【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例を示す太陽光発電システムの概略構成図を示したものである。101はそれぞれ複数の太陽電池セルからなる太陽光発電モジュールで、
各太陽光発電モジュール101には計測兼構成切替装置102が接続されている。計測兼構成切替装置102は、複数台を太線で示した電力線106を介してまとめてパワーコンディショナ104に接続されており、それぞれは、接続された太陽光発電モジュール101の電圧・電流などのモニタリング機能を有すると共に、太陽光発電システムの直並列の接続構成を再構成する機能を有している。
【0017】
103は温度計で、
図1では全部の太陽光発電モジュール101に設けられているが、
図7で示すように代表(ここでは1つ)とする太陽光発電モジュール101の太陽電池セル裏面などに取付けられて温度のモニタリングに使用される。
すなわち、計測兼構成切替装置102は、例えば、特許文献1に記載のインテリジェントノードの利用が可能で、接続した太陽光発電モジュール101が発電する電圧・電流、および温度を計測する。
【0018】
計測兼構成切替装置102は、それぞれ隣接同士間において直列接続或いは並列接続に変更されることで太陽光発電システムの再構成が可能となっており、本実施例での計測兼構成切替装置102は、パワーコンディショナ104のマイナス極側に近い計測兼構成切替装置102の接続が直並列切替えできるよう構成されている。すなわち、パワーコンディショナ104のマイナス極側に接続される計測兼構成切替装置102が直列接続されている。なお、プラス極側に近い計測兼構成切替装置102の接続を直並列切替えできるよう構成してもよいことは勿論である。
【0019】
105は構成管理装置で、細線で示した通信線107を介して複数台の計測兼構成切替装置102と接続され、太陽光発電モジュール101が発電した電圧・電流および温度の計測値を、通信線107を介して取得する。そして、取得した計測値を基に太陽光発電モジュール101毎の日射強度を推定し、太陽光発電システムとして発電電力を最大化するよう直並列の組合わせを算出して各計測兼構成切替装置102に対し直並列再構成の指示を出す。
【0020】
また、構成管理装置105は、パワーコンディショナ104とも通信線107により接続されており、直並列再構成の際には発電の一時停止処理指令を出力する。また、構成管理装置105は、パワーコンディショナ104のMPPT(最大電力点追従)制御に必要な情報提供機能を有し、MPPT制御機能はパワーコンディショナ104中に内蔵若しくは別設される。なお、
図1では通信線107をカスケード接続で表現しているが、構成管理装置105と各計測兼構成切替装置102間を直接接続してもよく、中継装置を介しての接続や、無線による通信も可能である。
【0021】
図8は計測兼構成切替装置102内の切替え部材のイメージ図で、(a)が並列接続時、(b)が直列接続時を示したものである。
図9,
図10は、計測兼構成切替装置102が4台ユニット(計測兼構成切替装置)の場合の例で、
図8で示す切替え部材を使って太陽光発電システムを直並列構成した接続図を示したものである。
図9(a)は4ユニットの計測兼構成切替装置102を図面左側から直列・並列・直列・並列として構成したもので、この場合の理論的な接続は
図9(b)で示すように2台ユニットずつの並列接続が直列に接続された状態となる。
【0022】
また、図面右側での計測兼構成切替装置102が直列に切替えられたものが
図10(a)で、このときの理論的な接続は
図10(b)で示すように2台の並列と残りの2ユニットが直列に接続された状態となる。そうして、パワーコンディショナ104の正極側には接続構成された計測兼構成切替装置の正極が接続され、パワーコンディショナ104の負極には計測兼構成切替装置の負極がそれぞれ接続される。
【0023】
次に、太陽光発電システムを構成するユニットに影がかかったときの直並列構成について説明する。
図11は太陽光発電システムを12台のユニットで構成された場合の例で、通常時は
図11(a)で理論的接続は
図11(c)で示すように4並列が3段(S1〜S3)直列に接続された構成とする。ここで、
図11(a)では斜線で示すように上半分のユニットに影が差し、この部分の日射が半分になったとする。
【0024】
太陽光発電システムの特性として、電圧はあまり変化しないが電流が半減する。このようなとき、
図11(a)の接続状態のままであると、影の無い段S3には4の電流がながれているとすると、半分が影の段S2では3、全部影の段S1では2の電流が流れる。しかし、物理法則によってどの段も同じ電流が流れなければならないため、実際には全体に2程度の電流しか流れず発電量は影の無いときに比較して半減する。
図11(c)は
図11(a)の理論的接続図を示す。
【0025】
そこで、影が発生した場合、
図11(b)で示すように○印を付した計測兼構成切替装置の切替え部材を直列→並列に、又は並列→直列に切替えて直並列構成を変更して
図11(d)で示す理論的接続にすると、何れの段にも3の電流を流すことができる。したがって、影の無いときと比べて3/4の発電が可能となる。この発電量は影による日射量の減少に相当するものであり、実質的に発電の効率を落とさずに運用でき、不均等な影による日射量の減少以上に発電電量の減少することを緩和てきる。
【0026】
本発明は、上記のように構成される太陽光発電システムの直並列組合わせの算出方法に関するものである。以下図に基づいて具体的に説明する。
構成管理装置105は一定時間毎に各計測兼構成切替装置102からデータを収集して直並列組合わせを決定し、計測兼構成切替装置102に対して直並列再構成の指示を行う。その流れを示したものが
図2である。
【0027】
図2のフローチャートにおいて、ステップ201で一定周期毎に各計測兼構成切替装置102の計測データを収集する。201でのデータ収集は、
図3で示すフローチャートのように、ステップ301で計測兼構成切替装置102毎に順次データ収集を指示し、各計測兼構成切替装置102が計測している太陽光発電モジュール101の現在発電している電圧・電流値を取得(302)し、また、接続されている温度計による太陽電池セル温度を取得(303)する。ステップ304では、これを計測兼構成切替装置毎に反復処理を行う。
【0028】
図2において、ステップ202では、収集された計測データに基づいて日射強度を推定し、この推定に基づいて直並列組合わせを決定(203)し、204では組合わせ決定結果により構成変更を行うか否かの判定を行う。構成変更となった場合には205で直並列再構成指示を出力する。
【0029】
ステップ202の日射強度推定は、
図4で示すフローチャートのように行われる。すなわち、計測兼構成切替装置毎に、太陽光発電モジュールが現在発電している電圧・電流値及び太陽電池セル温度を用いて太陽電池基本式に基づいて開放電圧(402)及び短絡電流(403)を計算する。その際の太陽光発電モジュールの特性パラメータは予め設定しておく。ステップ402の開放電圧推定は、定格温度における開放電圧と開放電圧の温度補正係数というパラメータ値を使って太陽電池セル温度から開放電圧を算出する。ステップ403の短絡電流推定では、402で算出した開放電圧を用い、太陽電池基本式に基づいて短絡電流を算出し、計測兼構成切替装置毎に反復処理(404)を行う。
【0030】
なお、
図4では日射強度推定と言いながら日射強度を求めていない。日射強度は短絡電流に略比例することから、短絡電流の温度補正を行って定格短絡電流で除することで日射強度を求めることが出来る。しかし、次の段階で必要なものは短絡電流であるので無駄な計算を省いている。
【0031】
ステップ203の直並列組合わせは、
図5で示すフローチャートのように行われる。予め現在の直並列組合わせを記録(501)してから可能な直並列組合わせ毎に(502)発電電力を推定(503)し、発電電力を最大にする組合わせを計算する。その後、最大電力の直並列組合わせが再構成ロスを考慮しても、現在の直並列組合わせより良ければ新たな直並列組合わせに決定する。ステップ502〜505は可能な直並列組合わせ毎に反復して処理することを示す。
【0032】
503での発電電力の推定は、選択した直並列組合わせで発電できる電力を太陽電池基本式と直並列合成で算出する。直並列合成は太陽電池基本式で算出できるIV特性関数を直列・並列の接続に合わせて電圧方向・電流方向に積算することで実施する。504の最大発電組合わせ記録は、503で算出された発電電力が、今までの直並列組合わせより大きければ更新することにより最大発電の直並列組合わせを記録する。506の再構成可否決定では501で記録された現在の最大発電の直並列組合わせと比較し、501で記録されたものが再構成ロスを考慮した基準を超えて最大発電の直並列組合わせが良ければ記録はそのままとし、そうでなければ今までの組合せを新たな最大発電の直並列組合わせとして決定する。この判断はステップ204で行って、205で直並列再構成指示を出力する。
【0033】
図6は、205での直並列再構成指示のフローチャートを示したもので、予め発電を一時停止してから、各計測兼構成切替装置102に直並列変更を指示して行き、直並列構成を更新してから発電を再開する。ステップ601ではパワーコンディショナ104に指示して発電を一時停止する。602〜605は計測兼構成切替装置102毎に反復して処理する。603では各計測兼構成切替装置102が直並列構成を更新すべきか否かを判断し、変更すべきと判断したときには604で計測兼構成切替装置102に指示して直並列構成を更新する。全ての直並列構成が更新されたら、606でパワーコンディショナ104に指示して発電を再開する。パワーコンディショナ104は新しい直並列組合わせに基づいてMPPT制御を行い発電を制御する。