(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明を想到するまでに検討した事項について説明する。
図14は、本発明を想到するまでの関連する技術の多層配線基板200の図である。多層配線基板200は、配線層110〜113と、絶縁層120〜123とを備える多層構造の基板である。半導体素子140と中継基板(インターポーザ)141とを多層配線基板200に接続する場合にリフロー炉などで加熱する。そして、
図15に示すように、中継基板141が加熱を受けて反りなどの変形が生ずる。そうすると、
図15に示すように半導体素子140と中継基板141との接続において、接続部135が不良となる場合がある。
【0014】
また、この方法によると、中継基板と配線層110とのはんだ接続部136は、半田接続するため半導体素子140を高周波化すると該接続点136のうちの信号伝送経路の影響により、半導体素子140に流れる信号の波形が歪む場合がある。そのため、信号が流れる部分の接続はなるべく半田接続を減らすことが望ましい。一方、電源回路には信号回路に比して電流値が高い電流が流れるため、はんだ接続部136の電源経路は確実に半田接続することが望ましい。
【0015】
実施の形態1
図1は、本発明の多層配線基板1000の構成を模式的に示す断面図である。多層配線基板1000は、半導体素子40と接続する中継基板41と、第1の配線層20と、第2の配線層23と、絶縁層10aと、素子用ビア33と、配線用ビア32と、を備える。
【0016】
半導体素子40は、接続部35が接続端子を多数備える集積回路である。接続部35は、接続端子を半導体素子40の端子数分、複数個備える。接続部35は、例えば半導体素子40の裏面に接続端子を多数配置したBGA(Ball grid array)構造を採用することができる。BGA構造の電子部品は、樹脂製の平面形状を有する本体の裏面の接続端子に小さいボール状の電極を多数配列した形状を備える。BGA構造はこれらのボール状の電極を、半田の表面張力で接続端子上に半球状に形成している。このBGA構造の電子部品を用いると、リフロー炉等で加熱してこれらの多数の電極の半田を溶かし、基板上に形成した回路に一度にはんだ付けができる。
【0017】
中継基板41は、端子ピッチが異なる半導体素子チップとメイン基板の間を中継する基板である。中継基板41は、一面側に半導体素子40の接続部35のピッチ間隔に適合し微細化した素子接続部41aを備える。また、中継基板41は、他面側に基板側の配線のピッチ間隔に適合した基板接続部41bを備える。基板接続部41bは、電源供給回路に接続する電源接続部と信号伝送回路に接続する信号接続部とを備える。電源接続部は電源供給のための接続端子である。信号接続部は信号伝送のための接続端子である。
【0018】
そして、中継基板41が半導体素子40と基板との間に介在することで高集積化した半導体素子40を基板に実装することができる。また、中継基板41の基板接続部41bが備える信号接続部は、絶縁層10aの外部から信号接続部まで形成した配線用ビア32と接触している。そのため、信号接続部は、配線用ビア32を介して外部と電気的に接続可能である。
【0019】
第1の配線層20は、半導体素子40の接続部35を接続する回路パターンを備える。そして、第1の配線層20と素子用ビア33とは接触している。そして、素子用ビア33と中継基板41の素子接続部41aとは、接触している。そのため、第1の配線層20と中継基板41の素子接続部41aとは、素子用ビア33を介して電気的に接続している。第2の配線層23は、電源供給のための回路パターンを備える。そして、第2の配線層23は、中継基板41の基板接続部41bが備える電源接続部と電気的に半田接続で接続する。絶縁層10aは、中継基板41を内蔵し、配線層20と配線層23との間に形成された絶縁体の層である。
【0020】
即ち、多層配線基板1000は、中継基板41を絶縁層10aの内部に封入し、該絶縁層10aを第1の配線層20と第2の配線層23とで挟み、中継基板41を多層配線基板1000の内部に備える構造を有する。
【0021】
素子用ビア33、配線用ビア32は、例えば、レーザビアを用いることができる。素子用ビア33は、第1の配線層20から絶縁層10aを通り素子接続部41aまでレーザで孔を形成し、該孔の内壁を導体でめっき処理をして形成する。素子用ビア33は、第1の配線層20と接触している。そして、素子用ビア33は、素子接続部41aと接触している。そのため、半導体素子40が接続部35を介して第1の配線層20と電気的に接続し、素子用ビア33を介して中継基板41の素子接続部41aと電気的に接続することができる。
【0022】
配線用ビア32は、絶縁層10aの外部から絶縁層10aを通り信号接続部までレーザで孔を形成し、素子用ビア33と同様にしてビアを形成する。配線用ビア32は、信号接続部と接触している。そのため、配線用ビア32は、信号接続部と電気的に接続している。そして、配線用ビア32は、信号接続部と外部とを電気的に接続することを可能としている。この様にして、配線用ビア32は、中継基板41と半導体素子40との電気的な接続をする。配線用ビア32は、主に外部と中継基板41とを接続し、外部との間で例えば電気信号を伝送する。
【0023】
はんだ接続部34は、中継基板41と配線層23とを半田接続した接続部である。はんだ接続部34は、中継基板41の基板接続部41bが備える電源接続部と配線層23とを電気的に接続する。即ち、半田接続部34は、電気信号に比して電流値が高い回路の接続部を接続する。
【0024】
このような構成により多層配線基板1000は、中継基板41と半導体素子40とは、第1の配線層20及び素子用ビア33とを介して電気的に接続する構造を備える。そして、中継基板41は、電源接続部とはんだ接続部34とを介して第2の配線層23と電気的に接続する。また、中継基板41は、信号接続部と配線用ビア32とを介して外部と電気的に接続する。即ち、半導体素子40は、接続部35と第1の配線層20と素子用ビア33と中継基板41とはんだ接続部34とを介して第2の配線層と電気的に接続する。また、半導体素子40は、接続部35と第1の配線層20と素子用ビア33と中継基板41と配線用ビア32とを介して外部と電気的に接続する。
【0025】
製造方法の説明
図2〜6は、本発明の実施の形態1にかかる多層配線基板1000の製造方法を示している。
図2〜6は、それぞれ
図1に示した多層配線基板100の製造過程を模式的に断面図で示す工程図である。
【0026】
工程1:
図2に示すように、中継基板41の電源接続部と接続する第2の配線層23を形成する。第2の配線層23は、図示していないが絶縁体をベースにして該絶縁体の表面に金属箔等の導体で形成する。次に、第2の配線層23に回路パターンを形成する。第2の配線層23は、配線用ビア32のための開口部23aがある。絶縁体は例えば、板状のエポキシ系樹脂を用いることができる。そして、該絶縁体に金属箔を蒸着、プリント等を用いて生成する。次に、該金属箔に例えば、フォトリソグラフィ、エッチング処理等で回路パターンを生成する。
【0027】
工程2:次に、
図3に示すように第2の配線層23の回路パターンと中継基板41の他面側の基板接続部41bが備える電源接続部とをはんだ接続部34で半田接続し、中継基板41を実装する。この様にしてはんだ接続部34は、中継基板41と第2の配線層23とを電気的に接続する。半田接続は、電源供給に必要な部分に用いることができる。
【0028】
工程3:次に、
図4に示すように、中継基板41を実装した第2の配線層23に絶縁層10aを形成する。該絶縁層10aは、中継基板41を多層配線基板1000の内部に実装するよう隙間が無く中継基板41の厚さより厚く材料を充填して形成する。また、絶縁層10aは、はんだ接続部34を包囲するよう材料を充填し隙間が無いよう形成する。絶縁層10aの材料は、例えば、ビルドアップ樹脂のエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。この様にして絶縁層10aを設置する。絶縁層10aは、中継基板41と絶縁層13との間の空隙を埋め、中継基板41を隙間なく設置するよう形成する。
【0029】
工程4:次に、
図5に示すように、絶縁層10aの上部に第1の配線層20を形成する。また、第1の配線層20に回路パターンを工程1と同様にして生成する。
【0030】
工程5:次に、
図6に示すように、これまで作成した回路基板に素子用ビア33、配線用ビア32を形成するためにレーザで孔を形成する。素子用ビア33は、まず、第1の配線層20から絶縁層10aを通り、中継基板41の一面側に形成された素子接続部41aまで到達するようレーザで孔を形成する。そして、該孔の内壁に導体のめっき処理をしてビアを形成する。素子用ビア33は、このめっき処理により配線層20と素子接続部41aとを電気的に接続する。素子用ビア33は、少なくとも素子接続部41aの端子の数の分、複数個生成する。
【0031】
次に、配線用ビア32を形成する。配線用ビア32は、まず、絶縁層10aの外部から絶縁層10aを通り、中継基板41の他面側に形成された基板接続部41bまで到達するようレーザで孔を形成する。該孔は、基板接続部41bが備える信号接続部に接続するよう形成する。そして、該孔の内壁に導体のめっき処理をしてビアを形成する。このめっき処理により信号接続部と外部とを電気的に接続する。配線用ビア32は、少なくとも信号接続部の端子の数の分、複数個生成する。
【0032】
さらに、工程5の後に、BGAにより半導体素子40を実装する。例えば、リフロー炉で加熱してBGAと第1の配線層20とを接続して半導体素子40を実装する。
【0033】
上記工程は説明上の1例であり、製造工程の都合によっては、各工程又は各工程の構成要素が前後してもよい。例えば、配線用ビア32を形成してから素子用ビア33を形成してもよい。以上の工程により本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板100を得る。
【0034】
効果の説明
本発明の実施の形態1にかかる多層配線基板1000は、基板内部に中継基板41を埋め込む構成となっている。そのため、半導体素子40を加熱して接続部35を接続する場合に、中継基板41が直接熱の影響を受けにくい。そして、中継基板41が反るなどの変形がしにくくなっている。中継基板を基板の中に組み込むことで中継基板の反りの影響を受けずLSIの多ピン化対応を可能とする。その結果、多層配線基板100は、多数の接続端子を備える半導体素子40の実装時に接続不良となる確率を低減し、接続部35の接続の信頼性を向上することができる。
【0035】
また、本発明の実施の形態1にかかる多層配線基板1000は、中継基板41と外部との接続に信号の伝送については配線用ビア32と素子用ビア33とを用いている。また、多層配線基板1000は、中継基板41と外部との接続に電源の供給についてははんだ接続部34を用いている。さらに、中継基板41と外部とをビアで電気的に接続し、外部から中継基板41に電気的に接続することができる。このような構成により多層配線基板1000は、配線用ビア32と素子用ビア33とを用いることで回路を流れる信号の劣化を低減し、高速な信号伝送に対応可能となる。一方、多層配線基板1000は、電源供給などの中継基板の必要な部分は半田接続することで、電圧降下を抑制することができる。
【0036】
実施の形態2
図7は、本発明の実施の形態2に係る多層配線基板100の構成を詳細に示す断面図である。
図7に示すように、多層配線基板100は、絶縁層10〜15と、配線層20〜26と、ビア30〜33と、はんだ接続部34と、接続部35と、集積回路(半導体素子)40と、インターポーザ(中継基板)41とを備える。実施の形態2は、実施の形態1に比べて絶縁層11〜15、配線層21、22、24〜26が追加されている。即ち、絶縁層と配線層の数が増えている。そして、配線層20〜26と絶縁層10〜15が交互に配置されている。
【0037】
半導体素子40は、接続部を多数備える集積回路である。接続部35は、半導体素子40の端子数分、複数個ある。接続部35は、例えば半導体素子40の裏面に多数の接続部を多数配置したBGA(Ball grid array)構造を採用することができる。
【0038】
中継基板41は、端子ピッチが異なる半導体素子チップとメイン基板の間を中継する基板である。中継基板41は、一面側に半導体素子40の接続部35のピッチ間隔に適合し微細化した素子接続部41aと、他面側に基板側の配線のピッチ間隔に適合した基板接続部41bとを備える。基板接続部41bは、電源供給回路に接続する電源接続部と信号伝送回路に接続する信号接続部とを備える。電源接続部は電源供給のための接続端子である。信号接続部は信号伝送のための接続端子である。そして、中継基板41が半導体素子40と基板との間に介在することで高集積化した半導体素子を基板に実装することができる。
【0039】
絶縁層10〜15は、絶縁体できた層である。絶縁層10〜15の材料は、例えば、ビルドアップ樹脂のエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。絶縁層11は、中継基板41に相当する位置部分に開口部を備える。絶縁層11は、該開口部により中継基板41を内蔵するための空間を生成する。
【0040】
絶縁層12は、はんだ接続部34により形成された中継基板41と配線層23との間の空間を隙間ができないよう充填している。絶縁層15は、図示していないが更に多層構造の基板を備えていてもよい。配線層20〜26は、導体、例えば銅等の金属箔でできた回路パターンである。このうち、配線層23は電源回路やグランド回路などの電源経路を備える。配線層23は、後に説明するビアのための開口部がある。
【0041】
配線層の回路パターンの製造方法は、フォトリソグラフィ、エッチング、プリント、蒸着を用いてもよい。配線層23への電源供給は配線層23に電源を直接接続してもよい。配線層24は、信号伝送のための回路パターンを備える。配線層24は、後に説明する配線用ビア32を介して中継基板41の信号接続部と電気的に接続する。
【0042】
はんだ接続部34は、中継基板41と配線層23とを半田接続した接続部である。はんだ接続部34は、中継基板41の基板接続部41bが備える電源接続部と配線層23とを電気的に接続する。即ち、半田接続部34は、電気信号に比して電流値が高い回路の接続部を接続する。
【0043】
ビア30〜33は、各配線層20〜26と外部とを電気的に接続するレーザビアである。ビア30〜33は、絶縁層10〜15や配線層20〜26を積層した後、レーザ等で孔を形成する。そして、該孔の内壁を導体でめっき処理をしてビアを形成する。各ビアが各配線層20〜26に接触することで異なる層間の配線層と配線層とを電気的に接続したり、外部と電気的に接続したりすることを可能としている。ビア30〜33は、主に異なる層間の配線層と配線層とを接続したり、外部との間で電気的に接続したりして、例えば電気信号を伝送する。
【0044】
本実施の形態でビア30は、全ての絶縁層と配線層とを貫通している。ビア30は、各配線層20〜26と接触している。そのため、ビア30は、各配線層20〜26と電気的に接続している。ビア31は、配線層25と配線層26とに接触している。そのため、ビア31は、配線層25と配線層26とを電気的に接続する。ビア31は、絶縁層15に多数の基板の層がある場合はそれらの層に存在する各配線層にそれぞれ接触している。そのため、ビア31は、該各配線層をそれぞれ電気的に接続する。
【0045】
配線用ビア32は、配線層23の開口部を通りかつ絶縁層12、13を通り、中継基板41の基板接続部41bが備える信号接続部と配線層24とに接触している。そのため、配線用ビア32は、信号接続部と配線層24とを電気的に接続する。素子用ビア33は、中継基板41の素子接続部41aと配線層20とに接触している。そのため、素子用ビア33は、中継基板41の素子接続部41aと配線層20とを電気的に接続する。素子用ビア33は、少なくとも半導体素子40の接続部35の端子数分、複数個ある。
【0046】
その他図示していないが、絶縁層15に多数の基板の層がある場合はそれらの層に存在する各配線層まで電気的に接続したビアがそれぞれ存在する。各配線層は、ビアと電気的に接続したくない場合は、回路の設計時にビアに電気的に接続しないよう回路パターンを生成する。このようにビアを形成することで、多層構造を備える多層配線基板100の任意に選択した各配線層20〜26に、外部に通じる信号経路を生成することができる。
【0047】
上述したように、本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板100は、
図7に示すような多層構造を備える。多層配線基板100は、基板内部に中継基板41を埋め込む構成となっている。多層配線基板100は、中継基板の外側との基板の電気的接続については、電源やグランドについては半田接続により接続し、信号についてはビアにより接続をおこなっている構造となる。
【0048】
製造方法の説明
図8〜13は、本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板100の製造方法を示している。
図8〜13は、それぞれ
図7に示した多層配線基板100の製造過程を模式的に断面図で示す工程図である。
【0049】
工程1:
図8に示すように、中継基板を実装するためのベースとなるベース基板を作成する。ベース基板は、配線層23と、絶縁層13と、配線層24とを備える。配線層23は、ビアのための開口部23aがある。ベース基板は例えば、板状のエポキシ系樹脂でできた絶縁層13に配線層23、24となる金属箔を生成する。そして、該金属箔に例えば、フォトリソグラフィ等で回路パターンを生成する。
【0050】
工程2:次に、
図9に示すようにベース基板上の配線層23と中継基板41の他面側にある基板接続部41bが備える電源接続部とを半田付けを用いて接続し、中継基板41を実装する。この様にしてはんだ接続部34は、中継基板41と配線層23とを電気的に接続する。この半田接続は、電源供給に必要な部分に用いることができる。
【0051】
工程3:次に、
図10に示すように、中継基板41を実装したベース基板に他の層を組み上げ積層する。ベース基板に積層する中間層をまず生成する。中間層は、絶縁層11と、配線層21と、配線層22とを備える。該中間層は、中継基板41を多層配線基板100の内部に実装するために、絶縁層11と、配線層21と、配線層22とに中継基板41が収まる様開口部が設けられている。中間層は絶縁層11に配線層21と22とを工程1と同様にして生成する。また、配線層21と配線層22とに回路パターンを工程1と同様にして生成する。
【0052】
次に、中間層を設置するため中間層を配線層23の上部に設置する。この設置のためにスペーサー等を用いてもよい。該スペーサーは絶縁体を用いてもよい。該絶縁体は絶縁層と同じ材料を用いてもよい。そして、配線層23と配線層22との間に絶縁層12を、材料を充填して形成する。絶縁層12はアンダーフィル樹脂を用いてもよい。絶縁層12は、はんだ接続部34を包囲するよう充填するよう形成する。また、絶縁層12は開口部23aを隙間がなく充填するよう形成する。また、絶縁層12は、中間層の開口部を隙間がなく充填するよう形成する。
【0053】
この様にして絶縁層12の上部に中間層を設置する。更に配線層20を形成するために、絶縁層10を形成する。絶縁層10はアンダーフィル樹脂を充填する。アンダーフィル樹脂はエポキシ樹脂を用いても良い。絶縁層10のアンダーフィル樹脂の充填により、絶縁層12と絶縁層10とが一体となる。また、アンダーフィル樹脂は上記の中間層の開口部を埋め、また中継基板41と絶縁層13との間の空隙を埋め、中継基板41を隙間なく設置するよう充填する。そして、絶縁層10の上部に配線層20を工程1と同様にして形成する。また、配線層20に工程1と同様にして回路パターンを生成する。
【0054】
工程4:次に、
図11に示すように、工程3で作成した回路基板に素子用ビア33を形成するためにレーザで孔を形成する。該孔は配線層20から絶縁層10を通り、中継基板40の素子接続部41aまで到達する。そして、素子用ビア33は、孔の内壁に導体のめっき処理をして形成する。素子用ビア33は、配線層20と素子接続部41aとに接触している。そのため、素子用ビア33は、配線層20と素子接続部41aとを電気的に接続する。素子用ビア33は、少なくとも素子接続部41aの端子の数の分、複数個生成する。
【0055】
次に、配線用ビア32を形成する。配線用ビア32を形成するためにレーザで孔を形成する。該孔は配線層24から絶縁層13、12を通り、中継基板40の基板接続部41bまで到達する。該孔は基板接続部41bが備える信号接続部に接続するよう形成する。そして、配線用ビア32は、孔の内壁に導体のめっき処理をして形成する。配線用ビア32は、配線層24と信号接続部とに接触している。そのため、配線用ビア32は、配線層24と信号接続部とを電気的に接続する。配線用ビア32は、少なくとも信号接続部の端子の数の分、複数個生成する。
【0056】
工程5:次に、
図12に示すように、工程4で作成した回路基板に他の基板の層を実装する。他の基板の層は、例えば、配線層24の下にアンダーフィル樹脂で絶縁層14を形成する。次に、絶縁層14の下に配線層25を形成する。また、配線層25に工程1と同様にして回路パターンを生成する。同様にして絶縁層15、回路パターンを備える配線層26を形成し、多層構造の多層配線基板を得る。次に、配線層25と配線層26とを電気的に接続するビア31を工程4と同様の手法を用いて生成する。この様にして他の基板の各配線層は、外部と電気的に接続する。
【0057】
工程6:次に、
図13に示すように、工程5で作成した回路基板に全層を電気的に接続するためのスルーホールとなるビア30を形成する。ビア30の形成方法は工程4と同様である。この様にして多層配線基板100の各配線層に、外部と電気的に接続するビア30を形成する。各配線層のいずれかでビア30と接続させたくない配線層は、回路パターンの設計でビア30を回避してもよい。
【0058】
さらに、工程6の後に、BGAにより半導体素子40を実装する。例えば、リフロー炉で加熱してBGAと第1の配線層20とを接続して半導体素子40を実装する。
【0059】
上記各工程は説明上の1例であり、製造工程の都合によっては、各工程又は各工程の構成要素が前後してもよい。例えば、配線用ビア32を形成してから素子用ビア33を形成してもよい。
以上の工程により本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板100を得る。
【0060】
効果の説明
本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板100は、基板内部に中継基板41を埋め込む構成となっている。そのため、半導体素子40等の半導体素子を加熱して接続部35を接続する場合に、中継基板41が直接熱の影響を受けにくい。そして、中継基板41が反るなどの変形がしにくくなっている。中継基板を基板の中に組み込むことで中継基板の反りの影響を受けずLSI多ピン化対応を可能とする。その結果、多層配線基板100は、多数の接続端子を備える半導体素子40の実装時に接続不良となる確率を低減し、接続部35の接続の信頼性を向上することができる。
【0061】
また、本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板100は、中継基板41と外部との接続に信号の伝送についてはビア30〜33を用いている。また、多層配線基板100は、中継基板41と外部との接続に電源の供給についてははんだ接続部34を用いている。さらに、各層の配線層と外部とをレーザビアで電気的に接続し、外部から各配線層に電気的に接続することができる。
【0062】
このような構成により多層配線基板100は、ビア32、33を用いることで回路を流れる信号の劣化を低減し、高速な信号伝送に対応可能となる。一方、多層配線基板100は、電源供給などの中継基板の必要な部分は半田接続することで、電圧降下を低減することができる。また、多層配線基板100は、各配線層と外部との電気的な接続にレーザビアを用いることにより、各層を積層した後でも電気的な伝送路を構築可能となる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。さらに、上述した実施の形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、当業者が用いることができる種々の変更が可能であることは勿論である。