【実施例】
【0036】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0037】
図1は、実施例の管状部材端部の固定構造を備えた建物1の概略構成を示している。
【0038】
まず、この建物1は、地盤に打設された建物基礎1Bの上に建物本体1Aが構築されて成る。
【0039】
具体的には、建物基礎1Bの上端に基礎パッキン2を介して土台3が設けられており、土台3の上に根太6が設けられ、根太6の上面に、床材7が貼設されて、床材7の上に内壁4が固定され、さらに、内壁4の外側に外壁5が固定されている。
【0040】
これにより、床材7を境にして、1階の床上空間8と最下階の床下空間9とが形成されている。
【0041】
さらに、外壁5を形成する外壁材51の下端部には、この外壁材51と建物基礎1Bとの間の目地部を隠蔽する化粧部材10が設けられている。
【0042】
そして、この実施例1の蓄電池設置構造では、建物1の床上空間8内に、蓄電池11が格納された格納容器12が設けられている。
【0043】
ここで、格納容器12には、通気孔12aと配線挿通孔12bとが形成されている。
【0044】
また、屋外空間に面する外壁5を形成する外壁材51には、孔13が設けられている。
【0045】
そして、格納容器12の通気孔12aと、外壁5に設置された建物用設備である蓄電池11用のパワーコンディショナ16との間が管状部材14で接続されて気密性の通気経路が形成されている。
【0046】
ここで、管状部材14は、格納容器12の側面の通気孔12aから床上空間8を通って床材7を貫通し、床下空間9を通って床材7を貫通し、内壁4内を通って外壁5に設けられた孔13を通って、この管状部材14の端部14aは、パワーコンディショナ16の取付部材15に固定されている。
【0047】
また、管状部材14と並列に、蓄電池11とパワーコンディショナ16との間が、配線17により接続されている。
【0048】
次に、この実施例の管状部材端部の固定方法を説明しながら、この実施例の管状部材端部の固定構造の詳細について説明する。
【0049】
まず、
図2に示したように、外壁5に設けた孔13から管状部材14の端部14a及び配線17の端部17aを外側に引き出す。
【0050】
そして、この状態で、
図3に示したように、水密材18により、孔13を塞ぐ。水密材18には孔18aが形成されており、この孔18aに管状部材14の端部14a及び配線17の端部17aを挿通させる。水密材18の材質は圧縮変形性を有するものであり、管状部材14の端部14a及び配線17の端部17aを挿通させた状態では、孔18aは概ね閉じられている。
【0051】
続いて、
図4に示したように、取付部材15を、パワーコンディショナ16の設置予定位置の高さまで持ってくる。
【0052】
この取付部材15は、板状の取付部材本体15Aに、管状部材14の端部14a及び配線17の端部17aを通すための孔151が設けられており、この孔151の周縁部には、屋外側に突出した箱状突出縁部152が形成されている。
【0053】
また、箱状突出縁部152の下側の上面端部には、管状部材14の端部14aを係止して固定するための固定用孔153aを有する管状部材固定部153が設けられている。
【0054】
さらに、箱状突出縁部152の外側面の上方で連続した設備固定部としての挿通孔154aを有する突起154と、その上方の設備固定部としての挿通孔155aを有する突起155とが設けられている。
【0055】
また、取付部材本体15Aには、建物1の外壁5に締結部材としてのネジ19,・・・で固定するための挿通孔150a,・・・が設けられている。
【0056】
さらに、取付部材本体15Aの表側面には、横方向に長い上下2列のフック受け156,156が設けられている。
【0057】
ここで、フック受け156には、横方向に略等間隔で、縁部が切り起こされた切欠156aが形成されている。
【0058】
また、
図5に示したように、取付部材本体15Aの裏側面の縁部には、パッキン材20が設けられている。
【0059】
続いて、
図6に示したように、取付部材本体15Aの孔151から管状部材14の端部14a及び配線17の端部17aを引き出した状態で、挿通孔150a,・・・にネジ19,・・・をねじ込み、取付部材15を外壁5に固定する。
【0060】
続いて、
図7に示したように、管状部材14の端部14aの開口部を、網目状部材21で覆った状態で、根元を結束バンド22で締め付けて固定する。
【0061】
そして、
図8に示したように、網目状部材21で開口部を覆った管状部材14の端部14aを、管状部材固定部153の固定用孔153a内に挿入し、係止して固定する。
【0062】
なお、管状部材固定部153は、手前側に向かって若干傾斜しており、管状部材14の端部14aの開口部は斜め下向きになっている。
【0063】
続いて、
図9に示したように、パワーコンディショナ16のパワーコンディショナ本体16Aからネジ23,・・・を外して、フロントカバー161を開いておく。
【0064】
ここで、
図10に示したように、パワーコンディショナ16のパワーコンディショナ本体16Aの裏側面には、取付部材15の取付部材本体15Aのフック受け156,156に係合可能な横方向に長い上下2列のフック162,162が設けられている。
【0065】
また、
図11に示したように、パワーコンディショナ16のパワーコンディショナ本体16Aの右側面には、挿通孔160a,160aが設けられている。
【0066】
続いて、
図12に示したように、パワーコンディショナ16のパワーコンディショナ本体16Aを、外壁5に固定された取付部材15の高さまで持ってくる。
【0067】
そして、配線17の端部17aをパワーコンディショナ16のパワーコンディショナ本体16Aの手前側に引き出した状態で、取付部材15のフック受け156,156に、パワーコンディショナ本体16Aのフック162,162を係合し、重なった挿通孔154a,160a及び155a,160aにネジ24をそれぞれねじ込むと、
図13に示したように、パワーコンディショナ16のパワーコンディショナ本体16Aが、取付部材15を介して、外壁5にしっかりと設置された状態となる。
【0068】
続いて、配線17の端部17aを所定の位置に接続した後、
図14に示したように、ネジ23,・・・をねじ込み、フロントカバー161によりパワーコンディショナ本体16Aの手前側を塞ぐとともに、ネジ25,・・・をねじ込み、フードカバー163によりパワーコンディショナ本体16Aの上面側も塞ぐ。
【0069】
これにより、
図15に示したように、この実施例の管状部材端部の固定構造が完成する。
【0070】
なお、フードカバー163は、手前側に向かって下るように傾斜しており、パワーコンディショナ16の背面からの雨水等の浸入を防止するものである。
【0071】
また、取付部材15は、パワーコンディショナ16のケーシングの裏側面板も兼ねている。
【0072】
さらに、取付部材15の高さは、パワーコンディショナ本体16Aの高さよりも低いので、取付部材15の上端部と、フードカバー163の下面との間においてケーシングと外壁5との間の連通部としての隙間26が形成されており、この隙間26は、パワーコンディショナ16内から熱を排熱する排熱孔の役目を果たすとともに、管状部材14の端部14aの開口部から排出される排ガスを排気する排気孔の役目も果たす。
【0073】
また、パワーコンディショナ16の右側面には、ブレーカードア164が設けられており、このブレーカードア164内には、図示省略のブレーカースイッチが格納されている。
【0074】
次に、実施例の作用効果について説明する。
【0075】
このような実施例の管状部材端部の固定構造は、建物1の外壁5に設けた孔13から引き出された管状部材14の端部14aが、外壁5に固定された取付部材15に固定されており、外壁5には、管状部材14の端部14aを隠蔽するように、取付部材15を介して、建物用設備としてのパワーコンディショナ16が設置された構成とされている。
【0076】
上記した構成なので、管状部材14の端部14aが建物用設備としてのパワーコンディショナ16により隠蔽されるため、目隠部材や化粧部材等の専用の隠蔽手段を設けることなく、見栄えを良くすることができる。
【0077】
ここで、管状部材14は、建物1の内部に設置された蓄電池11を格納した格納容器12から延びるものであり、建物用設備は、蓄電池11用のパワーコンディショナ16である。
【0078】
このため、蓄電池11用のパワーコンディショナ16は、建物1の内部に蓄電池11を設置した際に必要な建物用設備なので、この蓄電池11用のパワーコンディショナ16を管状部材14の端部14aの隠蔽手段として有効利用することができる。
【0079】
また、管状部材14と並列して、蓄電池11とパワーコンディショナ16とを繋ぐ配線17が設けられている。
【0080】
このため、配線17のための孔13を、管状部材14を配設するための孔としても利用することができる。
【0081】
さらに、取付部材15は、建物用設備としてのパワーコンディショナ16のケーシングの裏側面板を兼ねており、ケーシングには、屋外と連通する連通部としての隙間26が設けられている。
【0082】
このため、管状部材14の端部14aの開口部からの排ガスを、このケーシングの隙間26から屋外への排気をすることができる。
【0083】
また、管状部材14の端部14aの開口部には、網目状部材21が設けられている。
【0084】
このため、管状部材14の端部14aの開口部からの虫や小動物等の異物の侵入を防止することができる。
【0085】
実施例の取付部材15は、上記した実施例の管状部材端部の固定構造に用いられる取付部材である。そして、板状の取付部材本体15Aに管状部材14の端部14aを通すための孔151が設けられており、孔151の屋外側に管状部材14の端部14aを固定するための固定用孔153aを有する管状部材固定部153が設けられた構成とされている。
【0086】
上記した構成なので、管状部材14の端部14aを外壁5の外側に向けた状態に容易に固定することができる。
【0087】
ここで、取付部材本体15Aには、建物1の外壁5に締結部材としてのネジ19,・・・で固定するための挿通孔150a,・・・が設けられている。
【0088】
このため、取付部材15を外壁5に容易に固定することができる。
【0089】
また、取付部材本体15Aの表側面には、建物用設備としてのパワーコンディショナ16の裏側面に設けたフック162,162を受けるフック受け156,156が設けられている。
【0090】
このため、建物1の外壁5に、建物用設備としてのパワーコンディショナ16を安定した状態で設置することができる。
【0091】
さらに、取付部材本体15Aの表側面には、建物用設備としてのパワーコンディショナ16を締結部材としてのネジ24,24で固定するための設備固定部としての突起154,155が設けられている。
【0092】
このため、建物1の外壁5に、建物用設備としてのパワーコンディショナ16をよりしっかりと安定した状態で設置することができる。
【0093】
また、取付部材本体15Aの裏側面の縁部には、パッキン材20が設けられている。
【0094】
このため、パッキン材20により、取付部材15の裏面側に雨水等が浸入するのを防止することができるうえに、外壁5を傷付けずに済む。
【0095】
さらに、取付部材本体15Aの孔151の周縁部が連続して表面側に突出した箱形突出縁部152が形成されている。
【0096】
このため、この箱形突出縁部152によって、取付部材15の表面を伝って流下してきた雨水等が管状部材14の端部14aや取付部材15の孔151へ至らないようにすることができる。
【0097】
実施例の管状部材端部の固定方法は、上記した実施例の取付部材15を用いて、上記した実施例の管状部材端部の固定構造とするための管状部材端部の固定方法である。そして、取付部材本体15Aに設けた孔151から管状部材14の端部14aを引き出した状態で、取付部材15を建物1の外壁5に固定する工程と、管状部材14の端部14aを、取付部材15の取付部材本体15Aの孔151の屋外側の管状部材固定部153に固定する工程と、取付部材15に建物用設備としてのパワーコンディショナ16を固定する工程とから成る構成とされている。
【0098】
上記した構成なので、上記した実施例の管状部材端部の固定構造を容易に施工することができる。
【0099】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0100】
例えば、上記した実施例では、建物1を、枠組壁工法による建物として実施したが、これに限定されず、鉄骨ラーメン構造のユニット建物や通常の軸組建物等の他の建物で実施してもよい。
【0101】
また、上記した実施例では、管状部材14の端部14aの開口部が、蓄電池11から排出される排ガスを排気する排気口となるようにして実施したが、これに限定されず、例えば、管状部材14の端部14aの開口部が、換気システムの給気口(吸入口)や排気口(吐出口)となる場合などに適用して実施してもよい。
【0102】
さらに、上記した実施例では、建物用設備として、蓄電池11用のパワーコンディショナ16を用いて実施したが、これに限定されず、例えば、配電盤等の他の建物用設備を用いて実施してもよい。