直位置ゼロイングにおける制御処理を示す図。
図7】本発明の第3実施形態に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージの垂直位置ゼロイングのための方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のいくつかの具体的な実施形態が添付図面を参照しつつ、下記に詳細に記述される。
【0025】
図1は、本発明に係るフォトリソグラフィツールにおけるウエハステージを概略的に示す図である。図1に示されるように、本発明に係るフォトグラフィツールにおけるウエハステージは、ロングストロークモジュール100、微動モジュール200、回転プリアライメントモジュール300、及び基板搬送モジュール400を含む。ロングストロークモジュール100は、広範囲の水平位置調整のためのものであり、少なくとも1つのXガイドウェイ、少なくとも1つのXスライダ、少なくとも1つのX駆動モータ、少なくとも1つのYガイドウェイ、少なくとも1つのYスライダ、少なくとも1つのY駆動モータ、及び外側への反力の伝送のためのコンポーネントを含む。回転プリアライメントモジュール300は、プリアライメントモータ、グレーティングスケール、ガイドローラ、及びターンテーブルを含む。基板搬送モジュール400は、サポートアセンブリ、及び真空アセンブリを含む。モジュール100、300、及び400のそれぞれ、並びにそれらのコンポーネントは、当業者に知られた多様な設計又は構成の1つを有することができ、簡潔さのためにここでは記述しない。
【0026】
本発明の主な態様は微動モジュール200にあり、それは、図2に示されるように、ベース201、重力補償器202、垂直モータ203、垂直グレーティングスケール204、渦電流センサ205、Rzモータ206、Rzグレーティングスケール207、長尺ミラー208、円形ガス浮上器209、微動プレート210、及びRz渦電流センサ211を含む。本発明において、渦電流センサ205、211は、ベース201と微動プレート210との間の絶対位置計測値を取得するように構成され、渦電流センサの使用は、ゼロ位置の再設定を要求しない。渦電流センサに加えて、この目的のために適用可能なデバイスの典型的な例は、また、線形可変差動変圧器(LVDT)センサ、線形差動センサなどを含む。渦電流センサは、それに対する限定としてではなく、本発明の明細書を容易にするための例としてのみ機能する。グレーティングスケール204及び207は、ベース201と微動プレート210との間の相対位置計測値を取得するセンサとして使用され、グレーティングスケールの使用はゼロ位置の際キャリブレーションを必要とする。グレーティングスケールに加えて、この目的のために適用可能なデバイスの例は、レーザ干渉計、レーザスケールなどを含む。グレーティングスケールは、それに対する限定としてではなく、本発明の明細書を容易にするための例としてのみ機能する。
【0027】
説明される実施形態において、重力補償器202は、3つの補償器202−1、202−2及び202−3を含んでおり、それらは、微動プレート210の重力を支持するために、微動プレート210の中心を中心とする円の上に均等に分配されている。重力補償器のそれぞれは、水平及び垂直の双方の方向に非常に低い剛性を有する。本実施形態において、重力補償器202が3つの補償器を含むとして記述されかつ描かれるが、本発明はこの点には限定されず、例えば重力補償器202が4つの補償器を含むこととしてもよい。円形ガス浮上器209は、垂直(Z)及びRz方向における微動プレート210の移動をガイドするように構成される。円形ガス浮上器は、単一のワンピース構造でもよいし、複数の構造でもよい。円形ガス浮上器209を重力補償器202と組み合わせて使用すると、微動プレート210は、Z及びRz方向の双方において15Hzよりも高くない固有振動数を有する。垂直グレーティングスケール204は、それぞれZ位置、Rx位置、及びRy位置を計測するための3つのグレーティングスケール204−1、204−2、及び204−3を含む。垂直モータ203は、それぞれZ方向駆動力、Rx方向駆動力、及びRy方向駆動力を供給するように構成された3つのモータ203−1、203−2、及び203−3を含む。Rzグレーティングスケール207は、双方ともRz位置を計測するように構成された2つのグレーティングスケール207−1及び207−2を含む。本実施形態において、Rzグレーティング207が2つのグレーティングスケールを含むとして記述されかつ描かれるが、本発明はこの点には限定されず、例えばただ1つのグレーティングスケールが使用されることとしてもよい。Rz渦電流センサ211は、微動プレート210の絶対Rz位置を計測するように構成される。ただ1つのRz渦電流センサ211が使用されることが説明され、かつ描かれるが、本発明はそれには限定されず、2つの対称配置されたセンサも使用され得る。Rzモータ206は、2つのモータ206−1及び206−2を含み、それらは対称的に配置され、微動プレート210をRz方向に回転させるように駆動するための一対の力を提供する。渦電流センサ205は、それぞれZ、Rx、及びRy方向における絶対位置を計測するように構成された3つのセンサ205−1、205−2、及び205−3を含む。長尺ミラー208は、干渉計の光路の計測のための2つのミラー208−1及び208−2を含む。
【0028】
サイズの制限のため、垂直グレーティングスケール204は、通常、高精度相対グレーティングスケールとして選択される。典型的な相対グレーティングスケールは、5−50nm以下の計測分解能を提供できる。しかしながら、そのようなグレーティングスケールは、垂直ゼロ位置の確立のためのゼロイング処理に依存し、初期絶対位置がゼロ位置から離れた場合、相対グレーティングスケールの垂直ゼロイングは、不正確な結果をもたらすか、又は失敗する。
【0029】
重力補償器202は、典型的には比例圧力バルブを用いて制御される。相対グレーティングスケールの垂直ゼロイング処理に先立って、微動プレート210の初期垂直絶対位置は、微動プレートが受ける外乱の強度に加えて、比例圧力バルブの制御精度によって制限される。一般に、比例圧力バルブの制御精度は、使用されるガス供給における変動に大いに影響を受ける。微動プレート210が重力補償器により初期垂直位置に支持され、そのロバスト性が保証されないとき、垂直初期化及びゼロウイング処理の信頼性は非常に影響を受ける。
【0030】
この目的のために、渦電流センサ205が、微動プレート210の垂直絶対位置を0.1−10μmの精度で計測するために更に含まれる。渦電流センサ205により取得された微動プレートの絶対位置計測値をフィードバックとして使用することで、微動プレートの初期位置が相対グレーティングスケールの垂直ゼロイングに適した所定の位置に合わせられるように、重力保証器202に供給されるガスの圧力が調整されることが可能となる。
【0031】
第1実施形態
図3は、ウエハステージの垂直絶対位置の初期化のための方法を図解して示すフローチャートである。ステップ601において、微動プレート210の初期垂直位置(絶対位置)が所定範囲にあるか否かが判断される。これは、3つの渦電流センサの計測値Z11、Z21、及びZ31をプリセットされた絶対ゼロ位置値Z10、Z20、及びZ30と比較し、3つのずれが所定の範囲Zv0以内にあるか、すなわち下記条件が満たされるか否かを判断することで達成され得る。
【数1】
【0032】
上記条件が満たされない場合、重力補償器の圧力を調整し、それにより微動プレート210の初期垂直位置を変更するためにステップ602が実施される。これは、前述のずれを重力補償器の位置ずれに変換し、そして位置ずれを圧力マージンに線形変換することで達成され得る。重力補償器の圧力調整は下記式で与えられる。
【数2】
【0033】
ここで、Z11−Z10、Z21−Z20、及びZ31−Z30は、3つの渦電流センサにより計測されたずれを表す。Aは、3つの渦電流センサのレベルから3つの重力補償器のレベルへの変換関係を示す定係数行列である。k、k、及びkは、線形係数である。
【0034】
ステップ602及び601は、3つの初期垂直ずれが式(1)を満たすまで繰り返し実施され得る。それが発生すると、処理はステップ603に進むことができる。
【0035】
ステップ603−605は、グレーティングスケールの垂直ゼロ位置(相対位置)を確立するように構成される。具体的に、ステップ603において、垂直グレーティングスケールは、垂直モータに対する閉ループ制御を有効にする。ステップ604において、グレーティングスケール204のゼロ位置センサの位置を検索するために、垂直ゼロイング処理が実施される。グレーティングスケールのそれぞれは、対応するグレーティングスケールの本体の中間に固定されたゼロ位置マークと共に配置されている。マークがスキャンされるとき、高い電気レベル(TRUE)が出力され、そうでなければ低い電気レベル(FALSE)が出力される。このようにして、ゼロ位置の識別が可能である。ステップ605において、グレーティングスケール204のゼロ位置ずれが、ゼロイング処理において取得されたずれ計測値に基づいて調整される。
【0036】
これらステップにより、微動プレート210に対して、より高い初期化精度及びゼロイング精度が達成される。
【0037】
第1実施形態において、渦電流センサ205の計測値がそれぞれ所定の範囲内となるように重力補償器202における圧力を調整する処理は、開ループ制御プロセスであり、これは、しかしながら、初期垂直位置調整を完了するまで比較的長い時間がかかり、従って幾分かスループットに不利である。
【0038】
第2実施形態
本実施形態において、フォトリソグラフィツールにおけるウエハステージの垂直制御のための方法、及びその垂直ゼロイングのための方法が記述される。垂直制御方法によれば、フィードバックされた渦電流センサ205の計測値に基づいて重力補償器202内の圧力を制御することにより、微動プレート210の位置が所定範囲に迅速に調整される。
【0039】
図4に示されるように、本実施形態に係る垂直制御方法は、初期化処理とグレーティングスケールのゼロ位置ずれの調整のための処理との間で切り替え可能である。コネクタ1、3を相互接続すると、軌道生成器621は、微動プレート210の加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する。フィードフォワードコントローラ622は、加速度、速度、及び位置を示す信号に基づいてフィードフォワード力を生成し、それによってフィードフォワード処理の迅速な応答が達成される。フィードバックコントローラ623は、従来型の比例積分偏差(PID:proportional-integral-derivative)コントローラとして実装されており、所定位置と実際位置との間の差を、フィードバック制御力を規定するための入力として取得する。モータアクチュエータデカップリングモジュール624は、3つの論理軸Z、Rx、及びRyに沿った、規定されたフィードバック制御力のコンポーネントを、3つの垂直モータの物理出力に変換する。3つの渦電流センサ205は、微動プレート210の絶対値計測値を取得する。計測デカップリングもクール628は、渦電流センサ205により取得された計測値に基づいてZ、Rx、及びRyにおける絶対位置を計算し、計算した位置をフィードバックコントローラ623にフィードバックする。これは、微動プレートの垂直位置の初期化、すなわち所定位置まで微動プレートを前進することが達成されるまで繰り返される。この処理は、上記コントローラの第1のセットのための制御処理である。その後、スイッチ634が操作され、コネクタ2、3が相互接続される。これに引き続き、垂直グレーティングスケール204は、微動プレート210の相対位置計測値を取得し、計測デカップリングモジュール630は、垂直グレーティングスケール204により取得された計測値に基づいてZ、Rx、及びRyにおける相対位置を計算し、軌道生成器631は、軌道生成器621と同様な処理、すなわち微動プレート210の加速度、速度、及び位置を考慮した軌道の生成を実施し、フィードフォワード及びフィードバックコントローラ632、633は、それぞれフィードフォワード及びフィードバックコントローラ622、623と同様な処理を実施する。これは、グレーティングスケールから信号がクリアされるまで、すなわちグレーティングスケールのゼロ位置ずれ調整が完了するまで繰り返される。この処理は、上記コントローラの第2のセットのための制御処理である。スイッチ634は、2つのコントローラのセットの間を切り替えるように構成される。
【0040】
渦電流センサに基づいたモータの制御は、1Hzから20Hzまでの周波数帯において実施可能であり、グレーティングスケールに基づいたモータの制御は、30Hzから100Hzまでの周波数帯において実施可能である。
【0041】
第2実施形態に係る垂直制御方法に基づいて、図5に示されるように、渦電流センサ205が重力補償器に対して閉ループ制御を実施するステップ641、渦電流センサ205が、重力補償器が微動プレート210を所定の位置に移動することを可能とする、計測システムのクローズド制御ループとして機能するステップ642、グレーティングスケールにおける信号がクリアされるステップ643、及び渦電流センサ205による重力補償器の制御が、グレーティングスケールによる垂直モータ203の閉ループ制御に切り替えられるステップ644を有するゼロイング方法も提案される。
【0042】
この方法を用いて、ウエハステージの垂直初期化を迅速に達成することが可能である。
【0043】
第3実施形態
図6は、本発明の第3実施形態に係る垂直位置制御方法を示し、その方法は、渦電流センサ205からのフィードバックに基づく、垂直Z、Rx、及びRy方向における重力補償器202の閉ループ空気圧制御を可能とし、熱出力がなく、インパクトを受けにくい長所を提供する。
【0044】
第3実施形態に係る垂直制御方法は、第2実施形態に係る垂直制御方法とは、コネクタ1、3を相互接続すると(すなわちコントローラの第1のセット)、垂直モータに代えて重力補償器が関与する点で異なる。従って、第3実施形態に係る垂直位置制御方法において、軌道生成器611は、微動プレート210の加速度、速度、及び位置を考慮した軌道を生成する。フィードフォワードコントローラ612は、軌道生成器611からの加速度、速度、及び位置を示す信号に基づいてフィードフォワード力を生成し、それによりフィードフォワード処理の迅速な応答を達成する。フィードバックコントローラ613は、従来型のPIDコントローラとして実装され、所定の位置と実際の位置との間の差を入力として取得し、システムの閉ループの安定性を保つためにフィードバック制御力を規定する。モータアクチュエータデカップリングモジュール618は、論理軸Z、Rx、及びRyに沿った、フォードフォワードコントローラ612及びフィードバックコントローラ613からの力の組み合わせのコンポーネントを、3つの重力補償器202の物理出力に変換する。重力補償器202の出力は、微動プレート210に作用し、それによってZ位置、Rx位置、及びRy位置の変化を生じさせる。計測デカップリングモジュール617は、3つの渦電流センサ205により取得された微動プレート210の絶対位置計測値を、Z、Rx、及びRy論理軸上の微動プレートの位置にデカップリングする。事前に軌道生成器611によって設定された位置と、渦電流センサにより実際に計測された実際の論理軸上の対応する位置との差は、ずれ制御のためにフィードバックコントローラ613の入力として働く。
【0045】
渦電流センサに基づいたモータの制御は、1Hzから20Hzまでの周波数帯において実施可能であり、微動プレートを所定位置に移動させるためだけのものである。グレーティングスケールに基づいたモータの制御は、30Hzから100Hzまでの周波数帯において実施可能である。
【0046】
図7は、対応する垂直ゼロイング方法を示すフローチャートであり、その方法は、渦電流センサが図4に示されるのと同様な態様で重力補償器に対して閉ループ制御を実施するステップ606と、微動プレートの垂直絶対位置が所定の位置に調整され、微動プレートの垂直絶対位置の調整は重力補償器内の圧力を調整することで実施されものであり、それは、熱を生み出すことなく微動プレートに対する衝撃を軽微なものとするものであるステップ607とを含み、ステップ608−610は第1実施形態で説明したステップ603−605と同じである。
【0047】
第1実施形態のそれらを除いて、本実施形態は、更に下記の利点を有する。
圧力の調整により実現される位置調整はすばやく、微動プレートに与える衝撃が軽微であり、熱の発生を生じない。また、渦電流センサを用いたゼロイング方法は、安定したゼロ位値を達成可能である。
【0048】
ここに記述されたのは、単にいくつかの好適な本発明の実施形態であり、それらは、いかなる方法において本発明を限定するためではなく、単に本願発明の主題を説明する目的でのみ提示される。全ての実施形態、及び、論理解析、推論、又は本発明の原理に基いた限られた実験により当業者によって得られる任意の代替的な実施形態は、本発明の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7