(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のプリンターにおいて、給送トレイ装着時の用紙の種類の入力画面を非表示設定にすると、異なる種類の用紙をセットした給送トレイを装着した場合に、用紙の種類の変更設定を別途行う必要が生じ、ユーザーの手間となる。その一方で、給送トレイ装着時の用紙の種類の入力画面を表示設定にすると、用紙の種類を変更せずに用紙をセットした給送トレイを装着する場合でも、本来必要でない用紙の種類の入力画面が毎回表示され、ユーザーの手間となる。こうして、上記従来のプリンターでは、給送トレイが装着された際に、用紙の種類の入力画面を表示する場合も表示しない場合も、ユーザーの手間となるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題のうち少なくとも1つに鑑みてなされたものである。その目的は、新たな媒体を媒体供給源にセットした後に、その媒体のセットに伴って生じるユーザーの手間を低減することができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する印刷装置は、第1媒体供給源と、以前と異なる種類の媒体がセットされる頻度が前記第1媒体供給源よりも多い第2の媒体供給源と、を備える。ここで、第1媒体供給源とは、セットできる媒体の種類が第2媒体供給源よりも少ない媒体供給源、又はセットできる媒体量が第2媒体供給源よりも多い媒体供給源のことをいう。一方、以前と異なる種類の媒体がセットされる頻度が前記第1媒体供給源よりも多い第2の媒体供給源とは、セットできる媒体の種類が第1媒体供給源よりも多い媒体供給源、又はセットできる媒体量が第1媒体供給源よりも少ない媒体供給源のことをいう。
【0007】
さらに、同印刷装置は、前記第1媒体供給源及び前記第2媒体供給源から供給された前記媒体に印刷を行う印刷部と、前記第1媒体供給源及び前記第2媒体供給源に、新たな前記媒体がセットされたことを検出する検出部と、新たな前記媒体がセットされたことを前記検出部が検出した場合に、セットした前記媒体の種類をユーザーに問合せする問合せ部と、前記第1媒体供給源に対する前記問合せの禁止指示をユーザーから受け付ける一方、前記第2媒体供給源に対する前記禁止指示をユーザーから受け付けない受付部と、前記受付部が前記禁止指示を受け付けた前記第1媒体供給源に対して、前記問合せ部の前記問合せを禁止する禁止部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、第1媒体供給源及び第2媒体供給源に、新たな媒体がセットされたときに、ユーザーに対して同媒体の種類の問合せを行うことで、その応答としてユーザーにより入力される媒体の種類の情報に基づき、印刷装置は、各媒体供給源にセットされている媒体の種類を認識することができる。
【0009】
ここで、第1媒体供給源が第2媒体供給源に比べて、セットできる媒体の種類(例えば、媒体のサイズや媒体の質種など)が少ない場合には、第1媒体供給源に以前と異なる種類の媒体がセットされる頻度は、第2媒体供給源に以前と異なる種類の媒体がセットされる頻度よりも低いことが予想される。一方、第1媒体供給源が第2媒体供給源に比べて、セットできる媒体量が多い場合には、第1媒体供給源が同一種類の媒体を大量印刷する際の媒体供給源に適することとなり、第2媒体供給源が複数種類の媒体を少量印刷する際の媒体供給源に適することとなる。したがって、この場合でも、第1媒体供給源に以前と異なる種類の媒体がセットされる頻度は、第2媒体供給源に以前と異なる種類の媒体がセットされる頻度よりも低いことが予想される。
【0010】
そこで、上記構成の印刷装置は、そうした異なる種類の媒体がセットされる頻度が第2媒体供給源よりも低い第1媒体供給源に対しては、新たな媒体をセットする際のユーザーに対する媒体の種類の問合せの禁止指示を同ユーザーから受け付けた場合に、媒体の種類の問合せを禁止する。その一方で、上記構成の印刷装置は、そうした異なる種類の媒体がセットされる頻度が第1媒体供給源よりも高い第2媒体供給源に対しては、新たな媒体をセットする際のユーザーに対する媒体の種類の問合せの禁止指示を同ユーザーから受け付けず、媒体の種類の問合せを都度許容する。
【0011】
こうして、異なる種類の媒体がセットされる可能性が第2媒体供給源よりも低い第1媒体供給源に媒体がセットされる場合には、ユーザーにセットした媒体の種類の問合せを行わないようにもできる。一方、異なる種類の媒体がセットされる可能性が第1媒体供給源よりも高い第2媒体供給源に媒体がセットされる場合には、ユーザーにセットした媒体の種類の問合せを行うようにできる。こうして、各媒体供給源に対して新たな媒体がセットされた際に、媒体の種類が変更された可能性が高い場合には媒体の種類の問合せを行うことができ、媒体の種類が変更された可能性が低い場合には媒体の種類の問合せを行わないようにできる。したがって、新たな媒体を媒体供給源にセットした後に、その媒体のセットに伴って生じるユーザーの手間を低減することができる。
【0012】
上記印刷装置は、前記第1媒体供給源及び前記第2媒体供給源にセットされている前記媒体の種類を表示可能な表示部をさらに備え、前記問合せ部は、新たな前記媒体がセットされたことを前記検出部が検出した場合には、前記媒体の種類を前記表示部に表示させて問合せすることが望ましい。
【0013】
上記構成によれば、表示部を介して、第1媒体供給部及び第2媒体供給部にセットされている媒体の種類の問合せが可能となるため、ユーザーが媒体の種類の問合せ作業を容易に行うことができる。
【0014】
上記印刷装置において、前記問合せ部は、前記第1媒体供給源に新たな前記媒体がセットされたことを前記検出部が検出した場合には、前記禁止指示を受け付け可能な表示を前記表示部に表示させる一方、前記第2媒体供給源に新たな前記媒体がセットされたことを前記検出部が検出した場合には、前記禁止指示を受け付け可能な表示を前記表示部に表示させないことが望ましい。
【0015】
上記構成によれば、第1媒体供給源に新たな媒体がセットされたときには、表示部に禁止指示を受け付け可能な表示をして、ユーザーに禁止指示を行うか否かを選択させることができる。その一方で、第2媒体供給源に新たな媒体がセットされたときには、表示部に禁止指示を受け付け可能な表示をしないで、ユーザーに禁止指示を行えないようにすることができる。こうして、第1媒体供給源に新たな媒体がセットされたときと、第2媒体供給源に新たな媒体がセットされたときとで、表示部に表示する画面を変更することで、ユーザーが誤って第2媒体供給源に対して禁止指示を行うことを防止することができる。
【0016】
上記印刷装置は、前記第1媒体供給源及び前記第2媒体供給源にセットされている前記媒体の種類を記憶する記憶部をさらに備え、前記印刷部は、前記記憶部が記憶している前記媒体の種類及びユーザーから指定された前記媒体の種類に応じて、前記第1媒体供給源及び前記第2媒体供給源の何れか一方の媒体供給源を選択して、その一方の媒体供給源にセットされている前記媒体に印刷を行うことが望ましい。
【0017】
上記構成によれば、第1媒体供給源及び第2媒体供給源に媒体の種類の異なる媒体をセットした状態で、印刷装置に対してユーザーが媒体の種類を指定した印刷指示をした場合には、ユーザーが指定した種類の媒体がセットされた媒体供給源から供給された媒体に印刷が行われる。したがって、所望の種類の媒体がセットされた媒体供給源をユーザーが選択せずとも、ユーザーが指定した種類の媒体に印刷を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、印刷装置をインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター」ともいう。)に具体化した一実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すプリンター11は、スキャン機能、プリント機能、コピー機能、及びファクシミリ機能を併せ持つ複合機である。プリンター11は、略直方体形状を有する装置本体12と、装置本体12の前面(
図1では右手前面)に設けられた操作パネル13とを備えている。操作パネル13には、表示部14及び複数の操作スイッチからなる操作部15が設けられている。操作部15には、電源スイッチ15a、印刷開始ボタン15b及び各種モードを切り替えるモード切替えボタン15cなどが含まれる。なお、本実施形態の表示部14はその画面に表示されたボタンに触れるとそのボタンに対応する内容を選択入力可能なタッチパネルになっており、このタッチパネル機能も操作部の一部を構成する。
【0020】
図1に示すように、装置本体12の前面下部には、媒体の一例としての用紙Pを収容可能な複数(
図1の例では三つ)のカセット型の給送トレイ16〜18が、それぞれ装置本体12の収容凹部に対して着脱可能(挿抜可能)な状態で装着されている。複数の給送トレイ16〜18のうちの一つから給送された用紙Pは、装置本体12内の背面側に配置された用紙反転経路(図示省略)に沿って反転した後、搬送方向Yに沿って搬送される。また、装置本体12の背面側には用紙Pを載置可能な手差し型の給送トレイ19が設けられている。なお、以降の説明では、カセット型の給送トレイ16〜18を「給送カセット16〜18」ともいい、手差し型の給送トレイ19を「手差しトレイ19」ともいう。また、三つの給送カセット16〜18を区別する場合には、上側から順に、第1給送カセット16、第2給送カセット17、第3給送カセット18ともいう。さらに、給送カセット16〜18と手差しトレイ19とを合わせて、給送トレイ16〜19ともいう。
【0021】
図1に示すように、装置本体12内には、搬送方向Yと交差する主走査方向X(本例では幅方向)に延びるガイド軸21に案内されて往復移動可能なキャリッジ22が設けられている。キャリッジ22の下部に取り付けられた印刷ヘッド23は、搬送される媒体の一例としての用紙P(
図1では二点鎖線で示す)にインク滴を噴射可能な複数のノズルを有している。そして、印刷ヘッド23は、キャリッジ22が主走査方向Xに往復移動しながらインク滴を噴射することで、用紙Pの表面に文書又は画像等の印刷を行う。印刷済みの用紙Pは、搬送方向Yへ送られ、装置本体12の正面の操作パネル13の下側で給送カセット16〜18の上側の位置に開口する排出口24から排出される。そして、排出された用紙Pは、例えば突出状態に引き延ばされたスライド式の排出スタッカー25(排出トレイ)上に積載される。
【0022】
このように
図1に示すプリンター11では、装置本体12における下部がプリンター部26となっている。そして、プリンター部26の上側にスキャナー部27が配置されている。スキャナー部27は、装置本体12の上面部に配置された原稿読取り面を有する不図示の原稿台と、その上側に装置本体12に対して原稿台を覆う閉状態と原稿台を覆わない開状態とに開閉可能なカバー28とを有する。カバー28の上部には、複数枚の原稿をセットしてスキャナー部27へ一枚ずつ給送可能な自動原稿給送ユニット29(オートドキュメントフィーダー)が設けられている。
【0023】
次に、上述した給送カセット16〜18にセットされる用紙Pと、手差しトレイ19にセットされる用紙Pとの差異について説明する。
給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比較して、多数の用紙Pを収容可能であり、その収容可能な用紙量の上限は一例として500枚となっている。一方、手差しトレイ19は、給送カセット16〜18に比較して、少数の用紙Pを収容可能であり、その収容可能な用紙量の上限は一例として100枚となっている。こうした点で、本実施形態では、給送カセット16〜18が「第1媒体供給源」の一例に相当し、手差しトレイ19が「セットできる媒体量(用紙量)が第1媒体供給源よりも少ない第2媒体供給源」の一例に相当している。
【0024】
また、給送カセット16〜18と手差しトレイ19とは、収容可能な「用紙の種類」が異なっている。ここで、本実施形態における「用紙の種類」とは、用紙のサイズを示す「用紙サイズ」と用紙の質に関する種類を示す「質種」とを含む概念を意味する。具体的には、給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比較して、収容可能な「用紙サイズ」が限られている。一例として、給送カセット16〜18は、A4判、A5判、B5判、レター、及びリーガルなどのサイズの用紙Pを収容可能であるのに対して、手差しトレイ19は、給送カセット16〜18が収容可能な用紙Pに加えて、L判、2L判、A6判、及びハガキなどの給送カセット16〜18よりも小さいサイズの用紙Pを収容可能である。また、給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比較して、収容可能な「質種」も限られている。一例として、給送カセット16〜18は、普通紙、再生紙、上質紙、色付き紙などの質種の用紙Pを収容可能であるのに対して、手差しトレイ19は、給送カセット16〜18が収容可能な用紙Pに加えて、光沢紙、ラベルシート、厚紙などの質種の用紙Pを収容可能である。こうした点で、本実施形態では、給送カセット16〜18が「第1媒体供給源」の一例に相当し、手差しトレイ19が「セットできる媒体の種類(用紙の種類)が第1媒体供給源よりも多い第2媒体供給源」の一例に相当している。なお、給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比較して、収容可能な「用紙サイズ」が限られていれば、収容可能な「質種」は等しくてもよい。また、給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比較して、収容可能な「質種」が限られていれば、収容可能な「用紙サイズ」は等しくてもよい。
【0025】
以上より、給送カセット16〜18は手差しトレイ19に比べてセットできる用紙量が多いため、習慣的に同一の種類の用紙Pを大量印刷する際の用紙供給源に適している。一方、手差しトレイ19は給送カセット16〜18に比べ、習慣的に異なる種類の媒体を少量印刷する際の用紙供給源に適している。このため、給送カセット16〜18に以前と異なる種類の用紙Pがセットされる頻度は、手差しトレイ19に以前と異なる種類の用紙Pがセットされる頻度よりも低くなる。すなわち、給送カセット16〜18は手差しトレイ19よりもセットされる用紙の種類が変更される頻度が低く、手差しトレイ19は給送カセット16〜18よりもセットされる用紙の種類が変更される頻度が高くなる。
【0026】
次に
図2に基づいてプリンター11の電気的構成を説明する。
図2に示すように、プリンター11は、その全体的な制御を司るコントローラー30、操作パネル13、スキャンエンジン31、プリントエンジン32、及びファクシミリ通信部(以下「FAX通信部33」と称す)を備えている。また、プリンター11は、外部メモリーインターフェイス(以下「外部メモリーI/F34」と称す)及び通信インターフェイス(以下「通信I/F35」と称す)を備えている。
【0027】
プリントエンジン32は、印刷ヘッド23、キャリッジ22を移動させる動力源となるキャリッジモーター36、給送トレイ16〜19から用紙Pを給送する動力源となる給送モーター37、給送された用紙Pを搬送する動力源となる搬送モーター38、印刷ヘッド23をクリーニングするクリーニング装置39などを備えている。
【0028】
外部メモリーI/F34は、スロット12aに挿入された外部記憶媒体EM(例えばメモリーカード)に対して、コントローラー30のアクセスを可能にする。通信I/F35は、プリンター11をホスト装置100と接続し、ホスト装置100からの印刷指令をプリンター11に伝達可能とする。なお、ホスト装置100には、パーソナルコンピューターや携帯情報端末などが用いられる。
【0029】
コントローラー30は、コンピューター40を備えている。コンピューター40は、CPU41(中央処理装置)、ASIC42(Application Specific IC(特定用途向けIC))、不揮発性メモリー43及びRAM44を備えている。不揮発性メモリー43には、プリンター11における各種制御に必要なプログラムが記憶され、CPU41がプログラムを実行することによりプリンター11の各種制御が行われる。
【0030】
さらに不揮発性メモリー43には、各給送トレイ16〜19とそれにセットされている用紙の種類との対応関係を示す設定データSD(
図3参照)が記憶されている。具体的には、設定データSDには、第1給送カセット16には用紙サイズが「A4」であって質種が「普通紙」である用紙Pがセットされ、手差しトレイ19には用紙サイズが「B5」であって、質種が「光沢紙」である用紙Pがセットされているといった情報が含まれている。また、設定データSDには、給送カセット16〜18に対しては、後述する「非表示設定」の設定情報が含まれている。こうした点で、本実施形態では、不揮発性メモリー43が、給送カセット16〜18及び手差しトレイ19にセットされている用紙の種類を記憶する記憶部の一例に相当している。
【0031】
図2に示すように、装置本体12内には、給送モーター37を動力源として各給送カセット16〜18にセットされた用紙Pを一枚ずつ送り出す機能を有する給送駆動部46が給送カセット16〜18毎に設けられている。各給送駆動部46は、装置本体12側のフレームに対して軸支された揺動部材47の先端部に回転可能に支持されたピックアップローラー48を備えている。給送カセット16〜18のうちの一つのピックアップローラー48が回転すると、その給送カセット16〜18にセットされた用紙群のうち最上位の一枚が給送方向下流側へ送り出される。また、手差しトレイ19の基端部近傍位置に設けられた給送ローラー49が、給送モーター37の動力で回転駆動することにより、手差しトレイ19上の用紙群のうち最上位の一枚が給送方向下流側へ送り出される。
【0032】
図2に示すように、装置本体12には、給送カセット16〜18の取外し及び装着を検知可能なトレイセンサー51〜53が給送カセット16〜18毎に設けられている。これらのトレイセンサー51〜53はコントローラー30の入力端子に接続されている。
【0033】
また、装置本体12又は給送カセット16〜18には、給送カセット16〜18上の用紙Pの有無を検知可能な紙センサー54〜56が設けられている。また、装置本体12には、手差しトレイ19上の用紙Pの有無を検知可能な紙センサー57が設けられている。これらの紙センサー54〜57は、コントローラー30の入力端子に接続されている。
【0034】
また、紙センサー54〜57は、給送トレイ16〜19上の用紙Pを検知したときに紙有りの旨の検知信号をコントローラー30に出力し、給送トレイ16〜19上に用紙Pがないときに紙無しの旨の非検知信号をコントローラー30に出力する。このため、コントローラー30は、紙センサー54〜57からの信号を基に給送トレイ16〜19上の用紙Pの残量があるかどうかを確認可能である。
【0035】
次に、
図3を用いてコントローラー30の機能的構成について説明する。コントローラー30は、プログラムを実行するCPU41によりソフトウェアとして構築される機能部分、及びASIC42内の回路に書き込まれたプログラムにより構築される機能部分として制御部60を備えている。
【0036】
図3に示す制御部60は、印刷制御をはじめとするプリンター11における各種印刷制御を司る印刷制御部61と、FAX通信部33で受信したFAX原稿を印刷するファクシミリ制御部62とを備えている。また、制御部60は、セットした用紙の種類をユーザーに問い合わせする問合せ部63と、問合せ部63の問合せに対する応答を受け付ける受付部64と、問合せ部63のユーザーに対する問合せを禁止する禁止部65とを備えている。
【0037】
印刷制御部61は、ユーザーからの印刷指示によって通信I/F35から印刷データが入力された場合などに、プリントエンジン32を駆動制御して入力された印刷データに基づいて印刷を行う。このとき、印刷制御部61は、設定データSDを参照して、給送トレイ16〜19のうちユーザーから指定された種類(用紙サイズ・質種)の用紙Pがセットされた一つの給送トレイを選択する。そして、印刷制御部61は、プリントエンジン32を駆動制御して、その選択した給送トレイから給送された用紙Pに印刷を行う。こうした点で、本実施形態では、印刷制御部61及びプリントエンジン32が印刷部の一例に相当している。また、ファクシミリ制御部62は、FAX通信部33からFAX信号が出力された場合にプリントエンジン32を駆動制御してFAX原稿の印刷を行う。すなわち、ファクシミリ制御部62及びプリントエンジン32も印刷部の一例に相当している。
【0038】
問合せ部63は、給送カセット16〜18及び手差しトレイ19のうちの1つに、新たな用紙Pがセットされたことをトレイセンサー51〜53及び紙センサー54〜57に基づいて検出した場合に、表示部14に
図4(a),(b)に示す問合せ画面80A,80Bを表示して、ユーザーにセットした用紙の種類の問合せを行う。具体的には、問合せ部63は、各トレイセンサー51〜53からの信号に基づき各給送カセット16〜18が引き出された後に再び装置本体12に装着されたことを判断した場合に、紙センサー54〜56からの信号に基づき再装着された給送カセットの中に用紙Pが存在するかを判断する。そして、問合せ部63は、その給送カセットの中に用紙Pが存在することを判断した場合に、ユーザーに対してその給送カセットにセットされた用紙の種類の入力を促す問合せ画面80Aを表示部14に表示させる。また、問合せ部63は、紙センサー57からの信号に基づき手差しトレイ19上の用紙Pが一旦無くなって非検知状態になった後、再び用紙Pを検知した場合に、ユーザーに対してその手差しトレイ19にセットされた用紙の種類の入力を促す問合せ画面80Bを表示部14に表示させる。こうした点で、本実施形態では、トレイセンサー51〜53及び紙センサー54〜57が給送カセット16〜18及び手差しトレイ19に新たに用紙Pがセットされたことを検出する検出部の一例に相当している。なお、本実施形態において「給送カセットに新たに用紙Pがセットされた」ということは、単に取り外されている給送カセットに新たに用紙Pがセットされたということを意味するのではない。給送カセットが引き出された後に再び装置本体12に装着され、かつ、その時点で給送カセット中に用紙Pがセットされていたということを意味する。なお、
図4(a)では、図面の省略のために、給送カセット16〜18用の問合せ画面を代表して、第1給送カセット16用の問合せ画面80Aを示している。
【0039】
また、本実施形態では、プリンター11を操作して印刷する場合(ホスト装置100からの印刷指示以外の場合)、印刷条件設定及び印刷指示のうち少なくとも一方は表示部14に表示される画面上の操作で行われるので、印刷を行うためには問合せ画面80A,80Bを終了させる必要がある。
【0040】
さて、問合せ画面80A,80Bには、給送トレイ16〜19にセットされた用紙Pの用紙サイズを設定するときに操作される用紙サイズボタン81と、質種を設定するときに操作される質種ボタン82と、問合せ画面80A,80Bを終了させるときに操作される設定終了ボタン83とが設けられている。また、給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aには、「次回用紙セット時に、この画面を表示しない」ようにするか否かを選択できるチェックボックス84が設けられている。
【0041】
そして、
図4(a),(b)に示す問合せ画面80A,80Bにおいて、用紙サイズボタン81を選択操作すると、
図4(c)に示す用紙サイズ選択画面85に切り替わる。この用紙サイズ選択画面85の例では、用紙サイズの選択対象として、A4判、B5判、A5判、レターなどの用紙サイズの候補の一覧がボタン86で表示される。画面85中の矢印キー87を操作するとその操作した矢印の方向へ画面がスクロールされ、全ての用紙サイズのボタン86を選択可能となっている。
図4(c)の例に示すように、用紙サイズとして同図に太枠で示された「B5」のボタン86が選択されると、
図4(a),(b)の問合せ画面80A,80Bに切り替わり、用紙サイズボタン81の表示が「A4」から「B5」に変更される。
【0042】
一方、
図4(a),(b)に示す問合せ画面80A,80Bにおいて、質種ボタン82を選択操作すると、
図4(d)に示す質種選択画面88に切り替わる。この質種選択画面88の例では、普通紙、再生紙、上質紙、色付き紙などのプリンター11が対応可能な質種の候補の一覧がボタン89で表示される。画面88中の矢印キー87を操作するとその操作した矢印の方向へ画面がスクロールされ、全ての質種のボタン89を選択可能となっている。
図4(d)の例に示すように、質種として同図に太枠で示された「色付き紙」のボタン89が選択されると、
図4(a),(b)の問合せ画面80A,80Bに切り替わり、質種ボタン82の表示が「普通紙」から「色付き紙」に変更される。
【0043】
なお、上述したように、給送カセット16〜18にセットできる用紙の種類は、手差しトレイ19にセットできる用紙の種類よりも少なくなっている。このため、実際には、給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aから用紙サイズ選択画面85に切り替えた場合に選択できる用紙サイズの選択肢は、手差しトレイ19用の問合せ画面80Bから用紙サイズ選択画面85に切り替えた場合に選択できる用紙サイズの選択肢よりも少なくなる。同様に、実際には、給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aから質種選択画面88に切り替えた場合に選択できる質種の選択肢は、手差しトレイ19用の問合せ画面80Bから質種選択画面88に切り替えた場合に選択できる質種の選択肢よりも少なくなる。
【0044】
また、
図4(a)に示す給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aにおいては、「次回用紙セット時に、この画面を表示しない」ことを意味する「非表示設定」をユーザーが希望する場合に、チェックボックス84にチェックを入れられるようになっている。一方、「非表示設定」をユーザーが希望しない場合には、チェックボックス84にチェックを入れない。このようにして、問合せ画面80A上では、「非表示設定」を設定するか否かをユーザーが選択できるようになっている。こうして、問合せ部63は、給送カセット16〜18に新たな用紙Pがセットされたことを、トレイセンサー51〜53及び紙センサー54〜56からの信号に基づき検出した場合に、非表示設定(禁止指示)を受け付け可能な問合せ画面80Aを表示部14に表示させる。また、問合せ部63は、手差しトレイ19に新たな用紙Pがセットされたことを、紙センサー57が検出した場合に、非表示設定(禁止指示)を受け付け不能な問合せ画面80Bを表示部14に表示させる。そして、用紙サイズと質種との設定が終了した後に設定終了ボタン83を選択することで、問合せ部63の問合せ画面80A,80Bが終了する。なお、設定終了ボタン83は、設定を何も変更しない場合に、問合せ画面80A,80Bを終了する際に操作されるキャンセルボタンの機能も有している。もちろん、設定終了ボタン83とは別にキャンセルボタンを設けてもよい。
【0045】
受付部64は、問合せ部63の問合せに対して、ユーザーが操作部15を介して入力した問合せの応答を受け付け、それを設定データSDに記憶させる。具体的には、給送カセット16〜18に対しては、用紙サイズ、質種、及び非表示設定に係る問合せの応答をユーザーから受け付けて設定データSDに記憶させる。一方、手差しトレイ19に対しては、用紙サイズ及び質種に係る問合せの応答をユーザーから受け付けて設定データSDに記憶させる。こうして、本実施形態の受付部64は、問合せ部63の給送カセット16〜18に対する問合せの禁止指示(非表示設定)をユーザーから受け付ける一方、問合せ部63の手差しトレイ19に対する問合せの禁止指示(非表示設定)をユーザーから受け付けないようにしている。なお、こうした問合せ部63及び受付部64は、ユーザーが何れかの給送トレイ16〜19の用紙Pを以前と異なる種類の用紙Pに交換した際に、その給送トレイに実際にセットされた用紙の種類と、その給送トレイの設定データSD上の用紙の種類とが、対応しなくなることを抑制するために設けられている。
【0046】
禁止部65は、設定データSDを参照して、非表示設定が設定された給送カセット16〜18に、新たな用紙Pがセットされた際に、同給送カセット16〜18に対して、問合せ部63が問合せ画面80Aを表示させることを禁止する。すなわち、非表示設定とは、給送カセット16〜18毎に設定されるものであり、同非表示設定が設定された給装カセットに対して、用紙Pがセットされたときの問合せ画面80Aを表示するか否かを決定するものである。このため、非表示設定は、設定データSD上に対応する給送カセット16〜18毎にフラグとして記憶される。一例として、フラグは、非表示設定でなければ「0(零)」、非表示設定であれば「1」などとすればよい。
【0047】
次に、
図5に示すフローチャートを参照して、制御部60が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、処理ルーチンは、プリンター11の電源投入後、逐次実行されるものとする。
【0048】
図5に示す本処理ルーチンでは、まずステップS11において、制御部60は、新たな用紙Pが給送トレイ16〜19(給送カセット16〜18及び手差しトレイ19)にセットされたか否かをトレイセンサー51〜53及び紙センサー54〜57の検出結果に基づいて判定する。そして、給送トレイ16〜19に新たな用紙Pがセットされていない場合(ステップS11:NO)、制御部60は、新たな用紙Pが何れかの給送トレイ16〜19にセットされるまでステップS11の判定処理を繰り返し実行する。一方、給送トレイ16〜19に新たな用紙Pがセットされた場合(ステップS11:YES)、制御部60は、その処理をステップS12に移行する。
【0049】
ステップS12において、制御部60は、用紙Pがセットされた給送トレイが給送カセット16〜18であるか否かを判定する。用紙Pがセットされた給送トレイが給送カセット16〜18である場合(ステップS12:YES)、制御部60は、その処理をステップS13に移行する。
【0050】
ステップS13において、制御部60は、設定データSDを参照して、その給送カセットが非表示設定になっているか否かを判定する。その給送カセットが非表示設定になっている場合(ステップS13:YES)、制御部60は、その処理を一旦終了する。一方、その給送カセットが非表示設定になっていない場合(ステップS13:NO)、制御部60は、その処理をステップS14に移行する。なお、給送カセットが非表示設定になっている場合(ステップS13:YES)とは、対応する設定データSDのフラグが「1」となっている場合である。また、給送カセットが非表示設定になっていない場合(ステップS13:NO)とは、対応する設定データSDのフラグが「0(零)」になっている場合である。
【0051】
ステップS14において、制御部60は、給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aを表示部14に表示させる。ここで、
図4(a)に示すように、給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aでは、用紙のサイズ、質種、及び非表示設定の設定が可能となっている。
【0052】
続いて、ステップS15において、制御部60は、問合せに対するユーザーによる設定が終了したか否かを判定する。問合せに対する設定が終了する場合とは、上述した問合せ画面80Aを介して、ユーザーが用紙の種類の設定を変更して設定終了ボタン83を操作する場合や、ユーザーが用紙の種類の設定を変更することなく設定終了ボタン83を操作する場合をいう。そして、問合せに対する設定が終了していない場合(ステップS15:NO)、制御部60は、ユーザーから用紙の種類の設定終了の入力があるまで、ステップS15の判定処理を繰り返し実行する。一方、ユーザーが問合せに対する設定を終了した場合(ステップS15:YES)、制御部60は、その処理をステップS16に移行する。
【0053】
ステップS16において、制御部60は、ユーザーが非表示設定をしたか否かを判定する。ユーザーが非表示設定をしなかった場合(ステップS16:NO)、制御部60は、その処理を後述するステップS18に移行する。一方、ユーザーが非表示設定をした場合(ステップS16:YES)、制御部60は、その処理をステップS17に移行する。
【0054】
ステップS17において、制御部60は、ユーザーが設定した「非表示設定」を対応する給送カセットの設定データSDに記憶する。すなわち、フラグ「1」に変更する。そして、非表示設定を記憶したら、次のステップS18において、制御部60は、ユーザーが設定した用紙の種類の情報を、設定データSDにおけるその給送カセットに対応する部分を書き替えることで記憶して、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0055】
一方、先のステップS12において、用紙Pがセットされた給送トレイが手差しトレイ19であった場合(ステップS12:NO)、制御部60は、その処理をステップS19に移行する。
【0056】
ステップS19において、制御部60は、手差しトレイ19用の問合せ画面80Bを表示部14に表示させる。ここで、
図4(b)に示すように、手差しトレイ19用の問合せ画面80Bでは、用紙のサイズ及び質種の設定が可能となっており、非表示設定の設定は不可能となっている。
【0057】
そして、次のステップS20において、制御部60は、ユーザーから問合せに対する設定が終了したか否かを判定し、問合せに対する設定が終了していない場合(ステップS20:NO)、問合せに対する設定が終了するまでステップS20の判定処理を繰り返し実行する。一方、問合せに対する設定が終了した場合(ステップS20:YES)、制御部60は、その処理をステップS18に移行する。
【0058】
そして、ステップS18において、制御部60は、ユーザーが設定した用紙の種類の情報を、設定データSDにおける手差しトレイ19に対応する部分を書き替えることで記憶して、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0059】
なお、本実施形態では、ステップS12,S14,S19が問合せ部63の行う処理の一例に相当し、ステップS13が禁止部65の行う処理の一例に相当し、ステップS16,S17,S18が受付部64の行う処理の一例に相当している。また、1つ目の給送トレイに新たな用紙Pがセットされて上述の処理を行っている最中に、2つ目の給送トレイに新たな用紙Pがセットされた場合は、1つ目の給送トレイに対する上述の処理を終了した直後に引き続いて2つ目の給送トレイに対する上述の処理を行う。
【0060】
次に、本実施形態のプリンター11の作用について説明する。作用に係る説明では、第1給送カセット16は基本的に同一種類の用紙Pが継続してセットされるものとし、第2給送カセット17及び手差しトレイ19はセットされる用紙Pの種類が変更されるものとする。また、初期状態では、各給送カセット16〜18の非表示設定は設定されていないものとする。
【0061】
さて、プリンター11のユーザーが、第1給送カセット16に新たな用紙Pをセットした場合には、表示部14に
図4(a)に示す問合せ画面80Aが表示される。第1給送カセット16は、同一種類の用紙Pが継続してセットされるため、ユーザーは、用紙の種類の設定を以前の設定から変更する必要がない。そして、次回以降に第1給送カセット16に新たな用紙Pをセットした場合に、表示部14に問合せ画面80Aを表示させないように、チェックボックス84にチェックを入れた状態で設定終了ボタン83を操作する。こうして、第1給送カセット16に対して非表示設定が設定されることで、次回以降に第1給送カセット16に新たな用紙Pをセットした場合に、問合せ画面80Aが表示部14に表示されなくなる。したがって、同一種類の用紙Pが継続してセットされる第1給送カセット16に対しては、問合せ画面80Aを表示させるか否かを選択させ、繰り返し問合せ画面80Aを表示させなくすることで、ユーザーが問合せ画面80Aを終了させる操作をしなくて済み手間が低減される。
【0062】
また、プリンター11のユーザーが、第2給送カセット17に新たな用紙Pをセットした場合には、表示部14に
図4(a)に示す問合せ画面80Aが上部の表記が「第2給送カセット」となった状態で表示される。第2給送カセット17は、セットされる用紙Pの種類が変更される可能性があり、以前と異なる種類の用紙Pがセットされる場合には、ユーザーは、用紙の種類の設定を以前の設定から変更する。そして、次回以降に第2給送カセット17に新たに用紙Pをセットする場合にも、今回同様、表示部14に問合せ画面80Aを表示させるために、ユーザーは、チェックボックス84にチェックを入れない状態で設定終了ボタン83を操作する。こうして、第2給送カセット17に対しては、非表示設定を設定しないことで、次回以降に第2給送カセット17に新たな用紙Pをセットした場合でも、表示部14に問合せ画面80Aが表示される。したがって、第2給送カセット17に対しては、問合せ画面80Aを表示させるか否かを選択させ、複数種類の用紙Pがセットされる可能性が高い場合は、繰り返し問合せ画面80Aが表示させることで、ユーザーが新たな用紙Pをセットする際に、都度用紙の種類の設定を行わせることができる。
【0063】
また、プリンター11のユーザーが、手差しトレイ19に新たな用紙Pをセットした場合には、表示部14に
図4(b)に示す問合せ画面80Bが表示される。手差しトレイ19は、セットされる用紙Pの種類が変更される可能性が比較的高く、以前と異なる種類の用紙Pがセットされた場合には、ユーザーは、用紙の種類の設定を以前の設定から変更する。そして、
図4(b)に示す手差しトレイ19用の問合せ画面80Bには、
図4(a)に示す給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aにあるチェックボックス84がないため、ユーザーはそのまま設定終了ボタン83を操作する。こうして、手差しトレイ19に対しては、非表示設定が設定できないため、次回以降に手差しトレイ19に新たな用紙Pをセットした場合でも、表示部14に問合せ画面80Bが表示される。こうして、複数種類の用紙Pがセットされる手差しトレイ19に対しては、繰り返し問合せ画面80Bが表示されることで、ユーザーは、その都度用紙の種類の設定を行うことができる。
【0064】
なお、第1給送カセット16に対して、異なる種類の用紙Pをセットする場合には、操作部15を操作して、別途、表示部14に問合せ画面(設定画面)を表示させて、用紙の種類を設定する操作と、必要ならば非表示設定を解除する操作とを行えばよい。非表示設定を解除することで、以後、用紙Pをセットする度に問合せ画面80Aが繰り返し表示される状態に戻すことができる。また、第2給送カセット17に対して、同一種類の用紙Pを継続してセットする場合には、ユーザーは第1給送カセット16と同様の操作を行えばよい。説明は省略したが、第3給送カセットについても同様である。
【0065】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)セットできる用紙の種類が手差しトレイ19よりも少なく、以前と異なる種類の用紙Pがセットされる可能性が比較的低い、給送カセット16〜18に用紙Pがセットされる場合には、ユーザーにセットした用紙の種類の問合せを行わないようにもできる。一方、セットできる用紙の種類が給送カセット16〜18よりも多く、以前と異なる種類の用紙Pがセットされる可能性が比較的高い、手差しトレイ19に用紙Pがセットされる場合には、ユーザーにセットした用紙の種類の問合せを必ず行うことができる。したがって、新たな用紙Pを給送トレイ16〜19にセットした後に、その用紙Pのセットに伴って生じるユーザーの手間を低減することができる。
【0066】
例えば、給送カセット16〜18に用紙Pをセットする度に問合せ画面80Aが表示されると、用紙の種類の変更が必要でない場合にその問合せ画面80Aの表示を終了させる操作が手間になるが、本実施形態では問合せ画面80Aを表示させないようにできるため、この種の操作の手間を無くすことができる。また、手差しトレイ19に用紙Pをセットする度に問合せ画面80Bが表示されるため、用紙の種類の変更が必要である場合に、問合せ画面80Bに従って用紙の種類の変更設定が可能となり、別途、用紙の種類の入力画面を表示させる操作を行う必要を無くすことができる。また、用紙Pを新たにセットした際の用紙の種類の入力忘れによって、手差しトレイ19と用紙Pの種類との対応関係が、設定データSDと実際とで不一致になる事態を回避し易い。このため、ユーザーが印刷時に指定した種類の用紙Pが手差しトレイ19にセットされている場合に、その指定と異なる種類の用紙Pに印刷がなされる不都合も低減できる。
【0067】
(2)給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比べてセットできる用紙量が多いため、同一の種類の用紙Pを大量印刷する際の用紙供給源に適している。一方、手差しトレイ19は給送カセット16〜18に比べ、異なる種類の用紙Pを少量印刷する際の用紙供給源に適している。このため、給送カセット16〜18に以前と異なる種類の用紙Pがセットされる頻度は、手差しトレイ19に以前と異なる種類の用紙Pがセットされる頻度よりも低くなる。こうした点からも、(1)に記載の効果を得ることができる。
【0068】
(3)給送トレイ16〜19に新たな用紙Pがセットされたことが検出された場合、問合せ部63は、その給送トレイに対応する問合せ画面80A,80Bを表示部14に表示させる。このため、ユーザーがその問合せに対して用紙の種類を入力する設定作業を容易に行うことができる。
【0069】
(4)給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aに、非表示設定のためのチェックボックス84を表示させる一方、手差しトレイ19用の問合せ画面80Bに、非表示設定のためのチェックボックス84を表示させない。このため、ユーザーが誤って手差しトレイ19に対して非表示設定を行うことを防止しつつ、給送カセット16〜18のうちユーザーが所望する少なくとも一つの給送カセットに非表示設定を行って問合せ画面80Aを表示させないようにすることができる。
【0070】
(5)プリンター11に対してユーザーが用紙の種類を指定した印刷指示をした場合には、給送トレイ16〜19のうち、設定データSDを参照してその指定された用紙の種類と対応する給送トレイが選択されることで、ユーザーが指定した種類の用紙Pがセットされた給送トレイから供給された用紙Pに印刷が行われる。したがって、所望の種類の用紙Pがセットされた給送トレイ16〜19をユーザーが選択せずとも、ユーザーが指定した種類の用紙Pに印刷を行うことができる。
【0071】
なお、上記実施形態は、以下に示すように変更してもよい。
・問合せ画面80Aにおいて、非表示設定の設定は、用紙の種類の設定と同時に行わなくてもよい。例えば、用紙の種類の設定が終わった後に、非表示設定を設定する問合せ画面を表示してもよい。また、新たに用紙Pがセットされたときに非表示設定を設定する問合せ画面を表示させるのではなく、例えばユーザーにより操作部15が操作されたときに表示させるようにしてもよい。
【0072】
・給送トレイ16〜18のうち少なくとも一つに非表示設定が設定されている場合でも、プリンター11の電源を投入してから、その非表示設定がなされている給送トレイに初めて用紙Pがセットされた際には、その給送トレイに対して禁止部65は問合せ部63の問合せを許可するようにしてもよい。具体的には、
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS12とステップS13との間に、「その給送カセットに用紙がセットされたのはプリンターの電源が投入されてから初めてか否か」を判定するステップを新たに設けてもよい。そして、この判定ステップでは、用紙Pがその給送トレイにセットされたのがプリンター11の電源が投入されてから初めてでない(2回目以降)である場合には、制御部60は、その処理をステップS13に移行すればよい。また、同判定ステップでは、用紙Pがその給送トレイにセットされたのが初めてである場合には、制御部60は、その処理をステップS14に移行すればよい。
【0073】
・給送カセット16〜18及び手差しトレイ19用の問合せ画面80A,80Bを表示してから所定時間(例えば、数分)を経過しても、ユーザーから操作がない場合には、用紙の種類が変更されなかったものとして問合せ画面80A,80Bを終了させてもよい。特に、給送カセット16〜18用の問合せ画面80Aでは、前述の場合に、非通知設定が設定されたとみなしてもよいし、設定されなかったとみなしてもよい。
【0074】
・例えば、第1給送カセット16に比べて第2給送カセット17にセットされる用紙の種類が多い場合には、第1給送カセット16を第1媒体供給源とするとともに、第2給送カセット17を第2媒体供給源としてもよい。また、第1給送カセット16に比べて第2給送カセット17にセットされる用紙量が少ない場合には、第1給送カセット16を第1媒体供給源とするとともに、第2給送カセット17を第2媒体供給源としてもよい。すなわち、この場合には、第1給送カセット16に対しては、
図4(a)に示す問合せ画面80Aが表示され、第2給送カセット17に対しては
図4(b)に示す問合せ画面80Bが表示されるようになる。こうして、給送カセット16〜18のうちで、第1媒体供給源と第2媒体供給源とを設定するようにしてもよい。なお、この場合には、手差しトレイ19を設けなくてもよい。
【0075】
・例えば、トレイセンサー51〜53が給送カセットを検知しない非検知状態になるとコントローラー30がタイマーによる計時を開始し、その後、検知状態になるとタイマーによる計時を停止して経過時間を取得するようにしてもよい。この場合、禁止部65は、その経過時間が用紙の交換に最低必要と想定される設定時間よりも短い場合に、問合せ部63の問合せを禁止するようにしてもよい。これによれば、経過時間が短い時間(例えば、数秒)であれば、ユーザーが用紙の交換を意図せず他の目的(例えば用紙の種類又は残量の確認)で又は誤操作のため、給送カセット16〜18が取り外し及び装着されたと判断して、問合せ部63の問合せを禁止することができる。すなわち、新たな用紙Pのセットが伴わずに、給送カセット16〜18が取り外し及び装着される場合には、問合せ部63の問合せを禁止することで、問合せに対するユーザーの作業の手間を低減することができる。
【0076】
・プリンター11に接続されたホスト装置100に、上記表示部14に相当する表示を行う場合には、プリンター11に表示部14を備えなくてもよい。
・給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比べて、セットできる用紙の種類(媒体の種類)が少なければ、セットできる用紙量(媒体量)が多くなくてもよい。若しくは、給送カセット16〜18は、手差しトレイ19に比べて、セットできる用紙量(媒体量)が多ければ、セットできる用紙の種類(媒体の種類)が少なくなくてもよい。
【0077】
・給送カセット16〜18に新たに用紙Pがセットされたことを、手差しトレイ19のように紙センサー54〜56を用いて検出するようにしてもよい。
・給送トレイ16〜19に新たに用紙がセットされたこと検知する検出部は、接触式センサーでもよいし、光学センサーでもよいし、さらに他の種類のセンサーでもよい。
【0078】
・給送カセット16〜18や手差しトレイ19にセットされている用紙Pの用紙サイズと質種の一方を検知するセンサーを設けて、問合せ画面80A,80Bでは、他方をユーザーに問い合わせるようにしてもよい。
【0079】
・給送カセット16〜18は三つに限定されず、一つ、二つ、四つ以上でもよい。手差しトレイ19は一つに限定されず、複数あってもよい。また、一つの給送カセット内に複数段のセットできる用紙量が互いに異なるトレイが収納されて各トレイにセットされた異なる種類の用紙Pを選択して給送可能な構成の場合は、給送カセットが一つだけで手差しトレイ19がなくてもよい。要するに、プリンター11に媒体供給源として選択できる複数の給送手段があり、少なくとも以前と異なる種類の用紙Pがセットされる頻度が高い給送手段と以前と異なる種類の用紙Pがセットされる頻度が低い給送手段とが、それぞれ1つ以上あればよい。
【0080】
・プリンター11は、媒体に印刷する印刷機能を少なくとも有していればよく、印刷機能以外の機能も併せ持つ複合機に限定されない。
・プリンター11に対して特別な操作を行うことで給送カセット16〜18に対する非表示設定を表示設定に切り替える機能があってもよいし、これに加えて手差しトレイ19を含めた全ての給送トレイ16〜19に対して問い合わせ画面を非表示設定にする機能があってもよい。前者の機能を有することで、ある給送カセットについて、用紙の種類を変えない予定であったが状況が変わって別の種類の用P紙をセットすることになった時でも、問合せ画面を介して新たな用紙の種類をプリンター11に通知できる。また後者の機能を有することで、手差しトレイ19にセットする用紙の種類を変えない一部のユーザーであって、あとから非表示設定を表示設定に切り替える方法を分かっていると思われるユーザーは、毎回問い合わせ画面が表示されることがなくなり、ユーザービリティーをよくすることができる。
【0081】
・媒体は、用紙Pに限定されず、樹脂製シート、紙と樹脂の複合体フィルム(樹脂含浸紙、樹脂コート紙など)、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、金属製フィルム、セラミックシートなどであってもよい。
【0082】
・印刷装置の印刷方式は、インクジェット方式、ドットインパクト方式、レーザー方式でもよい。さらに、印刷装置は、シリアルプリンター、ラインプリンター又はページプリンターでもよい。