(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236584
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】自動車の開閉パネルの開放方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20171120BHJP
E05B 81/78 20140101ALI20171120BHJP
B60R 25/20 20130101ALI20171120BHJP
【FI】
E05B49/00 L
E05B49/00 J
E05B81/78
B60R25/20
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-529029(P2014-529029)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-530309(P2014-530309A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2012067803
(87)【国際公開番号】WO2013037806
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】1102740
(32)【優先日】2011年9月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506415218
【氏名又は名称】ヴァレオ セキュリテ アビタクル
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック グアン
(72)【発明者】
【氏名】エリック メナール
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/092341(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0296926(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02098671(EP,A1)
【文献】
特開2012−219469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ステップA〜E:
ステップA(1) − 人間の身体の少なくとも一部分の存在が、容量式センサまたは非容量式センサによって検出される;
ステップB(2) − 検出された人間が、認証手段によって、自動車(11)の開錠を許可されている人間として認証される;
ステップC(5) − 前記自動車(11)が停められている地面上への、光パターン(10)の投影によって、仮想スイッチ(14)が形成される;
ステップD(6) − 前記仮想スイッチ(14)を遮るために、前記認証された人間が、自分の足(16)を、あらかじめ定められた運動方向を含む、あらかじめ定められた様態にしたがって配置する;
ステップE(7) − 前記足(16)が、前記あらかじめ定められた様態にしたがって置かれなかった場合には、前記ステップDをやり直すための信号が送られ、前記足(16)が、前記あらかじめ定められた様態にしたがって置かれた場合には、制御手段が、開閉パネル(15)を開放する;
を有し、これらのステップA〜Eを、この順に行う自動車(11)の開閉パネルの開放方法であって、
前記ステップDにおいて、前記あらかじめ定められた運動方向のための案内手段(18)が、前記仮想スイッチ(14)と組み合わされている、自動車(11)の開閉パネルの開放方法。
【請求項2】
前記非容量式センサは、光学センサである、請求項1に記載の開放方法。
【請求項3】
前記ステップDにおける、あらかじめ定められた様態には、
前記あらかじめ定められた運動方向と、
幅,長さ及び高さを含む1セットの寸法、並びに/あるいは幾何学的形状と、
前記制御手段により、前記開閉パネルが開放されるために、前記足(16)が、前記光パターン(10)を遮る期間とが含まれる、請求項1または2に記載の開放方法。
【請求項4】
前記あらかじめ定められた運動方向のための案内手段(18)が、前記仮想スイッチ(14)を中心とする円弧状に形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の開放方法。
【請求項5】
前記あらかじめ定められた運動方向は、前記自動車(11)の開閉パネル(15)によって形成される面と実質的に直交している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の開放方法。
【請求項6】
前記ステップBにおいて、前記認証手段により、時間的に途切れることなく、又はあらかじめ定められた周期で、認証要求が送られる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の開放方法。
【請求項7】
前記ステップEにおける信号は、前記仮想スイッチ(14)の点滅、前記仮想スイッチ(14)の色の変更、前記仮想スイッチ(14)の光パターン(10)から分離されている光パターンの投影、および/または音響信号である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の開放方法。
【請求項8】
前記ステップBにおいて、前記自動車(11)の開錠を許可されている人間すなわちユーザが認証されなかった、前記ステップAおよび前記ステップBの回数と、あらかじめ定められた回数との比較に基づいて、前記検出が行われる検出ゾーンに対する適合化手段が、該検出ゾーンのサイズを適合化する、さらなるステップFを、前記ステップB(2)と前記ステップC(5)との間に含んでいる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の開放方法。
【請求項9】
前記ステップBにおいて前記認証が生じた後、または前記自動車(11)がなんらかの手段によって施錠されるとすぐに、前記検出ゾーンが、初期状態のサイズに一致するサイズに戻るステップGを、さらに含んでいる、請求項8に記載の開放方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の開閉パネルの開放方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を解錠した後、開閉パネルを開放するようになっているスイッチへ、ユーザの手または指を物理的に接触させることにより、自動車の開閉パネルを開放させるようになっている装置は公知である。開閉パネルは、一般的には、トランクドアまたはサイドドアである。
【0003】
しかし、開閉パネルをこのようにして開放するためには、ユーザは、少なくとも片手を空けておかなければならない。一方、ユーザが、両手に何かを持っているとき、またはどちらの手も用いることができないときには、ユーザの手
を用
いることなく、自動車の開閉パネルを開放することができなければならない。
【0004】
この要件を満たすために、センサを用いて、開閉パネルの開放を行うように制御することができる、開閉パネルの開放装置が既に提案されている。
【0005】
センサは、例えば1台または複数のカメラを用いる電気光学センサである。
【0006】
この場合に、人間の存在を検出して、正式に認定されている特定の人間にしか、トランクなどの開閉パネルを開放しないように制御するために、検出された人間の認証を行う必要がある。しかしながら、開閉パネルの開放が許可されたときに、認定されていない人間による、車両内へのいかなる不法侵入も阻止するために、開閉パネルのその開放方法の全てにわたって、その信頼性および有効性を確実にする必要がある。これによって、自動車のセキュリティを確実にすることができる。
【0007】
一例として、トランクを開放しようとしている人間の認証を行って、トランクを開放させるようになっている方法の例が、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0008】
これらの従来技術における検出装置、認証装置、および開閉パネル制御装置の各々は、自動車のバッテリが、自動車の停車中のわずかの間に放電してしまうほどに十分に大きな電力を消費する。
【0009】
それは、これらの装置への電力供給は、自動車のバッテリからなされるからである。自動車のエンジンが停止しているときには、バッテリは、充電されることなく放電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第WO07/006514号公報
【特許文献2】ヨーロッパ特許公開第0770749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、ユーザである人間のどちらの手も要することなく、低消費電力で、その認定されている人間に対してだけ、開閉パネルの開放を、効果的に、かつ信頼性高く許可するようになっている、自動車の開閉パネルの開放方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明は、第一に、
下記ステップ
A〜E:
ステップA − 人間の身体の少なくとも一部分の存在が、容量式センサまたは非容量式センサによって検出される
;
ステップB − 検出された人間が、認証手段によって、自動車の開錠を許可されている人間として認証される
;
ステップC − 自動車が停められている地面上への、光パターンの投影によって、仮想スイッチが形成される
;
ステップD − 仮想スイッチを
遮るために、認証された人間が、自分の足を、
あらかじめ定められた運動方向を含む、あらかじめ定められた様態にしたがって配置する
;
ステップE − 足が、あらかじめ定められた様態にしたがって置かれなかった場合には、ステップDをやり直すための信号が送られ、足が、あらかじめ定められた様態にしたがって置かれた場合には、制御手段が、開閉パネルを開放する
;
を備えており、これらのステップA〜Eを、この順に行う自動車(11)の開閉パネルの開放方法であって、
上記ステップDにおいて、上記あらかじめ定められた運動方向のための案内手段が、上記仮想スイッチと組み合わされている、自動車の開閉パネルの開放方法を提供するものである。
【0013】
本発明の開放方法によると、特に、自動車のエンジンが停止しており、かつバッテリを充電することができないときに、消費電力を非常に低減できるという利点が得られる。さらに、本発明の開放方法は、極めて信頼性が高く、非常に効果的であり、かつ実施が容易である。
【0014】
その理由は、本発明の開放方法が、2つの条件、すなわち人間の検出と、その人間の、認定されている人間であるという認証との両方が満足されたときしか、開閉パネル(トランクまたはサイドドア)の開放を可能にする要素を作動させないという特徴を有しているからである。
【0015】
これによって、光パターンを、地面に常に投影しておく必要はないという利点が得られる。常に投影しておくためには、投影手段に常に電力を供給しておくことが必要である。
【0016】
さらに、開閉パネルの開放は、ユーザの足を、あらかじめ定められた様式で、正しく運動させた後に行われる。これによって、物体または動物によってもたらされる誤検出を認識することができる。本発明においては、ユーザの足は、仮想スイッチである光パターンを不明瞭にするためだけに動かされる。ユーザの足が仮想スイッチの上に置かれて、仮想スイッチを不明瞭にすると、開閉パネルの制御手段は、ユーザの足によるさらなる運動を要することなく、開閉パネルを開放する。言い換えると、仮想スイッチの上へ、足を予期どおりに正しく置かない限り、開閉パネルは開放されない。
【0017】
足が正しく置かれなかった場合には、正しく配置されていないことを示す信号が放射される。上述の開放方法を用いることによって、開閉パネルの開放の動作の全てに対して、その作動時間を最適化し、したがって、投影手段への電力の供給を、トランクなどの開閉パネルを開放する最小期間に限定することができる。
【0018】
さらに、本発明の開放方法は、次の特徴の1つ以上を、単独で、または組み合わせて備えている場合がある。
− 非容量式センサは、光学センサである。
− ステップDにおける、あらかじめ定められた様態には、あらかじめ定められた運動の方向
と、
幅,長さ及び高さを含む1セットの寸法、
並びに/
あるいは幾何学的形状
と、制御手段によ
り、開閉パネル
が開放
されるために、足が光パターンを
遮る期間
とが含まれる。このように定めることによって、木の枝などの突発的に現れる物体によって、仮想スイッチが作動することがないようにすることができる。
−
あらかじめ定められた運動方向のための案内手段を、仮想スイッチ
を中心とする円弧状に形成する。これによって、ユーザを単純かつ効果的に案内することができる。
− あらかじめ定められた運動方向は、自動車の開閉パネルによって形成される平面と実質的に直交している。これによって、ユーザは、開閉パネルに対向し続けることができる。
− ステップB
において、
認証手段により、時間的に途切れることなく、又はあらかじめ定められた周期で、認証要求が送られる。これによって、ステップBを、自動車の状態とは無関係に実行することができる。
− ステップEにおける信号は、仮想スイッチの点滅、仮想スイッチの色の変更、仮想スイッチの光パターンから分離されている光パターンの投影、および/または音響信号である。このようにすることによって、この信号と仮想スイッチとを、ユーザが取り違えるおそれを全くなくすことができる。
− 本発明の開放方法は、ステップBにおいて、自動車の開錠を許可されている人間、すなわちユーザが認証されなかった、ステップAおよびステップBの回数と、あらかじめ定められている回数との比較に基づいて、検出が行われる検出ゾーンに対する適合化手段が、検出ゾーンのサイズを適合化する、さらなるステップFを、ステップBとステップCとの間に有している。この場合には、容量式センサまたは非容量式センサの感度を調整することができ、さらには低下させることができる。
− 本発明の開放方法は、ステップBにおいて認証が生じた後、または自動車がなんらかの手段によって施錠されると、すぐに、検出ゾーンが、初期状態のサイズと一致するサイズに戻るステップGを、さらに含んでいる。この場合には、容量式センサ、または非容量式センサの感度を、初期状態の感度に戻すことができる。初期状態のサイズは、ステップAが始めて実行されるときの検出ゾーンのサイズである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の開放方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図2】本発明の開放方法のステップCの一実施形態における、自動車のトランクの付近の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、例示的かつ非限定的な例として示されている以下の説明を読むことによって、本発明の他の特徴および利点がより明瞭になると思う。
【0021】
図1に示すように、本発明による、自動車の開閉パネルの開放方法は、次のステップを備えている。
ステップA − 人間の身体の少なくとも一部分の存在を、容量式センサまたは非容量式センサによって検出する(符号1)。
ステップB − 検出された人間が、認証手段によって、車両の開錠を許可されている人間として認証されるステップ(符号2)。
ステップC − 自動車が停められている地面上への光パターンの投影によって、仮想スイッチが形成されるステップ(符号5)。
ステップD − 仮想スイッチを不明瞭にするために、認証された人間が、自分の足を、あらかじめ定められた様態にしたがうように配置するステップ(符号6)。
ステップE − 足の運動が、あらかじめ定められた様態にしたがって行われなかった場合には、足の運動をやり直さなければならないことを示す信号が送られ、足の運動が、あらかじめ定められた様態にしたがって行われた場合には、制御手段が、開閉パネルを開放するステップ(符号7)。
【0022】
本発明によれば、ステップAおよびステップBが実行された後でしか、ステップC〜Eは実行されないから、消費電力は低減する。
【0023】
悪意のある人間、物体、または突発的に現れる動物が出現したときの、望ましくない開放に対する防護は、第1に、ステップBを伴う一連のステップによって、第2に、足の運動が全く正確に行われない限り、開閉パネルは開放されないという事実によって強化される。
【0024】
さらに、足の運動が正しくない場合には、直ちにユーザに、すぐに運動をやり直すことができることを示す信号を、簡単で、信頼性高く、かつ効果的に送ることができるため、地面上への光パターンの投影の期間を最適とすることができる。
【0025】
自動車の開閉パネルは、トランク、またはサイドドアの任意のものの1つ、または燃料カバーや充電カバーなど、外部からアクセス可能なカバーである場合がある。
【0026】
本発明の開放方法は、車両の施錠時にも、開錠時にも、実行することができる。また、本発明の開放方法は、自動車のエンジンが停止しているとき、または実質的にゼロの低速度で動作しているときにも実行することができる。
【0027】
本発明の開放方法のステップAにおいて、人間の身体の少なくとも一部分が存在すると、これは、容量式センサまたは非容量式センサによって検出される。
【0028】
容量式センサは、検出ゾーンを構成する電磁界を形成するように、自動車の車体に適切に配置されている1つの電極、または1セットの電極である場合がある。
【0029】
特に、電極(単数または複数の)は、広角の検出ゾーンを生成するように、開放される開閉パネルの近傍に取り付けられる場合がある。これにより、人間が車両に接近してきたときに、広いアプローチ角にわたって、検出を行うことができる。言い換えると、その人間が、容量式センサ(単数または複数の)に十分に向き合っていなくても、その人間を検出することができる。
【0030】
手、頭、または足などのユーザの身体の一部分が、この検出ゾーンに入り込むと、そのことは、電磁界が変化することによって、検出される。
【0031】
これを可能にするために、電極(単数または複数)は、電磁界の変化を座標点情報として読み取る中央ユニットに接続されている。
【0032】
非容量式センサは、フォトトランジスタと組み合わされたランプなどの光学センサである。
【0033】
ステップAが実行されると、すなわち1つの検出が確認されると、ステップBを始めることができる。
【0034】
本発明の開放方法のステップBにおいて、ユーザである人間が、認証手段によって、車両の開錠を許可されている人間として認証される。「認証」は、自動車にアクセスする権利を有する人間として、その人間の有する識別子を、検証し、確認するステップを意味している。
【0035】
認証手段は、ユーザが携行しているか、またはユーザの近くに配置されているトランスポンダである場合がある。このトランスポンダは、アンテナから送信された信号を受信することができる。中央ユニットが、ステップAにおける検出を確認した後にステップBを実行するように、このアンテナは、通常、中央ユニットに接続されている。
【0036】
この中央ユニットは、ステップBとステップCにおいて、同じものであってもよい。
【0037】
ステップBは、永続的に実行される。「永続的」とは、本明細書においては、認証要求が、認証手段の装置によって時間的に途切れることなく、またはあらかじめ定められた周期で、例えば約750msごとに送られることを意味している。したがって、ステップBは、自動車の施錠状態の如何に関わらず実行される。これによる利点は、自動車が施錠されていないときに、誤検出によって、仮想スイッチが作動することを防止することができるということである。
【0038】
ステップBに続く、ステップCにおいて、仮想スイッチを構成する光パターン10が、自動車11の停められている地面上に投影される(
図2を参照)。
【0039】
光パターン10の形状は任意であり、円、足の運動方向を示す矢印、または十字形である場合がある。
【0040】
光パターンは、単一の形状を呈している場合もあれば、複数のスポットからなる形状、例えば一連の円、または矢印からなっている場合もある。
【0041】
光パターンは、いかなる色であってもよく、特に、地面上(特に市街地の地面上、または道路の表面上)ではっきりと見えるように、緑色または赤色を呈している場合がある。
【0042】
投影手段が、このような光パターンを投影することができる。この投影手段は、光パターンを形成するための光ビーム12を発生させるレーザ、および/または1つ以上のダイオードを有している場合がある。足の運動が、あらかじめ定められた様態にしたがってなされたか否かを、また開閉パネルを開放してもよいか否かを定めることができるように、この投影手段は、中央ユニットに接続されている。このときに用いられる中央ユニットは、ステップBおよびCにおいて用いられる中央ユニットである場合があってもよい。
【0043】
投影手段は、仮想スイッチ、すなわち光パターン10の不明瞭化によって生じるいかなる光の変化をも検出するように構成されている1個以上の光学センサを有している場合がある。
【0044】
図2の実施形態においては、投影手段13、特に光学センサは、トランク
の開閉パネル15の開放を可能とするように、自動車の後方に向けて配置されている。
【0045】
この光学センサは、あらかじめ定められた寸法、およびあらかじめ定められた幾何学的形状に基づいて、光パターンを不明瞭にしている物体の形状に、足16の形状が含まれているか否かを定めることができる。
【0046】
あらかじめ定められた寸法としては、例えば幅が5〜12cm、長さが25〜35cm、高さが1〜15cmである。
【0047】
したがって、これらの範囲内にある幅、長さ、および高さ、並びに適切な形状を有する物体は、足であると判断される。
【0048】
さらに、光パターンの不明瞭化は、あらかじめ定められた期間、続かなければならない。一例として、この期間は、50〜500msの範囲である。
【0049】
この期間を定めることの利点は、認定されている人間が、仮想スイッチ上に自分の足を置く前に、ほんのわずかの間出現して、光パターンを不明瞭にする物体または小動物が侵入しても、制御手段が作動しないようにすることができるということである。
【0050】
本発明の開放方法は、ステップBとステップCとの間に、ステップBにおいてユーザが認証されなかった、ステップAおよびステップBの回数と、あらかじめ定められた回数との比較に基づいて、検出ゾーンに対する適合化手段が、検出ゾーンのサイズを適合化する、さらなるステップF(符号3)を含んでいることが好ましい。このステップFを含ませることの利点は、容量式センサまたは非容量式センサの感度、したがって検出の感度を調整することができるということである。
【0051】
したがって、検出ゾーンのサイズを縮小することが可能である。サイズの縮小によって、検出感度を低下させ、無効な検出の数を低減させることができる。このような検出感度の低下によって、自動車が、多くの通行人が通り過ぎる場所に停められているとき(検出感度の低下がなければ、ステップAにおいて、多数回の無効な検出がなされる)に、ステップB〜Fが実行されなくなるから、消費電力は低下する。
【0052】
したがって、消費電力は、有効な検出に必要な消費電力量まで低下するという、さらなる利点が得られる。この例では、認定されていない人が通行するのを検出することが避けられる。
【0053】
このような通行人の検出を行わせないために、例えば、ステップAにおいて、10回の検出がなされたにもかかわらず、ステップBにおいて、認定されている人間の認証がなかった場合に、感度を25%だけ低下させる場合がある。
【0054】
本発明の開放方法においては、さらに、ステップBにおいて、認定されている人間の認証が生じた後、または自動車がなんらかの手段によって施錠されるとすぐに、検出ゾーンが、初期状態のサイズと一致するサイズに戻るステップG(符号4)を含んでいる場合がある。これにより、容量式センサまたは非容量式センサの検出感度を、自動車の周囲環境に適合させた後に、初期状態の検出感度に戻すことが可能である。初期状態のサイズは、ステップAがはじめて実行されるときの、検出ゾーンのサイズである。
【0055】
このようにすることは、自動車が、多くの通行人が存在する地帯に停められておらず、通行人の存在しない駐車場にあるときに有利である。
【0056】
これにより、ステップBにおいて認証がなされたとき、または自動車の施錠状態が変更されたときに、検出感度は、最適感度レベル(通常、初期状態の感度レベル)に設定し直される。
【0057】
本発明の開放方法のステップDにおいて、認証された人間は、あらかじめ定められた様態にしたがって、仮想スイッチを不明瞭にするように、自分の足を置く。
【0058】
あらかじめ定められた様態には、足の運動方向、1セットの寸法、および/または幾何学的形状、および足が光パターンを不明瞭にしている期間が含まれることがある。このように定めることの利点は、木の枝などの突発的に出現する物体が、仮想スイッチを作動させないようにすることができることである。あらかじめ定められた様態を、特に、中央ユニットに接続されている上述の投影手段に応じて調整することができる。
【0059】
足16の運動方向に対する案内手段18が、仮想スイッチ、すなわち光パターン10に組み合わされる場合がある。この場合には、認証された人間、すなわちユーザは、単純かつ効果的に案内される。案内手段は、仮想スイッチを中心として、足を運動させるべき方向を明確に示すいかなる形状を呈していてもよい。例えば
図2に示すように、案内手段は、仮想スイッチ14を中心とする円弧を表す。そのような円弧を表すために、
図2に示すように、仮想スイッチを囲む、複数の光の円などの光パターン20を発生させるための補助投影手段を組み合わせることができる。
【0060】
光学センサは、物体または足による、光ビームの遮蔽に起因するいかなる光度変化も検出することができる。光学センサは、通常、足の運動が正しく行なわれていないことを認識して、開閉パネルの開放を起こさせないようにすることができる中央ユニットに接続されている。
【0061】
足の運動方向は、自動車の開閉パネルによって形成されている面と概ね直交している場合がある。この場合には、ユーザは、開閉パネルから適度な距離を置いて、開閉パネルに対向し続けることができる。したがって、ユーザは、開閉パネルが開放されるときに、負傷することがなく、また開閉パネルの開放を可能にするために動く必要がない。
【0062】
光パターン20を発生させる補助投影手段には、人間にとって不可視領域の波長を用いることが好ましい。これによって、用いられる光ビームを不可視にすることができる。したがって、見た目がすっきりとし、ユーザによる取り違えを低減させることができる。
【0063】
本発明の開放方法のステップEにおいて、足の運動が、あらかじめ定められた様態にしたがって行われなかった場合には、足の運動を再度行わなければならないことを告げる信号が送られ、足の運動が、あらかじめ定められた様態にしたがって行われた場合には、制御手段が開閉パネルを開放する。
【0064】
言い換えると、足が、あらかじめ定められた様態にしたがって配置されなかった場合には、ステップDをやり直すための信号が送られる。足が、あらかじめ定められた様態にしたがって配置された場合には、制御手段が開閉パネルを開放する。
【0065】
上述のように、開閉パネル(この例においてはトランク)
15の開放動作は、光パターン
10が一定の期間、足の特定の配置によって不明瞭になった後に実行される。足の運動は、光パターン
10を不明瞭にするように仮想スイッチ
14上に足を配置するのに役立つ。ステップDをやり直す必要があると分かった場合には、認証された人間は、自分の足を、あらかじめ定められた期間、正しい位置に配置し直すように動かさなければならない。その人間は、送られてきた信号を受けて、足を配置し直す必要がある旨を知ることとなる。
【0066】
この信号は、仮想スイッチの点滅、仮想スイッチの色の変更、仮想スイッチから分離している光パターンの投影、および/またはユーザによる、この信号と仮想スイッチとの間のいかなる取り違えも避けることができる音響信号である場合がある。
【符号の説明】
【0067】
10 光パターン
11 自動車
12 光ビーム
13 投影手段
14 仮想スイッチ
15
開閉パネル
16 足
18 案内手段
20 光パターン