特許第6236591号(P6236591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236591高ピーク電流特性の負荷を受けることができる電源変換回路
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236591
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】高ピーク電流特性の負荷を受けることができる電源変換回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20171120BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20171120BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20171120BHJP
   G06F 1/30 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H02M3/00 B
   H02M3/00 K
   H02J7/00 B
   H02J7/34 Z
   G06F1/30 Z
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-138123(P2015-138123)
(22)【出願日】2015年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-21857(P2016-21857A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】103124082
(32)【優先日】2014年7月14日
(33)【優先権主張国】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517271588
【氏名又は名称】宸定科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SIM Power Technology Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】李東昇
(72)【発明者】
【氏名】林光峯
(72)【発明者】
【氏名】林家▲輝▼
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−280634(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/131880(WO,A1)
【文献】 特開2002−315228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
G06F 1/30
H02J 7/00
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と少なくとも1つのピーク電流負荷特性を備える装置との間に接続される電源変換回路であって、該電源変換回路は、
昇圧回路であり、該昇圧回路の入力端が該外部電源に電気接続され、且つ該昇圧回路の出力端が該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される昇圧回路と、
制御回路であり、該制御回路が該昇圧回路と並列され、該制御回路は、該外部電源の出力電圧をセンシングすることに適用され、該制御回路中に第1電圧所定値と電流所定値を有する制御回路と、
充電回路であり、該充電回路の入力端が該昇圧回路の出力端に接続される充電回路と、
放電回路であり、且つ該放電回路の出力端が該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される放電回路と、
エネルギー蓄積素子であり、該エネルギー蓄積素子の出力端が該放電回路の入力端及び該充電回路の出力端に接続されるエネルギー蓄積素子と、
を含み、そのうち、該外部電源の出力電流が該電流所定値よりも大きいか、該外部電源の出力電圧が該第1電圧所定値よりも小さい時、該制御回路が該昇圧回路の出力電圧を該エネルギー蓄積素子の出力電圧より小さくなるまで降下させる電源変換回路。
【請求項2】
更に、第1スイッチング素子を含み、該第1スイッチング素子の入力端は、該外部電源に接続され、且つ該第1スイッチング素子は、該放電回路の該入力端及び該充電回路の該出力端に接続され、そのうち、該外部電源の出力電圧が0である時、該第1スイッチング素子がオフを呈し、該外部電源が電圧を電源変換回路に入力する時、該第1スイッチング素子がオンを呈する請求項1に記載の電源変換回路。
【請求項3】
更に、少なくとも1つのスイッチング回路モジュールを含み、該スイッチング回路モジュールは、第2スイッチング素子と監視回路を含み、そのうち、該第2スイッチング素子は、該昇圧回路と該ピーク電流負荷特性を備える装置との間に電気接続され、且つ該監視回路は、該昇圧回路と第2スイッチング素子との間に電気接続され、該昇圧回路の出力電圧が第2電圧所定値を超える時、該第2スイッチング素子がオンを呈する請求項1に記載の電源変換回路。
【請求項4】
前記監視回路は、所定時間を設定し、該電源変換回路は、外部電源の電源供給を受けた後に該所定時間を経て、該第2スイッチング素子をオンにする請求項3に記載の電源変換回路。
【請求項5】
外部電源と少なくとも1つのピーク電流負荷特性を備える装置との間に接続される電源変換回路であって、該電源変換回路は、
昇圧回路であり、該昇圧回路の入力端が該外部電源に電気接続され、且つ該昇圧回路の出力端が該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される昇圧回路と、
制御回路であり、該制御回路が該昇圧回路と並列され、該制御回路は、該外部電源の出力電圧をセンシングすることに適用され、該制御回路中に第1電圧所定値と電流所定値を有する制御回路と、
充電回路であり、該充電回路の入力端が該昇圧回路の出力端に接続される充電回路と、
放電回路であり、且つ該放電回路の出力端が該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される放電回路と、
エネルギー蓄積素子であり、該エネルギー蓄積素子の出力端が該放電回路の入力端及び該充電回路の出力端に接続されるエネルギー蓄積素子と、
降圧回路であり、該降圧回路の入力端が該昇圧回路の出力端に接続され、且つ該降圧回路の出力端が該ピーク電流負荷特性を備える装置に接続される降圧回路と、
を含み、そのうち、該外部電源の出力電流が該電流所定値よりも大きいか、該外部電源の出力電圧が該第1電圧所定値よりも小さい時、該制御回路が該昇圧回路の出力電圧を該エネルギー蓄積素子の出力電圧より小さくなるまで降下させる電源変換回路。
【請求項6】
更に、第1スイッチング素子を含み、該第1スイッチング素子の入力端は、該外部電源に接続され、且つ該第1スイッチング素子は、該放電回路の該入力端及び該充電回路の該出力端に接続され、そのうち、該外部電源の出力電圧が0である時、該第1スイッチング素子がオフを呈し、該外部電源が電圧を電源変換回路に入力する時、該第1スイッチング素子がオンを呈する請求項5に記載の電源変換回路。
【請求項7】
更に、少なくとも1つのスイッチング回路モジュールを含み、該スイッチング回路モジュールは、第2スイッチング素子と監視回路を含み、そのうち、該第2スイッチング素子は、該昇圧回路と該ピーク電流負荷特性を備える装置との間に電気接続され、且つ該監視回路は、該昇圧回路と第2スイッチング素子との間に電気接続され、該昇圧回路の出力電圧が第2電圧所定値を超える時、該第2スイッチング素子がオンを呈する請求項5に記載の電源変換回路。
【請求項8】
前記監視回路は、所定時間を設定し、該電源変換回路は、外部電源の電源供給を受けた後に該所定時間を経て、該第2スイッチング素子をオンにする請求項に記載の電源変換回路。
【請求項9】
前記放電回路がダイオード又はスイッチを有する放電回路である請求項1又は請求項5に記載の電源変換回路。
【請求項10】
前記充電回路が定電圧電流充電モードで該エネルギー蓄積素子を充電する請求項1又は請求項5に記載の電源変換回路。
【請求項11】
更に、電流センサを含み、該電流センサは、該外部電源と該昇圧回路の間に接続され、該電流センサは、該外部電源の出力電流をセンシングすることに適用される請求項1又は請求項5に記載の電源変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源変換回路に関し、特に、高ピーク負荷特性を備える装置に用いる電源変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク(Hard Disk)は、現在の様々なタイプのコンピュータの非常に重要なデータストレージキャリアであり、科学技術の発展に伴ってハードディスクの容量も日増しに高くなっている。ハードディスクは、光ディスクに比較し、大容量であり、且つ伝送に便利であるという利点を有するので、モバイルハードディスクは、現在非常によく見られる装置となっている。
【0003】
モバイルハードディスク中の3.5インチのハードディスクは、容量が大きく、耐久性が良好であるので、多くの愛用者がいる。しかしながら、3.5インチのハードディスクは、体積が比較的大きく且つ電力を消費し、USBコネクタの5Vの電圧以外に更に約12Vの電圧を別途入力してモータを起動する必要があり、そうして初めて3.5インチのハードディスクが動作することができる。従って、多くの3.5インチのモバイルハードディスクは、何れも別途電源供給器を携帯して電源を供給する必要があり、使用者の携帯に不便になっている。また、USBコネクタが比較的高い電流を出力してモータを駆動する時、USBコネクタの出力電圧が低下し、この時、出力電流がモータの駆動に足りているが、出力電圧がモバイルハードディスク中の起動回路を起動するのに不十分である可能性があり、モバイルハードディスクが依然として正常運転できなくなりえる。
【0004】
上記の問題を解決する為、専利出願第101135837号は、外殻の内部に1つのバッテリを加え、且つバッテリによりハードディスクの起動の瞬間に要するエネルギーを供給するというソリューションを提示している。この方法は、3.5インチのモバイルハードディスクが別途電源供給器を使用する必要がないようにすることができるが、1つの容量及び体積が大きく、内部抵抗が低い特性を備えるバッテリを必要とし、この種のバッテリのコストは比較的高くなっている。
【0005】
従って、如何に3.5インチのハードディスクにただUSBの5Vのみを使用させて別途外付け電源を必要としないようにし、且つ比較的低いコストで起動可能にするかは、当業者が検討すべきことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高ピーク電流負荷特性を備える装置に取り付ける電源変換回路であり、該電源変換回路がより大きな入力電源を必要とせずに高ピーク電流負荷特性を備える該装置を起動させる電源変換回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的及びその他の目的に基づき、本発明が提供する電源変換回路は、外部電源と少なくとも1つのピーク電流負荷特性を備える装置との間に接続され、電源変換回路は、昇圧回路、制御回路、エネルギー蓄積素子、充電回路、及び放電回路を含む。昇圧回路の入力端は、外部電源に接続され、且つ昇圧回路の出力端は、該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される。制御回路は、該昇圧回路と並列され、該制御回路は、該外部電源の出力電圧をセンシングすることに適用され、該制御回路は、第1電圧所定値及び電流所定値を有する。充電回路の入力端は、昇圧回路の出力端に電気接続される。放電回路の出力端は、ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される。エネルギー蓄積素子の出力端は、放電回路の入力端及び該充電回路の出力端に接続される。そのうち、該外部電源の出力電流が該電流所定値よりも大きいか、該外部電源の出力電圧が該電圧所定値よりも小さい時、該制御回路は、該昇圧回路の出力電圧を該エネルギー蓄積素子の出力電圧より小さくなるまで降下させる。電源変換器が、出力電力を制限する場合、負荷が瞬間的に必要とするエネルギー量の不足は、エネルギー蓄積素子により補充供給される。
【0008】
上記の電源変換回路は、第1スイッチング素子を更に含み、第1スイッチング素子の入力端は、外部電源に接続される。エネルギー蓄積素子の出力端は、第1スイッチング素子に接続される。充電回路の入力端は、昇圧回路の出力端に接続され、且つ充電回路の出力端は、第1スイッチング素子に接続される。放電回路の入力端は、第1スイッチング素子に接続され、且つ放電回路の出力端は、ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される。そのうち、外部電源の出力電圧が0である時、第1スイッチング素子は、オフを呈し、外部電源が電源変換回路に電圧を入力する時、第1スイッチング素子がオンを呈する。
【0009】
上記の電源変換回路は、更に、少なくとも1つのスイッチング回路モジュールを含み、スイッチング回路モジュールは、第2スイッチング素子及び監視回路を含み、そのうち、第2スイッチング素子は、昇圧回路及びピーク電流負荷特性を備える装置の間に電気接続され、且つ監視回路は、昇圧回路と第2スイッチング素子との間を電気接続され、昇圧回路の出力電圧が第2電圧所定値を超える時、第2スイッチング素子がオンを呈する。
【0010】
上記の電源変換回路は、そのうち、監視回路が所定時間を設定し、電源変換回路が外部電源の電源供給を受けた後に所定時間を経過し、第2スイッチング素子がオンとなる。
【0011】
本発明が更に提供する電源変換回路は、外部電源と少なくとも1つのピーク電流負荷特性を備える装置との間に接続され、該電源変換回路は、電流センサ、昇圧回路、制御回路、充電回路、放電回路、エネルギー蓄積素子及び降圧回路を含む。電流センサは、外部電源の出力端に接続され、外部電源の出力電流をセンシングすることに適用される。昇圧回路の入力端は、外部電源に接続され、且昇圧回路の出力端は、該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される。制御回路は、該電流センサと接続され、該昇圧回路と並列され、該制御回路は、該外部電源の出力電圧をセンシングすることに適用され、該制御回路は、第1電圧所定値及び電流所定値を有する。充電回路の入力端は、昇圧回路の出力端に接続される。放電回路の出力端は、ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される。エネルギー蓄積素子の出力端は、放電回路の入力端及び該充電回路の出力端に接続される。降圧回路の入力端は、該昇圧回路の出力端に接続され、且つ該降圧回路の出力端は、該ピーク電流負荷特性を備える装置に電気接続される。そのうち、該外部電源の出力電流が該電流所定値より大きいか、該外部電源の出力電圧が該電圧所定値より小さい時、該制御回路は、該昇圧回路の出力電圧を該エネルギー蓄積素子の出力電圧より小さくなるまで降下させる。
【0012】
上記の電源変換回路は、更に、第1スイッチング素子を含み、該第1スイッチング素子の入力端は、該外部電源に接続され、且つ該第1スイッチング素子は、該放電回路の該入力端及び該充電回路の該出力端に接続され、そのうち、該外部電源の出力電圧が0である時、該第1スイッチング素子がオフを呈し、該外部電源が該電源変換回路に電圧を入力する時、該第1スイッチング素子がオンを呈する。
【0013】
上記の電源変換回路は、更に、少なくとも1つのスイッチング回路モジュールを含み、該スイッチング回路モジュールは、第2スイッチング素子と監視回路を含み、そのうち、該第2スイッチング素子は、該昇圧回路と該ピーク電流負荷特性を備える装置との間に電気接続され、且つ該監視回路は、該昇圧回路と該第2スイッチング素子との間に電気接続され、該昇圧回路の出力電圧は、第2電圧所定値を有し、該第2スイッチング素子は、オンを呈する。
【0014】
上記の電源変換回路は、そのうち、該監視回路が更に所定時間を設定することができ、該電源変換回路が該外部電源の電源供給を受けた後、該電源供給後該所定時間を経て、該第2スイッチング素子がオンとなる。
【0015】
上記の電源変換回路は、更に、電流センサを含み、該電流センサは、該外部電源及び該昇圧回路の間に接続され、該電流センサは、該外部電源の出力電流をセンシングすることに適用される。
【0016】
上記の電源変換回路は、そのうち、該放電回路がダイオード又はスイッチを有する放電回路である。
【0017】
上記の電源変換回路は、そのうち、該充電回路が定電圧電流充電モードで該エネルギー蓄積素子を充電する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電源変換回路は、高ピーク電流負荷特性を備える装置に取り付ける電源変換回路であり、該電源変換回路がより大きな入力電源を必要とせずに高ピーク電流負荷特性を備える該装置を起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明の電源変換回路の説明図である。
図1B】エネルギー補償モジュールの細部構造図である。
図1C】開閉回路モジュールの細部構造図である。
図1D】電源変換回路を装置制御回路を備えないピーク電流負荷特性を備える装置に応用した説明図である。
図2】本発明の第2実施例の図である。
図3A】本発明の第3実施例の図である。
図3B】本発明の第4実施例の図である。
図3C】本発明の第5実施例の図である。
図4】本発明の第6実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本考案の上記特徴及び利点を更に分かり易くする為、以下に好適実施例を挙げ、図面に合わせて、詳細を説明する。
【0021】
図1Aを参照し、図1Aが示すのは、本発明の電源変換回路10の説明図である。電源変換回路10は、外部電源20とピーク電流負荷特性を備える装置30との間に接続される。外部電源20は、例えば、パソコンのUSB出力端であり、電圧5Vの電源を提供する。一般的に、USB出力端は、1つの標準出力電圧の範囲と出力電流の規定を有するが、USBが出力可能な電流は、規定値よりも相当高いが、電流の増加に伴って、出力電圧も低下する。例えば、USB3.0の標準規定は、4.75V〜5.25V/ 0.9aであるが、実際のUSB3.0が提供可能な電流は、0.9Aを大きく超過し、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、本実施例では、例えば、3.5インチモバイルハードディスクである。従って、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、モータ31及び装置制御回路32を有し、モータ31は、電源変換回路10と接続し、装置制御回路32は、外部電源20と接続し、モータ31が12Vの入力電圧を受けると同時に、装置制御回路32も5Vの入力電圧を受ける必要があり(即ち、USB出力端から提供される)、そうして初めてピーク電流負荷特性を備える装置30が起動できる。
【0022】
電源変換回路10は、昇圧回路11、制御回路12、電流センサ121、エネルギー補償モジュール14を含む。電流センサ121は、外部電源20の出力端に接続され、電流センサ121は、外部電源20の出力電流をセンシングすることに適用される。昇圧回路11の入力端は、電流センサ121に接続され、昇圧回路11の出力端は、ピーク電流負荷特性を備える装置30中のモータ31に接続される。外部電源20が出力する5Vの電圧は、昇圧回路11を経て12V〜12.6Vの間の電圧に昇圧され、モータ31が必要とする12Vの電圧に対応する。
【0023】
図1Bを参照し、図1Bが示すのは、エネルギー補償モジュール14の細部構造図であり、エネルギー補償モジュール14は、エネルギー蓄積素子141、第1スイッチング素子142、放電回路143、及び充電回路144を設ける。エネルギー蓄積素子141は、例えば、リチウム電池又はコンデンサ組の電圧12.6Vを出力可能な電源である。エネルギー蓄積素子141は、第1スイッチング素子142に接続され、外部電源20の電圧源が電源変換回路10に入力される時、第1スイッチング素子142は、オン状態を呈し、反対に、外部電源20の電圧が0である時、第1スイッチング素子142は、オフ状態を呈する。従って、外部電源20が給電していない時、第1スイッチング素子142は、オフを呈し、エネルギー蓄積素子141が蓄積するエネルギーが回路中に漏電して消耗し尽くされることを回避することができる。
【0024】
外部電源20が電圧を電源変換回路10に入力すると、第1スイッチング素子142がオンになり、エネルギー蓄積素子141に正常に充放電させることができる。放電回路143の入力端は、第1スイッチング素子142に接続され、出力端は、昇圧回路11の出力端に接続される。充電回路144の入力端は、昇圧回路11の出力端に接続され、充電回路144の出力端は、第1スイッチング素子142に接続される。そのうち、放電回路143は、単方向遮断回路であり、昇圧回路11の出力端電圧は、エネルギー蓄積素子141の電圧よりも大きい時、放電回路143は、オンとならず、エネルギー蓄積素子141は、充電回路144によって充電することができ、放電回路143の単方向遮断回路は、多種の設計方式があり、例えば、ダイオード(図1B参照)又はスイッチを有する放電制御回路等である。充電回路144は、定電圧定電流充電モードでエネルギー蓄積素子141に対して充電し、充電回路144は、多種の設計方式があり、例えば、制限抵抗又はリニアレギュレータ等の方式である。前記放電回路143及び充電回路144の設計方式は、説明例であり、これに制限するものではなく、当業者は、実際の必要に応じて充電回路143と充電回路144の設計方式を調整することができる。
【0025】
放電回路143及び充電回路144をそれぞれ独立した回路に設計する理由は、ただ1つの制限抵抗を充放電回路として採用しただけであれば、エネルギー蓄積素子141の充電及び放電の効率は、厳重な制限を受けるからである。例えば、抵抗値が比較的小さい制限抵抗を採用する場合、エネルギー蓄積素子141は、迅速に放電できるが、充電速度も速く、エネルギー蓄積素子141の寿命に影響を及ぼし、昇圧回路11の出力電流を増加させ、ピーク電流負荷特性を備える装置30の動作に提供可能な電流を制限する。比較的大きな制限抵抗を採用し、充電電流の低下を試みる場合、放電電流も低下して電源変換回路10が提供可能なピーク電流の能力を限縮する。従って、本発明は、放電回路143及び充電回路144をそれぞれ設計し、エネルギー蓄積素子141をピーク電流が必要な瞬間に急速に放電するように設定し、昇圧回路11の出力電圧を支援し、通常の運転では、ゆっくりと安定した充電を行い、エネルギー蓄積素子131の使用寿命を確保できるようにさせる。
【0026】
電源変換回路10の部材関係の説明は、以上であり、以下に電源変換回路10の動作方式を説明する。外部電源20は、5Vの電圧を電源変換回路10に入力し、それぞれ昇圧回路11と第1スイッチング素子142に入力する。第1スイッチング素子142が外部電源20の出力する5Vの電圧を受ける時、オン状態を呈し、エネルギー蓄積素子141を放電回路143及び充電回路144と接続させる。同時に、昇圧回路11が外部電源の5Vの電圧を12〜12.6Vまで昇圧し、昇圧回路11の出力端から12〜12.6Vの電圧を出力する。
【0027】
制御回路12は、電流センサ121と接続され、昇圧回路11と並列して設置され、且つ制御回路12は、電源変換回路10の入力電流、入力電圧又は昇圧回路11の出力電流を制御する原理によって昇圧回路11の出力電圧を制御するものであり、一方で昇圧回路11が、動作電力が大き過ぎて損傷を受けることがないように保護することができる。制御回路12は、電流センサ121によって外部電源20の出力電流をセンシングし、且つ制御回路12は、外部電源20の出力電圧(即ち、昇圧回路11の入力電圧)をセンシングすることに適用され、制御回路12中には、電流所定値と第1電圧所定値を設定する。外部電源20の出力電流が該電流所定値よりも大きいか、外部電源20の出力電圧が該第1電圧所定値よりも小さい時、制御回路12は、昇圧回路11の出力電圧を下げ、昇圧回路11の出力電圧をエネルギー蓄積素子141の出力電圧より小さくなるまで降下させる。上記の電源変換回路10の入力電流、入力電圧又は昇圧回路11の出力電流を制限する設計原理によってより多くの異なる組み合わせに拡張することができ、例えば、電源変換回路10の入力電流及び入力電圧を同時にセンシングし、制限を行うか、ただ出力電流のみを制限する方法を採用することができ、当業者は、実際の要求に応じて入力電力を制限する組み合わせ方式を調整することができる。
【0028】
幾つかの実施例においては、ピーク電流負荷特性を備える装置30のモータ31が起動の瞬間に必要な電流が比較的大きく、電源変換回路10の出力電流も応じて高くなり、USB端からの入力電圧(即ち、外部電源20の出力電圧)は、電流の増加によって徐々に低下し、外部電源20の出力電圧がピーク電流負荷特性を備える装置30の装置制御回路32を駆動するのに不十分である場合、モータ31が回転できるにもかかわらず、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、依然としてUSB端から入力電圧が過度に低いことにより、装置制御回路32が駆動できなくなり、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、正常動作することができない。外部電源20の出力電圧が第1電圧所定値よりも低くなるか、外部電源20の出力電流が電流所定値よりも大きくなる時、制御回路12は、即座に昇圧回路11の出力電圧を急速低下させ、これにより、電源変換回路10の出力電力が一定範囲内に制限され、電源変換回路10の入力電圧が該第1電圧所定値より低くならないか、電源変換回路10の入力電流が該電流所定値より大きくならず、最大の入力電流の制御及び最低入力電圧の制御の目的を達成する。昇圧回路11の出力電圧がエネルギー蓄積素子141の出力電圧より小さくなるまで低下する時、放電回路143は、オンとなり、エネルギー蓄積素子141が放電を開始し、昇圧回路11及びエネルギー蓄積素子141は、ピーク電流負荷特性を備える装置30に対して共同で電流を出力することができ、ピーク電流負荷特性を備える装置30のモータ31を円滑に起動させることができ、同時に十分な出力電圧を提供し装置制御回路32を駆動できるように確保し、ピーク電流負荷特性を備える装置30を正常動作可能にさせる。電源変換回路10の最大の入力電流を制御することによって、外部電源20を保護することができ、外部電源20が、出力電流が大き過ぎることにより過電流保護状態に入って電源供給を停止することを回避する。最低入力電圧を制限れば、装置制御回路32(ピーク電流負荷特性を備える装置30)が正常動作できるように更に確保することができる。
【0029】
続いて、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、プログラムの起動から徐々に安定した運転に入り、モータ31が必要な電流は、徐々に低下し、電源変換回路10の入力電圧及び入力電流も徐々に制御回路12の第1電圧所定値及び電流所定値から離れ、制御回路12は、昇圧回路11が元々所定の出力電圧値12〜12.6Vを回復する。この時、昇圧回路11の出力電圧は、常態的にエネルギー蓄積素子141の電圧よりも大きくなり、放電回路143両端に逆バイアスを発生させ、放電回路143は、オンとならず、昇圧回路11の出力電圧は、モータ31に入力し、それを安定運転させ、同時に昇圧回路11の出力電圧は、充電回路144によってエネルギー蓄積素子141に対して充電を行う。
【0030】
図1C及び図1Dを参照し、図1Cが示すのは、スイッチング回路モジュール13の細部構造図である。図1Dが示すのは、電源変換回路10を、装置制御回路32を備えないピーク電流負荷特性を備える装置33に応用した説明図である。上記実施例中のピーク電流負荷特性を備える装置30は、3.5インチのモバイルハードディスクであり、従って、装置制御回路32を有し、ピーク電流負荷特性を備える装置30に入力するエネルギーがモータ31を駆動する時、装置制御回路32は、モータ31へのオン命令を取得して初めて電源変換回路10から出力電流を放出する。しかしながら、各種のピーク電流負荷特性を備える装置30が何れも装置制御回路32を備えているわけではない。従って、電源変換回路10は、更に、スイッチング回路モジュール13を設け、スイッチング回路モジュール13は、昇圧回路11とピーク電流負荷特性を備える装置33との間に接続し、スイッチング回路モジュール13は、監視回路131と第2スイッチング素子132を含む。外部電源20が出力する5Vの電圧によって、昇圧回路11が昇圧した12〜12.6Vが一定時間必要となり、従って、監視回路131は、昇圧回路11の出力端をセンシングし、昇圧回路11が出力する電圧が第2電圧所定値に到達すれば、監視回路131は、信号を第2スイッチング素子132へ送り、第2スイッチング素子132をオンにし、十分な電圧を、ピーク電流負荷特性を備える装置33に入力し、ピーク電流負荷特性を備える装置33が円滑に起動することができる。また、監視回路131は、所定時間を設定する方式で第2スイッチング素子132を制御することもできる。例えば、昇圧回路11が電圧を5Vから12Vまで昇圧するのに2秒必要であれば、所定時間を2秒に設定し、即ち、監視回路131を外部電圧源が電源変換回路へ送り込まれることをセンシングした2秒後に信号を第2スイッチング素子132に発送し、第2スイッチング素子132をオンにさせるように設定する。
【0031】
図2を参照し、図2が示すのは、本発明の第2実施例である。正常な状況において、電源変換回路10は、5Vの外部電源20に接続してピーク電流負荷特性を備える装置30中の装置制御回路32を起動することができる。しかしながら、幾つかの状況においては、モータ31の起動に必要な電流が比較的大きく、外部電源20は、昇圧回路11を介してモータ31を起動させるが、外部電源20は、別途安定した5Vの電圧を出力する装置制御回路32を駆動することはできず、ピーク電流負荷特性を備える装置30を正常起動させることができない。従って、昇圧回路11の出力端とピーク電流負荷特性を備える装置30の装置制御回路32との間に別途降圧回路15を接続し、昇圧回路11が出力する12〜12.6Vの電圧を降圧回路15によって安定した5Vの電圧に降圧し、装置制御回路32を起動可能にし、ピーク電流負荷特性を備える装置30を正常運転可能にさせることができる。本実施例において、降圧回路15の入力端は、昇圧回路11とスイッチング回路モジュール13との間に接続し、降圧回路15の出力端は、ピーク電流負荷特性を備える装置30の装置制御回路32に接続する。但し、これに制限するものではなく、降圧回路15的入力端をスイッチング回路モジュール13とモータ31との間に接続することもでき、言い換えれば、降圧回路15の入力端は、昇圧回路11とモータ31との間の任意の位置に接続することができる。
【0032】
図3Aを参照し、図3Aが示すのは、本発明の第3実施例である。幾つかの状況において、電源変換回路10は、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30、例えば、3.5ハードディスクのディスクアレイRAIDに接続する必要がある。この時、スイッチング回路モジュール13の出力端をそれぞれ独立したピーク電流負荷特性を備える装置30に接続し、外部電源20が出力する5Vもそれぞれ独立したピーク電流負荷特性を備える装置30に接続することができる。このように、電源変換回路10は、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30を駆動することができる。
【0033】
図3Bを参照し、図3Bが示すのは、本発明の第4実施例である。第3実施例において、電源変換回路10は、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30を同時に起動することができる。しかしながら、また、幾つかの特定状況において、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30は、異なる起動順序を有する必要があり得る。従って、本実施例において、各ピーク電流負荷特性を備える装置30は、何れも1つの対応するスイッチング回路モジュール13を有し、各スイッチング回路モジュール13中の監視回路131を利用し、異なる時間を設定し、各ピーク電流負荷特性を備える装置30に異なる起動時間をもたせ、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30を順に起動させることができる。
【0034】
図3Cを参照し、図3Cが示すのは、本発明の第5実施例である。外部電源20は、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30を起動する必要があり、外部電源20が更に大きな負荷を受けなければならず、5Vの電圧を安定して出力し、複数の装置制御回路32を駆動することができない可能性がある。従って、昇圧回路11の後に降圧回路15を接続し、降圧回路15の出力端を複数のピーク電流負荷特性を備える装置30に接続し、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30の装置制御回路32が何れも安定した5Vの電圧を受けることができるようにする。このように、複数のピーク電流負荷特性を備える装置30を正常起動させることができる。
【0035】
上記第3実施例〜第5実施例は、本発明の電源変換回路10の変化の範例であるが、これに限定するものではなく、当業者は、第3実施例〜第5実施例中の特徴を組み合わせ又は調整し、各種の異なる要求のピーク電流負荷特性を備える装置30に対応させることができる。
【0036】
また、上記各実施例において、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、3.5インチのモバイルハードディスクであるが、これに制限するものではなく、ピーク電流負荷特性を備える装置30は、事務機、プリンタ又は外付け式光ディスク等であることもでき、ただ瞬間的に比較的大きなピーク電流を要する装置であれば、何れも本発明の電源変換回路10を取り付けることができる。故に電源変換回路10の駆動対象もモータに制限するものではなく、その他の対象、例えば、CPU等の比較的大きなピーク電流を有する電子素子であることもできる。
【0037】
本発明の電源変換回路10は、外付け電源を必要としない状況において、ピーク電流負荷特性を備える装置30を起動することができる。且つ、従来技術がバッテリを使用してピーク電流負荷特性を備える装置30を起動し、従って、体積が比較的大きなバッテリを必要とすることに比較し、本発明のエネルギー蓄積素子141は、エネルギー出力を補助する1つの素子であり、大部分のエネルギーは、依然として外部電源20より昇圧回路11を経由して供給され、外部電源20が昇圧不足の場合のみエネルギー蓄積素子141が放電する。従って、エネルギー蓄積素子141は、体積が比較的小さいバッテリ又はコンデンサを選択することができ、このように、電源変換回路10全体のコストを低減することができる。
【0038】
また、上記の全ての実施例において、電源変換回路は、何れも電流センサを含んでいるが、当業者は、電流センサを設置しないことを選択することもできる。図4を参照し、昇圧回路11の入力端は、外部電源20に直接接続する。
【0039】
なお、本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない均等の範囲内で各種の変動や潤色を加えることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10 電源変換回路
11 昇圧回路
12 制御回路
14 エネルギー補償モジュール
141 エネルギー蓄積素子
142 第1スイッチング素子
143 放電回路
144 充電回路
13 スイッチング回路モジュール
131 監視回路
132 第2スイッチング素子
15 降圧回路
30,30’,33 ピーク電流負荷特性を備える装置
31 モータ
32 装置制御回路
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4