(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6236730
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】防水型警報装置
(51)【国際特許分類】
G08B 21/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
G08B21/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-158987(P2016-158987)
(22)【出願日】2016年7月14日
【審査請求日】2017年3月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308027488
【氏名又は名称】株式会社吉辰工業
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦
(72)【発明者】
【氏名】嶋 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】寺島 信浩
【審査官】
松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−319983(JP,A)
【文献】
特開2011−100366(JP,A)
【文献】
特開平11−211742(JP,A)
【文献】
特開2004−313160(JP,A)
【文献】
特開2014−147240(JP,A)
【文献】
特開2006−277384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B1/00−9/20
19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常検知時に送信手段からの信号を受信することで光及び音で警報を発し、常時動画を撮影記録する警報装置において、スタンドのポール挿入部を筐体の底部に設けることで、水位が上昇したときに浮力により、ポールから分離することを特徴とする防水型警報装置。
【請求項2】
異常検知時に送信手段からの信号を受信することで光及び音で警報を発し、常時動画を撮影記録し、水に浮かぶ警報装置において、スタンドへの固定用ピンの頭部に浮きを設けたことを特徴とする防水型警報装置。
【請求項3】
水に浮いたときに底面とする側の筐体内に錘を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の防水型警報装置。
【請求項4】
水感知センサーと前記水感知センサーと連動する救命用具を筐体内に設けたことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の防水型警報装置。
【請求項5】
非常食を格納可能な空間を有し、非常食取出し部を破損し易くしたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の防水型警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水や津波等の被害があった場合、避難用具へ切り替わる警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の警報装置は、異常を検知する検知手段と、検知された信号を受信し警報器を作動する制御手段と、制御手段から受けた信号により警報を音又は光等で発する警報手段を備え、検知、制御、警報までを一連のシステムとし、そのシステム内に人は介在せず、全て自動的に作動するものである。一方では、検知手段が本来検知すべき対象から外れるものであっても、センサー等が感知してしまい、警報の目的から考えると誤動作となり、誤報を発してしまう課題も抱えている。
【0003】
特開2004−272754においては、誤報防止の手段として、検知手段からの信号を受けたカメラ装置が侵入者を撮影し、伝達手段により端末装置へ画像データを送信し、端末装置に表示された画像を人が確認してから、警報を発する技術が記載されているが、検知手段はセンサー等の機械装置に依存しているため、検知そのものの誤作動は避けられない。
また、洪水や津波などの災害が発生した場合、警報装置は水の侵入により、その機能は発揮されない。
【0004】
様々な工事現場において、前方不注意や居眠り運転等により、工事現場へ車両が突入するなど、常に危険と隣り合わせであり、それらの事故を未然に防止することが、工事作業を安全に行うためには、最低限必要である。
これらの事故を未然に防止するひとつの方法として、万一事故が起きそうなときに、工事作業者等が早めにその場を避難できる仕組みがあれば、最悪の事態は回避可能と考えられる。事故を予見することを、機械装置で判断するのではなく、権限のある監督者に限定してその判断に委ねることがより、警報に対する信頼度が高まると考えられる。
【0005】
一方で、洪水や津波などの災害が発生した場合、警報装置は水没するか水の侵入によりその機能は失われてしまう。災害等の非常事態が起きてしまった場合に、警報装置の第2の役割として、例えばその工事現場や警報装置が設置されていた位置を表示することや、救命用具としての機能、非常食の保管機能があることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−272754号(4頁、0018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
警報装置は警報が発せられた時に、その警報を信頼して即時に避難できることが本来の機能として必要なことであり、それにより人命が守られることにつながるものであり、更に災害等の有事が起きた以降、新たな機能が発揮されることが望ましい。
【0008】
本発明は、警報の信頼性が高く、警告時の避難を確実なものとし、洪水や津波などの災害発生時には、警報装置の第2の役割として、その工事現場や警報装置が設置されていた位置の表示、救命用具としての機能、非常食の保管機能を有する耐水型の警報装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
異常検知時に送信手段からの信号を受信することで光及び音で警報を発し、常時動画を撮影記録する警報装置において、洪水や津波などの災害発生時に水に浮かぶことを特長とするとする耐水型警報装置である。
【0010】
警報装置をスタンドへ固定する際の、固定用ピンの頭部に浮きを設けることで、水害により増水した場合、固定用ピンが外れスタンドから警報装置が分離することを第2の特長とする。
【0011】
水に浮かんだときに底面とする側の筐体内に錘を設けることで、水に浮いた場合の天地方向の安定性を確保することを第3の特長とする。
【0012】
水感知センサーと前記水感知センサーと連動する救命用具を筐体内に設けたことを第4の特長とする。
【0013】
筐体内に非常食を格納可能な空間を有し、非常食取出し部を破損し易くしたことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の耐水型警報装置により、異常を早期に発見し、或いは異常を予測することで、迅速な避難が実現可能となり、被害を最小限に抑えることが可能となる。
【0015】
本発明の耐水型警報装置により、洪水や津波などの災害発生時に水に浮かぶことができ、防水性を有することで警報装置の機能も維持でき、光や音で位置を知らせることが可能となる。
【0016】
水感知センサーと前記水感知センサーと連動する救命用具を警報装置内に設けたことにより、救命用具としての機能を有し、水中を漂流する人の救助につなげることが可能となる。
【0017】
警報装置内に非常食を格納することで、非常時の飲食料として利用することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明の耐水型警報装置縦型について、図面を引用して説明する。
【0020】
本耐水型警報装置(以下本装置という)の構成は、防水型の筐体1内に、光での警報手段となるパトライト
(登録商標)またはフラッシュライトなどのライト6を設け、音の警報手段であるスピーカ5またはブザーなどを設け、電源または蓄電池を設ける。図示しないが、異常検知時に信号を送信する送信器と、送信機からの信号受信し、警報手段を作動する制御回路を設ける。また、現場の状況を動画で記録するための、カメラユニットを設けてもよい。
図1から3は、本発明の縦型の一例の正面図、平面図である。
【0021】
筐体1の形状は球形が望ましいが、これに限定するものではない。筐体を構成する上で接合部がある場合は、機密性を保持するための加工等を施す。防水性を考慮し、スピーカ5は筐体の一部を振動板としてもよい。この場合、振動板の周囲に振動板可動部を形成し、振動板を直接駆動するか、振動板の下にスピーカを設置する。
【0022】
筐体1内の底面側には、錘8を設ける。これにより水面に於ける本装置の天地を安定させることができる。錘8の材質は、比重の重いものを適宜採用すればよく、蓄電池で代用してもよい。
【0023】
図4に示すように筐体1内には、水感知センサー11と水感知センサー11に連動する救命用具9を設ける。前記救命用具9は耐水性のある材質、例えば、ビニール等の樹脂製が望ましく、浮き輪のように空気をいれることで膨らむ構造のものが望ましい。筐体1内に配置する際は、空気を抜き折り畳んでおく。水感知センサー11が作動すると、水感知センサー11と連結または一体化された、圧縮空気の入ったボンベから、救命用具に空気が送り込まれ、救命用具9が膨らむようにしている。水感知センサーが作動できるように、水感知センサー11設置部の筐体1に水が浸入できるよう孔12を設ける。救命用具格納部の救命用具取出し部4は、破損し易い構造にしてあり、救命用具9が膨らむことで、救命用具取出し部4から救命用具9が排出される。破損し易い構造としては、救命用具取出し部4の周囲の筐体1の肉厚を薄くするなどの方法がある。
【0024】
さらに筐体1内には、非常食10を格納可能な空間を設けることで、前記空間に非常食10を格納することができる。非常食取出し部3を破損し易くすることで、非常時に非常食取出し部3を破壊して、非常食10を取り出すことができる。破損し易い構造としては、救命用具取出し部4の周囲の筐体1の肉厚を薄くするなどの方法がある。
【0025】
本実施例では縦型の本装置であるため、スタンド20などに固定するための、ポール7の挿入部を筐体1の底部に設け、ポール7の先端を筐体1に挿入する。洪水や津波などで水位が上昇した時に、本装置の浮力により、ポール7から分離して本装置が水面を浮遊する。スタンドに設置した例は、
図5を参照されたい。
【0026】
図13に示すように、筐体1とスタンド20をワイヤーなどの連結具21で連結してもよい。水位の上昇により本装置がスタンド20から分離し水面を浮遊する時に、スタンド20がイカリの役目となり、本装置の漂流を防ぐことができる。
【実施例2】
【0027】
本発明の耐水型警報装置横型について、図面を引用して説明する。
【0028】
基本的な内部構造は実施例1と同様である。
図9及び10に示すように、
図4の縦型を横にしたものである。ポール挿入部にあたるところにはスタンド20の固定具16が挿入され、筐体1と固定具16をピン13で固定する。図示しないが、固定具16にはピン13を挿入する孔が設けられている。本装置が重力で傾くことを防止するために、姿勢保持具15を固定具16の挿入部の下方部に設けてもよい。
【0029】
ピン13の頭部には、浮き14を設ける。これにより、洪水や津波などで水位が上昇した場合、筐体1のピン作動室18につながる孔12から水が浸入し、浮き14によりピン13が固定具16から外れ、本装置がスタンド20から分離する。浮の材質は比重の軽い樹脂等を選択することができる。図示しないが、ピン作動室18には、水が浸入し易くするための、筐体外へ通じる通気口を設けるとよい。
【0030】
固定具16は先端に向けて勾配を設け、筐体1の固定具16挿入部の高さ寸法より固定具16の厚さ寸法を短くすること、及びピンの長さを調整することで、固定具16を挿入するときに、ピン13が挿入を阻害しないようにし、固定具16のピン13挿入孔に、ピン13が自重で入るようにする。筐体1の固定具16挿入部の高さと固定具16先端部の厚さとの寸法差を、ピン13の長さより長くすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の防水型警報装置は、道路又は湾岸等の工事現場、銀行、店舗、公園等の人の集まる場所での警報用として利用が可能であり、生産者において、製造及び販売することも可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 筐体 2 透明部 3 取出し部1 4 取出し部2
5 スピーカ 6 ライト 7 ポール 8 錘
9 救命用具 10 非常用飲食料 11 水感知センサー 12 孔
13 ピン 14 浮き 15 姿勢保持具 16 固定具
17 固定具挿入部 18 ピン作動室 19 脚部 20 スタンド
21 連結具 22 水位
【要約】
【課題】 本発明は、警報の信頼性が高く、警告時の避難を確実なものとし、洪水や津波などの災害発生時には、警報装置の第2の役割として、その工事現場や警報装置が設置されていた位置の表示、救命用具としての機能、非常食の保管機能を有する耐水型の警報装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 異常検知時に送信手段からの信号を受信することで光及び音で警報を発し、常時動画を撮影記録する警報装置において、洪水や津波などの災害発生時に水に浮かぶことを特長とするとする耐水型警報装置である。
【選択図】
図4