(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の撮影装置には、撮影装置の投げ上げられた高さに応じて撮影装置から被写体までの距離が変化する場合、被写体に対してピントの合っていない撮影画像が得られるという問題があった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、被写体に対してピントの合った撮影画像が得られる、投げ上げ撮影が可能な撮影装置および撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の投げ上げ撮影可能な撮影装置は、撮影装置に搭載される撮影光学系の焦点距離を調節する焦点距離調節手段と、撮影装置の加速度を検出する加速度検出手段と、を備える。焦点距離調節手段は、加速度検出手段により検出された加速度に基づいて焦点距離を調節することにより、撮影光学系のピントを所定の被写体に合わせる。
【0007】
本実施形態によれば、撮影光学系の焦点距離が、撮影装置の加速度に基づいて、被写体にピントが合うように調節される。そのため、撮影装置が投げ上げられている間に、撮影装置と被写体との距離が変化する場合においても、被写体にピントがあった撮影画像を得ることが可能となる。
【0008】
焦点距離調節手段は、加速度検出手段により検出された加速度に基づいて撮影装置が投げ上げられた時点を推定し、推定された時点での撮影装置の初速度を計算すると共に時点からの経過時間を計時し、計算された初速度及び計時された経過時間に基づいて被写体までの距離を計算し、計算された被写体までの距離に応じて焦点距離を調節する構成としてもよい。
【0009】
焦点距離調節手段は、加速度検出手段により検出された加速度が第1の閾値を上回った時に、撮影装置の投げ上げが開始されたと判定し、検出された加速度が第2の閾値を下回った時に、撮影装置が投げ上げられたと判定し、撮影装置の投げ上げが開始されたと判定してから撮影装置が投げ上げられたと判定するまでの期間の撮影装置の加速度を時間積分することで撮影装置の初速度を計算する構成としてもよい。
【0010】
撮影装置は、投げ上げられた撮影装置の投射角度を検出する投射角度検出手段を更に備える構成としてもよい。この場合、焦点距離調節手段は、計算された初速度、検出された投射角度及び計時された経過時間に基づいて被写体までの距離を計算する。
【0011】
焦点距離調節手段は、撮影装置が投げ上げられたと推定される時点から所定時間が経過するまでの間、被写体までの距離の計算及び計算された距離に基づく撮影光学系の焦点距離の調節を実行し続ける構成としてもよい。
【0012】
撮影装置は、撮影光学系を介した被写体の撮影を所定のタイミングで行う構成としてもよい。
【0013】
本実施形態の投げ上げ撮影可能な撮影方法は、撮影装置に搭載される撮影光学系の焦点距離を調節する焦点距離調節ステップと、撮影装置の加速度を検出する加速度検出ステップと、を含む方法である。焦点距離調節ステップは、加速度検出ステップで検出された加速度に基づいて撮影装置が投げ上げられた時点を推定するステップと、推定された時点での撮影装置の初速度を計算すると共に時点からの経過時間を計時するステップと、計算された初速度及び計時された経過時間に基づいて被写体までの距離を計算するステップと、計算された被写体までの距離に応じて焦点距離を調節することにより、撮影光学系のピントを所定の被写体に合わせるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本実施形態によれば、被写体に対してピントの合った撮影画像が得られる、投げ上げ撮影が可能な撮影装置および撮影方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の撮影装置について図面を参照しながら説明する。以下においては、本発明の一実施形態として、コンパクトデジタルカメラについて説明する。なお、本実施形態はコンパクトデジタルカメラに限らず、例えば、デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、スマートフォン、フィーチャフォン、携帯ゲーム機など、撮影機能を有する別の形態の装置に置き換えてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態のコンパクトデジタルカメラ(以下、便宜上、単に「撮影装置」と記す。)1の外観図である。
図1に示されるように、撮影装置1は、筐体10上の正面側にレンズユニット11、フラッシュ窓12を備え、上部にはレリーズボタン13を備えている。
【0018】
図2は、本実施形態の撮影装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、撮影装置1の筐体10内には、CPU(Central Processing Unit)100、操作部102、駆動回路104、絞り兼シャッタ110、イメージセンサ112、信号処理回路114、画像処理エンジン116、バッファメモリ118、カード用インタフェース120、LCD(Liquid Crystal Display)制御回路122、LCD124、ROM(Read
Only Memory)126、フラッシュ駆動回路127、フラッシュ128及び加速度センサ130が備えられている。撮影装置1のレンズユニット11内には、フォーカスレンズ106、レンズ駆動機構107が備えられている。
【0019】
操作部102には、電源スイッチやレリーズボタン13、撮影モードスイッチなど、ユーザが撮影装置1を操作するために必要な各種スイッチまたはボタンが含まれる。ユーザにより電源スイッチが押されると、図示省略されたバッテリから撮影装置1の各種回路に電源ラインを通じて電源供給が行われる。CPU100は電源供給後、ROM126にアクセスして制御プログラムを読み出してワークエリア(不図示)にロードし、ロードされた制御プログラムを実行することにより、撮影装置1全体の制御を行う。
【0020】
レリーズボタン13が操作されると、CPU100は、撮影装置1に内蔵されたTTL(Through The Lens)露出計(不図示)で測定された測光値に基づき適正露出が得られるように、駆動回路104を介して絞り兼シャッタ110を駆動制御する。ここで、絞り兼シャッタ110は、シャッタとしての機能と、絞り値を調整するための絞りとしての機能を備える。駆動回路104は、絞り兼シャッタ110を駆動し、適正露出が得られるように、絞り値を調整する。絞り値の調整は、例えばプログラムAE(Automatic Exposure)やシャッタ速度優先AEなど、撮影モードスイッチにより指定されるAE機能に基づいて行われる。なお、これらのAEの構成及び制御については周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0021】
また、CPU100はAE制御と併せてAF(Auto Focus)制御を行う。AF制御では、レンズ駆動機構107が駆動回路104を介して駆動制御され、フォーカスレンズ106に備えられる複数枚のレンズの位置及び位置関係が調節される。これにより、フォーカスレンズ106の焦点距離が変化する。AF制御では、フォーカスレンズ106の焦点距離が変化されることにより、フォーカスレンズ106のピントが自動で被写体に合わせられる。
【0022】
被写体からの光束は、フォーカスレンズ106、絞り兼シャッタ110を介してイメージセンサ112により受光される。イメージセンサ112は、例えばCCD(Charged Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。イメージセンサ112が被写体の光束によって露光される時間は、絞り兼シャッタ110によって調整される。イメージセンサ112は、撮像面上の各画素で受光した光束を光量に応じて電気信号に変換し、変換された電気信号を信号処理回路114に出力する。信号処理回路114は、イメージセンサ112より入力される電気信号に対して所定の信号処理を施して、画像処理エンジン116に出力する。
【0023】
画像処理エンジン116は、信号処理回路114より入力される信号に対して色補間、マトリクス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施して輝度信号Y、色差信号Cb、Crを生成し、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの所定のフォーマットで圧縮する。バッファメモリ118は、画像処理エンジン116による処理の実行時に、処理データの一時的な保存場所として用いられる。
【0024】
画像処理エンジン116は、カード用インタフェース120を介してメモリカード200と通信可能である。画像処理エンジン116は、生成された圧縮画像信号(撮影画像データ)をメモリカード200または撮影装置に備えられる不図示の内蔵メモリに保存する。
【0025】
また、画像処理エンジン116は、Y/C分離後の信号に所定の信号処理を施して、フレームメモリ(不図示)にフレーム単位でバッファリングする。画像処理エンジン116は、バッファリングされた信号を所定のタイミングで各フレームメモリから掃き出して所定のフォーマットのビデオ信号に変換し、LCD制御回路122に出力する。LCD制御回路122は、画像処理エンジン116より入力される画像信号を基にLCD124の液晶を変調制御する。これにより、被写体の撮影画像がLCD124の表示画面に表示される。ユーザは、AE制御及びAF制御に基づいて適正な輝度及びピントで撮影された撮影画像を、LCD124の表示画面を通じて視認することができる。
【0026】
画像処理エンジン116は、ユーザにより撮影画像の再生操作が入力されると、ユーザの操作によって指定された撮影画像データをメモリカード200又は内蔵メモリより読み出して所定のフォーマットの画像信号に変換し、LCD制御回路122に出力する。LCD制御回路122が画像処理エンジン116より入力される画像信号を基に液晶を変調制御することで、被写体の撮影画像がLCD124の表示画面に表示される。
【0027】
フラッシュ駆動回路127は、ユーザにより操作部102に対してフラッシュ撮影を指示する操作が入力されると、フラッシュ128に駆動電圧を印加する。フラッシュ128は、駆動電圧に応じた照射光(閃光)を射出し、フラッシュ窓12を介して被写体を照射する。撮影装置1が閃光を用いたフラッシュ撮影を行うか、閃光を用いない撮影を行うかは、自動または手動で設定される。
【0028】
加速度センサ130は、互いに直交する3方向の加速度を検出することが可能なセンサであり、撮影装置1の加速度を検出するために用いられる。加速度センサユニット130からは、3方向の加速度に基づいた3つの加速度値が出力される。CPU100は、出力された加速度値に基づいて、加速度の大きさおよび加速度の方向を計算する。計算された加速度の大きさおよび加速度の方向を用いて、撮影装置1の状態を判定することができる。例えば、加速度の方向を用いて、撮影装置1にかかる重力の方向が計算される。重力の方向を用いることで、撮影装置1の向きが計算される。撮影装置1の向きには、例えば、撮影装置1の上下方向の仰俯角(ピッチまたはチルト)と、撮影装置1の光学系の光軸周りの回転角(ロール)が含まれる。なお、3方向の加速度を用いた重力の方向の計算方法、および、重力の方向を用いた撮影装置1の向きの計算方法は周知であり、ここでは説明を省略する。
【0029】
また、計算された加速度の大きさを用いて、撮影装置1に重力以外に力が加わっているかを検出することができる。例えば、撮影装置1に鉛直上向きの力が加わると、加速度センサ130には鉛直下向きの力(慣性力)が加わる。この場合、計算される加速度の大きさは、重力加速度g(約9.8m/s
2)よりも大きくなる。
【0030】
次に、ユーザによって投げ上げられた撮影装置1によって撮影を行う投げ上げ撮影について説明する。
図3は、ユーザが撮影装置1を鉛直上向きに投げ上げる動作を模式的に表したものである。ユーザが撮影装置1を投げ上げると、撮影装置1は、投げ上げ開始(時刻t=t0)から投げ上げ終了(t=t1)までの間に鉛直上向きに加速される。ユーザによる投げ上げが終了すると、撮影装置1は、初速度ν(t1)で鉛直上向きに投げ上げられ、滞空状態となる。滞空状態の撮影装置1は、最高到達点に達した後で落下し、ユーザによって受け止められる。撮影装置1は、滞空状態の間に所定のタイミングで被写体(例えば、撮影装置1を投げ上げたユーザ)の撮影処理を行う。
【0031】
次に、ユーザが撮影装置1を鉛直上向きに投げ上げ、かつ、撮影装置1を投げ上げるユーザを被写体とした場合における、投げ上げ撮影の動作フローについて説明する。
図4は、投げ上げ撮影の動作フローである。
図4に示される動作フローは、撮影装置1の操作部102に対して投げ上げ撮影の開始操作が入力された時点で開始され、投げ上げられた撮影装置1がユーザによって受け止められると終了する。
【0032】
ユーザの操作によって撮影装置1の動作モードが投げ上げ動作モードに切り替わると、投げ上げ撮影の動作フローが開始する(処理ステップS10)。
【0033】
処理ステップS11では、ユーザによって撮影装置1に対し、投げ上げ撮影のパラメータが入力される。投げ上げ撮影のパラメータは、例えば、静止画と動画のどちらの撮影を行うか、静止画の撮影を行う場合は何回の撮影を行うか、動画の撮影を行う場合はどれくらいの時間の撮影を行うか、などである。また、処理ステップS11では、撮影を行うタイミングについてのパラメータも入力される。ユーザは、投げ上げ撮影のパラメータを入力した後、撮影装置1に対して撮影装置1を投げ上げ準備状態にするための操作を入力する。
【0034】
処理ステップS12では、撮影装置1が投げ上げ準備状態となっているかどうかが判定される。撮影装置1が投げ上げ準備状態となっていない場合(S12:No)、撮影装置1は、ユーザによる入力操作が行われるまで待機する。撮影装置1が投げ上げ準備状態となっている場合(S12:Yes)、撮影装置1は、ユーザによる投げ上げ動作が開始するまで待機する。
【0035】
処理ステップS13では、ユーザによる撮影装置1の投げ上げ動作の開始(投げ上げ開始)が検出される。投げ上げ開始は、加速度センサ130から出力される加速度値を用いて検出される。
【0036】
図5は、ユーザによる投げ上げ動作に伴う、加速度センサ130から出力される加速度値の時間変化を示している。撮影装置1が投げ上げ準備状態の間(t<t0)、撮影装置1はユーザによって保持され、ほぼ静止している。そのため、このときの加速度値は重力加速度g(約9.8m/s
2)とほぼ等しくなる。ユーザが撮影装置1の投げ上げ動作を行うと(t0<t)、加速度センサ130には鉛直下向きの力が働き、加速度センサ130からは重力加速度gよりも大きな加速度値が出力される。そのため、加速度値に対して、重力加速度gよりも大きい閾値Aを設け、加速度値が閾値Aを上回ったかどうかを検出することで、ユーザによる投げ上げ動作が開始されたかどうかを検出することができる。
【0037】
処理ステップS13において、加速度値が閾値Aを上回ってない場合(S13:No)、ユーザによる投げ上げ動作が開始されていないため、撮影装置1はユーザによる投げ上げ動作が開始するまで待機する。一方、加速度値が閾値Aを上回った時(S13:Yes)、ユーザによる投げ上げ動作が開始されたことが検出され、次の処理ステップS14が実行される。
【0038】
処理ステップS14では、加速度値の積算処理が行われる。加速度の積算処理を行うことによって、撮影装置1の速度を計算することができる。
【0039】
加速度センサ130から出力された加速度値をa(t)とすると、投げ上げ動作が開始された後の時刻tにおける撮影装置1の速度ν(t)は、次の式(1)で表される。
式(1)
ここで、dtは、加速度センサ130により検出された加速度値が読み取られる時間間隔である。なお、ユーザによる投げ上げ動作が開始される前の期間(t<t0)は、式(1)の積算範囲に含まれていない。この積算処理は、投げ上げ動作が終了するまで実行される。
【0040】
処理ステップS15では、ユーザによる投げ上げ動作の終了(投げ上げ終了)が検出される。投げ上げ終了は、投げ上げ開始と同様に、加速度値を用いて検出される。
【0041】
投げ上げ終了の検出方法を、
図5を用いて説明する。投げ上げ動作が開始すると、加速度値は重力加速度gよりも徐々に大きくなる。そして、撮影装置1の速度が増加しながら、撮影装置が鉛直上向きに変位するに従って、撮影装置1は徐々にユーザの手から離れる。撮影装置1がユーザの手から離れるにつれて、ユーザが撮影装置1に対して加える力が減少するため、加速度センサ130により検出される加速度値は減少する。撮影装置1がユーザの手から離れると(t=t1)、撮影装置1は滞空状態になり、加速度センサ130から出力される加速度値はゼロになる。そのため、加速度値に対して、ゼロよりも大きい閾値Bを設け、加速度値が閾値Bを下回ったかどうかを検出することで、ユーザによる投げ上げ動作が終了されたかどうかを検出することができる。
【0042】
処理ステップS15において、加速度値が閾値Bを下回ってない場合(S15:No)、処理ステップS14の加速度積算処理が継続して実行される。一方、加速度値が閾値Bを下回った時(S15:Yes)、処理ステップS14の加速度積算処理が停止され、次の処理ステップS16が実行される。ここで、加速度積算処理が停止した時点での速度ν(t1)が、撮影装置1の投げ上げられる初速度である。なお、初速度ν(t1)は、次の式(2)で表される。
式(2)
【0043】
初速度ν(t1)は、式(2)に示されるように、t=t0からt=t1までの期間の加速度値の積算によって求められる。しかし、処理ステップS13およびS15において説明したように、投げ上げ開始および投げ上げ終了は、加速度値が閾値Aおよび閾値Bをまたいだかどうかによって検出される。そのため、ユーザによる投げ上げ動作が開始された時点t0と、処理ステップS13で投げ上げ開始が検出される時点t0’との間には、若干の時間差がある。同様に、ユーザによる投げ上げ動作が終了された時点t1と、処理ステップS15で投げ上げ終了が検出された時点t1’との間には、若干の時間差がある。これらの時間差は、式(2)における加速度値の積算において考慮されない。ただし、これらの時間差は、加速度値の積算時間(t1−t0)に比べて小さいため、考慮しなくても実質的に差し支えない。
【0044】
処理ステップS16では、投げ上げられた撮影装置1と被写体との距離が算出される。ユーザによる投げ上げ動作が終了すると、撮影装置1は滞空状態となる。滞空状態の撮影装置1の速度と、撮影装置1の被写体までの距離は、初速度ν(t1)と時間tに応じて変化する。被写体が撮影装置1を投げ上げるユーザである場合、滞空状態における撮影装置1の速度ν(t)および被写体までの距離L(t)は、それぞれ次の式(3)および式(4)で表される。
式(3)
式(4)
ここで、式(4)の右辺の第1項は、ユーザによる投げ上げ動作が終了された時点の位置を基準とした撮影装置1の高さである。また、式(4)の右辺の第2項のL0は、被写体までの距離を補正するためのオフセット量である。
【0045】
被写体が撮影装置1を投げ上げるユーザの顔である場合のオフセット量L0について説明する。ユーザによる投げ上げ動作が終了された時点で、撮影装置1の高さがユーザと胸の高さと同じであった場合、式(4)の右辺の第1項は、ユーザの胸の高さから撮影装置1までの距離を表す。そのため、右辺の第1項から、ユーザの顔の位置と胸の位置との間の間隔L0を差し引くことにより、撮影装置1から被写体であるユーザの顔までの距離を計算することができる(
図3参照)。
【0046】
なお、最適なオフセット量L0は、ユーザの体格や投げ上げ方によって変化する。そのため、オフセット量L0は変更可能であることが望ましい。
【0047】
処理ステップS17では、処理ステップS16で計算された撮影装置1から被写体までの距離L(t)に応じて、フォーカスレンズ106を構成する複数枚のレンズの位置及び位置関係が算出される。
【0048】
フォーカスレンズ106の焦点距離は、複数枚のレンズの位置及び位置関係を調節することで、所定の範囲で変更可能である。撮影装置1には、予め、撮影装置1から被写体までの距離と被写体にピントが合う各レンズの位置及び位置関係との対応関係が、テーブルまたは方程式として記憶されている。このテーブルまたは方程式を用いることにより、被写体にピントが合う各レンズの位置及び位置関係が速やかに求められる。
【0049】
処理ステップS18では、フォーカスレンズ106を構成する各レンズを、処理ステップS17で算出された位置に移動させる。これにより、フォーカスレンズ106のピントが被写体に合わせられる。
【0050】
処理ステップS19では、滞空状態にある撮影装置1が、所定の撮影タイミングにあるかどうかの判定が行われる。所定の撮影タイミングは、処理ステップS11において入力されたパラメータに基づいて決定される。
【0051】
例えば、処理ステップS11において、投げ上げられた撮影装置1が最高到達点に達したときに静止画像の撮影が行われるようにパラメータが入力された場合を考える。この場合、処理ステップS19では、撮影装置1が最高到達点に達しているかどうかが判定される。具体的には、撮影装置1が最高到達点に達している状態は、撮影装置1の速度ν(t)がゼロとなる。そのため、処理ステップ19では、ユーザによる投げ上げ動作が終了してからの経過時間(t−t1)が、式(3)に示される速度ν(t)がゼロとなる時間に達しているかどうかが判定される。経過時間(t−t1)が速度ν(t)がゼロとなる時間に達すると(S19:Yes)、次の処理ステップが実行される。一方、経過時間(t−t1)が速度ν(t)がゼロとなるような時間に達していなければ(S19:No)、再度、経過時間(t−t1)の判定が行われる。
【0052】
処理ステップS20では、撮影装置1による撮影処理が実行される。処理ステップS19において、所定の撮影タイミングであると判定されると、処理ステップ11で入力されたパラメータに従って、撮影装置1による撮影処理が自動で実行される。処理ステップS20では、例えば、静止画像の撮影処理が1回のみ実行されてもよく、静止画像の撮影処理が複数回実行されてもよい。また、動画撮影が実行されてもよい。
【0053】
処理ステップS21では、撮影装置1の滞空状態の終了が検出される。滞空状態の終了は、加速度値を用いて検出される。
【0054】
滞空状態の終了の検出方法を、
図5を用いて説明する。ユーザによって投げ上げられた撮影装置1は、滞空状態において(t1<t<t2)、まず、鉛直上向きに上昇し、最高到達点に達した後、鉛直下向きに落下する。この間、加速度センサ130から出力される加速度値はゼロである。ユーザが落下する撮影装置1を受け止めると(t=t2)、加速度センサ130には鉛直下向きの力が発生し、加速度センサ130はゼロよりも大きい加速度値を出力する。撮影装置1がユーザによって受け止められて静止すると、加速度値は重力加速度gとほぼ等しくなる。そのため、加速度値がゼロよりも大きい閾値Bを上回ったかどうかを検出することで、撮影装置1の滞空状態が終了したかどうかを検出することができる。
【0055】
処理ステップS21において、撮影装置1の滞空状態の終了が検出されると、投げ上げ撮影のフローは終了する(S22)。
【0056】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。
【0057】
例えば、本実施形態において、ユーザが撮影装置1を鉛直上向きに投げ上げ、かつ、撮影装置1を投げ上げたユーザが被写体である場合について説明したが、別の実施形態では、指撮影装置1を投げ上げたユーザ以外の人や物などを被写体としてもよい。この場合、式(4)で表される撮影装置1と被写体との距離L(t)を計算する場合に、オフセット量L0を調整する、あるいは、計算された距離L(t)に所定の値を乗ずることにより、撮影装置1を投げ上げたユーザ以外の被写体に、フォーカスレンズ106のピントが合わせられる。
【0058】
また、別に実施形態では、
図5に示される動作フローの処理ステップS14において、撮影装置1の初速度とともに、投射角度が検出されてもよい。この場合、撮影装置が投げ上げられる初速度と投射角度を用いて、撮影装置1から被写体までの距離が計算される。これにより、撮影装置1が鉛直上向きではなく、斜め上方に投げ上げられた場合においても、被写体にフォーカスレンズ106のピントを合わせることができる。撮影装置1の投射角度の検出は、加速度センサ130から出力される加速度値を用いてもよい。あるいは、撮影装置1は、投射角度を検出するためのセンサを別途備え、このセンサを用いて投射角度が検出されてもよい。
【0059】
また、別の実施形態では、ユーザは撮影装置1を鉛直下向きに投げ下ろして、あるいは、落下させて撮影を行ってもよい。撮影装置1の投げ下ろし、あるいは、落下は、加速度値を用いて検出される。
図5に示される動作フローの処理ステップS13で説明したように、撮影装置1の投げ上げ開始は、加速度値が重力加速度gよりも大きい閾値Aを上回ったかどうかによって検出することができる。一方、撮影装置1の投げ下ろし、あるいは、落下が開始したかどうかは、加速度値が重力加速度gよりも小さい閾値を下回ったかどうかによって検出することができる。
【0060】
また、撮影装置1の筐体10は、例えば、ユーザが投げ上げし易いように球状であってもよい。また、撮影装置1の筐体10は衝撃吸収材を備えてもよい。これにより、ユーザが落下している撮影装置1を受け止め損ねた場合や、ユーザが大きな初速度で撮影装置1を投げ上げた場合などに、撮影装置1に生じる衝撃が衝撃吸収材によって吸収される。これにより、撮影装置1が衝撃によって破損するのを防ぐことができる。
【0061】
また、本実施形態では、
図2に示されるように、レンズユニット11、イメージセンサ112、画像処理エンジン116など、撮影を行うための部材や電気回路などが1つずつ含まれているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、別の実施形態では、1つの筐体10内に、撮影処理を行うための部材や電気回路などが複数個設けられていてもよい。この場合、複数のレンズユニット11やイメージセンサ112は、それぞれの撮影範囲が異なるように配置されている。これにより、投げ上げられた撮影装置1の向きが滞空中に変化した場合においても、所望の被写体を撮影し易くなる。
【0062】
また、本実施形態では、
図5に示される動作フローの処理ステップS13で投げ上げ開始が検出されると、処理ステップS14の加速度積算処理が実行される。また、処理ステップS15で投げ上げ終了が検出されると、処理ステップS14で実行されている加速度積算処理が停止する。しかし、本実施形態の動作フローはこれに限定されない。別の実施形態では、投げ上げ開始が検出されてから投げ上げ終了が検出されるまで期間に加速度センサ130から出力される加速度値が所定の記憶領域に記憶されるように構成されていてもよい。この場合、ユーザによる投げ上げ動作が終了した後に、所定の記憶領域から加速値が読み出され、加速度積算処理が実行される。