(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柱状体よりなる挿入部を備えたオス部材と、前記挿入部を軸方向に沿って挿入し、収容可能な、一端に開口を有する筒状の収容部を備えたメス部材と、よりなる留め具において、
前記挿入部および前記収容部には、磁気吸引力によって前記挿入部を前記収容部内に誘い込む吸引部材がそれぞれ設けられ、
前記オス部材は、前記挿入部の外周面に、オス係合体を有し、
前記メス部材は、前記収容部の内周面にメス係合体を有し、
前記オス係合体は、オス長手部と、オス抜け止め部と、を一体に有し、
前記メス係合体は、メス長手部と、メス抜け止め部と、を一体に有し、
前記オス係合体は、前記挿入部の外周面から隆起したエッジ構造または前記挿入部の外周面から陥没した切欠き構造よりなり、前記オス長手部において、前記挿入部の軸に沿った長さ方向の寸法は、隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、
前記メス係合体は、前記収容部の内周面から隆起したエッジ構造または前記収容部の内周面から陥没した切欠き構造よりなり、前記メス長手部において、前記収容部の軸に沿った長さ方向の寸法は、隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、
前記オス抜け止め部と前記メス抜け止め部とは、相互に係止することで、前記挿入部を前記収容部に所定の回転角で所定の深さまで挿入した規定配置において、前記収容部から前記挿入部が軸方向に沿って脱出するのを阻止可能であり、
前記オス係合体と前記メス係合体は、前記規定配置において、前記オス係合体および前記メス係合体の前記長さ方向に沿って複数箇所で相互に係合可能であり、
前記留め具は、前記オス係合体に一体に形成されたオス誘導部、および前記メス係合体に一体に形成されたメス誘導部の少なくとも一方をさらに有し、
前記オス誘導部は、前記オス長手部に対して傾斜を有する前記オス係合体の端縁として構成され、前記吸引部材による磁気吸引力の存在下で、前記オス誘導部に接触した前記メス係合体を前記規定配置における位置まで誘導し、
前記メス誘導部は、前記メス長手部に対して傾斜を有する前記メス係合体の端縁として構成され、前記吸引部材による磁気吸引力の存在下で、前記メス誘導部に接触した前記オス係合体を前記規定配置における位置まで誘導することを特徴とする留め具。
前記オス係合体は、前記挿入部の軸方向全域にわたって形成されており、前記メス係合体は、前記収容部の軸方向全域にわたって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の留め具。
前記オス係合体と前記メス係合体との組を、前記挿入部および前記収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2組有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の留め具。
柱状体よりなる挿入部を備えたオス部材と、前記柱状体を軸方向に沿って挿入し、収容可能な、一端に開口を有する筒状の収容部を備えたメス部材とよりなる留め具において、
前記挿入部および前記収容部には、磁気吸引力によって前記挿入部を前記収容部内に誘い込む吸引部材がそれぞれ設けられ、
前記オス部材は、前記挿入部の外周面にオス係合体を有し、
前記メス部材は、前記収容部の内周面にメス係合体を有し、
前記オス係合体と前記メス係合体のうちいずれか一方は、前記挿入部の外周面または前記収容部の内周面に立設されたピンまたは突起よりなる突出係合体であり、他方は、前記挿入部の外周面および前記収容部の内周面から選択される設置面に設けられた誘導部を有する長手係合体と抜け止め部との組よりなり、
前記長手係合体は、前記設置面から隆起したエッジ構造または前記設置面から陥没した切欠き構造よりなり、前記挿入部または前記収容部の軸に沿った長さ方向の寸法が隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、
前記突出係合体と前記抜け止め部とは、相互に係止することで、前記挿入部を前記収容部に所定の回転角で所定の深さまで挿入した規定配置において、前記収容部から前記挿入部が軸方向に沿って脱出するのを阻止可能であり、
前記誘導部は、前記挿入部または前記収容部の軸に対して傾斜を有する前記長手係合体の端縁として構成され、前記吸引部材による磁気吸引力の存在下で、前記誘導部に接触した前記突出係合体を、前記挿入部または前記収容部の軸に対して右回り方向および左回り方向の双方から前記規定配置における位置まで誘導可能であることを特徴とする留め具。
前記オス係合体は、前記突出係合体よりなり、前記メス係合体は、前記エッジ構造よりなる前記長手係合体と前記抜け止め部との組よりなることを特徴とする請求項6に記載の留め具。
前記オス係合体と前記メス係合体との組を、前記挿入部および前記収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2組有することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の留め具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、凹部のピンが設けられた部位は、円筒状に形成され、凸部のエッジが設けられた部位は円柱状に形成されている。そして、凹部と凸部の間で係合構造を形成するピンとエッジの組が、4対または3対設けられており、円筒の内周および円柱の外周に沿って、等しい角度間隔で配置されている。特許文献2においても、第一の連結体の挿入凹部は円筒状に形成され、第2の連結体の挿入部は円柱状に形成されている。そして、第一の連結体と第二の連結体の間で係合構造を形成する螺旋状凸部と抜け止め凸部の組が、3対設けられており、円筒の内周および円柱の外周に沿って、等しい角度間隔で配置されている。
【0006】
装身具用留め具において、上記特許文献1のピンとエッジの組または特許文献2の螺旋状凸部と抜け止め凸部のような係合部材の組を正しく係合させるためには、留め具の一方の部材と他方の部材の間の回転位置を、係合部材の対が係合可能な位置に合わせる必要がある。特許文献1,2のように、係合部材が3対または4対、あるいはそれよりも多数設けられている場合に、使用者が留め具の接続あるいは取り外しを行う際に、それら多数の係合部材の全てに対して、正しく係合を行い、また係合状態の解除を行うためには、各組の係合部材が存在する位置に力を均等あるいはそれに近い状態で印加できる必要がある。そのため、従来一般の留め具全体の外周面は、円対称な形状に形成されている。留め具がそのような形状の外周面を有していれば、手指を用いて、円周方向から均等に力を印加して、回転や押し込み、引張り等、接続や取り外しに要する操作を行いやすい。また、双方の部材の間の回転角に特別の注意を払わなくても、双方の部材の間の合わせ目が、円周状にぴたりと合う。特許文献1,2では、留め具を構成する双方の部材が、半割の卵型、あるいは釣鐘状のように、円対称な外形を有している。
【0007】
しかし、留め具全体の外形を円対称以外の形状とする要求が存在する。例えば、装身具を装着した状態において、留め具を使用者の身体に沿わせることや、デザイン上の要請を目的として、留め具を扁平な形状とすることが望まれる。留め具の外形を扁平とした状態で、上記のような係合部材を3対以上設けるとすれば、装着や取り外しの際に、それら係合部材における係合状態の形成および解除を同時に行えるように、使用者が手指で力を印加することが難しい。特に、ネックレスのように、身体の後方で留め具を操作する場合には、特にそのような動作が難しくなる。
【0008】
仮に留め具の外形を扁平形状として3対以上の係合部材を内部に設けるとすれば、全ての係合部材を係合させた際に、左右の留め具の回転角によっては、左右の留め具の合わせ目に回転方向のずれが生じてしまい、留め具の装着感や外観に影響を及ぼす。例えば、扁平形状の留め具の内部に、3対の係合部材を等しい角度間隔で設けるとして、左右の留め具を接続した状態において、合わせ目がつながって一体的なの扁平な外形が得られる回転角は1とおりであり、その回転角から左右いずれかの方向に120°ずれた状態においては、全係合部材を係合させることはできるものの、合わせ目がぴたりと合わず、合わせ目の部分に段差状のずれが生じてしまう。
【0009】
これらの事情から、特許文献1,2に挙げられるような従来の係合部材を有する留め具において、操作の利便性と、外形におけるデザインの自由度を両立することは困難である。
【0010】
本発明の課題は、装身具等に設けられた際に、操作の利便性とデザインの自由度を両立することができる留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明にかかる第一の留め具は、柱状体よりなる挿入部を備えたオス部材と、前記挿入部を軸方向に沿って挿入し、収容可能な、一端に開口を有する筒状の収容部を備えたメス部材と、よりなる留め具において、前記挿入部および前記収容部には、磁気吸引力によって前記挿入部を前記収容部内に誘い込む吸引部材がそれぞれ設けられ、前記オス部材は、前記挿入部の外周面に、オス係合体を有し、前記メス部材は、前記収容部の内周面にメス係合体を有し、前記オス係合体は、オス長手部と、オス抜け止め部と、を一体に有し、前記メス係合体は、メス長手部と、メス抜け止め部と、を一体に有し、前記オス係合体は、前記挿入部の外周面から隆起したエッジ構造または前記挿入部の外周面から陥没した切欠き構造よりなり、前記オス長手部において、前記挿入部の軸に沿った長さ方向の寸法は、隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、前記メス係合体は、前記収容部の内周面から隆起したエッジ構造または前記収容部の内周面から陥没した切欠き構造よりなり、前記メス長手部において、前記収容部の軸に沿った長さ方向の寸法は、隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、前記オス抜け止め部と前記メス抜け止め部とは、相互に係止することで、前記挿入部を前記収容部に所定の回転角で所定の深さまで挿入した規定配置において、前記収容部から前記挿入部が軸方向に沿って脱出するのを阻止可能であり、前記オス係合体と前記メス係合体は、前記規定配置において、前記オス係合体および前記メス係合体の前記長さ方向に沿って複数箇所で相互に係合可能であり、前記留め具は、前記オス係合体に一体に形成されたオス誘導部、および前記メス係合体に一体に形成されたメス誘導部の少なくとも一方をさらに有し、前記オス誘導部は、前記オス長手部に対して傾斜を有する前記オス係合体の端縁として構成され、前記吸引部材による磁気吸引力の存在下で、前記オス誘導部に接触した前記オス係合体を前記規定配置における位置まで誘導し、前記メス誘導部は、前記メス長手部に対して傾斜を有する前記メス係合体の端縁として構成され、前記メス誘導部に接触した前記オス係合体を前記規定配置における位置まで誘導する、というものである。
【0012】
ここで、前記オス係合体は、前記挿入部の軸方向全域にわたって形成されており、前記メス係合体は、前記収容部の軸方向全域にわたって形成されているとよい。
【0013】
また、前記オス係合体および前記メス係合体は前記エッジ構造よりなり、前記留め具は、前記オス誘導部および前記メス誘導部のうち、前記メス誘導部のみを有するとよい。
【0014】
そして、前記留め具は、前記オス係合体と前記メス係合体との組を、前記挿入部および前記収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2組有するとよい。
【0015】
この場合に、前記オス部材は、前記挿入部を支持するオス基部を有し、前記挿入部は、前記オス基部の端面に立設されており、前記メス部材は、前記収容部を包囲するメス基部を有し、前記収容部は、前記メス基部の端面から陥没して設けられており、前記オス基部および前記メス基部の端面は、前記挿入部および前記収容部の中心軸に対して点対称な、円形以外の同一形状の外形を有し、前記規定配置において相互に面全体で当接するとよい。
【0016】
本発明にかかる第二の留め具は、柱状体よりなる挿入部と、前記挿入部を支持するオス基部と、を備えたオス部材と、前記柱状体を軸方向に沿って挿入し、収容可能な、一端に開口を有する筒状の収容部と、前記収容部を包囲するメス基部と、を備えたメス部材とよりなる留め具において、前記挿入部および前記収容部には、磁気吸引力によって前記挿入部を前記収容部内に誘い込む吸引部材がそれぞれ設けられ、前記オス部材は、前記挿入部の外周面の、前記挿入部の中心軸を挟んで対向する位置に、2つのオス係合体を有し、前記メス部材は、前記収容部の内周面の、前記収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2つのメス係合体を有し、前記オス係合体と前記メス係合体のうちいずれか一方は、前記挿入部の外周面または前記収容部の内周面に立設されたピンまたは突起よりなる突出係合体であり、他方は、長手部と、抜け止め部と、誘導部と、を一体に有し、前記挿入部の外周面および前記収容部の内周面から選択される設置面に設けられた長手係合体であり、前記長手係合体は、前記設置面から隆起したエッジ構造または前記設置面から陥没した切欠き構造よりなり、前記長手部において、前記挿入部または前記収容部の軸に沿った長さ方向の寸法は、隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、前記突出係合体と前記抜け止め部とは、相互に係止することで、前記挿入部を前記収容部に所定の回転角で所定の深さまで挿入した規定配置において、前記収容部から前記挿入部が軸方向に沿って脱出するのを阻止可能であり、前記誘導部は、前記長手部に対して傾斜を有する前記長手係合体の端縁として構成され、前記吸引部材による磁気吸引力の存在下で、前記誘導部に接触した前記突出係合体を前記規定配置における位置まで誘導し、前記オス基部および前記メス基部の端面は、前記挿入部および前記収容部の中心軸に対して点対称な、円形以外の同一形状の外形を有し、前記規定配置において相互に面全体で当接するというものである。
【0017】
ここで、前記長手係合体は、前記挿入部または前記収容部の軸方向全域にわたって形成されているとよい。
【0018】
本発明にかかる第三の留め具は、柱状体よりなる挿入部を備えたオス部材と、前記柱状体を軸方向に沿って挿入し、収容可能な、一端に開口を有する筒状の収容部を備えたメス部材とよりなる留め具において、前記挿入部および前記収容部には、磁気吸引力によって前記挿入部を前記収容部内に誘い込む吸引部材がそれぞれ設けられ、前記オス部材は、前記挿入部の外周面にオス係合体を有し、前記メス部材は、前記収容部の内周面にメス係合体を有し、前記オス係合体と前記メス係合体のうちいずれか一方は、前記挿入部の外周面または前記収容部の内周面に立設されたピンまたは突起よりなる突出係合体であり、他方は、前記挿入部の外周面および前記収容部の内周面から選択される設置面に設けられた誘導部を有する長手係合体と抜け止め部との組よりなり、前記長手係合体は、前記設置面から隆起したエッジ構造または前記設置面から陥没した切欠き構造よりなり、前記挿入部または前記収容部の軸に沿った長さ方向の寸法が隆起高さまたは陥没深さよりも大きく、前記突出係合体と前記抜け止め部とは、相互に係止することで、前記挿入部を前記収容部に所定の回転角で所定の深さまで挿入した規定配置において、前記収容部から前記挿入部が軸方向に沿って脱出するのを阻止可能であり、前記誘導部は、前記挿入部または前記収容部の軸に対して傾斜を有する前記長手係合体の端縁として構成され、前記吸引部材による磁気吸引力の存在下で、前記誘導部に接触した前記突出係合体を、前記挿入部または前記収容部の軸に対して右回り方向および左回り方向の双方から前記規定配置における位置まで誘導可能である、というものである。
【0019】
ここで、前記オス係合体は、前記突出係合体よりなり、前記メス係合体は、前記エッジ構造よりなる前記長手係合体と前記抜け止め部との組よりなるとよい。
【0020】
また、前記誘導部に連続して、安定部が設けられ、前記安定部は、前記規定配置において、前記突出係合体を収容する凹構造よりなるとよい。
【0021】
そして、前記長手係合体は、前記挿入部または前記収容部の軸方向全域にわたって形成されているとよい。
【0022】
そして、前記留め具は、前記オス係合体と前記メス係合体との組を、前記挿入部および前記収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2組有するとよい。
【0023】
この場合に、前記オス部材は、前記挿入部を支持するオス基部を有し、前記挿入部は、前記オス基部の端面に立設されており、前記メス部材は、前記収容部を包囲するメス基部を有し、前記収容部は、前記メス基部の端面から陥没して設けられており、前記オス基部および前記メス基部の端面は、前記挿入部および前記収容部の中心軸に対して点対称な、円形以外の同一形状の外形を有し、前記規定配置において相互に面全体で当接するとよい。
【発明の効果】
【0024】
上記発明にかかる第一の留め具においては、相互に係合するオス係合体およびメス係合体が、柱状の挿入部および筒状の収容部の軸方向に沿った長さ方向に長い形状を有しており、それらの長さ方向に沿って複数箇所で、相互に係合する。よって、オス係合体とメス係合体の間に、強固な係合構造が得られる。その結果、留め具に設けるオス係合体とメス係合体の組を、2対以下に抑えることが可能となる。すると、留め具の外形を円対称よりも対称性の低い構造で形成しても、高い操作性をもって、留め具の付け外しを行い、それら係合体の間の係合状態の形成および解除を行うことが可能となる。このように、留め具において、デザインの多様性と操作の利便性の両立を達成できる。
【0025】
また、オス係合体およびメス係合体が、挿入部および収容部の軸に沿った方向に長い形状を有することにより、それら係合体を覆う筒等を設けなくても、それら係合体に衣類や毛髪等が掛かりにくくなっている。さらに、それら係合体が軸方向に長い形状を有することにより、ピンや突起のような高さ方向に突出した構造とする場合よりも、頑丈な構造となるので、各係合体を構成する金属材料の肉厚を小さくすることができる。その結果、留め具を小型化しやすくなり、デザインの多様性がさらに広がるとともに、量産も容易となる。
【0026】
さらに、上記の第一の留め具においては、オス抜け止め部とメス抜け止め部の間の係止構造により、挿入部を収容部内に配置した規定配置において、挿入部が収容部から脱出するのが防止される。よって、相互に接続したオス部材とメス部材の間を引き離すような力が不用意に加えられても、両部材の接続が外れにくくなっている。さらに、オス係合体とメス係合体のいずれか少なくとも一方に、磁気吸引力との協働により、相手方の係合体を規定配置における位置まで誘導する誘導部が設けられていることにより、オス部材とメス部材を接続する際に、誘導部に相手方の係合体の一部を接触させるだけで、半自動的に規定配置が達成される。また、オス部材とメス部材の接続を解除する際には、オス部材とメス部材の間を1方向に捻るように回転させながら、両部材を引き離すだけでよい。このように、抜け止め部と誘導部によって、留め具の操作における利便性が高められている。
【0027】
ここで、オス係合体が、挿入部の軸方向全域にわたって形成されており、メス係合体が、収容部の軸方向全域にわたって形成されている場合には、オス係合体とメス係合体の間の係合構造を、挿入部および収容部の軸方向に沿った広い範囲で形成することが可能となる。その結果、両者の係合を特に強固なものとしやすい。また、両係合体の長さ方向の端縁における衣服や毛髪等の引っ掛かりを防止することができる。
【0028】
また、オス係合体およびメス係合体がエッジ構造よりなり、留め具が、オス誘導部およびメス誘導部のうち、メス誘導部のみを有する場合には、オス係合体およびメス係合体がエッジ構造よりなるため、切欠き構造よりなる場合よりも、挿入部の外周面および収容部の内周面に、形成しやすい。また、誘導部が、メス部材側に存在することにより、オス部材側の挿入部をメス部材側の収容部の中に進入させた際に、挿入部を規定配置まで誘導しやすい。また、オス係合体にオス誘導部を設けないことにより、収容部の内周部よりも視認されやすい挿入部の外周部を簡素な外観で構成することができる。
【0029】
そして、留め具が、オス係合体とメス係合体との組を、挿入部および収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2組有する場合には、2つのオス係合体と2つのメス係合体を、2通りの組み合わせで係合させることができる限りにおいて、つまり、オス部材とメス部材を、1つの回転角と、そこから180°回転したもう1つの回転角の両方で係合させることができる限りにおいて、両部材の接続および取り外しにおける操作の利便性を阻害することなく、オス部材およびメス部材の基部の外形を、種々に設定することができる。このように、留め具のデザインにおいて高い自由度を得ることができる。
【0030】
この場合に、オス部材が、挿入部を支持するオス基部を有し、挿入部が、オス基部の端面に立設されており、メス部材が、収容部を包囲するメス基部を有し、収容部が、メス基部の端面から陥没して設けられており、オス基部およびメス基部の端面が、挿入部および収容部の中心軸に対して点対称な、円形以外の同一形状より、規定配置において相互に面全体で当接する構成によれば、オス部材とメス部材を接続した際に、規定配置において、オス基部とメス基部の端面が、ずれや段差を生じることなく、ぴたりと重なる。また、その状態が、1つの回転角と、そこから180°回転した回転角の両方において、実現される。例えば、オス基部およびメス基部を扁平形状とした場合に、オス基部の扁平面に対して、メス基部の扁平面を表向きにした場合と裏向きにした場合の両方で、両部材の端面がぴたりと重なった状態が得られる。このように、留め具において、操作の利便性とデザインの自由度が、高いレベルで両立される。
【0031】
上記発明にかかる第二の留め具においては、突出係合体と長手係合体の組が2組、挿入部および収容部の中心軸を挟んで相互に対向する位置に設けられているため、それら2つの突出係合体と2つの長手係合体を、2通りの組み合わせで係合させることができる限りにおいて、つまり、オス部材とメス部材を、1つの回転角と、そこから180°回転したもう1つの回転角の両方で係合させることができる限りにおいて、両部材の接続および取り外しにおける操作の利便性を阻害することなく、オス部材およびメス部材の基部の外形を、種々に設定することができる。このように、留め具のデザインにおいて高い自由度を得ることができる。
【0032】
さらに、上記の第二の留め具においては、突出係合体と長手係合体の抜け止め部の間の係止構造により、挿入部を収容部内に配置した規定配置において、挿入部が収容部から脱出するのが防止される。よって、相互に接続したオス部材とメス部材の間を引き離すような力が不用意に加えられても、両部材の接続が外れにくくなっている。さらに、長手係合体に、磁気吸引力との協働により、突出係合体を規定配置における位置まで誘導する誘導部が設けられていることにより、オス部材とメス部材を接続する際に、誘導部に突出係合体を接触させるだけで、半自動的に規定配置が達成される。また、オス部材とメス部材の接続を解除する際には、オス部材とメス部材の間を1方向に捻るように回転させながら、両部材を引き離すだけでよい。このように、抜け止め部と誘導部を有する長手係合体を、突出係合体との組として設けることで、留め具の操作の利便性が高められている。
【0033】
ここで、長手係合体が、挿入部または収容部の軸方向全域にわたって形成されている場合には、挿入部を収容部に深く挿入することができ、オス部材とメス部材の間の接続を強固にすることができる。また、長手係合体の長さ方向の端縁における衣服や毛髪等の引っ掛かりを防止することができる。
【0034】
上記発明にかかる第三の留め具においては、挿入部の外周面または収容部の内周面に設けられる長手係合体に、磁気吸引力との協働によって、相手方の突出係合体を、右回り方向および左回り方向の双方から規定配置における位置に誘導する誘導部が形成されている。このため、挿入部が収容部の中に挿入され、規定配置にある状態において、突出係合体の左右両方向への移動に対して、規定配置に留まらせる力が働く。よって、長手係合体と突出係合体の間の係合構造を強固に維持することができる。その結果、留め具に設けるオス係合体とメス係合体の組を、2対以下に抑えることが可能となる。すると、留め具の外形を円対称よりも対称性の低い構造で形成しても、高い操作性をもって、留め具の付け外しを行い、それら係合体の係合状態の形成および解除を行うことが可能となる。このように、留め具において、デザインの多様性と操作の利便性の両立を達成できる。
【0035】
さらに、上記の第三の留め具においては、突出係合体と抜け止め部の間の係止構造により、挿入部を収容部内に配置した規定配置において、挿入部が収容部から脱出するのが防止される。よって、相互に接続したオス部材とメス部材の間を引き離すような力が不用意に加えられても、両部材の接続が外れにくくなっている。さらに、誘導部の構成により、オス部材とメス部材を接続する際に、誘導部に突出係合体を接触させるだけで、半自動的に規定配置が達成される。特に、誘導部が右回り方向と左回り方向のどちらからでも突出係合体を誘導できるので、突出係合体が誘導部に接触する際に、多様な接触箇所および接触状態に対応して、突出係合体の誘導を行うことができる。オス部材とメス部材の接続を解除する際には、オス部材とメス部材の間を、左右どちらに捻っても、解除を行うことができる。このように、抜け止め部と誘導部を有する長手係合体を、突出係合体と組み合わせて用いることで、さらに誘導部を左右両側からの誘導を可能なものとすることで、留め具の操作性が特に高められる。
【0036】
ここで、オス係合体が、突出係合体よりなり、メス係合体が、エッジ構造よりなる長手係合体と抜け止め部との組よりなる場合には、誘導部が、メス部材側に存在することにより、オス部材側の挿入部をメス部材側の収容部に進入させた際に、挿入部を規定配置まで誘導しやすい。また、長手係合体よりも小型の構造として形成できる突出係合体を挿入部に形成することで、収容部の内周部よりも視認されやすい挿入部の外周部を簡素な外観で構成することができる。さらに、長手係合体がエッジ構造よりなるため、切欠き構造よりなる場合よりも、収容部の内周面に形成しやすい。
【0037】
また、誘導部に連続して、安定部が設けられ、安定部が、規定配置において、突出係合体を収容する凹構造よりなる場合には、規定配置において、突出係合体が安定部の凹構造の内部に収容されるので、突出係合体の左右両方向への移動を阻止し、規定配置に留まらせやすくなる。その結果、長手係合体と突出係合体の間の係合構造を特に強固に維持できる。
【0038】
そして、長手係合体が、挿入部または収容部の軸方向全域にわたって形成されている場合には、挿入部を収容部に深く挿入することができ、オス部材とメス部材の間の接続を強固にすることができる。また、長手係合体の長手方向端縁における衣服や毛髪等の引っ掛かりを防止することができる。
【0039】
そして、留め具が、オス係合体とメス係合体との組を、挿入部および収容部の中心軸を挟んで対向する位置に、2組有する場合には、2つの長手係合体と2つの突出係合体を、2通りの組み合わせで係合させることができる限りにおいて、つまり、長手係合体と突出係合体を、1つの回転角と、そこから180°回転したもう1つの回転角の両方で係合させることができる限りにおいて、両部材の接続および取り外しにおける操作の利便性を阻害することなく、オス部材およびメス部材の基部の外形を、種々に設定することができる。このように、留め具のデザインにおいて高い自由度を得ることができる。
【0040】
この場合に、オス部材が、挿入部を支持するオス基部を有し、挿入部が、オス基部の端面に立設されており、メス部材が、収容部を包囲するメス基部を有し、収容部が、メス基部の端面から陥没して設けられており、オス基部およびメス基部の端面が、挿入部および収容部の中心軸に対して点対称な、円形以外の同一形状よりなる構成によれば、オス部材とメス部材を接続した際に、規定配置において、オス基部とメス基部の端面が、ずれや段差を生じることなく、ぴたりと重なる。また、その状態が、1つの回転角と、そこから180°回転した回転角の両方において、実現される。例えば、オス基部およびメス基部を扁平形状とした場合に、オス部材の扁平面に対して、メス部材の扁平面を表向きにした場合と裏向きにした場合の両方で、両部材の端面がぴたりと重なった状態が得られる。このように、留め具において、操作の利便性とデザインの自由度が高いレベルで両立される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態にかかる留め具について詳細に説明する。本発明の実施形態にかかる留め具は、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、キーホルダー等、直線状の状態から環状にして使用される装身具等の両端に設けられる留め具として好適に用いられるものである。装身具以外にも、種々の物品の間を繋ぐ接続部品として利用することができる。装身具以外の適用対象として、バッグ、ベルト、シートベルト等を例示することができる。
【0043】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態にかかる留め具について説明する。
図1〜6に、本発明の第一の実施形態にかかる留め具1を示す。
【0044】
まず、主に
図1,2を参照しながら、留め具1の全体構成について説明する。留め具1は、オス部材2とメス部材4の組よりなっている。オス部材2とメス部材4に対しては、相互に離れた状態からの接続と、相互に接続された状態からの取り外しを、可逆的に行うことができる。
【0045】
オス部材2およびメス部材4を構成する材料は、特に指定されないが、強度と加工性、装身具全体との調和性の観点から、金属材料よりなることが好ましい。特に、装身具に用いられる場合には、金、銀、プラチナ、またはそれらを主成分とする合金等、貴金属よりなることが好ましい。
【0046】
オス部材2は、オス基部21と、オス基部21に支持された挿入部23を、一体に有している。メス部材4は、メス基部41と、メス基部41に包囲された収容部43を、一体に有している。
【0047】
オス基部21およびメス基部41は、使用者がオス部材2とメス部材4の接続および取り外しを行う際に、手指等を接触させて操作を行う部分であり、オス部材2とメス部材4を接続した状態で、外部から視認される部分である。オス基部21の端面22およびメス基部41の端面42は、平面よりなり、オス部材2とメス部材4を接続した際に、相互に接触する。オス基部21の端面22とメス基部41の端面42は、相互に同一の形状の外形(輪郭)を鏡面対称に有しており、オス部材2とメス部材4を接続して両端面22,42を相互に当接させた際に、ずれや段差を生じることなく、面全体、つまり外周縁の内側の挿入部23および収容部43が設けられている以外の領域全体において、ぴたりと重なる。図示した形態では、オス基部21とメス基部41の端面22,42は、楕円形の外形を有している。オス基部21およびメス基部41の端面22,42と反対側の端部には、それぞれ、ネックレス本体等との接続に使用可能な、貫通孔を有する取付け部24,44が設けられている。
【0048】
オス部材2の挿入部23は、柱状体よりなっている。図示した形態では、円柱状となっている。オス部材2は、中心軸をオス基部21の端面22の中心に揃えて、オス基部21の端面22に立設されている。
【0049】
メス部材4の収容部43は、一端に開口43bを有する筒状体よりなっている。図示した形態では、円筒状となっており、開口43bと軸方向反対側には、底部が設けられている。収容部43は、メス基部41の端面42の内側に、陥没して設けられている。収容部43の中心軸は、端面42の中心に揃っている。収容部43の内径および深さは、挿入部23を軸方向に沿って収容部43の中に挿入し、その状態で挿入部23の全体を収容可能なように設定されている。
【0050】
なお、
図1では、オス基部21の端面22およびメス基部41の端面42が、平面状の金属材料よりなる面として設けているが、このような金属材料よりなる面が必ずしも設けられなくてもよく、その場合には、両基部21,41の端部の外周縁に囲まれた領域が、端面22,42となり、両基部21,41の端部の外周縁の形状が端面22,42の外形となる。そして、挿入部23は、その外周縁に囲まれた領域を貫通した状態で、オス基部21に立設されていればよく、収容部43は、その外周縁に囲まれた領域よりも陥没した位置(後方に下がった位置)に存在していればよい。さらに、この場合、メス部材4において、メス基部41の外殻が、筒状の収容部43を兼ねてもよく、そのような場合には、メス基部41の外殻の内側面が、収容部43の内周面43aとなる。
【0051】
挿入部23および収容部43には、磁気吸引力によって挿入部23を収容部43の中に誘い込む吸引部材25,45がそれぞれ設けられている。吸引部材25,45としては、高い選択的吸引力を得られる点で、永久磁石の対を用いることが好適である。他の形態として、吸引部材25,45の一方を永久磁石とし、他方を常磁性金属等の磁性部材とすることもできる。
図2に示すように、オス部材2においては、吸引部材25を挿入部23の柱形状の内部に設け、メス部材4においては、吸引部材45を収容部43の底部43cの後方に設ける形態が、挿入部23および収容部43の軸方向に沿った磁気吸引力の発揮、および両部材2,4の外観の観点から好適である。挿入部23の先端23bと収容部43の底部43cが相互に引き合うように、吸引部材25,45の配置および極性の選択を行えばよい。さらに、挿入部23を収容部43の中に引き込む軸方向に沿った磁気吸引力を発生させるだけでなく、挿入部23と収容部43の間の回転状態を、後述する規定配置における回転角に誘導できるように、吸引部材25,45の配置および極性を設定してもよい。
【0052】
オス部材2においては、挿入部23の外周面23aに、オス係合体3が形成されている。図示した形態では、同じオス係合体3が、2個設けられている。2個のオス係合体3は、挿入部23の中心軸を挟んで対向する位置、つまり、挿入部23の軸に対して線対称な位置に設けられている。ここでは、2個のオス係合体3は、楕円形のオス基部21の端面22の短軸方向に対応する位置に設けられている。
【0053】
メス部材4においては、収容部43の内周面43aに、メス係合体5が形成されている。図示した形態では、同じメス係合体5が、2個設けられている。2個のメス係合体5は、収容部43の中心軸を挟んで対向する位置、つまり収容部43の軸に対して線対称な位置に設けられている。ここでは、2個のメス係合体5は、楕円形のメス基部41の端面42の短軸方向に対応する位置に設けられている。
【0054】
図3〜6の上部に、オス係合体3を挿入部23の外周に沿って平面状に展開して、挿入部23の外側から見たものを示している。また、それらの図の下部に、メス係合体5を収容部43の内周に沿って平面状に展開して、収容部43の内側から見たものを示している。次に、主に
図1と
図3を参照して、オス係合体3およびメス係合体5の形状について詳細に説明する。
【0055】
オス係合体3は、オス長手部31と、オス抜け止め部32とを一体に有している。オス係合体3は、全体として、挿入部23の外周面23aから所定の隆起高さH1で隆起したエッジ構造として設けられている。
【0056】
オス係合体3のエッジ構造のうち、オス長手部31においては、エッジ構造が、挿入部23の軸に沿って長い形状を有している。つまり、挿入部23の軸に沿った方向の寸法(長さ)L1が、挿入部23の外周面23aからの隆起高さH1よりも大きくなっている。好ましくは、長さL1が挿入部23の外周に沿った方向の寸法(幅)W1と比べても大きく、さらに幅W1が隆起高さH1よりも大きいとよい。また、オス係合体3は、オス長手部31とオス抜け止め部32を合わせたオス係合体3全体として、挿入部23の軸方向全域を占めて形成されていることが好ましい。
【0057】
オス抜け止め部32は、オス長手部31の長さ方向先端部から、挿入部23の外周に沿って、長さ方向に交差する方向に、鉤爪状に突出している。具体的には、挿入部23の軸方向に沿ったオス長手部31の端縁の一方である長手方向端縁31aの先端部から外側に、その長手方向端縁31aに直角に突出した、つまり挿入部23の周に沿った方向に突出した、突出縁32aを有している。そして、突出縁32aから挿入部23の先端23bの方向に向かって、挿入部23の軸およびオス長手部31の長手方向端縁31aに平行な平行縁32bを有している。
【0058】
そして、オス抜け止め部32の突出方向と反対側には、オス長手部31のもう一方の長手方向端縁31bの先端から、挿入部23の先端23b側へ向かって、オス抜け止め部32側へと傾斜した、傾斜部33が設けられている。傾斜部33の傾斜角は、後述するメス係合体5のメス誘導部53の傾斜角と等しくなっている。
【0059】
一方、メス係合体5は、メス長手部51と、メス抜け止め部52と、メス誘導部53と、を一体に有している。メス係合体5は、全体として、収容部43の内周面43aから所定の隆起高さH2(図略)で隆起したエッジ構造として設けられている。
【0060】
メス係合体5のエッジ構造のうち、メス長手部51においては、エッジ構造が、収容部43の軸に沿って長い形状を有している。つまり、収容部43の軸に沿った方向の寸法(長さ)L2が、収容部43の内周面43aからの隆起高さH2よりも大きくなっている。好ましくは、長さL2が収容部43の内周に沿った方向の寸法(幅)W2と比べても大きく、さらに幅W2が隆起高さH2よりも大きいとよい。また、メス長手部51とメス抜け止め部52、メス誘導部53を合わせたメス係合体5全体として、収容部43の軸方向全域を占めて形成されていることが好ましい。なお、メス係合体5において、メス長手部51とメス長手部51に隣接する部位との境界は、必ずしも明確ではないが、メス長手部51は、オス長手部31の幅W1と等しい幅W2を有する領域とする。
【0061】
メス抜け止め部52は、メス長手部51の長さ方向先端部から、収容部43の内周に沿って、長さ方向に交差する方向に、鉤爪状に突出している。メス抜け止め部52は、オス抜け止め部32と同じ形状を有しており、収容部43の周に沿った方向に突出した突出縁52a、および突出縁52aから収容部43の開口43bの方向に向かって、収容部43の軸およびメス長手部51の長手方向端縁51aに平行になった平行縁52bも有している。
図3のように、オス長手部31の先端側とメス長手部51の先端側を相互に対向させた状態において、オス抜け止め部32を上下および左右に反転させたものに対応する形状および配置で、メス抜け止め部52が、メス長手部51に連続して設けられている。収容部43に挿入部23を挿入した状態において、後に説明する規定配置よりも、収容部43内での挿入部23の挿入深さが若干浅くなった位置において、オス抜け止め部32とメス抜け止め部52は、
図6に示すように、相互に係止することができる。
【0062】
メス誘導部53は、メス長手部51からメス抜け止め部52が突出している方向と反対側に、メス長手部51の長さ方向に対して傾斜を有するメス係合体5の端縁として、設けられている。メス誘導部53は、メス係合体5の長さ方向全域を占めて、収容部43の内周面43aに沿って形成されている。メス誘導部53は、挿入部23の軸に平行なメス長手部51の長さ方向に対して傾斜を有しているため、収容部43の中心軸の周りに螺旋形状をとって設けられていることになる。メス誘導部53の傾斜は、収容部43の軸方向後端側(底部43c側)に向かって、メス長手部51から離れる方向に設けられており、収容部43の軸方向後端部において、隣接する別のメス係合体5のメス長手部51の長手方向端縁51aの後端に突き当たっている。
【0063】
ここで、
図3〜6を参照しながら、オス部材2とメス部材4を相互に接続する際、および取り外す際の、オス係合体3およびメス係合体5の挙動について説明する。オス部材2とメス部材4を相互に接続する際には、最初に、オス部材2とメス部材4が離れた状態から、オス基部21の端面22とメス基部41の端面42を相互に対向させ、オス部材2とメス部材4を相互に近づける。
【0064】
すると、オス部材2の挿入部23およびメス部材4の収容部43に設けられた吸引部材25,45の磁気吸引力により、挿入部23が収容部43の内部に向かって誘導され、
図3に示すように、オス係合体3の先端部(オス抜け止め部32側の部位)とメス係合体5の先端部(メス抜け止め部52側の部位)が相互に対して接近する。
図3では、両先端部の横方向(周方向)の位置がおおむね揃うように、挿入部23と収容部43の間の回転角が設定されているが、両者23,43の間の回転角は、このようなものに限られず、任意のものとすることができる。
【0065】
磁気吸引力によって、挿入部23が収容部43のさらに奥に誘い込まれると、
図4に示すように、オス係合体3の先端が、メス係合体5のメス誘導部53に接触するようになる。上記のように、挿入部23と収容部43の間の回転角は任意に設定することができ、その回転角が変化すると、メス誘導部53においてオス係合体3が接触する位置が変化するが、その接触位置は、メス誘導部53上の任意の箇所とすることができる。
【0066】
オス係合体3の傾斜部33の傾斜角が、メス係合体5のメス誘導部53の傾斜角と等しくなっているため、オス係合体3の先端がメス誘導部53に接触すると、
図4のように、オス係合体3の傾斜部33が、メス誘導部53の傾斜に沿ってメス誘導部53に接触した状態となる。この状態で、磁気吸引力が作用すると、
図4中に矢印で示すように、傾斜部33がメス誘導部53の傾斜を滑り降りるようにして、オス係合体3が、メス係合体5の後端部(収容部43の軸方向後端側の部位)に向かって移動し、次に説明する規定配置における位置まで誘導される。
【0067】
メス誘導部53に誘導されたオス係合体3が、メス係合体5の後端部近くに到達すると、
図5に示すように、オス係合体3のオス抜け止め部32の平行縁32bが、メス係合体5のメス長手部51の長手方向端縁51aに当接し、その当接によって、オス係合体3の運動が停止される。この際、同時に、メス係合体5のメス抜け止め部52の平行縁52bも、オス係合体3のオス長手部31の長手方向端縁31aに当接する。この、挿入部23を収容部43に所定の角度で所定の深さまで挿入した状態が、規定配置である。この規定配置の形成をもって、留め具1のオス部材2とメス部材4の接続が完了する。
【0068】
規定配置において、オス係合体3とメス係合体5は、それぞれの長さ方向に沿った複数箇所において、相互に接触し、係合した状態となっている。図示した形態の場合には、係合箇所は、オス係合体3の長さ方向先端側から順に、(1)オス係合体3の傾斜部33とメス誘導部53の接触箇所、(2)オス抜け止め部32の平行縁32bとメス長手部51の長手方向端縁51aの接触箇所、(3)メス抜け止め部52の平行縁52bとオス長手部31の長手方向端縁31aの接触箇所、の3箇所となっている。規定配置が形成された時、オス基部21とメス基部41は、同じ外形を有する端面22,42の面全体を重ならせて、つまり、端部の外周縁に囲まれた領域全体を重ならせて、相互に当接した状態となっている。以上のように、吸引部材25,45による磁気吸引力とメス誘導部53によるオス係合体3の誘導の協働により、オス部材2とメス部材4の規定配置での接続が、半自動的に完成される。
【0069】
オス部材2とメス部材4を接続した状態で留め具1を使用している間に、不用意に、つまり使用者の意思によらずに、オス部材2とメス部材4を引き離し、挿入部23を収容部43から脱出させようとする力が、挿入部23および収容部43の軸に沿って印加される場合がある。すると、規定配置が解消され、
図6中に矢印で示すように、オス係合体3が収容部43の開口43b側に向かって引き上げられ、オス抜け止め部32がメス長手部51の長手方向端縁51aに沿って、メス抜け止め部52の側に移動される。すると、相互に長さが等しく、平行に配置されたオス抜け止め部32の突出縁32aとメス抜け止め部52の突出縁52aが、相互に当接する状態となる。つまり、オス抜け止め部32とメス抜け止め部52が、相互に係止した状態となる。この際、メス平行縁52bはオス長手部31の長手方向端縁31aに接触した状態を維持し、オス平行縁32bもメス長手部51の長手方向端縁51aに接触した状態を維持している。このように、オス抜け止め部32とメス抜け止め部52の間で係止構造が形成されることで、挿入部23を収容部43から脱出させようとする力をそれ以上に印加しても、挿入部23はそれ以上に収容部43の開口43b側に移動することができず、挿入部23が収容部43から軸方向沿って脱出するのが阻止される。印加されていた力が解除されると、磁気吸引力により、挿入部23が収容部43の軸方向後端側に引き戻され、オス係合体3とメス係合体5は、
図5に示す規定配置に復帰される。このように、不用意にオス部材2とメス部材4の間の接続が解除されるのが防止される。
【0070】
一方、オス部材2とメス部材4を接続した状態から、使用者の意思により、接続を解除する場合には、オス部材2とメス部材4を相互に捻るようにして回転を加えながら、オス部材2とメス部材4を相互に離すように力を加えればよい。
図5において、オス係合体3をメス係合体5に対して紙面右側にずらすように回転力を加えれば、オス係合体3の傾斜部33が、メス係合体5のメス誘導部53の傾斜を上るようにして、オス抜け止め部32の平行縁32bがメス長手部51の長手方向端縁51aを離れ、オス長手部31の長手方向端縁31aもメス抜け止め部52の平行縁52bを離れる。このようにして、規定配置におけるオス係合体3とメス係合体5の間の係合が解消される。この係合を解消すれば、オス部材2とメス部材4の間に働く磁気吸引力を上回るだけの力を、挿入部23と収容部43を軸に沿って引き離す方向に印加するだけで、挿入部23を収容部43から脱出させることができる。
【0071】
以上で説明した実施形態においては、オス係合体3およびメス係合体5の両方が、挿入部23および収容部43の軸に沿って長い形状を有している。そして、
図5に示されるように、そのオス係合体3およびメス係合体5の長さ方向に沿って、複数箇所で、オス係合体3とメス係合体5が相互に係合する。このように、収容部43に挿入部23が挿入される軸に沿って複数の箇所で、オス係合体3とメス係合体5が係合することで、1組のオス係合体3とメス係合体5の対によって、強固な係合構造を形成することができる。その結果として、オス係合体3とメス係合体5の対を、3組以上のように多数設けなくても、装身具等の留め具1として、十分な強度の係合を達成することができる。
【0072】
オス係合体3とメス係合体5の対を、円柱状の挿入部23および円筒状の収容部43の周に沿って複数配置する場合には、使用者が各対の係合体3,5に均等に近い力を印加して着脱(オス部材2とメス部材4の接続、および接続の解除)の操作を行えるように、使用者が操作する基部21,41において、中心軸の周りにおける対称性を、それら係合体3,5の配置にかかる対称性と同じかそれ以上の対称性、特に円対称としておく必要がある。これに対し、オス係合体3とメス係合体5の対の数を減らすことができれば、基部21,41の対称性を落とすことができるので、留め具1の操作の利便性を維持したまま、対称性が低い形状を含め、多様なデザインが可能となる。例えば、
図1に示すように、オス係合体3とメス係合体5の対の数を2つとし、円柱状の挿入部23および円筒状の収容部43の中心軸を挟んで対向する位置、つまり中心軸を挟んで線対称な位置に、それらの対を設ける場合に、2つのオス係合体3と2つのメス係合体5を、2通りの組み合わせで係合させることができる限りにおいて、つまり、オス係合体3とメス係合体5を、1つの回転角と、そこから180°回転したもう1つの回転角の両方で係合させることができる限りにおいて、オス部材2とメス部材4の間の接続および取り外しにおける操作の利便性を阻害することなく、オス部材2およびメス部材4の基部21,41の外形を、様々に設定することができる。例えば、オス基部21およびメス基部41の外形を、円対称でない2回対称な形状、つまり、中心軸の周りに180°回転させれば重なる形状とすることができる。オス基部21およびメス基部41の端面22,42も、2回対称な外形、つまり挿入部23および収容部43の中心軸に対して点対称な、円以外の外形とすることができる。さらに、それら端面22,42の外形は、円以外の上下左右対称な形状としてもよい。実際に、
図1でも、2つの基部21,41の端面22,42の外形を、2回対称であり上下左右対称な形状の1種である、楕円形としている。
【0073】
オス係合体3とメス係合体5の対を2組有し、オス基部21およびメス基部41が2回対称な形状を有する留め具1の着脱を行う際には、各基部21,41の上下をつまむようにして手指で把持し、捻りや前進、後退等の操作を行えば、2組の係合体3,5が設けられた位置に、均等に力を印加しやすく、高い操作性が得られる。特に、挿入部23と収容部43の間の磁気吸引力、そしてメス誘導部53によるオス係合体3の規定配置への誘導の効果により、簡単な操作で、オス係合体3とメス係合体5の係合を行うことができ、留め具1の操作性が補助される。相互に係合させるオス係合体3とメス係合体5の個体の組み合わせとしては、2通りがありうるが、オス基部21およびメス基部41の端面22,42を、2回対称な同一形状の外形を有するように形成しておけば、2とおりのいずれで係合させたとしても、2つの端面22,42が面全体でぴたりと重なって当接する。その結果、オス基部21とメス基部41の間で、端面22,42の回転角がずれて、オス部材2とメス部材4の合わせ目に段差状の不整合が生じる、というような事態が起こらない。
【0074】
このように、オス係合体3とメス係合体5の対の数を2組に留めることで、基部21,41の外形が、円柱形、釣鐘形等、円対称な外形に限定されなくなり、高いデザイン性を、留め具1の操作の利便性と両立することができる。特に、
図1に示した楕円形をはじめとして、端面22,42が扁平な形状を有するように、基部21,41をデザインしておけば、基部21,41がともに扁平な面を有するが、オス基部21の扁平面に対して、メス基部41の扁平面を表向きにした場合と裏向きにした場合の両方で、両部21,41の端面がぴたりと重なった状態が得られる。また、基部21,41を扁平形状とすることで、ネックレス等の装身具において、留め具1が使用者の身体によく沿い、装身具を装着した状態において、留め具1によって生じる違和感が軽減される。留め具1を小型に設計することができ、また装身具の他の部位のデザインとの調和性を高めることができるという点においても、高いデザイン性が得られる。
【0075】
オス係合体3およびメス係合体5が、挿入部23および収容部43の軸に沿って長い形状を有することにより、オス係合体3およびメス係合体5の機械的強度を高くできるという効果も得られる。この種の係合体をピンや突起のように細く突出した形状で成形するとすれば、十分な機械的強度を得るために、係合体を構成する金属材料を厚くする必要があるが、上記オス係合体3およびメス係合体5のように、長さ方向の寸法を大きくとることにより、その形状の効果として、機械的強度が得やすくなるので、各係合体3,5の肉厚を小さく抑えることができる。留め具1を、金、銀、プラチナ等、各種金属の中で比較的軟らかい貴金属で形成する場合にも、薄い肉厚で、高い機械的強度を確保しやすい。両係合体3,5を構成する金属材料を薄くすることで、留め具1を小型に製造することができ、デザインの幅が一層広がる。また、留め具1の量産も容易となる。なお、機械的強度が十分に得られるのであれば、エッジ構造よりなるオス係合体3およびメス係合体5は、挿入部23の外周面23aおよび挿入部43の内周面43aに全域で接合されている必要はなく、一部の部位で、それらの面23a,43aに接合されている形態とすることもできる。
【0076】
また、オス係合体3およびメス係合体5が、挿入部23および収容部43の軸に沿って長い形状を有することにより、ピンや突起のような鋭く立ち上がった構造を有する場合に比べて、各係合体3,5における毛髪や衣類の引っ掛けを抑制することができる。もしそれらが引っ掛かったとしても、それらに損傷が生じにくい。
【0077】
オス係合体3およびメス係合体5が、挿入部23および収容部43の軸に沿って長い形状を有し、その長さ方向の複数箇所で係合を形成することができるものであれば、オス長手部31およびメス長手部51の長さL1,L2は特に限定されるものではないが、
図1に示すように、オス係合体3を挿入部23の軸方向全域にわたって形成し、メス係合体5を収容部43の軸方向全域にわたって形成するのが好ましい。そうすると、収容部43に挿入部23を深い位置まで挿入した状態で規定配置が形成されるとともに、両係合体3,5の長さ方向に沿って複数の係合箇所を確保しやすくなるので、オス部材2とメス部材4の間の接続を強固なものとすることができる。また、留め具1による毛髪や衣類の引っ掛けを高度に抑制することができる。両係合体3,5の長さ方向両端部の位置が、挿入部23および収容部43の端部の位置と揃うため、両係合体3,5の長さ方向端部において切り立った端縁が存在せず、そのような端縁に毛髪や衣類が引っ掛かる事態が起こらないからである。特に、挿入部23に設けられたオス係合体3について、そのような効果が大きくなる。
【0078】
後に説明する本発明の第二の実施形態のように、メス係合体5にメス誘導部53を設けず、オス係合体3にオス誘導部を設ける形態もありうるが、本実施形態のように、収容部43の内周面43aに形成されるメス係合体5にメス誘導部53を設けておく方が、収容部43に挿入部23を挿入した際に、磁気吸引力との協働により、挿入部23を収容部43内の規定配置に引き込みやすい。また、オス係合体3の挿入部23の外周面23aの方が、メス係合体5の収容部43の内周面43aよりも視認されやすいが、より視認されにくい収容部43の中に誘導部を設けておくことで、オス係合体23の方を簡素な外観で構成でき、オス部材2とメス部材4を分離した状態における留め具1の外観が良くなる。
【0079】
(各係合体の変形形態)
上記で説明した形態においては、オス抜け止め部32およびメス抜け止め部52が、オス長手部31およびメス長手部51の長手方向端縁31a,51aに垂直な突出縁32a,52aと、それら長手方向端縁31a,51aに平行な平行縁32b,52bとを有し、各突出縁32a,52aと平行縁32b,52bとが直角をなしていた。しかし、オス抜け止め部32およびメス抜け止め部52は、相互間の係止によって、規定配置にある挿入部23が収容部43から軸方向に沿って脱出するのを阻止することができるものであれば、いかなる形状を有していても構わない。両抜け止め部32,52の形状の変形例を
図7(a),(b)に示す。また、メス係合体5の後端部の形状の変形例を
図7(c)に示す。
【0080】
図7(a)においては、両抜け止め部32’、52’の突出縁32a’,52a’が、両長手部31,51の長手方向端縁31a,51aに対して、後端部側に向かって鋭角をなして突出している。両平行縁32b’,52b’は、長手方向端縁31a,31bに平行である。この形態においては、オス抜け止め部32’とメス抜け止め部52’の間の係止が、上記実施形態よりも深くなるので、収容部43からの挿入部23の脱出をより強固に阻止することができる。
【0081】
図7(b)の形態においては、
図7(a)の形態からさらに、各抜け止め部32”、52”の角が、丸められている。これにより、万一、使用者の手指等が各抜け止め部32”、52”に接触することがあっても、不快感を抑えることができる。また、各抜け止め部32”、52”に毛髪や衣類が掛かることがあっても、損傷を小さく抑えることができる。
【0082】
図7(c)においては、メス係合体5の後端部に、安定部54が凹構造として設けられている。オス抜け止め部32がメス誘導部53のよって誘導され、メス係合体5の後端部に達すると、オス抜け止め部32は、この安定部53に嵌まり込む。これにより、規定配置の保持の安定性が高まる。
【0083】
(係合体を切欠き構造とする形態)
上記で説明した実施形態においては、オス係合体3を挿入部23の外周面23aから隆起したエッジ構造として形成し、メス係合体5も収容部43の内周面43aから隆起したエッジ構造として形成した。しかし、オス係合体3を挿入部23の外周面23aから陥没した切欠き構造として形成すること、および/または、メス係合体5を収容部43の内周面43aから陥没した切欠き構造として形成することも可能である。エッジ構造においては、各係合体3,5が挿入部23の外周面23aおよび収容部43の内周面43aから所定の隆起高さH1,H2で外側に向かって隆起していたが、その代わりに、切欠き構造においては、各係合体3,5が挿入部23の外周面23aおよび収容部43の内周面43aから所定の陥没深さで内側に向かって陥没している。隆起と陥没の別を除いては、オス係合体3およびメス係合体5の形状および配置、着脱時の挙動および作用効果は、上記エッジ構造の場合と同様である。以下で説明する各実施形態においても、隆起したエッジ構造は、陥没した切欠き構造に等価に置換可能である。なお、切欠き構造における陥没とは、その部位を構成する金属材料の面が窪んでいる形態のみならず、その部位を構成する金属材料が除去されている形態も含むものとする。この場合切欠き構造の陥没深さは、金属材料の厚みと等しくなる。
【0084】
エッジ構造と切欠き構造を比較すると、挿入部23の外周面23aおよび収容部43の内周面43aへの形成の容易性、および強度の確保という観点では、エッジ構造の方が優れている。挿入部23および収容部43の小型化および外観の簡素化、特に挿入部23の小型化という観点では、切欠き構造の方が優れている。
【0085】
[第二の実施形態]
以下、本発明の別の実施形態にかかる留め具について簡単に説明する。以下では、上記本発明の第一の実施形態にかかる留め具1と同様の構成および効果については説明を省略し、第一の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
上記第一の実施形態においては、メス係合体5に、オス係合体3を規定位配置に誘導するためのメス誘導部53が設けられており、オス係合体3にはそのような誘導部は設けられていなかった。これに対し、第二の実施形態においては、オス係合体3にオス誘導部を設け、吸引部材25,45による磁気吸引力の存在下で、オス誘導部に接触したメス係合体5を規定配置における位置まで誘導するように構成する。オス誘導部の形状としては、上記第一の実施形態におけるメス誘導部53と同様に、オス長手部31からオス抜け止め部32が突出している方向と反対側に、オス長手部31の長さ方向に対して傾斜を有するオス係合体3の端縁として、挿入部23の外周面23aに沿って設ければよい。すると、オス誘導部は、挿入部23の中心軸の周りに螺旋形状をとって設けられることになる。本第二の形態においては、メス係合体5には、メス誘導部53を設けずに、メス抜け止め部52の突出方向と反対側に、上記第一の実施形態におけるオス係合体3の傾斜部33と同様の傾斜部を設け、その傾斜部の傾斜角を、オス係合体3のオス誘導部の傾斜角と等しくしておけばよい。
【0087】
[第三の実施形態]
上記第一の実施形態および第二の実施形態においては、相手方の係合体を規定配置における位置まで誘導する誘導部を、オス係合体3およびメス係合体5のいずれか一方のみに設けたが、本発明の第三の実施形態においては、オス係合体3にメス係合体5を誘導するオス誘導部を設けるとともに、メス係合体5にも、オス係合体3を誘導するメス誘導部53を設ける。具体的には、第一の実施形態におけるメス誘導部53を有するメス係合体5と、第二の実施形態におけるオス誘導部を有するオス係合体3を組み合わせて、留め具1に設ければよい。すると、磁気吸引力の存在下で、オス係合体3のオス誘導部の傾斜が、メス係合体5のメス誘導部53の傾斜と当接し、相互に滑るようにして、オス係合体3およびメス係合体5が規定配置に誘導される。このように、オス係合体3とメス係合体5が、相互に規定配置における位置まで誘導し合うことにより、規定配置を形成しやすくなる。
【0088】
[第四の実施形態]
上記第一から第三の実施形態においては、オス係合体3とメス係合体5の対を2組設けたが、それらの数は2組に限られない。1組、あるいは3組以上とすることもでき、それらの数に応じた対称性で、端面22,42を含むオス基部21およびメス基部41の形状をデザインすればよい。オス係合体3とメス係合体5の対の数を1組とする場合には、基部21,41の形状について対称性を考慮する必要がないので、さらに留め具1のデザインの幅が広がる。
【0089】
[第五の実施形態]
以上第一から第四の実施形態においては、挿入部23に設けるオス係合体3および収容部43に設けるメス係合体5を、ともに、挿入部23および収容部43の軸方向に長いエッジ構造(または切欠き構造)として設けた。これに対し、本発明の第五の実施形態においては、オス係合体3を、挿入部23の外周面23aに立設されたピンまたは突起よりなる突出係合体とする。ピンまたは突起とは、突出高さが、挿入部23の軸に沿った長さ、および挿入部23の周に沿った幅の少なくとも一方以上となったものである。メス係合体5は、上記第一の実施形態におけるメス係合体5と同様の、長手部51、抜け止め部52、誘導部53を一体に有し、挿入部23の外周面23aを設置面として、設置面から隆起したエッジ構造(または設置面から陥没した切欠き構造)として設けられた長手係合体となっている。
【0090】
挿入部23を収容部43に挿入し、突出係合体の側面が長手係合体の誘導部53に接触すると、磁気吸引力の存在下で、突出係合体が、収容部43の後端側の規定配置における位置、つまり誘導部53と長手部51が突き当たっている部位まで誘導される。この状態で挿入部23を収容部43から脱出させる方向に力が印加されると、突出係合体が、側面部において、長手係合体の抜け止め部52に係止され、挿入部23の脱出が阻止される。
【0091】
オス係合体3を突出係合体として設けていることで、上記第一の実施形態のように挿入部23の軸方向に長いエッジ状(または切欠き状)の長手係合体とする場合よりも、メス係合体5との間の係合は弱くなりがちであるが、突出係合体の突出高さを高くすること等により、その係合を強固にすることは可能である。そのうえで、オス係合体3とメス係合体5の対の数を2組とし、挿入部23および収容部43の中心軸を挟んで対向する位置にそれら2組を設ければ、留め具1のデザインの自由度を高めることができる。オス基部21およびメス基部41の端面22,42が、楕円形等、挿入部23および収容部43の中心軸について点対称な、円形以外の同一形状の外形を有するようにすれば、留め具1の操作の利便性とデザインの自由度を両立することができる。
【0092】
本実施形態においては、収容部43の内側に設けられるメス係合体5の方を、誘導部53を有する長手係合縁として設けることで、挿入部23に設けられたオス係合体3を収容部43の中の規定配置に高確度に誘導することができる。また、比較的複雑な形状を有する長手係合体を、視認されにくい収容部43の内部に設け、単純なピン形状または突起形状の突出係合体を、視認されやすい挿入部23の外周に設けることで、オス部材2とメス部材4を分離した状態における留め具1の外観が良くなるという効果も奏される。
【0093】
[第六の実施形態]
本発明の第六の実施形態においては、上記第五の実施形態とは逆に、メス係合体5が突出状係合体として設けられ、オス係合体3が、第一の実施形態と同様の、エッジ状(または切欠き状)の長手係合体として設けられる。比較的複雑な形状を有する長手係合体の方を、挿入部23の外周面23aに設けることになるので、この形態は、留め具1の製造性において優れている。
【0094】
[第七の実施形態]
図8〜11に、本発明の第七の実施形態にかかる留め具1’について説明する。本実施形態においても、上記各実施形態と共通する構成を適用可能な部分については、説明を省略する。
【0095】
本実施形態にかかる留め具1’においては、挿入部23の外周面23aに、オス係合体として、ピンまたは突起よりなる突出係合体6が設けられている。一方、収容部43の内周面43aに、メス係合体として、長手係合体7と、抜け止め部8の組が設けられている。そのようなオス係合体とメス係合体の対は、挿入部23および収容部43の中心軸を挟んで対向する位置に、2組設けられている。なお、本実施形態においては、メス基部41の外殻が、筒状の収容部43を兼ねており、メス基部41の外殻の内側面が、収容部43の内周面43aとなっている。また、長手係合体7は、収容部43の内周面43aに、軸方向後端側の部位でのみ接合されている。
【0096】
長手係合体7は、設置面である収容部43の内周面43aから隆起したエッジ構造よりなっている。長手係合体7においては、挿入部23の軸に沿った長さ方向の寸法L3が、内周面43aからの隆起高さよりも大きくなっている。そして、長手係合体7は、
図8の展開図に示すように、収容部43の開口43b側に位置する頂部71を挟んで左右対称に設けられた左誘導部72と右誘導部73とからなる誘導部を有している。左誘導部72および右誘導部73は、それぞれ、収容部43の軸に対して傾斜を有する長手係合体7の端縁として形成されており、軸方向後端側に凸な曲面をなして、頂部71から軸方向後端側に向かって裾広がり状に傾斜している。左誘導部72および右誘導部73は、収容部43の中心軸の周りに、回転方向が相互に逆の螺旋形状をとって設けられていることになる。
【0097】
そして、収容部43の軸方向後端側の部位において、1つの長手係合体7の左誘導部72と、隣接する別の長手係合体7の右誘導部73とが突き当たる部位に、それら左誘導部72と右誘導部73に連続して、軸方向後端側に窪んだ凹構造として、安定部74が設けられている。安定部74は、突出係合体6を凹部の中に進入させ、収容することができる。安定部74に突出係合体6が収容された状態が、オス部材2’とメス部材4’の接続の最終状態である規定配置となる。
【0098】
抜け止め部8は、長手係合体7と別体として、収容部43の内周面43aに設けられている。抜け止め部8は、収容部43の軸に沿って安定部74よりも軸方向開口側の部位に、収容部43の内周面43aから突出した構造として立設されている。抜け止め部8の軸方向後端側の面は、安定部74を脱出した突出係合体6が当接可能な当接面81となっている。一方、抜け止め部8の軸方向開口側には、頂部82を境として両側に、長手係合体7の誘導部に向かって傾斜した第一傾斜面83および第二傾斜面84が設けられている。第一傾斜面83は、1つの長手係合体7の右誘導部73に向かって傾斜しており、第二傾斜面84は、隣接する別の長手係合体7の左誘導部72に向かって傾斜している。
【0099】
左誘導部72および右誘導部73は、吸引部材25,45による磁気吸引力の存在下で、収容部43の軸に対してそれぞれ左回り方向および右回り方向の双方から、突出係合体6を、規定配置における位置、つまり安定部74に収容される位置まで誘導する役割を果たす。ここで、左回りおよび右回りとは、収容部43の中心軸の周りにおける回転方向を示す便宜的なものであり、単に2つある回転方向の一方と他方を指すものである。
【0100】
オス部材2’とメス部材4’を接続する際に、
図9中にルートAとして示すように、右誘導部73に突出係合体6が接触すると、突出係合体6は、右誘導部73によって、右回りに安定部73まで誘導され、安定部74内に収容される。一方、ルートBとして示すように、左誘導部72に突出係合体6が接触すると、突出係合体6は、左誘導部72によって、左回りに安定部74まで誘導され、安定部74内に収容される。また、ルートA’として示すように、抜け止め部8の第一傾斜面83に突出係合体6が接触すると、突出係合体6は、第一傾斜面83に誘導されて、右誘導部73に接触する位置に移動し、さらに右誘導部73によって安定部74に誘導される。一方、ルートB’として示すように、抜け止め部8の第二傾斜面84に突出係合体6が接触すると、突出係合体6は、第二傾斜面84に誘導されて、左誘導部72に接触する位置に移動し、さらに左誘導部72によって安定部74に誘導される。このように、収容部43の中の多様な位置から、突出係合体6が安定部74に誘導され、規定配置が形成される。
【0101】
突出係合体6が安定部74内に収容された規定状態において、挿入部23を収容部43から脱出させる方向に力が印加された際には、
図10に示すように、突出係合体6が抜け止め部8の当接面81に当接し、係止される。これにより、挿入部23が収容部43から脱出するのが阻止される。力の印加が解消されると、磁気吸引力により、突出係合体6が安定部74内に収容された規定配置に復帰する。
【0102】
オス部材2’とメス部材4’を接続した状態から、使用者の意思により、接続を解除する場合には、オス部材2’とメス部材4’を左右いずれかに相互に捻るように回転させながら、オス部材2’とメス部材4’を相互に離すように力を加えればよい。すると、
図11に示すように、突出係合体6が、安定部74を脱出し、左誘導部72または右誘導部73の傾斜を上るようにして収容部43の軸方向開口側に向かって移動し、オス部材2’とメス部材4’を引き離すことができる。
図11中にルートCおよびルートDとして示すように、オス部材2’とメス部材4’を相互に回転させる方向は、右回りおよび左回りのいずれとしても、同様に接続を解除することができる。
【0103】
本実施形態にかかる留め具1’においては、左誘導部72および右誘導部73が左回り方向と右回り方向の両方から突出係合体6を安定部74に誘導することにより、挿入部23を様々な状態で収容部43内に配置しても、強力に規定配置を形成することができる。また、安定部74に収容された突出係合体6が、振動、不用意な回転等を受けて左右いずれかに脱出しようとしても、左誘導部72および右誘導部73によって、安定部74内に引き戻され、安定部74に収容された状態に留まる。このようにして、突出係合体6と長手係合体7の間で、規定配置を維持する係合が強固に形成されうる。その結果、本実施形態にかかる留め具1’においても、第一の実施形態と同様、係合体の組の数を、2組以下に抑えることができ、デザインの自由度を操作の利便性と両立することが可能となる。第一の実施形態と同様に、オス基部21およびメス基部41を、挿入部23および収容部43の中心軸の周りに2回対称な形状のデザインとすることができ、それらの端面22,42も、楕円等、中心軸の周りとした2回対称な形状、また上下左右対称な形状とすることができる。
【0104】
本実施形態にかかる留め具1’においても、第一の実施形態と同様、様々な変形形態が想定される。例えば、突出係合体6を収容部43の内周面43aに設け、長手係合体7を挿入部23の外周面23aを設置面として設ける形態とすることができる。また、長手係合体7を、設置面である収容部43の内周面43aまたは挿入部23の外周面23aから隆起したエッジ構造として設ける代わりに、設置面から陥没した切欠き構造として設けることもできる。
【0105】
[第八の実施形態]
上記第七の実施形態においては、隣接する長手係合体7の左誘導部72と右誘導部73の間の部位に、規定配置において突出係合体6が収容される凹形状の安定部74が設けられた。しかし、第八の実施形態においては、そのような安定部74が設けられず、隣接する2つの長手係合体7の左誘導部72と右誘導部73とが、直接突き合わせられて、隣接する2つの長手係合体7の間の部位が、なだらかな谷の形状となっている。この場合でも、左誘導部72と右誘導部73の存在により、長手係合体7と突出係合体6の間で、ある程度強い係合を達成することができる。
【0106】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
柱状体よりなる挿入部23を備えたオス部材2と、挿入部23を収容可能な筒状の収容部43を備えたメス部材4と、よりなる留め具1において、挿入部23および収容部43に、磁気吸引力によって挿入部23を収容部43の中に誘い込む吸引部材をそれぞれ設ける。オス部材2の挿入部23の外周面23aにオス係合体3を設け、メス部材4の収容部43の内周面43aにメス係合体5を設ける。オス係合体3およびメス係合体5の少なくとも一方は、挿入部23および収容部43の軸に沿って長い形状の隆起したエッジ構造または陥没した切欠き構造として設け、かつ、他方を誘導する誘導部53を有するものとする。また、他方を係止することで、収容部43から挿入部23が脱出するのを阻止することができる抜け止め部52を有するものとする。