特許第6236685号(P6236685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236685
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20171120BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20171120BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20171120BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171120BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20171120BHJP
【FI】
   F21S8/12 270
   F21S8/10 170
   F21S8/12 210
   F21S8/12 271
   F21W101:10
   F21Y115:10
   F21Y115:15
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-146708(P2013-146708)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-18761(P2015-18761A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−058321(JP,A)
【文献】 特開2011−187305(JP,A)
【文献】 実開昭63−006606(JP,U)
【文献】 特開2007−213877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
F21S 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源と、
前記半導体型光源の発光面からの光を所定の配光パターンとして車両の前方に照射するレンズと、
前記発光面からの光の一部が入射される入射面と前記入射面に入射された光を前記レンズに向けて出射する出射面とが設けられた可変焦点レンズ部を有する光制御部材と、
を備え、
前記光制御部材の一部は、前記発光面を含む面、および、前記レンズの入射面、および、前記レンズの縁を通り前記レンズの基準光軸と平行もしくはほぼ平行な筒面により囲まれた空間中に配置されていて、
前記光制御部材の前記一部のうち、前記可変焦点レンズ部の入射面と前記可変焦点レンズ部の出射面との間の面であって前記基準光軸に向き合う面には、光拡散部が設けられている、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記光制御部材は、駆動部材により、前記一部が前記空間中に配置されている第1位置と、第2位置とに移動切替可能に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記光制御部材が前記第1位置に位置するときには、前記光拡散部が前記基準光軸よりも下側に位置し、
前記発光面からの光であって前記光拡散部で反射された光は、前記レンズから前記基準光軸より上向きに照射される、
ことを特徴とする請求項に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記光拡散部は、プリズム素子の群からなり、
前記プリズム素子の軸は、前記発光面からの光の放射方向もしくはほぼ放射方向に位置する、
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源からの光をレンズから所定の配光パターンとして車両の前方に照射するレンズ直射型の車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。
【0003】
特許文献1の従来の車両用前照灯は、発光素子光源と、投影レンズと、シェードとを、備えるダイレクトプロジェクション方式のものである。発光素子光源からの光の一部をシェードで遮蔽して、残りの光を投影レンズからカットオフラインを有するすれ違い配光パターンとして車両の前方に照射するものである。
【0004】
特許文献2の従来の車両用前照灯は、発光ユニットと、投影レンズと、シェードを含む光学部材と、を備える直射型のものである。発光ユニットからの光の一部をシェードと遮蔽して、残りの光を投影レンズからロービームとして車両の前方に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−187305号公報
【特許文献2】特開2012−18839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の従来の車両用前照灯は、シェードの一部が発光素子光源と投影レンズとの間に位置するときに、発光素子光源からの光がシェードの一部の光軸に向き合う面で反射して投影レンズに入射すると、配光制御されていない光が投影レンズから迷光として照射される。また、同じく、特許文献2の従来の車両用前照灯は、シェードの一部が発光ユニットと投影レンズとの間に位置するときに、発光ユニットからの光がシェードの一部の光軸に向き合う面で反射して投影レンズに入射すると、配光制御されていない光が投影レンズから迷光として照射される。そして、迷光が集中すると、グレアとなる場合がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用前照灯では、投影レンズから照射される迷光によりグレアが発生する場合がある、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源と、半導体型光源の発光面からの光を所定の配光パターンとして車両の前方に照射するレンズと、発光面からの光の一部が入射される入射面と入射面に入射された光をレンズに向けて出射する出射面とが設けられた可変焦点レンズ部を有する光制御部材と、を備え、光制御部材の一部は、発光面を含む面、および、レンズの入射面、および、レンズの縁を通りレンズの基準光軸と平行もしくはほぼ平行な筒面により囲まれた空間中に配置されていて、光制御部材の一部のうち、可変焦点レンズ部の入射面と可変焦点レンズ部の出射面との間の面であって基準光軸に向き合う面には、光拡散部が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項2にかかる発明)は、光制御部材が、駆動部材により、一部が空間中に配置されている第1位置と、第2位置とに移動切替可能に位置する、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項3にかかる発明)は、光制御部材が第1位置に位置するときには、光拡散部が基準光軸よりも下側に位置し、発光面からの光であって光拡散部で反射された光が、レンズから基準光軸より上向きに照射される、ことを特徴とする。
【0011】
この発明は、光制御部材が、可変焦点レンズ部を備える、ことを特徴とする。
【0012】
この発明(請求項にかかる発明)は、光拡散部が、プリズム素子の群からなり、プリズム素子の軸が、発光面からの光の放射方向もしくはほぼ放射方向に位置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明の車両用前照灯は、発光面からの光が光制御部材の一部のうち基準光軸に向き合う面の光拡散部で散らばって(拡散して)反射する。このために、配光制御されていない光がレンズから迷光として照射されたとしても、その迷光は散らばっているので、グレアとなるようなことがない。このように、レンズから照射される迷光によりグレアが発生する場合がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示すランプユニットの主要構成部品の分解斜視図である。
図2図2は、ランプユニットを示す斜視図である。
図3図3は、ランプユニットを示す正面図である。
図4図4は、光制御部材が第1位置に位置しているときの光路を示す説明図(図3におけるIV−IV線断面図に対応する説明図)である。
図5図5は、光制御部材が第2位置に位置しているときの光路を示す説明図(図3におけるIV−IV線断面図に対応する説明図)である。
図6図6は、発光面からの光が光拡散部において散らばって反射する状態を示す光路の説明図である。
図7図7は、光が光拡散部において散らばって反射する状態と散らばらずに反射する状態とを示す光路の説明図である。
図8図8は、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを示す等光度曲線の説明図である。
図9図9は、散らばっている状態の迷光と散らばっていない状態の迷光とを示す説明図である。
図10図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す光路の説明図(図6に対応する説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)の2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図8図9において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、図8は、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図である。この等光度曲線の説明図において、中央の等光度曲線は、高光度を示し、外側の等光度曲線は、低光度を示す。さらに、図4図5図6図10において、レンズおよび光制御部材の断面のハッチングは、省略してある。この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
【0016】
(実施形態1の構成の説明)
図1図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両用前照灯の構成について説明する。図1中、符号1は、この実施形態1にかかる車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプなど)である。前記車両用前照灯1は、車両の前部の左右両端部に搭載されている。
【0017】
(ランプユニットの説明)
前記車両用前照灯1は、図1図3に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、レンズ(固定レンズ)3と、光制御部材(可動レンズ)4と、駆動部材5と、レンズカバー部材6と、軸受部材7と、ベース部材8と、冷却部材9と、を備えるものである。
【0018】
前記半導体型光源2および前記レンズ3および前記光制御部材4および前記駆動部材5および前記レンズカバー部材6および前記軸受部材7および前記ベース部材8および前記冷却部材9は、ランプユニットを構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記ランプユニット2、3、4、5、6、7、8、9は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0019】
(半導体型光源2の説明)
前記半導体型光源2は、図1図4図7に示すように、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源2は、発光チップ(LEDチップ)20と、前記発光チップ20を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)と、前記パッケージを実装した基板21と、前記基板21に取り付けられていて前記発光チップ20に電源(バッテリー)からの電流を供給するコネクタ22と、から構成されている。なお、図4図7においては、前記コネクタ22の図示を省略してある。
【0020】
前記基板21は、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8の光源取付部80に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記光源取付部80に取り付けられている。この結果、前記半導体型光源2は、前記ベース部材8に取り付けられている。
【0021】
前記発光チップ20は、この例では、平面矩形形状(平面長方形状)をなす。すなわち、4個の正方形のチップをX軸方向(水平方向)に配列してなるものである。なお、2個もしくは3個もしくは5個以上の正方形のチップ、あるいは、1個の長方形のチップ、あるいは、1個の正方形のチップ、を使用しても良い。前記発光チップ20の正面この例では長方形の正面が発光面23をなす。前記発光面23は、前記レンズ3の基準光軸(基準軸)Zの前側に向いている。前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oは、前記レンズ3の基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、前記レンズ3の基準光軸Z上もしくはその近傍に位置する。
【0022】
図において、X、Y、Zは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。X軸は、前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oを通る左右方向の水平軸であって、この実施形態1において、右側が+方向であり、左側が−方向である。また、Y軸は、前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oを通る上下方向の鉛直軸であって、この実施形態1において、上側が+方向であり、下側が−方向である。さらに、Z軸は、前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oを通る法線(垂線)、すなわち、前記X軸および前記Y軸と直交する前後方向の軸であって、この実施形態1において、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0023】
(レンズ3の説明)
前記レンズ3は、光透過性部材から構成されている。前記レンズ3は、図1図6に示すように、主レンズ部30と、補助レンズ部(付加レンズ部)31と、取付部32と、から構成されている。前記取付部32は、前記主レンズ部30の左右両端部に一体に設けられている。前記取付部32は、前記レンズカバー部材6を介して位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8のレンズ取付部81に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記レンズ取付部81に取り付けられている。この結果、前記レンズ3は、前記レンズカバー部材6を介して前記ベース部材8に取り付けられている。前記取付部32は、この例では、前記レンズ3と一体構造であるが、前記レンズ3と別体構造であっても良い。
【0024】
前記レンズ3は、前記半導体型光源2からの光を、図8(A)に示す第1配光パターンとしてのロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)LP、および、図8(B)に示す第2配光パターンとしてのハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)HPとして車両の前方に照射するものである。前記ロービーム用配光パターンLPは、下水平カットオフラインCL1と、斜めカットオフラインCL2と、上水平カットオフラインCL3とを、有する。前記ハイビーム用配光パターンHPは、中央部にホットゾーン(高光度帯)HZを有する。
【0025】
(主レンズ部30の説明)
前記主レンズ部30は、図4図5に示すように、前記基準光軸Zおよび前記基準焦点Fを有する。前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2から放射される光のうち、中央光L1および周辺光の一部を利用するものである。前記中央光L1は、前記半導体型光源2の半球放射範囲のX軸もしくはY軸から所定の角度(この例では、約60°)以上の範囲の光であって、前記主レンズ部30の中央部に入射する光である。また、前記周辺光は、前記半導体型光源2の半球放射範囲のX軸もしくはY軸から所定の角度(この例では、約60°)以下の範囲の光である。前記周辺光の一部は、前記周辺光のうち前記主レンズ部30の周辺部に入射する光である。前記主レンズ部30は、この例では、前記半導体型光源2からの光を透過させる透過タイプのレンズ部である。
【0026】
前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2からの光(前記中央光L1および前記周辺光の一部)を主配光パターン(基本配光パターン)、この実施形態1においては、ロービーム用配光パターンの主配光パターン、および、ハイビーム用配光パターンの主配光パターン、として車両の前方に照射する。すなわち、前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2からの直接入射した光(前記中央光L1および前記周辺光の一部)を前記ロービーム用配光パターンの主配光パターンとして車両の前方に照射し、かつ、前記半導体型光源2から前記光制御部材4を透過した光(前記中央光L1、および、X軸方向の前記周辺光の一部)および前記半導体型光源2からの直接入射した光(X軸方向の前記周辺光の一部を除いた残りの前記周辺光の一部)を前記ハイビーム用配光パターンの主配光パターンとして車両の前方に照射する。
【0027】
前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2からの光が前記主レンズ部30中に入射する入射面300と、前記主レンズ部30中に入射した光が出射する出射面301と、から構成されている。前記主レンズ部30の前記入射面300は、自由曲面あるいは複合2次曲面から構成されている。前記主レンズ部30の前記出射面301は、前記半導体型光源2と反対側に突出した凸形状をなし、自由曲面あるいは複合2次曲面から構成されている。
【0028】
(補助レンズ部31の説明)
前記補助レンズ部31は、図4図5に示すように、前記主レンズ部30の周辺この実施形態1においては下辺(下側)に設けられている。この結果、前記半導体型光源2と、前記レンズ3の上部との間には、開口部が形成されている。
【0029】
前記補助レンズ部31は、前記半導体型光源2から放射される光のうち、周辺光の他の一部L2を有効利用するものである。前記周辺光の他の一部L2は、前記周辺光のうち前記補助レンズ部31に入射する光である。前記補助レンズ部31は、この例では、前記周辺光の他の一部L2を全反射させる全反射タイプのレンズ部である。前記補助レンズ部31は、前記主レンズ部30と一体のものである。
【0030】
前記補助レンズ部31は、前記周辺光の他の一部L2を補助配光パターン、この実施形態1においては、ロービーム用配光パターンの補助配光パターン、および、ハイビーム用配光パターンの補助配光パターン、として車両の前方に照射する。すなわち、前記補助レンズ部31は、前記半導体型光源2から前記光制御部材4を透過した光(前記周辺光の他の一部L2)を前記ロービーム用配光パターンの補助配光パターンとして車両の前方に照射し、かつ、前記半導体型光源2からの直接入射した光(前記周辺光の他の一部L2)を前記ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンとして車両の前方に照射する。
【0031】
前記補助レンズ部31は、前記周辺光の他の一部L2が前記補助レンズ部31中に入射する入射面310と、前記入射面310から前記補助レンズ部31中に入射した光が反射する反射面311と、前記反射面311で反射した反射光が前記補助レンズ部31中から外部に出射する出射面312と、から構成されている。前記入射面310および前記反射面311および前記出射面312は、それぞれ自由曲面(あるいは複合二次曲面)から構成されている。
【0032】
(光制御部材4の説明)
前記光制御部材4は、中央側の部分の可変焦点レンズ部40と、左右両側の部分の取付部41と、を備える。前記可変焦点レンズ部40と前記取付部41とは、光透過部材から構成されていて、一体構造をなす。前記取付部41は、前記軸受部材7を介して前記ベース部材8に位置決めされて取り付けられている。この結果、前記光制御部材4は、前記軸受部材7を介して前記ベース部材8に、第1位置と第2位置との間を回転可能に取り付けられている。前記光制御部材4の回転中心O1は、前記発光面23の中心Oよりも、後側でかつ下側に位置する。
【0033】
前記光制御部材4は、前記駆動部材5により前記第1位置と前記第2位置とに移動(回転)切替可能に構成されている。前記第1位置は、図4に示すように、前記可変焦点レンズ部40が前記半導体型光源2の前記発光面23と、前記補助レンズ部31の前記入射面310との間に位置する位置である。前記第2位置は、図5に示すように、前記可変焦点レンズ部40が前記半導体型光源2の前記発光面23と、前記主レンズ部30の前記入射面300の前記中央光L1が入射する中央部との間に位置する位置である。
【0034】
前記第1位置に位置する前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40と前記レンズ3の前記補助レンズ部31とは、図4に示すように、一部(大部分)が上下において重なる。この結果、前記半導体型光源2と、前記レンズ3の下部および前記光制御部材4との間には、若干の開口部が形成されている。
【0035】
(可変焦点レンズ部40の説明)
前記可変焦点レンズ部40は、前記第1位置に位置するときには、図4に示すように、前記周辺光の他の一部L2を透過させて前記補助レンズ部31中に入射させる。この結果、前記ロービーム用配光パターンの補助配光パターンが前記補助レンズ部31の前記出射面312から車両の前方に照射される。
【0036】
前記可変焦点レンズ部40は、前記第2位置に位置するときには、図5に示すように、前記中央光L1を透過させて前記主レンズ部30の中央部中に入射させる。この結果、前記ハイビーム用配光パターンの主配光パターンが前記主レンズ部30の前記出射面301の中央部から車両の前方に照射される。
【0037】
図1図4図5に示すように、前記可変焦点レンズ部40の入射面400は、前記可変焦点レンズ部40の光軸(光出射軸)方向に、すなわち、前記半導体型光源2の前記発光面23に対して前記可変焦点レンズ部40の内側に凹形状をなす。前記可変焦点レンズ部40の出射面401は、前記可変焦点レンズ部40の光軸(光出射軸)方向に、すなわち、前記半導体型光源2の前記発光面23に対して前記可変焦点レンズ部40の外側に凸形状をなす。
【0038】
前記可変焦点レンズ部40は、前記補助レンズ部31の焦点を変化させるものである。すなわち、前記第1位置に位置するときの前記補助レンズ部31の焦点(疑似焦点)F1を、前記第2位置に位置するときの前記補助レンズ部31の焦点Fに対して、上側かつ右側に変位させるものである。前記疑似焦点F1は、前記可変焦点レンズ部40を通した前記補助レンズ部31の疑似焦点である。
【0039】
前記可変焦点レンズ部40は、水平断面において、対向車線側この例では右側から走行車線側この例では左側にかけて徐々に前記入射面400と前記出射面401との間の距離が近くなる。すなわち、前記可変焦点レンズ部40の右側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は長く、前記可変焦点レンズ部40の左側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は短い。
【0040】
前記可変焦点レンズ部40は、鉛直断面において、上側から下側にかけて徐々に前記入射面400と前記出射面401との間の距離が近くなる。すなわち、前記可変焦点レンズ部40の上側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は長く、前記可変焦点レンズ部40の下側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は短い。なお、鉛直断面において、上側の前記入射面400と前記出射面401との間の距離と、下側の前記入射面400と前記出射面401との間の距離とは、変わらない場合がある。
【0041】
前記可変焦点レンズ部40は、前記の構造により、前記第1位置に位置するときの前記補助レンズ部31の焦点(疑似焦点)F1を、前記第2位置に位置するときの前記補助レンズ部31の焦点Fに対して、上側かつ右側に変位させる。すなわち、前記可変焦点レンズ部40は、前記半導体型光源2の前記発光チップ20(前記発光面23)の位置を、実際の位置から、右斜め下方の仮想の位置に変化させる。
【0042】
これにより、前記ロービーム用配光パターンの補助配光パターンは、前記ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンに対して、右斜め下方に変化する。この結果、前記ロービーム用配光パターンの補助配光パターンは、前記ロービーム用配光パターンLPの前記下水平カットオフラインCL1よりも下側に位置する。
【0043】
また、前記可変焦点レンズ部40は、前記主レンズ部30の焦点を変化させて、前記主レンズ部30から照射される主配光パターンを切り替えるものである。すなわち、前記可変焦点レンズ部40は、前記第1位置に位置するときには、図4に示すように、前記中央光L1および前記周辺光の一部を直接前記主レンズ部30中に入射させる。この結果、前記ロービーム用配光パターンの主配光パターンが前記主レンズ部30の前記出射面301から車両の前方に照射される。
【0044】
前記可変焦点レンズ部40は、前記第2位置に位置するときには、図5に示すように、前記中央光L1を透過させて前記主レンズ部30の中央部中に入射させる。この結果、前記ハイビーム用配光パターンの主配光パターンが前記主レンズ部30の前記出射面301の中央部から車両の前方に照射される。
【0045】
このとき、前記可変焦点レンズ部40は、前記ロービーム用配光パターンの主配光パターンの中央部分の光の一部を、前記ロービーム用配光パターンの主配光パターンの中央部分のカットオフラインCL1、CL2、CL3から上方に山形形状にせり上げる。この結果、前記ロービーム用配光パターンの主配光パターンの中央部分は、前記ハイビーム用配光パターンの主配光パターンの中央部分に、変形する。この主配光パターンの中央部分の変形により、配光パターンの切替の節度感が得られる。
【0046】
(光拡散部45の説明)
図4図6に示すように、前記光制御部材4が前記第1位置に位置するときには、前記可変焦点レンズ部40の一部(上端部)が前記半導体型光源2と前記レンズ3との間の空間中に配置されている。前記空間は、前記発光面23を含む面(Y軸を含む前記基準光軸Zに対して垂直もしくはほぼ垂直な面)、および、前記レンズ3の前記主レンズ部30の入射面300、および、前記レンズ3の前記主レンズ部30の縁を通り前記基準光軸Zと平行もしくはほぼ平行な筒面46(図10中の二点鎖線を参照)により囲まれた空間である。
【0047】
図4図7に示すように、前記光制御部材4が前記第1位置に位置するときにおいて、前記可変焦点レンズ部40の前記一部(上端部)のうち、前記基準光軸Zに向き合う面(前記入射面400と前記出射面401との間の上面)には、光拡散部45が設けられている。図6に示すように、前記光制御部材4が前記第1位置に位置するときには、前記光拡散部45が前記基準光軸Zよりも下側に位置する。
【0048】
前記光拡散部45が設けられている面(前記可変焦点レンズ部40の上面)の傾斜は、前記光制御部材4が前記第2位置に位置するとき(図5参照)において、前記中央光L1が可変焦点レンズ部40を透過して前記主レンズ部30に効率良く入射し、前記ハイビーム用配光パターンの主配光パターンが効率良く形成できるように、設計されている。また、前記光拡散部45が設けられている面(前記可変焦点レンズ部40の上面)は、図6に示すように、前記光制御部材4が前記第2位置に位置するときにおいて、前記発光面23からの光L3が前記主レンズ部30側に反射するように、設計されている。
【0049】
この結果、前記発光面23からの光L3は、図7(A)に示すように、前記光拡散部45で散らばって反射する。この散らばった反射光L4は、前記レンズ30の前記出射面301から散らばった出射光L5として前記基準光軸Zより上向きに照射される。なお、図6中における二点鎖線は、前記基準光軸Zと平行な線(軸)である。
【0050】
前記光拡散部45は、図7(A)に示すように、プリズム素子の群からなる。前記プリズム素子の軸Z1は、前記発光面23からの光L3の放射方向もしくはほぼ放射方向に位置する。前記プリズム素子は、この例では、マイクロオーダーの凸状の円錐形状の面を有する。なお、凸状の円筒形状の面、あるいは、凹状の円錐形状の面、あるいは、凹状の円筒形状の面であっても良い。
【0051】
(駆動部材5の説明)
前記駆動部材5は、図1図2に示すように、前記光制御部材4を前記第1位置と前記第2位置とに移動(回転、回動)切替可能に位置させるものである。前記駆動部材5は、ソレノイド50と、連結ピン51と、スプリング52と、から構成されている。
【0052】
前記ソレノイド50には、取付部53が一体に設けられている。前記取付部53は、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8のベース取付部82の背面側に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の背面側に取り付けられている。この結果、前記駆動部材5の前記ソレノイド50は、前記ベース部材8に取り付けられている。前記ソレノイド50は、進退ロッド54を有する。
【0053】
前記連結ピン51の一端は、前記進退ロッド54の先端に固定されている。前記連結ピン51の他端は、前記光制御部材4の前記取付部41に設けられている長孔42中に挿入されている。この結果、前記ソレノイド50の前記進退ロッド54の進退運動が前記連結ピン51および前記長孔42を介して前記光制御部材4の回転運動に変換される。
【0054】
前記スプリング52は、前記軸受部材7に取り付けられている。前記スプリング52の一端は、前記軸受部材7に弾性当接している。前記スプリング52の他端は、前記光制御部材4に弾性当接している。この結果、通常時すなわち前記ソレノイド50が非通電時においては、前記スプリング52の力により、前記光制御部材4は、前記第1位置に位置する。前記ソレノイド50に通電すると、前記スプリング52の力に抗して前進位置に位置する前記進退ロッド54が後退して、前記光制御部材4は、前記第1位置から前記第2位置に回転して前記第2位置に位置する。前記ソレノイド50への通電を遮断すると、前記スプリング52の力により、後退位置に位置する前記進退ロッド54が前進して、前記光制御部材4は、前記第2位置から前記第1位置に回転して前記第1位置に位置する。
【0055】
(レンズカバー部材6の説明)
前記レンズカバー部材6は、図1図3に示すように、前記レンズ3を覆う形状をなす。前記レンズカバー部材6は、たとえば、光不透過性の部材から構成されている。前記レンズカバー部材6の中央部には、前記半導体型光源2からの光を前記レンズ3の前記主レンズ部30および前記補助レンズ部31に通す開口部60が設けられている。前記レンズカバー部材6の左右両端部には、取付部61が一体に設けられている。前記取付部61は、前記レンズ3の前記取付部32と共に、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8の前記レンズ取付部81に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記レンズ取付部81に取り付けられている。この結果、前記レンズカバー部材6は、前記レンズ3と共に前記ベース部材8に取り付けられている。
【0056】
(軸受部材7の説明)
前記軸受部材7は、図1図2に示すように、前記半導体型光源2および前記ベース部材8の前記光源取付部80を覆う形状をなす。前記軸受部材7は、たとえば、光不透過性の部材から構成されている。前記軸受部材7の中央部には、前記半導体型光源2からの光を前記レンズ3の前記主レンズ部30および前記補助レンズ部31、前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40に通す開口部70が設けられている。前記軸受部材7の4角部には、取付部71が一体に設けられている。前記取付部71は、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8の前記ベース取付部82の正面側に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の正面側に取り付けられている。この結果、前記軸受部材7は、前記ベース部材8に取り付けられている。
【0057】
前記軸受部材7の左右両側の中央部には、軸部72がそれぞれ一体に設けられている。前記軸部72には、前記光制御部材4の前記取付部41に設けられている回転孔43が回転可能に軸受されている。この結果、前記軸受部材7には、前記光制御部材4が前記第1位置と前記第2位置との間を回転可能に取り付けられている。
【0058】
前記軸受部材7と前記光制御部材4とには、それぞれストッパ73、44が一体に設けられている。これにより、前記光制御部材4を前記第1位置と前記第2位置とに位置させることができる。
【0059】
(ベース部材8の説明)
前記ベース部材8は、図1図3に示すように、前記ベース取付部82と、前記ベース取付部82の正面側の中央部の前記光源取付部80と、前記ベース取付部82の正面側の左右両端部の前記レンズ取付部81と、から構成されている。前記光源取付部80には、前記半導体型光源2が取り付けられている。前記レンズ取付部81には、前記レンズ3が前記レンズカバー部材6を介して取り付けられている。前記ベース取付部82の正面側には、前記光制御部材4が前記第1位置と前記第2位置との間を回転可能に軸受されている前記軸受部材7が取り付けられている。前記ベース取付部82の背面側には、前記駆動部材5および前記冷却部材9がそれぞれ取り付けられている。
【0060】
(冷却部材9の説明)
前記冷却部材9は、図1図2に示すように、冷却ファンを有する。前記冷却部材9は、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の背面側に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の背面側に取り付けられている。この結果、前記冷却部材9は、前記ベース部材8に取り付けられている。
【0061】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0062】
通常時すなわちソレノイド50が非通電時においては、スプリング52のスプリング力により、進退ロッド54が前進位置に位置していて光制御部材4が第1位置に位置する。このとき、光制御部材4の可変焦点レンズ部40は、図4に示すように、半導体型光源2の発光面23とレンズ3の補助レンズ部31の入射面310との間に位置している。
【0063】
この通常時において、半導体型光源2の発光チップ20を点灯する。すると、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の中央光L1および周辺光の一部は、図4に示すように、直接、レンズ3の主レンズ部30の入射面300から主レンズ部30中に入射する。このとき、入射光は、入射面300において配光制御される。主レンズ部30中に入射した入射光は、主レンズ部30の出射面301から出射する。このとき、出射光は、出射面301において配光制御される。主レンズ部30からの出射光は、下水平カットオフラインCL1と、斜めカットオフラインCL2と、上水平カットオフラインCL3とを、有するロービーム用配光パターンの主配光パターンとして、車両の前方に照射される。
【0064】
一方、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の周辺光の他の一部L2は、図4に示すように、光制御部材4の可変焦点レンズ部40の入射面400から可変焦点レンズ部40中に入射する。このとき、入射光は、入射面400において配光制御される。可変焦点レンズ部40中に入射した入射光は、可変焦点レンズ部40の出射面401から出射する。このとき、出射光は、出射面401において配光制御される。
【0065】
可変焦点レンズ部40からの出射光は、補助レンズ部31の入射面310から補助レンズ部31中に入射する。このとき、入射光は、入射面310において配光制御される。補助レンズ部31中に入射した入射光は、補助レンズ部31の反射面311で全反射する。このとき、反射光は、反射面311において配光制御される。全反射した反射光は、出射面312から出射する。このとき、出射光は、出射面312において配光制御される。補助レンズ部31からの出射光は、ロービーム用配光パターンの補助配光パターンとして、車両の前方であって主レンズ部30から照射されるロービーム用配光パターンの主配光パターンの中央部に対して、右斜め下方に照射される。
【0066】
ここで、可変焦点レンズ部40の焦点の変位の作用により、補助レンズ部31の焦点Fは、右斜め上方の疑似焦点F1に変位する。このために、半導体型光源2の発光チップ20(発光面23)の位置は、実際の位置から、右斜め下方の仮想の位置に変化する。これにより、ロービーム用配光パターンの補助配光パターンは、スクリーンの中心(スクリーンの左右の水平線HL−HRとスクリーンの上下の垂直線VU−VDとの交点)に対して、右斜め下方に位置する。すなわち、ロービーム用配光パターンの補助配光パターンは、ロービーム用配光パターンの主配光パターンの下水平カットオフラインCL1よりも下方に位置する。
【0067】
そして、下水平カットオフラインCL1と、斜めカットオフラインCL2と、上水平カットオフラインCL3とを、有するロービーム用配光パターンの主配光パターンと、ロービーム用配光パターンの補助配光パターンとが合成(重畳)されて、下水平カットオフラインCL1と、斜めカットオフラインCL2と、上水平カットオフラインCL3とを、有するロービーム用配光パターンLP(図8(A)参照)が得られる。
【0068】
それから、ソレノイド50に通電する。すると、進退ロッド54がスプリング52のスプリング力に抗して後退して後退位置に位置していて、光制御部材4が第1位置から第2位置に向かって回転して第2位置に位置する。すなわち、今まで半導体型光源2と補助レンズ部31との間に位置している光制御部材4は、図5に示すように、半導体型光源2の発光面23とレンズ3の主レンズ部30の入射面300との間に位置する。
【0069】
そして、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の中央光L1は、光制御部材4の可変焦点レンズ部40の入射面400から可変焦点レンズ部40中に入射する。このとき、入射光は、入射面400において配光制御される。可変焦点レンズ部40中に入射した入射光は、可変焦点レンズ部40の出射面401から出射する。このとき、出射光は、出射面401において配光制御される。
【0070】
可変焦点レンズ部40からの出射光は、主レンズ部30の入射面300から主レンズ部30中に入射する。また、半導体型光源2の周辺光の一部は、直接、主レンズ部30の入射面300から主レンズ部30中に入射する。このとき、入射光は、入射面300において配光制御される。主レンズ部30中に入射した入射光は、主レンズ部30の出射面301から出射する。このとき、出射光は、出射面301において配光制御される。主レンズ部30からの出射光は、ハイビーム用配光パターンの主配光パターンとして、車両の前方に照射される。
【0071】
ここで、ハイビーム用配光パターンの主配光パターンは、可変焦点レンズ部40を介して主レンズ部30から照射されるものである。このために、ハイビーム用配光パターンの主配光パターンの中央部分は、ロービーム用配光パターンの主配光パターンの中央部分の光の一部を上方に山形形状にせり上げた状態に変形する。このとき、配光パターンの切替の節度感が得られる。
【0072】
一方、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の周辺光の他の一部L2は、図5に示すように、直接、補助レンズ部31の入射面310から補助レンズ部31中に入射する。このとき、入射光は、入射面310において配光制御される。補助レンズ部31中に入射した入射光は、補助レンズ部31の反射面311で全反射する。このとき、反射光は、反射面311において配光制御される。全反射した反射光は、出射面312から出射する。このとき、出射光は、出射面312において配光制御される。補助レンズ部31からの出射光は、ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンとして、車両の前方であって主レンズ部30から照射されるハイビーム用配光パターンの主配光パターンの中央部に照射される。
【0073】
ここで、ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンは、可変焦点レンズ部40を介さずに直接補助レンズ部31から照射されるものである。このために、補助レンズ部31の焦点Fは、本来の位置、すなわち、半導体型光源2の発光チップ20の発光面23の中心Oもしくはその近傍に位置する。これにより、ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンは、スクリーンの中心(スクリーンの左右の水平線HL−HRとスクリーンの上下の垂直線VU−VDとの交点)もしくはその近傍に位置する。すなわち、ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンは、ハイビーム用配光パターンの主配光パターンの中央部に位置する。
【0074】
そして、ハイビーム用配光パターンの主配光パターンと、ハイビーム用配光パターンの補助配光パターンとが合成(重畳)されて、中央部にホットゾーンHZを有するハイビーム用配光パターンHP(図8(B)参照)が得られる。
【0075】
それから、ソレノイド50への通電を遮断する。すると、進退ロッド54がスプリング52のスプリング力により前進して前進位置に位置していて、光制御部材4が第2位置から第1位置に向かって回転して第1位置に位置する。すなわち、今まで半導体型光源2と主レンズ部30との間に位置していた光制御部材4は、半導体型光源2と補助レンズ部31との間に位置する。
【0076】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0077】
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、発光面23からの光L3が可変焦点レンズ部40の一部のうち基準光軸Zに向き合う面の光拡散部45で散らばって(拡散して)反射する。その散らばった反射光L4は、主レンズ部30中に入射して、その主レンズ部30から散らばった出射光L5として出射する。このために、配光制御されていない光(L4)が主レンズ部30から迷光(L5)として照射されたとしても、その迷光(L5)は散らばっているので、グレアとなるようなことがない。このように、主レンズ部30から照射される迷光(L5)によりグレアが発生する場合がない。
【0078】
ここで、図7(B)に示すように、可変焦点レンズ部40の一部のうち基準光軸Zに向き合う面が平面450の場合について説明する。この場合においては、発光面23からの光L3が可変焦点レンズ部40の一部のうち基準光軸Zに向き合う平面450でそのまま反射する。そのまま反射した反射光L6は、主レンズ部30中に入射して、その主レンズ部30から散らばらずに出射する。このために、図9(B)に示すように、ロービーム用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3よりも上方(約20°〜約30°)の中央にグレアとなる配光パターンGPが発生する場合がある。
【0079】
これに対して、この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、発光面23からの光L3が光拡散部45で散らばって反射する。このために、図9(A)に示すように、ロービーム用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3よりも上方(約20°〜約30°)の中央のグレアとなる配光パターンGPが左右に広く拡散されて、グレアとならない配光パターンWGPとなる。
【0080】
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、光制御部材4が駆動部材5により、第1位置と第2位置とに移動切替可能に位置するので、レンズ直射型のランプユニットにおいて、ロービーム用配光パターンLP、ハイビーム用配光パターンHPが確実に得られる。
【0081】
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、光制御部材4が前記第1位置に位置するときには、光拡散部45が基準光軸Zよりも下側に位置し、発光面23からの光L3であって光拡散部45で散らばって反射された反射光L4が、主レンズ部30から散らばった出射光L5として基準光軸Zより上向きに照射される。このために、上向きのグレアとなる配光パターンGPの発生を確実に防ぐことができる。
【0082】
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、光制御部材4が可変焦点レンズ部40を備えるものであるから、良好なロービーム用配光パターンLP、ハイビーム用配光パターンHPを得ることができる。しかも、この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、可変焦点レンズ部40の光拡散部45が発光面23からの光L3を主レンズ部30側に反射させるように設計されている。このために、発光面23からの光L3が光拡散部45から可変焦点レンズ部40中に入射するのを防ぐことができる。
【0083】
この実施形態1にかかる車両用前照灯1は、光拡散部45がプリズム素子の群からなり、プリズム素子の軸Z1が発光面23からの光L3の放射方向もしくはほぼ放射方向に位置する。このために、発光面23からの光L3を光拡散部45でさらに広く散らばらせることができる。これにより、グレアの発生をさらに確実に防止することができる。
【0084】
(実施形態2の構成作用効果の説明)
図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる車両用前照灯について説明する。図中、図1図9と同符号は、同一のものを示す。
【0085】
前記の実施形態1の車両用前照灯1は、光制御部材として光制御部材4の可変焦点レンズ部40を使用するものである。これに対して、この実施形態2にかかる車両用前照灯は、光制御部材として上下に配置されているシェード47を使用するものである。
【0086】
前記シェード47の一部(上端部、下端部)が半導体型光源2とレンズ3との間の空間中に配置されている。前記空間は、発光面23を含む面(Y軸を含む基準光軸Zに対して垂直もしくはほぼ垂直な面)、および、前記レンズ3の前記主レンズ部30の入射面300、および、前記レンズ3の前記主レンズ部30の縁を通り前記基準光軸Zと平行もしくはほぼ平行な筒面46(図10中の二点鎖線を参照)により囲まれた空間である。前記シェード47の前記一部(上端部、下端部)のうち、前記基準光軸Zに向き合う面には、光拡散部45が設けられている。
【0087】
この実施形態2にかかる車両用前照灯は、以上のごとき構成作用からなるので、前記の実施形態1の車両用前照灯1の効果とほぼ同様の効果を達成することができる。特に、この実施形態2にかかる車両用前照灯は、シェード47が基準光軸Zより上側に位置し、発光面23からの光L3が上側のシェード47の光拡散部45で反射された反射光L4が主レンズ部30から基準光軸Zより下向きに照射される。この下向きの出射光をも左右に広く散らばらせることができる。
【0088】
(実施形態1、2以外の例の説明)
この実施形態1、2においては、車両が左側通行の場合の車両用前照灯1について説明するものである。ところが、この発明においては、車両が右側通行の場合の車両用前照灯にも適用することができる。
【0089】
また、この実施形態1、2においては、レンズ3の主レンズ部30と補助レンズ部31とが一体である。ところが、この発明においては、レンズ3の主レンズ部30と補助レンズ部31とが別体のものであっても良い。
【0090】
さらに、この実施形態1、2においては、光制御部材4を第1位置と第2位置との間を回転させるものである。ところが、この発明においては、光制御部材4を第1位置と第2位置との間をスライドさせるものであっても良い。この場合においては、回転軸の代わりに、スライド手段を設ける。
【0091】
さらにまた、この実施形態1、2においては、駆動部材5としてソレノイド50を使用するものである。ところが、この発明においては、駆動部材5としてソレノイド50以外の部材、たとえば、モータなどを使用しても良い。この場合においては、モータと光制御部材4との間に駆動力伝達機構を設ける。
【0092】
さらにまた、この実施形態1、2においては、レンズ3の補助レンズ部31が全反射タイプのレンズ部である。ところが、この発明においては、レンズ3の補助レンズ部が全反射タイプのレンズ部以外のレンズ部、たとえば、屈折タイプのレンズ部やフレネルタイプのレンズ部であっても良い。
【0093】
さらにまた、この実施形態1、2においては、第1配光パターンがロービーム用配光パターンLPであり、第2配光パターンがハイビーム用配光パターンHPである。ところが、この発明においては、第1配光パターンとして、ロービーム用配光パターンLP以外の配光パターン、たとえば、AFSやADBなどにおいて、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも下方に照射される配光パターンであっても良いし、また、第2配光パターンとして、ハイビーム用配光パターンHP以外の配光パターン、たとえば、AFSやADBなどにおいて、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも上方に照射される配光パターンであっても良い。
【0094】
さらにまた、この実施形態1、2においては、光拡散部45としてプリズム素子の群を使用するものである。ところが、この発明においては、光拡散部としてプリズム素子の群以外の光学素子たとえば微細な凹凸などを使用しても良い。
【0095】
さらにまた、この実施形態1、2においては、プリズム素子の軸Z1が発光面23からの光L3の放射方向もしくはほぼ放射方向に位置するものである。ところが、この発明においては、プリズム素子の軸が基準光軸と平行もしくはほぼ平衡であっても良い。
【0096】
さらにまた、この実施形態1、2においては、光制御部材として、光制御部材4の可変焦点レンズ部40、シェード47を使用するものである。ところが、この発明においては、光制御部材として、可変焦点レンズ部やシェード以外の部材、たとえば、遮光機能を有するインナーパネルなどを使用するものであっても良い。
【0097】
さらにまた、この実施形態1、2においては、可変焦点レンズ部40、シェード47が基準光軸Zよりも下側、上側に位置し、発光面23からの光L3が下側に位置する可変焦点レンズ部40、下側上側に位置するシェード47の光拡散部45で反射された反射光L4が主レンズ部30から基準光軸Zより下向き、上向きに照射されるものである。ところが、この発明においては、光制御部材を基準光軸に対して下側、上側以外に左側、右側に配しても良い。この場合、発光面からの光が左側、右側に位置する光制御部材の光拡散部で反射された反射光がレンズから基準光軸より右向き、左向きに照射される。
【0098】
さらにまた、この実施形態1、2においては、駆動部材5により第1位置と第2位置とに移動切替可能に位置する光制御部材4を使用するものである。ところが、この発明においては、位置が固定した光制御部材を使用するものであっても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 車両用前照灯
2 半導体型光源
20 発光チップ
21 基板
22 コネクタ
23 発光面
3 レンズ
30 主レンズ部
300 主レンズ部の入射面
301 主レンズ部の出射面
31 補助レンズ部
310 補助レンズ部の入射面
311 補助レンズ部の反射面
312 補助レンズ部の出射面
32 取付部
4 光制御部材
40 可変焦点レンズ部
400 入射面
401 出射面
41 取付部
42 長孔
43 回転孔
44 ストッパ
45 光拡散部
450 平面
46 筒面
47 シェード
5 駆動部材
50 ソレノイド
51 連結ピン
52 スプリング
53 取付部
54 進退ロッド
6 レンズカバー部材
60 開口部
61 取付部
7 軸受部材
70 開口部
71 取付部
72 軸部
73 ストッパ
8 ベース部材
80 光源取付部
81 レンズ取付部
82 ベース取付部
9 冷却部材
CL1 下水平カットオフライン
CL2 斜めカットオフライン
CL3 上水平カットオフライン
F レンズの基準焦点
F1 疑似焦点
GP グレアとなる配光パターン
HL−HR スクリーンの左右の水平線
HP ハイビーム用配光パターン
HZ ホットゾーン
L1 中央光
L2 周辺光の他の一部
L3 発光面からの光
L4 反射光
L5 出射光
L6 反射光
LP ロービーム用配光パターン
O 発光面の中心
O1 回転中心
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
WGP グレアとならない配光パターン
X X軸
Y Y軸
Z レンズの基準光軸(Z軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10