特許第6236698号(P6236698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236698
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液処理装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/22 20060101AFI20171120BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20171120BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20171120BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20171120BHJP
   B67C 3/02 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   A23L3/22
   A23L2/00 T
   A23L2/00 X
   A23L2/26
   B01F1/00 B
   !B67C3/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-111256(P2014-111256)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-223150(P2015-223150A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 賢一
(72)【発明者】
【氏名】関屋 雄一
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−102233(JP,U)
【文献】 実開昭60−116337(JP,U)
【文献】 特開平09−010286(JP,A)
【文献】 特開2001−072190(JP,A)
【文献】 特開2001−072189(JP,A)
【文献】 特公平02−027236(JP,B2)
【文献】 特開2013−091018(JP,A)
【文献】 特開2005−104531(JP,A)
【文献】 特表2002−512056(JP,A)
【文献】 特開昭56−064996(JP,A)
【文献】 特開2003−117364(JP,A)
【文献】 特開昭63−044492(JP,A)
【文献】 特開2008−290781(JP,A)
【文献】 特開2004−210402(JP,A)
【文献】 特開平05−007751(JP,A)
【文献】 特開2006−211931(JP,A)
【文献】 特開2006−129787(JP,A)
【文献】 特開2008−029321(JP,A)
【文献】 特開2009−112236(JP,A)
【文献】 特開2010−252702(JP,A)
【文献】 特開2012−100572(JP,A)
【文献】 特開昭55−064788(JP,A)
【文献】 特開2007−202446(JP,A)
【文献】 実開昭63−183096(JP,U)
【文献】 実開平02−067863(JP,U)
【文献】 米国特許第04416194(US,A)
【文献】 米国特許第04356681(US,A)
【文献】 特開昭54−041380(JP,A)
【文献】 特開2007−029080(JP,A)
【文献】 特開平5−023150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/
A23L 2/
B01F 1/00
B67C 3/02
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の送液部から送液配管PAによって送液されてくる液体を加熱殺菌する加熱機器Hと、前記加熱機器Hと送液配管PBで接続されて前記加熱機器Hで加熱殺菌された液体を常温まで冷却する冷却機器CAと、前記冷却機器CAと送液配管PCで接続されて前記冷却機器CAで常温まで冷却された液体を炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却する冷却機器CBと、前記送液配管PCの途中に設けた切換え弁VCと、前記冷却機器CBからカーボネータ等の下流側機器への送液配管PDの途中に設けた切換え弁VDと、前記切換え弁VCと前記上流側の送液部とを接続するリターン配管RAと、前記切換え弁VDと前記切換え弁VCを接続するリターン配管RBにより構成する炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載する炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において、前記冷却機器CB側への前記液体の供給を一時停止する時には、前記上流側の送液部から、送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、切換え弁VC、リターン配管RA、前記上流側の送液部へのループで順次前記液体の循環を行って液体を循環待機状態にし、前記冷却機器CB側には液体を供給しないように構成する炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載する炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において、該液処理装置の液体通路を洗浄または滅菌する時には、前記上流側の送液部から、送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VCを伴う送液配管PC、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VD、リターン配管RBおよび該リターン配管RBと切換え弁VCで接続されたリターン配管RA、前記上流側の送液部へのループで順次洗浄または滅菌用液体を循環するように構成する炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を、加熱殺菌処理後常温まで冷却処理し、さらに炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却処理してカーボネータで炭酸ガスを吸収させることにより炭酸ガス入り飲料製造用液体(単に炭酸飲料用液体とも称する)にする液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炭酸飲料用液体は、びん或いは缶に充填包装する場合に、充填前工程での液体への炭酸ガス吸収を効率的に行うために、液体を熱交換器などの冷却機器によって炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却する処理を行っている。(特許文献1,2)
また、果汁入り等の炭酸飲料用液体の場合には、該液体は、加熱機器で加熱殺菌処理をしてから冷却機器によって常温まで冷却処理し、さらに下流側の冷却機器によって炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度まで冷却処理して炭酸ガス吸収を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−183096号公報(第1図)
【特許文献2】実開平2−67863号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体を加熱殺菌処理後常温まで冷却処理してから、さらに炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却処理し、下流側のカーボネータへ送液して液体に炭酸ガスを吸収させる従来の液処理装置の1例について、図4および図5に基づいて説明する。
図4は、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置をフローチャートで示す図である。
図5は、図4に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において液体の循環待機、および、液体通路の洗浄または滅菌を説明する図である。
【0005】
図4において、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置(以下、単に液処理装置と称することがある)5は、図示しない上流側の供給元から矢印F1の向きで送液配管POにより弁V1を経て送液部(図示では受タンク)Tへ供給された液体Lを、送液配管PAの途中に設けられたポンプPにより送液して高温(1例として135℃)で加熱殺菌処理する加熱機器Hと、該加熱機器Hと送液配管PBで接続されて前記高温の液体Lを常温(1例として30℃)へ冷却処理する冷却機器CAと、該冷却機器CAと送液配管PCで接続されて前記常温の液体Lを炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度(1例として1℃)まで冷却処理する冷却機器CBと、該冷却機器CBと送液配管PDで接続されて前記低温度の液体Lに炭酸ガスを所定濃度まで吸収させるカーボネータCCによって主に構成されている。
【0006】
また、前記送液配管PDの途中には弁V6と弁V7によって構成される切換え弁VDが設けられ、弁V2を介して前記弁V7と前記送液部Tとを接続するリターン配管RPが設けられており、カーボネータCC内の液体Lは送液配管PPの途中に設けられたポンプP2によって図示しない充填装置に向けて送液されるようになっている。
【0007】
次に、従来の液処理装置5の作用を図4および図5に基づいて説明する。
液処理装置5の製造運転時は、弁V1を開、弁V2を閉に、切換え弁VDの弁V6を開、弁V7を閉にして、図示しない上流側の供給元から送液部Tに送液された液体Lが、図4に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、冷却機器CBへ、さらに、切換え弁VD経由で矢印F4の方向に送液配管PDをカーボネータCCに向けて送液され、前記カーボネータCCで炭酸ガスが所定量吸収されて滅菌済の炭酸ガス入り飲料となって、前記カーボネータCCからポンプP2によって送液配管PPを介して図示しない下流の充填装置へ送液される。
即ち、液体Lは、加熱機器Hでの高圧下の高温加熱により微生物が滅菌処理され、常温への冷却処理を経て、炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度まで冷却処理されて、カーボネータCCで所定濃度の炭酸ガスを吸収して炭酸ガス入り飲料となった後、下流側の充填装置でびん或いは缶等の容器に所定量充填される。
【0008】
ここで、前記充填装置等の下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合には、前記液体Lは、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VDの弁V6を閉、弁V7を開として、図5に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA,加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VDへ、さらに、切換え弁VDから図示矢印FPの方向にリターン配管RPを経て送液部Tへのループで循環されて循環待機状態となり、切換え弁VDから下流側のカーボネータCCへの送液が停止される。
【0009】
また、液処理装置5は、製造運転の前或いは後は、加熱機器Hで加熱された熱水或いは過酢酸溶液等の適宜温度の滅菌液から成る洗浄または滅菌用液体S(図5では洗浄または滅菌用液体Sを( )表示している。)が、図5の太線で示すルートで所定時間循環されて、前記液体Lの通路が洗浄または滅菌される。
【0010】
前記説明の従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置5の技術では、切換え弁VDから送液部Tへ送液するリターン配管RPを経る液体Lが循環待機状態の場合に、一旦加熱機器Hにより高温の殺菌温度で加熱殺菌された液体Lが、冷却機器CAによって常温へ冷却され、さらに冷却機器CBによって常温以下の低温度まで冷却された後、再び送液部Tを経て加熱機器Hによって高温の殺菌温度まで再加熱を受けることになり、多くの熱エネルギーを消費し、エネルギーコストが多大となっている可能性がある。
【0011】
さらに、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置の他の1例について、図6から図8に基づいて説明する。
図6は、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置の他の1例をフローチャートで示す図である。
図7は、図6に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における液体の循環待機を説明する図である。
図8は、図6に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における洗浄または滅菌用液体の循環を説明する図である。
なお、図6において、先に説明した図4と同じ構造のものについては同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0012】
図6において、他の1例の従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置(以下、単に液処理装置と称することがある)7は、先に図4に基づいて説明した液処理装置5と同様に、送液部T、加熱機器H、冷却機器CA、冷却機器CB、カーボネータCCによって主に構成されているが、冷却機器CAと冷却機器CBがそれぞれ別に配置され、該冷却機器CAと冷却機器CBとが離れた位置になっていて、冷却機器CAと冷却機器CBとを接続する送液配管が、冷却機器CAの下流側の送液配管PEと冷却機器CBの上流の受タンクT7の上流側の送液配管PFが図示しない接続配管で接続されている。
【0013】
なお、前記送液配管PFの前記受タンクT7の入口側には弁V11が設けられている。
さらに、前記受タンクT7と前記冷却機器CBは送液配管PGで接続され、送液配管PGの途中にはポンプP7が設けられていて、受タンクT7内の液体Lが送液配管PG、冷却機器CB、切換え弁VDを伴う送液配管PDを経由してカーボネータCCへ送液されるようになっている。
【0014】
また、送液配管PEの途中には弁V8、弁V9から成る切換え弁VEが設けられ、弁2を介して前記弁V9と送液部Tとを接続するリターン配管RCが設けられているとともに、弁V12を介して切換え弁VDの弁V7と前記受タンクT7とを接続するリターン配管RHが設けられ、該リターン配管RHの途中には加熱機器CHが設けられていて、該加熱機器CHによって後述する洗浄または滅菌用液体Sが所定温度に加熱される構成となっている。
【0015】
次に、従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置7の作用を図6から図8に基づいて説明する。
液処理装置7の製造運転時は、弁V1を開、弁V2を閉に、切換え弁VEの弁V8を開、弁V9を閉に、弁V11を開、弁V12を閉に、切換え弁VDの弁V6を開、弁V7を閉にして、図示しない上流側の供給元から送液部Tに送液された液体Lが、図6に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VEを伴う送液配管PE、図示しない接続配管、送液配管PF、弁V11、受タンクT7へ、さらに、ポンプP7によって受タンクT7から送液配管PG、冷却機器CB、切換え弁VDを伴う送液配管PDを経て矢印F4の方向にカーボネータCCへ送液され、前記カーボネータCCで炭酸ガスが所定量吸収されて滅菌済の炭酸ガス入り飲料となって、前記カーボネータCCからポンプP2によって送液配管PPを介して図示しない下流の充填装置へ送液される。
【0016】
ここで、前記充填装置等の下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合には、前記液体Lは、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VEの弁V8を閉、弁V9を開として、図7に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PE、切換え弁VEから図示矢印FCの方向にリターン配管RCを、弁V2経由で送液部Tへのループで循環されて循環待機状態となり、切換え弁VEから下流側への送液が停止される。
【0017】
また、液処理装置7は、製造運転の前或いは後は、洗浄または滅菌用液体Sが送液部T内に満たされ、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VEの弁V8を閉、弁V9を開として、前記送液部T内に満たされた洗浄または滅菌用液体Sが、図8に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PE、切換え弁VEから図示矢印FCの方向にリターン配管RCを弁V2経由で送液部Tへのループで、加熱機器Hで適宜温度に加熱されて所定時間循環され、前記液体Lの通路が洗浄または滅菌される。
さらに、洗浄または滅菌用液体Sが受タンクT7内に満たされ、弁V11を閉、弁V12を開として、また、切換え弁VDの弁V6を閉、弁V7を開として、前記受タンクT7内に満たされた洗浄または滅菌用液体Sが、図8に太線で示すように、ポンプP7によって受タンクT7から図示矢印F3の方向に送液配管PG、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VDから図示矢印FHの方向に、リターン配管RHを加熱機器CH経由で弁V12を介して受タンクT7へのループで、加熱機器CHで適宜温度に加熱されて所定時間循環され、前記受タンクT7から切換え弁VDの液体Lの通路が洗浄または滅菌される。
即ち、弁V7から加熱機器CH、弁V12経由のリターン配管RHは、洗浄または滅菌用液体Sを前記液体Lの通路が所定条件で洗浄または滅菌されるように適宜温度に加熱する作用を有している。
【0018】
なお、図示しない上流側の供給元から矢印F1の向きで送液配管POにより弁V1を経て送液部Tへ供給された洗浄または滅菌用液体Sを、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VEを伴う送液配管PE、図示しない接続配管、送液配管PF、弁V11、受タンクT7へ送液する際に、適宜温度になった洗浄または滅菌用液体Sが所定時間通過することにより前記弁V8以降受タンクT7までの送液配管、弁は所定条件で洗浄または滅菌される。
また、前記弁V6以降カーボネータCCまでの送液配管、弁も同様に受タンクT7からカーボネータCCへの洗浄または滅菌用液体Sの送液の際に、前記洗浄または滅菌用液体Sが所定時間通過することにより所定条件で滅菌される。
【0019】
前記説明の従来の液処理装置7では、冷却機器CAから離れた場所に配置されている冷却機器CBの製造運転の前或いは後の洗浄または滅菌用液体Sを適宜の所定温度にするために、加熱機器CHを設けて洗浄または滅菌用液体Sの循環時の熱負荷を小さくしているが、加熱機器CHの設備費が高価になっている可能性がある。
【0020】
本発明は、上述の事情に鑑み、製造運転時に下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合において、液体を下流側へ送液しない循環待機状態を低いエネルギーコストで実現でき、また、製造運転の前或いは後の液体通路の洗浄または滅菌のための設備を安価にできる炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
本発明の第一の態様によれば、炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置は、上流側の送液部から送液配管PAによって送液されてくる液体を加熱殺菌する加熱機器Hと、前記加熱機器Hと送液配管PBで接続されて前記加熱機器Hで加熱殺菌された液体を常温まで冷却する冷却機器CAと、前記冷却機器CAと送液配管PCで接続されて前記冷却機器CAで常温まで冷却された液体を炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却する冷却機器CBと、前記送液配管PCの途中に設けた切換え弁VCと、前記冷却機器CBからカーボネータ等の下流側機器への送液配管PDの途中に設けた切換え弁VDと、前記切換え弁VCと前記上流側の送液部とを接続するリターン配管RAと、前記切換え弁VDと前記切換え弁VCを接続するリターン配管RBにより構成する。
【0022】
本発明の第二の態様によれば、前記第一の態様に係る炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において、前記冷却機器CB側への前記液体の供給を一時停止する時には、前記上流側の送液部から、送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、切換え弁VC、リターン配管RA、前記上流側の送液部へのループで順次前記液体の循環を行って液体を循環待機状態にし、前記冷却機器CB側には液体を供給しないように構成する。
【0023】
本発明の第三の態様によれば、前記第一の態様に係る炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において、該液処理装置の液体通路を洗浄または滅菌する時には、前記上流側の送液部から、送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VCを伴う送液配管PC、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VD、リターン配管RBおよび該リターン配管RBと切換え弁VCで接続されたリターン配管RA、前記上流側の送液部へのループで順次洗浄または滅菌用液体を循環するように構成する。
【発明の効果】
【0024】
上記本発明の態様に係る炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置は、上流側の送液部から送液配管PAによって送液されてくる液体を加熱殺菌する加熱機器Hと、前記加熱機器Hと送液配管PBで接続されて前記加熱機器Hで加熱殺菌された液体を常温まで冷却する冷却機器CAと、前記冷却機器CAと送液配管PCで接続されて前記冷却機器CAで常温まで冷却された液体を炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度に冷却する冷却機器CBと、前記送液配管PCの途中に設けた切換え弁VCと、前記冷却機器CBからカーボネータ等の下流側機器への送液配管PDの途中に設けた切換え弁VDと、前記切換え弁VCと前記上流側の送液部とを接続するリターン配管RAと、前記切換え弁VDと前記切換え弁VCを接続するリターン配管RBにより構成して、前記冷却機器CB側への前記液体の供給を一時停止する時には、前記上流側の送液部から、送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、切換え弁VC、リターン配管RA、前記上流側の送液部へのループで順次前記液体の循環を行って液体を循環待機状態にし、前記冷却機器CB側には液体を供給しないようにしたので、循環待機状態で液体を加熱機器Hで再加熱殺菌する際に、冷却機器CBを経由させずに液体を再加熱することができ、循環待機状態における加熱機器Hでの再加熱で消費するエネルギーコストが小さくて済む。
【0025】
また、該液処理装置の液体通路を洗浄または滅菌する時には、冷却機器CBを冷却機器CAの近くに配置して、前記上流側の送液部から、送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VCを伴う送液配管PC、冷却機器CB、送液配管PD、切換え弁VD、リターン配管RBおよび該リターン配管RBと切換え弁VCで接続されたリターン配管RA、前記上流側の送液部へのループで順次洗浄または滅菌用液体を循環するように構成したので、冷却機器CB周りの液体通路を洗浄または滅菌するに際して高価な加熱機器を設ける必要がなく、また、該液体通路の洗浄および滅菌のエネルギーコストが少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係わる炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置をフローチャートで示す図である。
図2図1に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における液体の循環待機を説明する図である。
図3図1に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における洗浄または滅菌用液体の循環を説明する図である。
図4】従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置をフローチャートで示す図である。
図5図4に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置において液体の循環待機、および、液体通路の洗浄または滅菌を説明する図である。
図6】従来の炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置の他の1例をフローチャートで示す図である。
図7図6に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における液体の循環待機を説明する図である。
図8図6に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における洗浄または滅菌用液体の循環を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0028】
(本発明の実施の形態)
本発明の実施の形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置をフローチャートで示す図である。
図2は、図1に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における液体の循環待機を説明する図である。
図3は、図1に示す炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置における洗浄または滅菌用液体の循環を説明する図である。
なお、図1において、従来の液処理装置5および液処理装置7で説明した図4および図6と同じ構造のものは同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0029】
図1において、本発明の実施の形態に係わる炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置(以下、単に液処理装置と称することがある)1は、先に図4に基づいて説明した液処理装置5と同様に、送液部T、加熱機器H、冷却機器CA、冷却機器CB、カーボネータCCによって主に構成されているが、冷却機器CAと冷却機器CBが近い位置に配置されていて、冷却機器CAと冷却機器CBとを接続する送液配管PCの途中に弁V3、弁V4、弁V5によって構成される切換え弁VCが設けられ、弁V4と弁V2を介して送液部Tと接続するリターン配管RAが、また、弁V7と弁V5を接続するリターン配管RBが設けられている。
なお、前記リターン配管RAとリターン配管RBは、切換え弁VCの弁V5を開にすることにより接続状態とすることができるようになっている。
【0030】
次に、本発明の実施の形態に係わる炭酸ガス入り飲料製造用液体の液処理装置1の作用を図1から図3に基づいて説明する。
液処理装置1の製造運転時は、切換え弁VCの弁V3を開、弁V4を閉に、切換え弁VDの弁V6を開、弁V7を閉にして、図示しない上流側の供給元から送液部Tに送液された液体Lが、図1に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VCを伴う送液配管PC、冷却機器CBへ、さらに、矢印F4の方向に切換え弁VDを伴う送液配管PDを介してカーボネータCCへ送液され、前記カーボネータCCで炭酸ガスが所定量吸収されて滅菌済の炭酸ガス入り飲料となって、前記カーボネータCCからポンプP2によって送液配管PPを介して図示しない下流の充填装置へ送液される。
即ち、液体Lは、加熱機器Hでの高圧下の高温加熱により微生物が滅菌処理され、常温への冷却処理を経て、炭酸ガス吸収に適した常温以下の低温度まで冷却処理されて、カーボネータCCで所定濃度の炭酸ガスを吸収して炭酸ガス入り飲料となった後、下流側の充填装置でびん或いは缶等の容器に所定量充填される。
【0031】
ここで、製造運転時に、前記充填装置等の下流側機器の運転が一旦停止となる事態が生じた場合には、前記液体Lは、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VCの弁V4を開、弁V3を閉、弁V5を閉として、図2に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、送液配管PC、切換え弁VCへ、さらに、切換え弁VCから図示矢印FAの方向にリターン配管RAを経て送液部Tへのループで循環されて、循環待機状態となり、切換え弁VCから下流側の冷却機器CBへの送液が停止される。
【0032】
また、液処理装置1は、製造運転の前或いは後は、洗浄または滅菌用液体Sが送液部T内に満たされ、弁V1を閉、弁V2を開として、また、切換え弁VCの弁V3を開、弁V5を開、弁V4を閉として、前記送液部T内に満たされた洗浄または滅菌用液体Sが、図3に太線で示すように、ポンプPによって送液部Tから図示矢印F2の方向に送液配管PA、加熱機器H、送液配管PB、冷却機器CA、切換え弁VCを伴った送液配管PC、冷却機器CB、送液配管PD,切換え弁VDから図示矢印FBの方向にリターン配管RBを弁V5へ、さらに弁V2経由でリターン配管RAを送液部Tへのループで、加熱機器Hで適宜温度に加熱されて所定時間循環され、前記液体Lの通路が所定条件で洗浄または滅菌される。
なお、前記説明では弁V4を閉にした場合を説明したが、弁V4を適宜流量調整できる開度で開にして、洗浄または滅菌用液体Sを送液配管PCから冷却機器CB,送液配管PD、切換え弁VD、リターン配管RB、弁V5経由リターン配管RAへ送液するとともに、送液配管PCから弁V4を経由してリターン配管RAへ送液するというように送液を分岐するとしてもよい。
【0033】
前記説明のように、液体Lの循環待機の場合に液体Lが冷却機器CBを経由しないので、加熱機器Hでの加熱の際の熱エネルギーが少なくてすみ、さらに、冷却機器CBを冷却機器CAに近い配置として、切換え弁VCを設けることにより、冷却機器CB周りのための液体通路の洗浄または滅菌用液体Sの加熱装置を設ける必要がなく、また、加熱機器Hによる前記洗浄または滅菌用液体Sの加熱が有効利用されるので、効率的である。
【符号の説明】
【0034】
1 (炭酸ガス入り飲料製造用液体の)液処理装置
CA 冷却機器
CB 冷却機器
CC カーボネータ
H 加熱機器
PA、PB、PC、PD 送液配管
RA、RB リターン配管
T 送液部
VC、VD 切換え弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8