【実施例】
【0011】
(
参考例1)
本例の実施例に係る電力変換装置につき、
図1〜
図3を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、
図1〜
図3に示すように、半導体モジュール11を含む主回路部10と、コンデンサ素子21とを備える。そして、電力変換装置1は、主回路部10を内部に収納する主回路ケース30と、コンデンサ素子21を内部に収納するとともに、一方側に開口部22を有するコンデンサケース23と、を備える。
コンデンサケース23は、開口部22が主回路ケース30によって覆われるように、主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)に固定されている。そして、主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)とコンデンサケース23との間には、両者の間をシールするシール部24が形成されている。主回路ケース30には、シール部24の内側において、コンデンサケース23の上記開口部22と連通する貫通部34が形成されている。開口部22から延出された上記コンデンサ素子21の接続端子25が、貫通部34を介して上記半導体モジュール11と電気的に接続されている。
【0012】
以下、本例の電力変換装置1の構成要素について、詳述する。
主回路部ケース30は、
図1〜
図3に示すように、ベースプレート31と、カバー32とを備える。ベースプレート31は、金属製であって、
図2に示すように、板状部材である。ベースプレート31の一方の面31aには、半導体モジュール11が配置されている。半導体モジュール11は、インバータを構成する電子部品の一部である。半導体モジュール11は、ベースプレート31の一方の面31aの中央に固定されている。ベースプレート31において、半導体モジュール11の一端部11aに近接した部分には、貫通部34が形成されている。貫通部34は、ベースプレート31の一方の面31aから反対側の他方の面31bまで貫通した矩形の孔である。
【0013】
カバー32は、
図1〜
図3に示すように、ベースプレート31の一方の面31aに固定されている。カバー32は平面視形状が矩形であって、ベースプレート31の平面視形状と一致している。カバー32の外周部分には、フランジ部32aが形成されている。カバー32のフランジ部32aよりも内側部分には、フランジ部32aに対してベースプレート31と反対方向に膨出した膨出部32bが形成されている。フランジ部32aは、ベースプレート31の一方の面31aにおける外周部分と当接するように平板状となっている。フランジ部32aの四隅にはネジ孔32cがそれぞれ形成されている。ベースプレート31においても四隅にはネジ孔31cがそれぞれ形成されている。カバー32は、フランジ部32aがベースプレート31の一方の面31aにおける外周部分に当接して、締結部材33によりベースプレート31に固定されている。これにより、カバー32の膨出部32b内に、半導体モジュール11が位置して、カバー32とベースプレート31の間に半導体モジュール11が収納されている。そして、カバー32とベースプレート31により、主回路ケース30が形成され、ベースプレート31の他方の面31bが主回路ケース30の外側面の一部を形成することとなっている。
【0014】
コンデンサケース23は、
図1〜
図3に示すように、ベースプレート31の一方の面31aと反対側の面である、他方の面31bに固定されている。コンデンサケース23は、箱状を成しており、ベースプレート31側が開口して開口部22となっている。コンデンサケース23において、ベースプレート31側の縁部、すなわち、開口部22の縁部には、フランジ部23aが形成されている。フランジ部23aは、ベースプレート31の他方の面31bの外形に沿って、外側に膨出するように形成されているとともに、ベースプレート31の他方の面31bにおける外周部分と当接するように平板状となっている。コンデンサケース23の内部には、コンデンサ素子21が配置されている。本例では2個のコンデンサ素子21が備えられている。コンデンサ素子21は、コンデンサケース23の内部において、封止樹脂により形成された封止部26によって、樹脂封止されている。
【0015】
ベースプレート31の貫通部34に対向する位置において、各コンデンサ素子21の接続端子25が、封止部26からコンデンサケース23の開口部22側にそれぞれ引き出されている。これにより、各コンデンサ素子21の接続端子25が、開口部22から延出することとなっている。
【0016】
コンデンサケース23は、フランジ部23aがベースプレート31の他方の面31bにおける外周部分に当接して、締結部材33によりベースプレート31に固定されている。これにより、コンデンサケース23の開口部22がベースプレート31の他方の面31bによって覆われている。そして、開口部22から延出している接続端子25が、ベースプレート31の貫通部34を介して、主回路ケース30の内側に位置している。当該接続端子25は、半導体モジュール11の一端側の端部11aに設けられた図示しない接続端子に電気的に接続されている。
【0017】
図2、
図3に示すように、主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)とコンデンサケース23との間には、両者の間をシールするシール部24が形成されている。シール部24は、コンデンサケース23のフランジ部23aにおいて、コンデンサケース23の開口部22を囲むように形成されている。本例では、シール部24は、液状のシール部材(液状ガスケット)をフランジ部23aに塗布して形成されている。当該シール部24がベースプレート31の他方の面31bとコンデンサケース23との間に介在して、両者に当接することにより、両者の間がシールされることとなる。また、シール部24はコンデンサケース23のフランジ部23aとベースプレート31の他方の面31bとの間に設けられているため、貫通部34は、シール部24の内側(シール部24によってシールされている領域内)に位置することとなっている。
【0018】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について、詳述する。
電力変換装置1では、コンデンサ素子21を収納するコンデンサケース23が主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)に固定されている。そのため、コンデンサ素子21はコンデンサケース23に収納されているが、主回路ケース30には収納されていない。そして、コンデンサ素子21の接続端子25は、コンデンサケース23の開口部22と主回路ケース30の貫通部34とを介して、半導体モジュール11に接続されており、主回路ケース30とコンデンサケース23との間はシール部材24によってシールされている。これにより、コンデンサ素子21に対して従来の二重構造とならず、装置全体を小型化することができる。
【0019】
また、本例の電力変換装置1では、主回路ケース30は、ベースプレート31及びカバー32を備える。ベースプレート31の一方の面31aには、半導体モジュール11が取り付けられているとともに、カバー32が半導体モジュール11を覆うように取り付けられている。一方、ベースプレート31の他方の面31bは、コンデンサケース23が固定されている主回路ケース30の外側面を構成している。これにより、コンデンサケース23を主回路ケース30の外側面への取り付ける際の作業性が向上される。
【0020】
また、本例の電力変換装置1では、シール部24は、コンデンサケース23のフランジ部23aには、液状のシール部材(液状ガスケット)が塗布されて形成されている。これにより、フランジ部23a及びベースプレート31の他方の面31bに対する、シール部材の馴染みがよく、両者間に高いシール性が得られる。また、シール面表面粗さの緩和が可能であるため、例えばシール面の切削加工が不要となり、加工コストの低減が図られる。
【0021】
さらに、本例の電力変換装置1では、コンデンサケース23は、主回路ケース30の外側面31bに対して、締結部材(本例ではネジ33)を介して固定されている。これにより、コンデンサケース23と主回路ケース30との間がシールされた状態で、両者を確実に固定できる。
【0022】
また、本例の電力変換装置1では、コンデンサケース23は、金属製である。これにより、コンデンサケース23に収納されているコンデンサ素子21に対するノイズ遮蔽効果を奏する。さらに、コンデンサケース23の機械的強度の向上が図られる。
【0023】
本例では、シール部24において、コンデンサケース23のフランジ部23aに液状のシール部材(液状ガスケット)を塗布したが、これに限定されない。例えば、ベースプレート31の他方の面31bに液状ガスケットを塗布してもよいし、フランジ部23aとベースプレート31の他方の面31bの両方に塗布してもよい。いずれの場合もフランジ部23aに塗布した場合と同等の効果が得られる。
【0024】
(
実施例1)
本例の電力変換装置1は、
参考例1におけるベースプレート31(
図3)に替えて、
図4に示すペースプレート310を備える。その他の構成要素において、
参考例1の場合と同様の構成要素には
参考例1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0025】
図4、
図5に示すように、ベースプレート310は、冷媒が流通する通路である冷媒流路311を内部に備える。冷媒流路311は、ベースプレート310の内部において、高さ方向Zに垂直な幅方向Yに沿って櫛状に設けられた複数の冷却フィン311aによって、幅方向Yに沿って複数形成されている。そして、ベースプレート310の内部において、冷媒流路311におけるY方向の一端側には、幅方向Y及びに高さ方向Zに垂直な長手方向Xに沿って、各冷媒流路311に連通している入口側ヘッダ部312が設けられている。さらに、ベースプレート310の内部において、冷媒流路311におけるY方向の他端側には、長手方向Xに沿って、各冷媒流路311に連通している出口側ヘッダ部313が設けられている。入口側ヘッダ部312の一端には冷媒導入管314が接続され、出口側ヘッダ部313の一端には冷媒排出管315が接続されている。半導体モジュール11は、
図5に示すように、ベースプレート310の一方の面31aにおいて、平面視で冷媒流路311と重なるように配置されている。
【0026】
図5において矢印Rで示すように、冷媒は、冷媒導入管314を介して入口側ヘッダ部312に導入され、入口側ヘッダ部312から、各冷媒流路311にそれぞれ流入する。そして、冷媒と半導体モジュール11との間で熱交換がなされ、半導体モジュール11が冷却される。その後、冷媒は各冷媒流路311から出口側ヘッダ部313に流入し、出口側ヘッダ部313を流通して冷媒排出管315から排出される。なお、貫通部34は、ベースプレート310において冷媒流路311が形成されていない部分に形成されている。
【0027】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について、詳述する。
本例の電力変換装置1によれば、冷媒流路311により、半導体モジュール11を冷却することができる。冷媒流路311はベースプレート310の内部に形成されているため、別途の冷却器を設ける場合に比べて、装置全体を小型化することができる。さらに、ベースプレート310の他方の面31bにはコンデンサケース23が固定されているため、ベースプレート310の内部に設けられている冷媒流路311を流通する冷媒によってコンデンサケース23が冷却され、ひいてはコンデンサ素子21も冷却されることとなる。これにより、装置全体の冷却効果が向上する。
なお、本例の電力変換装置1によっても、
参考例1の場合と同様の作用効果を奏する。
【0028】
本例では、冷却流路311は、ベースプレート310の内部に形成されていることとしたが、これに限定されない。例えば、
参考例1におけるベースプレート31と半導体モジュール11との間に、別途冷媒流路311を備える冷却器を設けることとしてもよい。
【0029】
(
参考例2)
本例の電力変換装置は、
参考例1におけるベースプレート31に替えて、
図6、
図7に示すベースプレート350を備える。その他の構成要素において、
参考例1の場合と同様の構成要素には
参考例1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0030】
本例の電力変換装置1において、
図7に示すように、ベースプレート350は、平板部351、側壁部352、ボス部353、及び延出部354を備える。平板部351は平面視矩形の平板状であって、その一方の面31aには半導体モジュール11が配置されている。平板部351には、貫通部34が形成されている。側壁部352は、平板部351の外周に形成されている。側壁部352は、平板部351に対して、Z方向において半導体モジュール11側に立設されている。ボス部353は、側壁部352の四隅に沿って、Z方向に形成されている。ボス部353には、半導体モジュール11を覆うカバー32がネジ331によって固定されている。
また、側壁部352が、Z方向において半導体モジュール11と反対側に延出することにより延出部354が形成されている。延出部354と平板部351とによって、後述のコンデンサケース23の嵌入部232が嵌入可能な凹状の被嵌入部355が形成されている。
【0031】
コンデンサケース23は、
図6、
図7に示すように、平面視(Z方向から見た場合)において、その外形が、ベースプレート350の被嵌入部355の外形よりもごくわずかに小さくなっている。そして、コンデンサケース23の側壁231の外周面における開口部22側の端部は、ベースプレート310の被嵌入部355に嵌入されて、嵌入部232となっている。嵌入部232において、ベースプレート350の延出部354に対向する部位には、溝部233が形成されている。溝部233は、嵌入部232において周方向全域に形成されている。溝部233にはゴム製のOリング状のシール部材41が設けられている。嵌入部232がベースプレート310の被嵌入部355に嵌入されることにより、シール部材41がベースプレート350の被嵌入部355の内側面に当接することとなっている。これによって、主回路ケース30とコンデンサケース23との間がシールされて、いわゆる軸シールがなされることにより、シール部24が形成されている。そして、コンデンサケース23は、締結部材(ネジ332)を介して、ベースプレート350の他方の面31bに固定されている。
【0032】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について、詳述する。
本例では、シール部24において、シール部材41は、コンデンサケース23の溝部233に設けられている。これにより、シール部材41がコンデンサケース23に保持されるため、主回路ケース30とコンデンサケース23との間のシール部24におけるシール性が向上する。
【0033】
また、本例では、コンデンサケース23は、主回路ケース30の被嵌入部355に嵌入される嵌入部232を有している。そして、嵌入部232における延出部354に対向する部位には、溝部233が形成されている。嵌入部232が被嵌入部355に嵌入されることにより、シール部24において軸シールがなされている。これにより、ベースプレート350の側壁352の外側に膨出するフランジ部23a(
図1、
図2)を設ける必要がないため、電力変換装置1の平面視形状(Z方向における投影面積)を小さくすることができる。
なお、本例の電力変換装置1は、
参考例1の場合と同様の作用効果を奏する。
【0034】
(
参考例3)
本例の電力変換装置1は、
図8に示すように、ベースプレート350に係合部356が形成されているとともに、コンデンサケース23に係合爪234が備えられている。
参考例2の場合と同等の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
係合部356は、
図8、
図9に示すように、平板部351に設けられた貫通部である。本例では、ベースプレート350において、X方向の一端側の側壁352と反対側の側壁352に沿ってそれぞれ2個ずつ、合計4個の係合部356が形成されている。一方、係合爪234は、コンデンサケース23の嵌入部232の上端において、各係合部356に対向する位置にそれぞれ、ベースプレート350側に突出するように形成されている。
コンデンサケース23の嵌入部232が、ベースプレート350の被嵌入部355に嵌入されることにより、各係合爪234が、係合部356に挿入されて係合されることとなる。
【0036】
本例の電力変換装置1によれば、各係合爪234が、係合部356に係合されることにより、コンデンサケース23がベースプレート350の他方側の面31bに固定される。これにより、ネジなどの締結部材が不要となるため、部品点数を削減することができる。また、コンデンサケース23の嵌入部232をベースプレート350の被嵌入部355に嵌入するだけで、コンデンサケース23をベースプレート350の他方の面31bに固定できるため、コンデンサケース23の組み付け作業性が高まる。なお、本例の電力変換装置1は、
参考例1及び
参考例2の場合と同様の作用効果を奏する。