特許第6236923号(P6236923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236923太陽光発電モジュールの直並列組合わせ決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236923
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】太陽光発電モジュールの直並列組合わせ決定方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/36 20140101AFI20171120BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20171120BHJP
   G05F 1/67 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H02S40/36
   H02S50/00
   G05F1/67 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-136012(P2013-136012)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-12116(P2015-12116A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】林 孝則
(72)【発明者】
【氏名】海野 富士也
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−516568(JP,A)
【文献】 特開2012−204651(JP,A)
【文献】 特開平11−103537(JP,A)
【文献】 特開2012−043981(JP,A)
【文献】 特開2000−089841(JP,A)
【文献】 特開2013−051293(JP,A)
【文献】 特開2010−219349(JP,A)
【文献】 特表2012−511893(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/155877(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20
H02S 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池セルからなる太陽光発電モジュールを複数設け、各太陽光発電モジュールにそれぞれ計測兼構成切替装置を接続し、各計測兼構成切替装置によって計測された太陽光発電モジュールの電圧・電流及び温度を構成管理装置に入力し、構成管理装置で太陽光発電モジュールの直並列組合わせ構成を算出し、算出された直並列組合わせに基づいて計測兼構成切替装置に対して直並列接続指令を出力して太陽光発電モジュールの直並列に組合わせ構成を変更し、直並列に組合わされた太陽光発電モジュールの出力をパワーコンディショナに入力するよう構成された太陽光発電システムの直並列組合わせ決定方法において、
前記構成管理装置は、
前記計測兼構成切替装置が計測した電圧・電流及び温度のデータを予め決められた一定周期毎に収集するステップと、
前記計測兼構成切替装置毎に、太陽光発電モジュールが現在発電している電圧・電流および温度を用い、定格温度における開放電圧と開放電圧の温度補正係数を使って開放電圧を推定し、該推定された開放電圧を用いて太陽電池基本式に基づいて短絡電流を推定するステップと、
前記計測兼構成切替装置毎に予め現在の直並列組合わせを記録し、可能な直並列組合わせ毎に、前記推定した太陽光発電モジュールの短絡電流を並列接続の度に合計した値に基づいて発電電力を推定して、該発電電力を最大にする組合わせを計算し、求められた組合わせが予め記録された直並列組合わせよりも良いときに新しく最大発電組合わせとして直並列組合わせを決定するステップと、
前記予め記録された現在の直並列組合わせと、前記新しく決定された最大発電組合わせを比較し、太陽光発電モジュールの直並列組合わせ構成を変更すると判断したとき計測兼構成切替装置に直並列再構成指示を出力するステップ、
で直並列組合わせを決定し、
前記直並列再構成指示を出力するステップは、前記パワーコンディショナに対する発電一時停止命令出力後、全計測兼構成切替装置毎に直並列構成の変更の要否を判断し、変更時にはパワーコンディショナに対して発電再開指令を出力することを特徴とした太陽光発電システムの直並列組合わせ決定方法。
【請求項2】
前記パワーコンディショナにMPPT制御機能を持たせ、前記構成管理装置が有する最大電力点情報をパワーコンディショナに送出し、パワーコンディショナで最大電力点近傍での局所最大点探索を行うことでMPPT制御を実行することを特徴とした請求項1記載の太陽光発電システムの直並列組合わせ決定方法。
【請求項3】
前記計測される温度は、太陽光発電モジュールの任意数の温度情報であることを特徴とした請求項1又は2記載の太陽光発電システムの直並列組合わせ決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電モジュールの直並列組合わせ決定法に係わり、特に雲や建物の影による太陽光発電モジュール毎にバラツキのある日射に対して太陽光発電モジュールの直並列の組合わせを切替える方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の太陽光発電システムは、太陽電池セルを1つ以上搭載した太陽光発電モジュールを幾つか直列に並べてPCS(Power Conversion System)の入力電圧に適合するようにしたもの(ストリングと呼ばれる)を、PCS容量に合わせて並列に接続して構成される。しかし、このような固定的な太陽光発電モジュール構成では日射の弱いときに、PCSへの入力電圧が足りなくなる等の問題が発生する。
【0003】
このような問題に対して特許文献1では、太陽光発電モジュール毎に発電電力等のモニタリング行うと共に、直並列切替えによる再構成を可能にしたデバイス及び再構成ロジックを提案している。また、太陽光発電モジュールの電圧・電流から日射強度を推定することは特許文献2や特許文献3などで提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012−516568
【特許文献2】特開2006−32612
【特許文献3】特開2006−146634
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、太陽光発電モジュールの直並列切替えに関する記載はあるが、具体的に記載されているパターンは12モジュールの例で、12×1,6×2,4×3,3×4,2×6,1×12のように、各並列部分での並列数が一定のパターンの中で目的に最適なものを選ぶというものである。また、目的としての具体事例として、
(1)出力電圧をインバータ入力範囲内にする。
(2)発電と負荷のインピーダンスを近づける。
(3)出力電力を最大電力に近づける。
が挙げられ、直並列の組合わせ毎に予め出力電圧をテーブル化しておく方法である。
【0006】
しかし、このような方法は、均一な日射が期待できる砂漠等で朝夕の低日射時に電圧を確保するために切替えるような運用、或いは負荷変動に合わせた発電量を制御するような運用については有効と考えられるが、雲や建物の影の移動によって時々刻々と変わる日射のバラツキに対して発電電力を最大化する運用に対しては不十分となっている。
【0007】
本発明が目的とするとこは、雲や建物の影による太陽光発電モジュール毎にバラツキのある日射に対しての太陽光発電モジュールの直並列の組合わせ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の太陽電池セルからなる太陽光発電モジュールを複数設け、各太陽光発電モジュールにそれぞれ計測兼構成切替装置を接続し、各計測兼構成切替装置によって計測された太陽光発電モジュールの電圧・電流及び温度を構成管理装置に入力し、構成管理装置で太陽光発電モジュールの直並列組合わせ構成を算出し、算出された直並列組合わせに基づいて計測兼構成切替装置に対して直並列接続指令を出力して太陽光発電モジュールの直並列に組合わせ構成を変更し、直並列に組合わされた太陽光発電モジュールの出力をパワーコンディショナに入力するよう構成された太陽光発電システムの直並列組合わせ決定方法において、
前記構成管理装置は、
前記計測兼構成切替装置が計測した電圧・電流及び温度のデータを予め決められた一定周期毎に収集するステップと、
前記計測兼構成切替装置毎に、太陽光発電モジュールが現在発電している電圧・電流および温度を用い、定格温度における開放電圧と開放電圧の温度補正係数を使って開放電圧を推定し、該推定された開放電圧を用いて太陽電池基本式に基づいて短絡電流を推定するステップと、
前記計測兼構成切替装置毎に予め現在の直並列組合わせを記録し、可能な直並列組合わせ毎に、前記推定した太陽光発電モジュールの短絡電流を並列接続の度に合計した値に基づいて発電電力を推定して、該発電電力を最大にする組合わせを計算し、求められた組合わせが予め記録された直並列組合わせよりも良いときに新しく最大発電組合わせとして直並列組合わせを決定するステップと、
前記予め記録された現在の直並列組合わせと、前記新しく決定された最大発電組合わせを比較し、太陽光発電モジュールの直並列組合わせ構成を変更すると判断したとき計測兼構成切替装置に直並列再構成指示を出力するステップ、
で直並列組合わせを決定し、
前記直並列再構成指示を出力するステップは、前記パワーコンディショナに対する発電一時停止命令出力後、全計測兼構成切替装置毎に直並列構成の変更の要否を判断し、変更時にはパワーコンディショナに対して発電再開指令を出力することを特徴としたものである。
【0011】
本発明は、前記パワーコンディショナにMPPT制御機能を持たせ、前記構成管理装置が有する最大電力点情報をパワーコンディショナに送出し、パワーコンディショナで最大電力点近傍での局所最大点探索を行うことでMPPT制御を実行することを特徴としたものである。
【0012】
本発明は、前記計測される温度は、太陽光発電モジュールの任意数の温度情報であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、本発明によれば、雲や建物の影により太陽光発電モジュールに当たる日射のバラツキが生じても、発電電力の最大化が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示す太陽光発電システムの構成図。
図2】直並列再構成のフローチャート。
図3】データ収集のフローチャート。
図4】日射強度推定のフローチャート。
図5】直並列組合わせ決定のフローチャート。
図6】直並列再構成指示のフローチャート。
図7】温度計を部分的に省略した太陽光発電システムの構成図。
図8】計測兼構成切替装置内の切替え状態図。
図9】太陽光発電システムの直並列切替え状態図。
図10】太陽光発電システムの直並列切替え状態図。
図11】太陽光発電システムの直並列構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、太陽光発電システムにおける太陽光発電モジュールの直並列組合わせを決定するとき、計測された電圧・電流及び温度に基づいて直並列組合せ構成を変更することで、常に発電電力の最大化を可能としたもので、以下図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例を示す太陽光発電システムの概略構成図を示したものである。101はそれぞれ複数の太陽電池セルからなる太陽光発電モジュールで、
各太陽光発電モジュール101には計測兼構成切替装置102が接続されている。計測兼構成切替装置102は、複数台を太線で示した電力線106を介してまとめてパワーコンディショナ104に接続されており、それぞれは、接続された太陽光発電モジュール101の電圧・電流などのモニタリング機能を有すると共に、太陽光発電システムの直並列の接続構成を再構成する機能を有している。
【0017】
103は温度計で、図1では全部の太陽光発電モジュール101に設けられているが、図7で示すように代表(ここでは1つ)とする太陽光発電モジュール101の太陽電池セル裏面などに取付けられて温度のモニタリングに使用される。
すなわち、計測兼構成切替装置102は、例えば、特許文献1に記載のインテリジェントノードの利用が可能で、接続した太陽光発電モジュール101が発電する電圧・電流、および温度を計測する。
【0018】
計測兼構成切替装置102は、それぞれ隣接同士間において直列接続或いは並列接続に変更されることで太陽光発電システムの再構成が可能となっており、本実施例での計測兼構成切替装置102は、パワーコンディショナ104のマイナス極側に近い計測兼構成切替装置102の接続が直並列切替えできるよう構成されている。すなわち、パワーコンディショナ104のマイナス極側に接続される計測兼構成切替装置102が直列接続されている。なお、プラス極側に近い計測兼構成切替装置102の接続を直並列切替えできるよう構成してもよいことは勿論である。
【0019】
105は構成管理装置で、細線で示した通信線107を介して複数台の計測兼構成切替装置102と接続され、太陽光発電モジュール101が発電した電圧・電流および温度の計測値を、通信線107を介して取得する。そして、取得した計測値を基に太陽光発電モジュール101毎の日射強度を推定し、太陽光発電システムとして発電電力を最大化するよう直並列の組合わせを算出して各計測兼構成切替装置102に対し直並列再構成の指示を出す。
【0020】
また、構成管理装置105は、パワーコンディショナ104とも通信線107により接続されており、直並列再構成の際には発電の一時停止処理指令を出力する。また、構成管理装置105は、パワーコンディショナ104のMPPT(最大電力点追従)制御に必要な情報提供機能を有し、MPPT制御機能はパワーコンディショナ104中に内蔵若しくは別設される。なお、図1では通信線107をカスケード接続で表現しているが、構成管理装置105と各計測兼構成切替装置102間を直接接続してもよく、中継装置を介しての接続や、無線による通信も可能である。
【0021】
図8は計測兼構成切替装置102内の切替え部材のイメージ図で、(a)が並列接続時、(b)が直列接続時を示したものである。図9図10は、計測兼構成切替装置102が4台ユニット(計測兼構成切替装置)の場合の例で、図8で示す切替え部材を使って太陽光発電システムを直並列構成した接続図を示したものである。図9(a)は4ユニットの計測兼構成切替装置102を図面左側から直列・並列・直列・並列として構成したもので、この場合の理論的な接続は図9(b)で示すように2台ユニットずつの並列接続が直列に接続された状態となる。
【0022】
また、図面右側での計測兼構成切替装置102が直列に切替えられたものが図10(a)で、このときの理論的な接続は図10(b)で示すように2台の並列と残りの2ユニットが直列に接続された状態となる。そうして、パワーコンディショナ104の正極側には接続構成された計測兼構成切替装置の正極が接続され、パワーコンディショナ104の負極には計測兼構成切替装置の負極がそれぞれ接続される。
【0023】
次に、太陽光発電システムを構成するユニットに影がかかったときの直並列構成について説明する。
図11は太陽光発電システムを12台のユニットで構成された場合の例で、通常時は図11(a)で理論的接続は図11(c)で示すように4並列が3段(S1〜S3)直列に接続された構成とする。ここで、図11(a)では斜線で示すように上半分のユニットに影が差し、この部分の日射が半分になったとする。
【0024】
太陽光発電システムの特性として、電圧はあまり変化しないが電流が半減する。このようなとき、図11(a)の接続状態のままであると、影の無い段S3には4の電流がながれているとすると、半分が影の段S2では3、全部影の段S1では2の電流が流れる。しかし、物理法則によってどの段も同じ電流が流れなければならないため、実際には全体に2程度の電流しか流れず発電量は影の無いときに比較して半減する。図11(c)は図11(a)の理論的接続図を示す。
【0025】
そこで、影が発生した場合、図11(b)で示すように○印を付した計測兼構成切替装置の切替え部材を直列→並列に、又は並列→直列に切替えて直並列構成を変更して図11(d)で示す理論的接続にすると、何れの段にも3の電流を流すことができる。したがって、影の無いときと比べて3/4の発電が可能となる。この発電量は影による日射量の減少に相当するものであり、実質的に発電の効率を落とさずに運用でき、不均等な影による日射量の減少以上に発電電量の減少することを緩和てきる。
【0026】
本発明は、上記のように構成される太陽光発電システムの直並列組合わせの算出方法に関するものである。以下図に基づいて具体的に説明する。
構成管理装置105は一定時間毎に各計測兼構成切替装置102からデータを収集して直並列組合わせを決定し、計測兼構成切替装置102に対して直並列再構成の指示を行う。その流れを示したものが図2である。
【0027】
図2のフローチャートにおいて、ステップ201で一定周期毎に各計測兼構成切替装置102の計測データを収集する。201でのデータ収集は、図3で示すフローチャートのように、ステップ301で計測兼構成切替装置102毎に順次データ収集を指示し、各計測兼構成切替装置102が計測している太陽光発電モジュール101の現在発電している電圧・電流値を取得(302)し、また、接続されている温度計による太陽電池セル温度を取得(303)する。ステップ304では、これを計測兼構成切替装置毎に反復処理を行う。
【0028】
図2において、ステップ202では、収集された計測データに基づいて日射強度を推定し、この推定に基づいて直並列組合わせを決定(203)し、204では組合わせ決定結果により構成変更を行うか否かの判定を行う。構成変更となった場合には205で直並列再構成指示を出力する。
【0029】
ステップ202の日射強度推定は、図4で示すフローチャートのように行われる。すなわち、計測兼構成切替装置毎に、太陽光発電モジュールが現在発電している電圧・電流値及び太陽電池セル温度を用いて太陽電池基本式に基づいて開放電圧(402)及び短絡電流(403)を計算する。その際の太陽光発電モジュールの特性パラメータは予め設定しておく。ステップ402の開放電圧推定は、定格温度における開放電圧と開放電圧の温度補正係数というパラメータ値を使って太陽電池セル温度から開放電圧を算出する。ステップ403の短絡電流推定では、402で算出した開放電圧を用い、太陽電池基本式に基づいて短絡電流を算出し、計測兼構成切替装置毎に反復処理(404)を行う。
【0030】
なお、図4では日射強度推定と言いながら日射強度を求めていない。日射強度は短絡電流に略比例することから、短絡電流の温度補正を行って定格短絡電流で除することで日射強度を求めることが出来る。しかし、次の段階で必要なものは短絡電流であるので無駄な計算を省いている。
【0031】
ステップ203の直並列組合わせは、図5で示すフローチャートのように行われる。予め現在の直並列組合わせを記録(501)してから可能な直並列組合わせ毎に(502)発電電力を推定(503)し、発電電力を最大にする組合わせを計算する。その後、最大電力の直並列組合わせが再構成ロスを考慮しても、現在の直並列組合わせより良ければ新たな直並列組合わせに決定する。ステップ502〜505は可能な直並列組合わせ毎に反復して処理することを示す。
【0032】
503での発電電力の推定は、選択した直並列組合わせで発電できる電力を太陽電池基本式と直並列合成で算出する。直並列合成は太陽電池基本式で算出できるIV特性関数を直列・並列の接続に合わせて電圧方向・電流方向に積算することで実施する。504の最大発電組合わせ記録は、503で算出された発電電力が、今までの直並列組合わせより大きければ更新することにより最大発電の直並列組合わせを記録する。506の再構成可否決定では501で記録された現在の最大発電の直並列組合わせと比較し、501で記録されたものが再構成ロスを考慮した基準を超えて最大発電の直並列組合わせが良ければ記録はそのままとし、そうでなければ今までの組合せを新たな最大発電の直並列組合わせとして決定する。この判断はステップ204で行って、205で直並列再構成指示を出力する。
【0033】
図6は、205での直並列再構成指示のフローチャートを示したもので、予め発電を一時停止してから、各計測兼構成切替装置102に直並列変更を指示して行き、直並列構成を更新してから発電を再開する。ステップ601ではパワーコンディショナ104に指示して発電を一時停止する。602〜605は計測兼構成切替装置102毎に反復して処理する。603では各計測兼構成切替装置102が直並列構成を更新すべきか否かを判断し、変更すべきと判断したときには604で計測兼構成切替装置102に指示して直並列構成を更新する。全ての直並列構成が更新されたら、606でパワーコンディショナ104に指示して発電を再開する。パワーコンディショナ104は新しい直並列組合わせに基づいてMPPT制御を行い発電を制御する。
【実施例2】
【0034】
実施例1では、直並列組合わせ決定には、可能な直並列組合わせ毎に図5で示すように発電電力を推定している。開放電圧は大きく変わらないこと、最大発電電力は一般には短絡電流の一定割合で近似てきることを考慮すると、太陽光発電モジュール101の短絡電流を並列接続の度に合計した値の最小値をなるべく大きくすれば発電電力も大きくなりそうなことが分る。
【0035】
そこで、実施例2は図5で示す発電電力推定を、短絡電流の並列合計の最小値の計算に置き換えることで、直並列組合わせ決定の簡略化を図ってより高速化するものである。
したがって、この実施例によれば、直並列組合わせ決定をより高速に可能となるものである。
【実施例3】
【0036】
この実施例は、MPPT制御に直並列組合わせ決定情報を利用して再構成時の電力ロスを大きく減らすものである。直並列再構成時には、パワーコンディショナ104は新しい直並列構成に対してMPPT制御を実施するが、構成管理装置105が直並列組合わせ決定する際には新しい直並列構成におけるIV特性関数を計算しており、これにより最大電力点も分っている。この最大電力点電力情報を構成管理装置105からパワーコンディショナ104に送り、パワーコンディショナ104ではこの最大電力点近傍の局所最大点の探索を行う。
【0037】
これによって、パワーコンディショナ104によるMPPT制御を迅速に実施でき、再構成時の電力ロスを大きく減らすことが可能となる。
したがって、この実施例によれば、直並列再構成時でのMPPT制御の高速化が可能となるものである。
【実施例4】
【0038】
この実施例は、直並列組合わせ決定のMPPT制御時への情報利用を行うことで、パワーコンディショナ104によるMPPT制御の迅速化、及び再構成時の電力ロスを減らすものである。
実施例2に基づいて直並列組合わせ決定を簡略計算で行った場合、実施例2では新しい直並列構成におけるIV特性関数を計算していないため、そのままの状態では実施例3のようにMPPT制御に利用することができない。
【0039】
しかしながら、実施例2においても、実施例1と同様に太陽光発電モジュール101の開放電圧・短絡情報は存在するので、直並列組合わせが決定されてからその直並列組合わせでのIV特性関数や最大電力点の計算は可能である。計算された最大電力点情報を構成管理装置105からパワーコンディショナ104に送り、パワーコンディショナ104ではこの最大電力点近傍の局所最大点の探索のみを行う。これによって、パワーコンディショナ104によるMPPT制御を迅速に実施でき、再構成時の電力ロスを大きく減らすことが可能となる。
したがって、この実施例にも、実施例3と同様に直並列再構成時でのMPPT制御の高速化が可能となるものである。
【実施例5】
【0040】
図7で示すように、温度計103が一部の太陽光発電モジュール101にのみ取付けられた場合、太陽光発電モジュール101毎の太陽電池セル温度は不明となる。この場合、太陽光発電モジュール101毎の温度差はそれほど大きくないと仮定して、計測している太陽電池セル温度、若しくは太陽電池セル温度の平均値を太陽光発電システムの全ての太陽光発電モジュールの温度の代用値とする。
したがって、この実施例によれば、必要とする温度計の数を少なくすることが可能となるものである。
【符号の説明】
【0041】
101… 太陽光発電モジュール
102… 計測兼構成切替装置
103… 温度計
104… パワーコンディショナ
105… 構成管理装置
106… 電力線
107… 通信線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11