【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体を加熱殺菌処理後常温まで冷却処理してから、さらに炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却処理し、下流側のカーボネータへ送液して液体に炭酸ガスを吸収させる従来の液処理装置の1例について、
図4および
図5に基づいて説明する。
図4は、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置をフローチャートで示す図である。
図5は、
図4に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において液体の循環待機、および、液体通路の洗浄または滅菌を説明する図である。
【0005】
図4において、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置(以下、単に液処理装置と称することがある)5は、図示しない上流側の供給元から矢印F1の向きで送液配管POにより弁V1を経て送液部(図示では受タンク)Tへ供給された液体Lを、送液配管PAの途中に設けられたポンプPにより送液して高温(1例として135℃)で加熱殺菌処理する加熱機器Hと、該加熱機器Hと送液配管PBで接続されて前記高温の液体Lを常温(1例として30℃)へ冷却処理する冷却機器CAと、該冷却機器CAと送液配管PCで接続されて前記常温の液体Lを炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度(1例として1℃)まで冷却処理する冷却機器CBと、該冷却機器CBと送液配管PDで接続されて前記低温度の液体Lに炭酸ガスを所定濃度まで吸収させるカーボネータCCによって主に構成されている。
【0006】
また、前記送液配管PDの途中には弁V6と弁V7によって構成される切換え弁VDが設けられ、弁V2を介して前記弁V7と前記送液部Tとを接続するリターン配管RPが設けられており、カーボネータCC内の液体Lは送液配管PPの途中に設けられたポンプP2によって図示しない充填装置に向けて送液されるようになっている。
【0007】
次に、従来の液処理装置5の作用を
図4および
図5に基づいて説明する。
液処理装置5の製造運転時は、弁V1を開、弁V2を閉に、切換え弁VDの弁V6を開、弁V7を閉にして、図示しない上流側の供給元から送液部Tに送液された液体Lが、
図4に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、冷却機器CBへ、さらに、切換え弁VD経由で矢印F4の方向に送液配管PDをカーボネータCCに向けて送液され、前記カーボネータCCで炭酸ガスが所定量吸収されて滅菌済の炭酸ガス入り飲料となって、前記カーボネータCCからポンプP2によって送液配管PPを介して図示しない下流の充填装置へ送液される。
即ち、液体Lは、加熱機器Hでの高圧下の高温加熱により微生物が滅菌処理され、常温への冷却処理を経て、炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度まで冷却処理されて、カーボネータCCで所定濃度の炭酸ガスを吸収して炭酸ガス入り飲料となった後、下流側の充填装置でびん或いは缶等の容器に所定量充填される。
【0008】
ここで、前記充填装置等の下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合には、前記液体Lは、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VDの弁V6を閉、弁V7を開として、
図5に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA,加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VDへ、さらに、切換え弁VDから図示矢印FPの方向にリターン配管RPを経て送液部Tへのループで循環されて循環待機状態となり、切換え弁VDから下流側のカーボネータCCへの送液が停止される。
【0009】
また、液処理装置5は、製造運転の前或いは後は、加熱機器Hで加熱された熱水或いは過酢酸溶液等の適宜温度の滅菌液から成る洗浄または滅菌用液体S(
図5では洗浄または滅菌用液体Sを( )表示している。)が、
図5の太線で示すルートで所定時間循環されて、前記液体Lの通路が洗浄または滅菌される。
【0010】
前記説明の従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置5の技術では、切換え弁VDから送液部Tへ送液するリターン配管RPを経る液体Lが循環待機状態の場合に、一旦加熱機器Hにより高温の殺菌温度で加熱殺菌された液体Lが、冷却機器CAによって常温へ冷却され、さらに冷却機器CBによって常温以下の低温度まで冷却された後、再び送液部Tを経て加熱機器Hによって高温の殺菌温度まで再加熱を受けることになり、多くの熱エネルギーを消費し、エネルギーコストが多大となっている可能性がある。
【0011】
さらに、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置の他の1例について、
図6から
図8に基づいて説明する。
図6は、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置の他の1例をフローチャートで示す図である。
図7は、
図6に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における液体の循環待機を説明する図である。
図8は、
図6に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における洗浄または滅菌用液体の循環を説明する図である。
なお、
図6において、先に説明した
図4と同じ構造のものについては同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0012】
図6において、他の1例の従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置(以下、単に液処理装置と称することがある)7は、先に
図4に基づいて説明した液処理装置5と同様に、送液部T、加熱機器H、冷却機器CA、冷却機器CB、カーボネータCCによって主に構成されているが、冷却機器CAと冷却機器CBがそれぞれ別に配置され、該冷却機器CAと冷却機器CBとが離れた位置になっていて、冷却機器CAと冷却機器CBとを接続する送液配管が、冷却機器CAの下流側の送液配管PEと冷却機器CBの上流の受タンクT7の上流側の送液配管PFが図示しない接続配管で接続されている。
【0013】
なお、前記送液配管PFの前記受タンクT7の入口側には弁V11が設けられている。
さらに、前記受タンクT7と前記冷却機器CBは送液配管PGで接続され、送液配管PGの途中にはポンプP7が設けられていて、受タンクT7内の液体Lが送液配管PG、冷却機器CB、切換え弁VDを伴う送液配管PDを経由してカーボネータCCへ送液されるようになっている。
【0014】
また、送液配管PEの途中には弁V8、弁V9から成る切換え弁VEが設けられ、弁2を介して前記弁V9と送液部Tとを接続するリターン配管RCが設けられているとともに、弁V12を介して切換え弁VDの弁V7と前記受タンクT7とを接続するリターン配管RHが設けられ、該リターン配管RHの途中には加熱機器CHが設けられていて、該加熱機器CHによって後述する洗浄または滅菌用液体Sが所定温度に加熱される構成となっている。
【0015】
次に、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置7の作用を
図6から
図8に基づいて説明する。
液処理装置7の製造運転時は、弁V1を開、弁V2を閉に、切換え弁VEの弁V8を開、弁V9を閉に、弁V11を開、弁V12を閉に、切換え弁VDの弁V6を開、弁V7を閉にして、図示しない上流側の供給元から送液部Tに送液された液体Lが、
図6に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VEを伴う送液配管PE、図示しない接続配管、送液配管PF、弁V11、受タンクT7へ、さらに、ポンプP7によって受タンクT7から送液配管PG、冷却機器CB、切換え弁VDを伴う送液配管PDを経て矢印F4の方向にカーボネータCCへ送液され、前記カーボネータCCで炭酸ガスが所定量吸収されて滅菌済の炭酸ガス入り飲料となって、前記カーボネータCCからポンプP2によって送液配管PPを介して図示しない下流の充填装置へ送液される。
【0016】
ここで、前記充填装置等の下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合には、前記液体Lは、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VEの弁V8を閉、弁V9を開として、
図7に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PE、切換え弁VEから図示矢印FCの方向にリターン配管RCを、弁V2経由で送液部Tへのループで循環されて循環待機状態となり、切換え弁VEから下流側への送液が停止される。
【0017】
また、液処理装置7は、製造運転の前或いは後は、洗浄または滅菌用液体Sが送液部T内に満たされ、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VEの弁V8を閉、弁V9を開として、前記送液部T内に満たされた洗浄または滅菌用液体Sが、
図8に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PE、切換え弁VEから図示矢印FCの方向にリターン配管RCを弁V2経由で送液部Tへのループで、加熱機器Hで適宜温度に加熱されて所定時間循環され、前記液体Lの通路が洗浄または滅菌される。
さらに、洗浄または滅菌用液体Sが受タンクT7内に満たされ、弁V11を閉、弁V12を開として、また、切換え弁VDの弁V6を閉、弁V7を開として、前記受タンクT7内に満たされた洗浄または滅菌用液体Sが、
図8に太線で示すように、ポンプP7によって受タンクT7から図示矢印F3の方向に送液配管PG、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VDから図示矢印FHの方向に、リターン配管RHを加熱機器CH経由で弁V12を介して受タンクT7へのループで、加熱機器CHで適宜温度に加熱されて所定時間循環され、前記受タンクT7から切換え弁VDの液体Lの通路が洗浄または滅菌される。
即ち、弁V7から加熱機器CH、弁V12経由のリターン配管RHは、洗浄または滅菌用液体Sを前記液体Lの通路が所定条件で洗浄または滅菌されるように適宜温度に加熱する作用を有している。
【0018】
なお、図示しない上流側の供給元から矢印F1の向きで送液配管POにより弁V1を経て送液部Tへ供給された洗浄または滅菌用液体Sを、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VEを伴う送液配管PE、図示しない接続配管、送液配管PF、弁V11、受タンクT7へ送液する際に、適宜温度になった洗浄または滅菌用液体Sが所定時間通過することにより前記弁V8以降受タンクT7までの送液配管、弁は所定条件で洗浄または滅菌される。
また、前記弁V6以降カーボネータCCまでの送液配管、弁も同様に受タンクT7からカーボネータCCへの洗浄または滅菌用液体Sの送液の際に、前記洗浄または滅菌用液体Sが所定時間通過することにより所定条件で滅菌される。
【0019】
前記説明の従来の液処理装置7では、冷却機器CAから離れた場所に配置されている冷却機器CBの製造運転の前或いは後の洗浄または滅菌用液体Sを適宜の所定温度にするために、加熱機器CHを設けて洗浄または滅菌用液体Sの循環時の熱負荷を小さくしているが、加熱機器CHの設備費が高価になっている可能性がある。
【0020】
本発明は、上述の事情に鑑み、製造運転時に下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合において、液体を下流側へ送液しない循環待機状態を低いエネルギーコストで実現でき、また、製造運転の前或いは後の液体通路の洗浄または滅菌のための設備を安価にできる炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置を提供することを目的としている。