特許第6236904号(P6236904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236904
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20171120BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M3/00 Y
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-128594(P2013-128594)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-6031(P2015-6031A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 幸司
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−232564(JP,A)
【文献】 特開2013−099053(JP,A)
【文献】 特開2005−137116(JP,A)
【文献】 特開2013−051882(JP,A)
【文献】 特開2013−017335(JP,A)
【文献】 特開2009−044891(JP,A)
【文献】 特開2009−253183(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02149973(EP,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第02023473(EP,A2)
【文献】 特開2013−027218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュール(11)を含む主回路部(10)と、コンデンサ素子(21)とを備える電力変換装置(1)であって、
上記主回路部(10)を内部に収納する主回路ケース(30)と、
上記コンデンサ素子(21)を内部に収納するとともに、一方側に開口部(22)を有するコンデンサケース(23)と、
を備え、
上記コンデンサケース(23)は、上記開口部(22)が上記主回路ケース(30)によって覆われるように、上記主回路ケース(30)の外側面(31b)に固定されているとともに、上記主回路ケース(30)の上記外側面(31b)と上記コンデンサケース(23)との間には、両者の間をシールするシール部(24)が形成されており、
上記主回路ケース(30)には、上記シール部(24)の内側において、上記コンデンサケース(23)の上記開口部(22)と連通する貫通部(34)が形成されており、
上記開口部(22)から延出された上記コンデンサ素子(21)の接続端子(25)が、上記貫通部(34)を介して上記半導体モジュール(11)と電気的に接続されており、
上記主回路ケース(30)は、ベースプレート(310)及びカバー(32)を備え、該ベースプレート(310)の一方の面(31a)には、上記半導体モジュール(11)が取り付けられているとともに、上記カバー(32)が上記半導体モジュール(11)を覆うように取り付けられており、上記ベースプレート(310)の他方の面(31b)は、上記コンデンサケース(23)が固定されている上記主回路ケース(30)の上記外側面(31b)を構成しており、
上記ベースプレート(310)には、上記半導体モジュール(11)を冷却する冷媒流路(311)が形成されており、
上記コンデンサ素子(21)は、上記コンデンサケース(23)の内部において、封止樹脂により形成された封止部(26)によって、樹脂封止されており、
上記コンデンサ素子(21)の上記接続端子(25)は、上記封止部(26)における上記開口部(22)側の表面である封止面から上記主回路ケース(30)へ向かって突出しており、
上記封止部(26)の上記封止面は上記ベースプレート(310)に対向していることを特徴とする電力変換装置(1)。
【請求項2】
上記シール部(24)において、上記主回路ケース(30)の外側面(31b)及び上記コンデンサケース(23)のいずれか一方には、液状のシール部材が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置(1)。
【請求項3】
上記シール部(24)において、上記主回路ケース(30)及び上記コンデンサケース(23)のいずれか一方には溝部(233)が形成されているとともに、該溝部(233)には上記主回路ケース(30)の上記外側面(31b)と上記コンデンサケース(23)との間をシールするシール部材(41)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項4】
上記主回路ケース(30)及び上記コンデンサケース(23)のいずれか一方は、他方に嵌入される嵌入部(232)を有しており、該嵌入部(232)における上記他方と対向する部位に、上記溝部(233)が形成されていることを特徴とする請求項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項5】
上記コンデンサケース(23)は、上記主回路ケース(30)の上記外側面(31b)に対して、締結部材(33、332)を介して固定されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項6】
上記コンデンサケース(23)は、上記主回路ケース(30)に設けられた係合部(356)に係合する係合爪(234)を有しており、該係合爪(234)が上記係合部(356)に係合することにより、上記コンデンサケース(23)が上記主回路ケース(30)の上記外側面(31b)に固定されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項7】
上記コンデンサケース(23)は、金属製であることを特徴する請求項1〜のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等にはインバータやコンバータ等の電力変換装置が搭載されている。このような電力変換装置の例として、特許文献1に、半導体モジュールやコンデンサなどの複数の電子部品とこれらを収納する装置ケースとを備える電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−44891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、コンデンサ素子がコンデンサケースに収納された状態で装置ケースに収納されている。すなわち、コンデンサ素子がコンデンサケースと装置ケースとによって覆われた二重構造となっている。そのため、コンデンサケースを収納するケースの内部において無駄な空間が生じる恐れがあり、装置全体として大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、小型化することができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
半導体モジュールを含む主回路部と、コンデンサ素子とを備える電力変換装置であって、
上記主回路部を内部に収納する主回路ケースと、
上記コンデンサ素子を内部に収納するとともに、一方側に開口部を有するコンデンサケースと、
を備え、
上記コンデンサケースは、上記開口部が上記主回路ケースによって覆われるように、上記主回路ケースの外側面に固定されているとともに、上記主回路ケースの上記外側面と上記コンデンサケースとの間には、両者の間をシールするシール部が形成されており、
上記主回路ケースには、上記シール部の内側において、上記コンデンサケースの上記開口部と連通する貫通部が形成されており、
上記開口部から延出された上記コンデンサ素子の接続端子が、上記貫通部を介して上記半導体モジュールと電気的に接続されており、
上記主回路ケースは、ベースプレート及びカバーを備え、該ベースプレートの一方の面には、上記半導体モジュールが取り付けられているとともに、上記カバーが上記半導体モジュールを覆うように取り付けられており、上記ベースプレートの他方の面は、上記コンデンサケースが固定されている上記主回路ケースの上記外側面を構成しており、
上記ベースプレートには、上記半導体モジュールを冷却する冷媒流路が形成されており、
上記コンデンサ素子は、上記コンデンサケースの内部において、封止樹脂により形成された封止部によって、樹脂封止されており、
上記コンデンサ素子の上記接続端子は、上記封止部における上記開口部側の表面である封止面から上記主回路ケースへ向かって突出しており、
上記封止部の上記封止面は上記ベースプレートに対向していることを特徴とする電力変換装置にある。
【発明の効果】
【0007】
上記電力変換装置においては、コンデンサ素子を収納するコンデンサケースが主回路ケースの外側面に固定されている。そのため、コンデンサ素子はコンデンサケースに収納されているが、主回路ケースには収納されていない。そして、コンデンサ素子の接続端子は、コンデンサケースの開口部と主回路ケースの貫通部とを介して半導体モジュールに接続されており、主回路ケースとコンデンサケースとの間はシールされている。これにより、コンデンサ素子に対して従来の二重構造とする必要がなく、装置全体を小型化することができる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、小型化することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1参考例1における、電力変換装置の斜視図。
図2参考例1における、電力変換装置の分解斜視図。
図3図1における、III−III線断面図。
図4実施例1における、図1のIII−III線位置相当断面図。
図5実施例1における、ベースプレートの上面図。
図6参考例2における、電力変換装置の分解斜視図。
図7参考例2における、図1のIII−III線位置相当断面図。
図8参考例3における、電力変換装置の分解斜視図。
図9参考例3における、図1のIII−III線位置相当断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される電力変換装置として使用することができる。
【実施例】
【0011】
参考例1
本例の実施例に係る電力変換装置につき、図1図3を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1図3に示すように、半導体モジュール11を含む主回路部10と、コンデンサ素子21とを備える。そして、電力変換装置1は、主回路部10を内部に収納する主回路ケース30と、コンデンサ素子21を内部に収納するとともに、一方側に開口部22を有するコンデンサケース23と、を備える。
コンデンサケース23は、開口部22が主回路ケース30によって覆われるように、主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)に固定されている。そして、主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)とコンデンサケース23との間には、両者の間をシールするシール部24が形成されている。主回路ケース30には、シール部24の内側において、コンデンサケース23の上記開口部22と連通する貫通部34が形成されている。開口部22から延出された上記コンデンサ素子21の接続端子25が、貫通部34を介して上記半導体モジュール11と電気的に接続されている。
【0012】
以下、本例の電力変換装置1の構成要素について、詳述する。
主回路部ケース30は、図1図3に示すように、ベースプレート31と、カバー32とを備える。ベースプレート31は、金属製であって、図2に示すように、板状部材である。ベースプレート31の一方の面31aには、半導体モジュール11が配置されている。半導体モジュール11は、インバータを構成する電子部品の一部である。半導体モジュール11は、ベースプレート31の一方の面31aの中央に固定されている。ベースプレート31において、半導体モジュール11の一端部11aに近接した部分には、貫通部34が形成されている。貫通部34は、ベースプレート31の一方の面31aから反対側の他方の面31bまで貫通した矩形の孔である。
【0013】
カバー32は、図1図3に示すように、ベースプレート31の一方の面31aに固定されている。カバー32は平面視形状が矩形であって、ベースプレート31の平面視形状と一致している。カバー32の外周部分には、フランジ部32aが形成されている。カバー32のフランジ部32aよりも内側部分には、フランジ部32aに対してベースプレート31と反対方向に膨出した膨出部32bが形成されている。フランジ部32aは、ベースプレート31の一方の面31aにおける外周部分と当接するように平板状となっている。フランジ部32aの四隅にはネジ孔32cがそれぞれ形成されている。ベースプレート31においても四隅にはネジ孔31cがそれぞれ形成されている。カバー32は、フランジ部32aがベースプレート31の一方の面31aにおける外周部分に当接して、締結部材33によりベースプレート31に固定されている。これにより、カバー32の膨出部32b内に、半導体モジュール11が位置して、カバー32とベースプレート31の間に半導体モジュール11が収納されている。そして、カバー32とベースプレート31により、主回路ケース30が形成され、ベースプレート31の他方の面31bが主回路ケース30の外側面の一部を形成することとなっている。
【0014】
コンデンサケース23は、図1図3に示すように、ベースプレート31の一方の面31aと反対側の面である、他方の面31bに固定されている。コンデンサケース23は、箱状を成しており、ベースプレート31側が開口して開口部22となっている。コンデンサケース23において、ベースプレート31側の縁部、すなわち、開口部22の縁部には、フランジ部23aが形成されている。フランジ部23aは、ベースプレート31の他方の面31bの外形に沿って、外側に膨出するように形成されているとともに、ベースプレート31の他方の面31bにおける外周部分と当接するように平板状となっている。コンデンサケース23の内部には、コンデンサ素子21が配置されている。本例では2個のコンデンサ素子21が備えられている。コンデンサ素子21は、コンデンサケース23の内部において、封止樹脂により形成された封止部26によって、樹脂封止されている。
【0015】
ベースプレート31の貫通部34に対向する位置において、各コンデンサ素子21の接続端子25が、封止部26からコンデンサケース23の開口部22側にそれぞれ引き出されている。これにより、各コンデンサ素子21の接続端子25が、開口部22から延出することとなっている。
【0016】
コンデンサケース23は、フランジ部23aがベースプレート31の他方の面31bにおける外周部分に当接して、締結部材33によりベースプレート31に固定されている。これにより、コンデンサケース23の開口部22がベースプレート31の他方の面31bによって覆われている。そして、開口部22から延出している接続端子25が、ベースプレート31の貫通部34を介して、主回路ケース30の内側に位置している。当該接続端子25は、半導体モジュール11の一端側の端部11aに設けられた図示しない接続端子に電気的に接続されている。
【0017】
図2図3に示すように、主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)とコンデンサケース23との間には、両者の間をシールするシール部24が形成されている。シール部24は、コンデンサケース23のフランジ部23aにおいて、コンデンサケース23の開口部22を囲むように形成されている。本例では、シール部24は、液状のシール部材(液状ガスケット)をフランジ部23aに塗布して形成されている。当該シール部24がベースプレート31の他方の面31bとコンデンサケース23との間に介在して、両者に当接することにより、両者の間がシールされることとなる。また、シール部24はコンデンサケース23のフランジ部23aとベースプレート31の他方の面31bとの間に設けられているため、貫通部34は、シール部24の内側(シール部24によってシールされている領域内)に位置することとなっている。
【0018】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について、詳述する。
電力変換装置1では、コンデンサ素子21を収納するコンデンサケース23が主回路ケース30の外側面(ベースプレート31の他方の面31b)に固定されている。そのため、コンデンサ素子21はコンデンサケース23に収納されているが、主回路ケース30には収納されていない。そして、コンデンサ素子21の接続端子25は、コンデンサケース23の開口部22と主回路ケース30の貫通部34とを介して、半導体モジュール11に接続されており、主回路ケース30とコンデンサケース23との間はシール部材24によってシールされている。これにより、コンデンサ素子21に対して従来の二重構造とならず、装置全体を小型化することができる。
【0019】
また、本例の電力変換装置1では、主回路ケース30は、ベースプレート31及びカバー32を備える。ベースプレート31の一方の面31aには、半導体モジュール11が取り付けられているとともに、カバー32が半導体モジュール11を覆うように取り付けられている。一方、ベースプレート31の他方の面31bは、コンデンサケース23が固定されている主回路ケース30の外側面を構成している。これにより、コンデンサケース23を主回路ケース30の外側面への取り付ける際の作業性が向上される。
【0020】
また、本例の電力変換装置1では、シール部24は、コンデンサケース23のフランジ部23aには、液状のシール部材(液状ガスケット)が塗布されて形成されている。これにより、フランジ部23a及びベースプレート31の他方の面31bに対する、シール部材の馴染みがよく、両者間に高いシール性が得られる。また、シール面表面粗さの緩和が可能であるため、例えばシール面の切削加工が不要となり、加工コストの低減が図られる。
【0021】
さらに、本例の電力変換装置1では、コンデンサケース23は、主回路ケース30の外側面31bに対して、締結部材(本例ではネジ33)を介して固定されている。これにより、コンデンサケース23と主回路ケース30との間がシールされた状態で、両者を確実に固定できる。
【0022】
また、本例の電力変換装置1では、コンデンサケース23は、金属製である。これにより、コンデンサケース23に収納されているコンデンサ素子21に対するノイズ遮蔽効果を奏する。さらに、コンデンサケース23の機械的強度の向上が図られる。
【0023】
本例では、シール部24において、コンデンサケース23のフランジ部23aに液状のシール部材(液状ガスケット)を塗布したが、これに限定されない。例えば、ベースプレート31の他方の面31bに液状ガスケットを塗布してもよいし、フランジ部23aとベースプレート31の他方の面31bの両方に塗布してもよい。いずれの場合もフランジ部23aに塗布した場合と同等の効果が得られる。
【0024】
実施例1
本例の電力変換装置1は、参考例1におけるベースプレート31(図3)に替えて、図4に示すペースプレート310を備える。その他の構成要素において、参考例1の場合と同様の構成要素には参考例1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0025】
図4図5に示すように、ベースプレート310は、冷媒が流通する通路である冷媒流路311を内部に備える。冷媒流路311は、ベースプレート310の内部において、高さ方向Zに垂直な幅方向Yに沿って櫛状に設けられた複数の冷却フィン311aによって、幅方向Yに沿って複数形成されている。そして、ベースプレート310の内部において、冷媒流路311におけるY方向の一端側には、幅方向Y及びに高さ方向Zに垂直な長手方向Xに沿って、各冷媒流路311に連通している入口側ヘッダ部312が設けられている。さらに、ベースプレート310の内部において、冷媒流路311におけるY方向の他端側には、長手方向Xに沿って、各冷媒流路311に連通している出口側ヘッダ部313が設けられている。入口側ヘッダ部312の一端には冷媒導入管314が接続され、出口側ヘッダ部313の一端には冷媒排出管315が接続されている。半導体モジュール11は、図5に示すように、ベースプレート310の一方の面31aにおいて、平面視で冷媒流路311と重なるように配置されている。
【0026】
図5において矢印Rで示すように、冷媒は、冷媒導入管314を介して入口側ヘッダ部312に導入され、入口側ヘッダ部312から、各冷媒流路311にそれぞれ流入する。そして、冷媒と半導体モジュール11との間で熱交換がなされ、半導体モジュール11が冷却される。その後、冷媒は各冷媒流路311から出口側ヘッダ部313に流入し、出口側ヘッダ部313を流通して冷媒排出管315から排出される。なお、貫通部34は、ベースプレート310において冷媒流路311が形成されていない部分に形成されている。
【0027】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について、詳述する。
本例の電力変換装置1によれば、冷媒流路311により、半導体モジュール11を冷却することができる。冷媒流路311はベースプレート310の内部に形成されているため、別途の冷却器を設ける場合に比べて、装置全体を小型化することができる。さらに、ベースプレート310の他方の面31bにはコンデンサケース23が固定されているため、ベースプレート310の内部に設けられている冷媒流路311を流通する冷媒によってコンデンサケース23が冷却され、ひいてはコンデンサ素子21も冷却されることとなる。これにより、装置全体の冷却効果が向上する。
なお、本例の電力変換装置1によっても、参考例1の場合と同様の作用効果を奏する。
【0028】
本例では、冷却流路311は、ベースプレート310の内部に形成されていることとしたが、これに限定されない。例えば、参考例1におけるベースプレート31と半導体モジュール11との間に、別途冷媒流路311を備える冷却器を設けることとしてもよい。
【0029】
参考例2
本例の電力変換装置は、参考例1におけるベースプレート31に替えて、図6図7に示すベースプレート350を備える。その他の構成要素において、参考例1の場合と同様の構成要素には参考例1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0030】
本例の電力変換装置1において、図7に示すように、ベースプレート350は、平板部351、側壁部352、ボス部353、及び延出部354を備える。平板部351は平面視矩形の平板状であって、その一方の面31aには半導体モジュール11が配置されている。平板部351には、貫通部34が形成されている。側壁部352は、平板部351の外周に形成されている。側壁部352は、平板部351に対して、Z方向において半導体モジュール11側に立設されている。ボス部353は、側壁部352の四隅に沿って、Z方向に形成されている。ボス部353には、半導体モジュール11を覆うカバー32がネジ331によって固定されている。
また、側壁部352が、Z方向において半導体モジュール11と反対側に延出することにより延出部354が形成されている。延出部354と平板部351とによって、後述のコンデンサケース23の嵌入部232が嵌入可能な凹状の被嵌入部355が形成されている。
【0031】
コンデンサケース23は、図6図7に示すように、平面視(Z方向から見た場合)において、その外形が、ベースプレート350の被嵌入部355の外形よりもごくわずかに小さくなっている。そして、コンデンサケース23の側壁231の外周面における開口部22側の端部は、ベースプレート310の被嵌入部355に嵌入されて、嵌入部232となっている。嵌入部232において、ベースプレート350の延出部354に対向する部位には、溝部233が形成されている。溝部233は、嵌入部232において周方向全域に形成されている。溝部233にはゴム製のOリング状のシール部材41が設けられている。嵌入部232がベースプレート310の被嵌入部355に嵌入されることにより、シール部材41がベースプレート350の被嵌入部355の内側面に当接することとなっている。これによって、主回路ケース30とコンデンサケース23との間がシールされて、いわゆる軸シールがなされることにより、シール部24が形成されている。そして、コンデンサケース23は、締結部材(ネジ332)を介して、ベースプレート350の他方の面31bに固定されている。
【0032】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について、詳述する。
本例では、シール部24において、シール部材41は、コンデンサケース23の溝部233に設けられている。これにより、シール部材41がコンデンサケース23に保持されるため、主回路ケース30とコンデンサケース23との間のシール部24におけるシール性が向上する。
【0033】
また、本例では、コンデンサケース23は、主回路ケース30の被嵌入部355に嵌入される嵌入部232を有している。そして、嵌入部232における延出部354に対向する部位には、溝部233が形成されている。嵌入部232が被嵌入部355に嵌入されることにより、シール部24において軸シールがなされている。これにより、ベースプレート350の側壁352の外側に膨出するフランジ部23a(図1図2)を設ける必要がないため、電力変換装置1の平面視形状(Z方向における投影面積)を小さくすることができる。
なお、本例の電力変換装置1は、参考例1の場合と同様の作用効果を奏する。
【0034】
参考例3
本例の電力変換装置1は、図8に示すように、ベースプレート350に係合部356が形成されているとともに、コンデンサケース23に係合爪234が備えられている。参考例2の場合と同等の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
係合部356は、図8図9に示すように、平板部351に設けられた貫通部である。本例では、ベースプレート350において、X方向の一端側の側壁352と反対側の側壁352に沿ってそれぞれ2個ずつ、合計4個の係合部356が形成されている。一方、係合爪234は、コンデンサケース23の嵌入部232の上端において、各係合部356に対向する位置にそれぞれ、ベースプレート350側に突出するように形成されている。
コンデンサケース23の嵌入部232が、ベースプレート350の被嵌入部355に嵌入されることにより、各係合爪234が、係合部356に挿入されて係合されることとなる。
【0036】
本例の電力変換装置1によれば、各係合爪234が、係合部356に係合されることにより、コンデンサケース23がベースプレート350の他方側の面31bに固定される。これにより、ネジなどの締結部材が不要となるため、部品点数を削減することができる。また、コンデンサケース23の嵌入部232をベースプレート350の被嵌入部355に嵌入するだけで、コンデンサケース23をベースプレート350の他方の面31bに固定できるため、コンデンサケース23の組み付け作業性が高まる。なお、本例の電力変換装置1は、参考例1及び参考例2の場合と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0037】
1 電力変換装置
10 主回路部
11 半導体モジュール
21 コンデンサ素子
22 開口部
25 接続端子
23 コンデンサケース
24 シール部
30 主回路部ケース
34 貫通部
図1
図2
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図5
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図9