特許第6236873号(P6236873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236873バラスト水処理装置およびバラスト水管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236873
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】バラスト水処理装置およびバラスト水管理システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 13/00 20060101AFI20171120BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 33/06 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B63B13/00 Z
   B63B13/00 E
   C02F1/32
   B01D33/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-108768(P2013-108768)
(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公開番号】特開2014-227064(P2014-227064A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 博揮
(72)【発明者】
【氏名】原田 竜児
(72)【発明者】
【氏名】宮武 健一郎
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−217966(JP,A)
【文献】 特開2013−043143(JP,A)
【文献】 特開2001−029943(JP,A)
【文献】 特開2013−023187(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/061924(WO,A1)
【文献】 特開昭61−140933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 13/00−13/02
B01D 33/00−33/82,
29/00−29/96
C02F 1/00− 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラスト水を貯留するバラストタンクから前記バラスト水を排出するための排出経路と、
紫外線ランプを含み、前記排出経路を通る前記バラスト水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、
前記バラスト水が循環しかつ前記紫外線ランプからの紫外線を受けるように形成された循環経路と、
前記バラスト水の流れる経路を前記循環経路と前記排出経路との間で切換えるための切換部と、
前記紫外線ランプの点灯処理の間には前記バラスト水が前記循環経路に流れるように前記切換部を制御し、前記紫外線ランプの点灯が完了すると前記バラスト水が前記排出経路を流れるように前記切換部を制御する制御装置とを備え、
前記紫外線ランプの前記点灯処理において、前記制御装置は、前記紫外線ランプに供給される電力が、前記紫外線ランプにとっての最大電力に達すると、前記切換部による、前記循環経路から前記排出経路への切換を可能にし、
し、
前記紫外線ランプは、前記排出経路および前記循環経路に共通する経路に設けられ、
前記制御装置は、前記バラストタンクからの前記バラスト水の排出後に、前記紫外線ランプを消灯するとともに、前記バラスト水の経路を、前記排出経路から前記循環経路へと切換え、さらに、前記循環経路上に存在するバラスト水を循環させる、バラスト水処理装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記紫外線ランプに供給される電力が前記紫外線ランプにとっての前記最大電力に達した後に、前記紫外線ランプに供給される電力を徐々に低下させて、前記紫外線ランプの照度が目標値に保たれるように前記紫外線ランプの電源を制御する、請求項1に記載のバラスト水処理装置。
【請求項3】
前記バラスト水処理装置は、
前記バラスト水を前記バラストタンクに貯留するときに、前記バラスト水を濾過するとともに濾過されたバラスト水を前記紫外線照射装置に供給する濾過装置をさらに備え、
前記循環経路および前記排出経路は、前記濾過装置を迂回する共通の経路を含む、請求項1または請求項2に記載のバラスト水処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のバラスト水処理装置と、
前記バラスト水を貯留するバラストタンクと、
前記バラストタンクから前記バラスト水を汲み出して、前記バラスト水を前記排出経路に送出するポンプとを備える、バラスト水管理システム。
【請求項5】
前記バラスト水処理装置を迂回して、前記バラストタンクに対して海水を出し入れするためのバイパスシステムをさらに備える、請求項に記載のバラスト水管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に貯留されるバラスト水を処理するための装置およびバラスト水を処理するための装置を備えたバラスト水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト水は、空荷状態の船舶が海洋を安全に航行するために船舶に積載される海水である。バラスト水は、船舶の出港地において、その船舶の周囲の海域から取水されて船舶に積み込まれる。一方、バラスト水は、その船舶の寄港地において船外に排出される。
【0003】
バラスト水は、当該バラスト水が取水された海域と異なる海域に排出される。バラスト水中の生物は、本来の生息地ではない海域に移動させられる。このためバラスト水中の生物が、そのバラスト水の排出される海域の生態系に影響を及ぼすという問題が生じる。
【0004】
この問題を解決するために、バラスト水を浄化処理する種々の方法が検討されている。たとえば特開2013−23187号公報(特許文献1)は、バラスト水の無害化処理を確実にかつ効率よく行なうことを目的としたバラスト水処理装置を開示する。この処理装置は、フィルタと、紫外線照射ユニットとを備える。バラスト水処理ラインに通された被処理水は、まずフィルタを通される。次に被処理水は、紫外線照射ユニットを通る。被処理水が紫外線照射ユニットを通る際に、被処理水に紫外線が照射される。これにより被処理水が殺菌される。
【0005】
上記の装置は、被処理水の濁度が非常に高い状態では紫外線の照射量が十分でないという問題を解決するためのものである。具体的には、上記文献に開示された処理装置は、紫外線ランプの照度が所定照度に達するまでは、汲み上げられた被処理水を、紫外線照射ユニットを通さずに船外に排出する。紫外線ランプの照度が所定照度に達すると、汲み上げられた被処理水は、紫外線照射ユニットを通されて、バラストタンクへ注水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−23187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2013−23187号公報は、バラスト水の取水時に、微生物の殺滅のためにバラスト水に紫外線が照射されることを開示する。しかし、バラスト水中の微生物を完全に殺滅できていないままバラスト水がバラストタンクに貯留されている可能性も考えられる。したがって海に排出されるバラスト水が海域の生態系に影響を与える可能性は否定できない。バラスト水が海域の生態系に影響を与える可能性を、より確実に低減するための技術が要求される。
【0008】
本発明の目的は、バラスト水が海域の生態系に影響を与える可能性を、より確実に低減するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に従うバラスト水処理装置は、バラスト水を貯留するバラストタンクからバラスト水を排出するための排出経路と、紫外線ランプを含み、排出経路を通る前記バラスト水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、バラスト水が循環しかつ紫外線ランプからの紫外線を受けるように形成された循環経路と、バラスト水の流れる経路を循環経路と排出経路との間で切換えるための切換部と、紫外線ランプの点灯処理の間にはバラスト水が循環経路に流れるように切換部を制御し、紫外線ランプの点灯が完了するとバラスト水が排出経路を流れるように切換部を制御する制御装置とを備える。
【0010】
このような構成によれば、バラスト水が排出経路を通ってバラストタンクから排出される際に、紫外線照射装置が紫外線をバラスト水に照射する。これによりバラスト水中の微生物を殺滅することができる。バラスト水を排出する直前にバラスト水の浄化処理を行なうことができるので、海域の生態系に影響を与える可能性を、より確実に低減することができる。さらに、紫外線ランプの点灯処理の間は、バラスト水が循環経路を通ることで、バラスト水処理装置から排出されない。紫外線ランプの点灯処理が完了して、紫外線の照射量が十分な状態で、バラスト水は紫外線を受けるとともにバラスト水処理装置から排出される。これによって、バラスト水中に含まれる微生物を殺滅する効果を高めることができる。
【0011】
なお、循環経路と排出経路とは、一部が共通であってもよく、互いに独立に配置されていてもよい。
【0012】
好ましくは、紫外線ランプの点灯処理において、制御装置は、紫外線ランプに供給される電力が、紫外線ランプにとっての最大電力に達すると、切換部による、循環経路から排出経路への切換を可能にする。
【0013】
このような構成によれば、紫外線の照射処理が可能になるまでに要する時間を短くすることができる。たとえばバラストタンクからバラスト水の汲み上げを開始した直後においては、バラスト水の濁度が一時的に高くなる可能性がある。紫外線ランプに供給される電力を紫外線ランプにとっての最大電力とすることで、バラスト水への紫外線の照射量を上げることができる。したがって、紫外線ランプの点灯開始から短時間で、紫外線の照射処理を開始することができる。
【0014】
好ましくは、紫外線ランプは、排出経路および循環経路に共通する経路に設けられる。制御装置は、バラストタンクからのバラスト水の排出後に、紫外線ランプを消灯するとともに、バラスト水の経路を、排出経路から循環経路へと切換える。
【0015】
このような構成によれば、紫外線ランプの消灯後に、紫外線照射装置を通過する海水によって紫外線ランプを冷却することができる。
【0016】
好ましくは、バラスト水処理装置は、バラスト水をバラストタンクに貯留するときに、バラスト水を濾過するとともに濾過されたバラスト水を紫外線照射装置に供給する濾過装置をさらに備える。循環経路および排出経路は、濾過装置を迂回する共通の経路を含む。
【0017】
このような構成によれば、濾過装置によって濾過されたバラスト水がバラストタンクに貯留される。これにより、バラスト水をバラストタンクから排出する際には、濾過装置を迂回する経路にバラスト水を通すことで、濾過装置による濾過を不要とすることができる。したがって、バラスト水の排出時の処理を簡素化することができる。
【0018】
本発明の他の局面に従うバラスト水管理システムは、上記のバラスト水処理装置と、バラスト水を貯留するバラストタンクと、バラストタンクからバラスト水を汲み出して、バラスト水を排出経路に送出するポンプとを備える。
【0019】
このような構成によれば、バラスト水を排出する直前にバラスト水の浄化処理を行なうことができるので、海域の生態系に影響を与える可能性を、より確実に低減することができる。
【0020】
好ましくは、バラスト水管理システムは、バラスト水処理装置を迂回して、バラストタンクに対して海水を出し入れするためのバイパスシステムをさらに備える。
【0021】
このような構成によれば、バラスト水処理装置によって海水を処理することが必要とされない場合、あるいは、バラスト水処理装置によって海水を処理することができない場合などにおいても、バラストタンクに対して海水を出し入れすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、バラスト水が海域の生態系に影響を与える可能性を、より確実に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係るバラスト水管理システムの全体図である。
図2】バラスト水処理装置本体側の制御盤の1つの構成例を概略的に示した図である。
図3】船舶のブリッジ側の制御盤の1つの構成例を概略的に示した図である。
図4図1に示した濾過装置の構成例を説明する図である。
図5図4のV−V線に沿った断面図である。
図6図4に示されたフィルタの代表的な構成を説明する斜視模式図である。
図7図1に示した紫外線照射装置の構成例を示した図である。
図8】バラスト水処理装置側の制御装置の設定と、ブリッジ側の制御装置の設定との組合わせによって決定される制御内容を説明するための図である。
図9図8に示された制御の流れを示したフローチャートである。
図10】バラスト水処理装置の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る、バラスト水の取水時の処理を説明するフローチャートである。
図12図11のステップS101の処理を説明するための図である。
図13図11のステップS102の処理を説明するための図である。
図14図11のステップS103の処理を説明するための図である。
図15】取水時におけるUVランプの点灯処理を説明するための図である。
図16図11のステップS104の処理を説明するための図である。
図17図11のステップS105およびステップS106の処理を説明するための図である。
図18図11のステップS107の処理の一部を説明するための図である。
図19図18に示す処理に続く処理を説明するための図である。
図20】本発明の実施の形態に係る、バラスト水の排水時の処理を説明するフローチャートである。
図21図20のステップS201,S202の処理を説明するための図である。
図22】排水時におけるUVランプの点灯処理を説明するための図である。
図23図21のステップS203の処理を説明するための図である。
図24図21のステップS204の処理を説明するための図である。
図25】バイパスモードでのバラスト水の取水を説明するための図である。
図26】バイパスモードでのバラスト水の排水を説明するための図である。
図27】濾過装置のフィルタの逆洗浄を行なうための1つの構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
また、この実施の形態において、「バラスト水」とは、バラストタンクに貯留される海水を意味する。したがってこの明細書では、バラスト水が海水であることを明示するために「バラスト水(海水)」と表記することがある。
【0026】
また、この実施の形態において、「被処理水」とは、本実施の形態に係るバラスト水処理装置によって処理される海水を意味する。以下に説明するように、この実施の形態では、「被処理水」は、海域からバラスト水処理装置に取り込まれた海水だけでなく、「バラスト水」も含む。また、バラスト水および被処理水を特に区別する必要がない場合には「海水」との用語を用いることがある。
【0027】
<バラスト水管理システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るバラスト水管理システムの全体図である。図1を参照して、本発明の実施の形態に係るバラスト水管理システム100は、図示しない船舶に設置される。バラスト水管理システム100は、船舶の出港時に、その船舶の周囲の海域から海水を取水して、その海水をバラスト水としてバラストタンク5に貯留する。一方、バラスト水管理システム100は、その船舶の寄港地において、バラストタンク5に貯留されたバラスト水を船外の海域に排出する。バラストタンク5は複数の区画に分けられていてもよい。
【0028】
バラスト水管理システム100は、バラスト水処理装置101と、バイパスシステム102と、制御装置111,112とを備える。バラスト水処理装置101とバイパスシステム102とは、バラスト水管理システム100の主な構成要素であり、バラスト水管理装置として構成されることができる。
【0029】
バラスト水処理装置101は、船舶の周囲の海域から海水を取水する際に、その海水を浄化する処理を行なう。さらにバラスト水処理装置101は、バラストタンク5からバラスト水(海水)を排出する際に、バラストタンクに貯留されたバラスト水を浄化する処理を行なうことができる。この実施の形態において「浄化」とは、海水に含まれる微生物の除去、殺滅および不活性化を含む。
【0030】
一方、バイパスシステム102は、船舶の周囲の海域から海水を取水する際に、バラスト水処理装置101を迂回して、その取水した海水をバラストタンク5に積み込むことができる。さらに、バイパスシステム102は、バラストタンク5からバラスト水(海水)を排出する際に、バラスト水処理装置101を迂回して、そのバラスト水を海に排出することができる。すなわち、バイパスシステム102は、バラスト水処理装置101を迂回してバラストタンク5に対してバラスト水を出し入れするための経路を形成する。バイパスシステム102によって、バラスト水処理装置101によって海水を処理することが必要とされない場合、あるいは、バラスト水処理装置101によって海水を処理することができない場合などにおいても、バラストタンク5に対して海水を出し入れすることができる。
【0031】
バラスト水処理装置101と、バイパスシステム102とは、一部の要素を共通に有している。船舶がバイパスシステム102を既に搭載している場合には、バラスト水処理装置101を追加することによって、本発明の実施の形態に係るバラスト水管理システム100を実現することができる。したがって既存の設備を大幅に変更することなく本発明の実施の形態に係るバラスト水管理システム100を船舶に設置することができる。
【0032】
バラスト水処理装置101は、バラストポンプ1と、濾過装置2と、紫外線照射装置3と、排水ポンプ4と、海水を通すためのライン10〜22と、バルブ31〜36,40,41,44と、流量計51,52,53とを備える。各ラインは配管によって実現される。
【0033】
ライン10は、海域から海水を取得するためのラインである。ライン11は、バラストポンプ1に流入する海水を通すためのラインである。ライン12は、バラストポンプ1から流出する海水を通すためのラインである。バラストポンプ1は、ライン10,11から海水を吸入して、ライン12に海水を排出する。
【0034】
ライン12は、ライン13とライン14とに分岐される。ライン13は、濾過装置2に海水を導入するためのラインである。ライン14は、濾過装置2を迂回して、ライン15に合流する経路を形成する。バルブ32は、ライン13に流れる海水の流量を制御する。バルブ33は、ライン14に流れる海水の流量を制御する。
【0035】
濾過装置2は、ライン13を通じて流入した海水を濾過する。濾過された海水はライン15を通じて濾過装置2から流出される。ライン15は、濾過装置2によって濾過された海水を紫外線照射装置3に導く。すなわちライン15は、濾過装置2によって濾過された海水を紫外線照射装置3に供給するための経路を形成する。流量計52は、ライン15を流れる海水の流量を計測する。
【0036】
一方、濾過装置2によって濾過されなかった海水は、ライン16を通じて濾過装置2から排出される。ライン17はライン16から分岐される。ライン16〜18は、濾過装置2に残留する海水を排出するための排水経路を形成する。
【0037】
ライン17は、ライン16から流入した海水を海へと排出するためのラインである。バルブ35はライン17に設けられて、ライン17を流れる海水の流量を制御する。
【0038】
ライン16は、排水ポンプ4の流入口に接続される。ライン18は、排水ポンプ4から流出する海水を通すためのラインである。ライン18は、ライン17と合流する。
【0039】
排水ポンプ4から排出された海水は、ライン18を流れて海へと排出される。バルブ36は、ライン18に設けられて、ライン18を流れる海水の流量を制御する。流量計52は、ライン18を流れる海水の流量を計測する。
【0040】
排水ポンプ4はバラストポンプ1に比べて小型である。すなわち排水ポンプ4の吐出能力は、バラストポンプ1の吐出能力よりも小さい。小型のポンプを排水ポンプ4に適用することで、バラスト水処理装置101の小型化を図ることができる。
【0041】
紫外線照射装置3は、図示しないUV(紫外線)ランプを含む。ライン15を流れる海水は紫外線照射装置3を通される。紫外線ランプは、紫外線照射装置3を通る海水に紫外線を照射する。被処理水は、フィルタ61で濾過された上で、紫外線照射装置3において紫外線を受ける。このために小型のUVランプを使用しても、濾過された海水中に生息する微生物を殺滅する効果を得ることができる。小型のUVランプを紫外線照射装置3に用いることによって、装置の小型化、消費電流の節約等の利点を得ることができる。
【0042】
ライン19は、紫外線照射装置3から流出する海水を通すためのラインである。ライン20は、紫外線照射装置3から流出する海水をライン19から分岐して、バラストタンク5に導くためのラインである。ライン21はバルブ40を介してライン20と接続される。ライン21は、バラストタンク5に海水を注入するためのラインである。すなわち、ライン19,20,21は、紫外線照射装置3から出た被処理水をバラストタンク5に供給するための経路を形成する。
【0043】
なお、ライン21は、バラストタンク5から海水を排出するためのラインでもある。流量計52は、ライン21を流れる海水の流量を計測する。
【0044】
ライン22は、ライン19から分岐されて、紫外線照射装置3からライン19を通じて流入した海水を海へと排出するための経路を形成する。バルブ41はライン22に設けられて、ライン22を流れる海水の流量を制御する。
【0045】
バルブ31,32,33,35,36,40,41の各々は、たとえば比例制御弁である。各バルブの開度は、そのバルブに入力される信号によって制御される。バルブ34は、たとえば開閉弁である。バルブ34に入力される信号に応じて、バルブ34は、その状態を開状態と閉状態との間で切り換える。なお、バルブ34は比例制御弁でもよい。
【0046】
バイパスシステム102は、バラストポンプ1と、ライン10〜12,20〜24と、バルブ31,40〜43とを備える。バラスト水処理装置と同様に、各ラインは、配管によって実現される。バラストポンプ1と、ライン10,11,12,20,21と、バルブ31,40とは、バラスト水処理装置101とバイパスシステム102とで共通の構成要素である。したがってこれらについての詳細な説明は以後繰り返さない。
【0047】
ライン23は、バルブ42を介してライン21に接続される。バルブ42は、ライン23を流れる海水の流量を制御する。
【0048】
ライン24は、ライン19から分岐されてライン12に接続される。バルブ43は、ライン24に設けられて、ライン24を流れる海水の流量を制御する。
【0049】
バルブ42,43は、たとえば比例制御弁であり、入力信号の大きさに応じてその開度を変化させる。
【0050】
バラスト水管理システム100は、さらに、制御装置111,112を備える。制御装置111,112は、操作者(図示せず)によって操作可能である。操作者による制御装置の操作は、その制御装置に対して操作者の指示を入力することに相当する。
【0051】
制御装置111,122は、操作者からの指示を受け付けて、その指示に従ってバラスト水管理システム100を制御する。すなわち制御装置111,112は、バラスト水管理システムの動作モードを設定するための設定装置でもある。具体的には、制御装置111,112は、バラストポンプ1および排水ポンプ4の駆動および停止を制御する。さらに制御装置111,112は、図1に示された各バルブの開/閉あるいは開度を制御する。さらに、制御装置111,112は、紫外線照射装置3に含まれるUVランプ(図示せず)の点灯および消灯を制御する。
【0052】
制御装置111,112は、通信機能を有する。制御装置111は、自身に対する設定を把握するとともに、その設定に関する情報を制御装置112に送信することができる。同様に、制御装置112は、自身に対する設定を把握するとともに、その設定に関する情報を制御装置111に把握することができる。したがって制御装置111,112を互いに離れた場所に設置することができる。
【0053】
たとえば制御装置111は、バラスト水処理装置101のそばに設置される。一方、制御装置112は、たとえばブリッジ(船橋)に設置される。このような制御装置111,112の配置に従うと、操作者は、制御装置112によってバラスト水管理装置(バラスト水処理装置101およびバイパスシステム102)を遠隔制御することができる。
【0054】
操作者は、制御装置111,112のいずれか一方を操作することによって、バラスト水管理システム100の動作および停止を制御することができる。さらに、操作者は、制御装置111,112のいずれか一方を操作することによって、バラスト水管理システム100の動作モードを、バラスト水処理モード(この実施の形態では「BWMS」モードと呼ぶ)と、「BYPASS」(バイパス)モードとの間で切り換えることができる。バラスト水処理モードとは、バラスト水処理装置101を動作させるモードである。バイパスモードとは、バラスト水処理装置101を停止させる一方で、バイパスシステム102を動作させるモードである。
【0055】
さらに、バラスト水管理システム100の動作モードがBWMSモードである場合には、操作者は、制御装置111,112のいずれか一方を操作することによって、処理モードを切り換えることができる。この実施の形態では、処理モードは、「マニュアルモード」と、「Ballastモード」と、「De−Ballastモード」とを含む。
【0056】
「マニュアルモード」とは、操作者が制御装置111,112のいずれかに対して特定のバルブを指定するとともに、そのバルブの開/閉あるいは開度を指定するモードである。「Ballastモード」は、バラスト水管理システム100が海から海水を取り込み、その海水を処理してバラストタンク5に注入する処理を行なうモードである。「De−Ballastモード」は、バラスト水管理システム100がバラストタンク5に貯留するバラスト水(海水)を海に排出する処理を行なうモードである。「Ballastモード」および「De−Ballastモード」では、各バルブは、制御装置111または112によって自動的に制御される。
【0057】
1つの実施形態では、制御装置111,112は制御盤として実現される。図2は、バラスト水処理装置本体側の制御盤の1つの構成例を概略的に示した図である。図2を参照して、制御装置111(制御盤)は、表示パネル121と、バイパスランプ122と、BWMSイネーブルランプ123と、動作モードスイッチ124と、処理モードスイッチ125と、BWMS準備ランプ126と、BWMSスタートボタン127と、BWMSストップボタン128と、非常停止ボタン129とを有する。
【0058】
表示パネル121は、たとえば、バラスト水管理システム100の動作状況を表示する。1つの実施の形態では、表示パネル121は、タッチパネルの機能を備える。これにより操作者は表示パネル121(タッチパネル)に触れることで各種の設定を制御装置111に入力することができる。
【0059】
バイパスランプ122は、バラスト水管理システム100の動作モードがバイパスモードであることを表示するためのランプである。バラスト水管理システム100の動作モードがバイパスモードである場合には、バイパスランプ122が点灯する。一方、バラスト水管理システム100の動作モードがBWMSモードである場合、あるいは制御装置111と制御装置112とでバラスト水管理システム100の動作モードの設定が異なる場合には、バイパスランプ122は消灯する。
【0060】
BWMSイネーブルランプ123は、バラスト水処理装置101を使用可能な状態を表示するためのランプである。「バラスト水処理装置101を使用可能な状態」とは、制御装置111と制御装置112ともに、バラスト水管理システム100の動作モードがBWMSモードに設定された状態である。この場合にはBWMSイネーブルランプ123が点灯する。
【0061】
一方、制御装置111と制御装置112とでバラスト水管理システム100の動作モードの設定が異なる場合には、バラスト水処理装置101は使用不可の状態である。この場合には、BWMSイネーブルランプ123は点滅する。また、バラスト水管理システム100の動作モードがバイパスモードである場合には、BWMSイネーブルランプ123は消灯する。このようにBWMSイネーブルランプ123は、点灯、点滅および消灯によって、表示態様を異ならせる。これにより操作者は、制御装置111と制御装置112との間で動作モードの設定が一致しているか否かを容易に把握することができる。
【0062】
動作モードスイッチ124は、操作者がバラスト水処理装置101の動作モードを制御装置111に指示するためのスイッチである。具体的には、動作モードスイッチ124は、バラスト水処理装置101の動作モードを、バイパスモードと、BWMSモードとの間で切り換えることができるように構成される。
【0063】
処理モードスイッチ125は、BWMSモードが選択された場合に、操作者がバラスト水処理装置101の処理モードを制御装置111に指示するためのスイッチである。具体的には、処理モードスイッチ125は、バラスト水処理装置101の処理モードを、マニュアルモードと、Ballastモードと、De−Ballastモードとの間で切り換えることができるように構成される。
【0064】
BWMS準備ランプ126は、バラスト水処理装置101の起動時に点滅する。バラスト水処理装置101の起動が完了すると、BWMS準備ランプ126は点滅の周期を短くする。なお、BWMS準備ランプ126は、バラスト水処理装置101が起動中であることと、バラスト水処理装置101の起動が完了したこととを区別できるように光ればよい。したがって、BWMS準備ランプ126は、バラスト水処理装置101の起動時に点灯し、バラスト水処理装置101の起動が完了すると点滅してもよい。「点灯」とは連続的に光を発する状態を意味し、「点滅」とは、光を発する状態と光を発していない状態とが交互に繰り返される状態を意味する。
【0065】
BWMSスタートボタン127は、操作者がバラスト水処理装置101による海水の浄化処理の開始を制御装置111に指示するための操作ボタンである。BWMSストップボタン128は、操作者がバラスト水処理装置101による海水の浄化処理の停止を制御装置111に指示するための操作ボタンである。操作者がBWMSスタートボタン127を押すことによって、制御装置111は、海水を浄化する処理の開始の指示を受け付ける。操作者がBWMSストップボタン128を押すことによって、制御装置111は、海水を浄化する処理の停止の指示を受け付ける。
【0066】
非常停止ボタン129は、緊急時にバラスト水処理装置101の動作を停止するための操作ボタンである。
【0067】
図3は、船舶のブリッジ側の制御盤の1つの構成例を概略的に示した図である。図3を参照して、制御装置112(制御盤)は、表示パネル131と、動作モードスイッチ132と、BWMS準備ランプ133と、スタートボタン134と、非常停止ボタン129とを有する。
【0068】
表示パネル131は、バラスト水管理システム100の動作状況を表示する。たとえば、表示パネル131は、操作者によって設定された動作モードを表示する。
【0069】
図2に示す表示パネル121と同様に、1つの実施形態では、表示パネル131は、タッチパネルの機能を備えることができる。これにより図2に示す制御装置111が有する機能を表示パネル131(タッチパネル)によって実現することができる。たとえば動作モードがBWMSモードに設定された場合に、操作者は、表示パネル131(タッチパネル)に触れることで処理モードを選択することができるとともに、その選択された処理モードを制御装置112に指示することができる。このときには、表示パネル131は、その選択された処理モードを表示することができる。
【0070】
動作モードスイッチ132は、図2に示す動作モードスイッチ124と同じく、操作者がバラスト水処理装置101の動作モードを制御装置112に指示するためのスイッチである。動作モードスイッチ132は、バラスト水処理装置101の動作モードを、バイパスモードと、BWMSモードとの間で切り換えることができるように構成される。
【0071】
BWMS準備ランプ133は、図2に示すBWMS準備ランプ126と同じ動作を行なう。すなわち、BWMS準備ランプ133は、バラスト水処理装置101の起動時に点滅する。バラスト水処理装置101の起動が完了すると、BWMS準備ランプ133は点滅の周期を短くする。
【0072】
スタートボタン134は、選択された動作モードでのバラスト水管理システム100の動作を、操作者が制御装置112に対して指示するための操作ボタンである。非常停止ボタン135は、緊急時にバラスト水処理装置101の動作を停止するための操作ボタンである。
【0073】
なお、図2および図3に示されるように、制御装置111と制御装置112とでは、構成が異なっているがこのように限定される必要はない。制御装置111と制御装置112とが同じ構成を備えていてもよい。また、以下の説明では、表示パネル121,131は、タッチパネルであり、操作者の操作を受け付けることができるものとする。
【0074】
<バラスト水処理装置の構成>
図4は、図1に示した濾過装置2の構成例を説明する図である。図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。
【0075】
図4および図5を参照して、被処理水である海水は、図1のライン13に対応する被処理水流路66を通り、ケース63の内部へ供給される。ケース63の内部には、円筒形状のフィルタ61が設けられている。軸線Cはフィルタ61(円筒)の中心軸を示す。言い換えると、フィルタ61は、軸線Cを囲むように配置されている。
【0076】
モータ90は、フィルタ61の中心軸と接続される。モータ90は、駆動装置(図示せず)から電力が供給されることによって、軸線Cを中心としてフィルタ61を回転させる。モータ90は、モータカバー91で覆われている。なお、モータ90は、たとえば制御装置111によって制御される。
【0077】
フィルタ61の円筒上下面は水密に塞がれている。回転自在な取り付け構造は、同じく水密構造とする必要があるが、特に限定されることなく既知の構造が用いられる。
【0078】
ケース63は、フィルタ61の全体を覆う。ケース63は、外筒部71と、蓋部72と、底部73とを有する。底部73には、図1のライン16に対応する排出流路65が設けられる。ケース63の内部には、被処理水としての海水を導入するために、被処理水流路66と、被処理水ノズル62とが設けられる。また、ケース63の蓋部には、薬液注入口70が設けられている。ただしケース63に薬液注入口を設けることは必須ではない。
【0079】
被処理水ノズル62は、被処理水流路66から延設されるように構成される。被処理水ノズル62の先端にノズル口67が形成される。ノズル口67は、ケース63の外筒部71の中に配置される。被処理水がノズル口67からフィルタ61の外周面に向けて流出するように、ノズル口67が形成される。
【0080】
中心配管80は、軸線C上に配置される。中心配管80は、中心配管80は、図1のライン15に相当する濾過水流路64に接続される。なお、中心配管80は回転しない。
【0081】
図6は、図4に示されたフィルタ61の代表的な構成を説明する斜視模式図である。図5および図6を参照して、フィルタ61はプリーツフィルタである。平面帯状の基材を山谷交互に折りたたむことによって、いわゆるプリーツ形状が形成される。プリーツ状に形成された基材の両端をつなぎ合わせることで、円筒状のプリーツフィルタが形成される。
【0082】
フィルタの基材には多孔質樹脂シートが用いられる。多孔質樹脂シートの材質として例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等からなる延伸多孔質体、相分離多孔体、不織布等の多孔質構造物が利用される。高流量での濾過処理を行なうために、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなる不織布が特に好適に用いられる。
【0083】
再び図4を参照して、被処理水は被処理水流路66を通り、被処理水ノズル62のノズル口67から噴出する。ノズル口67から噴出した被処理水は、フィルタ61の円筒外部から円筒内部へと透過される。これによって被処理水が濾過される。フィルタ61を透過して濾過された被処理水は、中心配管80に設けられた取水穴81を通して濾過水流路64に導かれて、濾過装置2の外部に流出される。
【0084】
一方、フィルタ61によって濾過されなかった被処理水および、ケース63の底部73に沈殿した濁質分は、排出流路65を通じて濾過装置2の外部に排出される。このように濁質分、あるいは残った被処理水が連続的に排出されつつ濾過が行われる。これにより、バラスト水の処理量として要求される処理量(たとえば10〜20ton/時間、さらには100ton/時間)を確保することができる。
【0085】
以上の動作において、フィルタ61の外周面には濁質が付着する。図4に示す構成によれば、モータ90がフィルタ61を回転させる。ノズル口67から噴出した被処理水は、回転するフィルタ61の外周面に当たる。被処理水の圧力および回転する水流によって、フィルタ61の外周面には常に水流が生じる。これによってフィルタ61に付着した濁質分が除去されやすい。すなわち、この実施の形態によれば、被処理水を濾過する効果に加えて、一定の洗浄効果も得ることができる。
【0086】
図7は、図1に示した紫外線照射装置3の構成例を示した図である。図7を参照して、紫外線照射装置3は、ケース141と、UVランプ142と、ランプ電源143と、照度センサ144a,144b,144cとを備える。
【0087】
ケース141は、ライン15とライン19との間に配置される。ケース141はUVランプ142を収容する。ライン15,19により、紫外線照射装置3の内部を被処理水が通過する。
【0088】
UVランプ142は、ケース141の内部を通過する被処理水に紫外線を照射する。上記のように、UVランプ142の点灯および消灯は、制御装置111または制御装置112によって制御される。
【0089】
照度センサ144a〜144cは、UVランプ142から発せられて被処理水を透過した紫外線の照度を計測する。各照度センサによって検出された照度は、その照度センサから制御装置111へと送られる。制御装置111は、照度センサ144a〜144cの検出結果に基づいて、UVランプ142の最大電力に対する割合を、ランプ電源143に対して指示する。ランプ電源143は、指示された割合に従う電力をUVランプ142に供給する。
【0090】
<バラスト水管理システムの制御>
1.動作モードの設定
上記のように、バラスト水管理システム100の動作モードを設定する目的において、バラスト水管理システム100の操作者は、制御装置111と制御装置112とのいずれも操作可能である。バラスト水管理システム100の設定(および監視)を行なうための装置が1つしかない場合、操作者は、操作者が制御装置111の設置場所に移動しなければならない。船舶のような大きな建造物の場合、操作者が制御装置111の設置場所に移動するための労力が大きくなる可能性がある。
【0091】
この実施の形態によれば、バラスト水管理システム100は、操作者がバラスト水管理システム100の動作モードの設定(および監視)を行なうための複数の制御装置を有する。この複数の制御装置を船舶に分散して配置することができる。これにより、操作者は、自身の近くに配置された制御装置を利用することができる。したがって操作者の利便性を高めることができる。
【0092】
一方、バラスト水管理システム100の動作モードの設定が制御装置111,112のどちらでも可能であるために、ある時点において、制御装置111と制御装置112との間で動作モードの設定が異なりることが起こりえる。具体的に説明すると、図2に示す動作モードスイッチ124の設定と、図3に示す動作モードスイッチ132の設定とが異なる場合が生じ得る。
【0093】
この実施の形態では、制御装置111と制御装置112との間でバラスト水管理システム100の動作モードの設定が同じである場合に、バラスト水管理システム100は、その動作モードでの動作を許可する。バラスト水管理システム100は、その設定された動作モードに従って動作可能である。一方、制御装置111と制御装置112との間で動作モードの設定が異なる場合に、バラスト水管理システム100は、制御装置111と制御装置112とに設定された動作モードでの動作をいずれも不許可とする。
【0094】
1つの実施の形態では、制御装置111がバラスト水管理システム100の動作の許可および禁止を判断する。具体的に説明すると、制御装置111は、制御装置111における、バラスト水管理システム100の動作モードの設定を確認する。さらに制御装置111は、制御装置112から、制御装置112における、バラスト水管理システム100の動作モードの設定に関する情報を取得する。制御装置111は、制御装置112における設定が制御装置111での設定と一致する場合に、バラスト水管理システム100が、その動作モードで動作することを許可する。
【0095】
上記の制御によって、バラスト水管理システム100を正しい動作モードで動作させることができる。「正しい動作モード」とは、操作者の意図する動作モードである。言い換えると、上記の制御によって、操作者の意図しない動作モードでバラスト水管理システム100が動作することを防ぐことができる。
【0096】
制御装置111と制御装置112とで動作モードの設定が異なる場合の制御としては別の制御も考えられる。たとえば制御装置111における設定を、常に制御装置112における設定に対して優先することが考えられる。つまり、制御装置111と制御装置112とで設定が異なる場合には、制御装置111における設定が常に正しいと判断される。
【0097】
しかしながら、制御装置111と制御装置112とで設定が異なり、かつ、制御装置112に対する設定が操作者の意図する設定であった場合、が異なっていた場合には、誤った(操作者の意図しない)動作モードをバラスト水管理システム100に対して設定することになる。
【0098】
この実施の形態では、制御装置111と制御装置112とで動作モードの設定が一致する場合に、バラスト水管理システム100が、その動作モードで動作可能となる。したがって、誤った動作モードでバラスト水管理システム100が動作することを防止できる。
【0099】
さらに、操作者が制御装置111,112の一方(たとえば制御装置111)に対してバラスト水管理システム100の動作モードを設定したにもかかわらず、バラスト水管理システム100が動作しない場合には、操作者は、制御装置111,112の他方(たとえば制御装置112)において、操作者の意図する動作モードとは異なるモードが設定されていることを把握することができる。この場合、操作者は、たとえば制御装置112の近くにいる別の操作者に対して、制御装置112の動作モードの設定を修正するように伝えることで制御装置112の設定を修正することができる。
【0100】
制御装置111,112は、ともに、バラスト水管理システム100の動作の許可および禁止を判断して、その判断結果を交換してもよい。制御装置111,112同士で判断結果が一致する場合に、制御装置111,112の一方(たとえば制御装置111)は、その判断結果に従って、バラスト水管理システム100の動作を許可または禁止する。この場合にも、操作者の意図しない動作モードでバラスト水管理システム100が動作することを防ぐことができる。
【0101】
図8は、バラスト水処理装置101側の制御装置111の設定と、ブリッジ側の制御装置112の設定との組合わせによって決定される制御内容を説明するための図である。
【0102】
図8を参照して、「装置本体側」はバラスト水処理装置101側に設置された制御装置111を示す。「ブリッジ側」はブリッジ側に設置された制御装置112を示す。
【0103】
制御装置111の動作モードスイッチ124および制御装置112の動作モードスイッチ132がともにBWMSモードに設定されている場合には、制御装置111のBWMSイネーブルランプ123が点灯する。この場合、バラスト水処理装置101が使用可能である。したがって、バラスト水管理システム100は、BWMSモードでの動作を許可する。
【0104】
制御装置111の動作モードスイッチ124および制御装置112の動作モードスイッチ132がともにBYPASS(バイパス)モードに設定されている場合には、制御装置111のバイパスランプ122が点灯する。この場合、バラスト水処理装置101は使用不可状態であり、バラスト水管理システム100は、バイパスモードでの動作を許可する。
【0105】
制御装置111の動作モードスイッチ124および制御装置112の動作モードスイッチ132の一方がBWMSモードに設定され、他方がBYPASSモードに設定されている場合には、制御装置111のBWMSイネーブルランプ123が点滅する。この場合、バラスト水処理装置101、バイパスシステム102のいずれの動作も不許可となる。また、バラスト水管理システム100の起動も不許可となる。
【0106】
図9は、図8に示された制御の流れを示したフローチャートである。1つの実施の形態において、この制御は、制御装置111によって実行される。図9を参照して、ステップS1において、制御装置111は、「装置本体側」の制御装置(すなわち制御装置111)および「ブリッジ側」の制御装置(すなわち制御装置112)における動作モードの設定(動作モードスイッチ124)がともにBWMSモードであるか否かを判定する。
【0107】
制御装置111および制御装置112の設定がともにBWMSモードである場合(ステップS1においてYES)、処理はステップS2に進む。ステップS2において、制御装置111は、バラスト水管理システム100の動作モードをBWMSモードに決定する。したがってバラスト水管理システム100はBWMSモードでの動作を許可する。
【0108】
次にステップS3において、制御装置111は、バラスト水処理装置101を使用可能状態に設定する。具体的には、制御装置111は、操作者による制御装置111または制御装置112の操作を受付ける。したがって、操作者が処理モードスイッチ125を操作した場合には、バラスト水処理装置101は、処理モードスイッチ125によって設定された処理モードでの動作が可能となる。また、BWMSスタートボタン127およびBWMSストップボタン128を操作することによって、バラスト水処理装置101による被処理水の処理を開始および停止させることができる。また、制御装置112では、スタートボタン134が操作されることで、バラスト水処理装置101による被処理水の処理を開始させることができる。
【0109】
続いてステップS4において、制御装置111は、BWMSイネーブルランプ123を点灯させる。
【0110】
一方、制御装置111および制御装置112の少なくとも一方の動作モードが、BWMSモードとは異なるモードに設定されている場合(ステップS1においてNO)、処理はステップS5に進む。
【0111】
ステップS5において、制御装置111は、制御装置111(装置本体側)および制御装置112(ブリッジ側)における、バラスト水管理システム100の動作モードの設定が、ともにBYPASS(バイパス)モードであるか否かを判定する。制御装置111および制御装置112ともに設定がBYPASSモードである場合(ステップS5においてYES)、処理はステップS6に進む。
【0112】
ステップS6において、制御装置111は、バラスト水管理システム100の動作モードをBYPASSモードに決定する。これによりバラスト水管理システム100はBYPASSモードでの動作を許可する。
【0113】
次にステップS7において、制御装置111は、バラスト水処理装置101を使用不可状態に設定する。具体的には、制御装置111は、処理モードスイッチ125によるバラスト水処理装置101の処理モードの設定を無効にする。またBWMSスタートボタン127およびBWMSストップボタン128の操作を無効にする。一方、制御装置112では、スタートボタン134が操作されることで、バラスト水管理システム100をバイパスモードで動作させることができる。
【0114】
続いてステップS8において、制御装置111は、バイパスランプ122を点灯させる。
【0115】
制御装置111(装置本体側)および制御装置112(ブリッジ側)における動作モードの設定がともにBWMSモードでなく、ともにバイパスモードでもない場合(ステップS5においてNO)、処理はステップS9に進む。この場合、制御装置111および制御装置112の一方では、バラスト水管理システム100の動作モードがBWMSモードに設定され、他方では、バラスト水管理システム100の動作モードがバイパスモードに設定されている。すなわち、制御装置111と制御装置112との間で設定が異なっている。
【0116】
ステップS9において、制御装置111は、バラスト水処理装置101を使用不可状態に設定する。ステップS9の処理は、ステップS7の処理と同様であるので以後の詳細な説明は繰り返さない。なお、バイパスシステム102も使用不可とされる。したがってバラスト水管理システム100は、BWMSモードおよびBYPASSモードのいずれの動作モードでの動作も不許可とする。
【0117】
ステップS10において、制御装置111は、BWMSイネーブルランプ123を点滅させる。
【0118】
図10は、バラスト水処理装置101の動作の流れを説明するためのフローチャートである。図10を参照して、ステップS11において、バラスト水処理装置101は起動指示を受付ける。具体的には、操作者は、制御装置111および制御装置112の動作モードをともにBWMSモードに設定する。これにより、制御装置111は、操作者からの起動指示を受付ける。
【0119】
ステップS12において、バラスト水処理装置101は処理モードを選択する。具体的には、制御装置111は、操作者による処理モードスイッチ125の設定に従う処理モードを選択する。これにより、マニュアルモード、Ballastモード、De−Ballastモードの中から1つの処理モードが選択される。
【0120】
ステップS13において、バラスト水処理装置101は、バラストポンプ1を作動させる。この処理は、たとえば操作者が、制御装置111の表示パネル121、制御装置112の表示パネル131での操作を通じて制御装置111または112にバラストポンプ1の作動指示を入力することにより開始される。
【0121】
ステップS14において、制御装置111は、BWMS準備ランプ126(図10では単に「準備ランプ」と表記する)を点滅させる。
【0122】
ステップS15において、制御装置111は、紫外線照射装置3のUVランプ142(図7を参照)を点灯させる。
【0123】
ステップS16において、UVランプ142の点灯が完了する。ステップS17において、制御装置111は、BWMS準備ランプ126を早く点滅させる。すなわち、BWMS準備ランプ126の点滅の周期が短くなる。
【0124】
ステップS18において、制御装置111は、バラスト水処理装置101の処理開始指示を受付ける。すなわち操作者が、制御装置111のBWMSスタートボタン127を押すと、制御装置111に処理開始指示が入力される。あるいは操作者が制御装置112のスタートボタン134を押すと、制御装置112から制御装置111に処理開始指示が入力される。
【0125】
ステップS19において、バラスト水処理装置101は、ステップS12の処理によって選択されたモードでの処理を実行する。ステップS20においてその処理が完了する。
【0126】
ステップS21において、制御装置111は、バラスト水処理装置101の停止指示を受付ける。すなわち操作者が、制御装置111のBWMSストップボタン128を押すと、制御装置111に停止指示が入力される。あるいは操作者が制御装置112の表示パネル131を操作することにより、制御装置112から制御装置111に停止指示が入力される。ステップS22において、制御装置111は、バラストポンプ1を停止させる。
【0127】
2.BWMSモードでの処理(Ballastモード)
図11は、本発明の実施の形態に係る、バラスト水の取水時の処理を説明するフローチャートである。図1および図11を参照して、バラスト水の取水時の処理の概要を説明する。まず、ステップS101において、バラスト水処理装置101は、バラストポンプ1の駆動を開始させる。バラストポンプ1は海から被処理水として海水を取水する。被処理水はバラストポンプ1から濾過装置2に流入する。このときに、濾過装置2では被処理水(海水)を用いてフィルタ61の洗浄が行なわれる。フィルタ61を洗浄した後の被処理水は海へと戻される。
【0128】
ステップS102において、バラスト水処理装置101は、排水ポンプ4の駆動を開始させる。ステップS103において、バラスト水処理装置101は、紫外線照射装置3のUVランプ142の点灯を開始する。さらに濾過装置2は被処理水の濾過を開始する。ただし、UVランプ142の点灯が完了するまでは、濾過装置2で濾過された被処理水は、紫外線照射装置3を通るものの、バラストタンク5には送られずに海へと戻される。
【0129】
UVランプ142の照度が所定照度に達すると、UVランプ142の点灯処理が完了する。続いて処理はステップS104に進む。
【0130】
ステップS104において、バラストタンク5に被処理水がバラスト水として供給される。すなわち、紫外線照射装置3から出た被処理水はバラストタンク5に送られる。
【0131】
ステップS105において、バラストタンク5へのバラスト水の供給が停止される。たとえば操作者がバラストタンク5内のバラスト水の水位を確認して、バラスト水の供給を停止するための操作を行なう。この操作は、制御装置111のBWMSストップボタン128を押すという操作でもよい。あるいは、操作者は制御装置112の表示パネル131を操作してもよい。
【0132】
ステップS106において、バラスト水処理装置101は、紫外線照射装置3のUVランプ142を消灯させる。濾過装置2によって濾過された被処理水は、紫外線照射装置3を通り、海へと戻される。次に、濾過装置2での被処理水の濾過が終了する。1つの実施の形態では、このときに、被処理水の濾過の終了後に、濾過装置2では、被処理水(海水)を用いてフィルタ61の洗浄を行なう。
【0133】
ステップS107において、バラスト水処理装置101は、排水ポンプ4を停止させる。ステップS108において、バラスト水処理装置101は、バラストポンプ1を停止させる。ステップS108の処理が終了すると、全体の処理が終了する。
【0134】
続いて、各ステップの処理について詳細に説明する。なお、以下の説明では、操作者は制御装置111を操作するものとする。しかしながら、操作者が、制御装置112のスイッチ、ボタン、表示パネル(タッチパネル)等を操作することでも同様の処理を実行することができる。
【0135】
図12は、図11のステップS101の処理を説明するための図である。図12を参照して、制御装置111は、バラストポンプ1の駆動を開始する。一方、排水ポンプ4は停止したままである。制御装置111は、バルブ31,32,35を開状態に設定するとともに、他のバルブを閉状態に設定する。
【0136】
被処理水は、バラストポンプ1によって海から取水され、ライン10,11,を通る。被処理水は、バラストポンプ1からライン12,13を通じて濾過装置2に流入する。被処理水はライン16を通じて濾過装置2から排出される。なお、バルブ34が閉じているので、被処理水はライン15を通じて濾過装置2から流出しない。
【0137】
濾過装置2は、被処理水を用いて、フィルタ61の洗浄を行なう。図4を参照して既に説明したように、モータ90によってフィルタ61を回転させながら、ノズル口67から被処理水を噴出する。被処理水の圧力および回転する水流によって、フィルタ61に付着した濁質分を除去する。
【0138】
このように本実施の形態では、濾過装置2によって濾過された海水を紫外線照射装置3に供給するのに先立ち、バルブ34を閉じた状態で、濾過装置2に導入される海水(被処理水)を用いてフィルタ61を洗浄する。バラストタンク5にバラスト水を供給するのに先立って、フィルタ61が洗浄される。これにより、バラスト水の処理能力が低下するという問題を防ぐことができる。
【0139】
さらに、被処理水は、ライン16,17,18を通じて海へと戻される。これによってライン16,17,18を構成する配管を洗浄することもできる。
【0140】
図13は、図11のステップS102の処理を説明するための図である。図13を参照して、制御装置111は、排水ポンプ4の駆動を開始させる。処理モードがBallastモードの場合、制御装置111は、バラストポンプ1の駆動に続いて、自動的に(たとえば一定時間の経過後に)排水ポンプ4を駆動させることができる。一方、処理モードがマニュアルモードの場合、制御装置111は、操作者の指示が入力されると排水ポンプ4を駆動させる。制御装置111は、さらに、バルブ36を開状態に設定する。
【0141】
制御装置111は、流量計52から、ライン18を流れる被処理水の流量を示す信号を受ける。制御装置111は、たとえばライン18を流れる被処理水の流量が20m/hとなるように、バルブ36の開度を制御する。なお、流量を示す数値は一例であって、ライン18を流れる被処理水の流量は、これに限定されるものではない。
【0142】
濾過装置2から排出された被処理水は、ライン16からライン17,18を通じて海へと戻される。排水ポンプ4の排水量は、バラストポンプ1の吐出量に比べて小さい。したがって、バラストポンプ1から濾過装置2に供給される被処理水を海へと排出するために、ライン18だけでなくライン17も使用される。なお、ステップS101と同様に、フィルタ61が洗浄される。
【0143】
図14は、図11のステップS103の処理を説明するための図である。図14を参照して、制御装置111は、バルブ34を開くとともにバルブ35を閉じる。これにより、濾過装置2によって濾過された被処理水がライン15に送られる。図4を参照して既に説明したように、被処理水は、フィルタ61の外周面からフィルタ61の内周面へ透過することで濾過される。濾過された被処理水は、中心配管80に設けられた取水穴81を通して濾過水流路64に導かれて、ライン15を通じて紫外線照射装置3へと送られる。
【0144】
さらに、制御装置111は、紫外線照射装置3のUVランプ142の点灯を開始する。UVランプ142の照度が所定の照度に達するまでにはある程度の時間を要する。したがって、被処理水への紫外線の照射量が、非処理水に含まれる微生物あるいは細菌の殺滅にとって不十分となる可能性がある。このため、制御装置111は、バルブ40を閉じるとともにバルブ41を開く。紫外線照射装置3を通過した被処理水は、ライン19およびライン22を通り、海へと戻される。したがって、紫外線の照射量が不十分である(言い換えると殺滅の効果が不十分である)被処理水がバラストタンク5へと送られることを防ぐことができる。
【0145】
また、紫外線照射装置3に被処理水を通すことでUVランプ142を冷却することができる。これにより、通電状態にあるUVランプ142の過熱を抑えることができる。
【0146】
図15は、取水時におけるUVランプの点灯処理を説明するための図である。図7および図15を参照して、時刻t1において、海域からバラスト水処理装置101への被処理水の汲み上げが開始される。被処理水の汲み上げ開始直後は、たとえば被処理水に空気の泡が含まれるなどの理由によって、被処理水に対する紫外線の照射量が十分ではない可能性がある。したがって照度センサ144a〜144cで検知される紫外線の照度が低い。制御装置111は、UVランプ142の照度が最大となるように、UVランプ142に供給される電力を制御する。具体的には、制御装置111は、UVランプ142の最大電力に対する、UVランプ142への供給電力の割合を100%に設定する。制御装置111は、ランプ電源143に対して、その割合(つまり100%)を指示する。このような処理によってUVランプ142の点灯処理に要する時間を短縮することができる。
【0147】
時刻t2において、UVランプ142に供給される電力が、最大電力に達する。制御装置111は、UVランプ142の供給電力を徐々に下げる。したがってUVランプ142の照度は、ピークに一旦達し、その後、徐々に低下する。時刻tsにおいて、照度センサ144a〜144cで検出された照度が目標値に達する。これにより、UVランプ142の点灯処理が完了する。
【0148】
時刻ts以後、制御装置111は、UVランプ142の照度が目標値に保たれるようにランプ電源143を制御する。好ましくは、UVランプ142に供給される電力量は、被処理水中の微生物あるいは細菌を殺滅するために必要な最低限の照度が得られるように予め設定された電力量である。これにより、UVランプ142の消費電力を節約することができる。
【0149】
このように、制御装置111は、UVランプ142の照度が最大値となるように、UVランプ142に供給される電力を制御し、UVランプの照度が最大値に達すると、UVランプ142の照度を目標値に向けて減少させる。
【0150】
図16は、図11のステップS104の処理を説明するための図である。図11を参照して、制御装置111は、バルブ40,44を開くとともにバルブ41を閉じる。被処理水は、濾過装置2によって濾過され、紫外線照射装置3によって紫外線を受ける。紫外線が照射された被処理水は、バラスト水としてバラストタンク5に蓄えられる。
【0151】
制御装置111は、流量計54が示す流量に基づいて、バルブ40,41の開度を設定する。この構成によれば、バラストポンプ1と濾過装置2との間にバルブ32が設けられている。バラストポンプ1からは、ある吐出圧で被処理水が吐出されている。しかし、バルブ32を被処理水が通過した後は、被処理水の圧力が低下する。濾過装置2に流入する被処理水の一部を排水ポンプ4が吸い込むことによって、ライン15、紫外線照射装置3およびライン20,21を通して流れる被処理水(バラスト水)の流量を確保することができる。すなわちバラスト水の処理能力を確保することができる。
【0152】
また、UVランプ142の点灯処理時あるいは、UVランプ142の点灯処理を開始するよりも前に濾過装置2のフィルタ61の洗浄を行なうことによって、UVランプ142の点灯処理が完了するとすぐに被処理水の処理を行なうことができる。これによって、バラスト水処理装置101の起動時間を短くすることができる。
【0153】
図17は、図11のステップS105およびステップS106の処理を説明するための図である。図17を参照して、バラストタンク5へのバラスト水の供給が停止される。たとえば操作者がバラストタンク5の水位を確認して、BWMSストップボタン128を押す。これにより、制御装置111にバラスト水の供給を停止するための指示が送られる。制御装置111は、この指示に応じて、バルブ40,44を閉じる一方でバルブ41を開く。これによって、ステップS104の処理(図14参照)と同様に、紫外線照射装置3を通過した被処理水は、ライン22を通り、海へと戻される。さらに、制御装置111は紫外線照射装置3のUVランプ142を消灯させる。UVランプ142の消灯後も紫外線照射装置3に被処理水を通過させる。これによってUVランプ142を冷却する効果を得ることができる。
【0154】
図18は、図11のステップS107の処理の一部を説明するための図である。図18を参照して、制御装置111は、バルブ34を閉じるとともにバルブ35を開く。これによって、ステップS102の処理(図13参照)と同様に、濾過装置2に流入した被処理水は、紫外線照射装置3には送られずに海へと戻される。
【0155】
濁質がフィルタ61に付着したままの状態で船舶が移動すると、船舶の寄港地においてフィルタ61に付着した濁質が洗浄されて、船舶の寄港地の海域に排出されることが起こり得る。その濁質の中に含まれる微生物が、船舶の寄港地の海域の生態系に影響を及ぼすことも考えられる。1つの実施の形態では、ステップS101,S102の処理と同様に、フィルタ61を洗浄する。これにより、濁質がフィルタ61に付着したままの状態で船舶が移動することを防ぐことができる。
【0156】
図19は、図18に示す処理に続く処理を説明するための図である。図19を参照して、制御装置111は排水ポンプ4を停止させる。さらに、制御装置111は、バルブ36を閉じる。これによって、ステップS101の処理(図12を参照)と同様に、濾過装置2は、被処理水を濾過することなくライン16から被処理水を排水する。その後にステップS108の処理が実行されて、バラストポンプ1が停止する。これにより、取水時の処理(Ballastモードの処理)が終了する。
【0157】
3.BWMSモードでの処理(De−Ballastモード)
図20は、本発明の実施の形態に係る、バラスト水の排水時の処理を説明するフローチャートである。図1および図20を参照して、バラスト水の排水時の処理の概要を説明する。
【0158】
まずステップS201において、バラスト水処理装置101は、バラストポンプ1の駆動を開始させる。バラストタンク5に貯留しているバラスト水がバラストポンプ1によってバラスト水処理装置101を循環するようにバルブが制御される。
【0159】
ステップS202において、UVランプ142の点灯が開始される。UVランプ142の点灯が完了すると、ステップS203において、バラスト水の排水が開始される。バラスト水はバラストタンク5から取り出されて、紫外線照射装置3に送られる。バラスト水に紫外線が照射された後、バラスト水が海に排出される。
【0160】
ステップS204において、バラスト水処理装置101は、バラスト水を再び循環させる。さらに、バラスト水処理装置101は、UVランプ142を消灯する。バラスト水の循環は所定の時間実行される。
【0161】
ステップS205において、バラスト水処理装置101は、バラストポンプ1を停止する。これにより処理が終了する。
【0162】
この実施の形態では、一旦、バラスト水に紫外線を照射してからバラスト水を海に排出する。上記のように、バラスト水の取水時に、微生物の殺滅のためにバラスト水に紫外線が照射される。しかし、バラスト水の取水時に、水中の微生物を完全に殺滅できていない可能性も考えられる。この実施の形態では、海にバラスト水を排出する直前に、バラスト水に紫外線を照射する。これにより、海に排出されるバラスト水が海域の生態系に影響を与えることを防ぐ効果がより高められる。
【0163】
なお、取水時に、被処理水に濾過処理が施されることで、被処理水から大きな異物は取り除かれている。したがってこの実施の形態では、バラスト水の排水時には濾過処理は省略される。
【0164】
図21は、図20のステップS201,S202の処理を説明するための図である。図21を参照して、制御装置111は、バラストポンプ1の駆動を開始する。
【0165】
さらに制御装置111は、バルブ44,42,33,40を開状態に設定する一方で、他のバルブを閉状態にする。バラストタンク5内のバラスト水は、バラストポンプ1によって汲み上げられて、ライン23,11を通る。さらに、バラストポンプ1から汲み上げられたバラスト水は、ライン21,23,11,12,14,15,19,20を通って循環する。すなわち、ライン21,23,11,12,14,15,19,20は、バラスト水が循環しかつ紫外線照射装置3のUVランプ142からの紫外線を受けるための循環経路を形成する。
【0166】
濾過装置2を迂回する経路(ライン14)にバラスト水を通すことで、濾過装置2による濾過を不要とすることができる。したがって、バラスト水の排出時の処理を簡素化することができる。
【0167】
さらに制御装置111は、紫外線照射装置3のUVランプ142を点灯させる。紫外線照射装置3に被処理水を通すことでUVランプ142を冷却することができる。これにより、通電状態にあるUVランプ142の過熱を抑えることができる。
【0168】
図22は、排水時におけるUVランプの点灯処理を説明するための図である。図22を参照して、時刻t11において、バラスト水処理装置101の内部でバラスト水の循環が開始される。制御装置111は、UVランプ142に最大電力を供給するようにランプ電源143を制御する。すなわち、制御装置111は、UVランプ142の最大電力に対するUVランプ142の供給電力の割合を100%に設定して、その割合(つまり100%)をランプ電源143に指定する。
【0169】
時刻t12において、UVランプ142に供給される電力が最大電力に達する。制御装置111は、時刻t12から、バラスト水処理装置を動作可能な状態に設定する。これにより紫外線の照射処理が可能になるまでに要する時間を短くすることができる。UVランプ142に供給される電力をUVランプ142にとっての最大電力とすることで、バラスト水への紫外線の照射量を上げることができる。したがって、UVランプ142の点灯開始から短時間で、紫外線の照射処理を開始することができる。
【0170】
バラストタンク5からバラスト水の汲み上げを開始した直後においては、バラスト水の濁度が一時的に高くなる可能性がある。たとえばバラストタンク5に沈殿した沈殿物が巻き上げられることによって、バラスト水の濁度が一時的に高くなることが考えられる。このような場合、バラスト水への紫外線の照射量を十分とするために、たとえば直線L1に示されるように、UVランプ142に最大電力が供給される。すなわち、時刻t12以後、ある程度の長さの時間にわたり、UVランプ142に最大電力が供給される状態が継続される。
【0171】
その後、バラスト水の濁度が低下すると、制御装置111は、UVランプ142に供給される電力が次第に低下するようにランプ電源143を制御する。
【0172】
あるいは、被処理水の濁度がそれほど大きくない場合、曲線L2に示されるように、制御装置111は、ランプ電源143を制御する。すなわち、制御装置111は、UVランプ142の供給電力が最大電力に達した後、UVランプ142の供給電力が徐々に低下するように、ランプ電源143を制御する。この場合には図15の場合と同様に、UVランプ142の照度は、ピークに一旦達し、その後、徐々に低下する。
【0173】
UVランプ142の点灯処理の間は、バラスト水が循環経路を通ることで、バラスト水処理装置101からバラスト水が排出されない。UVランプ142の点灯処理が完了して、紫外線の照射量が十分な状態で、バラスト水は紫外線を受けるとともにバラスト水処理装置101から排出される。これによって、バラスト水中に含まれる微生物を殺滅する効果を高めることができる。
【0174】
図23は、図21のステップS203の処理を説明するための図である。図23を参照して、制御装置111は、バルブ41を開状態に設定する一方で、バルブ40を閉状態に設定する。これにより、バラスト水は紫外線照射装置3を通過する際に紫外線が照射される。その後、バラスト水はライン22を通り海に排出される。
【0175】
ライン21,23,11,12,14,15,19,22は、バラスト水を貯留するバラストタンク5からバラスト水を排出するための排出経路を形成する。バラスト水が排出経路を通ってバラストタンク5から排出される際に、紫外線照射装置3が紫外線をバラスト水に照射する。これによりバラスト水中の微生物を殺滅することができる。
【0176】
バルブ40,41の一方を開くとともに他方を閉じることで循環経路と排出経路との間の切換えが行なわれる。バルブ40,41は、バラスト水の流れる経路を循環経路と排出経路との間で切換えるための切換部を構成する。また、循環経路と排出経路との間では、ライン21,23,11,12,14,15,19によって形成される経路が共通である。図7に示されるように、UVランプ142はライン15とライン19との間に配置される。すなわちUVランプ142は、排出経路および循環経路に共通する経路に設けられる。
【0177】
図24は、図21のステップS204の処理を説明するための図である。図24を参照して、制御装置111は、バルブ40を開状態に設定する一方で、バルブ41を閉状態に設定する。これにより、バラスト水は、再びバラスト水処理装置101の循環経路を通る。
【0178】
さらに、制御装置111は、紫外線照射装置3のUVランプ142を消灯させる。UVランプ142の消灯後にも紫外線照射装置3に被処理水を通過させる。これによってUVランプ142を冷却する効果を得ることができる。その後、ステップS205において、制御装置111はバラストポンプ1を停止させる。
【0179】
4.バイパスモードでの処理(バラスト水の取水)
バイパスモードでは、バラスト水処理装置101を経由せずにバラスト水の取水および排出が行なわれる。図25は、バイパスモードでのバラスト水の取水を説明するための図である。図25を参照して、制御装置111は、バルブ31,43,40,44を開状態に設定し、他のバルブを閉状態に設定する。次に制御装置111はバラストポンプ1の駆動を開始する。
【0180】
海水はライン10,11を通り、バラストポンプ1によって汲み上げられる。バラストポンプ1から吐出された海水は、ライン12,24,20,21を通り、バラストタンク5に送られる。
【0181】
5.バイパスモードでの処理(バラスト水の排水)
図26は、バイパスモードでのバラスト水の排水を説明するための図である。図26を参照して、制御装置111は、バルブ41,42,43,44を開状態に設定し、他のバルブを閉状態に設定する。次に制御装置111はバラストポンプ1の駆動を開始する。
【0182】
バラストポンプ1によって、バラスト水は、バラストタンク5から汲み上げられ、ライン23,11を通る。バラストポンプ1から吐出された海水は、ライン12,24,22を通り、海に排出される。
【0183】
なお、図18図19を参照して既に説明したように、BWMSモードでは、バラスト水をバラストタンク5に積み込んだ後に濾過装置2のフィルタ61が洗浄される。1つの実施の形態では、被処理水(バラストポンプ1によって汲み上げられた海水)をフィルタ61の外周面に噴出させることでフィルタ61が洗浄される。このような洗浄に加えて、フィルタ61の逆洗浄を行なってもよい。
【0184】
図27は、濾過装置2のフィルタ61の逆洗浄を行なうための1つの構成例を示した図である。図27を参照して、逆洗浄装置2Aは、洗浄水タンク68と、バルブ37,38と、配管によって実現されるライン25,26,27とを含む。
【0185】
次に、逆洗浄方法について説明する。まず、洗浄水の準備を行なう。濾過処理において、バルブ32,35,34は開状態に設定され、バルブ33,37は閉状態に設定される。洗浄水タンク68の上部には、圧力開放のためのバルブ38がライン26に設けられる。このバルブ38を開状態に設定する。さらに、ライン15から分岐されたライン25にバルブ37が設けられる。バルブ37を開状態にすると、濾過装置2からの濾過水が洗浄水タンク68に流入して、洗浄水タンク68の中に貯留される。洗浄水が必要量貯留すれば、バルブ37が閉状態とされる。なお、洗浄水には濾過水を利用するものと限定されず、たとえば水道水等を洗浄水タンク68に導入することもできる。
【0186】
洗浄水が準備できると、フィルタ61の逆洗浄が行なわれる。バルブ32,33,35を閉状態に設定して、通常の濾過処理を停止する。バルブ37を開状態に設定し、バルブ38を閉状態に設定する。したがって、濾過装置2のケース63と、洗浄水タンク68とがライン15で連結され、かつ他の流路の全てが閉じられた状態である。ここで、加圧配管27に圧縮空気等を流し込んで洗浄水を加圧する。バルブ37を閉じた状態で先浄水を加圧してから、バルブ37を開いてもよい。ケース63、ライン15および洗浄水タンク68の全体の内部が加圧された状態に保持される。
【0187】
次に、バルブ35が開放される(開状態にされる)。すると、洗浄水が洗浄水タンク68からライン15を通り、フィルタ61を透過する。この先浄水は、ケース63からライン16を通り、外部に一気に排出される。すなわち、濾過膜であるフィルタ61に対して、濾過するときの水の流れの向きとは逆の向きに、洗浄水が短時間に流れる。洗浄水は、濾過水流路64を流れて、中心配管80の取水穴81から噴出する。この洗浄水は、フィルタ61の内周面からフィルタ61の外周面に向けてフィルタ61を通過する。これにより、フィルタ61の外周面に付着等していた物質がフィルタ61の外周面から剥がされてフィルタ61が洗浄される。
【0188】
以上の動作によって、洗浄水タンク68に貯留された洗浄水が加圧により逆洗浄に用いられた後は、バルブ32,34,35を開状態に設定し、バルブ33,37を閉状態に設定して、濾過装置2に通常の濾過処理を行なわせる。この際、バルブ37,38を開けることで、再び洗浄水を洗浄水タンク68に貯留することができるので、洗浄動作を繰り返すことが可能となる。
【0189】
なお、洗浄動作においてモータ90は停止してもよい。ただしフィルタ61を回転させた状態でフィルタ61の逆洗浄を行なうことで、より高い洗浄効果が得られるため好ましい。これは円筒状かつプリーツ状のフィルタ61の外周面に付着した物質に、円筒内部からの洗浄水の圧力に加えて、円筒の回転による遠心力が印加されるため、濾過物が一層除去されやすくなるためである。このように、回転状態でフィルタ61の逆洗浄を行なうことで、フィルタ61を効果的に洗浄することができる。さらには、回転にフィルタ61全体の振動が加わっても、フィルタ61の洗浄効果が高まることが期待できる。
【0190】
さらに、薬液を用いてフィルタ61の洗浄を行なってもよい。図4および図27に示されるように、ケース63の蓋部には、薬液注入口70が設けられている。フィルタ61の逆洗浄を行なうことで、濾過装置2を長期間にわたり運転することができる。しかしながら、このような機械的な洗浄では落とすことができずにフィルタ61の表面に徐々に堆積してゆく物質があり得る。薬液による洗浄を併用することで、フィルタ61の寿命を延ばすことができる。
【0191】
このような薬液注入口を用いて、次の手順で薬液洗浄を行うことができる。まず、濾過運転および逆洗浄の動作を停止する。なお、フィルタ61は停止してもよく、回転状態でもよい。バルブの全てを閉状態に設定して、ケース63の内部を、被処理水または濾過水が残留し、フィルタ61が水に浸漬された状態に保持する。この状態で、薬液注入口70から洗浄用の薬液を注入する。
【0192】
フィルタ61が既に回転状態にある場合はそのまま回転状態を維持する。一方、フィルタ61が停止状態にある場合は、モータ90を回転させることで、フィルタ61を回転状態とする。回転するフィルタ61の全体に薬液が拡がり、フィルタ61の外周面が十分洗浄されるまで、この状態を一定時間保持する。その後、バルブ35を開いて、ケース63の内部の水(薬液を含む)を排水する。なお、使用する薬液に応じて、排水の前に中和液をさらに注入したり、排水後に中和等の処理を行なったりしてもよい。
【0193】
以上のように、この発明の実施の形態によれば、バラスト水処理装置101は、バラスト水を貯留するバラストタンク5からバラスト水を排出するための排出経路と、排出経路を通るバラスト水に紫外線を照射する紫外線照射装置3とを備える。このような構成によれば、バラスト水が排出経路を通ってバラストタンク5から排出される際に、紫外線照射装置3が紫外線をバラスト水に照射する。これによりバラスト水中の微生物を殺滅することができる。バラスト水を排出する直前にバラスト水の浄化処理を行なうことができるので、海域の生態系に影響を与える可能性を、より確実に低減することができる。
【0194】
なお、この実施の形態では、制御装置111,112は、バラスト水管理システム100の制御だけでなく、操作者によるバラスト水管理システム100の動作モードの設定が可能な装置として構成される。しかしながら、設定装置の数が複数であり、バラスト水管理システム100の制御装置は1つであってもよい。すなわち、その1つの制御装置が複数の設定装置での設定を受けるようにバラスト水管理システムが構成されていてもよい。このような実施の形態では、制御装置は複数の設定装置の間でバラスト水管理システム100の動作モードの設定が一致する場合に、その動作モードでバラスト水管理システム100が動作することを許可する。このような構成でも、操作者の意図しない動作モードでバラスト水管理システム100が動作することを防止することができる。なおかつ、複数の設定装置を分散して船舶に配置することによって、操作者は、自身の近くに配置された設定装置を利用することができる。したがって操作者の利便性を高めることができる。
【0195】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0196】
1 バラストポンプ、2 濾過装置、2A 逆洗浄装置、3 紫外線照射装置、4 排水ポンプ、5 バラストタンク、10〜27 ライン、27 加圧配管、31〜36,40〜44 バルブ、51,52,53,52,54 流量計、61 フィルタ、62 被処理水ノズル、63,141 ケース、64 濾過水流路、65 排出流路、66 被処理水流路、67 ノズル口、68 洗浄水タンク、70 薬液注入口、71 外筒部、72 蓋部、73 底部、80 中心配管、81 取水穴、90 モータ、91 モータカバー、100 バラスト水管理システム、101 バラスト水処理装置、102 バイパスシステム、111,122 制御装置、121,131 表示パネル、122 バイパスランプ、123 BWMSイネーブルランプ、124,132 動作モードスイッチ、125 処理モードスイッチ、126,133 BWMS準備ランプ、127 BWMSスタートボタン、128 BWMSストップボタン、129,135 非常停止ボタン、134 スタートボタン、142 UVランプ、143 ランプ電源、144a〜144c 照度センサ、C 軸線、L1 直線、L2 曲線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27