(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のビット線と、前記第1のビット線と対をなす第2のビット線と、前記第1のビット線及び前記第2のビット線に接続されたメモリセルと、前記第1のビット線にドレイン電極が接続され、前記第2のビット線にゲート電極が接続された第1のN型トランジスタと、前記第1のN型トランジスタのソース電極にドレイン電極が接続され、高電位側電源ノードにゲート電極が接続された第2のN型トランジスタとを有する半導体記憶装置の読み出し方法であって、
前記メモリセルの前記第1のビット線側のストレージノードに記憶された情報を前記第1のビット線に読み出す際に、読み出し用のカラム選択信号に応じて、前記第2のN型トランジスタのソース電極に低電位側電源電圧を印加する
ことを特徴とする半導体記憶装置の読み出し方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態による半導体記憶装置及びその読み出し方法について
図1乃至
図11を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態による半導体記憶装置の構造を示す回路図である。
図2は、本実施形態による半導体記憶装置のメモリセルの構造を示す回路図である。
図3は、本実施形態による半導体記憶装置のダミーメモリセルの構造を示す回路図である。
図4は、本実施形態による半導体記憶装置の駆動方法を示す回路図である。
図5及び
図6は、本実施形態による半導体記憶装置の読み出し方法を示すタイミングチャートである。
図7は、本実施形態による半導体記憶装置の読み出し方法の効果を示すタイミングチャートである。
図8は、本実施形態による半導体記憶装置の読み出し動作を検証するためのシミュレーションに用いた回路モデルを示す回路図である。
図9及び
図10は、半導体記憶装置の読み出し動作のシミュレーション結果を示すタイミングチャートである。
図11は、半導体記憶装置の読み出し動作のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0012】
はじめに、本実施形態による半導体記憶装置の構造について
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0013】
本実施形態による半導体記憶装置は、
図1に示すように、列方向(図面において縦方向)に隣接して配置されたメモリセルアレイブロック10A,10Bを有している。メモリセルアレイブロック10A,10B内には、列方向及び行方向(図面において横方向)にマトリクス状に配置された複数のメモリセルMCが設けられている。マトリクス状に配置されたメモリセルMCの外周部には、ダミーメモリセルDCが設けられている。
【0014】
メモリセルアレイブロック10A,10Bには、それぞれ、行方向に延在する複数のワード線WLと、列方向に延在する複数のビット線BLとが設けられている。メモリセルアレイブロック10Aには、列方向に隣接して配置された例えばm本のワード線WL
A0〜WL
Amと、行方向に隣接して配置された例えばn組のビット線対BL
A0,/BL
A0〜BL
An,/BL
Anとが設けられている。また、メモリセルアレイブロック10Bには、列方向に隣接して配置された例えばm本のワード線WL
B0〜WL
Bmと、行方向に隣接して配置された例えばn組のビット線対BL
B0,/BL
B0〜BL
Bn,/BL
Bnとが設けられている。
【0015】
メモリセルMCは、ワード線WLとビット線対BL,/BLとの各交差部に、それぞれ設けられている。また、ダミーメモリセルDCは、列方向に並ぶメモリセルMCに隣接して、ビット線対BL,/BL間の領域に、それぞれ設けられている。
【0016】
ワード線WL
A0〜WL
Am,WL
B0〜WL
Bmの一端部には、行選択回路12が接続されている。各ビット線対BL
A0,/BL
A0〜BL
An,/BL
Anと、各ビット線対BL
B0,/BL
B0〜BL
Bn,/BL
Bnとの間には、書き込み/読み出し回路14
0〜14
nが、それぞれ接続されている。書き込み/読み出し回路14
0〜14
nには、書き込み/読み出し制御回路16が接続されている。
【0017】
メモリセルMCは、例えば
図2に示すようなフルCMOS SRAMセルである。メモリセルMCは、高電位側電源ノードVHとストレージノードであるノードmcとの間に接続されたP型トランジスタPQ1と、ノードmcと低電位側電源ノードVLとの間に接続されたN型トランジスタNQ1とを有している。また、高電位側電源ノードVHとストレージノードであるノードmcxとの間に接続されたP型トランジスタPQ2と、ノードmcxと低電位側電源ノードVLとの間に接続されたN型トランジスタNQ2とを有している。P型トランジスタPQ1のゲート電極及びN型トランジスタNQ1のゲート電極は、ノードmcxに接続されている。P型トランジスタPQ2のゲート電極及びN型トランジスタNQ2のゲート電極は、ノードmcに接続されている。ノードmcは、N型トランジスタNQ3を介してビット線BLに接続されている。ノードmcxは、N型トランジスタNQ4を介してビット線/BLに接続されている。N型トランジスタNQ3,NQ4のゲート電極は、ワード線WLに接続されている。
【0018】
N型トランジスタNQ1及びP型トランジスタPQ1、N型トランジスタNQ2及びP型トランジスタPQ2は、それぞれがCMOSインバータを構成する。これらCMOSインバータの入力及び出力が交差接続されてフリップフロップを構成し、ノードmc、mcxには互いに相補なデータが保持される。
【0019】
ダミーメモリセルDCは、メモリセルMCの形状均一性を高めるためにメモリセルアレイの周囲に配置されるものであり、基本的には、
図2に示すメモリセルMCと同様の6つのトランジスタにより構成される。ただし、本実施形態による半導体記憶装置では、ダミーメモリセルDCを読み出しの際の補助素子として用いるために、一部の接続を変更している。
【0020】
すなわち、
図3に示すように、P型トランジスタPQ1
D及びN型トランジスタNQ1
Dのゲート電極は、ノードdmcxに接続されているだけではなく、高電位側電源ノードVHにも接続されている。また、ビット線/BLは、N型トランジスタNQ4
Dのドレイン電極には接続されておらず、ダミーワード線DWLに接続されている。また、N型トランジスタNQ1
D,NQ2
Dの接続ノードであるノードn1は、低電位側電源ノードVLではなく、書き込み/読み出し回路14に接続されている。N型トランジスタNQ1
D,NQ2
Dのソース端子には、読み出し動作の際、書き込み/読み出し制御回路16から所定の制御信号が入力される。なお、ダミーワード線DWLは、メモリセルMCのワード線WLに対応する配線であるため本願明細書では便宜上そのように呼ぶが、ダミーメモリセルDCのそれぞれにおいて独立しており、行方向に並ぶダミーメモリセルDCを共通接続するものではない。
【0021】
次に、本実施形態による半導体記憶装置の駆動方法について
図1乃至
図7を用いて説明する。
【0022】
ここでは、
図1の半導体記憶装置において、ワード線WL
A0及びビット線対BL
A0,/BL
A0に接続されたメモリセルMCに対して書き込み及び読み出しを行う場合を例にして説明するが、他のメモリセルMCを読み出す場合も同様である。
【0023】
図4は、書き込み/読み出し対象のメモリセルMCとこれに接続されるダミーメモリセルDC及び書き込み/読み出し回路14Aの主要部分の一例を示す回路図である。
【0024】
ビット線BL
A0と高電位側電源ノードVHとの間には、P型トランジスタPQ3が接続されている。また、ビット線/BL
A0と高電位側電源ノードVHとの間には、P型トランジスタPQ4が接続されている。ビット線BL
A0とビット線/BL
A0との間には、P型トランジスタPQ4が接続されている。P型トランジスタPQ3,PQ4,PQ5のゲート電極は、NANDゲートNAG1の出力端子に接続されている。
【0025】
ビット線BL
A0には、N型トランジスタNQ5が接続されている。また、ビット線/BL
A0には、N型トランジスタNQ6が接続されている。N型トランジスタNQ5,NQ6のゲート電極には、NOTゲートNG3の出力端子が接続されている。
【0026】
NANDゲートNAG1の入力端子には、NOTゲートNG1,NG2の出力端子が接続されている。NOTゲートNG1の出力端子は、また、遅延回路18を介して、ダミーメモリセルDCのノードn1に接続されている。NOTゲートNG2の出力端子は、また、NOTゲートNG3の入力端子に接続されている。
【0027】
ビット線BL
A0及びビット線BL
B0は、NANDゲートNAG2の入力端子に接続されている。NANDゲートNAG2の出力端子は、グローバルビット線GBLと低電位側電源ノードとの間に接続されたN型トランジスタNQ7のゲート電極に接続されている。グローバルビット線GBLと高電位側電源ノードVHとの間には、P型トランジスタPQ6が接続されている。
【0028】
なお、上述の書き込み/読み出し回路14の回路構成は、本実施形態に記載のものに限定されるものではない。
【0029】
まず、メモリセルMCへのデータの書き込み方法について説明する。
【0030】
メモリセルMCへの書き込みの際には、行選択回路12により、書き込み対象のメモリセルMCに接続されたワード線WL
A0をハイレベルとし、他のワード線WLをローレベルとする。これにより、メモリセルMCの選択トランジスタNQ3,NQ4がオンとなり、書き込み対象のメモリセルMCのノードmcはビット線BL
A0に接続され、ノードmcxはビット線/BL
A0に接続される。
【0031】
また、書き込み/読み出し制御回路16から書き込み/読み出し回路14
Aに、ハイレベルのカラム選択信号colwが出力される。これにより、NOTゲートNG2,NG3を介してN型トランジスタNQ5,NQ6のゲート電極にはハイレベルが印加され、NOTゲートNG2,NG3がオン状態となる。
【0032】
この状態で、N型トランジスタNQ5,NQ6のソース端子に相補的な書き込みデータwd、wdxをそれぞれ出力することにより、メモセルMCのノードmc,mcxに、所望の相補的なデータを書き込むことができる。
【0033】
次に、メモリセルMCからのデータの読み出し方法について説明する。
【0034】
待機状態(時間T0)において、ワード線WL
A0はローレベルであり、メモリセルMCの選択トランジスタNQ3,NQ4は、オフ状態になっている。
【0035】
また、読み出し用のカラム選択信号colr及び書き込み用のカラム選択信号colwはローレベルであり、NANDゲートNAG1の出力信号の出力信号はローレベルになっている。これにより、P型トランジスタPQ3,PQ4,PQ5はオン状態であり、ビット線BL
A0,/BL
A0は、ハイレベルとなっている。同様に、ビット線BL
B0もハイレベルとなっており、NANDゲートNAG2の出力信号はローレベルになっている。
【0036】
また、NOTゲートNG3の出力信号はローレベルであり、N型トランジスタNQ5,NQ6はオフ状態になっている。
【0037】
また、ダミーメモリセルDCのノードn1には、遅延回路18を介してNOTゲートNG1の出力であるハイレベルの信号が印加されている。これにより、ダミーメモリセルDCのノードdmc、dmcxは、ハイレベルになっている。
【0038】
読み出し動作の開始時(時間T1)には、選択ワード線WL
A0に、ハイレベルの電圧が印加される。これにより、メモリセルMCの選択トランジスタNQ3,NQ4がオン状態になる。
【0039】
同時に、読み出し用のカラム選択信号colrを、ローレベルからハイレベルに立ち上げる。書き込み用のカラム選択信号colwはローレベルのままである。これにより、NANDゲートNAG1の出力信号がローレベルからハイレベルに立ち上がり、P型トランジスタPQ3,PQ4,PQ5がオフ状態となり、ビット線BL,/BLが高電位側電源ノードから切り離される。
【0040】
メモリセルMCのノードmcがローレベルでノードmcxがハイレベルの場合、ビット線BL
A0はN型トランジスタNQ3,NQ1を介して低電位側電源ノードVLに接続される。これにより、ビット線BL
A0の電荷が低電位側電源ノードVL方向に徐々に引き抜かれ、最終的にビット線BL
A0はローレベルとなる。
【0041】
ビット線BL
A0がローレベルになると、NANDゲートNAG2の出力信号がハイレベルとなってN型トランジスタNQ7がオン状態となり、グローバルビット線GBLがN型トランジスタNQ7を介して低電位側電源ノードVLに接続される。これにより、グローバルビット線GBLがローレベルとなる。
【0042】
一方、メモリセルMCのノードmcがハイレベルでノードmcxがローレベルの場合、ビット線BL
A0からの電荷移動は起こらず、ビット線BL
A0はハイレベルのまま維持される。ビット線BL
A0がハイレベルの場合、NANDゲートNAG2の出力信号はローレベルのままであり、グローバルビット線GBLはハイレベルのまま維持される。
【0043】
したがって、グローバルビット線GBLの電圧レベルを検出すことにより、メモリセルMCに記憶された情報を読み出すことができる。
【0044】
以上の読み出し方法は、典型的なシングルエンド読み出し方法と同様であるが、本実施形態による半導体記憶装置の読み出し方法では、ダミーメモリセルDCを更に利用することで、読み出し速度の高速化とばらつきの低減を可能にしている。
【0045】
すなわち、本実施形態による半導体記憶装置では、ダミーメモリセルDCのノードn1に、NOTゲートNG1の出力信号を遅延回路18を介して入力している(制御信号dcol)。これにより、ダミーメモリセルDCのノードn1の電位(制御信号dcol)は、読み出し用のカラム選択信号colrの立ち上がり時から遅延回路18により規定される所定時間の後(時間T2)に、ハイレベルからローレベルへと立ち下がる。
【0046】
メモリセルMCのノードmcがローレベルでノードmcxがハイレベルの場合(
図5参照)、ビット線/BL
A0はハイレベルのまま維持され、ダミーワード線DWL
A0にはハイレベルが印加される。ダミーワード線DWL
A0がハイレベルになると、ビット線BL
A0はN型トランジスタNQ3
D,NQ1
Dを介してローレベルであるノードn1に接続される。これにより、ビット線BL
A0の電荷は、N型トランジスタNQ3
D,NQ1
Dを介してノードn1方向へも徐々に引き抜かれる。
【0047】
すなわち、ビット線BL
A0の電荷は、時間T2後は、メモリセルMCのN型トランジスタNQ3,NQ1を介して引き抜かれるとともに、ダミーメモリセルのN型トランジスタNQ3
D,NQ1
Dを介しても引き抜かれる。これにより、ビット線BL
A0からの電荷の引き抜き速度を高めることができる。
【0048】
一方、メモリセルMCのノードmcがハイレベルでノードmcxがローレベルの場合(
図6参照)、制御信号dcolがローレベルに立ち下がることによって、N型トランジスタNQ1
Dがオン状態となり、ビット線BL
A0とノードn1との間に電流経路が形成される。しかしながら、制御信号dcolに、カラム選択信号colrに対して遅延時間(第1の時間)を持たせることにより、N型トランジスタNQ1
Dは、ビット線/BL
A0がその時間分(時間T1〜T2の間)だけ放電した後にオン状態となる。N型トランジスタNQ1
Dがオン状態になったとき(時間T2)、ビット線/BL
A0の電圧レベル、すなわちダミーワード線DWL
A0の電圧レベルもある程度低下しており、N型トランジスタNQ3
Dのオン電流も小さくなっている。これにより、N型トランジスタNQ3
D,NQ1
Dを介したビット線BL
A0からの電荷の引き抜きが抑制され、ビット線BL
A0をほぼハイレベルのまま維持することができる(時間T2〜T3の間)。すなわち、ダミーメモリセルDCを用いたリードアシストによる悪影響はない。
【0049】
遅延回路18に設定する遅延時間は、メモリセルMCのノードmcがハイレベルでノードmcxがローレベルの場合にビット線BL
A0からの電荷の引き抜きが効果的に抑制されるように、セルを構成するトランジスタの特性等に応じて適宜設定することが望ましい。遅延回路18に設定する遅延時間としては、特に限定されるものではないが、ビット線/BL
A0の電圧がVDDから1/2VDDに低下するまでに要する時間を例示することができる。
【0050】
この後、ワード線WL
A0及び読み出し用のカラム選択信号colrをローレベルに戻し、読み出し動作を完了する(時間T3)。カラム選択信号colrの立ち下がり時から遅延回路18により規定される所定時間の後、制御信号dcolはローレベルからハイレベルに戻り、待機状態となる(時間T4)。
【0051】
典型的なシングルエンド読み出し方法のように、読み出し動作の際に、ダミーメモリセルDCを用いずに、メモリセルMCのみでビット線BL
A0の電荷を引き抜く場合、ビット線BL
A0の電圧変化は、例えば
図7(a)に示すようになる。この場合、ビット線BL
Aからの電荷の引き抜き速度は遅く、ビット線BL
A0の電位がローレベルに達するまでの時間は長い。また、ビット線BL
A0の電位がローレベルに達するまでの時間は、トランジスタ特性のばらつきに大きく影響され、ばらつきも大きくなる。なお、図中に示した点線は、トランジスタ特性のばらつき範囲を想定したものである。
【0052】
これに対し、メモリセルMC及びダミーメモリセルDCによりビット線BL
A0の電荷を引き抜く本実施形態による半導体記憶装置の読み出し方法では、ビット線BL
A0の電圧変化は、例えば
図7(b)に示すようになる。この場合、ビット線BL
Aからの電荷の引き抜き速度が速くなり、ビット線BL
A0の電位がローレベルに達するまでの時間を短くすることができる。
【0053】
また、メモリセルMC及びダミーメモリセルDCを用いることでばらつきの影響が平均化されるため、ビット線BL
A0の電位がローレベルに達するまでの時間のばらつきも、大幅に低減することができる。これにより、読み出し保証範囲を高速側に絞りパルス幅を短くすることが可能となり、サイクルタイムを短くすることができる。
【0054】
また、ダミーメモリセルDCは、メモリセルMCの形状均一性を高めるためにメモリセルアレイの周囲に配置されたものであり、通常は使用されないものである。したがって、ダミーメモリセルDCを用いて読み出し回路を構成しても、周辺回路面積が増加することはない。これにより、新たにアシスト回路を付加して読み出し特性を改善する場合と比較して、回路面積の増加を抑制することができる。
【0055】
次に、本実施形態による半導体記憶装置の読み出し方法の効果についてシミュレーションを行った結果を
図8乃至
図10を用いて説明する。
【0056】
図8は、シミュレーションに用いた回路モデルである。
図8の回路は、
図4に示す回路とは読み出し回路の構成が若干異なるが、基本的な動作は同じである。なお、シミュレーションでは、比較として、ダミーメモリセルDCを用いない場合についても計算を行った。
【0057】
読み出し動作の際、NANDゲートNAG3の出力はローレベルとなり、P型トランジスタPQ8がオン、N型トランジスタNQ8はオフとなる。読み出したビット線BL
A0の電位がローレベルの場合、P型トランジスタPQ7はオンとなり、グローバルビット線GBLはローレベルとなる。一方、読み出したビット線BL
A0の電位がハイレベルの場合、P型トランジスタPQ7はオフとなり、グローバルビット線GBLはハイレベルを維持する。
【0058】
制御信号OENは、待機状態においてハイレベルである。グローバルビット線GBLがハイレベルにプリチャージされた状態において、ノードn2はローレベルである。読み出し動作の際に制御信号OENはローレベルになる。制御信号OENがローレベルになると、ノードn2がローレベルのまま、N型トランジスタNQ9はオフとなる。
【0059】
グローバルビット線GBLに読み出されたビット線BL
A0の電位がハイレベルの場合、P型トランジスタはオフ状態のままであり、ノードn2のレベルは変化せず、出力Aはハイレベルとなる。すなわち、ビット線BL
A0のハイレベルの状態を出力Aに読み出すことができる。
【0060】
一方、グローバルビット線GBLに読み出されたビット線BL
A0の電位がローレベルの場合、P型トランジスタはオン、ノードn2はハイレベルとなり、出力Aはローレベルとなる。すなわち、ビット線BL
A0のローレベルの状態を出力Aに読み出すことができる。
【0061】
図9は、ノードmcがローレベルでありノードmcxがハイレベルの場合(ローデータの読み出し)のシミュレーション結果を示すタイムチャートである。また、
図10は、ノードmcがハイレベルでありノードmcxがローレベルの場合(ハイデータの読み出し)のシミュレーション結果を示すタイムチャートである。
【0062】
ローデータの読み出しの場合、本実施形態の読み出し方法(図中、「emb.」と記載)では、比較例の読み出し方法(図中、「ref.」と記載)と比較して、ビット線BLの電位がハイレベルからローレベルに立ち下がる速度が速くなっている(
図9参照)。この結果、本実施形態の読み出し方法では、比較例の読み出し方法と比較して、出力Aがハイレベルからローレベルに変化するまでの時間を短くできることが判った。すなわち、本実施形態による読み出し方法を用いることにより、読み出し速度を高速化できることを検証できた。
図9に示すシミュレーション結果では、本実施形態の読み出し方法を用いることにより、比較例の読み出し方法と比較して67.8ps程度、読み出し速度を高速化できた(図中、×印間の時間を比較)。
【0063】
また、ハイデータの読み出しの場合、本実施形態の読み出し方法(図中、「emb.」と記載)を用いることによるビット線BLの電位を僅かに抑えることができ、比較例の読み出し方法(図中、「ref.」と記載)と同等の波形を得られている(
図10参照)。この結果、ハイレベルの出力Aを正しく読み出しできることが判った。すなわち、本実施形態の読み出し方法において、ハイデータの読み出しの際に誤動作が生じないことを検証できた。
【0064】
図11は、読み出し時間のモンテカルロシミュレーションを1万回行ったときの読み出し時間の分布を示すグラフである。横軸は比較例の読み出し方法における累積確率50%のときの読み出し時間を1として正規化した読み出し時間(ディレイ値と呼ぶ)を示し、縦軸は累積確率を示す。読み出し時間とは、出力Aの出力までに要する時間である。
【0065】
図11に示すように、累積確率50%において、比較例の読み出し方法におけるディレイ値は1であるのに対し、本実施形態の読み出し方法におけるディレイ値は0.76であった。また、比較例の読み出し方法におけるディレイ値のばらつき範囲は約0.6であるのに対し、本実施形態の読み出し方法におけるディレイ値のばらつき範囲は約0.22であった。この結果、本実施形態の読み出し方法は、比較例の読み出し方法と比較して、ディレイ値を3/4程度まで小さくすることができ、ディレイ値のばらつき範囲を1/3程度に抑制できることが判った。すなわち、本実施形態の読み出し方法において、読み出し速度の高速化と読み出し時間のばらつき低減を実現できることが検証できた。
【0066】
読み出し時間のばらつきを低減できることには、読み出しタイミング設計においてマージンを削減できる効果がある。これにより、各PTV条件において、少ないマージンで動作保証を行うことが可能となる。なお、PTV条件とは、回路の動作スピードに影響を与えるP:プロセス、T:温度、V:電圧の3項目に関し、それらのベスト条件とワースト条件とを定めた動作条件である。
【0067】
このように、本実施形態によれば、SRAMのシングルエンド読み出しにおいて、ビット線の電荷を選択メモリセルのトランジスタとダミーメモリセルのトランジスタとを用いて引き抜くので、読み出し動作を高速且つ安定して行うことができる。
【0068】
[変形実施形態]
以上、半導体記憶装置及びその読み出し方法の実施形態を説明してきたが、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、追加、置換等が可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、読み出しアシスト回路としてダミーメモリセルDCを用いたが、必ずしもダミーメモリセルDCを用いる必要はない。上記実施形態と同様の読み出し動作を実現するという観点からは、少なくとも、メモリセルMCに、N型トランジスタNQ
3D,NQ
1Dに対応する2つのトランジスタを接続すればよい。すなわち、第1のN型トランジスタと第2のN型トランジスタとを直列に接続し、第1のN型トランジスタのゲート電極をビット線/BLに、ドレイン電極をビット線BLに接続し、第2のN型トランジスタのゲート電極を高電位側電源ノードVHに接続する。そして、第2のN型トランジスタのソース電極には、読み出し用のカラム選択信号colrから所定時間遅れた逆相の制御信号dcolを生成する回路を接続すればよい。