(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236900
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】排気ガス再循環装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/27 20160101AFI20171120BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
F02M26/27
F02D45/00 301F
F02D45/00 360A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-124530(P2013-124530)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-1162(P2015-1162A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲朗
【審査官】
種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−052486(JP,A)
【文献】
特開2008−267390(JP,A)
【文献】
特開2010−223179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/27
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路から排気の一部を吸気通路に配置した吸気冷却装置の上流側へ還流させる排気還流通路と、
前記排気還流通路に設けられ通過する還流ガスを冷却する還流ガスクーラと、
前記還流ガスクーラの壁面温度を検出する壁面温度検出装置と、
前記還流ガスクーラの壁面温度を制御する還流ガスクーラ制御手段とを備え、
大気温度を検出する大気温度検出装置をさらに備え、前記吸気冷却装置は、前記吸気冷却装置の壁面温度が前記大気温度に等しいと推定される空冷式であり、
前記還流ガスクーラ制御手段は、前記壁面温度検出装置により検出される前記還流ガスクーラの壁面温度が前記大気温度以下になるように制御することを特徴とする内燃機関の排気ガス再循環装置。
【請求項2】
前記還流ガスクーラ制御手段は、前記還流ガスの露点温度が前記吸気冷却装置の壁面温度以下である場合に、前記壁面温度検出装置により検出される前記還流ガスクーラの壁面温度が、前記吸気冷却装置の壁面温度以下になるように制御するものの前記還流ガスを前記露点温度にまで冷却しない制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環装置。
【請求項3】
前記還流ガスクーラは前記内燃機関を冷却する冷媒とは別系統の冷媒を用いた熱交換器を備え、
前記還流ガスクーラ制御手段は前記熱交換器を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気ガス再循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内燃機関の排気ガス再循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減するため、排気ガスの一部を燃焼室に還流する排気ガス再循環装置が用いられる。
【0003】
このような排気ガス再循環装置において、窒素酸化物の発生をさらに低減するために、燃焼室に還流される排気ガス(以下、「還流ガス」と称する)の温度を、例えば、特許文献1に示す還流ガス用の冷却装置(以下、「還流ガスクーラ」と称する)によって低下させている。
【0004】
また、還流ガスの温度を低減するために、過給器の排気タービンや触媒の下流側から還流ガスを取り出す低圧排気ガス再循環装置もある。
低圧排気ガス再循環装置では、還流通路に還流ガスクーラを備えるほか、還流ガスが吸気に再還流した後、インタークーラ等の吸気冷却装置を通過させるなど、さらなる冷却処理を施している。
【0005】
しかしながら、上述のような吸気冷却装置は空冷の場合がほとんどであり、寒冷時には吸気冷却装置内の壁面温度が、還流ガス中の水蒸気の露点以下に低下してしまう場合がある。このため、還流ガスに含まれる水蒸気が吸気冷却装置の壁面に結露することがある。この結露が続くと、水分が吸気通路内部に滞留することとなり、各部部材の耐久性を低下させるので好ましくない。
【0006】
特許文献2では、高圧排気ガス再循環装置において、排気還流通路に並列する2つの還流ガスクーラを配置し、両還流ガスクーラに供給される還流ガス量の比を調整することで、少なくとも一方の還流ガスクーラから流出する還流ガスの温度が露点温度以下になるように制御し、還流ガス中の水蒸気をある程度凝縮させ除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−23841号公報
【特許文献2】特開2011−179353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2は、還流ガス中に含まれる水蒸気をある程度凝縮させ除去することができる。しかし、並列する還流ガスクーラの少なくとも一方を通過する還流ガスの温度を、露点温度以下に制御するに留まる。
【0009】
このため、この装置を低圧排気ガス再循環装置に適用すると、還流ガス中になお残存する水蒸気が、吸気冷却装置(インタークーラ等)内で凝縮し結露する可能性がある。低圧排気ガス再循環装置は、還流ガスを吸気冷却装置の上流側に還流するからである。
また、特許文献2は、還流ガスの温度を露点温度以下に下げることを目標としているので、還流ガス中の水蒸気が必ずしも吸気冷却装置内で凝縮しない場合でも露点温度に冷却され、その結果、還流ガスは必要以上に冷却されることとなる。
【0010】
そこで、この発明の課題は、低圧排気ガス再循環装置において、還流ガスを効率的に冷却しながら、吸気冷却装置内での結露を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明の排気ガス再循環装置は、内燃機関の排気通路から排気の一部を吸気通路に配置した吸気冷却装置の上流側へ還流させる排気還流通路と、前記排気還流通路に設けられ通過する還流ガスを冷却する還流ガスクーラと、前記還流ガスクーラの壁面温度を検出する壁面温度検出装置と、前記還流ガスクーラの壁面温度を制御する還流ガスクーラ制御手段とを備え、前記還流ガスクーラ制御手段は、前記壁面温度検出装置により検出される前記還流ガスクーラの壁面温度が、前記吸気冷却装置の壁面温度以下になるように制御することを特徴とする。
【0012】
この構成において、前記吸気冷却装置の壁面温度の情報は、例えば、吸気冷却装置に温度検出装置を設けることで取得することができるが、前記還流ガスクーラ制御手段が、前記吸気冷却装置の壁面温度を大気温度検出装置によって検出された大気温度に基づいて推定するようにしてもよい。
【0013】
前記吸気冷却装置の壁面温度を大気温度に基づいて推定する際、予め、吸気冷却装置の壁面温度と大気温度との関係を測定データ等に基づいて算出しておき、実際に検出した大気温度の情報に基づいて、吸気冷却装置の壁面温度を推定する手法とできる。
また、吸気冷却装置の壁面温度は大気温度に近似しているので、前記吸気冷却装置の壁面温度を大気温度に等しいと推定し、前記還流ガスクーラ制御手段は、前記還流ガスクーラの壁面温度が前記大気温度以下になるように制御する手法としてもよい。
【0014】
前記還流ガスクーラの壁面温度の制御は、還流ガスクーラに対して種々の冷却作用を付与することで行うことができる。例えば、還流ガスクーラに隣接してモータ等によって回転する冷却ファンを設け、冷却ファンの回転の有無(オン、オフ)、又は回転速度の増減によって、還流ガスクーラの壁面温度を制御する手法がある。
また、還流ガスクーラが前記内燃機関を冷却する冷媒とは別系統の冷媒を用いた熱交換器を備えるものとし、前記還流ガスクーラ制御手段は熱交換器に対する冷媒の供給を制御して、還流ガスクーラの壁面温度を制御する手法もある。冷媒を用いれば、温度の制御が迅速で且つ容易である。冷媒を用いた熱交換器と冷却ファンとを併用してもよい。
【0015】
ここで、還流ガスクーラの壁面温度とは、還流ガスクーラを通過する還流ガスの温度にできる限り近い部分における還流ガスクーラの部材の温度であればよく、例えば、還流ガスクーラの熱交換器が備える冷却フィンの温度にすることができる。また、大気温度は、内燃機関外の大気中の温度を測定するために、適宜の位置に大気温度検出装置を設置する。還流ガス合流前の吸気であれば大気温度と同じ温度であるので、内燃機関の吸気通路内の還流ガス合流前の場所に、大気温度検出装置を設置してもよい。これらの各温度検出装置としては、熱電対等の温度センサを用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、還流ガスクーラ制御手段が、還流ガスクーラの壁面温度が吸気冷却装置の壁面温度以下になるように制御するので、還流ガス中の水蒸気が吸気冷却装置内で凝縮することを防止できる。また、還流ガスの冷却目標温度が吸気冷却装置の壁面温度であるので過度な冷却を防止し、還流ガスを効率的に冷却しながら、吸気冷却装置内での結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】この発明の還流ガスクーラの制御を示すフロー図である。
【
図4】(a)(b)は、
図1の変形例を示す還流ガスクーラの出口付近の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の排気ガス再循環装置を備えた内燃機関Eの構成を示す全体図である。
【0019】
内燃機関Eは自動車用エンジンであり、
図1に示すように、ピストンを収容した気筒内に混合気を送り込む吸気ポートに通じる吸気通路1、排気ポートから引き出された排気通路2、燃料噴射装置等を備えている。吸気ポート及び排気ポートは、それぞれバルブによって開閉される。
【0020】
吸気通路1には、吸気ポートから上流側に向かって、吸気通路1の流路面積を調節する第一のスロットルバルブ5、吸気通路1を流れる吸気を冷却する吸気冷却装置6(以下、「インタークーラ6」と称する)、ターボチャージャのコンプレッサ17、吸気通路1の流路面積を調節する第二のスロットルバルブ15、エアクリーナを収容したケース18等が設けられる。エアクリーナケース18内には、大気温度検出装置19として管内の吸気温度を検出できる温度センサが設けられている。
【0021】
排気通路2には、排気ポートから下流側に向かって、ターボチャージャのタービン7、排気中の窒素酸化物(NOx)等を除去する触媒等を備えた排気浄化部8、消音器(マフラ)9が設けられる。
【0022】
排気通路2のタービン7と排気ポートとの中途部分と、吸気通路1の吸気ポートと第一のスロットルバルブ5との中途部分は、高圧排気ガス再循環装置Hを構成する高圧排気還流通路3によって連通している。高圧排気還流通路3を介して、内燃機関Eから排出される排気ガスの一部が、還流ガスとして吸気通路1に還流する。高圧排気還流通路3には高圧排気還流弁4が設けられている。
高圧排気還流弁4の開閉と第一のスロットルバルブ5の開閉に伴う吸気通路1内の圧力状態に応じて、還流ガスが吸気通路1内の吸気に合流する。
【0023】
また、排気通路2の排気浄化部8と消音器9との中途部分と、吸気通路1のコンプレッサ17と第二のスロットルバルブ15との中途部分は、低圧排気ガス再循環装置Lを構成する低圧排気還流通路13によって連通している。低圧排気還流通路13を介して、内燃機関Eから排出される排気ガスの一部が、還流ガスとして吸気通路のインタークーラ6の上流側に還流する。この低圧排気還流通路13には低圧排気還流弁14が設けられている。そして、低圧排気還流弁14の開閉と第二のスロットルバルブ15の開閉に伴う吸気通路1内の圧力状態に応じて、還流ガスが吸気通路1内の吸気に合流する。
【0024】
低圧排気ガス再循環装置Lの低圧排気還流通路13には、還流ガスを冷却する還流ガスクーラ10が設けられている。還流ガスクーラ10には、還流ガスクーラ10の壁面温度を検出する壁面温度検出装置12が設けられている。この実施形態では、壁面温度検出装置12は熱電対からなる温度センサを採用している。壁面温度検出装置12は、還流ガスクーラ10の熱交換器11が備える冷却フィンに取付けられ、冷却フィンの温度を検出することができる。
【0025】
この実施形態では、還流ガスクーラ10として、冷媒として冷却水を用いた熱交換器11を備えた水冷式冷却装置16が用いられている。冷却装置16は、内燃機関Eの燃焼室周囲のシリンダーヘッドやシリンダーブロック等を、冷却水等の冷媒によって冷却する装置とは別系統に設けられる。すなわち、熱交換器11に導入する冷却水は、内燃機関Eのシリンダに流通する冷却水とは別系統のものであり、冷却装置16は、その別系統の冷媒が通る環状の通路16cの一部が、熱交換器11内の還流ガスの通路に面して配設されている。通路16cの途中には、冷媒冷却装置16bと冷媒の循環ポンプ16aが設けられている。
【0026】
壁面温度検出装置12により検出された還流ガスクーラ10の壁面温度、大気温度検出装置19により検出された大気温度の情報は、それぞれケーブル12a,19aを通じて、コンピュータ(Electronic Control Unit)に備えられた還流ガスクーラ制御手段20へ送られる。
【0027】
還流ガスクーラ制御手段20は、取得された還流ガスクーラ10の壁面温度の情報、大気温度の情報に基づいて、還流ガスクーラ10の壁面温度が所定の温度になるように制御する。壁面温度の制御は、還流ガスクーラ制御手段20が、ケーブル16dを通じて、熱交換器の冷媒冷却装置16bや循環ポンプ16aに指令を出して行う。
【0028】
また、
図2に示す変形例のように、空冷式の熱交換器11とすることもできる。ここでは、冷却装置16として電動の冷却ファン等を配置し、還流ガスクーラ制御手段20がケーブル16eを通じて制御を行うようにしている。ここで、前述の水冷式の熱交換器11に、電動の冷却ファンを併用してもよい。
【0029】
還流ガスクーラ制御手段20による還流ガスクーラ10の制御は、
図3に示すフロー図に基づいて行われる。
【0030】
まず、大気温度検出装置19が大気温度T
Aの情報を取得する(
図3のステップS1参照)。つぎに、壁面温度検出装置12が、還流ガスクーラ10の壁面温度T
Wの情報を取得する(
図3のステップS2参照)。
【0031】
還流ガスクーラ制御手段20は、還流ガスクーラ10の壁面温度T
Wがインタークーラ6の壁面温度以下になるように、すなわち、還流ガスクーラ10の壁面温度T
Wが大気温度T
A以下になるように制御する。この実施形態では、インタークーラ6の壁面温度は大気温度T
Aとほぼ同等であるので、インタークーラ6の壁面温度を大気温度に等しいと推定するように設定され、その設定に基づき、還流ガスクーラ制御手段20は制御を行っている。
【0032】
ここで、予め、インタークーラ6の壁面温度と大気温度T
Aとの関係を測定データ等に基づいて算出しておき、実際に検出した大気温度T
Aの情報に基づいて、還流ガスクーラ制御手段20がインタークーラ6の壁面温度を推定する手法としてもよい。
【0033】
還流ガスクーラ10の壁面温度T
Wが大気温度T
A以上であれば、還流ガスクーラ制御手段20は、還流ガスクーラ10の熱交換器の循環ポンプ16aを稼働させ、さらに、冷却ファンを用いている場合は冷却ファンを回転させ、冷却作用を続行させる(
図3のステップS3,S4参照)。還流ガスクーラ10の壁面温度T
Wが大気温度T
A以下になれば、還流ガスクーラ制御手段20は、循環ポンプ16aを停止させ、さらに、冷却ファンを用いている場合は冷却ファンの回転を停止させ、還流ガスクーラ10の冷却作用を停止させる(
図3のステップS3,S5参照)。
【0034】
還流ガスは、還流ガスクーラ10の熱交換器11のコアの内面に触れることで冷却されるので、還流ガスクーラ10の壁面温度T
Wが大気温度T
A以下になれば、還流ガスも大気温度T
A以下に冷却されている。すなわち、還流ガスは、インタークーラ6の壁面温度以下に冷却されている。このため、還流ガス中の水蒸気がインタークーラ6で凝縮することを防止できる。
【0035】
このように、還流ガス中の水蒸気の一部を、吸気系に還流させる前に結露させ除去することで、インタークーラ6内での結露を防止できるので、吸気系への液化した水の浸入を排除できる。このため、液体の水が、ブローバイガスや高圧還流ガス等に含まれる各種成分と結合してデポジット化されることを抑制できる。
【0036】
還流ガスクーラ10で液化した水蒸気は、排気系の消音器9側に設けたテールパイプから外部へ排出される。
【0037】
また、還流ガスの冷却目標温度がインタークーラ6の壁面温度であるので、還流ガスが必要以上に冷却されることがない。例えば、還流ガスの露点温度がインタークーラ6の壁面温度以下である場合を想定する。この場合、還流ガスを露点温度にまで冷却する必要はなく、少なくともインタークーラ6の壁面温度にまで冷却すれば、インタークーラ6内での結露は防止できる。このため、還流ガス冷却の目標温度をインタークーラ6の壁面温度とすることで、還流ガスに対する過度な冷却を防止できる。
【0038】
これらの各実施形態において、
図4に示す還流ガスクーラ10を採用してもよい。
図4の還流ガスクーラ10は、下流側(吸気側)及び上流側(排気側)に接続される低圧排気還流通路13が上下方向を向いていることから、還流ガスクーラ10で結露した水滴が下流側(吸気側)へ向かわないように、還流ガスクーラ10の上方に水の浸入防止手段を設けたものである。
【0039】
図4(a)の例は、水の浸入防止手段を、還流ガスクーラ10の上方の開口に設けられるもんどり形状のフィン13aで構成したものである。もんどり形状のフィン13aは、還流ガスクーラ10の出口側から内部へ向かって(上方から下方へ向かって)徐々に狭まる漏斗状の部材となっており、液化した水蒸気は漏斗状の部材の内側に入りにくい構造としている。フィン13aの下面、すなわち、漏斗状の部材の外面に付着した水蒸気は、そのまま下方へ落下する。
【0040】
図4(b)の例は、水の浸入防止手段を、還流ガスクーラ10の上方の開口に設けられるもんどり形状のフィルタ13bによって形成したものである。フィルタ13bは、触媒の破片等が吸気系過給器のコンプレッサ17等に到達しないように保護する還流ガスフィルタとしても機能する。
【0041】
フィルタ13bは、還流ガスクーラ10の出口側から内部へ向かって(上方から下方へ向かって)徐々に狭まる漏斗状、あるいは、コーン状の部材となっており、その下端は閉じられている。これにより、液化した水蒸気はフィルタ13bを通過しない限り上方へ浸入することができず、吸気側に水滴が入りにくい構造としている。フィルタの外面に付着した水蒸気は、そのまま下方へ落下する。
【0042】
このように、水の浸入防止手段としてのフィン13aやフィルタ13bを、上方から下方へ向かって徐々に狭まる形状とすることで、結露した水が吸気側に浸入することを確実に防止できる。
【符号の説明】
【0043】
1 吸気通路
2 排気通路
3 高圧排気還流通路
4 高圧排気還流弁
5 第一のスロットルバルブ
6 吸気冷却装置(インタークーラ)
7 タービン
8 排気浄化部
9 消音器
10 還流ガスクーラ
11 熱交換器
12 壁面温度検出装置
13 低圧排気還流通路
14 低圧排気還流弁
15 第二のスロットルバルブ
16 冷却装置
19 大気温度検出装置
20 還流ガスクーラ制御手段