(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
自由視点映像配信システム1の概要
図1に、本発明にかかる自由視点映像配信システム1の構成を示す。自由視点映像配信システム1は、配信コンピュータ2と、複数の端末コンピュータ3a〜3nにて構成される。
【0048】
配信コンピュータ2は、各ユーザ端末3a〜3n-1に対して、コンテンツIDが特定された自由視点動画データおよび視聴する視点を変更するための投影特性データ(視点および視点方向)を配信する。
【0049】
各ユーザ端末3a〜3n-1は受信した自由視点動画データおよび投影特性データから、投影動画を生成して表示する。各ユーザが視点および視点方向を変更する切り替え命令を各ユーザ端末に与えると、ユーザ端末3a〜3n-1は、新たな投影動画を生成して表示する。ユーザ端末3a〜3n-1は、この切り替え命令を配信コンピュータ2に送信する。
【0050】
配信コンピュータ2はこの切り替え命令をユーザID毎、コンテンツID毎に記憶する。
【0051】
配信コンピュータ2は同じコンテンツIDの自由視点動画データについて、複数の切り替え命令から、推奨する投影特性データを生成する。ユーザ端末3nからそのコンテンツIDについて、新たな配信要求があると、ユーザ端末3nに、自由視点動画データとともに、推奨する投影特性データを配信する。これにより、ユーザ端末3nのユーザが動画の視点切り替えに不慣れであっても、他のユーザが楽しんでいるのと同様の視点からの投影動画を視聴することができる。
【0052】
機能ブロック図
図2に、自由視点映像配信システム1の機能ブロック図を示す。配信コンピュータ2は、記憶手段4、配信手段5、ユーザ別操作データ受信手段7、ユーザ別操作データ記憶手段6、および推奨表示条件決定手段3を備えている。
【0053】
記憶手段4は、視聴する視点を変更可能な自由視点映像データを複数記憶する。配信手段5は、自由視点映像データのIDを特定した配信要求があると、特定された自由視点映像データを、配信要求したユーザ端末3a〜3nに配信する。
【0054】
ユーザ別操作データ受信手段7、ユーザ別操作データ記憶手段6、および奨表示条件決定手段3については後述する。
【0055】
ユーザ端末3aは、要求手段8、受信手段9、記憶手段10、投影画像生成手段11、表示制御手段12、表示手段13、および投影画像変更手段15を備えている。
【0056】
要求手段8は、配信コンピュータ2に対して自由視点映像データを要求する。受信手段9は配信コンピュータ2から送られてきた自由視点映像データを受信する。記憶手段10は、受け取った自由視点映像データを記憶する。投影画像生成手段11は、視点および視点方向が与えられると、記憶された自由視点映像データから前記視点および視点方向からの特定視点動画データを生成する。表示制御手段12は、前記生成された特定視点動画データを表示手段13に表示させる。
【0057】
投影画像変更手段15は、表示手段13に表示された特定視点動画データについて、ユーザ端末3a〜3nの操作者から投影特性を変更する投影特性変更データが与えられると、この投影特性変更データに基づいて変更された特定視点動画データを投影画像生成手段11に与えるとともに前記投影特性変更データの履歴を、配信コンピュータ2に送信する。
【0058】
配信コンピュータ2のユーザ別操作データ受信手段7は、前記投影特性変更データの履歴をユーザ別操作データとして受信する。ユーザ別操作データ記憶手段6は前記受信したユーザ別操作データを記憶する。推奨表示条件決定手段3は前記複数のユーザ別操作データから特有の傾向を抽出して、それ以降の配信の時の推奨表示条件として決定する。
【0059】
配信手段5は、あるユーザ端末に対して自由視点映像データを配信する場合に、決定した推奨表示条件を前記自由視点映像データとともに配信する。推奨表示条件および前記自由視点映像データを受けとったユーザ端末は、かかる推奨表示条件を投影画像生成手段11に与えて、生成された投影画像は、表示制御手段12により表示手段13に表示される。
【0060】
これにより、各自由視点映像データについて、どの観点で投影画像を表示させると面白いかが分からないユーザであっても、自由視点映像データの特性を生かした表示ができる。また、どの観点で投影画像を表示させると面白いかが分かっているユーザでも、自分では想定してなかった視点または視点方向からの表示が可能となる。
【0061】
なお、ユーザ端末3a以外の他のユーザ端末の機能も同様である。
【0062】
3.ハードウェア構成
3.1 配信コンピュータ2のハードウェア構成
配信コンピュータ2のハードウェア構成について、
図3を用いて説明する。同図は、配信コンピュータ2を、CPUを用いて構成したハードウェア構成の一例である。
【0063】
配信コンピュータ2は、CPU23、メモリ27、ハードディスク26、モニタ30、光学式ドライブ25、入力デバイス28、通信ボード31、およびバスライン29を備えている。CPU23は、ハードディスク26に記憶された各プログラムにしたがいバスライン29を介して、各部を制御する。
【0064】
ハードディスク26は、オペレーティングシステムプログラム26o(以下OSと略す)、メインプログラム26pが記憶される。メインプログラム26pの処理の詳細は後述が、ユーザ端末から動画IDを特定した配信要求を受けると、対応する自由視点動画データを配信する。
【0065】
自由視点動画データ記憶部26dには、複数の自由視点動画が記憶されている。各自由視点動画は、動画データID、再生時間、インデックスワードを有する(図示せず)。
図4に自由視点動画の一例を示す。この例では、XYZ座標系において、1人のダンサーが移動しながら踊っている自由視点動画である。また、視点P1、視点方向θ1、φ1、ズーム無しでの投影画像とするための初期投影条件が付与されている。本実施形態においては、視点方向として、水平角度θおよび仰角φで特定したが他の特定方法であってもよい。
【0066】
ユーザ別操作データ記憶部26uは、
図5に示すようなユーザ別操作データをユーザ毎に、動画ID毎に記憶する。例えば、
図5Bに示すユーザ別操作データは、経過時刻t0における視点はP1、視点方向はθ1、φ1、ズームは無であり、経過時刻t1における視点はP2、視点方向はθ2、φ2、ズームは無・・・と、再生からの経過時間における視点、視点方向およびズームについての履歴が記憶されている。詳しくは後述する。
【0067】
本実施形態においては、オペレーティングシステムプログラム(OS)26oとして、Windows2008R2(登録商標または商標)を採用したが、これに限定されるものではない。
【0068】
なお、上記各プログラムは、光学式ドライブ25を介して、プログラムが記憶されたCD−ROM25aから読み出されてハードディスク26にインストールされたものである。なお、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク(FD)、ICカード等のプログラムをコンピュータ可読の記録媒体から、ハードディスクにインストールさせるようにしてもよい。さらに、通信回線を用いてダウンロードするようにしてもよい。
【0069】
本実施形態においては、プログラムをCD−ROMからハードディスク26にインストールさせることにより、CD−ROMに記憶させたプログラムを間接的にコンピュータに実行させるようにしている。しかし、これに限定されることなく、CD−ROMに記憶させたプログラムを光学式ドライブ25から直接的に実行するようにしてもよい。なお、コンピュータによって、実行可能なプログラムとしては、そのままインストールするだけで直接実行可能なものはもちろん、一旦他の形態等に変換が必要なもの(例えば、データ圧縮されているものを、解凍する等)、さらには、他のモジュール部分と組合して実行可能なものも含む。
【0070】
3.2 ユーザ端末3のハードウェア構成
ユーザ端末3a〜3nのハードウェア構成を
図6に示す。ハードディスク126にはブラウザプログラム126b、操作処理プログラム126pが記憶されている。CPU123がブラウザプログラム126bにより、自由視点映像をモニタ130に表示すると、CPU123は操作処理プログラム126pに基づき、ユーザがおこなった所定の操作を投影変更履歴記憶部126rに記憶し、配信コンピュータ2に送信する。他の構成は一般的なパソコンなどと同じである。なお、ユーザ端末は、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、スマートテレビ、その他の家電製品などであってもよい。
【0071】
また、操作処理プログラム126pは予めハードディスク126に記憶するようにしたが、これは必要なプログラムをブラウザプログラムにプラグイン処理で実行させるようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、ハードディスク126に、ブラウザプログラム126P、操作処理プログラム126p、投影変更履歴記憶部126rが記憶されている場合について説明したが、これらの記憶場所については限定されない。
【0073】
4. フローチャート
(4.1 自由視点動画配信処理)
つぎに、
図7を用いて、自由視点動画配信表示処理について説明する。
【0074】
以下では、この自由視点動画配信システムを初利用するユーザU10111がIDとパスワードで配信サーバ2にログインし、複数の自由視点動画のうちいずれかを選択した以降の処理について説明する。
【0075】
ユーザ端末3nのCPU123は、ユーザから配信要求命令があるか否か判断しており(ステップS201)、配信要求命令があれば、配信要求を配信コンピュータに送信する(ステップS202)。配信コンピュータのCPU23(
図3参照)は、ユーザ端末3nから自由視点動画IDを特定した配信要求があるか否か判断しており(ステップS203)、かかる配信要求があると、ユーザ3nのユーザは推奨を送るべきユーザか否かを判断する(ステップS204)。
【0076】
ここで、ユーザU10111は、この自由視点動画配信システムを初利用するユーザである。したがって、CPU23は、設定を「推奨」とし(ステップS206)、自由視点動画および設定した推奨データを、ユーザ端末3nに配信する(ステップS207)。
【0077】
ここでは、推奨する設定として
図5Cに示す推奨データであったものとする。
【0078】
ユーザ端末3nのCPU123は、自由視点動画を受信するか否か判断しており(ステップS208)、自由視点動画を受信すると前記設定データを用いて、投影処理を行う(ステップS209)。
【0079】
このようにして、自由視点動画IDを複数種類記憶しておき、リスト要求があるとこれをユーザ端末に送信して、ユーザ端末にてリスト表示し、ユーザが選択した特定の自由視点動画を推奨する設定データとともに、ユーザ端末に配信することができる。
【0080】
なお、ステップS204にて、推奨データを送るべきユーザではないと判断した場合には、設定を初期設定とし(ステップS205)、ステップS207の処理の実行する。本実施形態においては、初期設定として、
図5Aの「視点P1、視点方向θ1、φ1、ズーム無し」とした。
【0081】
(4.2 投影表示処理)
ステップS209の投影処理について説明する。ユーザ端末3は、表示画面の再生ボタン(図示せず)が選択されると、配信された自由視点動画データおよび設定データから投影画像を生成して、モニタ130に表示する(
図8ステップS301)。
【0082】
この場合、
図5Cの投影特性データから、二次元投影データが生成される。
図5Cに示す推奨データは、時刻t0にて視点P1、視点方向θ1、φ1での投影画像、時刻t2にて視点P2に移動して、視点方向θ2、φ2での投影画像、時刻t3にて視点P3に移動して視点方向θ3、φ3での投影画像、時刻t4にて視点P4に移動して視点方向θ4、φ4にて投影画像、ズーム2倍、時刻t5にて視点P5に移動して視点方向θ5、φ5、ズーム2倍にて投影するというデータである。この場合、対象の自由視点動画が時間の経過とともに、1名のダンサーが位置を変えつつ、踊る動画だとすると、
図9に示すように、視点および視点方向が切り替わるような投影動画が表示される。
【0083】
なお、自由視点動画からの投影画像の生成については周知の座標変換技術を用いればよい。
【0084】
(4.3 ユーザによる投影変更処理)
ユーザ端末3においては、ユーザが所望の切り替え処理をすることにより、投影画像の変更が可能である。本実施形態においては、「視点」、「視点方向」、および「ズームの有無」を切り替えることにより、投影画像を切り替え表示できるようにした。かかる投影画像の変更について
図11を用いて説明する。
【0085】
ユーザ端末3には投影動画が表示される表示領域の外に、
図11A〜Dの操作ボタンが表示される。
図11Aの操作ボタンは、自由視点動画が投影される二次元平面については変更せずに、画面の表示領域が移動するモード、具体的には、
図9に示すように、ユーザにとっては視点が平行移動するように見えるモード(平行移動モード)である。移動量は、ユーザが入力デバイスにて指定することにより決定される。
【0086】
図11Bの操作ボタンは、自由視点動画が投影される二次元平面が移動するとともに変更するモード、すなわちユーザにとっては自由視点空間における特定軸を中心に視点が回転移動するように見えるモードである。移動量は、ユーザが入力デバイスにて指定することにより決定される。例えば、
図12に示すような視点からの投影動画となる。
【0087】
図11Cの操作ボタンは、画面のズームイン・ズームアウトである。拡大量および縮小量はユーザが入力デバイスにて指定することにより決定される。
図11Dの操作ボタンは、
図13のように画面内のオブジェクトを指定して、単体で回転させるモードである。回転軸は任意に設定可能であり、さらに、回転軸自体も回転させることができる。かかる操作は、もともとの動画には存在しない動きをユーザが望む場合である。
【0088】
自由視点動画の再生中に、各操作ボタンが選択された場合の投影画像の変更について、説明する。以下では、
図5Cの投影条件で再生したユーザが、時刻t2で視点は同じでズームを2倍とし、その後、t3で視点P6、時刻t4で視点P7へ切り替えた場合について説明する。
【0089】
ユーザは、時刻t3にて視点P3に移動して視点方向θ1、φ1にて視点が切り替わった時に、投影変更割り込み処理ボタン(図示せず)を操作する。本実施形態においては、投影変更割り込み処理ボタンとして、マウスの右クリックを割り当てたがどのボタンを割り当てるかは任意である。これより、
図10に示す投影変更割り込み処理が開始する。CPU123は、再生表示を停止し(
図10ステップS311)、前記投影変更割り込み処理ボタンが選択されたタイミングを記憶する(ステップS313)。本実施形態においては、選択されたタイミングは動画再生スタートからの経過時間で記憶するようにしたが、フレーム数などであってもよい。
【0090】
ユーザ端末3の操作者は、
図10Cに示すズームボタンを操作するとともに、ズーム量をユーザ端末3に与える。ここで所望の処理は、ズームだけなので、割り込み処理終了命令を与える。本実施形態においては、かかる割り込みモードで再度、マウスの右クリックが操作された場合に、この割り込み処理終了命令が与えられるとしたが、これに限定されない。
【0091】
CPU123は、かかる終了命令が与えられるか否か判断しており(ステップS315)、かかる命令が与えられると、操作量を記憶する(ステップS317)。この場合、具体的には、時刻t2にて、「ズーム2倍」が記憶される。CPU123は、表示停止を解除し(ステップS319)、投影変更割り込み処理を終了する。
【0092】
これにより動画の再生がされる。つぎに、ユーザは、時刻t3にて、投影変更割り込み処理ボタン(図示せず)を操作する。ユーザは、視点P6、視点方向θ6、φ6、ズーム2倍に投影条件を切り替える。投影変更割り込み処理を終了し、時刻t4にて、同様にして、視点P7、視点方向θ7、φ7、ズーム2倍に投影条件を切り替える。
【0093】
このようにして、ユーザ端末に、
図5Dに示すユーザ別操作データが記憶される。
【0094】
(4.4 投影変更データ送信処理)
図14を用いて、かかる投影変更処理を配信コンピュータに送信する処理について説明する。
【0095】
ユーザ端末のCPU123は、送信条件に合致するか否か判断しており(ステップS402)、送信条件に合致すると、配信コンピュータへ送信する(ステップS403)。本実施形態においては、送信条件として、記憶してからの経過時刻を採用し、CPU123が所定時刻経過した場合にユーザ端末から配信コンピュータへ送信するようにした。かかる送信条件としては、これらに限定されず、当該自由視点動画の視聴終了後や、特定の操作終了後などを採用してもよい。
【0096】
また、配信コンピュータから、送信すべき履歴がないかを問い合わせて、これをユーザ端末が判断するようにしてもよい。
【0097】
配信コンピュータのCPU23は、かかる履歴を受け取ったか否か判断しており(ステップS404)、受信するとこれを、ユーザ別操作データとして記憶する(ステップS405)。
【0098】
配信コンピュータのCPU23は、設定データ生成処理を行う(ステップS406)。
【0099】
なお、ユーザ別操作データは、配信サーバからの推奨のままであった場合には、送信しないようにしてもよい。
【0100】
(4.5 設定データ生成処理)
設定データ生成処理について
図15を用いて説明する。
【0101】
CPU23は、すべてのログを読み出す(
図15ステップS431)。つぎに、動的ユーザ操作属性が合致するログがあるか否か判断する(ステップS433)。
【0102】
動的ユーザ操作属性とは、当該ユーザが過去に行った操作データで特定される属性である。本実施形態においては、1)動的ユーザ操作属性として、視点およびその切り替えタイミングが合致、2)ズームのタイミングが合致、3)複数の視点および視点方向の移動履歴が合致の3つの条件を採用した。しかし、これに限定されず、他の操作データ属性、例えば再生速度変更のボタンをさらに追加し、そのタイミングが合致するかを判断するようにしてもよい。
【0103】
例えば、
図16に示すように、ある自由視点動画データについて、ID0001〜0006のユーザ別操作データがあった場合、ユーザ別操作データID0001、ID0002、ID0003、ID0004、ID0006は、経過時間t1、t2における視点が合致するので、条件1)が合致する。
【0104】
CPU23は、動的ユーザ操作属性が合致したユーザ別操作データのグループ化をおこなう(
図15ステップS435)。ここでは、グループG1としてグループ化されたものとする。
【0105】
このように、グループ化とは、蓄積した複数のユーザ別操作データから共通の特性を有するユーザ別操作データを抽出してグループ化することをいう。
【0106】
CPU23は、かかるグループ化したユーザ別操作データから代表を決定する(ステップS437)。本実施形態においては、代表は合致する共通点について、分布数が多いものとした。かかる演算は、様々な演算手法が可能であるが、本実施形態においては、経過時間、視点座標、視点方向の値、ズームをn次元のベクトルとし、かかるn次元ベクトルの類似性を求めて、一番多いユーザ別操作データを選択するようにした。たとえば、グループG1であれば、ID0004、ID0006が同じであるので、これがグループG1の代表となる。
【0107】
なお、ベクトルの類似性演算手法は、ベクトル間の距離の総和を求めればよい。さらに重み付けをしてもよい。
【0108】
なお、かかる代表は合致する共通点についての平均や、逆に分布数が少ないものとしてもよい。分布数の少ないものとすることにより、変わった視点からの推奨が可能となる。
【0109】
CPU23は、すべてについて検討済みか否か判断し(
図15ステップS439)
以下、同様にして、ユーザ別操作データID0003、ID0005は、経過時間t3、t4におけるズームのタイミングが合致するので、条件2)が合致するので、グループG2として、代表を決定する。ユーザ別操作データID0003、ID0004は、経過時間t1〜t4における視点および視点方向が合致するので、条件3)が合致するグループG3として代表を決定する。
【0110】
ユーザ別操作データID0001、ID0002は、経過時間t1、t2における視点および視点方向が合致するので、条件3)が合致するグループG4として代表を決定する。
【0111】
また、ユーザ別操作データID0002〜ID0005は、経過時間t3、t4における視点および視点方向が合致するので、条件3)が合致するグループG5として代表を決定する。
【0112】
なお、タイミングが合致するとは、完全合致でなくても、多少の違いについては、合致すると判断するようにしてもよい。例えば、タイミングの幅として0.2秒などである。かかる幅は、固定の時間でもよく、また、自由視点動画データの再生時間の何%と決めるようにしてもよい。
【0113】
また、すべてのタイミングにおいて合致していなくても、一部について合致する場合、例えば、1の経過時間tnにおいて視点が合致する場合であってもよい。
【0114】
視点の座標、θおよびφについても同様である。この場合も、自由視点動画データの種類にかかわらず、幅は一律でもよいし、自由視点動画データによって変動させてもよい。このように自由視点動画データによって変動させることにより、自由視点動画データにおける座標範囲が広い場合(サッカー中継等)のように広い場合もあれば、チェス対戦のように自由視点動画データにおける座標範囲が狭い場合もあるからである。
【0115】
また、視点と視点方向は双方が合致する場合でもよいし、いずれか一方だけ、すなわち、視点または視点方向だけ合致するかで判断してもよい。
【0116】
本実施形態においては、グループ化として、動的ユーザ操作属性を採用したが、静的ユーザ属性をさらに加えてもよい。静的ユーザ属性とは、ユーザの静的な属性、例えば、年齢、性別、興味がある事項などである。
【0117】
このように、年齢などの静的属性が似ているユーザ群、視聴によって変化する動的な視聴傾向属性が似ているユーザ群、過去に視聴したコンテンツの属性(例えば、サッカーの試合を好んで観るなど)を採用することにより、傾向が似ているユーザ間の操作履歴を推奨として配信することができる。
【0118】
例えば、特定の野球チームが好きなユーザは、同じ属性を有するユーザ群の行動履歴を参照すればよい。
【0119】
さらに、これらを切り換える際に、時間帯をパラメータとして検出するようにしてもよい。例えば、ある時間帯になると、ある自由視点動画がある視点および視点方向で表示切り換えされる傾向にある場合には、その時間帯になると上記切り換えを行うようにしてもよい。
【0120】
上記実施形態では、1のユーザ別操作データが、複数のグループに属することもある。ただし、かかる複数グループへの所属は任意であり、1のグループだけに所属するようにしてもよい。
【0121】
なお、上記例では、他のユーザの視聴行動を参照にして別のユーザの画面配置を変更するようにしたが、自分自身の視聴操作履歴を参照にして、当該ユーザの画面配置を変更するようにしてもよい。たとえば、サッカーの試合の自由視点動画において、ゴール地点の動画を操作して表示を切り換える頻度をパラメータとして記憶しておき、前記頻度が高いユーザは、サッカーの試合では、そのような画面配置で配信してもよい。この場合、個別の視点に、属性タグを付与しておき、それを参照するようにすればよい。
【0122】
このように、特定のユーザのユーザ端末における二次元投影データを第三者または自分自身のユーザ別操作データから動的に変更することができる。
【0123】
このように、ユーザの視聴行動に基づいて、ユーザ端末にて興味深い自由視点動画配信の画面配置を提案することができる。
【0124】
(4.6 選別処理)
上記実施形態においては、すべてのユーザについて、共通点にてグループ化するようにしたが、中には操作がなれておらず、たまたまそのような操作が合致する場合もある。このようなゴミデータは可能な限り排除することが好ましい。
【0125】
この場合、
図17に示すような対象ユーザを選択する処理を配信サーバで行うことにより、上記ゴミデータを排除することができる。
【0126】
CPU23は、当該ユーザについて記憶されている総ログ数が閾値よりも多いか否か判断する(ステップS501)。本実施形態においては、30未満を閾値としたが、これについては任意である。
【0127】
総ログ数が閾値よりも多い場合には、CPU23は、当該ユーザの個別操作履歴をグループ化の対象とする(ステップS507)。これは、一定数以上の履歴が記憶されているということは、操作に慣れていると判断できるからである。
【0128】
CPU23は、ステップS501で総ログ数が閾値よりも多くないと判断した場合、慣れ特徴操作を含んでいるか否か判断する(ステップS503)。慣れ特徴操作とは、当該操作していると自由視点動画の切り替えに慣れていると判断できる操作であり、本実施形態においては、「動画領域を選択することによる再生停止、さらに、その後の回転操作回数または総回転操作時間が閾値を超えていること」「操作軌道が細切れでないこと」「ズームイン後の操作回数または総操作時間が閾値を超えていること」を採用した。
【0129】
このような慣れ特徴操作を個別操作履歴に含んでいる場合には、グループ化の対象とし(ステップS507)、そうでなければグループ化の対象としない(ステップS505)。
【0130】
なお、かかる慣れ特徴操作は、本システム以外の操作履歴を参照することも可能である。たとえば、3次元CGの操作履歴などをデータベースに記憶しておけばよい。
【0131】
また、本実施形態においては、ステップS501とステップS503のいずれかが該当すると、対象とするようにしたが、双方合致した場合に対象とするようにしてもよい。
【0132】
なお、前記特定の操作は、「動画領域を選択することによる再生停止」「ズームイン」だけであってもよい。
【0133】
5. 第2実施形態
上記実施形態においては、ユーザ端末にて自由視点動画を生成するようにしたが、配信装置に視点切り替えデータを与えて、配信装置にて自由視点動画を生成して、ユーザ端末に送信するようにしてもよい。この場合、自由視点動画配信システムは下記のような構成となる。
【0134】
A)下記を備えた配信コンピュータ、
視聴する視点を変更可能な自由視点映像データを記憶する記憶手段、
視点および視点方向が与えられると、前記自由視点映像データについての前記視点および視点方向からの特定視点動画データを生成する投影画像生成手段、
ユーザ端末に前記特定視点動画データを配信する配信手段、
B)下記を備えたユーザ端末、
前記特定視点動画データを受信する受信手段、
前記特定視点動画データを表示手段に表示させる表示制御手段、
前記表示手段に表示された特定視点動画データについて、ユーザから視点および視点方向の切り替え指示が与えられると、この切り替え指示を前記配信コンピュータに与える投影画像変更手段、
を備え、
C)前記配信コンピュータは、前記切り替え指示の履歴をユーザ別操作データとして受信するユーザ別操作データ受信手段を有しており、前記投影画像生成手段は、前記切り替え指示にもとづいて、新たな特定視点動画データを生成させ、前記配信手段から配信させ、
D)前記配信コンピュータはさらに、下記を有し、
前記受信したユーザ別操作データを記憶するユーザ別操作データ記憶手段、
前記複数のユーザ別操作データから特有の傾向があるユーザ別操作データを、推奨表示条件を生成するための対象ユーザ別操作データとして決定するとともに、前記対象ユーザ別操作データに基づいて代表ユーザ別操作データを決定する推奨表示条件決定手段、
E)前記配信手段は、前記推奨表示条件に基づいて、前記特定視点動画データを配信すること、
を特徴とすると自由視点映像データ配信システム。
【0135】
6.その他の実施形態
本実施形態においては、ズーム処理は必須ではない。
【0136】
また、本実施形態においては、経過時刻tnにおいて、順次、視点および視点方向が変更する場合について説明したが、切り替え後は、動画再生開始からその視点および視点方向で再生してもよい。これは最初からこの条件で投影画像を生成するのかを確認し、ユーザは途中から視点を切り替えるのか、それとも最初から切り替えるのかを選択できるようにすればよい。これにより、視聴の途中で視点および視点方向を変更しなくてもよい。
【0137】
また、本実施形態においては、視点座標および視点方向θ、φを記憶するようにしたが、かかるデータとしては、要はどこからどの方向の投影画像かを特定できればよく、直接または間接に特定できる形式であればどのような形式であってもよい。
【0138】
また、本実施形態においては、1つの推奨視点を供給するようにしたが、1の自由視点動画について、複数の視点からの動画を画面上に表示して、ユーザ端末にてユーザが構成する個別動画の組み合わせを変えられるようにしてもよい。かかる履歴を記憶することにより、自由視点動画の構成をも切り換えることができる。
【0139】
上記実施形態においては、ユーザ端末の処理は、ブラウザプログラムで実行させたが、専用ハードウェアまたはソフトウェアを搭載させることも可能である。
【0140】
また、ユーザ端末はパソコンではなく、携帯端末などであってもよい。
【0141】
上記実施形態においては、
図1に示す機能を実現するために、CPUを用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部若しくはすべてを、ロジック回路等のハードウェアによって実現してもよい。
【0142】
なお、上記プログラムの一部の処理をオペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。
【0143】
また、パラメータを数値化して、n次元ベクトルの類似性を演算するようにしたが、画像の変化を記憶しておき、同相対時刻における静止画像の類似性から判断するようにしてもよい。その際、全体ではなく、特定対象物のみに注目してもよい。例えば、サッカーなどでは、移動するボール、選手などである。
【0144】
なお、本実施形態においては、自由視点画像についてイメージ・ベースド・レンダリングを採用した場合について説明したが、これ以外のデータ構成で、自由視点画像を生成する技術についても同様に適用することができる。例えば、特開2014-056466号公報(US2014071131(A1))に開示されている技術などを採用してもよい。
【0145】
上記においては、本発明を好ましい実施形態として説明したが、各用語は、限定のために用いたのではなく、説明のために用いたものであって、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、添付のクレームの範囲において、変更することができる。