(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抑止部は、前記傾動抑止部材と係止して前記第二の角度を超える前記シートバックの傾動を抑止する係止部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態においては、シート装置を車両に適用した例を挙げて説明する。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ適用した車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0010】
<車両>
図1は、実施形態に係るシート装置を備えた車両1の左側面図である。
図1に示すように、車両1の車室内のフロア上には、フロントシート2、セカンドシート3及びサードシート4が設けられている。フロントシート2、セカンドシート3及びサードシート4は、車両前方から後方に向けて間隔を空けてこの順に配置されている。
【0011】
<シート装置>
セカンドシート3には、左右に1つずつシート装置10(
図2参照)が設けられている。以下、左右のシート装置10のうち右側のシート装置10を挙げて説明する。左側のシート装置10は、右側のシート装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0012】
図2は、実施形態に係るシート装置10を右前方から見た斜視図である。
図2に示すように、シート装置10は、シート11と、シート11を前後方向にスライド可能に支持する一対のスライドレール20と、を備えている。
【0013】
<シート>
シート11は、乗員の臀部を支持するシートクッション12と、シートクッション12の後端部に傾動可能に連結されるとともに、乗員の腰部及び背部を支持するシートバック13と、シートバック13の上部に支持されるとともに、乗員の頭部及び首部を支持するヘッドレスト14と、を備えている。なお、シート11の右側には、アームレスト15が設けられている。
【0014】
シートクッション12は、シートライザー30を介して、スライドレール20に前後方向にスライド可能に支持されている。具体的に、シートクッション12は、骨格をなすクッションフレーム12F(
図6参照)と、クッションフレーム12Fを上方から被覆するクッションユニット12Aと、を備えている。
【0015】
クッションフレーム12Fは、左右方向に延びる前後一対のクロスメンバ(
図4では後側のクロスメンバ16を図示)と、前後方向に延びる左右一対のサイドプレート(
図4では左側のサイドプレート17を図示)とによって矩形枠状に形成されている。例えば、クッションユニット12Aは、ウレタンフォーム等からなるシートパッド(不図示)と、シートパッドを覆うとともに布又は革等からなるシートカバー(不図示)と、を備えている。
【0016】
シートバック13は、骨格をなすシートバックフレーム13F(
図4参照)と、シートバックフレーム13Fを前方から被覆するクッションユニット13Aと、を備えている。なお、シートバック13の構成は、上述したシートクッション12と同様の構成であるため、上述した説明と同様の構成については説明を省略する。
【0017】
<スライドレール>
一対のスライドレール20は、車室内のフロア5に設けられている。一対のスライドレール20は、車両1のホイールハウス6(
図5参照)を避ける位置に配置されている。スライドレール20は、セカンドシート3からサードシート4(
図1参照)の間に跨るように前後方向に沿って延びる直線状をなしている。
【0018】
一対のスライドレール20は、左右方向に並んで配置されている。スライドレール20には、シートライザー30を下方から支持するスライダ23(
図5参照)が設けられている。スライダ23は、スライドレール20の長手方向(前後方向)にスライド可能に構成されている。
【0019】
<シートライザー>
シートライザー30は、シート11のシートクッション12を下方から支持する。シートライザー30の下端部には、上述のスライダ23が固定されている。シートライザー30は、スライダ23を介して一対のスライドレール20にスライド可能に支持されている。すなわち、シート11は、シートライザー30とともに前後方向にスライド可能に構成されている。
【0020】
なお、シートライザー30には、シート11を左右方向にスライド可能に支持するスライド機構60(
図6参照)が設けられている。すなわち、シート11は、一対のスライドレール20上においてシートライザー30とともに前後方向に移動可能に構成されていることに加え、シートライザー30上において左右方向に移動可能に構成されている。
【0021】
<シートの移動可能範囲>
図3は、実施形態に係るシート11(
図2参照)の移動可能範囲を第一の位置P1及び第二の位置P2と共に示す図である。なお、第一の位置P1は、シート11が左右方向にスライドする際に移動可能な右端位置である。第二の位置P2は、シート11が左右方向にスライドする際に移動可能な左端位置である。
【0022】
図2及び
図3に示すように、シート11は、第一の位置P1を後端位置として前後に直線状に延びる第一の線分V1に沿って(すなわちスライドレール20に沿って)移動可能に構成されている。また、シート11は、第二の位置P2を前後中間位置として前後に直線状に延びる第二の線分V2に沿って(すなわちスライドレール20に沿って)移動可能に構成されている。また、シート11は、第一の位置P1を右端位置とし且つ第二の位置P2を左端位置として左右に直線状に延びる第三の線分V3に沿って(すなわち、
図6に示すスライド機構60によって)移動可能に構成されている。なお、前後方向において、第二の線分V2の前端位置は、第一の線分V1の前端位置と実質的に同じ位置である。
【0023】
<給電レール>
図2に示すように、シート装置10は、一対のスライドレール20の間に配置されるとともに、スライドレール20の長手方向に沿うように延びる給電レール35を更に備えている。
【0024】
図示はしないが、給電レール35は、フロア5の側のフロアハーネスの一端と、シート11の側のシートハーネスの一端との間を電気的に接続する接続部をスライド可能に支持している。接続部は、シート11の前後スライドに従って、給電レール35上において前後方向にスライド可能に構成されている。
【0025】
図示はしないが、フロアハーネスの他端は、配電ユニットを介してバッテリ等の電源供給部に電気的に接続されている。一方、シートハーネスの他端は、シート11に設けられたECU(Engine Control Unit)を介して、電装品(例えば、
図4に示すシートバック13を傾動可能とするモータ42a)に電気的に接続されている。これにより、シート装置10は、不図示の電源供給部からフロアハーネス、接続部及びシートハーネスを経て、シート11の電装品に給電されるように構成されている。
【0026】
<リクライナ機構>
図4は、実施形態に係るリクライナ機構40の右側面図である。
図4に示すように、クッションフレーム12Fの後端部には、シートバックフレーム13Fを傾動可能に支持するリクライナ機構40が設けられている。
リクライナ機構40は、クッションフレーム12Fとシートバックフレーム13Fとを回動可能に連結する傾動軸41と、傾動軸41を回動させるモータユニット42と、傾動軸41の両端に配置されるリクライナプレート43と、を備えている。
【0027】
傾動軸41は、鉄及びステンレス等の金属からなる棒状の部材である。傾動軸41は、左右方向に延在している。
【0028】
モータユニット42は、モータ42aと、モータ42aの回転数を減速する減速機構42bと、を備えている。
例えば、モータ42aは、直流モータである。
図示はしないが、減速機構42bは、ウォームギヤ、ウォームホイール及び出力ギヤ等を備えている。ウォームギヤ、ウォームホイール及び出力ギヤは、互いに噛み合うように配置されるとともに、減速機構42b内で回転自在に軸支されている。例えば、出力ギヤは、傾動軸41にスプライン結合されている。
【0029】
リクライナプレート43は、円盤状をなしている。リクライナプレート43の中央部には、傾動軸41が挿通される貫通孔43hが形成されている。例えば、傾動軸41を貫通孔43hに挿通することで、リクライナプレート43は傾動軸41にスプライン結合される。これにより、リクライナプレート43は、傾動軸41に対して周方向に位置決めされている。
【0030】
図示はしないが、リクライナプレート43には、左右方向に突出した位置決め突起が形成されている。位置決め突起は、リクライナプレート43の周方向に沿って間隔を空けて複数配置されている。位置決め突起は、クッションフレーム12Fの被係止部(不図示)に係止可能とされている。これにより、リクライナプレート43は、クッションフレーム12Fに対して周方向に位置決めされている。
【0031】
このように、リクライナプレート43は、傾動軸41に対してスプライン結合により位置決めされるとともに、クッションフレーム12Fに対して位置決め突起により位置決めされている。すなわち、リクライナ機構40はクッションフレーム12Fに対して位置決めされている。そして、シートバック13は、モータ42aの駆動によって傾動軸41の回りに回動(傾動)するように構成されている。なお、シートバック13の傾動範囲は、リクライナ機構40の内部に設けられた不図示の規制部材によって機械的に規制されている。
【0032】
<シートバックの後傾範囲>
図5は、実施形態に係るシートバック13を後傾させた状態をホイールハウス6と共に示す左側面図である。なお、
図5においては、便宜上、サードシート4(
図1参照)の図示を省略している。以下、シートバック13が後傾しているときの、鉛直方向を基準とした傾動軸41まわりのシートバック13の回動角度を「シートバック13の傾斜角度」という。
【0033】
図5に示すように、シートバック13を後傾させた状態において、シートバック13は、ホイールハウス6に干渉しないように構成されている。具体的に、
図2、
図3及び
図5に示すように、シート11がシートライザー30上において第一の位置P1(すなわち右端位置)に位置するときにはシートバック13がホイールハウス6に近づくものの、この位置でシートバック13を後傾させたとしても、シートバック13はホイールハウス6に干渉しないように構成されている。すなわち、シート11が第一の位置P1に位置するときには、シートバック13の後傾範囲は、シートバック13がホイールハウス6に接するときのシートバック13の傾斜角度を超えないように設定されている。
【0034】
<インターロック機構>
図4に示すように、クッションフレーム12Fの後端部には、シート11が第一の位置P1に位置するときに、シートバック13の後傾を目標の角度で停止させるインターロック機構50が設けられている。目標の角度は、上述の規制部材によって規制される角度(以下「規制角度」という。)よりも小さい角度に設定されている。なお、目標の角度は、後述する第二の角度θ2に相当する。以下の説明において、シートバック13の後傾を第二の角度θ2で停止させることを「インターロック」という。
【0035】
以下、乗員が通常の姿勢でシート11(
図2参照)に着座しているときのシートバック13の傾斜角度を「基準角度θ0」という。なお、
図4は、基準角度θ0の状態を示している。
【0036】
以下、基準角度θ0よりも大きいシートバック13の傾斜角度を「第一の角度θ1」、第一の角度θ1よりも大きいシートバック13の傾斜角度を「第二の角度θ2」という。第二の角度θ2は、シートバック13がホイールハウス6(
図5参照)に接するときのシートバック13の傾斜角度に設定されている。
【0037】
インターロック機構50は、スイッチ51、傾動抑止部材52及び抑止部53を備えている。
【0038】
<スイッチ>
スイッチ51は、クッションフレーム12Fの左側のサイドプレート17の後端部に設けられている。基準角度θ0において、スイッチ51は、不図示の付勢部材によって矢印A1の方向に付勢された状態で停止している。スイッチ51は、モータ42aの駆動及び停止を切り替えるように構成されている。例えば、スイッチ51は、リミットスイッチである。
【0039】
<傾動抑止部材>
傾動抑止部材52は、シートバックフレーム13Fの左側のサイドフレーム18の後下端部に固定されている。すなわち、傾動抑止部材52は、シートバック13と共に傾動するように構成されている。傾動抑止部材52は、シートバック13が第一の角度θ1(
図11参照)まで傾斜したときに、モータ42aが停止するようにスイッチ51を切り替えさせる。
【0040】
基準角度θ0において、傾動抑止部材52は、左右方向に厚みを有するとともに前側ほど下方に位置するように傾斜して延びる本体部52aと、本体部52aの前後中間部から後下方に延びた後に左側に突出する係止片52bとを備えている。
図4の側面視において、本体部52aは、サイドフレーム18の湾曲形状の後下端部に沿うように形成されている。
傾動軸41の周方向において、係止片52bは、スイッチ51のレバー51aと重なる位置に配置されている。
【0041】
<抑止部>
抑止部53は、クッションフレーム12Fの左側のサイドプレート17の後端部に設けられている。基準角度θ0において、抑止部53は、傾動抑止部材52よりも前方に配置されている。抑止部53は、シートバック13が第二の角度θ2(
図12参照)まで傾動したときに、第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止するように構成されている。
【0042】
なお、クッションフレーム12Fの左側のサイドプレート17の後端部には、右側に突出する円筒状のボス部17aが設けられている。また、サイドプレート17においてボス部17aよりも上方には、左右方向に開口する開口部17hが形成されている。また、サイドプレート17においてボス部17aよりも下方には、右側に突出する円柱状のストッパピン17bが設けられている。
【0043】
抑止部53は、抑止ブラケット54と、ねじりコイルばね55とを備えている。
基準角度θ0において、抑止ブラケット54は、左右方向に厚みを有するとともにボス部17aを起点として後方及び下方に延びるように前上方に凸をなす湾曲形状を有するブラケット本体54aと、ブラケット本体54aの上部から左側に突出する円筒状の筒部54bと、ブラケット本体54aの後下端の湾曲形状に沿うように前上方に緩やかな凸をなして前後に延びるとともに左側に突出する係止壁54cと、ブラケット本体54aの前下端から下側ほど後方に位置するように傾斜して延びる延出片54dとを備えている。
【0044】
ブラケット本体54aは、ねじりコイルばね55を右側から覆うように配置されている。筒部54bの開口には、サイドプレート17のボス部17aが挿通されている。筒部54bの外周面には、ねじりコイルばね55が巻回されている。サイドプレート17の開口部17hには、ねじりコイルばね55の上側フック55aが係止(固定)されている。係止壁54cの前端54fには、ねじりコイルばね55の下側フック55bが係止(固定)されている。基準角度θ0において、係止壁54cの前端後部は、ストッパピン17bに支持されている。
【0045】
延出片54dには、左右方向に開口する開口部54hが形成されている。開口部54hには、後述する切替ケーブル72の他端が係止(固定)されている。
【0046】
基準角度θ0において、抑止ブラケット54は、ねじりコイルばね55によって矢印B1の方向に付勢された状態で停止している。抑止ブラケット54は、後述の切替ケーブル72がねじりコイルばね55の付勢力よりも大きい力で矢印C1の方向に引っ張られることによって、
図13に示す矢印B2の方向に回動するように構成されている。
【0047】
なお、シートバック13が第二の角度θ2(
図12参照)まで傾動したときに、係止壁54cの後端54rは、傾動抑止部材52の前端と当接する。すなわち、係止壁54cの後端54rは、傾動抑止部材52と係止して第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止する。係止壁54cの後端54rは、請求項に記載の「係止部」に相当する。
【0048】
<スライド機構>
図6は、
図4のVI−VI断面を含む、実施形態に係るスライド機構60を切替部70と共に示す上面図である。なお、
図6においては、便宜上、シート11及びクッションフレーム12Fを二点鎖線で示している。
【0049】
図6に示すように、スライド機構60は、シートライザー30上に設けられている。スライド機構60は、シート11を左右方向にスライド可能に支持する。シート11は、スライド機構60によって、シートライザー30上において左右方向に移動可能に構成されている。すなわち、
図3、
図4及び
図6に示すように、スライド機構60は、シートバック13の傾動軸41に沿う方向における第一の位置P1と第二の位置P2との間でシートバック13をスライド可能とする。なお、
図6は、シートバック13が第一の位置P1(すなわち右端位置)に位置する状態を示している。
【0050】
図6に示すように、スライド機構60は、一対のレール部材61と、一対のスライダ部材62とを備えている。
【0051】
レール部材61は、シートライザー30の左右方向間に跨るように左右方向に延びる直線状をなしている。一対のレール部材61は、前後方向に並んで配置されている。
【0052】
スライダ部材62は、クッションフレーム12Fの左右方向間に跨るように左右方向に延びる直線状をなしている。スライダ部材62の左右方向の長さは、レール部材61の左右方向の長さよりも長い。一対のスライダ部材62は、上面視で一対のレール部材61と重なるように前後方向に並んで配置されている。スライダ部材62は、レール部材61の長手方向(左右方向)にスライド可能に構成されている。
【0053】
<スライド規制機構>
スライド機構60には、シートライザー30に対するシート11の左右方向へのスライドを規制するスライド規制機構65が取り付けられている。スライド規制機構65は、スライド切替部66と、一対のケーブル67とを備えている。なお、シート11の右側部には、スライド規制機構65を作動させるためのスライドレバー68が設けられている。
【0054】
スライド切替部66は、レール部材61に対するスライダ部材62の左右方向へのスライドが規制された状態(以下「ロック状態」という。)と、前記規制が解除された状態(以下「ロック解除状態」という。)とを切り替え可能に構成されている。スライド切替部66は、一対のレール部材61のそれぞれに取り付けられている。
【0055】
一対のケーブル67は、スライド切替部66とスライドレバー68との間を接続するように延びている。一対のケーブル67の一端は、スライドレバー68に接続されている。一対のケーブル67の他端は、各スライド切替部66にそれぞれ接続されている。
【0056】
スライド規制機構65は、スライドレバー68が引かれると、各ケーブル67が引っ張られることで各スライド切替部66が作動することにより、ロック解除状態に切り替えられるように構成されている。一方、スライドレバー68が引かれていないとき(すなわち通常時)には、スライド規制機構65は、ロック状態を維持するように構成されている。
【0057】
<切替部>
図4及び
図6に示すように、抑止部53は、第二の角度θ2(
図12参照)を超えるシートバック13の傾動が抑止された抑止状態と、前記抑止が解除された抑止解除状態とを切り替える切替部70を更に備えている。
図3を併せて参照し、切替部70は、シートバック13が第一の位置P1(すなわち右端位置)に位置するときに第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止するとともに、シートバック13が第二の位置P2(すなわち左端位置)に位置するときに第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を可能とするように構成されている。
【0058】
図6に示すように、切替部70は、スプリング71と、切替ケーブル72とを備えている。
スプリング71は、左右方向に伸縮可能に構成されている。スプリング71の一端(右端)は、シートライザー30に設けられた第一係止部31に係止(固定)されている。スプリング71の他端(左端)は、スプリング71の線径よりも拡径した拡径部73を介して切替ケーブル72の一端(右端)に接続されている。切替ケーブル72の他端(後端)は、延出片54dの開口部54hに係止(固定)されている。例えば、スプリング71は、引張コイルばねである。
【0059】
第一の位置P1において、切替ケーブル72は、スプリング71と延出片54dとの間を接続するように延びた状態で停止している。なお、サイドプレート17には、切替ケーブル72の延在方向を切り替えるように切替ケーブル72をガイドするガイド部74が右側に突出して設けられている。
【0060】
シートライザー30には、拡径部73を係止可能な第二係止部32が設けられている。第一係止部31と第二係止部32との左右間の間隔は、スプリング71が縮んでいる状態の左右方向の長さよりも大きく設定されている。すなわち、第二係止部32は、切替ケーブル72がスプリング71の付勢力よりも大きい力で引っ張られることによって、スプリング71がある長さだけ伸びたときに、拡径部73が係止されるように構成されている。
【0061】
<位置検知機構>
図2及び
図3に示すように、シート装置10の前端部には、シート11の左右方向の位置(具体的には、第一の位置P1及び第二の位置P2)を検知する位置検知機構80が設けられている。
【0062】
図7は、実施形態に係るシート11が第一の位置P1に位置するときの位置検知機構80の状態を示す前面図である。
図8は、実施形態に係るシート11が第二の位置P2に位置するときの位置検知機構80の状態を示す前面図である。
図7及び
図8に示すように、位置検知機構80は、検知スイッチ81と、スイッチブラケット82とを備えている。
【0063】
検知スイッチ81は、クッションフレーム12F(
図6参照)の前側の左端部に設けられた支持ブラケット83に支持されている。検知スイッチ81は、クッションフレーム12Fと共に左右方向にスライドするように構成されている。
図8に示すように、第二の位置P2において、検知スイッチ81は、不図示の付勢部材によって矢印D1の方向に付勢された状態で停止している。例えば、検知スイッチ81は、リミットスイッチである。
【0064】
スイッチブラケット82は、シートライザー30の前側の左端部に取り付けられている。例えば、スイッチブラケット82は、シートライザー30に溶接等で固定されている。スイッチブラケット82は、シートライザー30と共に左右方向において定位置で停止している。スイッチブラケット82は、シートライザー30の左側面よりも左側に突出する突出片82aを備えている。
【0065】
図8に示すように、第二の位置P2において、突出片82aの先端(左端)は、検知スイッチ81のレバー81aから左右方向に離反している。
一方、
図7に示すように、第一の位置P1において、突出片82aの先端(左端)は、検知スイッチ81のレバー81aに当接している。
【0066】
すなわち、検知スイッチ81は、レバー81aが不図示の付勢部材の付勢力よりも大きい力で押されることによって矢印D2の方向にある量だけ回動したときに、第一の位置P1を検知するように構成されている。一方、
図8に示すように、検知スイッチ81は、レバー81aが突出片82aから離反しているときに(すなわち、レバー81aが回動せずに停止しているときに)、第二の位置P2を検知するように構成されている。
【0067】
<切替部の動作>
以下、切替部70の動作の一例を
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、実施形態に係る切替部70の動作説明図である。
図10は、
図9に続く、切替部70の動作説明図である。なお、
図9及び
図10においては、便宜上、シート11及びクッションフレーム12Fを二点鎖線で示している。
【0068】
上述した通り、スライドレバー68が引かれると、各ケーブル67が引っ張られることで各スライド切替部66が作動することにより、ロック解除状態に切り替えられる。ロック解除状態においては、シートライザー30に対してシート11を左右方向へスライドさせることが可能となる。
【0069】
図9に示すように、矢印E1の方向へシート11のスライドを開始すると(すなわち、シート11を
図3に示す第一の位置P1から第二の位置P2にスライドさせていくと)、スプリング71が左右方向に伸びていく。このとき、拡径部73と第二係止部32との左右間の間隔は、シート11が第一の位置P1に位置する状態(
図6参照)の前記間隔よりも小さくなっている。
【0070】
次に、
図10に示すように、シート11を矢印E1の方向へ更にスライドさせていくと、スプリング71が左右方向に更に伸びるとともに、拡径部73が第二係止部32に係止される。
【0071】
そして、拡径部73が第二係止部32に係止された状態で、シート11を矢印E1の方向へ更にスライドさせていくと(すなわち、シート11を
図3に示す第二の位置P2までスライドさせると)、切替ケーブル72が矢印C1の方向に引っ張られる。このとき、切替ケーブル72が引っ張られる力が、ねじりコイルばね55(
図4参照)の付勢力よりも大きくなることによって、抑止ブラケット54が矢印B2(
図13参照)の方向に回動してインターロックが解除される。
【0072】
一方、逆の動作を行うと(すなわち、シート11を
図3に示す第二の位置P2から第一の位置P1にスライドさせていくと)、切替ケーブル72を矢印C1(
図10参照)の方向に引っ張る力が弱まっていき、スプリング71がもとの状態に縮む(
図6参照)。これにより、
図4に示すように、抑止ブラケット54の係止壁54cの前端後部がストッパピン17bに支持された状態となるため、インターロックされる。
【0073】
<リクライナ機構の動作>
以下、リクライナ機構40の動作の一例を
図11から
図13を用いて説明する。
図11は、実施形態に係るシート11が第一の位置P1(すなわち右端位置)に位置するときのリクライナ機構40の動作説明図である。
図12は、
図11に続く、リクライナ機構40の動作説明図である。
図13は、実施形態に係るシート11が第二の位置P2(すなわち左端位置)に位置するときのリクライナ機構40の動作説明図である。
【0074】
図11に示すように、シートバック13を基準角度θ0から後傾させていくと、傾動抑止部材52の係止片52bがスイッチ51のレバー51aに当接する。そして、係止片52bは、不図示の付勢部材の付勢力に抗してレバー51aを矢印A2の方向にある量だけ回動させる。すると、モータ42aへの電力供給が停止される。これにより、モータ42aの駆動が停止される。
【0075】
ところで、リクライナ機構40の動作(例えば、モータ42aの駆動制御)において、ECUに誤作動が生じる場合がある。そのため、シートバック13が第一の角度θ1を超えて傾動する可能性がある。
【0076】
しかし、仮にシートバック13が第一の角度θ1を超えて傾動した場合であっても、
図12に示すように、傾動抑止部材52の前端が抑止ブラケット54の係止壁54cの後端54rに当接する。これにより、シート11が第一の位置P1に位置するときには、第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動が抑止される。
【0077】
一方、
図13に示すように、シート11が第二の位置P2に位置するときは、インターロックが解除されている。すなわち、シートバック13が第二の位置P2に位置するときには、第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動が可能とされている。
図13において、シートバック13は、第二の角度θ2よりも大きい第三の角度θ3で後傾している。なお、第三の角度θ3は、上述の規制角度よりも小さい角度に設定されている。
【0078】
以上説明したように、上記実施形態のシート装置10は、シートバック13と、シートバック13を傾動させるモータ42aと、モータ42aの駆動及び停止を切り替えるスイッチ51と、シートバック13と共に傾動し、かつ、シートバック13が第一の角度θ1まで傾動したときに、モータ42aが停止するようにスイッチ51に切り替えさせる傾動抑止部材52と、シートバック13が第一の角度θ1よりも大きい第二の角度θ2まで傾動したときに、第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止する抑止部53と、を備えている。
この構成によれば、シートバック13と共に傾動し、かつ、シートバック13が第一の角度θ1まで傾動したときに、モータ42aが停止するようにスイッチ51に切り替えさせる傾動抑止部材52を備えていることで、第一の角度θ1を超えるシートバック13の傾動を電気的に抑止することができる。また、シートバック13が第一の角度θ1よりも大きい第二の角度θ2まで傾動したときに、第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止する抑止部53を備えていることで、仮にシートバック13が第一の角度θ1を超えて傾動した場合であっても、第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止することができる。したがって、シートバック13と他部品との干渉を回避することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、抑止部53が、傾動抑止部材52と係止して第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止する係止部(実施形態における係止壁54cの後端54r)を備えていることで、以下の効果を奏する。傾動抑止部材52と係止壁54cの後端54rとの係止によって第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を機械的に抑止することができる。また、第一の角度θ1を超えるシートバック13の傾動を抑止する作用を持つ傾動抑止部材52に、併せて第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止する作用を持たせることができる。したがって、簡単な構成でシートバック13と他部品との干渉をより確実に回避することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、抑止部53が、シートバック13が第一の位置P1に位置するときに第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を抑止するとともに、シートバック13が第二の位置P2に位置するときに第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動を可能とする切替部70を備えていることで、以下の効果を奏する。第一の位置P1と第二の位置P2との間で第二の角度θ2を超えるシートバック13の傾動の規制を切り替えることができるため、シートバック13周辺のレイアウトを加味してシートバック13と他部品との干渉を回避することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、シート装置10を備えた車両1において、シートバック13と他部品との干渉を回避することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、シート装置10がセカンドシート3に設けられている車両1において、シートバック13と他部品との干渉を回避することができる。例えば、シートバック13とサードシート4周辺部品との干渉を回避することができる。
【0083】
また、上記実施形態では、第二の角度θ2が、シートバック13がホイールハウス6に接するときのシートバック13の傾斜角度であることで、シートバック13とホイールハウス6との干渉を回避することができる。
【0084】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0085】
例えば、シートライザー30には、シート11を左右方向にスライド可能に支持するスライド機構60が設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シートライザー30にスライド機構60が設けられていなくてもよい。すなわち、シート11は、一対のスライドレール20上においてシートライザー30とともに前後方向にのみ移動可能に構成されていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、シート装置10を、セカンドシート3に適用した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シート装置10を、フロントシート2及びサードシート4等に適用してもよい。また、シート装置10を、車両用シートに適用することに限らず、ソファ及びチェア等の事務用及び家具用椅子等に適用してもよい。
【0087】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。