特許第6236723号(P6236723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236723振動減衰装置及び振動減衰装置を備えた電力貯蔵装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236723
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】振動減衰装置及び振動減衰装置を備えた電力貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/03 20060101AFI20171120BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   F16F15/03 J
   F16F15/03 G
   H02J15/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-183359(P2013-183359)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-50911(P2015-50911A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】303069678
【氏名又は名称】株式会社 エマージー
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】荒井 有気
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 賢
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】小方 正文
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】久保 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 朋文
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−116058(JP,A)
【文献】 特開平08−240103(JP,A)
【文献】 特開2010−265891(JP,A)
【文献】 特開2010−239796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/03
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と一体に回転する回転磁石と、
固定部材側に配置され、かつ前記回転磁石に対して前記回転軸の軸方向に間隔をおいて対向するように配置されて、該回転軸の中心から変位した回転により渦電流を生じる導体板と、を具備し、
前記固定部材には、前記導体板とともに前記回転磁石に対して磁力を作用させる固定磁石が前記回転磁石との間に軸方向に間隔をおいてさらに設けられ、
前記導体板は、前記回転磁石と固定磁石との間の位置に設けられた振動減衰装置。
【請求項2】
前記導体板は前記固定磁石の径方向外方の位置まで延在する請求項1に記載の振動減衰装置。
【請求項3】
回転軸と一体に回転する導体板と、
固定部材側に配置され、かつ前記回転軸の軸方向に間隔をおいて対向するように配置された固定磁石とを具備し、
前記導体板は、前記固定磁石に対して前記回転軸が変位した回転を行うことにより渦電流を生じさせ、
前記回転軸には、前記導体板とともに前記固定磁石に対して磁力を作用させる回転磁石が前記固定磁石との間に軸方向に間隔をおいてさらに設けられ、
前記導体板は、前記固定磁石と回転磁石との間の位置に設けられた振動減衰装置。
【請求項4】
前記導体板は前記回転磁石の径方向内方の位置まで延在する請求項3に記載の振動減衰装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動減衰装置の回転軸にフライホイールを設置し、該フライホイールを、超電導磁気軸受を介して極低温及び高真空下で回転動作させることにより、電気エネルギーを運動エネルギーとして貯蔵することを特徴とする電力貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導体及びフライホイールを使用した電力貯蔵装置等に適用されて、回転軸で生じる振動及び変位を是正することができる振動減衰装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、余剰電力をフライホイールの運動エネルギーに変換して貯蔵するとともに、フライホイールに貯蔵されている運動エネルギーを必要時に電気エネルギーに変換して取り出す電力貯蔵装置が知られている。
この電力貯蔵装置は、特許文献1に示されるように、フライホイールと、該フライホイールに固定される回転軸と、該回転軸に連結される非接触トルク伝達部品とで構成される回転体を、周りに輻射シールド槽及び真空容器を周囲に備えた内槽に配置したものであって、前記回転体の回転軸は、超電導体を有する磁気支持装置により非接触状態で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−239796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように構成された電力貯蔵装置では、エネルギー保存と断熱のためにフライホイールを高真空環境に置き、かつ超電導体を有する磁気支持装置を回転軸の軸受けとして利用して、該軸受けの摩擦抵抗を最小限に抑えるようにしている。
ここで、上記電力貯蔵装置では、超電導体を有する磁気支持装置を利用しているので、理論上では、フライホールを回転として保存された運動エネルギーを減衰させる要素がない。
しかし、その一方で、フライホイールの回転軸に、何らかの原因で偏心振動が生じると、この偏心振動を減衰させることが難しい。
【0005】
このようなフライホイールの回転軸の振動は、ロータを支持する超電導磁気軸受のバネ定数や、ロータの剛性によって決まる固有振動数付近において、共振により継続的に増加することがある。ここで減衰が0とすると、振動は発散する事態も起こり得る。通常の機械式軸受で支持されるロータでは、機械式軸受の摩擦に起因する減衰があり、常温下にあればダンパを付加することもでき、また、常伝導を用いた制御型磁気軸受(AMB)で支持されるロータでは、制御により減衰を付与することもできる。しかし、超電導磁気軸受では、原理的には減衰が皆無であるというものの、実際に生じてしまった場合には、極低温、高真空下での使用が制限されるこれまでの制御型磁気軸受では対処できないという問題もあった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、極低温、高真空下でフライホイールの回転軸に偏心振動が生じた場合、該偏心振動を有効に減衰させ、これによって偏心振動による装置破壊、及びフライホイールに蓄積した運動エネルギーを無駄に消費させることを防止可能な振動減衰装置及び振動減衰装置を備えた電力貯蔵装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、回転軸と一体に回転する回転磁石と、固定部材側に配置され、かつ前記回転磁石に対して前記回転軸の軸方向に間隔をおいて対向するように配置されて、該回転軸の中心から変位した回転により渦電流を生じる導体板と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、回転軸と一体に回転する導体板と、固定部材側に配置され、かつ前記回転軸の軸方向に間隔をおいて対向するように配置された固定磁石とを具備し、前記導体板は、前記固定磁石に対して前記回転軸が変位した回転を行うことにより渦電流を生じさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の振動減衰装置によれば、回転軸の中心から変位した回転により渦電流を生じる導体板を設けたので、該回転軸に生じた偏心振動のエネルギーを、該導体板で発生した渦電流により放出して、該偏心振動を有効に減衰させることができる。
また、本発明の振動減衰装置を、フライホイールを利用した電力貯蔵装置に適用することにより、偏心振動による装置の破壊を防止することができ、かつ該フライホイールに蓄積した運動エネルギーが、該フライホイールの回転軸に生じた偏心振動で無駄に消費される事態を防止できる。
また、本発明の振動減衰装置は、渦電流を生じる導体板を、固定部材側に設け、かつ該導体板に対応した磁石を設けることにより、回転軸に生じた偏心振動を減衰できるという簡易な構成であるので、極低温、高真空下で使用される電力貯蔵装置等にも容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る電力貯蔵装置1の全体図である。
図2図1の電力貯蔵装置1に適用される振動減衰装置20の概略構成図である。
図3】振動減衰装置20に形成された間隔と減衰係数との関係を示すグラフである。
図4】本発明の実施形態2に係る電力貯蔵装置100の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1図3を参照して説明する。
図1は本発明が適用される電力貯蔵装置1の試験機であって、内部の回転体であるフライホイールに運動エネルギーを貯蔵する機能を有する。
【0012】
電力貯蔵装置1は、例えば、超電導体を使用した磁気支持装置によって回転体を支持し、電力を回転体の運動エネルギーとして蓄積する超電導フライホイール蓄電装置である。
このため、電力貯蔵装置1は、充電時には余剰電力をフライホイールFの運動エネルギーに変換して貯蔵するとともに、放電時にはこのフライホイールFに蓄積されている運動エネルギーを電気エネルギーに変換する電動発電機を有するべきである。しかし、本装置は試験機として作成されたものであるので、フライホイールFを回転させ、又はその回転から電力を発生させるための電動発電機は省略されている。
具体的には、本実施形態に係る電力貯蔵装置1は、主に回転軸Mと、フライホイールFと、超電導磁気軸受9、10と、内槽となる真空容器11と、冷却装置12と、真空排気装置13とを有する構造とされ、回転軸Mの上端部位置には、本発明に係る振動減衰装置20が備えられている。
【0013】
回転軸Mは、フライホイールFと一体となって回転する部材である。また、フライホイールFは、電気エネルギーを運動エネルギーとして保存するための部材である。フライホイールFは、このフライホイールFの中心が回転軸Mの中心軸Oと一致するように、この回転軸Mに固定されている。フライホイールFは、回転軸Mとともに真空容器11内に浮揚状態で収容されており、電力貯蔵用の超電導フライホイールとして機能する。
【0014】
超電導磁気軸受9、10は、回転軸Mを回転自在に支持する装置である。超電導磁気軸受9は、フライホイールF1の下方に配置されており、回転軸Mの上端箇所を非接触で支持している。超電導磁気軸受10は、フライホイールの下方に配置されており、回転軸Mの下端部側を非接触で支持している。超電導磁気軸受9、10は、超電導物質のマイスナー効果又は完全反磁性による磁気浮上を利用して回転軸Mを回転自在に支持するスラスト軸受として機能する。超電導磁気軸受9、10は、超電導バルク体(回転子)9a、10aと超電導コイル(固定子)9b、10bなどを備えており、回転体側の超電導バルク体9a、10aと固定体側の超電導コイル9b、10bとの間に磁場を発生させる。超電導磁気軸受9、10は、超電導バルク体9a、10aと超電導コイル9b、10bとを対向させてこれらの間に磁気反発力を発生させて、超電導バルク体9a、10aと超電導コイル9b、10bとの間に所定の間隔が保持させるように回転軸Mをガイドする。超電導磁気軸受9、10は、回転軸M及びフライホイールFを浮揚状態で支持することによって、エネルギー損失の大部分を占める軸受部分の摩擦抵抗を低減している。
【0015】
超電導バルク体9a、10aは、単結晶と同等の超電導特性を有する高温超電導材料の固まりである。超電導バルク体9a、10aは、例えば、Y系超電導材料などを溶解させてから結晶成長させた溶融成長体であり、冷却することによって超電導特性を発揮する。
【0016】
真空容器11は、内部が極低温/高真空下の容器であって、超電導磁気軸受9、10の超電導コイル9b、10bを支持した状態でこの超電導磁気軸受9、10を収容する。また、この真空容器11は、超電導磁気軸受9、10の超電導コイル9b、10bを臨界温度以下にするために内部が極低温下に維持されているとともに、フライホイールFの風損を低減するために内部が高真空下に維持されている。
【0017】
冷却装置12は、内槽1上の内部を冷却する装置であって、例えば、真空容器11内の超電導磁気軸受9、10の超電導コイル9b、10bを液体窒素によって臨界温度以下に冷却する極低温用冷凍機のような熱伝導型冷却装置である。また、この冷却装置12は、ヘリウムガスの圧縮と膨張とを繰り返して冷却するGM(Gifford-McMahon)冷凍機のような冷凍機12aと、この冷凍機12aに冷媒ガスを供給する圧縮機12bと、冷凍機12a及び圧縮機12bを経た冷媒ガスを供給する冷媒供給菅12cなどを備えている。
【0018】
真空排気装置13は、真空容器11の内部を真空状態にする装置であって、超電導バルク体9a、10aへの伝熱(超電導コイル9b、10bからの冷熱で超電導バルク体9a、10aを冷却)のために、真空容器11の内部を数〜100Pa程度の真空状態に調整する。また、この真空排気装置13は、真空容器11の内部を真空排気する真空ポンプ13aと、この真空ポンプ13aと真空容器11とを接続する管路13bなどを備えている。
【0019】
次に、図2図3を参照して、回転軸Mの上端部位置に設置された振動減衰装置20について詳細に説明する。
この振動減衰装置20は、図2に示すように、回転軸Mと一体に回転する回転磁石21Aと、真空容器11の一部をなす固定部材側に配置されかつ回転軸Mの軸方向に間隔をおいて回転磁石21Aと対向するように配置された固定磁石21Bと、固定部材側に配置されかつ回転磁石21Aに対して回転軸Mの軸方向に間隔をおいて対向するように配置されて、該回転軸Mの中心軸Oから変位した回転により渦電流を生じる導体板22と、を具備する構成である。
この導体板22としては、銅の他に、銀、アルミニウムなどの良導体が使用される。また、本例では、回転磁石21Aと導体板22とが、回転軸Mの軸方向に間隔をおいて互いに直接対向する位置関係に配置されている。
【0020】
そして、以上のように構成された振動減衰装置20では、回転軸Mとともに回転磁石21Aが径方向に振動せず回転している間は、導体板22上で磁界変化が発生しないので、渦電流が生じず、回転エネルギー損失も発生しない。
一方、回転軸Mとともに回転磁石21Aが径方向に振動して、導体板22上に磁界が発生した場合には、これを打ち消す向きに渦電流が流れ、この渦電流によって回転軸Mの振動が抑制される。このとき、導体板22には有限の電気抵抗が存在するので、ここで発生した渦電流は減衰し、これによって回転軸Mの振動が減衰及び収束することになる。
【0021】
この原理に基づき、振動減衰装置20の減衰係数を測定した結果を図3に示す。
ここでは、回転側の回転磁石21Aと、固定側の導体板22との距離を変化させたときの減衰係数を測定している。そして、図3を参照して分かるように、回転側の回転磁石21Aと、固定側の導体板22との距離が小さくなるほど、減衰係数が大きくなる傾向にあることが分かる。また、ここでの測定は、常温で行っているが、77K(液体窒素浸漬)下で行った場合には、電気抵抗が小さくなるために、減衰係数が1.5倍程度アップすることが予想される。
また、小型のシステム検証モデルのロータを用いて、室温、真空下で回転試験を行ったところ、本実施形態に係る振動減衰装置20が無い場合には、1次の危険速度(予め定めた閾値となる回転速度)で振幅が大きくなり、これ以上の測定ができない状態となった。これに対して、本実施形態に係る振動減衰装置20を3組取り付け、かつ上記と同様の室温、真空下で回転試験を行ったところ、振幅が小さくなり、数度の釣り合わせの後、1次及び2次の危険速度を越えて、回転軸Mを毎分、3000回転まで回転させることができ、本実施形態に係る振動減衰装置20の有効性を確認することができた。
【0022】
以上詳細に説明したように本実施形態に係る電力貯蔵装置1の振動減衰装置20によれば、回転軸Mの中心軸Oから変位した回転により渦電流を生じる導体板22を設けたので、該回転軸Mに生じた偏心振動のエネルギーを、該導体板22で発生した渦電流により放出して、該偏心振動を有効に減衰させることができる。
また、この振動減衰装置20を、フライホイールFを利用した電力貯蔵装置1に適用することにより、電力貯蔵装置1の破壊を防止し、かつ該フライホイールFに蓄積した運動エネルギーが、該フライホイールFの回転軸Mに生じた偏心振動で無駄に消費される事態を防止することができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、回転磁石21Aに対して回転軸Mの軸方向に間隔をおいて対向する真空容器11の固定部材側に導体板22を配置したが、これに加えて、図2に示すように、回転磁石21A側にも導体板23を設け、該導体板23にも渦電流を発生させることにより、同様に偏心振動を有効に減衰させるようにしても良い。
また、上記実施形態において、固定磁石21B側の導体板22を省略して、図2に示す回転磁石21A側の導体板23のみに渦電流を発生させて、偏心振動を減衰させても良い。
【0024】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図4を参照して説明する。
実施形態2に示す電力貯蔵装置100は電動発電機2を有する点で、実施形態1に示す電力貯蔵装置1(試験機)と異なっている。
この電動発電機2は、充電時には余剰電力をフライホイールFの運動エネルギーに変換するとともに、放電時にはこのフライホイールFに蓄積されている運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
具体的には、実施形態2の電力貯蔵装置100は、電動発電機2と、架台3と、継手4と、連結軸5と、磁気クラッチ6と、回転軸Mと、フライホイールFと、超電導磁気軸受9、10と、内槽となる真空容器11と、冷却装置12と、真空排気装置13とを有する構造とされ、回転軸Mの端部位置には、本発明に係る振動減衰装置20が備えられている。
なお、これら構成要素の中で、回転軸Mと、フライホイールFと、超電導磁気軸受9、10と、内槽となる真空容器11と、冷却装置12と、真空排気装置13と、振動減衰装置20については、実施形態1と同様の構成であるので、本実施形態2では重複した説明を省略する。
【0025】
電動発電機2は、電動機と発電機とが可逆であり兼用される装置である。電動発電機2は、電気エネルギーによって電動機を回転させてフライホイールFを回転させるとともに、このフライホイールFの運動エネルギーによって発電機を回転させて電力を発生する。電動発電機2は、回転軸2aなどを備えている。
継手4は、電動発電機2側の回転軸2aと磁気クラッチ6側の連結軸5とを接続する装置である。継手4は、例えば、電動発電機2と磁気クラッチ6との間で動力を伝達する軸継手などである。連結軸5は、継手4と磁気クラッチ6とを連結する部材である。連結軸5は、継手4及び磁気クラッチ6と一体となって回転するように、一方の端部が継手4に固定されており、他方の端部が磁気クラッチ6のクラッチ片6aに固定されている。
【0026】
電動発電機2は、電動機と発電機とが可逆であり兼用される装置である。電動発電機2は、電気エネルギーによって電動機を回転させてフライホイールFを回転させるとともに、このフライホイールFの運動エネルギーによって発電機を回転させて電力を発生する。電動発電機2は、回転軸2aなどを備えている。
継手4は、電動発電機2側の回転軸2aと磁気クラッチ6側の連結軸5とを接続する装置である。継手4は、例えば、電動発電機2と磁気クラッチ6との間で動力を伝達する軸継手などである。連結軸5は、継手4と磁気クラッチ6とを連結する部材である。連結軸5は、継手4及び磁気クラッチ6と一体となって回転するように、一方の端部が継手4に固定されており、他方の端部が磁気クラッチ6のクラッチ片6aに固定されている。
【0027】
磁気クラッチ6は、電動発電機2と回転軸Mとの間で動力を伝達する装置である。磁気クラッチ6は、例えば、非接触で動力を断続させる非接触式磁気クラッチのような磁気力トルク伝達部品である。磁気クラッチ6は、永久磁性体又はコイル(例えば銅線)のクラッチ片6aと、このクラッチ片6aとの間に磁力を発生する永久磁性体のクラッチ片6bとを備えている。磁気クラッチ6は、クラッチ片6aとクラッチ片6bとの間に間隙部を形成するようにクラッチ片6aとクラッチ片6bとが対向しており、真空容器11の外側にクラッチ片6aが配置され、真空容器11の内側にクラッチ片6bが配置されている。
【0028】
この振動減衰装置20は、実施形態1で説明したように、回転軸Mと一体に回転する回転磁石21Aと、固定部材となる真空容器11側に配置されかつ回転磁石21Aに対して回転軸Mの軸方向に間隔をおいて対向するように配置されて、該回転軸Mの中心軸Oから変位した回転により渦電流を生じる導体板22と、を具備する構成である。
【0029】
なお、実施形態1では、フライホイールF上下端部に振動減衰装置20を配置したが、この実施形態2では、クラッチの伝達力による振動を抑えるため、当該振動減衰装置20は、磁気クラッチ6の直下にも配置されている。
このとき、振動減衰装置20はその設置スペースを確保するために、回転側の回転磁石21A及び固定側の導体板22が、回転軸Mを囲むようにいずれもが環状体に形成されている。
【0030】
そして、以上のように構成された振動減衰装置20では、回転軸Mとともに回転磁石21Aが径方向に振動せず回転している間は、導体板22上で磁界変化が発生しないので、渦電流が生じず、回転エネルギー損失も発生しない。
一方、回転軸Mとともに回転磁石21Aが径方向に振動して、導体板22上に磁界が発生した場合には、これを打ち消す向きに渦電流が流れ、この渦電流によって回転軸Mの振動が抑制される。このとき、導体板22には有限の電気抵抗が存在するので、ここで発生した渦電流は減衰し、これによって回転軸Mの振動が減衰及び収束することになる。
【0031】
そして、以上のように構成された振動減衰装置20では、回転軸Mとともに回転磁石21Aが径方向に振動せず回転している間は、導体板22上で磁界変化が発生しないので、渦電流が生じず、回転エネルギー損失も発生しない。
一方、回転軸Mとともに回転磁石21Aが径方向に振動して、導体板22上に磁界が発生した場合には、これを打ち消す向きに渦電流が流れ、この渦電流によって回転軸Mの振動が抑制される。このとき、導体板22には有限の電気抵抗が存在するので、ここで発生した渦電流は減衰し、これによって回転軸Mの振動が減衰及び収束することになる。
【0032】
なお、実施形態2においても、回転磁石21Aに対して回転軸Mの軸方向に間隔をおいて対向する真空容器11の固定部材側に導体板22を配置したが、これに加えて、実施形態1と同様、図2に示すように、回転磁石21A側にも導体板23を設け、該導体板23にも渦電流を発生させることにより、同様に偏心振動を有効に減衰させるようにしても良い。
また、上記実施形態において、固定磁石21B側の導体板22を省略して、回転磁石21A側の導体板23のみに渦電流を発生させて、偏心振動を減衰させても良い。
【0033】
また、上記実施形態1、2に示される振動減衰装置20は、いずれも電力貯蔵装置1、100に適用したが、これに限定されず、回転体に偏心振動が生じる恐れのあるモータ、発電機、圧縮機などの回転機器に適応しても良い。
【0034】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、超電導体及びフライホイールを使用した電力貯蔵装置等に適用されて、回転軸で生じる振動及び変位を是正できる振動減衰装置に関する。
【符号の説明】
【0036】
1 電力貯蔵装置
9 超電導磁気軸受
10 超電導磁気軸受
11 真空容器(固定部材)
20 振動減衰装置
21A 回転磁石
21B 固定磁石
22 導体板
23 導体板
100 電力貯蔵装置
F フライホイール
M 回転軸
O 中心軸
図1
図2
図3
図4