(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レジストパターンを除去する工程が、酸素系のガスによるドライ処理により選択的に行われることを特徴とする請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法。
前記2層以上の金属薄膜が、少なくとも前記光透過性基板に接する側の第1層目の金属薄膜と、前記第1層目の金属薄膜上に設けた第2層目の金属薄膜とで構成され、前記第1層目の金属薄膜がクロムまたはクロムを含む化合物で形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、特に半導体デバイスにおいては、微細化の一層の進展により高速動作、低消費電力動作が求められ、また、システムLSIという名で呼ばれる機能の統合化などの高い技術が求められている。このような状況下で、半導体デバイスのパターンを作製する要となるリソグラフィ技術は、デバイスパターンの微細化が進むにつれ露光波長の問題などからフォトリソ方式の限界が指摘され、また、露光装置などが極めて高価になってきている。
【0003】
その対案として、近年、微細凹凸パターンを用いたナノインプリントリソグラフィ(NIL)法が注目を集めている。1995年Princeton大学のChouらによって提案されたナノインプリント法は、装置価格や使用材料などが安価でありながら、10nm程度の高解像度を有する微細パターンを形成できる技術として期待されている。
【0004】
ナノインプリント法は、予め表面にナノメートルサイズの凹凸パターンを形成したテンプレートを、被加工基板表面に塗布形成された樹脂などの転写材料に押し付けて力学的に変形させて凹凸パターンを精密に転写し、パターン形成されたナノインプリント材料をレジストマスクとして被加工基板を加工する技術である。一度テンプレートを作製すれば、ナノ構造が簡単に繰り返して成型できるため高いスループットが得られて経済的であるとともに、有害な廃棄物が少ないナノ加工技術であるため、近年、半導体デバイスに限らず、さまざまな分野への応用が進められている。
【0005】
ナノインプリント法で用いられるテンプレートには、パターン寸法の安定性、耐薬品性、加工特性などが求められる。ナノインプリント法においては、テンプレートのパターン形状を忠実に樹脂などの転写材料に転写しなければならないので、光ナノインプリント法の場合を例に取ると、一般的には光硬化に用いる紫外線を透過する石英ガラス基板がテンプレート基材として用いられている。
【0006】
従来、ナノインプリント用テンプレートの製造方法としては、石英ガラス等の基板にエッチングを施し、基板の表面に凹凸のパターンを形成することによって行われる(例えば、特許文献1参照。)。
図8は、従来のテンプレートの製造方法の一例を示す工程断面模式図である。
【0007】
まず、
図8(a)に示すように、テンプレートとなる石英ガラス等の基板81上に基板エッチング時のマスク材としてクロム(Cr)等の金属薄膜82を成膜し、その上に電子線レジストを塗布し、電子線(EB)リソグラフィ技術を用いて露光、現像等を行い、レジストパターン83を形成する。基板81に直接レジストパターンを形成する方法は、レジストの基板への密着性やレジストのエッチング耐性が不十分なため好ましくない。
【0008】
次に、
図8(b)に示すように、上記のレジストパターン83を酸素プラズマでスリミング処理を行い、レジストパターンの膜厚、幅をスリム化する。このスリミング工程は必須の工程ではなく、目標とするレジストパターン線幅に応じて実施するか否かを決めればよい。
【0009】
次に、
図8(c)に示すように、スリミングしたレジストパターン83aをマスクとして金属薄膜82をエッチングし、金属薄膜パターン82aを形成する。次に、金属薄膜パターン82aをマスクとして基板81をエッチングし、
図8(d)に示すように、凹部86を形成した基板81とする。次に、
図8(e)に示すように、レジストパターン83aを剥離除去する。レジストパターン83aの除去は、基板81をエッチングする前であってもよい。
【0010】
次に、
図8(f)に示すように、金属薄膜パターン82aをエッチングして除去し、基板81上に凹凸パターン87を設けたテンプレート80を作製する方法が用いられている。
【0011】
しかしながら、上記の従来のテンプレートの製造方法ではクロム等の金属薄膜のエッチングマスクに有機レジストを用いており、パターンの微細化に伴い解像力を上げるためにレジスト厚を薄くせざるを得ず、金属薄膜をエッチングして微細パターンを形成するときに、レジストのエッチング耐性の確保が難しいという問題があった。また、現状のEBリソグラフィ技術では安定して形成できる微細パターンの解像力に限界があり、例えば、ハーフピッチ22nm程度のパターンが解像限界であり、ハーフピッチ1Xnm(ハーフピッチ10nm以上20nm未満を意味する)クラスの微細パターン形成は困難であるという問題があった。また、パターンの微細化に伴い、テンプレートの電子線描画時間が非常に長くなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明者はナノインプリント用テンプレートの製造方法において、金属薄膜のパターンエッチング時に、エッチングマスクのエッチング耐性を向上させ、かつ現状のEBリソグラフィ技術を用いてハーフピッチ1Xnmクラスの微細テンプレートの作製を可能にし、微細パターン描画においても描画時間の短縮が可能なテンプレートの製造方法を提案した。
【0013】
図6及びそれに続く
図7は、上記ナノインプリント用テンプレートの製造方法の一実施形態を示す工程断面図である。光透過性基板に凹凸のパターンを形成したナノインプリント用テンプレート60の製造方法である。
図6及び
図7に示されるように、光透過性基板61上に金属薄膜62を形成し、該金属薄膜62上に、レジストパターン63を形成する工程と、上記レジストパターンを酸素プラズマで処理してスリミングする工程と、スリミングしたレジストパターン63aの側面及び上面、並びに上記金属薄膜62の上面を覆うように被覆膜64を形成する工程と、上記の被覆膜64をエッチバックして、レジストパターン63a及び金属薄膜62を露出させるとともに、被覆膜をレジストパターン63aの側面に残して側壁マスク65とする工程と、レジストパターン63aを除去する工程と、側壁マスク65を用いて金属薄膜62をエッチングして金属薄膜パターン62aを形成する工程と、側壁マスク65を除去する工程と、金属薄膜パターン62aをマスクとして光透過性基板61をエッチングして凹凸のパターン67を形成する工程と、金属薄膜パターン62aを除去する工程と、を含むものである。
【0014】
上記の製造方法は、金属薄膜のエッチングに側壁マスクを用いることで、金属薄膜エッチング時のマスクのエッチング耐性を向上させ、かつハーフピッチ1Xnm(10nm以上20nm未満)クラスの微細なテンプレートの作製を可能にし、また、電子線による微細パターン描画において、現状のハーフピッチ2Xnm(20nm以上30nm未満)クラスの描画時間で1Xnmクラスの側壁マスクが作製でき、描画時間の短縮を可能にするという利点を有するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記の製造方法において、レジストパターン63aの側面及び上面、並びに金属薄膜62の上面を覆うように被覆膜64を形成したときに、レジストパターン63a上にALD法で成膜された被覆膜64が斜めに成膜されて、傾き(テーパー)を生じてしまうことがあるという問題が生じていた。この現象は、特に金属薄膜にクロム系材料を用いた場合に顕著となる。被覆膜64が傾き(テーパー)を生じると、側壁マスクおよび金属薄膜パターンの寸法に大きな影響を生じ、目的とするテンプレートの凹凸のパターン寸法が得られなくなるという問題があった。
【0017】
本発明者は、上記の被覆膜が傾き(テーパー)を生じるという現象を種々検討し、被覆膜の傾き(テーパー)の原因が金属薄膜上のレジストパターンの断面形状によることを見出した。
図5は、上記の現象の説明図であり、
図5(c)は、上記ナノインプリント用テンプレートの製造方法の
図6(c)と同じ工程図であり、スリミングしたレジストパターン63aの側面及び上面、並びに上記金属薄膜(Cr)62の上面を覆うように被覆膜(SiO
2)64を形成した状態を示す。しかし、
図5(c−1)に示すように、上記現象が生じた実際の試料の切断部の断面SEM写真を観察すると、金属薄膜(Cr)62上のレジストパターン63aの下部にすそ引きが見られ、
図5(c−2)のレジストパターン63aの下部の断面模式図に示すように、レジストパターン63a下部に接する被覆膜(SiO
2)64の底部付近が浮き上がっているのが観察される。
【0018】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、ナノインプリント用テンプレートの製造方法において、テンプレート基材となる光透過性基板上に設けた金属薄膜上にレジストパターンを形成するに際して、レジストパターンの側面に成膜された被覆膜に傾き(テーパー)が生じるのを抑制し、高精度の側壁マスク及び金属薄膜パターン寸法が安定して得られるナノインプリント用テンプレートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、光透過性基板に凹凸のパターンを形成したナノインプリント用テンプレートの製造方法であって、光透過性基板上に金属薄膜およびシリコン含有膜がこの順に積層形成された基板の当該シリコン含有膜上に、レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンの側面及び上面、並びに前記シリコン含有膜の上面を覆うように被覆膜を形成する工程と、前記被覆膜をエッチバックして、前記レジストパターン及び前記シリコン含有膜を露出させるとともに、前記被覆膜を前記レジストパターンの側面に残して側壁マスクとする工程と、前記レジストパターンを除去する工程と、前記側壁マスクを用いて前記シリコン含有膜および前記金属薄膜をこの順にエッチングしてシリコン含有膜パターンおよび金属薄膜パターンを形成する工程と、前記金属薄膜パターンをマスクとして、前記光透過性基板をエッチングして前記凹凸のパターンを形成する工程と、前記側壁マスク、前記シリコン含有膜パターンおよび前記金属薄膜パターンを除去する工程と、を含
み、前記光透過性基板が石英ガラス基板であり、前記側壁マスクがシリコンを含む化合物より構成され、前記側壁マスクを除去する工程において前記側壁マスクが残存した場合には、前記光透過性基板をエッチングして前記凹凸のパターンを形成する工程で、前記残存した側壁マスクを除去することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項2に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、請求項1に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法において、前記被覆膜が、ALD法で形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項3に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、請求項1または請求項2に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法において、前記金属薄膜がクロムまたはクロムを含む化合物で形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項4に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法において、前記レジストパターンを除去する工程が、酸素系のガスによるドライ処理により選択的に行われることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の請求項
5に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、光透過性基板に凹凸のパターンを形成したナノインプリント用テンプレートの製造方法であって、前記光透過性基板上に、2層以上の金属薄膜を形成する工程と、前記金属薄膜上に、レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを酸素プラズマで処理してスリミングする工程と、前記スリミングしたレジストパターンの側面及び上面、並びに前記金属薄膜の上面を覆うように被覆膜を形成する工程と、前記被覆膜をエッチバックして、前記レジストパターン及び前記金属薄膜を露出させるとともに、前記被覆膜を前記レジストパターンの側面に残して側壁マスクとする工程と、前記レジストパターンを除去する工程と、前記側壁マスクを用いて前記2層以上の金属薄膜を順にエッチングして金属薄膜パターンを形成する工程と、前記金属薄膜パターンをマスクとして、前記光透過性基板をエッチングして前記凹凸のパターンを形成する工程と、前記側壁マスクおよび前記2層以上の金属薄膜パターンを除去する工程と、を含
み、前記光透過性基板が石英ガラス基板であり、前記側壁マスクがシリコンを含む化合物より構成され、前記側壁マスクを除去する工程において前記側壁マスクが残存した場合には、前記光透過性基板をエッチングして前記凹凸のパターンを形成する工程で、前記残存した側壁マスクを除去することを特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項
6に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、請求項8に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法において、前記被覆膜が、ALD法で形成されていることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の請求項
7に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、請求項
5または請求項
6に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法において、前記2層以上の金属薄膜が、少なくとも前記光透過性基板に接する側の第1層目の金属薄膜と、前記第1層目の金属薄膜上に設けた第2層目の金属薄膜とで構成され、前記第1層目の金属薄膜がクロムまたはクロムを含む化合物で形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の請求項
8に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法は、請求項
5から請求項
7までのうちのいずれか1項に記載のナノインプリント用テンプレートの製造方法において、前記レジストパターンを除去する工程が、酸素系のガスによるドライ処理により選択的に行われることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明のナノインプリント用テンプレートの製造方法によれば、光透過性基板上に設ける金属薄膜を2層以上の多層膜とすることにより、金属薄膜上のレジストパターンをすそ引きの抑制された高精度のパターンとして形成することができ、金属薄膜のエッチングに傾き(テーパー)のない側壁マスクを用い、金属薄膜エッチング時のマスクのエッチング耐性を向上させ、かつハーフピッチ1Xnm(10nm以上20nm未満)クラスの微細なテンプレートの作製が可能になる。また、電子線による微細パターン描画において、現状のハーフピッチ2Xnm(20nm以上30nm未満)クラスの描画時間で1Xnmクラスの側壁マスクが作製でき、描画時間の短縮が可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るナノインプリント用テンプレートの製造方法について詳細に説明する。
【0036】
(実施形態)
図1及びそれに続く
図2は、本発明のナノインプリント用テンプレートの製造方法の一実施形態を示す工程断面図であり、光透過性基板上の金属薄膜が2層以上の多層膜で形成されている。以下の説明では、金属薄膜が2層膜の場合について例示するが、本発明の製造方法は2層に限定されず、金属薄膜を3層以上とすることも可能である。
【0037】
レジストパターンの断面形状や密着性などは、レジストパターンを形成する材料表面(下地)の影響を受ける。本発明の側壁マスクを用いた製造方法においては、レジストパターンの断面形状の矩形性、特にレジストパターンの底部にすそ引きがないことが重要な要素である。上記のように、光透過性基板上の金属薄膜を2層膜とすることで、レジストパターンと金属薄膜との最適な組み合わせを選択することが可能となる。また、使用する電子線レジストの選択の自由度を高めることができる。
【0038】
さらに、金属薄膜として例えばクロム系材料を用いた場合、クロム系材料よりなる金属薄膜をドライエッチングして微細パターンを形成するときに、通常、エッチングガスとして酸素を含む塩素ガスが用いられる。ハーフピッチ2Xnm(20nm以上30nm未満)以下の微細パターン加工では、微細パターンのエッチング速度が極端に小さくなるマイクロローディングの影響が顕著となり、エッチング時間が長くなり、金属薄膜のエッチングマスク材のエッチング耐性の確保が難しくなり、金属薄膜のドライエッチング中にマスク材が損傷してしまうという問題が生じることがある。そこで、本発明では金属薄膜を積層し、その好ましい形態として、光透過性基板に接する側の第1層目の金属薄膜はクロム系材料で形成し、その上にクロム系材料の金属薄膜の加工用に第2層目の金属薄膜を設け、レジストパターンを2層の金属薄膜パターンに順次変換し、第1層目のクロム系材料の金属薄膜パターンでテンプレートの微細パターン形成を行うものである。以下、図面を用いて説明する。
【0039】
まず、
図1(a)に示すように、テンプレートの材料となる光透過性基板11上に、第1層目の金属薄膜12、第2層目の金属薄膜13をスパッタリング法等の真空成膜方法で順に成膜して2層膜を形成した基板を準備する。次いで、この第2層目の金属薄膜13の上に、電子線描画によりレジストパターン14を形成する。
【0040】
光透過性基板11としては、凹凸のパターンの位置精度を高精度に保持し、転写精度を得るために平滑性、平坦度が高く、テンプレート製造工程の洗浄などに用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましく、通常、合成石英ガラス基板等が用いられる。
【0041】
光透過性基板11に接する側の第1層目の金属薄膜12としては、石英ガラス基板等の光透過性基板11のエッチングガスとの選択比が十分にとれる耐エッチング性を有し、かつ第2層目の金属薄膜13のエッチングガスに耐性がある材料が好ましい。本発明において、第1層目の金属薄膜12としては、金属単体だけでなく、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物等の金属化合物も含まれるものである。材料としては、例えば、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)等の金属、あるいは窒化クロム(CrN)、酸化クロム(CrO)、酸窒化クロム(CrNO)等のクロム系化合物、酸化タンタル(TaO)、酸窒化タンタル(TaNO)、酸化硼化タンタル(TaBO)、酸窒化硼化タンタル(TaBNO)等のタンタル系化合物、窒化チタン(TiN)等の金属化合物が、膜厚数nm〜10nm程度の範囲で用いられる。これらの材料の中で、特にクロム系材料は、石英ガラス基板のドライエッチングに用いるフッ素系ガスのプラズマに対して強い耐性をもち、またウェットエッチングが容易であり、フォトマスクの高品質・高精度のパターン形成材料としての使用実績があり、より好ましい材料である。
【0042】
第2層目の金属薄膜13としては、第1層目の金属薄膜12をパターニングする時のマスクとなり、かつ第1層目の金属薄膜12のエッチングガスとの選択比がとれる材料を用いる。例えば、第2層目の金属薄膜13としては、シリコン系材料として、シリコン(Si)、または窒化シリコン(SiN)等のシリコンを含む化合物(シリコン含有膜)、あるいはタンタル系材料として、タンタル(Ta)、または窒化タンタル(TaN)、窒化硼化タンタル(TaBN)等のタンタルを含む化合物等が挙げられる。第2層目の金属薄膜13として上記材料(特にシリコン系材料)を用いることで、底部のすそ引きが抑制されたレジストパターン13aを形成することができる。第2層目の金属薄膜13の膜厚は、数nm〜10nm程度の範囲で用いるのが好ましい。
【0043】
次に、レジストパターン13を酸素プラズマで処理してスリミングし、
図1(b)に示すように、スリミングしたレジストパターン14aを形成する。本発明において、スリミングとは、ウェットエッチングあるいはドライエッチング(酸素プラズマ処理を含む)等でパターン幅を細くし、パターン膜厚を薄くすることである。例えば、酸素プラズマ処理によるスリミングで最初に形成されたレジストパターンのピッチは変えずに、1/2程度のパターン幅、パターン膜厚とすることができる。なお、このスリミング工程は必須の工程ではない。
【0044】
次に、
図1(c)に示すように、スリミングしたレジストパターン14aの側面及び上面、並びに第2層目の金属薄膜13の上面を覆うように被覆膜15を低温CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法等の低温真空成膜方法で形成する。レジストパターン14aは、被覆膜15形成におけるコア(芯材)となる。
【0045】
被覆膜15としては、レジストパターン14aに損傷を与えずに低温で成膜することができ、第2層目の金属薄膜13のエッチング時に、第2層目の金属薄膜13とのエッチング選択比がとれ耐エッチング性が大きい材料が好ましい。材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO
2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等のシリコン系、酸化アルミニウム(Al
2O
3)等のアルミニウム系、酸化ハフニウム(HfO)等のハフニウム系、窒化チタン(TiN)等のチタン系等の材料が挙げられる。被覆膜15の膜厚は、基本的には目標とするパターンのハーフピッチ設計分の膜厚が好ましく、数nm〜50nm程度の範囲で用いられる。被覆膜15を成膜するときの温度は、レジストパターン14aに損傷を与えない温度範囲であり、100℃以下が好ましく、室温程度がさらに好ましい。ALD法は、レジストパターンに損傷を与えずに均一な膜厚の被覆膜を、制御性良く低温で形成することができ、より好ましい成膜方法である。
【0046】
すなわち、ALD法を用いた場合においては、レジストパターン14aの側面への被覆膜15の堆積がCVD法を用いた場合より均一性が高く、レジストパターン14aの側面部、上面部へのより均一な被覆膜15の堆積が可能となる。そして、第2層目の金属薄膜13上にレジストパターン14aを形成することで、被覆膜15形成における芯材としてのレジストパターン14aを、底部のすそ引きが抑制された形状にすることができる。そのため、2層の金属薄膜のうちの第2層目の金属薄膜13上にレジストパターン14aを形成し、かつALD法を用いて被覆膜15を形成することで、後述する側壁マスクの形成において、側壁マスクをより垂直形状に形成することが可能となる。さらに、芯材に有機レジストを用いた場合において、低温成膜が可能なためレジストパターン14aの形状を損傷せず、レジストパターン形状を保ち易く側壁マスク形状が良好となる。CVD法では低温での均一な成膜は難しいが、ALD法では室温成膜も可能となる。
【0047】
上記のようにALD法を用いると、側壁マスクのパターンがより垂直形状になるため、特に、側壁マスクがエッチングマスクとなってパターン転写されるプロセス(以後、側壁プロセスとも言う)においては、微細なパターンの寸法制御性が格段に向上する。それにより半導体基板などへの転写原版の型となるテンプレートを高精度で作製することが可能となる。
【0048】
ここで、本発明の被覆膜15形成におけるにおけるALD法とCVD法の相違点について、さらに詳しく述べる。
後述する側壁マスクを用いた本発明のテンプレートの製造プロセスでは、被覆膜15の成膜厚みのばらつきがそのままパターンCD(Critical Dimension:重要な寸法)ばらつきに直結するため、被覆膜15の成膜厚みの均一性、特にレジストパターン14aの側面の被覆膜の均一性が重要となる。ALD法は飽和表面反応を利用した原子層成膜方法なので、原子層を1層ごとに成膜することが可能である。ALD法による成膜量は、およそ0.1nm〜0.2nm/cycle程度である。
【0049】
一方、CVD法では表面反応が次々と進行するため膜厚制御性がALD法に比べて劣り、CVD法は基本的に成膜時間制御なので装置コンディションで成膜速度が変化すると側壁の被覆膜の均一性が損なわれる。特に膜厚が小さい場合には、膜厚分布と膜厚中心値のずれが生ずる。また、CVD法ではカバレッジ性(形状追随性)もALD法に比べて劣り、特にパターン側壁部に著しい。CVD法は凸部上方ほど成膜されやすく、凹部には成膜されにくいという特性があり、通常CVD法はその点を成膜条件で調整するのだが、原理的にALD法の方が有利である。
【0050】
被覆膜15の成膜時に、芯材としてレジスト以外の材料、例えば無機化合物を用いた場合、芯材形成(パターニング)工程において芯材がオーバーエッチングされると、芯材の下層の第2層目の金属薄膜13にダメージが入り、CDシフトの原因となる。レジストの芯材であれば、レジストパターン形成時に第2層目の金属薄膜13へのダメージがないため、より好ましい。また後述するように、芯材がレジストであれば、弱いアッシング条件を用いることで、側壁マスクへのダメージを最小限に抑えて芯材を除去することが可能となる。
上記のように、微細パターンを有するテンプレートの製造においては芯材にレジストを用いるのが望ましく、レジストの芯材で側壁プロセスを実施するためには、ALD法による被覆膜の低温成膜がより好ましい。以下、図面に基づいて説明を続ける。
【0051】
次に、被覆膜15をエッチバックして、
図1(d)に示すように、レジストパターン14a及び第2層目の金属薄膜13を露出させるとともに、被覆膜15をレジストパターン14aの側面に残して側壁マスク16とする。本発明において、側壁マスク16は、コア(核、芯材)となるレジストパターン13aよりなるダミーパターンの側壁に被覆膜で側壁パターンを形成し、この側壁パターンをエッチングマスクとして用いるマスクを意味するものであり、ダミーパターンのピッチの半分のピッチでラインアンドスペースパターンを形成することが可能となる。
【0052】
エッチバックは、被覆膜15の材料に応じて適切なエッチングガスを用いて行われる。例えば、被覆膜15が酸化シリコン(SiO
2)で形成されている場合には、フッ素系のCF
4、CHF
3、C
2F
6等のガス、あるいはこれらの混合ガスがエッチングガスとして用いられる。
【0053】
次に、レジストパターン14aを除去し、
図2(e)に示すように、第2層目の金属薄膜13上に側壁マスク16を形成した光透過性基板11とする。本発明においては、被覆膜15をエッチバックし、レジストパターン14aの上部表面を露出させているので、レジストパターン14aの除去は容易にできる。
【0054】
さらに、本発明においては、側壁マスク16を形成するときにコアとなる材料が有機レジストなので、レジストパターン14aの除去は酸素系のガスを用いてドライ処理により選択的に除去することができる。例えば、酸素プラズマによるドライエッチングあるいはオゾン処理等のドライ処理が挙げられる。従来のコアとなる材料に無機化合物を用いてウェットエッチング処理する方法では、コア材料の除去時に、ウェットエッチングで生じるエッチング液の表面張力による側面マスクのパターンの倒壊や変形が生じるおそれがあり、ドライエッチングで処理する方法であったとしても、コア材料のエッチングガスによって側壁マスクにダメージが蓄積し、パターンの倒壊や変形が生じるおそれがあった。しかしながら、本発明のコア材料のレジストパターン14aの除去にドライ処理を用いる方法により、側面マスク16のパターンの倒壊や変形が防止できるという効果が得られる。コア材料に有機レジストを用いる本発明の方法は、レジストにエッチング耐性を必要としないので、レジストのパターン寸法やパターンエッジのラフネスの制御性が良く、コア材料に無機化合物を用いる方法に比べ、コア材料の加工工程が少なくてすみ、高品質な側壁マスクを得ることが可能である。
【0055】
本実施形態においては、第1層目の金属薄膜12にクロム系材料を用いた場合、第2層目の金属薄膜13材料にシリコン系材料、側壁マスク16にも同じシリコン系材料を用いることで、第2層目の金属薄膜13と側壁マスク16との密着性を意図的に上げることが可能となる。密着性を上げることにより、第1層目の金属薄膜12のエッチング加工前に光透過性基板11に付着したパーティクル等を除去するための洗浄を強い条件で行うことが可能となり、テンプレートの製造工程の途中で欠陥の発生原因となるパーティクル等を十分に洗浄して除去し、テンプレートの欠陥を低減することが可能となる。側壁マスク16の除去は、第1層目の金属薄膜12のパターン形成後、または光透過性基板11をエッチングし、第1層目の金属薄膜12のパターンを除去するときに、リフトオフ法で除去することができる。
【0056】
次に、
図2(f)に示すように、側壁マスク16を用いて第2層目の金属薄膜13をエッチングして金属薄膜パターン13aを形成し、次いで、第2層目の金属薄膜パターン13aをエッチングマスクにして第1層目の金属薄膜12をエッチングして、第1層目の金属薄膜パターン12aを形成する。
【0057】
例えば、光透過性基板11に石英ガラス、側壁マスク16に酸化シリコン(SiO
2)を用い、第1層目の金属薄膜12がクロムまたはクロムを含む化合物であり、第2層目の金属薄膜パターン13aがシリコン系材料の場合には、エッチングガスとして酸素と塩素との混合ガスを用いて第1層目の金属薄膜12をドライエッチングすることにより、エッチング選択比が大きくとれ、側壁マスク16及び光透過性基板11への損傷を抑制しつつ、第1層目の金属薄膜パターン12aを形成することができる。
【0058】
次に、第1層目の金属薄膜パターン12aをエッチングマスクにして光透過性基板11をエッチングし、
図2(g)に示すように、光透過性基板11に凹部17を形成する。例えば、光透過性基板11が石英ガラスであるときには、第1層目の金属薄膜パターン12aの材料にクロムまたはクロムを含む化合物を用い、光透過性基板11をフッ素系ガスでドライエッチングすることにより、エッチング選択比が大きくとれ、光透過性基板11に凹凸のパターンを形成することができる。
【0059】
次に、側壁マスク16、第2層目の金属薄膜パターン13a及び第1層目の金属薄膜パターン12aを除去し、
図2(h)に示すように、光透過性基板11に凹凸パターン18を形成したナノインプリント用テンプレート10が得られる。
【0060】
側壁マスク16の除去方法としては、側壁マスク16に用いた被覆膜15の材料の特性及び第2層目の金属薄膜パターン13aとの密着性等により異なるが、ウェットエッチング、ドライエッチング、液体による洗浄等の中から最適な方法を用いることができる。
【0061】
例えば、側壁マスク16と第2層目の金属薄膜パターン13aとの密着性が低い場合には、水を用いたウェット洗浄で酸化シリコンよりなる側壁マスク16を除去することができ、製造工程が簡易化できる利点がある。ウェット洗浄に用いる水としては、例えば、純水、オゾン水、テンプレートに影響を与えない機能水等が挙げられる。使用する水は、テンプレートに損傷等の影響を与えない範囲において、加温してもよい。また、金属薄膜パターンや光透過性基板に損傷等の影響を与えない範囲において、超音波等の物理洗浄を付加してもよい。
【0062】
さらに、本発明においては、光透過性基板11が石英ガラス基板であり、側壁マスク16が酸化シリコン等のシリコンを含む化合物より構成され、上記の側壁マスク16を除去する工程において、もしも側壁マスク16が残存した場合には、下記の光透過性基板11をドライエッチングして凹凸のパターンを形成する工程で、残存した側壁マスク16を同時に除去することが可能となり、テンプレート製造工程がより容易になるという利点がある。
【0063】
第1層目の金属薄膜パターン12aの除去は、ウェットエッチング、ドライエッチングのいずれかの方法が用いられる。例えば、第1層目の金属薄膜パターン12aがクロム(Cr)またはクロムを含む化合物の場合には、硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液によるウェットエッチングで容易に除去することができる。
【0064】
(他の実施形態)
上記の工程において、側壁マスク16及び第2層目の金属薄膜パターン13aの除去は、光透過性基板11をエッチングする前であってもよい。
図3に光透過性基板11のエッチング前に、側壁マスク16及び第2層目の金属薄膜パターン13aを除去する工程の実施形態の一例を示す。
図3は、
図1と同じ符号を用いており、製造工程の前半は
図1の
図1(a)〜
図1(d)と同じであるので省略する。
【0065】
図3に示すように、第2層目の金属薄膜13上に側壁マスク16を形成する(
図3(e))。次に、側壁マスク16を用いて第2層目の金属薄膜13をエッチングして金属薄膜パターン13aを形成し(
図3(f))、次いで、第2層目の金属薄膜パターン13aをエッチングマスクにして第1層目の金属薄膜12をエッチングして、第1層目の金属薄膜パターン12aを形成する(
図3(g))。
【0066】
側壁マスク16の除去は、第2層目の金属薄膜パターン13aの形成後で、第1層目の金属薄膜パターン12aの形成前であってもよいし、第1層目の金属薄膜パターン12aの形成後であってもよい。
【0067】
第1層目の金属薄膜パターン12aの形成後、第2層目の金属薄膜パターン13aを除去し(
図3(h))、第1層目の金属薄膜パターン12aをマスクにして光透過性基板11をドライエッチングし、光透過性基板11に凹部17を形成する(
図3(i))。
【0068】
次いで、第1層目の金属薄膜パターン12aを除去し、光透過性基板11に凹凸パターン18を形成したナノインプリント用テンプレート10を得る(
図3(j))。
【0069】
本実施形態のナノインプリント用テンプレートの製造方法は、光透過性基板上に設ける金属薄膜を2層膜とし、第1層目の金属薄膜は、光透過性基板とのエッチング選択比が十分にとれる耐エッチング性を有し、かつ第2層目の金属薄膜のエッチングガスに耐性がある材料を用い、第2層目の金属薄膜上のレジストパターンをすそ引きのない高精度のパターンとし、断面形状が傾き(テーパー)にない矩形状の側壁マスクの安定的な形成を可能とし、ハーフピッチ1Xnm(10nm以上20nm未満)クラスの微細な金属薄膜パターンの形成が可能になる。側壁マスクと2層の金属薄膜パターンを用いることにより、現状のEBリソグラフィ技術では困難とされているハーフピッチ1Xnmクラスの微細パターンの形成が可能となる。また、側壁マスクを用いることで、ハーフピッチ2Xnm(20nm以上30nm未満)クラスの描画時間で1Xnmクラスの側壁マスクを作製することができ、描画時間の短縮が可能になる。
次に、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0070】
(実施例1)
図1(a)に示すように、テンプレート用の光透過性基板11として、外形が6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、基板の一方の主面上に、スパッタリング法でクロム(Cr)を膜厚5nm成膜して第1層目の金属薄膜12としてCr膜を形成し、次に窒化タンタル(TaN)膜を膜厚5nm成膜して第2層目の金属薄膜13を形成した基板を準備した。次いで、この第2層目のTaN膜上にポジ型電子線レジストZEP−520(日本ゼオン社製)を塗布し、電子線描画によりパターン幅30nm、ハーフピッチ30nmのラインアンドスペースよりなるレジスト厚60nmのレジストパターン14を形成した。TaN膜上のレジストパターンは、パターンの下部のすそ引きが従来よりも抑制された、断面形状がほぼ矩形形状のレジストパターンであった。
【0071】
次に、レジストパターンを酸素プラズマでドライエッチングしてスリミングし、
図1(b)に示すように、パターン幅15nmのスリミングしたレジストパターン14aを形成した。スリミングしたレジストパターン14aもパターンの下部のすそ引きが従来よりも抑制された、断面がほぼ矩形形状のレジストパターンであった。
【0072】
次に、スリミングしたレジストパターンの側面及び上面、並びにTaN膜の上面を覆うようにALD法により酸化シリコン(SiO
2)を成膜し、
図1(c)に示すように、厚さ15nmのSiO
2の被覆膜15を形成した。
【0073】
次に、CF
4ガスを用いてSiO
2の被覆膜全面をドライエッチングによりエッチバックし、
図1(d)に示すように、レジストパターン14a及び第2層目の金属薄膜(TaN膜)13を露出させるとともに、SiO
2の被覆膜をレジストパターンの側面に残して側壁マスク16を形成した。
【0074】
次に、酸素プラズマによる弱いドライエッチングで選択的にレジストパターンを除去し、
図3(e)に示すように、Cr膜とTaN膜の2層金属薄膜上にSiO
2の側壁マスク16を形成した基板を作成した。本実施例においては、コア材料が有機レジストなので、レジストパターンの除去は容易であり、側面マスクの倒れや変形は生じなかった。SiO
2の側壁マスクは、パターン幅15nm、厚さ45nm、ハーフピッチ15nmのラインアンドスペースで、電子線描画時の1/2のパターン幅、ハーフピッチとなった。
【0075】
次に、
図3(f)に示すように、SiO
2の側壁マスク16を用いて第2層目のTaN膜を塩素ガスでドライエッチングし、TaN膜パターンを形成した。このとき、マスクとしたSiO
2、および下層のCr膜はいずれも塩素ガスに耐性があるので、損傷は生じなかった。
【0076】
次に、CF
4ガスを用いてSiO
2の側壁マスクをドライエッチングして除去した。
【0077】
次に、
図3(g)に示すように、第2層目の金属薄膜(TaN膜)パターン13aをマスクにして塩素と酸素の混合ガスを用いて第1層目のCr膜をドライエッチングし、第1層目の金属薄膜(Cr膜)パターン12aを形成した。TaN膜パターンは塩素と酸素の混合ガスに耐性があるので損傷は生じなかった。
【0078】
次に、
図3(h)に示すように、塩素ガスを用いてTaN膜パターンをドライエッチングして除去した。Cr膜パターンは塩素ガスに耐性があるので損傷は生じなかった。
【0079】
次に、
図3(i)に示すように、Cr膜パターンをエッチングマスクにしてCF
4ガスを用いて石英ガラス基板をドライエッチングし、石英ガラス基板に凹部を形成した。
【0080】
次に、Cr膜パターンを硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液によるウェットエッチングで除去し、
図3(j)に示すように、石英ガラス基板に、パターン幅15nm、ハーフピッチ15nmのラインアンドスペースの凹凸パターン18を形成したナノインプリント用テンプレート10を作製した。
【0081】
(実施例2)
図1(a)に示すように、テンプレート用の光透過性基板11として、実施例1と同様に、外形が6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、基板の一方の主面上に、スパッタリング法で窒化クロム(CrN)を膜厚5nm成膜して第1層目の金属薄膜12としてCrN膜を形成し、次に酸化シリコン(SiO
2)を膜厚5nm成膜して第2層目の金属薄膜13を形成した基板を準備した。次いで、この第2層目のSiO
2膜上にポジ型電子線レジストZEP−520(日本ゼオン社製)を塗布し、電子線描画によりパターン幅30nm、ハーフピッチ30nmのラインアンドスペースよりなるレジスト厚60nmのレジストパターン14を形成した。SiO
2膜上のレジストパターンは、パターンの下部のすそ引きが従来よりも抑制された、断面形状がほぼ矩形形状のレジストパターンであった。
【0082】
次に、レジストパターンを酸素プラズマでドライエッチングしてスリミングし、
図1(b)に示すように、パターン幅15nmのスリミングしたレジストパターン14aを形成した。スリミングしたレジストパターン14aもパターンの下部のすそ引きが従来よりも抑制された、断面がほぼ矩形形状のレジストパターンであった。
【0083】
次に、スリミングしたレジストパターン14aの側面及び上面、並びにSiO
2膜の上面を覆うように、ALD法により酸化シリコン(SiO
2)を成膜し、
図1(c)に示すように、厚さ15nmのSiO
2の被覆膜15を形成した。
【0084】
次に、
図1(d)に示すように、CF
4ガスを用いてSiO
2の被覆膜全面をドライエッチングによりエッチバックし、レジストパターン14aを露出させるとともに、SiO
2の被覆膜をレジストパターンの側面に残してSiO
2の側壁マスク16を形成した。エッチバックのとき、第2層目の金属薄膜SiO
2も多少エッチングされるが、問題は生じなかった。
【0085】
次に、
図4(e)に示すように、酸素プラズマによる弱いドライエッチングで選択的にレジストパターンを除去し、CrN膜とSiO
2膜の2層金属薄膜上にSiO
2の側壁マスク16を形成した基板を作成した。本実施例においては、コア材料が有機レジストなので、レジストパターンの除去は容易であり、第2層目の金属薄膜SiO
2と側壁マスクSiO
2とは密着性が良好で、側壁マスクの倒れや変形は生じなかった。SiO
2の側壁マスクは、パターン幅15nm、厚さ45nm、ハーフピッチ15nmのラインアンドスペースであった。
【0086】
次に、第1層目の金属薄膜CrN膜をエッチング停止層として用いて、露出している第2層目金属薄膜(SiO
2膜)13をCF
4ガスでドライエッチングし、
図4(f)に示すように、第2層目の金属薄膜(SiO
2膜)パターン13aを形成した。このとき、第2層目SiO
2膜と側壁マスクSiO
2膜とではエッチング選択比が取れないので、側壁マスクSiO
2膜も膜減りするが、側壁マスクSiO
2膜は十分な厚さがあるため、第2層目SiO
2膜のパターン形成には支障はなかった。
【0087】
続いて、側壁マスクSiO
2膜及び第2層目のSiO
2膜パターンをマスクにして塩素と酸素の混合ガスを用いて第1層目のCrN膜をドライエッチングし、CrN膜パターンを形成した。側壁マスクSiO
2膜及び第2層目のSiO
2膜パターンは、塩素と酸素の混合ガスに耐性があるので損傷は生じなかった。
【0088】
次に、CrN膜パターンをエッチングマスクにしてCF
4ガスを用いて石英ガラス基板をドライエッチングし、
図4(g)に示すように、石英ガラス基板に凹部17を形成した。石英ガラス基板のエッチング時に、CrN膜パターン上の第2層目のSiO
2膜パターン及び側壁マスクSiO
2膜もエッチング除去された。
【0089】
次に、CrNパターンを硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液によるウェットエッチングで除去し、
図4(h)に示すように、石英ガラス基板に、パターン幅15nm、ハーフピッチ15nmのラインアンドスペースの凹凸パターン18を形成したナノインプリント用テンプレート10を作製した。
【0090】
(実施例3)
図1(a)に示すように、テンプレート用の光透過性基板11として、実施例1と同様に、外形が6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、基板の一方の主面上に、スパッタリング法でクロム(Cr)を膜厚5nm成膜して第1層目の金属薄膜12としてCr膜を形成し、次にシリコン(Si)を膜厚5nm成膜して第2層目の金属薄膜(シリコン含有膜)13を形成した基板を準備した。次いで、この第2層目のSi膜上にポジ型電子線レジストZEP−520(日本ゼオン社製)を塗布し、電子線描画によりパターン幅30nm、ハーフピッチ30nmのラインアンドスペースよりなるレジスト厚60nmのレジストパターン14を形成した。Si膜上のレジストパターンは、パターンの下部のすそ引きが従来よりも抑制された、断面形状がほぼ矩形形状のレジストパターンであった。
【0091】
次に、レジストパターンを酸素プラズマでドライエッチングしてスリミングし、
図1(b)に示すように、パターン幅15nmのスリミングしたレジストパターン14aを形成した。スリミングしたレジストパターン14aもパターンの下部のすそ引きが従来よりも抑制された、断面がほぼ矩形形状のレジストパターンであった。
【0092】
次に、スリミングしたレジストパターン14aの側面及び上面、並びにSi膜の上面を覆うように、ALD法により酸化シリコン(SiO
2)を成膜し、
図1(c)に示すように、厚さ15nmのSiO
2の被覆膜15を形成した。
【0093】
次に、
図1(d)に示すように、CF
4ガスを用いてSiO
2の被覆膜全面をドライエッチングによりエッチバックし、レジストパターン14aを露出させるとともに、SiO
2の被覆膜をレジストパターンの側面に残してSiO
2の側壁マスク16を形成した。エッチバックのとき、第2層目の金属薄膜(シリコン含有膜)Siもエッチングされるが、問題は生じなかった。
【0094】
次に、
図4(e)に示すように、酸素プラズマによるドライエッチングで選択的にレジストパターンを除去し、Cr膜とSi膜の2層金属薄膜上にSiO
2の側壁マスク16を形成した基板を作成した。本実施例においては、コア材料が有機レジストなので、レジストパターンの除去は容易であり、側壁マスクの倒れや変形は生じなかった。SiO
2の側壁マスクは、パターン幅15nm、厚さ45nm、ハーフピッチ15nmのラインアンドスペースであった。
【0095】
次に、第1層目の金属薄膜Cr膜をエッチング停止層として用いて、露出している第2層目金属薄膜(シリコン含有膜、Si膜)13をCF
4ガスでドライエッチングし、
図4(f)に示すように、第2層目の金属薄膜(シリコン含有膜、Si膜)パターン13aを形成した。このとき、第2層目Si膜と側壁マスクSiO
2膜とのエッチング選択比により、側壁マスクSiO
2膜も膜減りするが、側壁マスクSiO
2膜は十分な厚さがあるため、第2層目Si膜のパターン形成には支障はなかった。
【0096】
続いて、側壁マスクSiO
2膜及び第2層目のSi膜パターンをマスクにして塩素と酸素の混合ガスを用いて第1層目のCr膜をドライエッチングし、Cr膜パターンを形成した。
【0097】
次に、Cr膜パターンをエッチングマスクにしてCF
4ガスを用いて石英ガラス基板をドライエッチングし、
図4(g)に示すように、石英ガラス基板に凹部17を形成した。石英ガラス基板のエッチング時に、Cr膜パターン上の第2層目のSi膜パターン及び側壁マスクSiO
2膜もエッチング除去された。
【0098】
次に、Crパターンを硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液によるウェットエッチングで除去し、
図4(h)に示すように、石英ガラス基板に、パターン幅15nm、ハーフピッチ15nmのラインアンドスペースの凹凸パターン18を形成したナノインプリント用テンプレート10を作製した。