特許第6236750号(P6236750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236750
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】打込機
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20171120BHJP
   B25C 1/06 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B25C7/00 Z
   B25C1/06
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-545496(P2016-545496)
(86)(22)【出願日】2015年8月21日
(86)【国際出願番号】JP2015073534
(87)【国際公開番号】WO2016031716
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-174400(P2014-174400)
(32)【優先日】2014年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100195992
【弁理士】
【氏名又は名称】城臺 顕
(74)【代理人】
【識別番号】100206092
【弁理士】
【氏名又は名称】金 佳恵
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(72)【発明者】
【氏名】駒崎 義一
(72)【発明者】
【氏名】原田 哲祐
(72)【発明者】
【氏名】馬場 徳和
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0236387(US,A1)
【文献】 特開2008−260124(JP,A)
【文献】 特開2012−183632(JP,A)
【文献】 特開2012−236250(JP,A)
【文献】 特開2007−90473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 7/00
B25C 1/06
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに設けられて長手方向に延在し、止具が発射可能なノーズ部と、
前記長手方向と平行な打撃方向に移動して前記ノーズ部を介して止具を打撃するプランジャと、
ウエイトと、
モータにより前記長手方向に圧縮され、圧縮の解放により前記プランジャを前記打撃方向に移動させると共に、前記ウエイトを前記プランジャより遠ざける反打撃方向に移動させる弾性部材と、
前記モータにより前記弾性部材を前記長手方向に圧縮する駆動機構と、
を含む打込機であって、
前記弾性部材は、前記プランジャと前記ウエイトとの間に設けられて、前記長手方向における両端部のうち、一端部が前記プランジャを付勢すると共に、他端部が前記ウエイトを付勢し、
前記駆動機構は、互いに噛合して前記モータにより互いに反対方向に回転駆動する第1ギヤと第2ギヤとを有し、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤは、それぞれ円周方向に所定間隔を介して設けられた複数のローラカムを有し、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤの回転により、前記第1ギヤのローラカムが前記プランジャ及び前記ウエイトの一方と係合すると共に、前記第2ギヤのローラカムが前記プランジャ及び前記ウエイトの他方と係合して、前記弾性部材を前記長手方向に圧縮することを特徴とする打込機。
【請求項2】
前記弾性部材は、単一のコイルバネからなることを特徴とする請求項1に記載の打込機。
【請求項3】
記駆動機構は、前記弾性部材の圧縮を解放して、前記プランジャの前記打撃方向への移動と、前記ウエイトの前記反打撃方向への移動とを同時に開始させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の打込機。
【請求項4】
記駆動機構は、前記弾性部材の前記他端部側からの圧縮を解放して前記ウエイトの前記反打撃方向への移動を開始させた後で、前記弾性部材の前記一端部側からの圧縮を解放して前記プランジャの前記打撃方向への移動を開始させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の打込機。
【請求項5】
前記ハウジングに設けられて前記ウエイトの前記反打撃方向へのさらなる移動を規制するウエイト規制部材をさらに備え、前記プランジャによる前記止具の打込後に、前記ウエイトは前記ウエイト規制部材に当接することを特徴とする請求項3又は4記載の打込機。
【請求項6】
前記ハウジングに設けられて前記プランジャの前記打撃方向への移動を規制するプランジャ規制部材をさらに備え、前記プランジャの前記プランジャ規制部材までの移動距離は、前記ウエイトの前記ウエイト規制部材までの移動距離よりは長くなるように、前記プランジャ及び前記ウエイトは、前記ハウジング内に設けられていることを特徴とする請求項5記載の打込機。
【請求項7】
前記第1ギヤに設けられた前記複数のローラカムの軸方向の突出量は、それぞれ異なり、
前記第2ギヤに設けられた前記複数のローラカムの軸方向の突出量は、それぞれ異なることを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の打込機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打込機に関し、特にウエイトを備えた打込機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、止具を打撃するプランジャ7と、プランジャ7に打撃された止具が射出される射出口が形成されたノーズ部3と、プランジャ7を打撃方向へ付勢するバネと、バネに弾性エネルギを蓄積するためのモータとを備えた打込機が知られている(特許文献1)。このような打込機においては、モータの駆動によりバネに弾性エネルギを蓄積し、当該弾性エネルギを解放することでプランジャ7を打撃方向に加速し、止具を木材や石膏ボード等の被打込材に打ち込んでいる。また、打込作業は射出口を被打込材に当接させた状態で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-56613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の打込機においては、プランジャ7が打撃方向に加速される際に、プランジャ7の加速に対する反作用によって打込機本体に反動が生じるため、射出口が被打込材から離反し、打込機本体の姿勢を保ったまま被打込材に対して垂直に止具を打ち出すことが困難であったり、又は、作業者に対する負担となっていた。また、当該反動を抑えるためにユーザが射出口を被打込材に必要以上に押し付けることで、被打込材が損傷し仕上げ程度が悪化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、打込機本体に生じる反動を低減し、操作性に優れ且つ仕上げ程度を良好にする打込機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ハウジング2に設けられて長手方向に延在し、止具が発射可能なノーズ部3と、前記長手方向と平行な打撃方向に移動して前記ノーズ部3を介して止具を打撃するプランジャ7と、ウエイト8と、モータにより前記長手方向に圧縮され、圧縮の解放により前記プランジャ7を前記打撃方向に移動させると共に、前記ウエイト8を前記プランジャ7より遠ざける反打撃方向に移動させる弾性部材と、を含む打込機であって、前記弾性部材は、前記プランジャ7と前記ウエイト8との間に設けられて、前記長手方向における両端部のうち、一端部が前記プランジャ7を付勢すると共に、他端部が前記ウエイト8を付勢することを特徴とする打込機を提供する。
本発明は、さらに、ハウジング2に設けられて長手方向に延在し、止具が発射可能なノーズ部3と、前記長手方向と平行な打撃方向に移動して前記ノーズ部3を介して止具を打撃するプランジャ7と、ウエイト8と、モータにより前記長手方向に圧縮され、圧縮の解放により前記プランジャ7を前記打撃方向に移動させると共に、前記ウエイト8を前記プランジャ7より遠ざける反打撃方向に移動させる弾性部材と、前記モータにより前記弾性部材を前記長手方向に圧縮する駆動機構と、を含む打込機であって、前記弾性部材は、前記プランジャ7と前記ウエイト8との間に設けられて、前記長手方向における両端部のうち、一端部が前記プランジャ7付勢すると共に、他端部が前記ウエイト8付勢し、前記駆動機構は、互いに噛合して前記モータにより互いに反対方向に回転駆動する第1ギヤと第2ギヤとを有し、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤは、それぞれ円周方向に所定間隔を介して設けられた複数のローラカムを有し、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤの回転により、前記第1ギヤのローラカムが前記プランジャ及び前記ウエイトの一方と係合すると共に、前記第2ギヤのローラカムが前記プランジャ及び前記ウエイトの他方と係合して、前記弾性部材を前記長手方向に圧縮することを特徴とする打込機を提供する。
【0007】
上記構成によれば、打込機1を用いて止具を打ち込むとき、モータにより弾性部材が長手方向に圧縮され、次に当該圧縮が解放されると、弾性部材が蓄積した弾性エネルギによって、プランジャ7は、打撃方向に移動して止具を打撃して被打込材に打ち込むと共に、ウエイト8は反打撃方向に移動する。従って、プランジャ7及びウエイト8の移動により生じる力はそれぞれ打ち消し合ってハウジング2に直接反力が作用しないので、ハウジング2の被打込材からの浮き上がりを防止する。従って、ノーズ部3を被打込材に向けた状態を維持したまま打込作業を終えることができ、打込機の操作性を改善することができる。
【0008】
また、止具の打込時にハウジング2が被打込材より浮き上がらないため、使用者は、ノーズ部3を被打込材に過剰に押し付けることなく打込作業を行うことができ、被打込材への押付痕跡の発生を低減して、止具を被打込材に打ち込んだ後の仕上がりを良好にすることができる。
【0009】
さらに、弾性部材をプランジャ7とウエイト8の間に設けているため、構成が簡単であり、打込機を安価に製造することができる。
【0010】
また、弾性部材が長手方向における一端部でプランジャ7を付勢し、他端部でウエイト8を付勢するのみなので、打込作業時のハウジング2の被打込材からの浮き上がりを抑制しつつ、プランジャ7及びウエイト8の各々の重量を適宜設定することで、プランジャ7のストロークを確保することができる。
【0011】
好ましくは、前記弾性部材は、単一のコイルバネからなる。単一のコイルバネにより、プランジャ7及びウエイト8の各々の移動が可能となるので、部品の総数を減らして、打込機を安価に製造することができる。
【0012】
好ましくは、前記モータにより前記弾性部材を前記長手方向に圧縮する駆動機構を有し、前記駆動機構は、前記弾性部材の圧縮を解放して、前記プランジャ7の前記打撃方向への移動と、前記ウエイト8の前記反打撃方向への移動とを同時に開始させるように構成されている。
【0013】
当該構成により、プランジャ7の打撃方向への移動により生じる力と、ウエイト8の反打撃方向への移動により生じる力とが相殺されて、ハウジング2には直接反力が作用しないので、使用者は、ハウジング2の浮き上がりを防止すべく、ノーズ部3を被打込材に過剰に押し付けることなく打込作業を行うことができ、被打込材への押付痕跡の発生を低減して、止具を被打込材に打ち込んだ後の仕上がりを良好にすることができる。
【0014】
好ましくは、前記モータにより前記弾性部材を前記長手方向に圧縮させる駆動機構を有し、前記駆動機構は、前記弾性部材の前記他端部側からの圧縮を解放して前記ウエイト8の前記反打撃方向への移動を開始させた後で、前記弾性部材の前記一端部側からの圧縮を解放して前記プランジャ7の前記打撃方向への移動を開始させるように構成されている。
【0015】
当該構成により、最初に、ウエイト8が反打撃方向への移動を開始するので、ハウジング2はその反力によりノーズ部3が打撃方向に被打込材に向けて押し付けられる。従って、ノーズ部3が止具の打込目標位置からずれることを防止する。そして、プランジャ7の打撃方向への移動が開始されると、ウエイト8の反打撃方向への移動により生じる力は、プランジャ7の打撃方向への移動により生じる力と相殺されるので、ハウジング2の被打込材への押し込みは停止する。従って、特に、被打込材の側面や上面に向けて止具を打ち込むときに、ノーズ部3を被打込材に過剰に押し付けることなくノーズ部3の被打込材の打込目標位置からのズレを防止して打込作業を行うことができる。よって、被打込材への押付痕跡の発生を低減して、止具を被打込材に打ち込んだ後の仕上がりを良好にすることができる。
【0016】
好ましくは、前記ハウジング2に設けられて前記ウエイト8の前記反打撃方向へのさらなる移動を規制するウエイト規制部材をさらに備え、前記プランジャ7による前記止具の打込後に、前記ウエイト8は前記ウエイト規制部材に当接する。
【0017】
当該構成により、止具の打込後にウエイト8が規制部材に当接するので、止具の打込後のウエイト8の反打撃方向への移動によって生じた力が、反力としてハウジング2に作用する。この反力により、止具の打込終了後にハウジング2が被打込材から浮き上がるため、被打込材の表面の仕上がりを良好なものとすることができる。
【0018】
好ましくは、前記ハウジング2に設けられて前記プランジャ7の前記打撃方向への移動を規制するプランジャ規制部材をさらに備え、前記プランジャ7の前記プランジャ規制部材までの移動距離は、前記ウエイト8の前記ウエイト規制部材までの移動距離よりは長くなるように、前記プランジャ及び前記ウエイトは、前記ハウジング内に設けられている。
【0019】
当該構成により、止具の打込に必要なストロークを確保しつつ、ウエイト8の移動距離を短くできるため、打込機のハウジング2を小型にすることができる。
好ましくは、前記第1ギヤに設けられた前記複数のローラカムの軸方向の突出量は、それぞれ異なり、前記第2ギヤに設けられた前記複数のローラカムの軸方向の突出量は、それぞれ異なる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の打込機によれば、プランジャ7の打撃方向への移動によって生じる力を、ウエイト8の反打撃方向への移動によって生じる力によって相殺できるので、ハウジング2への反力の作用を抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による釘打機のプランジャ7が下死点に位置するときの側面図。
図2図1に示す釘打機のプランジャ7が上死点に位置するときの側面図。
図3図1に示す打込機のプランジャ7の斜視図。
図4図1に示す打込機のウエイト8の斜視図。
図5図1に示す打込機の斜視図。
図6】(a)〜(h)は、図1に示す打込機の駆動機構、プランジャ7及びウエイト8の動作を時系列に説明する図であり、特に(g)はコイルスプリング9の圧縮が解放されてプランジャ7及びウエイト8がコイルスプリング9により付勢されて移動を開始するときの図。
図7】(a)〜(d)は、図1に示す打込機のプランジャ7及びウエイト8の状態を時系列に説明する図であり、特に(a)は、プランジャ7及びウエイト8がコイルスプリング9の付勢により移動を開始するときの図であり、(d)は、プランジャ7により打撃動作が終了しかつウエイト8がバンパに当接して反力を緩和するときの図。
図8】(a)〜(i)は、図1に示す打込機の駆動機構、プランジャ7及びウエイト8の動作を時系列に説明する図であり、特に(g)はコイルスプリング9の圧縮が解放されてウエイト8がコイルスプリング9により付勢されて先に移動を開始するときの図であり、(h)は(g)の後コイルスプリング9の圧縮が解放されてコイルスプリング9の付勢によりプランジャ7が移動を開始するときの図。
図9】(a)〜(d)は、図1に示す打込機の駆動機構、プランジャ7及びウエイト8の動作を時系列に説明する図であり、特に(b)は、ウエイト8がコイルスプリング9の付勢により移動を開始するときの図であり、(c)は、プランジャ7がコイルスプリング8の付勢により移動を開始するときの図。
図10】(e)〜(g)は、図9に示す打込機の駆動機構、プランジャ7及びウエイト8の動作の後に続く動作を時系列に説明する図であり、(e)はプランジャ7が下死点に到達するときの図、(f)はウエイト8が最上位点に到達するときの図、(g)は打撃の反力でハウジング2が被打込材より浮き上がる状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の打込機を適用した電動式の釘打機1について説明する。釘打機1は、止具としての釘を木材や石膏ボードなどの被打込材Wに打ち込むための電動工具である。
【0023】
釘打機1は、モータを収容するハウジング2と、ハウジング2に設けられ釘が発射されるノーズ部3と、ノーズ部3へ釘を供給するマガジン4とを主に備える。なお、図1において、ノーズ部3に対してマガジン4が設けられている方向を後方向、後方向と逆の方向を前方向と定義する。また、ハウジング2に対しノーズ部3が被打込材Wに対向する方向を下方向とし、その反対方向を上方向とする。さらに、釘打機1を後方から見た場合の左を左方向、右を右方向と定義する。
【0024】
図1に示すように、ハウジング2は、モータ5と、駆動機構6と、プランジャ7と、ウエイト8と、コイルスプリング9とを収容する。ハウジング2は、ナイロンまたはポリカーボネイト等の樹脂から構成されており、ハウジング2の前側に設けられ上下方向に延びる本体部21と、本体部21の後側下方から後方に延出するモータ収容部22と、本体部21の後側上方から後方に延びるハンドル部23とを有している。
【0025】
モータ収容部22は、内部にモータ5と、減速機構50とを収容している。モータ5は、前後方向に延びる回転軸5Aを有し、モータ収容部22内部の後方に配置されている。
【0026】
減速機構50は、モータ5の前方において回転軸5Aに接続されている。また、減速機構50は、遊星歯車機構により構成され、回転軸5Aの周囲に配置された2つの遊星ギヤ50Aと、回転軸5Aと同軸に配置されたリングギヤ50Bと、回転軸5Aと同軸回転するキャリアギヤ50Dを備えるキャリア50Cとを備えている。遊星ギヤ50Aは、キャリア50Cに回転可能に支承されており、回転軸5Aの周りを公転する。遊星ギヤ50Aが公転することで、回転軸5Aの回転は、減速されると共にキャリア50Cを介してキャリアギヤ50Dに回転が伝達される。
【0027】
ハンドル部23は、釘打機1をユーザが使用する際に把持する部分であって、ハンドル部23の下側前方にはモータ5への給電を開始するトリガ23Aが取り付けられている。また、ハンドル部23の後端部には、モータ5に電力を供給する電池23Bが着脱自在に取り付けられている。
【0028】
本体部21は、内部に、ガイドシャフト10が、その長手方向が上下方向となるように取り付けられている。ガイドシャフト10には、本体部21の下方から上方に向けて、順に、プランジャ7と、コイルスプリング9と、ウエイト8とが摺動自在に挿通されている。さらに、本体部21は、駆動機構6を備えている。
【0029】
駆動機構6は、本体部21のモータ5とガイドシャフト10との間に設けられており、駆動ギヤ61と、ギヤホルダ62と、第1ギヤ63と、第2ギヤ64とにより構成されている。ギヤホルダ62は、本体部21に固定されており、支持軸62A及び62Bを有している。支持軸62Aは、ギヤホルダ62の下部において前方に突出するように設けられており、支持軸62Bは支持軸62Aの上方において前方に突出するように設けられている。
【0030】
第1ギヤ63は、支持軸62Aに回転可能に支承されており、減速機構50と駆動ギヤ61を介して連結されている。第1ギヤ63は、駆動ギヤ61が回転することにより、前方から見て反時計回りに回転駆動される。また、第1ギヤ63は、軸心を中心とする円周方向に所定間隔を介してそれぞれ前方に突出する第1ローラカム63A、第2ローラカム63B、第3ローラカム63Cを有している。第1ローラカム63A、第2ローラカム63B、第3ローラカム63Cの軸方向の突出量は、それぞれ異なるように形成されている。
【0031】
第2ギヤ64は、支持軸62Bに回転可能に支承されており、第1ギヤ63と噛合している。第2ギヤ64は、第1ギヤ63が回転することにより、前方から見て時計回りに回転駆動される。また、第2ギヤ64は、軸心を中心とする円周方向に間隔を介してそれぞれ前方に突出する第1ローラカム64A、第2ローラカム64Bを有している。第1ローラカム64A、第2ローラカム64Bの軸方向の突出量は、互いに異なるように形成されている。
【0032】
ガイドシャフト10は、長手方向の一端部が本体部21の上端部の内側に固定され、他端部が本体部21の下端部の内側に固定されている。また、ガイドシャフト10の一端部には、ウエイト8が当接するウエイトバンパ11が、ウエイト規制部材として取り付けられている。ウエイトバンパ11は、ウエイト8がハウジング2に衝突する際の衝撃を吸収する。また、ガイドシャフト10の他端部には、プランジャ7が当接するプランジャバンパ12がプランジャ規制部材として取り付けられている。プランジャバンパ12は、プランジャ7が止具を打撃した際の衝撃を吸収する。
【0033】
プランジャ7は、ガイドシャフト10の長手方向と平行な方向を打撃方向として止具を打撃する部材であって、ガイドシャフト10に摺動自在に挿通されている。プランジャ7は、図3に示すように、ガイドシャフト10が摺動自在に挿通される筒部7Aと、プランジャバンパ12と当接する底部7Bと、底部7Bの周縁部から筒部7Aと対向するように延在するロッド取付部7Cと、底部7Bの周縁部から筒部7Aと対向するように延在して第1ギヤ63と係合可能な係合部7Dとを有する。底部7Bには、コイルスプリング9の一端部が当接する当接部7Eが設けられていて、コイルスプリング9の一端(端部)は支持部7Fで支持されている。当接部7Eは、筒部7Aと同軸中心に形成されている。係合部7Dの外周側には、プランジャ7の長手方向に沿って間隔をあけて第1当接部71A、第2当接部71B、第3当接部71Cが形成されている。
【0034】
第1当接部71Aは、係合部7Dの外周面から後方に突出するように設けられている。また、第1当接部71Aの下面は、第1ギヤ63の第1ローラカム63Aと当接可能に構成されている。第2当接部71Bも、同様に、平板形状をなしており、係合部7Dの外周面から後方に突出するように設けられている。また、第2当接部71Bは、第1当接部71Aよりも下方に位置しており、第1ギヤ63の第2ローラカム63Bと当接可能に構成されている。第3当接部71Cも、同様に、平板形状をなしており、係合部7Dの外周面において第2当接部71Bよりも下方から後方に突出するように設けられている。また、第2当接部71Bは、第1ギヤ63の第3ローラカム63Cと当接可能に構成されている。
【0035】
釘を直接打撃するロッド13は、金属にて形成され、ロッド取付部7Cに取り付けられ、ノーズ部3内部において摺動可能に構成されている。
【0036】
ウエイト8は、打込時にプランジャ7の反力を受ける、いわゆるリアクションウエイトとしての役割を果たす部材であり、金属材料により成形されている。ウエイト8は、プランジャ7から遠ざかる反打撃方向に移動可能にガイドシャフト10に挿通されている。ウエイト8は、図1及び図4に示すように、上下方向を軸方向とする内筒部8Aと外筒部8Bとが同軸中心に接続されて、内筒部8Aにはガイドシャフト10が摺動自在に挿通される。内筒部8Aと外筒部8Bとの間には、コイルスプリング9が挿入される。また、外筒部8Bの外周面の下端部近傍には、第2ギヤ64のローラカム64A,64Bが当接する第1当接部81A及び第2当接部81Bが上下方向に形成されている。
【0037】
第1当接部81Aは、ウエイト8の外周面から後方に突出するように設けられている。また、第1当接部81Aの上面は、第2ギヤ64の第1ローラカム64Aと当接可能に構成されている。第2当接部81Bも、同様に、平板形状をなしており、ウエイト8の外周面から後方に突出するように設けられている。また、第2当接部81Bは、第1当接部81Aよりも上方に位置しており、第2ギヤ64の第2ローラカム64Bと当接可能に構成されている。
【0038】
コイルスプリング9は、圧縮されると弾性エネルギを蓄積し、圧縮が解除されるときに蓄積した弾性エネルギを解放する、単一のコイルバネからなり、ガイドシャフト10に挿通されてウエイト8とプランジャ7との間に位置する。コイルスプリング9の他端部側は、ウエイト8の内筒部8Aの外周面に嵌装されてウエイト8を反打撃方向に付勢する。一方、コイルスプリング9の一端部は、プランジャ7の当接部7Eに当接してプランジャ7を打撃方向に付勢する。コイルスプリング9は、圧縮された状態においては、プランジャ7を下方に付勢し且つウエイト8を上方に付勢しており、当該圧縮が解除されると、蓄積された弾性エネルギを解放することでガイドシャフト10に沿ってプランジャ7を下方に移動させると共にウエイト8を上方に移動させる。コイルスプリング9は、弾性部材に相当する。
【0039】
図1及び図2に示すように、ノーズ部3は、本体部21の下方に設けられており、その内部には上下方向に延びる射出孔3aが形成されている。また、射出孔3aの下端には、釘が打ち出される射出口3bが開口している。
【0040】
マガジン4は、ノーズ部3の後部から後方に延出するように設けられており、複数の釘を内蔵している。釘は、マガジン4からノーズ部3の射出孔3aに供給される構成となっている。
【0041】
次に、釘打機1の動作について説明する。
【0042】
動作開始前、すなわち釘打機1の初期状態において、プランジャ7は、図7に示すように、下死点L1に位置してプランジャバンパ12と当接し、ウエイト8は、最上位点L4に位置してウエイトバンパ11に当接している。
【0043】
当該初期状態において、図5に示すように、ユーザがハンドル部23を把持してノーズ部3を被打込材Wの上面に対して略直交するように押し付けて保持し、トリガ23Aを引くとモータ5の回転が開始される。モータ5が回転すると、回転軸5Aが回転し、減速機構50を介して動力が駆動機構6に伝達される。この状態において、図6(a)に示すように、プランジャ7の第1当接部71Aには、下方より第1ギヤ63の第1ローラカム63Aが当接し、一方、ウエイト8の第1当接部81Aには、上方より第2ギヤ64の第1ローラカム64Aが当接する。駆動機構6は、プランジャ7を、下死点L1から上死点L2に向けて上方に移動させると共に、ウエイト8を最上位点L4から最下位点L3に向けて下方に移動させる。このプランジャ7及びウエイト8の移動により、コイルスプリング9は圧縮される。コイルスプリング9が圧縮され弾性エネルギが蓄積されると、プランジャ7は下方に付勢され、ウエイト8は上方に付勢される。駆動機構6は、コイルスプリング9の付勢力に抗しながらプランジャ7及びウエイト8を互いに接近させる。
【0044】
このときの駆動機構6、プランジャ7、ウエイト8及びコイルスプリング9の各部品の動作を、図6及び図7を参照しながら説明する。第1の実施の形態として、プランジャ7及びウエイト8の各々によるコイルスプリング9の圧縮を同時に解除し、釘の打込後にプランジャ7及びウエイト8の移動を同時に停止させる動作について説明する。また、図6(a)〜(h)は、動作開始から発射を完了して動作を終了するまでの1サイクルにおける各部品の状態を時系列に並べたものである。各図の上部に、第1ギヤ63または第2ギヤ64の回転角度を示す。動作開始時点(図6(a))での回転角度をゼロとし、括弧内には左隣図からの角度増分を示す。なお、図6(b)〜(g)の符号は省略する。図7(a)〜(d)は、プランジャ7を上死点L2まで、ウエイト8を最下位点L3までそれぞれ移動させた後、コイルスプリング9の圧縮を解除してから、釘の打ち込みを終えるまでの、ハウジング2内のプランジャ7及びウエイト8の状態を時系列に説明する図である。
【0045】
釘打機1が動作を開始すると、駆動機構6にはモータ5から動力が伝達され、第1ギヤ63は反時計回りに回転を開始し、同時に第2ギヤ64は時計回りに回転を開始する。回転角度ゼロ度のときは、図6(a)に示すように、第1ギヤ63の第1ローラカム63Aがプランジャ7の第1当接部71Aに下方より当接してプランジャ7の上方への押し上げを開始すると共に、第2ギヤ64の第1ローラカム64Aがウエイト8の第1当接部81Aに上方より当接してウエイト8の下方への押し下げを開始する。これにより、コイルスプリング9の圧縮が開始される。
【0046】
次に、図6(b)に示すように、第1ギヤ63が回転するに従い、プランジャ7は、第1ローラカム63Aと第1当接部71Aとの当接によって押し上げられ、ウエイト8は、第1ローラカム64Aと第1当接部81Aとの当接によって押し下げられる。
【0047】
回転角度が85度になると、図6(c)に示すように、プランジャ7の上方への押し上げは、第1ギヤ63の第2ローラカム63Bと第2当接部71Bとの当接に引き継がれて継続される。さらに、第1ギヤ63が回転して図6(d)に示すように回転角度が130度になると、ウエイト8の押し下げは、第2ギヤ64の第2ローラカム64Bと第2当接部81Bとの当接に引き継がれて継続される。
【0048】
そして、回転角度が220度になると、図6(e)に示すように、プランジャ7の押し上げは、第1ギヤ63の第3ローラカム63Cと第3当接部71Cとの当接に引き継がれて継続される。このように、図6(a)から図6(e)に示すプランジャ7の押し上げ及びウエイト8の押し下げにより、プランジャ7及びウエイト8は徐々に互いに接近するので、コイルスプリング9は、ガイドシャフト10に沿って、長手方向の両端部から圧縮されて弾性エネルギを蓄積する。
【0049】
図6(f)に示す状態では、第1ギヤ63の第3ローラカム63Cが第3当接部71Cを押し上げるため、プランジャ7は上死点L2近傍に位置する。一方、第2ギヤ64の第2ローラカム64Bが第2当接部81Bを押し下げるため、ウエイト8は、最下位点L3近傍に位置する(図7(a)参照)。この状態より、さらに第1ギヤ63及び第2ギヤ64の各々の回転が進むと、図6(g)に示すように、回転角度275度のとき、プランジャ7に対しては、第3ローラカム63Cと第3当接部71Cとの当接が解除されると共に、ウエイト8に対しては、第2ローラカム64Bと第2当接部81Bとの当接が解除される(図7(b)参照)。図6(a)に示すコイルスプリング9の圧縮開始から図6(g)に示す圧縮の解除までに時間は、本実施の形態では、150msである。
【0050】
すなわち、図6(g)に示すように、コイルスプリング9に対する圧縮が解除されるので、コイルスプリング9は、蓄積した弾性エネルギにより、図6(h)に示すように、プランジャ7は下方への移動を開始すると共に(図7(b)参照)、ウエイト8は上方へ移動する(図7(c)参照)。プランジャ7の下方への移動に伴い、ロッド13が釘を打撃し、ノーズ部3から釘を発射する。このとき、プランジャ7が下死点に到達するのと略同時に、ウェイト8が上限位置(図7(d)の状態)に到達する。本実施の形態では、コイルスプリング9の圧縮解除から釘の打ち込み終了までに要する時間は12msである。
【0051】
その後、回転角度が360度になるまで第1ギヤ63及び第2ギヤ64は回転を継続し、1サイクルの打込動作が完了する。
【0052】
上記構成の釘打機1によると、釘を被打込材Wに打ち込むとき、コイルスプリング9が蓄積した弾性エネルギを利用して加速されたプランジャ7が直接釘を打撃して被打込材Wに打ち込む。打込み後、釘の打込みによって消費されなかった余剰エネルギが、プランジャ7、プランジャバンパ12を介してハウジング2に伝達されるので、ハウジング2は、被打込材W方向に移動しようとする。これに対し、同時にウエイト8がウエイトバンパ11に衝突することによって、ハウジング2は上方(被打込材Wと逆方向)に移動しようとするので、工具本体(釘打機1)の打込み後の衝撃による動きを防止することができる。
【0053】
また、コイルスプリング9は、プランジャ7とウエイト8との間でガイドシャフト10に挿通され、ハウジング2に対し直接固定する必要が無いので、釘打機1の構成を簡単にすることができる。
【0054】
さらに、駆動機構6を構成する第1ギヤ63及び第2ギヤ64の構成、各ギヤに形成されるローラカム63A〜C、64A,Bの配置、第1ギヤ63のローラカム63A,63B,63Cと第2ギヤ64のローラカム64A,64Bとの位置関係、プランジャ7及びウエイト8の形状や重量を適宜変更することによって、プランジャ7のストローク、いわゆる下死点L1と上死点L2との間の距離を変更することができる。また、プランジャ7及びウエイト8の移動速度をそれぞれ別な速度に設定することができる。同様に、ウエイト8のストローク、いわゆる最上位点L4と最下位点L3との間の距離を変更することができる。従って、釘の打ち込みに必要なプランジャ7のストロークを確保しつつ、ウエイト8のストロークを短くすることができ、釘打機1のハウジング2の上下方向を短くして小型にすることができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、ウエイト8は、プランジャ7よりも重く、打込み動作時の移動距離は、ウエイト8より、プランジャ7の方が長くなるように設定されている。しかしながら、ウエイト8とプランジャ7との重量の関係で、ウエイト8とプランジャ7は、ほぼ同時にウエイトバンパ11とプランジャバンパ12に衝突するようになっている。
【0056】
次に、第2の実施の形態として、ウエイト8によるコイルスプリング9の圧縮を最初に解除し、次にプランジャ7によるコイルスプリング9の圧縮を解除し、プランジャ7による釘の打込後に、プランジャ7をプランジャバンパ12に衝突させた後でウエイト8をウエイトバンパ11に衝突させてその移動を停止させる動作について説明する。
【0057】
このようにすると、ウエイト8はハウジング2から浮いた状態になるので、コイルスプリング9が伸びる時の荷重がハウジング2に伝わることを防ぎ、工具本体(釘打機1)の浮き上がりが防止することができる。
【0058】
図8(a)〜(i)は、動作開始から発射を完了して動作を終了するまでの1サイクルにおける各部品の状態を時系列に並べたものである。各図の上部に、第1ギヤ63または第2ギヤ64の回転角度を示す。動作開始時点(図8(a))での回転角度をゼロとし、括弧内には左隣図からの角度増分を示す。なお、図8(b)〜(h)の符号は省略する。図9及び図10は、プランジャ7を上死点(L2)まで、ウエイト8を最下位点L3までそれぞれ移動させてコイルスプリング9の圧縮を解除した後、釘の打ち込みを終えるまでの、ハウジング2内のプランジャ7及びウエイト8の状態を説明する図である。なお、図8(a)〜(f)に示すコイルスプリング9の圧縮については、第1の実施の形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
図8(f)に示す状態では、第1ギヤ63の第3ローラカム63Cが第3当接部71Cを押し上げるため、プランジャ7は上死点(L2)近傍に位置する。一方、第2ギヤ64の第2ローラカム64Bが第2当接部81Bを押し下げるため、ウエイト8は、最下位点L3近傍に位置する(図9(a)参照)。この状態より、さらに第1ギヤ63及び第2ギヤ64の各々の回転が進むと、図8(g)に示すように、回転角度275度のとき、ウエイト8に対しては、第2ローラカム64Bと第2当接部81Bとの当接が解除されるので、コイルスプリング9の弾性エネルギによりウエイト8は上方への移動を開始するが、プランジャ7にたいしては、第3ローラカム63Cが第3当接部71Cに当接しているので、コイルスプリング9の付勢に拘わらず上方への移動が継続される(図9(b)参照)。
【0060】
次に、回転角度が277度になると、図8(h)に示すように、第1ギヤ63の第3ローラカム63Cが第3当接部71Cとの当接から外れるので、コイルスプリング9のプランジャ7側からの圧縮が解除され、コイルスプリング9の弾性エネルギにより、プランジャ7は下方への移動を開始する(図9(c)、(d)参照)。
【0061】
図8(i)に示すように、プランジャ7の下方への移動に伴い、ロッド13が釘を打撃し、ノーズ部3から釘を発射され、プランジャ7が下死点に到達する(図10(e)参照)。このプランジャ7の動作により、ハウジング2に被打込材Wに向かう力が作用する。釘の打込み中は、プランジャ7の反力は、全てウエイト8に作用するため、ハウジング2には、外力又は重力以外の力は作用しない。
【0062】
その後、回転角度が360度になるまで第1ギヤ63及び第2ギヤ64は回転を継続し、1サイクルの打込動作が完了する。
【0063】
釘打機1の上記動作によれば、プランジャ7を打ち込みように発射する前に、コイルスプリング9のウエイト8側からの圧縮を解放してウエイト8の移動を開始しているので、ハウジング2には被打込材に向かう力が作用する。従って、釘打機1を被打込材Wに対して必要以上に押し付けなくても所望の位置に正確に釘を打ち込むことができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、ウエイト8は、プランジャ7よりも重く、打込み動作時の移動距離は、ウエイト8よりプランジャ7の方が長く、さらに、ウエイト8がプランジャ7よりも先に動き出すようになっている。しかし、ウエイト8とプランジャ7との重量の関係で、ウエイト8とプランジャ7とは、ほぼ同時にウエイトバンパ11とプランジャバンパ12に衝突するようになっている。
【0065】
また、プランジャ7がプランジャバンパ12に衝突した後で、ウエイト8がウエイトバンパ11に衝突するようにタイミングが調整されているので、ウエイト8のウエイトバンパ11への衝突により、ハウジング2には被打込材Wから離れる方向に力が作用する。従って、打込時の反力による被打込材Wの表面の荒れを防止することができる。
【0066】
ウエイト8及びプランジャ7の発射タイミングやバンパに衝突するまでの時間は、駆動機構6を構成する第1ギヤ63及び第2ギヤ64の構成、各ギヤに形成されるローラカム63A〜C、64A,Bの配置、第1ギヤ63のローラカム63A,63B,63Cと第2ギヤ64のローラカム64A,64Bとの位置関係、プランジャ7及びウエイト8の形状や重量を適宜変更することによって、変更することができる。
【0067】
また、プランジャ7の上死点及び下死点間の距離は、止具の長さに応じて適宜設定することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態では、プランジャ7とウエイト8との重量は、プランジャ7が約50gであり、ウエイト8が175g程度であり、重量比にして約1対4程度に設定しておくのが良い。より好ましくは1対4以上に設定しておくのが良い。
【0069】
なお、本発明は、ガイドシャフトに沿ってプランジャ7とウエイト8との間にコイルスプリング9を設け、当該コイルスプリング9によりプランジャ7とウエイト8とを付勢可能とし、さらに、プランジャ7とウエイト8とによりコイルスプリング9を圧縮することよって当該スプリングに蓄積された弾性エネルギを利用して作業を行う適宜の電動工具に適用することができる。
【0070】
また、上記実施の形態では、弾性部材としてコイルスプリング9を用いたが、代わりに、プランジャ7を打撃方向に且つウエイト8を反打撃方向に付勢可能であれば、弾性部材として適宜の部材を使用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…釘打機、2…ハウジング、3…ノーズ部、7…プランジャ、8…ウエイト、9…コイルスプリング、11…ウエイトバンパ、12…プランジャバンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10