(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護絶縁膜は、前記第2の絶縁膜の短手方向に沿った幅が0.5μm以上2.4μm以下であり、前記第2の絶縁膜のうち前記第1の絶縁膜との非重畳部分の短手方向に沿った幅が0よりも大きく2μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
前記保護絶縁膜は、前記第1の絶縁膜のうち前記第2の部分の下方において前記第2の絶縁膜との非重畳部分の短手方向に沿った幅が0.1μm以上であることを特徴とする請求項4に記載の化合物半導体装置。
前記化合物半導体積層構造は、電子走行層と、前記電子走行層の上方に設けられた電子供給層とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
前記化合物半導体積層構造は、電子走行層と、前記電子走行層の上方に設けられた電子供給層とを有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態では、半導体装置として、化合物半導体である窒化物半導体のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
図4〜
図7は、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0016】
先ず、
図4(a)に示すように、成長用基板として例えば半絶縁性のSiC基板1上に、複数の化合物半導体層の積層体として、化合物半導体積層構造2を形成する。成長用基板としては、SiC基板の代わりに、Si基板、サファイア基板、GaAs基板、GaN基板等を用いても良い。また、基板の導電性としては、半絶縁性、導電性を問わない。
化合物半導体積層構造2は、バッファ層2a、電子走行層2b、スペーサ層2c、電子供給層2d、及びキャップ層2eを有して構成される。
【0017】
完成したAlGaN/GaN・HEMTでは、その動作時において、電子走行層2bの電子供給層2dとの界面近傍(正確には、電子走行層2bのスペーサ層2cとの界面近傍)に2次元電子ガス(2DEG)が発生する。この2DEGは、電子走行層2bの化合物半導体(ここではGaN)と電子供給層2dの化合物半導体(ここではAlGaN)との格子定数の相違に基づいて生成される。
【0018】
詳細には、SiC基板1上に、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法により、以下の各化合物半導体を成長する。MOVPE法の代わりに、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等を用いても良い。
SiC基板1上に、AlNを200nm程度の厚みに、i(インテンショナリ・アンドープ)−GaNを1μm程度の厚みに、i−AlGaNを5nm程度の厚みに、n−AlGaNを30nm程度の厚みに、n−GaNを10nm程度の厚みに、順次成長する。これにより、バッファ層2a、電子走行層2b、スペーサ層2c、電子供給層2d、及びキャップ層2eが形成される。バッファ層2aとしては、AlNの代わりにAlGaNを用いたり、低温成長でGaNを成長するようにしても良い。
【0019】
AlNの成長条件としては、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMAl)ガス及びアンモニア(NH
3)ガスの混合ガスを用いる。GaNの成長条件としては、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びNH
3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長条件としては、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス、及びNH
3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、Al源であるTMAlガス、Ga源であるTMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるアンモニアガスの流量は、100ccm〜10LM程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
【0020】
AlGaN、GaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2d及びキャップ層2eを形成する際には、n型不純物として例えばSiを含む例えばSiH
4ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、GaN及びAlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×10
18/cm
3程度〜1×10
20/cm
3程度、例えば5×10
18/cm
3程度とする。
【0021】
続いて、
図4(b)に示すように、素子分離領域3を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2の不活性領域とする部位に、例えばアルゴン(Ar)をイオン注入する。これにより、化合物半導体積層構造2及びSiC基板1の表層部分に素子分離領域3が形成される。素子分離領域3により、化合物半導体積層構造2上でAlGaN/GaN・HEMTの素子領域(トランジスタ領域)が画定される。
なお、素子分離は、上記の注入法の代わりに、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて行っても良い。このとき、化合物半導体積層構造2のドライエッチングには、例えば塩素系のエッチングガスを用いる。
【0022】
続いて、
図4(c)に示すように、ソース電極4及びドレイン電極5を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2のキャップ層2eにおけるソース電極及びドレイン電極の各形成予定部位をリソグラフィー及びドライエッチングにより除去する。これにより、化合物半導体積層構造2のキャップ層2eに電極用リセス2A,2Bが形成される。
次に、ソース電極及びドレイン電極を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電極用リセス2A,2Bを露出させる開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
【0023】
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTi/Al(Tiが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定部位を露出させる開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTi/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜900℃程度の温度、例えば580℃程度で熱処理し、残存したTi/Alを電子供給層2cとオーミックコンタクトさせる。Ti/Alの電子供給層2dとのオーミックコンタクトが得られるのであれば、熱処理が不要な場合もある。以上により、電極用リセス2A,2Bを埋め込み電子供給層2dとオーミックコンタクトしたソース電極4及びドレイン電極5が形成される。
【0024】
続いて、化合物半導体積層構造2の表面を覆う保護絶縁膜を形成する。保護絶縁膜は、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜から構成される。
先ず、
図5(a)に示すように、SiN膜6を形成する。
詳細には、第2の絶縁膜となる絶縁膜として、例えばSiN膜6をCVD法等により全面に堆積する。SiN膜6は、10nm程度〜5000nm程度の厚み、例えば100nm程度の厚みに形成される。
【0025】
次に、
図5(b)に示すように、SiN膜6を加工して第2の絶縁膜8を形成する。
詳細には、SiN膜6をリソグラフィー及びドライエッチングにより加工し、SiN膜6を化合物半導体積層構造2の表面上でゲート電極の形成予定部位の所定位置にのみ残す。
以上により、化合物半導体積層構造2上に第2の絶縁膜8が形成される。第2の絶縁膜8は、その短手方向に沿った幅が0.01μm程度以上2.4μm程度以下、例えば0.5μm程度に形成される。
【0026】
次に、
図5(c)に示すように、第2の絶縁膜8を覆う第1の絶縁膜7を形成する。
詳細には、第1の絶縁膜となる絶縁膜として、例えばSiN膜をCVD法等により全面に堆積する。SiN膜は、10nm程度〜5000nm程度の厚みで第2の絶縁膜8よりも厚く、例えば400nm程度の厚みに形成される。これにより、第2の絶縁膜8を覆う第1の絶縁膜7が形成される。以上により、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜8からなる保護絶縁膜10が形成される。
【0027】
保護絶縁膜10は、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜8から構成される。後述するゲート電極では、ゲート電極のファインゲート部からオーバーゲート部にかけて閾値電圧が段階的に低下する。この構成を実現すべく、本実施形態では、第2の絶縁膜8のSiNは、第1の絶縁膜7のSiNよりも、Si−H結合数が少なく、且つN−H結合数が多い。
【0028】
具体的に、第1の絶縁膜7のSiNでは、Si−H結合数が1×10
22(/cm
3)程度以上で1×10
23(/cm
3)程度よりも少なく、且つN−H結合数が1×10
21(/cm
3)程度以上で1×10
22(/cm
3)程度よりも少ない。第1の絶縁膜7のSiNは、例えばSi−H結合数が1.8×10
22(/cm
3)程度、N−H結合数が7.0×10
21(/cm
3)程度とされる。
【0029】
第2の絶縁膜8のSiNでは、Si−H結合数が1×10
21(/cm
3)以上で1×10
22(/cm
3)よりも少なく、且つN−H結合数が1×10
22(/cm
3)以上で1×10
23(/cm
3)よりも少ない。第2の絶縁膜8のSiNは、例えばSi−H結合数が1.0×10
21(/cm
3)程度、N−H結合数が5.0×10
22(/cm
3)程度とされる。
【0030】
上記のように第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜8を形成するには、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜8のSiN膜を堆積する際に、例えばプラズマCVD法における成膜時の条件のうち、ソースガスに含まれるSiH
4及びN
2について、第1の絶縁膜7ではSiH
4のガス流量を多く、第2の絶縁膜8では第1の絶縁膜7の場合よりもSiH
4のガス流量を少なく調節する。例えば、第1の絶縁膜7の成膜時におけるソースガスのガス流量をSiH
4/N
2/He=3sccm/150sccm/1000sccmとし、第2の絶縁膜8の成膜時におけるソースガスのガス流量をSiH
4/N
2/He=2sccm/150sccm/1000sccmとする。
【0031】
なお、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜は、ゲート電極のファインゲート部からオーバーゲート部にかけて閾値電圧が段階的に低下するように、以下のように材料選択が可能である。即ち、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜は、各々、SiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3等から選択された少なくとも1種を含有する材料で形成することができる。
【0032】
例えば、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の各材料として同一のものを選択する場合、例えば第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を共にSiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3から選択された少なくとも1種の同一材料で形成する場合を考える。このとき、第2の絶縁膜を第1の絶縁膜よりも高い密度となるように形成する。具体的には、例えば成膜時の条件のうち、絶縁膜成長温度を低温側で行うようにすれば良い。
【0033】
続いて、
図6(a)に示すように、保護絶縁膜10に電極用リセス10aを形成する。
詳細には、全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、平面視で第2の絶縁膜8の一部を含む開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、保護絶縁膜10をエッチング、ここではドライエッチングする。ドライエッチングは、第2の絶縁膜8のエッチングレートが第1の絶縁膜7のエッチングレートよりも低い条件、例えば塩素系エッチングガスを用いて行う。以上により、保護絶縁膜10には、化合物半導体積層構造2の表面の一部を露出する電極用リセス10aが形成される。電極用リセス10aでは、ソース電極4側の側壁面は、第1の絶縁膜7に形成された略垂直面となる。ドレイン電極5側の側壁面は、第1の絶縁膜7に形成された略垂直面から第2の絶縁膜8の一部が内方へ突出した面となる。第2の絶縁膜8の一部による側壁面も略垂直面となる。
レジストマスクは、アッシング処理又は所定のウェット処理により除去される。
【0034】
続いて、
図6(b)に示すように、ゲート電極9を形成する。
詳細には、先ず、ゲート電極を形成するためレジストマスクを形成する。全面にレジストを塗布する。ここでは、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。塗布されたレジストをリソグラフィーにより加工する。以上により、ゲート電極の形成予定部位である電極用リセス10aを含む化合物半導体積層構造2の表面の領域を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
【0035】
次に、上記のレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばNi/Au(Niが下層、Auが上層)を、例えば蒸着法により、開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。100℃〜500℃、例えば490℃程度で熱処理し、ゲート電極のショットキー特性を確立する。以上により、電極用リセス10aを埋め込み保護絶縁膜10上に乗り上げる形状にゲート電極9が形成される。ゲート電極9は、電極用リセス10aを埋め込む幅狭のファインゲート部9aと、その上で保護絶縁膜10上に乗り上げ、ファインゲート部9aよりも幅広のオーバーゲート9bとが一体形成されて構成されている。ゲート電極9は、そのオーバーゲート9bを、図示のようにドレイン電極5側よりもソース電極4側の方を幅広にしてソース電極4側に偏倚する位置に形成することが好ましい。
【0036】
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極9への配線の電気的接続等の後工程を経て、AlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0037】
以下、上記のように作製されたAlGaN/GaN・HEMTの奏する作用効果について説明する。
図7は、本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおける閾値電圧について、
図2(a)に示した従来技術(比較例1とする)及び
図2(b)に示した従来技術(比較例2とする)との比較に基づいて、ゲート電極9近傍(ドレイン電極側)の構造と共に示す模式図である。(a)がゲート電極9近傍の構造を示す一部拡大断面図であり、(b)が(a)に対応する閾値電圧を示す特性図である。
図8は、本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおける電界強度について、
図3(a)に示した従来技術(比較例1とする)との比較に基づいて、ゲート電極9近傍の構造と共に示す模式図である。(a)がゲート電極9近傍(ドレイン電極側)の構造を示す一部拡大断面図であり、(b)が(a)に対応する電界強度を示す特性図である。
【0038】
図7(b)に示すように、本実施形態における閾値電圧は、ファインゲート部9aにおける保護絶縁膜10の非形成部位、ファインゲート部9aにおける第2の絶縁膜8のみの部位、オーバーゲート9bにおける第1の絶縁膜7と第2の絶縁膜8との重畳部位の順に、順次階段状の低下を示す。閾値電圧は、当該重畳部位では比較的大きく低下し、オーバーゲート9bにおける第1の絶縁膜7のみの部位で若干高くなる。このように本実施形態では、閾値電圧が階段状に緩やかに変化し、比較例2と同様に、比較例1のような急激な閾値変動が抑止される。
【0039】
図8(b)に示すように、本実施形態における電界強度は、ファインゲート部9aからオーバーゲート9bにかけて、若干の上下動はあるものの緩やかに上昇変動する。電界強度が最も高い部位であるオーバーゲート9bの端部でも絶縁破壊電界を大きく下回っており、比較例1のような絶縁破壊の危険はない。ここで、
図7(b)のように、第1の絶縁膜7と第2の絶縁膜8との重畳部位では、閾値電圧が比較的大きく低下する。比較例2ではファインゲート部107aの端部で絶縁破壊が生じる。これに対して本実施形態では、保護絶縁膜10において、第1の絶縁膜7と第2の絶縁膜8とが重畳する構造を採ることにより、当該重畳部位で絶縁破壊電界が高くなり、絶縁破壊が確実に抑止される。このように本実施形態では、急激な閾値変動が抑止され、トランジスタ全体として破壊耐圧の大幅な向上が実現する。
【0040】
図9は、保護絶縁膜10とゲート電極9との位置関係(ドレイン電極側)を示す一部拡大断面図である。
保護絶縁膜10の第1の絶縁膜7は、オーバーゲート9bの下方の部分を含む化合物半導体積層構造2上に形成されている。保護絶縁膜10の第2の絶縁膜8は、オーバーゲート9bの下方のみに形成され、平面視でその一部が第1の絶縁膜7と重畳している。第2の絶縁膜8は、上記したように、その短手方向に沿った幅W1が0.01μm程度以上2.4μm程度以下、例えば0.5μm程度に形成される。第2の絶縁膜8のうち第1の絶縁膜7との非重畳部分の短手方向に沿った幅W2は、0よりも大きく2μm程度以下、例えば1.0μm程度とされる。第1の絶縁膜7のうちオーバーゲート9bの下方において第2の絶縁膜8との非重畳部分の短手方向に沿った幅W3は、0.1μm程度以上、例えば0.5μm程度とされる。幅W1,W2,W3が上記の範囲内の値とされることにより、閾値電圧の階段状の緩やかな変化が得られ、局所的な絶縁破壊の危険が確実に抑止され、トランジスタ全体で破壊耐圧が向上する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0042】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTについて説明する。本実施形態では、第1の実施形態と同様にAlGaN/GaN・HEMTを開示するが、保護絶縁膜の第2の絶縁膜の形状が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図10及び
図11は、第2の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。なお、第1の実施形態における構成部材等と同じものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず
図4(a)〜
図5(a)の諸工程を経る。このとき、化合物半導体積層構造2上にSiN膜6が形成される。
【0044】
続いて、
図10(a)に示すように、SiN膜6を加工して第2の絶縁膜21を形成する。
詳細には、SiN膜6をリソグラフィー及びドライエッチングにより加工し、SiN膜6を化合物半導体積層構造2の表面上でゲート電極の形成予定部位の所定位置にのみ残す。
以上により、化合物半導体積層構造2上に第2の絶縁膜21が形成される。第2の絶縁膜21は、そのドレイン電極5側(第1の絶縁膜と重畳する側)の端部がテーパ構造21aとされる。第2の絶縁膜21は、リソグラフィーにおいて、ドレイン電極5側の端部がテーパ状のレジストマスクを形成し、これを用いてドライエッチングすることにより、形成することができる。第2の絶縁膜21は、その短手方向に沿った幅が0.01μm程度以上2.4μm程度以下、例えば0.5μm程度に形成される。
【0045】
続いて、
図10(b)に示すように、第2の絶縁膜21を覆う第1の絶縁膜7を形成する。
詳細には、第1の絶縁膜となる絶縁膜として、例えばSiN膜をCVD法等により全面に堆積する。SiN膜は、10nm程度〜5000nm程度の厚みで第2の絶縁膜21よりも厚く、例えば400nm程度の厚みに形成される。これにより、第2の絶縁膜21を覆う第1の絶縁膜7が形成される。以上により、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜21からなる保護絶縁膜20が形成される。
【0046】
保護絶縁膜20は、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜21から構成される。ゲート電極9では、ファインゲート部9aからオーバーゲート部9bにかけて閾値電圧が段階的に低下する。この構成を実現すべく、本実施形態では、第2の絶縁膜21のSiNは、第1の絶縁膜7のSiNよりも、Si−H結合数が少なく、且つN−H結合数が多い。
【0047】
具体的に、第1の絶縁膜7のSiNでは、Si−H結合数が1×10
22(/cm
3)程度以上で1×10
23(/cm
3)程度よりも少なく、且つN−H結合数が1×10
21(/cm
3)程度以上で1×10
22(/cm
3)程度よりも少ない。第1の絶縁膜7のSiNは、例えばSi−H結合数が1.2×10
22(/cm
3)程度、N−H結合数が7.0×10
21(/cm
3)程度とされる。
【0048】
第2の絶縁膜21のSiNでは、Si−H結合数が1×10
21(/cm
3)以上で1×10
22(/cm
3)よりも少なく、且つN−H結合数が1×10
22(/cm
3)以上で1×10
23(/cm
3)よりも少ない。第2の絶縁膜21のSiNは、例えばSi−H結合数が1.0×10
21(/cm
3)程度、N−H結合数が5.0×10
22(/cm
3)程度とされる。
【0049】
上記のように第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜21を形成するには、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜21のSiN膜を堆積する際に、例えばプラズマCVD法における成膜時の条件のうち、ソースガスに含まれるSiH
4及びN
2について、第1の絶縁膜7ではSiH
4のガス流量を多く、第2の絶縁膜21では第1の絶縁膜7の場合よりもSiH
4のガス流量を少なく調節する。
【0050】
なお、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜は、ゲート電極のファインゲート部からオーバーゲート部にかけて閾値電圧が段階的に低下するように、以下のように材料選択が可能である。即ち、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜は、各々、SiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3等から選択された少なくとも1種を含有する材料で形成することができる。
【0051】
例えば、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の各材料として同一のものを選択する場合、例えば第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を共にSiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3から選択された少なくとも1種の同一材料で形成する場合を考える。このとき、第2の絶縁膜を第1の絶縁膜よりも高い密度となるように形成する。具体的には、例えば絶縁膜成長温度を低温側で行うようにすれば良い。
【0052】
続いて、
図11(a)に示すように、保護絶縁膜20に電極用リセス20aを形成する。
詳細には、全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、平面視で第2の絶縁膜21の一部を含む開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、保護絶縁膜20をエッチング、ここではドライエッチングする。ドライエッチングは、第2の絶縁膜21のエッチングレートが第1の絶縁膜7のエッチングレートよりも低い条件、例えば塩素系エッチングガスを用いて行う。以上により、保護絶縁膜20には、化合物半導体積層構造2の表面の一部を露出する電極用リセス20aが形成される。電極用リセス20aでは、ソース電極4側の側壁面は、第1の絶縁膜7に形成された略垂直面となる。ドレイン電極5側の側壁面は、第1の絶縁膜7に形成された略垂直面から第2の絶縁膜21の一部が内方へ突出した面となる。第2の絶縁膜21の一部による側壁面も略垂直面となる。
レジストマスクは、アッシング処理又は所定のウェット処理により除去される。
【0053】
その後、第1の実施形態と同様に、
図5(b)と同様の工程を実行する。
図5(b)に相当する状態を
図11(b)に示す。
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極9への配線の電気的接続等の後工程を経て、AlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0054】
本実施形態では、保護絶縁膜20において、第1の絶縁膜7と第2の絶縁膜21とが重畳する構造を採り、第2の絶縁膜21は当該重畳部位でドレイン電極5に近づくにつれて徐々に薄くなるテーパ構造21aとされる。閾値電圧は、第1の実施形態と同様に階段状に変化し、テーパ構造21aの部分では漸減する。この構成を採ることにより、急激な閾値変動がより確実に抑止され、トランジスタ全体として破壊耐圧の更なる大幅な向上が実現する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0056】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTについて説明する。本実施形態では、第1の実施形態と同様にAlGaN/GaN・HEMTを開示するが、保護絶縁膜の第2の絶縁膜の形状が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図12及び
図13は、第3の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。なお、第1の実施形態における構成部材等と同じものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず
図4(a)〜
図5(a)の諸工程を経る。このとき、化合物半導体積層構造2上にSiN膜6が形成される。
【0058】
続いて、
図12(a)に示すように、SiN膜6を加工して第2の絶縁膜31を形成する。
詳細には、SiN膜6をリソグラフィー及びドライエッチングにより加工し、SiN膜6を化合物半導体積層構造2の表面上でゲート電極の形成予定部位の所定位置にのみ残す。これにより、化合物半導体積層構造2上に第2の絶縁膜31が形成される。第2の絶縁膜31は、双方の端部がテーパ構造となる。即ち、そのソース電極4側の端部がテーパ構造31a、ドレイン電極5側の端部がテーパ構造31a,31bとされる。第2の絶縁膜31は、リソグラフィーにおいて、双方の端部がテーパ状のレジストマスクを形成し、これを用いてドライエッチングすることにより、形成することができる。第2の絶縁膜31は、その短手方向に沿った幅が0.01μm程度以上2.4μm程度以下、例えば0.5μm程度に形成される。
【0059】
続いて、
図12(b)に示すように、第2の絶縁膜31を覆う第1の絶縁膜7を形成する。
詳細には、第1の絶縁膜となる絶縁膜として、例えばSiN膜をCVD法等により全面に堆積する。SiN膜は、10nm程度〜5000nm程度の厚みで第2の絶縁膜31よりも厚く、例えば400nm程度の厚みに形成される。これにより、第2の絶縁膜31を覆う第1の絶縁膜7が形成される。以上により、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜31からなる保護絶縁膜30が形成される。
【0060】
保護絶縁膜30は、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜31から構成される。ゲート電極9では、ファインゲート部9aからオーバーゲート部9bにかけて閾値電圧が段階的に低下する。この構成を実現すべく、本実施形態では、第2の絶縁膜31のSiNは、第1の絶縁膜7のSiNよりも、Si−H結合数が少なく、且つN−H結合数が多い。
【0061】
具体的に、第1の絶縁膜7のSiNでは、Si−H結合数が1×10
22(/cm
3)程度以上で1×10
23(/cm
3)程度よりも少なく、且つN−H結合数が1×10
21(/cm
3)程度以上で1×10
22(/cm
3)程度よりも少ない。第1の絶縁膜7のSiNは、例えばSi−H結合数が1.2×10
22(/cm
3)程度、N−H結合数が7.0×10
21(/cm
3)程度とされる。
【0062】
第2の絶縁膜31のSiNでは、Si−H結合数が1×10
21(/cm
3)以上で1×10
22(/cm
3)よりも少なく、且つN−H結合数が1×10
22(/cm
3)以上で1×10
23(/cm
3)よりも少ない。第2の絶縁膜31のSiNは、例えばSi−H結合数が1.0×10
21(/cm
3)程度、N−H結合数が5.0×10
22(/cm
3)程度とされる。
【0063】
上記のように第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜31を形成するには、第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜31のSiN膜を堆積する際に、例えばプラズマCVD法における成膜時の条件のうち、ソースガスに含まれるSiH
4及びN
2について、第1の絶縁膜7ではSiH
4のガス流量を多く、第2の絶縁膜31では第1の絶縁膜7の場合よりもSiH
4のガス流量を少なく調節する。
【0064】
なお、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜は、ゲート電極のファインゲート部からオーバーゲート部にかけて閾値電圧が段階的に低下するように、以下のように材料選択が可能である。即ち、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜は、各々、SiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3等から選択された少なくとも1種を含有する材料で形成することができる。
【0065】
例えば、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の各材料として同一のものを選択する場合、例えば第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を共にSiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3から選択された少なくとも1種の同一材料で形成する場合を考える。このとき、第2の絶縁膜を第1の絶縁膜よりも高い密度となるように形成する。具体的には、例えば、絶縁膜成長温度を低温側で行うようにすれば良い。
【0066】
続いて、
図13(a)に示すように、保護絶縁膜30に電極用リセス30aを形成する。
詳細には、全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、平面視で第2の絶縁膜31の一部を含む開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、保護絶縁膜30をエッチング、ここではドライエッチングする。ドライエッチングは、第2の絶縁膜31のエッチングレートが第1の絶縁膜7のエッチングレートよりも低い条件、例えば塩素系エッチングガスを用いて行う。以上により、保護絶縁膜30には、化合物半導体積層構造2の表面の一部を露出する電極用リセス30aが形成される。電極用リセス30aでは、ソース電極4側の側壁面は、第1の絶縁膜7に形成された略垂直面となる。ドレイン電極5側の側壁面は、第1の絶縁膜7に形成された略垂直面から第2の絶縁膜31の一部が内方へ突出した面となる。第2の絶縁膜31の一部による側壁面はテーパ構造31bとなる。
レジストマスクは、アッシング処理又は所定のウェット処理により除去される。
【0067】
その後、第1の実施形態と同様に、
図5(b)と同様の工程を実行する。
図5(b)に相当する状態を
図13(b)に示す。
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極9への配線の電気的接続等の後工程を経て、AlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0068】
本実施形態では、保護絶縁膜30において、第1の絶縁膜7と第2の絶縁膜31とが重畳する構造を採り、第2の絶縁膜31は当該重畳部位でソース電極4及びドレイン電極5に近づくにつれて徐々に薄くなるテーパ構造31a,31bとされる。閾値電圧は、第1の実施形態と同様に階段状に変化し、テーパ構造31a,31bの部分では漸減する。この構成を採ることにより、急激な閾値変動がより確実に抑止され、トランジスタ全体として破壊耐圧の更なる大幅な向上が実現する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0070】
(他の実施形態)
第1〜第3の実施形態では、化合物半導体装置としてAlGaN/GaN・HEMTを例示した。化合物半導体装置としては、AlGaN/GaN・HEMT以外にも、以下のようなHEMTに適用できる。
【0071】
・その他のHEMT例1
本例では、化合物半導体装置として、InAlN/GaN・HEMTを開示する。
InAlNとGaNは、組成によって格子定数を近くすることが可能な化合物半導体である。この場合、上記した第1〜第3の実施形態では、電子走行層がi−GaN、スペーサ層がi−AlN、電子供給層がn−InAlN、キャップ層がn−GaNで形成される。また、この場合のピエゾ分極がほとんど発生しないため、2次元電子ガスは主にInAlNの自発分極により発生する。
【0072】
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMTと同様に、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のInAlN/GaN・HEMTが実現する。
【0073】
・その他のHEMT例2
本例では、化合物半導体装置として、InAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
GaNとInAlGaNは、後者の方が前者よりも組成によって格子定数を小さくすることができる化合物半導体である。この場合、上記した第1〜第3の実施形態では、電子走行層がi−GaN、スペーサ層がi−AlN、電子供給層がn−InAlGaN、キャップ層がn−GaNで形成される。
【0074】
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMTと同様に、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のInAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0075】
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1〜第3の実施形態のいずれかのAlGaN/GaN・HEMTを適用した電源装置を開示する。
図14は、第4の実施形態による電源装置の概略構成を示す結線図である。
【0076】
本実施形態による電源装置は、高圧の一次側回路41及び低圧の二次側回路42と、一次側回路41と二次側回路42との間に配設されるトランス43とを備えて構成される。
一次側回路41は、交流電源44と、いわゆるブリッジ整流回路45と、複数(ここでは4つ)のスイッチング素子46a,46b,46c,46dとを備えて構成される。また、ブリッジ整流回路45は、スイッチング素子46eを有している。
二次側回路42は、複数(ここでは3つ)のスイッチング素子47a,47b,47cを備えて構成される。
【0077】
本実施形態では、一次側回路41のスイッチング素子46a,46b,46c,46d,46eが、第1の実施形態又は変形例のAlGaN/GaN・HEMTとされている。一方、二次側回路42のスイッチング素子47a,47b,47cは、シリコンを用いた通常のMIS・FETとされている。
【0078】
本実施形態では、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のAlGaN/GaN・HEMTを、高圧回路に適用する。これにより、信頼性の高い大電力の電源回路が実現する。
【0079】
(第5の実施形態)
本実施形態では、第1〜第3の実施形態のいずれかのAlGaN/GaN・HEMTを適用した高周波増幅器を開示する。
図15は、第5の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
【0080】
本実施形態による高周波増幅器は、ディジタル・プレディストーション回路51と、ミキサー52a,52bと、パワーアンプ53とを備えて構成される。
ディジタル・プレディストーション回路51は、入力信号の非線形歪みを補償するものである。ミキサー52aは、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号をミキシングするものである。パワーアンプ53は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅するものであり、第1の実施形態又は変形例のAlGaN/GaN・HEMTを有している。なお
図15では、例えばスイッチの切り替えにより、出力側の信号をミキサー52bで交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路51に送出できる構成とされている。
【0081】
本実施形態では、比較的簡易な構成により、電界集中を緩和し、破壊耐圧を大幅に向上させ、絶縁破壊の確実な抑止を図ることを可能とする信頼性の高い高耐圧のAlGaN/GaN・HEMTを、高周波増幅器に適用する。これにより、信頼性の高い高耐圧の高周波増幅器が実現する。
【0082】
以下、化合物半導体装置及びその製造方法、並びに電源装置及び高周波増幅器の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0083】
(付記1)半導体層と、
前記半導体層の上方に形成された保護絶縁膜と、
前記半導体層の上方に形成されており、前記保護絶縁膜に形成された開口を埋め込む第1の部分と、前記第1の部分上に位置し、短手方向に沿って前記第1の部分よりも幅広であり前記保護絶縁膜上に乗り上げる第2の部分とが一体形成された電極と
を含み、
前記保護絶縁膜は、前記第2の部分の下方を含む前記半導体層の上方に形成された第1の絶縁膜と、前記第2の部分の下方のみに形成され、平面視でその一部が前記第1の絶縁膜と重畳する第2の絶縁膜とを有しており、
閾値電圧は、前記第1の部分から前記第2の部分にかけて段階的に低下することを特徴とする半導体装置。
【0084】
(付記2)前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜と重畳する側の端部がテーパ構造とされていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0085】
(付記3)前記第2の絶縁膜は、双方の端部がテーパ構造とされていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0086】
(付記4)前記保護絶縁膜は、前記第2の絶縁膜の短手方向に沿った幅が0.5μm以上2.4μm以下であり、前記第2の絶縁膜のうち前記第1の絶縁膜との非重畳部分の短手方向に沿った幅が0よりも大きく2μm以下であることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0087】
(付記5)前記保護絶縁膜は、前記第1の絶縁膜のうち前記第2の部分の下方において前記第2の絶縁膜との非重畳部分の短手方向に沿った幅が0.1μm以上であることを特徴とする付記4に記載の半導体装置。
【0088】
(付記6)前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、各々、SiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0089】
(付記7)前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、共にSiNを含有しており、
前記第2の絶縁膜のSi−H結合数が前記第1の絶縁膜のSi−H結合数よりも少ないことを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0090】
(付記8)前記第1の絶縁膜のSi−H結合数が1×10
22(/cm
3)以上で1×10
23(/cm
3)よりも少なく、前記第2の絶縁膜のSi−H結合数が1×10
21(/cm
3)以上で1×10
22(/cm
3)よりも少ないことを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
【0091】
(付記9)前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、共にSiNを含有しており、
前記第2の絶縁膜のN−H結合数が前記第1の絶縁膜のN−H結合数よりも多いことを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0092】
(付記10)前記第1の絶縁膜のN−H結合数が1×10
21(/cm
3)以上で1×10
22(/cm
3)よりも少なく、前記第2の絶縁膜のN−H結合数が1×10
22(/cm
3)以上で1×10
23(/cm
3)よりも少ないことを特徴とする付記9に記載の半導体装置。
【0093】
(付記11)前記半導体層の上方に、開口を有する保護絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体層の上方に形成されており、前記保護絶縁膜に形成された開口を埋め込む第1の部分と、前記第1の部分上に位置し、短手方向に沿って前記第1の部分よりも幅広であり前記保護絶縁膜上に乗り上げる第2の部分とが一体となった電極を形成する工程と
を含み、
前記保護絶縁膜は、前記第2の部分の下方を含む前記半導体層の上方に形成された第1の絶縁膜と、前記第2の部分の下方のみに形成され、平面視でその一部が前記第1の絶縁膜と重畳する第2の絶縁膜とを有しており、
閾値電圧は、前記第1の部分から前記第2の部分にかけて段階的に低下することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記12)前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜と重畳する側の端部がテーパ構造となるように形成されることを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記13)前記第2の絶縁膜は、双方の端部がテーパ構造となるように形成されることを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記14)前記保護絶縁膜は、前記第2の絶縁膜の短手方向に沿った幅が0.5μm以上2.4μm以下であり、前記第2の絶縁膜のうち前記第1の絶縁膜との非重畳部分の短手方向に沿った幅が0よりも大きく2μm以下であることを特徴とする付記11〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0097】
(付記15)前記保護絶縁膜は、前記第1の絶縁膜のうち前記第2の部分の下方において前記第2の絶縁膜との非重畳部分の短手方向に沿った幅が0.1μm以上であることを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
【0098】
(付記16)前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、各々、SiN、SiON、SiO
2、AlN、及びAl
2O
3から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記11〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記17)前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、共にSiNを含有しており、
前記第2の絶縁膜のSi−H結合数が前記第1の絶縁膜のSi−H結合数よりも少ないことを特徴とする付記11〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記18)前記第1の絶縁膜のSi−H結合数が1×10
22(/cm
3)以上で1×10
23(/cm
3)よりも少なく、前記第2の絶縁膜のSi−H結合数が1×10
21(/cm
3)以上で1×10
22(/cm
3)よりも少ないことを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0101】
(付記19)変圧器と、前記変圧器を挟んで高圧回路及び低圧回路とを備えた電源回路であって、
前記高圧回路はトランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
半導体層と、
前記半導体層の上方に形成された保護絶縁膜と、
前記半導体層の上方に形成されており、前記保護絶縁膜に形成された開口を埋め込む第1の部分と、前記第1の部分上に位置し、短手方向に沿って前記第1の部分よりも幅広であり前記保護絶縁膜上に乗り上げる第2の部分とが一体形成された電極と
を含み、
前記保護絶縁膜は、前記第2の部分の下方を含む前記半導体層の上方に形成された第1の絶縁膜と、前記第2の部分の下方のみに形成され、平面視でその一部が前記第1の絶縁膜と重畳する第2の絶縁膜とを有しており、
閾値電圧は、前記第1の部分から前記第2の部分にかけて段階的に低下することを特徴とする電源回路。
【0102】
(付記20)入力した高周波電圧を増幅して出力する高周波増幅器であって、
トランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
半導体層と、
前記半導体層の上方に形成された保護絶縁膜と、
前記半導体層の上方に形成されており、前記保護絶縁膜に形成された開口を埋め込む第1の部分と、前記第1の部分上に位置し、短手方向に沿って前記第1の部分よりも幅広であり前記保護絶縁膜上に乗り上げる第2の部分とが一体形成された電極と
を含み、
前記保護絶縁膜は、前記第2の部分の下方を含む前記半導体層の上方に形成された第1の絶縁膜と、前記第2の部分の下方のみに形成され、平面視でその一部が前記第1の絶縁膜と重畳する第2の絶縁膜とを有しており、
閾値電圧は、前記第1の部分から前記第2の部分にかけて段階的に低下することを特徴とする高周波増幅器。