(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体受けに、前記液体受けが前記第2方向に移動するときに、前記液体受けと前記一対の液溜め形成部材とが前記第2方向に相対移動するのを規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
前記案内部材は、前記液体受けが前記ノズル面に近づくほど、前記一対の液溜め形成部材が互いに離れるように、前記一対の液溜め形成部材の少なくとも一方を前記第1方向に案内することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
前記一対の液溜め形成部材の間に形成される前記液溜めが、前記吸引ポンプによる吸引時に、前記液体受けの前記吸引ポンプとの接続口と重なることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出装置。
前記一対の液溜め形成部材のうち少なくとも一方の液溜め形成部材、又は、前記液体受けに設けられ、前記吸引ポンプによる吸引時に、前記ノズル面と直交する第2方向に前記液溜めと重なることで、前記液溜めの前記ノズル面側の端を塞ぐ閉塞部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、パージでは比較的多量のインクがインクジェットヘッドから排出されるため、パージ後には、キャップ部材に比較的多量のインクが溜まっている。そのため、パージ後、吸引ポンプを駆動すれば、キャップ部材内の溜まったインクを吸引排出することができる。これに対して、フラッシングでは、パージと比較して排出されるインクの量が少なく、フラッシング後には、キャップ部材の互いに離れた部分に、体積の小さなインク滴が付着した状態となる。そのため、フラッシング後に吸引ポンプを駆動しても、キャップ部材の吸引ポンプとの接続口から離れた位置に着弾したインクを吸引することができない虞がある。
【0005】
フラッシングが何度も繰り返され、キャップ部材にある程度の量のインクが溜まってからキャップ部材内に溜まったインクを吸引すればよいようにも思われるが、この場合には、キャップ部材にインクが溜まる前にキャップ部材に付着したインクが固化してしまい、インクを吸引することができなくなってしまう虞がある。
【0006】
本発明の目的は、フラッシングによって液体受けに排出された液体を確実に排出することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る液体吐出装置は、複数のノズルが形成されたノズル面を有する液体吐出ヘッドと、フラッシングにより前記複数のノズルから排出された液体を受ける液体受けと、前記液体受けに接続され、前記液体受けに排出された液体を吸引する吸引ポンプと、前記液体受けの前記ノズル面と対向する面に、前記ノズル面に沿った第1方向に互いに対向して配置され、間にフラッシングにより排出された液体を溜めるための液溜めを形成する一対の液溜め形成部材と、前記一対の液溜め形成部材を、前記第1方向に相対移動させる相対移動機構と、を備え、
前記相対移動機構は、前記液体受けを、前記一対の液溜め形成部材とともに前記ノズル面と直交する第2方向に移動させる液体受け移動機構と、前記第2方向に移動する前記一対の液溜め形成部材のうち、少なくとも一方の液溜め形成部材を、前記第2方向の移動に応じて前記第1方向に案内する案内部材と、を備え、前記相対移動機構は、フラッシング時には、前記一対の液溜め形成部材を前記第1方向に互いに離隔させることで、前記液溜めを前記複数のノズルと重ならせ、前記吸引ポンプによる吸引時には、前記一対の液溜め形成部材を、フラッシング時よりも前記第1方向に互いに近づけることで、前記液溜めを前記第1方向に狭める。
第5の発明に係る液体吐出装置は、複数のノズルが形成されたノズル面を有する液体吐出ヘッドと、フラッシングにより前記複数のノズルから排出された液体を受ける液体受けと、前記液体受けに接続され、前記液体受けに排出された液体を吸引する吸引ポンプと、前記液体受けの前記ノズル面と対向する面に、前記ノズル面に沿った第1方向に互いに対向して配置され、間にフラッシングにより排出された液体を溜めるための液溜めを形成する一対の液溜め形成部材と、前記一対の液溜め形成部材を、前記第1方向に相対移動させる相対移動機構と、を備え、前記一対の液溜め形成部材のうち一方の液溜め形成部材の、他方の液溜め形成部材との対向面が、前記ノズル面と直交する第2方向に対して、前記ノズル面から離れるほど前記他方の対向部材側に位置するように傾いた傾斜面となっており、前記相対移動機構は、前記一対の液溜め形成部材のうち少なくとも前記一方の液溜め形成部材を、前記第1方向に移動させることによって、前記一対の液溜め形成部材を前記第1方向に相対移動させ、フラッシング時には、前記一方の液溜め形成部材を、前記傾斜面が前記複数のノズルと対向する位置に位置させるように、前記一対の液溜め形成部材を前記第1方向に互いに離隔させることで、前記液溜めを前記複数のノズルと重ならせ、前記吸引ポンプによる吸引時には、前記一対の液溜め形成部材を、フラッシング時よりも前記第1方向に互いに近づけることで、前記液溜めを前記第1方向に狭める。
第6の発明に係る液体吐出装置は、複数のノズルが形成されたノズル面を有する液体吐出ヘッドと、フラッシングにより前記複数のノズルから排出された液体を受ける液体受けと、前記液体受けに接続され、前記液体受けに排出された液体を吸引する吸引ポンプと、前記液体受けの前記ノズル面と対向する面に、前記ノズル面に沿った第1方向に互いに対向して配置され、間にフラッシングにより排出された液体を溜めるための液溜めを形成する一対の液溜め形成部材と、前記一対の液溜め形成部材を、前記第1方向に相対移動させる相対移動機構と、を備え、前記相対移動機構は、フラッシング時には、前記一対の液溜め形成部材を前記第1方向に互いに離隔させることで、前記液溜めを前記複数のノズルと重ならせ、前記フラッシング後に前記吸引ポンプによる吸引が行われる場合には、前記フラッシングの後で且つ前記吸引ポンプによる吸引の前に、前記一対の液溜め形成部材を、フラッシング時よりも前記第1方向に互いに近づけることで、前記液溜めを前記第1方向に狭める。
【0008】
フラッシングにより液体受けに液体が排出されたときには、液体受けの互いに離れた部分に、体積の小さい複数の液滴が付着する。そのため、液体受けをフラッシング時と同じ状態にしたまま吸引ポンプを動作させても、液体受けの吸引ポンプとの接続口から遠い液滴を吸引することができない虞がある。本発明では、一対の液溜め形成部材を離隔させた状態でフラッシングを行い、その後、一対の液溜め形成部材をフラッシング時よりも近付けて、液溜めを第1方向に狭めることにより、液体受けに排出された複数の液滴を、液溜め内で集めて一体にすることができる。そして、この状態で吸引ポンプを動作させれば、液体受けに排出された液体を確実に吸引することができる。
また、第1の本発明によると、液体受けの第2方向への移動に連動して、一対の液溜め形成部材を第1方向に相対移動させることができる。したがって、液体受けを第2方向に移動させる液体受け移動機構と別に、一対の液溜め形成部材を第1方向に相対移動させるための動力が必要ない。
また、第2の発明によると、フラッシングにより排出された液体が、一方の液溜め形成部材の傾斜面上に着弾するため、フラッシング後、一対の液溜め形成部材を近づけたときに、液体が、確実に、一対の液溜め形成部材の互いの対向面に挟まれて一体となる。
【0009】
第
8の発明に係る液体吐出装置は、
第1〜第7のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記一対の液溜め形成部材の間に形成される前記液溜めが、前記吸引ポンプによる吸引時に、前記液体受けの前記吸引ポンプとの接続口と重なる。
【0010】
本発明によると、吸引ポンプによる吸引時に、液溜め内で一体となった液体を、確実に吸引することができる。
【0013】
第
2の発明に係る液体吐出装置は、第
1の発明に係る液体吐出装置において、前記液体受けに、前記液体受けが前記第2方向に移動するときに、前記液体受けと前記一対の液溜め形成部材とが前記第2方向に相対移動するのを規制する規制部が設けられている。
【0014】
本発明によると、液体受けが第2方向に移動するときに、規制部により液体受けと液溜め形成部材とが第2方向に相対移動してしまうのが規制される。これにより、液溜め形成部材が案内部材に引っ掛かるなどして、液体受けと液溜め形成部材とが第2方向に相対移動してしまうのを防止することができる。
【0015】
第
3の発明に係る液体吐出装置は、
第1又は第2の発明に係る液体吐出装置において、前記案内部材は、前記液体受けが前記ノズル面に近づくほど、前記一対の液溜め形成部材が互いに離れるように、前記一対の液溜め形成部材の少なくとも一方を前記第1方向に案内する。
【0016】
本発明によると、液体受けがノズル面に近づけられた状態でフラッシングが行われるため、フラッシングによって発生した液体のミストが、液体吐出装置の他の部分に付着してしまうのを防止することができる。
【0019】
第
9の発明に係る液体吐出装置は、
第1〜第8のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記一対の液溜め形成部材のうち少なくとも一方の液溜め形成部材、又は、前記液体受けに設けられ、前記吸引ポンプによる吸引時に、前記ノズル面と直交する第2方向に前記液溜めと重なることで、前記液溜めの前記ノズル面側の端を塞ぐ閉塞部をさらに備えている。
【0020】
液溜め内の液体がノズル面側の端から漏れ出して、液溜め形成部材のノズル面側の面に流れてしまうと、吸引ポンプにより漏れ出した液体を十分に吸引できない虞がある。本発明では、吸引ポンプによる吸引時に閉塞部によって液溜めのノズル面側の端が塞がれるため、液溜めのノズル面側の端からの液体が漏れ出してしまうのを防止することができる。
【0021】
第
10の発明に係る液体吐出装置は、第
9の発明に係る液体吐出装置において、前記液体受けの前記吸引ポンプとの接続口が、前記吸引ポンプによる吸引時に前記液溜めと重なるように設けられ、前記吸引ポンプによる吸引時に、前記液溜めの前記第2方向における前記ノズル面側の端のうち、前記接続口と重なる部分を除く一部分が、前記閉塞部によって塞がれないことによって開放されている。
【0022】
液溜めノズル側の端が完全に塞がれていると、吸引ポンプを駆動したときに液溜め内に空気が十分に導入されず、液溜め内の液体を十分に吸引することができない虞がある。本発明では、液溜めのノズル面側の端の一部分が開放されているため、吸引ポンプを動作させて当該隙間の液体を吸引するときに、液溜め内に空気が導入されやすい。さらに、液溜めのノズル面側の端のうち、吸引ポンプとの接続口と重ならない部分が開放されているため、液溜め内の液体が吸引されずに空気のみが吸引されることもない。したがって、液溜め内の液体を確実に吸引することができる。
【0023】
第4の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第3の何れかの発明に係る液体吐出装置において、前記複数のノズルは、前記第1方向と直交する方向に配列した複数のノズル列を形成し、前記複数のノズル列は、前記第1方向
に沿って配列され、各ノズル列を形成する前記ノズルからは、互いに異なる種類の液体が吐出され、前記液体受けの前記ノズル面と対向する面に、前記第1方向に沿って配列された3以上の前記液溜め形成部材が配置され、これら3以上の前記液溜め形成部材のうち、隣接する2つずつの前記液溜め形成部材が、それぞれ、各ノズル列に対応する前記液溜めを形成する前記一対の液溜め形成部材となっており、前記3以上の液溜め形成部材は、フラッシングによりある第1ノズル列を形成するノズルから排出された液体を溜めるための前記液溜めを形成する一対の液溜め形成部材であって、片方の前記液溜め形成部材のみが前記案内部材により前記第1方向に案内される、又は、両方の前記液溜め形成部材が前記案内部材により前記第1方向の互いに反対側に案内される、一対の第1液溜め形成部材と、前記第1ノズル列とは別の第2ノズル列を形成するノズルから排出された液体を溜めるための前記液溜めを形成する一対の液溜め形成部材であって、両方の前記液溜め形成部材が前記案内部材により前記第1方向の同じ側に案内される、一対の第2液溜め形成部材と、を含み、前記第2ノズル列を形成するノズルは、前記第1ノズル列を形成するノズルよりもフラッシング量が多く、前記
吸引ポンプによる吸引時に、前記一対の第2液溜め形成部材の間の間隔が、前記一対の前記第1液溜め形成部材の間の間隔よりも大きくなる。
第7の発明に係る液体吐出装置は、第6の発明に係る液体吐出装置において、前記相対移動
機構は、前記液体受けで前記複数のノズルを覆った状態で前記吸引ポンプが前記液体吐出ヘッド内の液体を排出する吸引パージを行った後に、前記吸引ポンプが前記液体受け内の液体を吸引して排出する場合には、前記一対の液溜め形成部材を第1方向に離隔させたままにする。
【0024】
一対の第2液溜め形成部材は、案内部材により第1方向の同じ側に案内されるため、一対の第2液溜め形成部材を近づけるためには、一方の第2液溜め形成部材の移動量を大きくする必要がある。しかしながら、液溜め形成部材は液体受けの第2方向の移動に応じて、案内部材によって第1方向に案内されるものであるため、一方の第2液溜め形成部材の移動量を、他方の第2液溜め形成部材の移動量に対して十分に大きくするのが難しい場合もある。そして、一方の第2液溜め形成部材の移動量が、他方の第2液溜め形成部材の移動量に対して十分に大きくない場合には、吸引ポンプによる吸引時に、一対の第2液溜め形成部材の間の距離が、一対の第1液溜め形成部材の間の距離に対して大きくなってしまうことがある。本発明では、一対の第2液溜め形成部材の間に形成される液溜めに、フラッシング量が多いノズルからインクが排出されるため、吸引ポンプによる吸引時に、液溜め内の液体が確実に一体となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、一対の液溜め形成部材を離隔させた状態でフラッシングを行い、その後、一対の液溜め形成部材をフラッシング時よりも近付けて、液溜めを第1方向に狭めることにより、液体受けに排出された複数の液滴を、液溜め内で集めて一体にすることができる。そして、この状態で吸引ポンプを動作させれば、液体受けに排出された液体を確実に吸引することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、搬送ローラ4、メンテナンスユニット5等を備えている。キャリッジ2は走査方向(本発明の第1方向)に延びた2本のガイドレール6に支持され、ガイドレール6に沿って走査方向に往復移動する。なお、以下では、
図1に示すように走査方向の右側及び左側を定義し、走査方向の右側及び左側を、単に右側及び左側とする。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、その下面であるノズル面3aに形成された複数のノズル10からインクを吐出させる。複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることにより、2つのノズル列9を形成している。また、2つのノズル列9は走査方向に沿って配列されている。搬送ローラ4は、インクジェットヘッド3の搬送方向における両側に配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
【0029】
そして、プリンタ1では、搬送ローラ4により記録用紙Pを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出させることにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0030】
メンテナンスユニット5は、ノズルキャップ21、吸引ポンプ22、廃液タンク23等を備えている。
【0031】
ノズルキャップ21(本発明の液体受け)は、ゴム材料からなり、記録用紙Pが搬送される領域よりも右側の所定の位置に配置されている。ノズルキャップ21は、キャリッジ2が記録用紙Pが搬送される領域よりも右側のある位置まで移動してきたときに、ノズル面3aと対向する。また、
図2、
図3に示すように、ノズルキャップ21は、昇降機構26(本発明の液体受け移動機構)によって上下方向(本発明の第2方向)に移動可能となっている。
【0032】
ノズルキャップ21の上面31には、その縁の全周にわたって連続的に延び、他の部分よりも上方に突出したリップ32が設けられている。これにより、ノズルキャップ21には、その上面31とリップ32とに取り囲まれた空間33が形成されている。
【0033】
ノズルキャップ21の空間33内には、3つのキャップチップ41〜43(本発明の液溜め形成部材)が配置されている。キャップチップ41〜43は、合成樹脂材料からなり、走査方向に並んでいる。また、キャップチップ41〜43は、空間33よりも搬送方向の長さが若干短くなっており、キャップチップ41〜43の搬送方向両側の端面と、リップ32との間には隙間ができている。
【0034】
キャップチップ41〜43のうち中央に位置するキャップチップ42は、空間33の走査方向における略中央部に配置され、ノズルキャップ21に固定されている。キャップチップ42の左側の側面42aは、下側の部分ほど右側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっている。また、キャップチップ42の右側の側面42bは、下側の部分ほど左側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっている。
【0035】
左側に配置されたキャップチップ41は、ノズルキャップ21には固定されておらず、空間33内で走査方向に移動可能となっている。また、キャップチップ41の右側の側面41aは、下側の部分ほど右側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっており、キャップチップ42の左側の側面42aとほぼ平行になっている。そして、キャップチップ41とキャップチップ42との間には、インクを溜めるためのインク溜め45a(本発明の液溜め)が形成されている。
【0036】
右側に配置されたキャップチップ43は、ノズルキャップ21には固定されておらず、空間33内で走査方向に移動可能となっている。また、キャップチップ43の左側の側面43aは、下側の部分ほど左側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっており、キャップチップ42の右側の側面42bとほぼ平行になっている。そして、キャップチップ42とキャップチップ43との間には、インクを溜めるためのインク溜め45b(本発明の液溜め)が形成されている。
【0037】
なお、本実施の形態では、3つのキャップチップ41〜43のうち、キャップチップ41とキャップチップ42、及び、キャップチップ42とキャップチップ43とが、それぞれ、本発明の一対の液溜め形成部材に相当する。
【0038】
また、ノズルキャップ21には、2つのガイド部材46が設けられている。2つのガイド部材46は、それぞれ、鉛直部46aと傾斜部46bとを有している。鉛直部46aは上下方向に延び、その下端部が、プリンタ1の図示しないフレームなどに固定されている。傾斜部46bは、鉛直部46aの上端部と接続され、上側の部分ほど左側に位置するように上下方向に対して傾いて延びている。
【0039】
ここで、ノズルキャップ21には、空間33の搬送方向の両端部を形成する部分のうち、走査方向における中央部よりも左側の部分に、上下方向に延びた2つの貫通孔34が形成されている。そして、2つのガイド部材46の鉛直部46aが、2つの貫通孔34に挿通されている。また、貫通孔34の下端部を除く部分には、貫通孔34に傾斜部46bの一部を入り込ませることができるように、切り欠き34aが形成されている。また、キャップチップ41の搬送方向における両端部には、傾斜部46bとほぼ平行に延びた2つの貫通孔41bが形成されている。そして、2つのガイド部材46の傾斜部46bは、2つの貫通孔41bに挿通されている。
【0040】
これにより、昇降機構26でノズルキャップ21を上下方向に移動させると、キャップチップ41は、ノズルキャップ21とともに上下方向に移動するとともに、ガイド部材46の傾斜部46bに案内されて、走査方向に移動する。具体的には、ノズルキャップ21が上昇したときにはキャップチップ41が左側に移動し、ノズルキャップ21が降下したときにはキャップチップ41が右側に移動する。
【0041】
また、ノズルキャップ21には、2つのガイド部材47が設けられている。2つのガイド部材47は、それぞれ、鉛直部47aと傾斜部47bとを有している。鉛直部47aは上下方向に延び、その下端部が、プリンタ1の図示しないフレームなどに固定されている。傾斜部47bは、鉛直部47aの上端部と接続され、上側の部分ほど右側に位置するように上下方向に対して傾いて延びている。なお、ガイド部材47は、ガイド部材46を形成するのと同じ部品を、向きを変えて配置したものである。
【0042】
ここで、ノズルキャップ21には、空間33の搬送方向の両端部を形成する部分のうち、走査方向における中央部よりも右側の部分に、上下方向に延びた2つの貫通孔35が形成されている。そして、2つのガイド部材47の鉛直部47aが、2つの貫通孔35に挿通されている。また、貫通孔35の下端部を除く部分には、貫通孔35に傾斜部47bの一部を入り込ませることができるように切り欠き35aが形成されている。また、キャップチップ43の搬送方向における両端部には、傾斜部47bとほぼ平行に延びた2つの貫通孔43bが形成されている。そして、2つのガイド部材47の傾斜部47bは、2つの貫通孔43bに挿通されている。
【0043】
これにより、昇降機構26でノズルキャップ21を上下方向に移動させると、キャップチップ43は、ノズルキャップ21とともに上下方向に移動するとともに、ガイド部材47の傾斜部47bに案内されて、走査方向に移動する。具体的には、ノズルキャップ21が上昇したときにはキャップチップ43が右側に移動し、ノズルキャップ21が降下したときにはキャップチップ43が左側に移動する。
【0044】
また、リップ32の、ノズルキャップ21の搬送方向における上流側の端部に位置する部分には、搬送方向下流側に延び、空間33内に位置するストッパー36aが設けられている。また、リップ32の搬送方向下流側の端部に位置する部分には、搬送方向上流側に延び、空間33内に位置するストッパー36bが設けられている。ストッパー36a、36bは、キャップチップ41〜43よりも上方に位置し、キャップチップ41〜43にまたがって走査方向に延びている。これにより、ストッパー36a、36bがキャップチップ41〜43に接触することで、ノズルキャップ21とキャップチップ41〜43との上下方向の相対移動が規制される。したがって、昇降機構26でノズルキャップ21を上下方向に移動させたときに、キャップチップ41、43がガイド部材46、47に引っ掛かるなどしても、キャップチップ41〜43が、ノズルキャップ21から抜け落ちてしまうのが防止される。なお、
図2(a)、(b)では、図面を見やすくするために、ストッパー36a、36bを二点鎖線で図示し、キャップチップ41〜43のストッパー36a、36bよりも下側に位置する部分を実線で図示している。
【0045】
また、ノズルキャップ21には、接続流路37が設けられている。接続流路37は、ノズルキャップ21の走査方向における略中央部の、搬送方向における下流側の端部を上下方向に貫通しており、その上端部が、ノズルキャップ21の上面31に開口した接続口37aとなっている。接続口37aは、平面視で、キャップチップ42と重なっており、その直径が、キャップチップ42の下端部における走査方向の長さよりも長くなっている。これにより、接続口37aは、キャップチップ41、43の位置によらず、常にインク溜め45a、45bと重なっている。接続流路37の接続口37aと反対側の端部には、チューブ25aが接続されている。
【0046】
吸引ポンプ22は、チューブポンプなどであり、チューブ25aを介してノズルキャップ21に接続されている。廃液タンク23は、チューブ25bを介して吸引ポンプ22と接続されている。
【0047】
次に、プリンタ1におけるメンテナンス動作について説明する。プリンタ1では、メンテナンス動作として、ノズル10内のインクの乾燥等を防止するためにノズル10からノズルキャップ21にインクを吐出させるフラッシング、及び、インクジェットヘッド3内の異物や気泡等を排出するために、ノズル10からインクジェットヘッド3内のインクを吸引する吸引パージを行う。
【0048】
フラッシングについて説明する。プリンタ1では、吸引パージや後述の空吸引を行うとき以外には、
図2(a)、
図3(a)に示すように、ノズルキャップ21が、リップ32の上端部がノズル面3aよりも若干下方に位置するような高さに位置している。そして、キャリッジ2を、ノズル面3aがノズルキャップ21と対向する位置まで移動させ、この状態でノズル10からインクを吐出させることによりフラッシングが行われる。このとき、インクジェットヘッド3の2つのノズル列9のうち、左側のノズル列9がキャップチップ41の側面41aと対向し、右側のノズル列9がキャップチップ43の側面43aと対向する。これにより、フラッシングによってノズル10から排出されたインクは、キャップチップ41、43の側面41a、43a上に着弾する。
【0049】
また、プリンタ1では、フラッシングの直後や、フラッシングが所定回数行われた後などに、吸引ポンプ22を駆動することにより、インク溜め45a、45b内のインクを吸引ポンプ22で吸引する空吸引を行う。空吸引によりインク溜め45a、45bから排出されたインクは、廃液タンク23に貯留される。
【0050】
空吸引を行うときには、
図2(b)、
図3(b)に示すように、昇降機構26により、ノズルキャップ21をフラッシング時よりも降下させてから吸引ポンプ22を駆動する。ノズルキャップ21を降下させると、キャップチップ41が傾斜部46bに案内されて右側に移動し、キャップチップ42に近づく。また、キャップチップ43が傾斜部47bに案内されて左側に移動し、キャップチップ42に近づく。これにより、インク溜め45a、45bが、走査方向に狭められる。
【0051】
フラッシングにおいてノズル10から排出されるインクの量は、通常、それほど多くはない。そのため、フラッシング後においては、
図2(a)、
図3(a)に示すように、キャップチップ41の側面41aの上面、及び、キャップチップ43の側面43aの搬送方向に互いに離れた複数の部分に、体積の小さいインク滴Iが付着した状態となっている。そのため、本実施の形態とは異なり、フラッシングを行ったときの状態のまま吸引ポンプ22を駆動しても、接続口37aから離れた位置に着弾したインクを吸引することができない虞がある。
【0052】
そこで、本実施の形態では、上述したように、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めてから、吸引ポンプ22を駆動する。インク溜め45a、45bを走査方向に狭めると、
図2(b)、
図3(b)に示すように、互いに離れた位置に着弾していたインク滴Iが一体となる。そして、この状態で吸引ポンプ22を駆動すれば、一体となったインクが吸引される。これにより、フラッシングでノズルキャップ21に排出されたインクを確実に排出することができる。
【0053】
また、このとき、インク溜め45a、45bが、接続口37aと重なるため、吸引ポンプ22を駆動した時に、インク溜め45a、45b内のインクを確実に排出される。
【0054】
また、本実施の形態では、フラッシングで排出されたインクが、キャップチップ41の側面41a及びキャップチップ43の側面43a上に着弾する。したがって、フラッシングによってノズルキャップ21に排出されたインクは、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めたときに、キャップチップ41の側面41aとキャップチップ42の側面42a、及び、キャップチップ42の側面42aとキャップチップ43の側面43aに挟まれ、確実に一体となる。
【0055】
また、本実施の形態では、ガイド部材46、47に案内されるキャップチップ41、43は、ノズルキャップ21が上昇してノズル面3aに近づくほど、キャップチップ42から離れ、ノズルキャップ21が降下してノズル面3aから離れるほど、キャップチップ42に近づく。したがって、ノズル面3aとノズルキャップ21とが近づいた状態でフラッシングが行われる。これにより、フラッシングによって発生したインクのミストが、プリンタ1のノズルキャップ21以外の部分に付着しにくい。
【0056】
また、本実施の形態では、昇降機構26によりノズルキャップ21を上下方向に移動させると、ノズルキャップ21に設けられたキャップチップ41〜43も上下方向に移動する。さらに、キャップチップ41、43は、ガイド部材46、47に案内されて走査方向に移動する。したがって、ノズルキャップ21を上下方向に移動させるための昇降機構26とは別に、キャップチップ41、43を走査方向に移動させるための動力が必要ない。
【0057】
次に、吸引パージについて説明する。吸引パージを行うときには、
図4に示すように、キャリッジ2を、ノズル面3aがノズルキャップ21と重なる位置まで移動させるとともに、昇降機構26によりノズルキャップ21を上昇させて、リップ32の上端部をノズル面3aに接触させる。これにより、ノズル面3aがノズルキャップ21に覆われる。そして、この状態で吸引ポンプ22を駆動すると、ノズル10からインクジェットヘッド3内のインクが、インク中の異物や気泡などともに排出される。
【0058】
また、吸引パージの後には、昇降機構26によりノズルキャップ21を降下させることによって、リップ32の上端部をノズル面3aから離した上で、上述したのと同様の空吸引を行って、吸引パージによって空間33に溜まったインクを排出する。ただし、吸引パージではフラッシングよりも多量のインクが排出され、吸引パージ後には、空間33がインクで満たされている。したがって、吸引パージ後の空吸引を行うときには、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めなくてもよい。すなわち、吸引パージ後の空吸引では、ノズルキャップ21を、フラッシング後の空吸引を行うときとは異なる高さに位置させた状態で吸引ポンプ22を駆動してもよい。
【0059】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては、適宜その説明を省略する。
【0060】
一変形例(変形例1)では、
図5(a)、(b)、
図6(a)、(b)に示すように、キャップチップ42の高さが、キャップチップ41、43の高さよりも高くなっている。そして、キャップチップ42の上端部には、左側の側面から左側に張り出した張出部51(本発明の閉塞部)と、右側の側面から右側に張り出した張出部52(本発明の閉塞部)とが設けられている。また、張出部51、52は、搬送方向にキャップチップ42の搬送方向上流側の端部を除く部分にわたって延びている。
【0061】
この場合にも、上述の実施の形態と同様、
図5(a)、
図6(a)に示すように、左側のノズル列9がキャップチップ41の側面41aと対向し、右側のノズル列9がキャップチップ43の側面43aと対向した状態で、フラッシングを行う。また、フラッシング後、
図5(b)、
図6(b)に示すように、キャップチップ41とキャップチップ42、及び、キャップチップ42とキャップチップ43とをそれぞれ走査方向に近づけてインク溜め45a、45bを走査方向に狭めた状態で、吸引ポンプ22を駆動させて、空吸引を行う。
【0062】
変形例1の場合には、上述したように、キャップチップ42に張出部51、52が設けられている。したがって、
図5(b)、
図6(b)に示すように、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めたときに、張出部51の先端部がキャップチップ41の上面に位置し、張出部52の先端部がキャップチップ43の上面に位置する。これにより、インク溜め45aの上端の搬送方向の上流側の端部を除く部分が張出部51によって塞がれ、インク溜め45bの上端の搬送方向の上流側の端部を除く部分が張出部52によって塞がれる。
【0063】
ここで、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めたときに、インク溜め45a、45bの上端が塞がれないとすると、フラッシングにより排出されたインクがインク溜め45a、45b内で一体となったときに、インクがインク溜め45a、45bの上端から溢れ出し、キャップチップ41〜43の上面に流れ込んでしまう虞がある。そして、キャップチップ41〜43の上面にインクが流れ込んでしまうと、吸引ポンプ22を駆動しても、キャップチップ41〜43の上面に流れ込んだインクを吸引することができない虞がある。
【0064】
変形例1では、上述したように、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めたときに、インク溜め45a、45bの上端が、張出部51、52によって塞がれる。これにより、インク溜め45a、45b内で一体となったインクが、インク溜め45a、45bの上端から漏れ出してしまうのを防止することができる。
【0065】
ここで、変形例1とは異なり、張出部51、52が、搬送方向にキャップチップ42の全長にわたって延びており、インク溜め45a、45bの上端が、その全域にわたって張出部51、52で塞がれるようになっていると、吸引ポンプ22を駆動してインク溜め45a、45b内のインクを吸引したときに、インク溜め45a、45b内に十分に空気が導入されず、インク溜め45a、45b内のインクを十分に吸引することができない虞がある。
【0066】
これに対して、変形例1では、上述したように、張出部51、52が、キャップチップ42の搬送方向上流側の端部を除く部分わたって搬送方向に延びている。そのため、インク溜め45a、45bの上端の、搬送方向における上流側の端部(本発明の接続口37aと重なる部分を除く一部分)は、張出部51、52に塞がれることはなく開放されている。これにより、吸引ポンプ22を駆動してインク溜め45a、45b内のインクが吸引されると、上記開放された部分からインク溜め45a、45bに十分に空気が導入される。一方で、このとき、インク溜め45a、45bの上端のうち、接続口37aと重ならない部分が開放されているため、吸引ポンプ22を駆動したときに、インクが吸引されずにインク溜め45a、45bに導入された空気のみが吸引されることもない。以上のことから、インク溜め45a、45b内のインクを確実に吸引することができる。
【0067】
なお、キャップチップ42に張出部51、52を設けた場合には、フラッシング時にも張出部51、52が、インク溜め45a、45bの一部分と重なる。そのため、張出部51、52を設ける場合には、張出部51、52の張り出し量を、フラッシング時に張出部51、52とノズル10とが重ならないような量とする必要がある。
【0068】
また、変形例1では、インク溜め45a、45bの上端が、搬送方向の上流側の端部を除いて、張出部51、52によって塞がれるようになっていたが、インク溜め45a、45bの上端が、その全域にわたって張出部51、52によって塞がれるようになっていてもよい。この場合でも、インク溜め45a、45bの搬送方向における両端の開口などから十分に空気が導入されるようであれば、インク溜め45a、45b内のインクを吸引することができる。
【0069】
また、変形例1では、キャップチップ42に、インク溜め45a、45bの上端を塞ぐための張出部51、52が設けられていたが、これには限られない。例えば、キャップチップ41、43の上端部にキャップチップ42側に張り出した張出部が設けられていてもよい。あるいは、ノズルキャップ21に、キャップチップ42の上面に位置する、走査方向の長さがキャップチップ42よりも長い板状の部材が設けられ、この板状の部材のキャップチップ42から右側及び左側に張り出した部分により、インク溜め45a、45bの上端が塞がれるようになっていてもよい。
【0070】
また、上述の実施の形態では、キャップチップ41〜43の側面41a、42a、42b、43aが、上下方向に対して傾斜した傾斜面となっており、フラッシング時に、左側のノズル列9とキャップチップ41の側面41aとが対向し、右側のノズル列9とキャップチップ43の側面43aとが対向するようになっていたが、これには限られない。例えば、フラッシング時に、左側のノズル列9と側面41aとが対向しないようになっていてもよいし、右側のノズル列9と側面43aとが対向しないようになっていてもよい。また、この場合には、キャップチップ41〜43の側面41a、42a、42b、43aの傾斜の向きが、上述の実施の形態と逆であってもよい。あるいは、キャップチップ41〜43の走査方向の側面41a、42a、42b、43aは、上下方向と平行な面であってもよい。
【0071】
また、上述の実施の形態では、インクジェットヘッド3に2つのノズル列9が形成されているのに対して、ノズルキャップ21に3つのキャップチップ41〜43が設けられることで、左側のノズル列9に対応するインク溜め45aと、左側のノズル列9に対応するインク溜め45bとが別々に設けられていたが、これには限られない。
【0072】
別の一変形例(変形例2)では、
図7(a)、(b)に示すように、ノズルキャップ21内に、走査方向に並ぶ2つのキャップチップ61、62が設けられ、キャップチップ61とキャップチップ62との間に、インク溜め65が形成されている。キャップチップ61の右側の側面61aは、上下方向と平行に延びている。また、キャップチップ61には、貫通孔41bと同様の貫通孔61bが形成され、貫通孔61bにガイド部材46の傾斜部46bが挿通されている。キャップチップ62の左側の側面62aは、上下方向と平行に延びている。また、キャップチップ62には、貫通孔43bと同様の貫通孔62bが形成され、貫通孔62bにガイド部材47の傾斜部47bが挿通されている。
【0073】
そして、フラッシングを行うときには、
図7(a)に示すように、キャップチップ61の側面61aが左側のノズル列9を形成するノズル10よりも左側に位置し、キャップチップ62の側面62aが右側のノズル列9を形成するノズル10よりも右側に位置している。これにより、フラッシングによりノズル10から排出されたインクは、ノズルキャップ21の上面31の、側面61aと側面62aとの間に位置する部分に着弾する。
【0074】
そして、フラッシング後に空吸引を行うときには、ノズルキャップ21を降下させる。すると、キャップチップ61とキャップチップ62とを走査方向に近づき、インク溜め65が走査方向に狭まる。これにより、フラッシングによって排出されたインク溜め65内のインクが一体となる。そして、この状態で、吸引ポンプ22を駆動させることにより、インク溜め65に溜まったインクを確実に排出させることができる。
【0075】
また、上述の実施の形態では、複数のノズル10が2つのノズル列9を形成していたが、複数のノズル10は、1つ又は3以上のノズル列9を形成していてもよい。例えば、別の一変形例(変形例3)では、
図8に示すように、複数のノズル10が、走査方向に配列された3つのノズル列9を形成している。そして、各ノズル列9を形成するノズル10からは、右側のノズル列9から順に、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0076】
一方、ノズルキャップ21には、
図9に示すように、3つのキャップチップ41〜43が配置されているのに加えて、キャップチップ43の右側にキャップチップ71が配置されている。ただし、変形例3では、キャップチップ43の右側の側面43cが、下側の部分ほど左側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっている。また、キャップチップ71の左側の側面71aは、下側の部分ほど左側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっており、キャップチップ43の右側の側面43cとほぼ平行となっている。これにより、キャップチップ43とキャップチップ71との間に、インク溜め75が形成されている。なお、この場合には、キャップチップ41とキャップチップ42、キャップチップ42とキャップチップ43、及び、キャップチップ43とキャップチップ71が、それぞれ、本発明に係る一対の液溜め形成部材に相当する。
【0077】
また、ノズルキャップ21には、ガイド部材72が設けられている。ガイド部材72は、鉛直部47aと同様の鉛直部72aと、傾斜部47bと同様の傾斜部72bとを有する。ガイド部材72は、ノズルキャップ21に形成された貫通孔73に鉛直部72aが挿通され、キャップチップ71に形成された、貫通孔71bに傾斜部72bが挿通されている。ここで、貫通孔73は、貫通孔35と同様のものであり、貫通孔71bは、貫通孔43bと同様のものである。これにより、キャップチップ71は、ノズルキャップ21の上下方向の移動に応じて、ガイド部材72によって走査方向に案内される。このとき、キャップチップ43とキャップチップ71とは、走査方向におけると同じ側にほぼ同じ量だけ案内される。
【0078】
この場合には、
図9(a)に示すように、フラッシングにおいて、左側のノズル列9を形成するノズル10から吐出されたマゼンタのインクが、キャップチップ41の側面41aに着弾する。また、中央のノズル列9を形成するノズル10から吐出されたシアンのインクが、キャップチップ43の側面43aに着弾する。また、右側のノズル列9を形成するノズル10から吐出されたイエローのインクが、キャップチップ71の側面71aに着弾する。
【0079】
そして、フラッシング後、空吸引を行うときに、昇降機構26によりノズルキャップ21を降下させると、上述の実施の形態と同様、キャップチップ41が右側に移動することでインク溜め45aが走査方向に狭められ、キャップチップ43が左側に移動することでインク溜め45bが走査方向に狭められる。これにより、上述の実施の形態と同様、インク溜め45aにおいてマゼンタのインクが集められて一体となり、インク溜め45bにおいてシアンのインクが集められて一体となる。したがって、この状態で、吸引ポンプ22を駆動させると、インク溜め45a、45b内のマゼンタ、シアンのインクを確実に吸引することができる。
【0080】
一方で、キャップチップ71も左側に移動するが、上述したように、キャップチップ43とキャップチップ71とは、ほぼ同じ移動量だけ左側に移動する。そのため、インク溜め75は走査方向に狭められない。しかしながら、イエローのインクはシアンのインクやマゼンタのインクに比べて色が薄く、他の色のインクと混色したときの色の変化が大きいため、通常、イエローのインクを吐出するノズル10(右側のノズル列9を形成するノズル10)におけるフラッシング量は、シアンのインクやマゼンタのインクを吐出するノズル10(左側及び中央のノズル列9を形成するノズル10)におけるフラッシング量よりも多い。したがって、
図9(a)、
図9(b)に示すように、インク溜め75が走査方向に狭められなくても、各ノズル10からインク溜め75に排出されたイエローのインクは一体となる。したがって、吸引ポンプ22を駆動させたときに、インク溜め75内のイエローのインクを確実に吸引することができる。
【0081】
また、変形例3では、ガイド部材72がガイド部材47と同様のものであり、ガイド部材46とガイド部材47とは、向きを変えただけのものである。したがって、変形例3では、ガイド部材46、47、72を共通の部品で構成することができる。
【0082】
また、変形例3では、ガイド部材72を、ガイド部材47と同様のものとはせずに、傾斜部72bが傾斜部47bよりも上下方向に対して大きく傾斜したものにしてもよい。この場合には、ノズルキャップ21を上下方向に移動させたときのキャップチップ71の移動量が、キャップチップ43の移動量よりも大きくなる。これにより、ノズルキャップ21を降下させたときに、キャップチップ71がキャップチップ43に近づき、インク溜め75を走査方向に狭めることができる。
【0083】
ただし、ノズルキャップ21を上下方向に移動させたときのキャップチップ41、43の走査方向への移動量をある程度大きくするためには、ガイド部材46、47を傾斜部46b、47bが上下方向に対してある程度大きく傾斜したものとする必要がある。そのため、この場合には、ガイド部材72を、傾斜部72bが上下方向に対してかなり大きく傾斜したものとなる。しかしながら、傾斜部72bの上下方向に対する傾斜が大きすぎると、ノズルキャップ21を上下方向に移動させたときに、キャップチップ71がガイド部材72に引っ掛かり、ノズルキャップ21をスムーズに上下方向に移動させることができなくなってしまう虞がある。また、この場合には、ガイド部材72を、ガイド部材46、47とは別の部品によって構成する必要があり、部品の共通化の点でも不利である。
【0084】
また、変形例3では、キャップチップ43とキャップチップ71とを連結する部材を設け、キャップチップ43の移動に連動してキャップチップ71が移動するように構成してもよい。この場合、キャップチップ43がガイド部材47に案内されて走査方向に移動すると、キャップチップ71も走査方向に移動する。したがって、ガイド部材72や、これを挿通させるための貫通孔71b、73が無くても、キャップチップ71を操作方向に移動させることができる。
【0085】
また、上述の実施の形態では、ガイド部材46の傾斜部46bが、上側の部分ほど左側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっており、ガイド部材47の傾斜部47bが、上側の部分ほど右側に位置するように、上下方向に対して傾斜した傾斜面となっていたが、これには限られない。上述の実施の形態とは逆に、ガイド部材46の傾斜部46bが、上側の部分ほど右側に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜面となっており、ガイド部材47の傾斜部47bが、上側の部分ほど左側に位置するように、上下方向に対して傾斜した傾斜面となっていてもよい。
【0086】
ただし、この場合には、フラッシング後、ノズルキャップ21を上昇させることによって、キャップチップ41をキャップチップ42に近づけてインク溜め45aを走査方向に狭めるとともに、キャップチップ43をキャップチップ42に近づけてインク溜め45bを走査方向に狭めることになる。そのため、上述の実施の形態の場合よりも、ノズル面3aとノズルキャップ21とが離れた状態でフラッシングを行うことになる。その結果、フラッシングによって発生したインクのミストが、プリンタ1のノズルキャップ21以外の部分に付着しやすくなる。
【0087】
また、上述の実施の形態では、キャップチップ41、43が、ノズルキャップ21とともに上下方向に移動するのに応じて、ガイド部材46、47に案内されて走査方向に移動するようになっていたが、これには限られない。キャップチップ41、43は、ガイド部材46、47以外の案内部材によって走査方向に案内されるようになっていてもよい。あるいは、ノズルキャップ21に、昇降機構26によるノズルキャップ21の昇降とは関係なく、キャップチップ41、43を走査方向に移動させることが可能なアクチュエータなどが設けられていてもよい。
【0088】
また、上述の実施の形態では、ノズルキャップ21のリップ32に、キャップチップ41〜43がノズルキャップ21から抜け落ちてしまうのを防止するためのストッパー36a、36bが設けられていたが、ストッパー36a、36bは設けられていなくてもよい。キャップチップ41、43が、ガイド部材46、47の傾斜部46b、47bに対してスムーズに移動する場合等には、ストッパー36a、36bがなくても、ノズルキャップ21が上下方向に移動したときに、キャップチップ41〜43がノズルキャップ21から抜け落ちてしまうことはない。
【0089】
また、上述の実施の形態では、空吸引を行うときに、インク溜め45a、45bが接続口37aと重なるようになっていたが、これには限られない。空吸引を行うときに、インク溜め45a、45bが接続口37aと重ならないようになっていてもよい。この場合でも、上述の実施の形態と同様、インク溜め45a、45bを走査方向に狭めることにより、フラッシングにより各ノズル10からインク溜め45a、45bに排出されたインクを集めて一体とすることができる。そして、この状態で吸引ポンプ22を駆動すると、一体となったインクは、キャップチップ41〜43の搬送方向の端面とリップ32との間の隙間等を流れて、接続口37aから吸引される。
【0090】
また、ノズルキャップ21に設けられた複数のキャップチップのうち、どのキャップチップがノズルキャップ21に固定され、どのキャップチップが走査方向に移動可能であるかは、以上に説明したものには限られない。複数のキャップチップのうち、走査方向に隣接する一対のキャップチップの距離が変更可能になっていれば、どのキャップチップがノズルキャップ21に固定されていてもよいし、どのキャップチップが走査方向に移動可能になっていてもよい。
【0091】
また、上述の実施の形態では、キャップチップ41〜43が、走査方向に間隔をあけて配置され、キャップチップ41、43が走査方向に移動可能となっていたが、キャップチップの配列方向や移動方向はこれには限られない。例えば、キャップチップ41〜43が、搬送方向に間隔をあけて配置されており、キャップチップ41、43が搬送方向に移動可能となっているなど、キャップチップが走査方向とは別の方向に配列され、少なくともその一部が、当該方向に移動可能となっていてもよい。
【0092】
また、以上では、ノズルからインクを吐出することによって印刷を行うインクジェットプリンタに本発明を適用した例について説明したがこれには限られない。インク以外の液体を吐出する、インクジェットプリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。