(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性ブラシロールに接し、前記導電性ブラシロールで保持された前記転写残トナーを前記導電性ブラシロールから回収し、回収した前記転写残トナーを前記導電性ブラシロールへ塗布するブラシロール当接部材を更に備える、請求項1〜4の何れか一項に記載のクリーニング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2では、トナーと同極性の電圧を任意のタイミングで印加してクリーニングブレードに保持していたトナーを吐き出しているが、具体的なタイミングが開示されていないため、像担持体へ吐き出すためのトナーをクリーニングブレードに一定量確保しつつ、クリーニングブレードの捲れが発生しやすい場合には所定のトナーを吐き出すといったことが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレードの捲れを適切に抑制することができるクリーニング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るクリーニング装置は、画像形成装置における像担持体の表面に残留した転写残トナーを除去するクリーニング装置であって、像担持体の表面に接し、転写残トナーの少なくとも一部を除去して保持する導電性ブラシロールと、像担持体の回転方向で導電性ブラシロールよりも上流側に配置され、像担持体の表面電位を除電する除電手段と、像担持体の表面に接し、残留した転写残トナーのうち導電性ブラシロールで除去されなかった転写残トナーを除去するクリーニングブレードと、画像形成装置が高温高湿環境にあるか否かを検出する検出手段と、導電性ブラシロールへの電圧の印加を切り替える電圧切替手段と、を備え、電圧切替手段は、環境検出手段によって画像形成装置が高温高湿環境にあると検出された場合において、像担持体の非画像形成部に導電性ブラシロールが接するときは、残留した転写残トナーと同極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るクリーニング装置では、検出手段によって画像形成装置が高温高湿環境にあると検出された場合において、像担持体の非画像形成部に導電性ブラシロールが接するときは、残留した転写残トナーと同極性の電圧が、電圧切替手段によって導電性ブラシロールへ印加される。よって、クリーニングブレードの捲れが比較的発生しやすい高温高湿環境且つ非画像形成部であるときに、電気的反発により、導電性ブラシロールに保持されている転写残トナーを像担持体の表面に吐き出して潤滑性を向上させている。このように最も必要とされるタイミングで像担持体へトナーを吐き出すことで、不要なトナーの吐き出しをなくして吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレードの捲れを適切に抑制することができる。
【0011】
また、電圧切替手段は、検出手段によって画像形成装置が高温高湿環境にあると検出された場合において、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接するときは、画像形成部の画像密度に応じて、残留した転写残トナーと逆極性の電圧又は残留した転写残トナーと同極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加してもよい。これによれば、環境検出手段によって画像形成装置が高温高湿環境にあると検出された場合であっても、像担持体の画像形成部の画像密度、つまり転写残トナー密度に応じて、トナーを吐き出したり、トナーを回収したりすることができる。これにより、クリーニングブレードの捲れが発生しやすい場合にはトナーを供給する一方、クリーニングブレードの捲れが発生しづらい場合にはトナーを回収することができるので、吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレードの捲れを適切に抑制することができる。
【0012】
また、電圧切替手段は、画像形成部が所定の画像密度よりも高密度の通常画像密度であるときは、残留した転写残トナーと逆極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加し、画像形成部が所定の画像密度以下の低画像密度であるときは、残留した転写残トナーと同極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加してもよい。この場合、画像形成部が通常画像密度部であるときは、電圧切替手段によって導電性ブラシロールへ転写残トナーと逆極性の電圧が印加され、画像形成部が低画像密度部であるときは、電圧切替手段によって導電性ブラシロールへ転写残トナーと同極性の電圧が印加される。よって、画像形成部が通常画像密度部であるときは、電気的引き付けにより、転写残トナーを導電性ブラシロールで回収及び保持することができる。その結果、この回収及び保持された転写残トナーを、像担持体の表面に吐き出すために利用することが可能となる。一方、画像形成部が低画像密度部であるときは、電気的反発により、導電性ブラシロールに保持されている転写残トナーが像担持体の表面に吐き出すことができる。その結果、像担持体の表面とクリーニングブレードの先端との間における潤滑性をより適切に向上することが可能となる。
【0013】
また、所定の画像密度は、A4サイズの印刷紙を用いた場合において、印刷紙の全体の面積に対する画像部の面積比が5%であってもよい。この場合、上記効果を好適に奏する。
【0014】
また、電圧切替手段は、検出手段によって画像形成装置が高温高湿環境ではない標準環境と検出された場合において、像担持体の非画像形成部に導電性ブラシロールが接するときは、電圧を導電性ブラシロールへ印加せず、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接するときは残留した転写残トナーと逆極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加してもよい。これによれば、検出手段によって画像形成装置が高温高湿環境ではない標準環境と検出された場合において、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接するときは電圧切替手段により残留した転写残トナーと逆極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加される。よって、高温高湿環境下でなく、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接するときには、転写残トナーが導電性ブラシロールで回収及び保持される。その結果、この回収及び保持された転写残トナーを、像担持体の表面に吐き出すために利用することができる。また、画像形成装置が高温高湿環境下でなく、像担持体の非画像形成部に導電性ブラシロールが接するときには、電圧が導電性ブラシロールへ印加されない。よって、高温高湿環境下に比してクリーニングブレードの捲れが生じにくい標準環境下の場合では、非画像形成部に導電性ブラシロールが接する場合であっても転写残トナーが吐き出されないので、無駄な転写残トナーの吐き出しを抑制することができる。
【0015】
また、導電性ブラシロールに接し、導電性ブラシロールで保持された転写残トナーを導電性ブラシロールから回収し、回収した転写残トナーを導電性ブラシロールへ塗布するブラシロール当接部材を更に備えてもよい。この場合、転写残トナーがブラシロール当接部材により導電性ブラシロールから回収されると共に、回収された転写残トナーが導電性ブラシロールへ塗布されるので、導電性ブラシロールで保持される転写残トナーの偏りを抑制することができる。
【0016】
また、ブラシロール当接部材は、導電性ブラシロールの軸方向全域に当接し、一方向に巻かれた螺旋溝を有し、ブラシロール当接部材の回転方向は、時計回り及び反時計回りの何れかに切り替えられてもよい。この場合、螺旋溝を有するブラシロール当接部材が導電性ブラシロールの軸方向全域に当接された状態で、ブラシロール当接部材が時計回り又は反時計回りに切り替えられて回転することができるので、転写残トナーを導電性ブラシロールの軸方向全域にむらなく塗布することができる。
【0017】
また、ブラシロール当接部材は、導電性ブラシロールの軸方向全域に当接し、一方向に巻かれた第1螺旋溝及び他方向に巻かれた第2螺旋溝を有し、ブラシロール当接部材の回転方向は、時計回り又は反時計回りの何れか一方であってもよい。この場合、互いに異なる方向に巻かれた第1螺旋溝及び第2螺旋溝を有するブラシロール当接部材が導電性ブラシロールの軸方向全域に当接された状態で、ブラシロール当接部材が回転することができるので、回転方向が時計回り又は反時計回りの何れか一方であっても、転写残トナーを導電性ブラシロールの軸方向全域に対してむらなく塗布することができる。
【0018】
また、導電性ブラシロールの抵抗値は、10
2MΩより大きく且つ10
6MΩより小さく、導電性ブラシロールへ印加される電圧の絶対値は、100Vより大きく且つ放電開始電圧より小さくてもよい。この場合、導電性ブラシロールのクリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見て好ましい。
【0019】
また、像担持体の表面に吐き出される転写残トナーを含むトナーの量は、1.0×10
−7g/cm
2以上であってもよい。この場合、上記効果を好適に奏する。
【0020】
また、本発明に係るクリーニング装置は、画像形成装置における像担持体の表面に残留した転写残トナーを除去するクリーニング装置であって、像担持体の表面に接し、転写残トナーの少なくとも一部を除去して保持する導電性ブラシロールと、像担持体の回転方向で導電性ブラシロールよりも上流側に配置され、像担持体の表面電位を除電する除電手段と、像担持体の表面に接し、残留した転写残トナーのうち導電性ブラシロールで除去されなかった転写残トナーを除去するクリーニングブレードと、導電性ブラシロールへの電圧の印加を切り替える電圧切替手段と、を備え、電圧切替手段は、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接する場合において、画像形成部が所定の画像密度よりも高密度の通常画像密度であるときは、残留した転写残トナーと逆極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加し、画像形成部が所定の画像密度以下の低画像密度であるときは、残留した転写残トナーと同極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るクリーニング装置では、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接する場合において、画像形成部が通常画像密度であるときは残留した転写残トナーと逆極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加され、画像形成部が低画像密度であるときは残留した転写残トナーと同極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加される。よって、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接する場合において、当該画像形成部が通常画像密度部であるときには転写残トナーが導電性ブラシロールによって回収及び保持される。そして、回収及び保持された転写残トナーは、像担持体の画像形成部に導電性ブラシロールが接する場合において、当該画像形成部が低画像密度部であるときに、像担持体の表面に吐き出される。その結果、像担持体の表面とクリーニングブレードの先端との間における潤滑性を向上させることができる。以上より、吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレードの捲れを適切に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレードの捲れを適切に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
まず、本実施形態に係るクリーニング装置の概要について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置の概略構成図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を感光体ドラムの周方向から見た概略構成図である。ただし、
図2では、簡単のため、
図1で示す転写ベルト6、転写ロール7、及び除電手段8を省略して示している。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るクリーニング装置1は、画像形成装置10内の転写ユニット3に配設されている。画像形成装置10は、例えば、マゼンタ、イエロー、シアン、及びブラックの各色を用いてカラー画像を形成可能な装置である。転写ユニット3は、トナー像を印刷紙に転写するユニットであり、周面に画像が形成される静電潜像担持体である感光体ドラム5、感光体ドラム5の外周面上に形成されたトナー像を転写する転写ベルト6、及び、感光体ドラム5と共に転写ベルト6を挟持する転写ロール7を含んでいる。感光体ドラム5は、例えばOPC(Organic PhotoConductor)からなる。なお、図示はしていないが、画像形成装置10は、マゼンタ、イエロー、シアン、及びブラックの各色に対応して、4つの感光体ドラム5が転写ベルト6の移動方向に沿って設けられている。
【0027】
画像形成装置10による印刷は、感光体ドラム5を用いて次のような工程で行われる。まず、感光体ドラム5の表面5aを所定の電位に均一に帯電する(帯電工程)。帯電した感光体ドラム5の表面5aを、印刷紙に形成する画像に応じて露光する(露光工程)。これにより、感光体ドラム5の表面5aのうち露光された部分の電位が変位し、静電潜像が形成される。各感光体ドラム5に対応して設けられたトナータンクから各感光体ドラム5の表面5aにトナーを供給し、感光体ドラム5に形成された静電潜像を現像する(現像工程)。これにより、トナー像が生成される。なお、トナータンク内には、それぞれ、マゼンタ、イエロー、シアン、及びブラックの各色のトナーが充填されている。このようにして形成されたトナー像を、感光体ドラム5と転写ベルト6とが対向する領域において、感光体ドラム5から転写ベルト6へ一次転写する(転写工程)。転写ベルト6には、4つの感光体ドラム5上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、搬送されてきた印刷紙の上に二次転写される。積層トナー像が二次転写された印刷紙に、熱及び圧力を加えることにより、積層トナー像を溶融定着させる(定着工程)。
【0028】
クリーニング装置1は、上記転写工程後、転写されずに感光体ドラム5の表面5aに残留した転写残トナーを除去するための装置である。クリーニング装置1は、感光体ドラム5と転写ベルト6とが接する部分よりも感光体ドラム5の回転方向Aで下流側に配置されている。クリーニング装置1は、ブラシロール11と、除電手段8と、ブラシロール当接部材13と、クリーニングブレード15と、環境検出部(検出手段)17と、電圧切替部(電圧切替手段)19と、を備える。
【0029】
ブラシロール11は、クリーニングブレード15よりも感光体ドラム5の回転方向Aで上流側に配置されており、転写残トナーの少なくとも一部を除去して保持する。ブラシロール11は、金属製の軸部材11aと、軸部材11aに固定されるブラシ部11bと、を有し、導電性である。軸部材11aは、感光体ドラム5の軸方向に延在する。ブラシ部11bは、複数の起毛が植設された基布であり、軸部材11aの外周面に巻き付けられることにより軸部材11aに固定されている。ブラシ部11bは、例えば、材質が導電性アクリル、導電性PET、導電性ナイロン、太さが3〜6デニール、密度が50〜200K本/inch
2が挙げられる。また、ブラシロール11の外径は、例えば直径が10〜20mm(そのうちブラシ部に含まれる起毛の長さは2〜5mm)であり、ブラシロール11の抵抗値は、例えば10
2〜10
6MΩである。
【0030】
ここで、ブラシロール11の抵抗値は、例えば、ブラシロール11を食い込ませた銅板、電流計、及び電源を直列に接続し、ブラシロール11を3回転させたときに、電流計で測定された値の平均値によって算出される。なお、例えば電源は500Vであり、ブラシロール11はトナー付着のない新規な状態で、銅板に0.5mm食い込ませる。
【0031】
ブラシロール11へ印加される電圧は、電圧切替部19によって切り替え可能である。電圧切替部19は、画像形成装置10の環境状態、及び、ブラシロール11が接する感光体ドラム5の表面5aの状態に応じて、導電性ブラシロールへ印加する電圧を切り替える。例えば、電圧切替部19は、ブラシロール11へ印加する電圧を、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーの極性に対して同極性又は逆極性に切り替える。また、電圧切替部19は、ブラシロール11へ印加する電圧をオフに切り替える。なお、電圧切替部19によるブラシロール11の動作の詳細は、後述する。
【0032】
感光体ドラム5の回転軸方向に直交する周方向において、ブラシロール11の起毛の少なくとも一部が、感光体ドラム5の表面5aに接している。ブラシロール11は、感光体ドラム5と接する部分において回転方向Aに抗う方向Bに回転している。なお、ブラシロール11は、方向Bとは反対方向に回転していてもよい。ブラシロール11は、電圧切替部19によりブラシロール11へプラスの電圧が印加されることにより、感光体ドラム5の表面上の転写残トナーを起毛で捕捉する。すなわち、ブラシロール11は、転写残トナーを感光体ドラム5の表面5aから除去し、感光体ドラム5の表面をクリーニングする。また、ブラシロール11は、感光体ドラム5の表面5aから回収した転写残トナーを保持する。
【0033】
除電手段8は、感光体ドラム5の回転方向Aでブラシロール11よりも上流側に配置されている。除電手段8は、感光体ドラム5の表面電位を除電する。これにより、ブラシロール11は、除電手段8によって感光体ドラム5の表面電位が除電された後、感光体ドラム5の表面5aと接する。
【0034】
ブラシロール当接部材13は、例えば金属製のロール部材であり、感光体ドラム5の軸方向に延在している。ブラシロール当接部材13における延在方向の幅と、ブラシロール11における延在方向の幅とは略同じであり、ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の軸部材11aの軸方向全域に当接する(
図2参照)。ブラシロール当接部材13は、一方向に巻かれるように形成された螺旋溝13aを有している。ブラシロール当接部材13は、時計回り及び反時計回りの何れかに切り替え可能に回転する。ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の回転方向に対し同方向又は反対方向に回転することによって、ブラシロール11に保持された転写残トナーを、ブラシロール当接部材13の長手方向においてまんべんなく回収する。また、ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の回転方向と同方向又は反対方向に回転することによって、回収した転写残トナーを軸方向に循環させながらブラシロール11の軸方向全域にまんべんなく塗布する。
【0035】
クリーニングブレード15は、板状部材であり、ウレタンゴム等の弾性体から構成される。クリーニングブレード15は、ブラシロール11よりも感光体ドラム5の回転方向Aで下流側に配置されており、感光体ドラム5の表面5aに残留した転写残トナーのうち、ブラシロール11で除去されなかった転写残トナーを除去する。クリーニングブレード15は、感光体ドラム5の軸方向に延在している。クリーニングブレード15は、感光体ドラム5の軸方向全域に当接する先端エッジ部15aを有している。クリーニングブレード15における延在方向の幅と、ブラシロール11における延在方向の幅とは略同じである。クリーニングブレード15は、感光体ドラム5の表面5aに残留し、ブラシロール11で除去されなかった転写残トナーを先端エッジ部15aで掻き取る。
【0036】
環境検出部17は、画像形成装置10内の温度及び湿度を検知する環境センサであり、画像形成装置10が高温高湿環境にあるか否かを検出する。高温高湿環境は、例えば、温度が28〜32.5℃であり、湿度が60〜80%RHである範囲であり、高温高湿環境でない標準環境は、例えば、温度が10〜27.9℃であり、湿度が20〜79%RHである範囲である。高温高湿環境や標準環境は、例示した範囲に限定されず、適宜設定することが可能である。環境検出部17は、画像形成装置10内における、外気温と略同じ温度になる場所に取り付けられる。例えば、熱源である定着機や電源から離れ、且つ、排風ファンの無い位置、即ち、機内温度が上昇しない位置に取り付けられる。環境検出部17によって検出された画像形成装置10が高温高湿環境にあるか否かの環境状態情報は、電圧切替部19へ出力される。
【0037】
次に、電圧切替部19によるブラシロール11の動作について、詳細に説明する。
【0038】
図3〜5は、印刷工程に対応したブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図であり、印刷工程におけるどのタイミングでブラシロール11が動作するかを示す図である。図の点線の位置は、各工程の起動電源がオフとなった状態、又は、ブラシロール11の印加電圧がオフとなった状態を示している。点線の位置より上側は、各工程において起動電源がオンとなった状態、又は、ブラシロール11の印加電圧が感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーと同極性であることを示している。点線の位置より下側は、ブラシロール11の印加電圧が感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーと逆極性であることを示している。
【0039】
図3〜5に示すように、印刷工程は、次のようなタイミングで行う。まず、感光体ドラム5のモータを起動し、感光体ドラム5にマイナスの電荷を帯電する(帯電工程)。続いて、帯電した感光体ドラム5の表面を、印刷紙に形成する画像に応じて露光する(露光工程)。露光工程終了後、感光体ドラム5の周面上に各感光体ドラム5に対応して設けられたトナータンクからトナーを供給し、感光体ドラム5に形成された静電潜像を現像する(現像工程)。現像工程の開始に続いて、このようにして形成されたトナー像を、感光体ドラム5と転写ベルト6とが対向する領域において、感光体ドラム5から転写ベルト6へ一次転写する(転写工程)。
【0040】
電圧切替部19は、環境検出部17によって検出される環境状態情報に応じて、印加する電圧を切り替える。まず、検出される環境状態情報が高温高湿環境ではない標準環境の場合(標準的な温湿環境の場合)を説明する。
図3は、標準環境下におけるブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図である。
図3に示すように、標準的な温湿環境の場合、電圧切替部19は、ブラシロール11が、感光体ドラム5の画像形成部に接するか、感光体ドラム5の非画像形成部に接するかに応じて、印加する電圧を切り替える。ここで、感光体ドラム5の画像形成部とは、印刷紙に形成する画像に応じて感光体ドラム5が露光及び現像されている部分であり、以下、単に「画像形成部」という。感光体ドラム5の非画像形成部とは、感光体ドラム5が印刷紙に画像を形成しない部分であり、以下、単に「非画像形成部」という。例えば、印刷前の前起動(Cycle UP)や印刷後の後起動(Cycle Down)の際には、感光体ドラム5のどの部分においても印刷紙に画像を形成しないため、感光体ドラム5の全体が非画像形成部となる。また、連続印刷時には、各画像形成部同士の間(即ち、転写ベルト6上に紙が載せられていない紙と紙との間)において感光体ドラム5が露光及び現像されない部分が、非画像形成部となる。
【0041】
感光体ドラム5の非画像形成部に導電性ブラシロールが接するとき、電圧切替部19は、ブラシロール11への印加電圧をオフとする。これにより、転写残トナーの回収及び吐き出しはいずれも行われない。転写残トナーの回収が行われないのは、感光体ドラム5の表面5aが非画像形成部である場合には、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間に転写残トナーが存在しないためである。転写残トナーの吐き出しが行われないのは、感光体ドラム5の表面5aが非画像形成対応部であっても、画像形成装置10が高温高湿環境にない場合には、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間における動摩擦係数が小さく、クリーニングブレード15自体も硬くなるので、クリーニングブレード15の捲れのおそれが殆どないためである。
【0042】
一方、感光体ドラム5の画像形成部に導電性ブラシロールが接するとき、ブラシロール11への印加電圧を、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーと逆極性に切り替える。これにより、感光体ドラム5の表面5aから転写残トナーの一部をブラシロール11によって回収及び保持する。このときにブラシロール11へ回収された転写残トナーは、感光体ドラム5の表面5aへの吐き出し用の転写残トナーとなる。
【0043】
続いて、検出される環境状態情報が高温高湿環境である場合を説明する。
図4は、高温高湿環境であって、画像形成部が通常画像密度である場合におけるブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図である。
図5は、高温高湿環境であって、画像形成部が低画像密度である場合におけるブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図である。ここで、画像形成部が通常画像密度であるとは、例えば、印刷紙全体の面積に対する感光体ドラム5の露光及び現像された部分(画像部)の面積比(以下、単に「画像密度」という)が、所定の画像密度よりも高密度である場合をいう。画像形成部が低画像密度であるとは、例えば、画像密度が、少なくとも所定の画像密度以下の場合をいう。所定の画像密度は、例えば、最大用紙サイズがA3である画像形成装置10において、A4サイズの印刷紙を横送りした場合には、5%の画像密度である。また、ブレード捲れの発生は、より低密度であると生じ始めるおそれが高いことから、所定の画像密度は、5%未満の値を設定してもよい。なお、A5サイズの印刷紙を横送りした場合には、所定の画像密度は10%とし、A6サイズの印刷紙を横送りした場合には、所定の画像密度は20%としてもよい。このように、所定の画像密度は、印刷紙のサイズに応じて、適宜設定し得る。
【0044】
図4及び
図5に示すように、ブラシロール11と接する感光体ドラム5の表面5aが非画像形成部である場合、電圧切替部19は、感光体ドラム5上の転写残トナーと同極性であるマイナスの電圧をブラシロール11へ印加する。これにより、転写残トナーとブラシロール11との間で電気的反発が生じ、ブラシロール11から、感光体ドラム5の表面5aへ転写残トナーが吐き出される。これは、画像形成装置10が高温高湿環境にあって、感光体ドラム5の表面5aが非画像形成部である場合には、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間における動摩擦係数が大きく、クリーニングブレード15自体も軟らかくなるので、クリーニングブレード15の捲れのおそれが大きいためである。
【0045】
一方、ブラシロール11と接する感光体ドラム5の表面5aが画像形成部である場合、電圧切替部19は、画像形成部の画像密度に応じて、次のように印加電圧を切り替える。
【0046】
図4に示すように、画像形成部が通常画像密度であるとき、電圧切替部19は、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーと逆極性であるプラスの電圧を、ブラシロール11へ印加する。これにより、転写残トナーとブラシロール11との間で電気的引き付けが生じ、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーの一部がブラシロール11へ回収される。これは、画像形成部が通常画像密度であるときには、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間に転写残トナーが十分に存在しており、転写残トナーが十分に存在しない低画像密度の場合よりもクリーニングブレード15の捲れが起こり難いためである。このときにブラシロール11へ回収された転写残トナーは、感光体ドラム5の表面5aへの吐き出し用の転写残トナーとなる。
【0047】
これに対し、
図5に示すように、画像形成部が低画像密度部であるとき、電圧切替部19は、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーと同極性であるマイナスの電圧を、ブラシロール11へ印加する。これにより、転写残トナーとブラシロール11との間で電気的反発が生じ、ブラシロール11から、感光体ドラム5の表面5aへ転写残トナーが吐き出される。これは、画像形成部が低画像密度であるときには、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間に転写残トナーが十分に存在せず、転写残トナーが十分に存在する通常画像密度の場合よりもクリーニングブレード15の捲れが起こり易いためである。
【0048】
上記のように、高温高湿環境下では、感光体ドラム5の画像形成部に導電性ブラシロールが接し、当該画像形成部が低画像密度であるとき、又は、感光体ドラム5の非画像形成部に導電性ブラシロールが接するときに、ブラシロール11から感光体ドラム5の表面5aへ転写残トナーが吐き出される。このとき、感光体ドラム5の表面5aへ吐き出される転写残トナーを含むトナーの量は、3×10
−7g/cm
2以上であることが好ましく、1.0×10
−7g/cm
2以上であることが更に好ましい。また、この吐き出し用のトナーとしては、高温高湿環境下であって画像形成部が通常画像密度であるとき又は高温高湿環境以外の標準環境下のときに感光体ドラム5の表面5aからブラシロール11へ回収された残留トナーを用いることができるが、これに限られない。例えば、現像剤の特性を維持するために定期的に紙最大幅のトナーバンド画像をトナードレインとして現像されたトナーであって、ブラシロール11で回収及び保持されたトナーを用いてもよい。
【0049】
次に、クリーニング性能及び吐き出し性能の観点におけるブラシロール11の抵抗及び印加電圧の適正値について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6及び
図7における横軸は、導電性ブラシロールへの印加電圧を示し、縦軸は、ブラシロール11の抵抗を示している。
【0050】
まず、転写残トナーと逆極性の電圧をブラシロール11へ印加する場合について説明する。
図6は、転写残トナーと逆極性の電圧を印加する場合のブラシロール11の抵抗及び印加電圧の適正値を示すグラフである。例えば、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーの極性がマイナスの場合、これと逆極性であるプラスの電圧をブラシロール11に印加すると、転写残トナー等がブラシロール11で感光体ドラム5の表面5a上から除去される(以下、単に「クリーニング」ともいう)。このとき、抵抗値を10
2MΩ以下とすると、電圧の印加により感光体ドラム5間で短絡が生じ電圧が維持できなくなる。一方、抵抗値を10
6MΩ以上とすると、電圧降下により、転写残トナーのクリーニング及び保持した転写残トナーの感光体ドラム5への吐き出しができなくなる。よって、クリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見た場合、抵抗値は10
2MΩより大きく且つ10
6MΩより小さい範囲が好ましい。
【0051】
また、ブラシロール11の印加電圧について、+100V以下では、転写残トナーを静電吸着することができず、クリーニングを行うことができない。一方、放電開始電圧(+700V)以上では、クリーニングにより転写残トナーを保持できるものの、保持した転写残トナーが逆極化してしまうので、転写残トナーの極性と同極性を印加した際にブラシロール11から感光体ドラム5へ転写残トナーを吐き出すことができない。よって、クリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見た場合、ブラシロール11の印加電圧は、+100Vより大きく且つ+700Vより小さい範囲が好ましい。
【0052】
続いて、転写残トナーと同極性の電圧をブラシロール11へ印加する場合について説明する。
図7は、転写残トナーと同極性の電圧を印加する場合のブラシロール11の抵抗及び印加電圧の適正値を示すグラフである。例えば、感光体ドラム5の表面5a上の転写残トナーの極性がマイナスの場合、これと同極性であるマイナスの電圧をブラシロール11に印加すると、導電性ブラシロールに保持された転写残トナーが感光体ドラム5へ吐き出される(以下、単に「吐き出し」ともいう)。このとき、転写残トナーと逆極性の電圧をブラシロール11へ印加する場合と同様の理由で、抵抗値は10
2MΩより大きく且つ10
6より小さい範囲が好ましい。
【0053】
また、ブラシロール11の印加電圧について、−100V以上では、転写残トナーがブラシロール11に静電反発することができず、吐き出しを行うことができない。一方、放電開始電圧(−700V)以下では、感光体ドラム5上の転写残トナーが過帯電されてしまい、ブラシロール11に保持されている転写残トナーとの間で電荷の授受が行われることにより、保持されている転写残トナーの極性が混在することになり、吐き出しが不安定となってしまう。よって、クリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見た場合、ブラシロール11の印加電圧は、−700Vより大きく且つ−100Vより小さい範囲が好ましい。
【0054】
以上より、ブラシロール11の印加電圧の絶対値は、100Vより大きく且つ放電開始電圧より小さいことが好ましい。
【0055】
次に、上記適正範囲でのブラシロール11の動作の一例について
図8を用いて説明する。
図8は、印刷枚数に対するブラシロール11の動作の一例を示すグラフである。
図8の横軸は印刷枚数を示し、
図8の縦軸はブラシロール11のトナー保持量又はブラシロール11への印加電圧を示している。
図8のグラフにおける直線aは、印刷枚数の増加に伴うブラシロール11への印加電圧の変位を示し、
図8のグラフにおける直線bは、印刷枚数の増加に伴うブラシロール11のトナー保持量の変位を示している。
【0056】
図8に示すように、ブラシロール11は、高温高湿環境以外の標準環境下では、画像形成部であるか非画像形成部であるかによらず、全画像に対してトナー回収モードのみとなる。このモードにおいては、ブラシロール11に対して例えば転写残トナーと逆極性の500Vの電圧が印加される。
【0057】
一方、ブラシロール11は、高温高湿環境下では、画像形成部であるか非画像形成部であるかによってトナー吐き出しモード及びトナー回収モードが混在する場合(画像形成部が通常画像密度である場合)と、画像形成部であるか非画像形成部であるかによらず、全画像に対して吐き出しモードのみとなる場合(画像形成部が低画像密度である場合)とがある。トナー吐き出しモード及びトナー回収モードが混在する場合、例えば
図8の縦縞で示す範囲で印加電圧が変位し得る。例えば、トナー吐き出しモードでは転写残トナーと同極性の−200Vがブラシロール11に印加され、トナー回収モードでは転写残トナーと逆極性の500Vがブラシロール11に印加される。また、トナー吐き出しモードのみとなる場合には、ブラシロール11に対して例えば転写残トナーと同極性の−200Vが印加され、これによりブラシロール11は例えばA4の印刷紙500枚の印刷で0.25gの微量の転写残トナーを吐き出す。
【0058】
以上、本実施形態に係るクリーニング装置1によれば、クリーニングブレードの捲れが比較的発生しやすい高温高湿環境且つ非画像形成部であるときに、電気的反発により、ブラシロール11に保持されている転写残トナーを感光体ドラム5の表面5aに吐き出して潤滑性を向上させている。このように最も必要とされるタイミングで感光体ドラム5へトナーを吐き出すことで、不要なトナーの吐き出しをなくして吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレード15の捲れを適切に抑制することができる。
【0059】
また、クリーニング装置1によれば、環境検出部17によって画像形成装置10が高温高湿環境にあると検出された場合であっても、感光体ドラム5の画像形成部の画像密度、つまり転写残トナー量に応じて、トナーを吐き出したり、トナーを回収したりすることができる。これにより、クリーニングブレード15の捲れが発生しやすい場合にはトナーを供給する一方、クリーニングブレード15の捲れが発生しづらい場合にはトナーを回収することができるので、吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレード15の捲れを適切に抑制することができる。
【0060】
また、クリーニング装置1によれば、画像形成部が所定の画像密度よりも高密度の通常画像密度部であるときは、電気的引き付けにより、転写残トナーをブラシロール11で回収及び保持することができる。その結果、この回収及び保持された転写残トナーを、感光体ドラム5の表面5aに吐き出すために利用することが可能となる。一方、画像形成部が所定の画像密度以下の低画像密度部であるときは、電気的反発により、ブラシロール11に保持されている転写残トナーが感光体ドラム5の表面5aに吐き出すことができる。その結果、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間における潤滑性を適切に向上することが可能となる。
【0061】
また、所定の画像密度は、A4サイズの印刷紙を用いた場合において、例えば5%の画像密度である。また、ブレード捲れの発生は、より低密度であると生じ始めるおそれが高いことから、所定の画像密度は、5%未満の値を設定してもよい。
【0062】
また、クリーニング装置1によれば、標準環境下であり、感光体ドラム5の画像形成部にブラシロール11が接するときには、転写残トナーがブラシロール11で回収及び保持される。その結果、この回収及び保持された転写残トナーを、感光体ドラム5の表面5aに吐き出すために利用することができる。また、標準環境下であり、感光体ドラム5の非画像形成部にブラシロール11が接するときには、電圧がブラシロール11へ印加されない。よって、高温高湿環境下に比してクリーニングブレード15の捲れが生じにくい標準環境下の場合では、非画像形成部にブラシロール11が接する場合であっても転写残トナーが吐き出されないので、無駄な転写残トナーの吐き出しを抑制することができる。
【0063】
また、クリーニング装置1によれば、転写残トナーがブラシロール当接部材13によりブラシロール11から回収されると共に、回収された転写残トナーがブラシロール11へ塗布されるので、ブラシロール11に保持される転写残トナーの偏りを抑制することができる。
【0064】
また、ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の軸方向全域に当接し、一方向に巻かれた螺旋溝13aを有し、ブラシロール当接部材13の回転方向は、時計回り及び反時計回りの何れかに切り替えられている。このような螺旋溝13aを有するブラシロール当接部材13がブラシロール11の軸方向全域に当接された状態で、ブラシロール当接部材13が時計回り又は反時計回りに切り替えられて回転することができるので、転写残トナーを導電性ブラシロールの軸方向全域にむらなく塗布することができる。
【0065】
また、ブラシロール11の抵抗値は、10
2MΩより大きく且つ10
6MΩより小さく、ブラシロール11への印加電圧の絶対値は、100Vより大きく且つ放電開始電圧より小さい。これらの範囲は、ブラシロール11のクリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見て好ましい。
【0066】
また、感光体ドラム5の表面5aに吐き出される転写残トナーを含むトナーの量は、3×10
−7g/cm
2以上であることが好ましく、1.0×10
−7g/cm
2以上であることが更に好ましい。
【0067】
なお、例えば高温高湿環境かつ非画像形成部の場合には、除電しないと感光体ドラム5に約−600Vの表面電位が残っており、この状態でブラシロール11に約−200Vの電圧を印加しても、転写残トナーの吐き出しがうまく行われない場合がある。本実施形態によれば、除電手段8によって感光体ドラム5の表面電位が除電されるので、ブラシロール11からの転写残トナーの吐き出しを適切に行うことができる。
【0068】
ここで、本実施形態に係るクリーニング装置1の変形例について
図9を用いて説明する。
図9は、変形例に係るクリーニング装置を感光体ドラムの周方向から見た概略構成図である。
【0069】
図9で示すように、変形例に係るクリーニング装置1Aが上記実施形態に係るクリーニング装置1と異なる点は、ブラシロール当接部材23が、一方向に巻かれた第1螺旋溝23a及び他方向に巻かれた第2螺旋溝23bを有しており、ブラシロール当接部材23の回転方向が、時計回り又は反時計回りの何れか一方とされている点である。
【0070】
第1螺旋溝23aは、ブラシロール当接部材23の長手方向における一方の端部領域23Bから中央領域23Aにわたる範囲で形成されている。第2螺旋溝23bは、ブラシロール当接部材23の長手方向における他方の端部領域23Cから中央領域23Aにわたる範囲で形成されている。よって、中央領域23Aにおいては、互いに異なる方向に巻かれた第1螺旋溝23aと第2螺旋溝23bとが混在している。これにより、ブラシロール当接部材23の回転方向が時計回り又は反時計回りの何れか一方であっても、転写残トナーを軸方向に循環させることができる。
【0071】
また、端部領域23Bでは一方向に巻かれた第1螺旋溝23aが形成され、端部領域23Cでは他方向に巻かれた第2螺旋溝23b形成されている。すなわち、端部領域23Bと端部領域23Cとでは、互いに異なる方向の螺旋溝が形成されている。これにより、ブラシロール当接部材23の回転方向が時計回り又は反時計回りの何れか一方であっても、転写残トナーをブラシロール11の長手方向における両端部に運搬することができる。以上より、ブラシロール当接部材23によって、ブラシロール11の軸方向全域に対して転写残トナーをむらなく塗布することができる。
【0072】
以上、本実施形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0073】
例えば、環境検出部17によって画像形成装置10が高温高湿環境にあると検出された場合であるか否かに関わらず、感光体ドラム5の画像形成部にブラシロール11が接する場合において、当該画像形成部が通常画像密度であるときは残留した転写残トナーと逆極性の電圧をブラシロール11へ印加し、当該画像形成部が低画像密度であるときは残留した転写残トナーと同極性の電圧をブラシロール11へ印加するとしてもよい。これによっても、感光体ドラム5の画像形成部にブラシロール11が接し、当該画像形成部が通常画像密度部であるときには転写残トナーがブラシロール11で回収及び保持される。そして、回収及び保持された転写残トナーは、感光体ドラム5の画像形成部にブラシロール11が接し、当該画像形成部が低画像密度部であるときに、感光体ドラム5の表面5aに吐き出される。その結果、感光体ドラム5の表面5aとクリーニングブレード15の先端エッジ部15aとの間における潤滑性を向上させることができる。以上より、最も必要とされるタイミングで感光体ドラム5へトナーを吐き出すことで、不要なトナーの吐き出しをなくして吐き出し用のトナーを一定量確保しつつ、クリーニングブレード15の捲れを適切に防止することができる。なお、ここで用いる「低画像密度」や「通常画像密度」は、上述した実施形態で用いたものと同様である。
【0074】
なお、本実施形態においては、転写残トナーがマイナスを帯びているとしたが、転写残トナーがプラスを帯びているとしてもよく、その場合には、転写残トナーの同極性はプラスとなり、転写残トナーの逆極性はマイナスとなる。