(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
反応容器内に出発ロッドとガラス微粒子生成用のバーナーを設置し、前記バーナーに供給配管を介して原料ガスを導入し、前記バーナーが形成する火炎内で原料ガスを熱分解酸化反応させてガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を前記出発ロッドに堆積させてガラス微粒子堆積体を作製する堆積工程を有するガラス微粒子堆積体の製造方法であって、
前記バーナーに供給する前記原料ガスをシロキサンとし、
前記バーナーの中央部に配置された原料ガスポートに沿って長手方向に隣接するように配置されたヒータを備え、
前記バーナーの温度が前記シロキサンの沸点に対して−10℃以上+30℃以下の範囲となるように前記バーナーを加熱するとともに、前記供給配管の温度が前記シロキサンの沸点以上前記沸点+30℃以下、かつ前記バーナーの温度より高い範囲となるように前記供給配管を加熱する、ガラス微粒子堆積体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、
(1)反応容器内に出発ロッドとガラス微粒子生成用のバーナーを設置し、前記バーナーに供給配管を介して原料ガスを導入し、前記バーナーが形成する火炎内で原料ガスを熱分解酸化反応させてガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を前記出発ロッドに堆積させてガラス微粒子堆積体を作製する堆積工程を有するガラス微粒子堆積体の製造方法であって、
前記バーナーに供給する前記原料ガスをシロキサンとし、
前記バーナーの中央部に配置された原料ガスポートに沿って長手方向に隣接するように配置されたヒータを備え、
前記バーナーの温度が前記シロキサンの沸点に対して−10℃以上+30℃以下の範囲となるように前記バーナーを加熱するとともに、前記供給配管の温度が前記シロキサンの沸点以上前記沸点+30℃以下
、かつ前記バーナーの温度より高い範囲となるように前記供給配管を加熱する。
本発明によれば、バーナーおよび供給配管の内部で原料ガスであるシロキサンが液化することを防ぎ、バーナーの目詰まりを防ぐことができる。
【0012】
本願発明の実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、
(2)前記バーナーを金属により構成することが好ましい。
熱伝導性が良く、耐熱性等に優れたバーナーを提供することができるためである。
【0015】
また、本願発明の実施形態に係るガラス微粒子堆積体製造用バーナーは、
(5)シロキサンを原料ガスとして用いてガラス微粒子堆積体を形成するガラス微粒子堆積体製造用バーナーであって、
金属から構成されているとともに、
前記バーナーの中央部に配置された原料ガスポートに沿って長手方向に隣接するように配置された、前記バーナーを加熱するヒータを備えている。
本発明によれば、ヒータによりバーナーを適度に加熱することで、バーナーの内部で原料ガスであるシロキサンが液化することを防ぎ、バーナーの目詰まりを防ぐことができる。
【0018】
[本願発明の実施形態の詳細]
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るガラス微粒子堆積体の製造方法およびガラス微粒子堆積体製造用バーナーの第1の実施形態の例を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に示す製造方法としては、OVD(Outside Vapor Deposition)法を例に説明するが、本発明はOVD法に限定されるものではない。OVD法と同様に原料ガスからガラスを堆積させる方法、例えば、VAD(Vapor Phase Axial Deposition)法やMMD法等に本発明を適用することも可能である。
【0019】
図1は、本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造方法を実施する製造装置1の構成図である。製造装置1は、反応容器2と、昇降回転装置3と、ガス供給装置21と、ガラス微粒子生成用のバーナー22と、各部の動作を制御する制御部5を備えている。
【0020】
反応容器2は、ガラス微粒子堆積体Mが形成される容器であり、容器の側面に取り付けられた排気管12を備えている。
【0021】
昇降回転装置3は、支持棒10および出発ロッド11を介してガラス微粒子堆積体Mを昇降動作、および回転動作させる装置である。昇降回転装置3は、制御部5から送信されてくる制御信号に基づいて支持棒10の動作を制御している。昇降回転装置3は、ガラス微粒子堆積体Mを回転させながら昇降させる。
【0022】
支持棒10は、反応容器2の上壁に形成された貫通穴を挿通して配置されており、反応容器2内に配置される一方の端部(
図1において下端部)には出発ロッド11が取り付けられている。支持棒10は、他方の端部(
図1において上端部)を昇降回転装置3により把持されている。
【0023】
出発ロッド11は、ガラス微粒子が堆積されるロッドであり、支持棒10に取り付けられている。
【0024】
排気管12は、出発ロッド11およびガラス微粒子堆積体Mに付着しなかったガラス微粒子などを反応容器2内のガスとともに反応容器2の外部に排出する管である。
【0025】
バーナー22には、原料23としてシロキサンを気化させてガス供給装置21により供給する。シロキサンとしては、融点が17.5℃であり沸点が175℃であるオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、融点が−38℃であり沸点が210℃であるデカメチルシクロペンタシロキサン(DMCPS)、融点が64℃であり沸点が134℃であるヘキサメチルシクロトリシロキサン、融点が−68℃であり沸点が100℃であるヘキサメチルジシロキサンなどが用いられる。本例においては、シロキサンとしてOMCTSを用いる例を説明する。なお、
図1において、バーナー22に火炎形成用ガスを供給するガス供給装置は省略されている。
ガス供給装置21は、原料23を貯留する原料容器24と、原料23を気化させた原料ガスの供給流量を制御するガス流量制御装置としてのMFC(Mass Flow Controller)25と、原料ガスをバーナー22へ導く供給配管26と、原料容器24とMFC25と供給配管26の一部を所定温度に保つ温調ブース27と、を有している。原料容器24、MFC25、および供給配管26は、ガス供給装置21による温度制御によって所定の温度に調整される。
【0026】
MFC25は、バーナー22から噴射する原料ガスの流量を制御する装置である。原料容器24内で沸点(例えば、OMCTSの標準沸点である175℃)以上の温度となるように加熱されて気化された原料ガスは、MFC25の流量制御によってバーナー22へ供給される。MFC25は、制御部5から送信されてくる制御信号に基づいてバーナー22へ供給する原料ガスの供給量の制御を行なっている。
【0027】
供給配管26は、原料ガスをバーナー22へ導く配管である。供給配管26の温度を高温に保持するために、供給配管26の外周には、例えば発熱体であるテープヒータ28が巻き付けられている。テープヒータ28は、金属発熱体やカーボン製繊維状面発熱体の極細撚線を保護材で覆ったフレキシブルなヒータによって構成される。このテープヒータ28が通電されることで、供給配管26は原料ガスであるシロキサンの沸点以上沸点+30℃以下の範囲となるように加熱されている。これにより、供給配管26内でシロキサンが液化しないように原料ガスの温度が維持されている。なお、供給配管26の温度がシロキサンの沸点+30℃以下の範囲とされているのは、沸点+30℃以上に加熱するとシロキサンが重合反応により粒子化されて供給配管26の目詰まりが発生する可能性があるためである。
【0028】
バーナー22は、供給配管26と連結されており、金属材料から構成されている。金属材料としては、特に耐腐食性に優れたステンレス(SUS)を用いることが好ましい。このバーナー22は、気化された原料ガスを火炎中において熱分解酸化反応させることでガラス微粒子30を生成し、生成されたガラス微粒子30を出発ロッド11に噴きつけて堆積させる。具体的には、バーナー22には、原料ガスとしてOMCTS等のシロキサンガス、火炎形成ガスとしてH
2やO
2等、バーナーシールガスとしてN
2やAr等の不活性ガスが供給される。このバーナー22の酸水素火炎内で、熱分解酸化反応によってガラス微粒子30が生成され、生成されたガラス微粒子30が出発ロッド11に堆積されて、所定外径のガラス微粒子堆積体Mが作製される。
【0029】
制御部5は、昇降回転装置3、ガス供給装置21等の各動作を制御している。制御部5は、昇降回転装置3に対して、ガラス微粒子堆積体Mの昇降速度および回転速度を制御する制御信号を送信している。また、制御部5は、ガス供給装置21のMFC25に対して、バーナー22から出発ロッド11(ガラス微粒子堆積体M)に噴き出す原料ガスの流量を制御する制御信号を送信している。
【0030】
原料ガスや火炎形成ガスを噴出するために、バーナー22として、例えば、焦点型のマルチノズル構造のもの、あるいは多重管バーナー構造のものが用いられる。本例においては、焦点型のマルチノズル構造を例に説明する。
【0031】
図2および
図3は、焦点型のマルチノズル構造を有するバーナー22の一形態を示している。
図2に示すバーナー22は、中央に原料ガスであるシロキサンを噴出する原料ガスポート31を有している。原料ガスポート31の周囲には、助燃性ガスを噴出する助燃性ガスポート32が同心円状に複数配置されている。同心円状に配置された助燃性ガスポート32の周囲には、さらに、可燃性ガスを噴出する可燃性ガスポート33が同心円状に複数配置されている。中心の原料ガスポート31からは、例えば、原料ガスとしてOMCTSガスが噴出される。助燃性ガスポート32からは助燃性ガスである酸素(O
2)が噴出され、可燃性ガスポート33からは可燃性ガスである水素(H
2)等が噴出される。
【0032】
バーナー22では、助燃性ガスおよび可燃性ガスによって発生した酸水素火炎中にOMCTSガスが噴出され、熱分解酸化反応によって酸化珪素(SiO
2)粒子が合成される。
【0033】
図3に示すように、バーナー22の原料ガスポート31は、供給配管26の原料ガスポート用供給配管26aと連結され、原料ガスポート用供給配管26aからOMCTSガスが導入されている。
複数の助燃性ガスポート32は、バーナー22内部においてリング状のリング配管32aにより互いに連通されている。リング配管32aは、供給配管26の助燃性ガスポート用供給配管26bと連結され、助燃性ガスポート用供給配管26bからリング配管32aを介してそれぞれの助燃性ガスポート32にO
2が導入されている。
複数の可燃性ガスポート33は、バーナー22内部においてリング状のリング配管33aにより互いに連通されている。リング配管33aは、供給配管26の可燃性ガスポート用供給配管26cと連結され、可燃性ガスポート用供給配管26cからリング配管33aを介してそれぞれの可燃性ガスポート33にH
2が導入されている。
【0034】
図2および
図3に示すように、バーナー22の温度を高温に保持するために、バーナー22の外周部分には、発熱体であるヒータ35が設けられている。ヒータ35としては、テープヒータ28と同様に、テープヒータが用いられることが好ましい。ヒータ35は、不図示の温調センサを有しており、温調センサでヒータ35の温度が検知される。また、原料ガスポート31の近傍には、制御用温度測定手段(熱電対38)が設置され、バーナー22の温度が検知される。ヒータ35が通電されることで、バーナー22は原料ガス23であるシロキサンの沸点に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲となるように加熱されている。これにより、バーナー22から噴射されるシロキサンが液化しないようにその温度が維持されるとともに、重合反応によるシロキサンの粒子化によりバーナー22が目詰まりすることを防止している。なお、バーナー22の温度をシロキサンの沸点に対して
−10℃以上としているのは、供給配管26の温度をシロキサンの沸点以上にしておけば、バーナー22を沸点以上に加熱しなくても、原料ガスが液化しないためである。ただし、バーナー22の温度を沸点−30℃より低くすると原料ガスが液化する可能性が出てくる。
【0035】
次に、ガラス微粒子堆積体の製造方法の手順について説明する。
[堆積工程]
OVD法(外付け法)によってガラス微粒子の堆積を行い、ガラス微粒子堆積体Mを製造する。まず、
図1に示すように、昇降回転装置3に支持棒10を取り付け、さらに支持棒10の下端部に出発ロッド11を取り付けた状態で、出発ロッド11および支持棒10の一部を反応容器2内に納める。
【0036】
続いて、MFC25は、制御部5から送信されてくる制御信号に基づき、原料ガスの供給量を制御しながら、供給配管26(原料ガスポート用供給配管26a)を介してバーナー22に原料ガスを供給する。このとき、供給配管26は、その外周部分に巻き付けられたテープヒータ28により、原料ガスであるシロキサンの沸点以上沸点+30℃以下の範囲となるように加熱される。また、不図示のガス供給装置により、助燃性ガスポート用供給配管26bおよび可燃性ガスポート用供給配管26cを介してバーナー22にO
2およびH
2を供給する。
【0037】
続いて、バーナー22に供給されたシロキサンを酸水素火炎内で熱分解酸化反応させることでガラス微粒子を生成する。
そして、バーナー22は、火炎内で生成したガラス微粒子を回転および昇降する出発ロッド11に継続的に堆積させていく。このとき、バーナー22は、その外周部分に設けられたヒータ35により、シロキサンの沸点に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲となるように加熱される。
【0038】
昇降回転装置3は、制御部5からの制御信号に基づいて、出発ロッド11および出発ロッド11に堆積されたガラス微粒子堆積体Mを軸方向に昇降させる。
【0039】
[透明化工程]
次に、得られるガラス微粒子堆積体Mを不活性ガスと塩素ガスの混合雰囲気中で加熱した後、He雰囲気中でさらに加熱して透明ガラス母材を得る。
【0040】
以上説明したように、本実施形態においては、原料ガスを噴射するバーナー22の温度が原料ガスであるシロキサンの沸点に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲となるようにバーナー22を加熱するとともに、供給配管26の温度がシロキサンの沸点以上沸点+30℃以下の範囲となるように供給配管26を加熱している。そのため、バーナー22の内部でシロキサンが液化することを防ぐとともに、バーナー22の目詰まり等の不具合無く、ガラス微粒子堆積体を製造することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、バーナー22は、金属から構成されているため、熱伝導性が良く、耐熱性等に優れたバーナー22を提供することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、バーナー22を加熱するためのヒータ36がバーナー22の外周部分に設けられている。これにより、従来のバーナーの外周部分にテープヒータ等を巻き付けるだけの簡便な構成で、バーナー22の温度を原料ガス23が液化しない温度に保つことができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るガラス微粒子堆積体製造用バーナーの例を
図4および
図5に基づいて説明する。第1の実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、第2の実施形態に係るバーナー22aは、原料ガスであるOMCTSガスを噴出する原料ガスポート31と、助燃性ガスであるO
2を噴出する助燃性ガスポート32と、可燃性ガスであるH
2を噴出する可燃性ガスポート33と、を有している。バーナー22aの内部には、埋め込み式のヒータ36が設けられている。
【0045】
このヒータ36は、原料ガスポート31の長手方向に沿って原料ガスポート31に隣接するように配置されている。ヒータ36としては、熱抵抗の高いニクロム線等の金属体が用いられることが好ましい。ヒータ36を設けるには、バーナー22aの内部に穴を形成し、そこに金属体を挿入すればよい。ヒータ36の供給配管26側の端部にはヒータ36を加熱するためのリード線37が接続されている。
図5に示すように、ヒータ36は、原料ガスポート31の周囲に均等に複数(ここでは、3個)設けられている。各ヒータ36は、不図示の温調センサを有しており、温調センサでヒータ36の温度が検知される。また、
図4および
図5に示すように、原料ガスポート31の近傍には、制御用温度測定手段(熱電対38)が設置され、バーナー22aの温度が検知される。各ヒータ36がリード線37を介して通電されることでバーナー22aがシロキサンの沸点に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲となるように加熱される。
【0046】
このように、第2の実施形態においては、ヒータ36は、埋め込み式であって、バーナー22aの外筒よりも内側に設けられている。すなわち、バーナー22の外周部分に設けられた第1の実施形態のヒータ35よりも原料ガスポート31の近くにヒータ36が設けられている。そのため、バーナー22a内部に設けられる原料ガスポート31を比較的少ない熱量で確実に加熱させることができる。
【実施例】
【0047】
図1に示す製造装置を使用してOVD法によってガラス微粒子の堆積、すなわちガラス微粒子堆積体の製造を行った。バーナーとしては、第1の実施形態で説明したように、バーナーの外周部分にテープヒータが巻き付けられているものを用いた。バーナーには原料ガスとしてOMCTSガスを、火炎形成ガスとしてH
2およびO
2を供給した。
【0048】
このとき、供給配管の温度(℃)とバーナーの温度(℃)とを適宜選択して、OMCTSガスが液化したか否か(液化しなかったものは○、液化したものは×とする)、およびバーナー内部の原料ガスポートが目詰まりしたか否か(目詰まりしなかったものは○、目詰まりしたものは×とする)を評価した。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
(実施例1)
実施例1においては、配管温度を180℃とし、バーナー温度を170℃としてOMCTSガスを供給し、ガラス微粒子堆積体の製造を行った。
その結果、実施例1においては、OMCTSガスの液化や原料ガスポートの目詰まりは確認されなかった。
【0051】
(実施例2)
実施例2においては、配管温度を200℃とし、バーナー温度を165℃としてOMCTSガスを供給し、ガラス微粒子堆積体の製造を行った。
その結果、実施例2においても、OMCTSガスの液化や原料ガスポートの目詰まりは確認されなかった。
【0052】
(比較例1)
比較例1においては、配管温度を200℃とし、バーナー温度を215℃としてOMCTSガスを供給し、ガラス微粒子堆積体の製造を行った。
その結果、比較例1においては、OMCTSガスの液化は確認されなかったものの、原料ガスポートが目詰まりした。
【0053】
(比較例2)
比較例2においては、配管温度を200℃とし、バーナー温度を144℃としてOMCTSガスを供給し、ガラス微粒子堆積体の製造を行った。
その結果、比較例2においては、原料ガスポートの目詰まりは確認されなかったものの、OMCTSガスがバーナー内部で液化した。
【0054】
以上より、実施例1および実施例2のように、第1の実施形態の構成を採用し、バーナーの温度がOMCTSの沸点である175℃に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲である
165℃以上205℃以下の範囲となるようにバーナーを加熱するとともに、供給配管の温度が175℃以上205℃以下の範囲となるように供給配管を加熱することで、バーナー内部でOMCTSが液化することなく、バーナーの目詰まりも発生しないことが確認できた。
【0055】
次に、バーナーとして、第2の実施形態で説明したように、埋め込み式のヒータが設けられているものを用いて、ガラス微粒子堆積体の製造を行った。バーナーには原料ガスとしてOMCTSガスを、火炎形成ガスとしてH
2およびO
2を供給した。
【0056】
このとき、供給配管の温度(℃)とバーナーの温度(℃)とを適宜選択して、OMCTSガスが液化したか否か、およびバーナー内部の原料ガスポートが目詰まりしたか否かを、第1の実施形態と同様に評価した。その結果、第1の実施形態と同様に、バーナーの温度がOMCTSの沸点である175℃に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲である
165℃以上205℃以下の範囲となるようにバーナーを加熱し、供給配管の温度が175℃以上205℃以下の範囲となるように供給配管を加熱することで、OMCTSが液化することなく、また、バーナーの目詰まりも発生しないことが確認できた。
【0057】
なお、本発明のガラス微粒子堆積体およびガラス母材の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。
【0058】
例えば、上記実施の形態においては、バーナー22,22aは金属から構成されているが、本発明はこの例に限られない。例えば、バーナーをセラミックや石英等で形成してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、バーナー22の温度がシロキサンの沸点に対して
−10℃以上+30℃以下の範囲となるようにバーナー22を加熱するとともに、供給配管26の温度がシロキサンの沸点以上沸点+30℃以下の範囲となるように供給配管26を加熱しているが、供給配管26の温度が上記の温度範囲内において高めであれば、バーナー22の温度は上記の温度範囲内でシロキサンが液化しない程度に低めにしてもよい。