(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
袋の表面側に位置する帯片は、表面フィルムに形成された孔または切り欠きを介して裏面フィルムに固着されており、若しくは、表面フィルムおよび裏面フィルムに形成された孔または切り欠きを介して袋の裏面側に位置する帯片に固着されており、若しくは、表面フィルムに固着されており、これによって、袋の表面側に位置する帯片が前記本体部に対して固定されており、
袋の裏面側に位置する帯片は、裏面フィルムに形成された孔または切り欠きを介して表面フィルムに固着されており、若しくは、表面フィルムおよび裏面フィルムに形成された孔または切り欠きを介して袋の表面側に位置する帯片に固着されており、若しくは、裏面フィルムに固着されており、これによって、袋の裏面側に位置する帯片が前記本体部に対して固定されている、請求項1または2に記載の袋。
前記帯片は、前記本体部の前記表面フィルムおよび前記裏面フィルムで用いられている前記基材層および前記熱可塑性樹脂層と同一の材料から構成された基材層および熱可塑性樹脂層を含み、
袋の表面側に位置する前記帯片は、人の指が挿入される隙間が前記把持部の前記一端と袋の表面との間に形成され得るよう、前記本体部に対して熱溶着によって固定されており、且つ、
袋の裏面側に位置する前記帯片は、人の指が挿入される隙間が前記把持部の前記他端と袋の裏面との間に形成され得るよう、前記本体部に対して熱溶着によって固定されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の袋。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態による袋は、手が袋の一部を握ることよりもむしろ、袋の一部が手の指に引っ掛かることによって、袋を保持することができるタイプのものである。以下、
図1乃至
図7(a)(b)を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
【0021】
袋
図1および
図2は、本実施の形態による袋10を示す斜視図および側面図である。袋10は、内容物が充填される充填部12が形成された本体部11と、本体部11に取り付けられた把持部20と、を備えている。流動性を有する限りにおいて、本体部11の充填部12に充填される内容物が特に限られることはない。例えば、充填部12に充填されている内容物として、酒、液体洗剤やシャンプー等の液体、豆類や菓子等の粒体や、粉末洗剤等の粉体を挙げることができる。
【0022】
(本体部)
本体部11は、少なくとも表面フィルム1および裏面フィルム2を含む複数のフィルムを熱溶着することによって構成された複数のシール部を有している。表面フィルム1とは、本体部11の表面(
図1に示されている側の面)を構成するフィルムのことであり、裏面フィルム2とは、本体部11の裏面(表面の裏側にある面)を構成するフィルムのことである。そして、本体部11のうちフィルムが熱溶着されていない部分によって、内容物が充填される充填部12が構成されている。なお袋10の製造工程において、表面フィルム1および裏面フィルム2は、互いに分離された別個のフィルムとして準備されてもよく、若しくは、一連のフィルムとして準備されてもよい。
【0023】
内容物や気体を適切に密封することができる限りにおいて、袋10のタイプが特に限られることはない。例えば袋10は、表面フィルム1と裏面フィルム2との間にマチが設けられる、いわゆるガセット式の袋として構成されていてもよい。そのようなマチは、袋10の底部に設けられていてもよく、若しくは袋10の側部に設けられていてもよい。本実施の形態においては、表面フィルム1と裏面フィルム2との間に、2つ折りにされた底面フィルム3が挟み込まれ、この底面フィルム3によってマチ付きの底部が構成されている例について説明する。
【0024】
図1および
図2に示すように、本体部11の複数のフィルムを熱溶着することによって構成される複数のシール部は、袋10の底部を構成する底部シール部14と、袋10の第1側縁15aに沿って上下方向に延びる第1側部シール部15と、第1側縁15aに対向する第2側縁16aに沿って上下方向に延びる第2側部シール部16と、袋10の上部を構成する上部シール部13と、を含んでいる。このうち底部シール部14は、表面フィルム1および裏面フィルム2と底面フィルム3とを熱溶着することによって構成されたシール部である。また第1側部シール部15、第2側部シール部16および上部シール部13は、表面フィルム1と裏面フィルム2とを熱溶着することによって構成されたシール部である。上述の把持部20は、第1側部シール部15に取り付けられている。
【0025】
図1および
図2に示すように、袋10には、本体部11に充填されている内容物が注出される際に通る注出口部として機能するスパウト18が設けられていてもよい。スパウト18は、例えば
図2に示すように、中空状の筒部18aと、筒部18aに接続された接着部18bと、を含んでいる。接着部18bは、表面フィルム1と裏面フィルム2との間に挟み込まれる部分である。また筒部18aには、筒部18aの上端の開口を塞ぐためのキャップ18cが取り付けられていてもよい。このようなスパウト18を設けることにより、注出の際の流量を安定化させたり、再封したりすることが可能である。なお
図1および
図2に示す例では、表面フィルム1および裏面フィルム2とは別個の部材から構成されたスパウト18が注出口部として設けられる例を示したが、これに限られることはなく、変形例として後述するように、注出口シール部によって画定される、本体部11と一体の注出口部が形成されていてもよい。
【0026】
スパウト18などの注出口部は、使用者が把持部20を把持して袋10を傾けるときに内容物を注出し易い位置に設けられる。例えば
図1および
図2に示すように、スパウト18は、把持部20が設けられている第1側縁15aに対向する第2側縁16aの側に設けられている。なお
図1および
図2に示すように、上部シール部13および第2側部シール部16のいずれに対しても傾斜した方向に延びるとともに上部シール部13および第2側部シール部16に接続された角部シール部17を形成し、この角部シール部17にスパウト18などの注出口部が取り付けられていてもよい。
【0027】
(把持部)
次に、本体部11の第1側部シール部15に取り付けられている把持部20について説明する。本実施の形態において、把持部20は、フィルム状の帯片30を本体部11の第1側縁15aに沿って折り返し、この帯片30を袋10の表面側および裏面側の両方で本体部11に対して固定することによって構成されている。このような把持部20は、
図1に示すように、袋10の表面側で第1側部シール部15に沿って上下方向に延びる一端21と、袋の裏面側で第1側部シール部15に沿って上下方向に延びる他端22と、一端21と他端22との間に位置する反転部24と、を有している。反転部24は、帯片30の折り返し部分によって構成されている部分であり、この反転部24において、把持部20の外面の向く方向が反転する。例えば、袋10の表面側から裏面側へ向かう経路を考える場合、反転部24を境として、把持部20の外面の向く方向が表面側から裏面側へ反転する。
【0028】
図2において、把持部20の一端21または他端22から反転部24までの距離が符号S1で示され、把持部20の上端28から下端29までの距離が符号S2で表されている。
図2に示すように、本実施の形態による把持部20において、距離S1は、距離S2よりも小さくなっている。
【0029】
図1および
図2において、熱溶着によって帯片30を本体部11に対して固定するための固着部が、符号23で示されている。ここで「固定」とは、帯片30が本体部11に対して全く動かない場合だけでなく、帯片30が本体部11に対して実用上問題の無い範囲内でわずかに動く場合をも含む概念である。また「熱溶着によって」とは、熱溶着によって形成される固着部23によって、本体部11に対する帯片30の固定が実現されていることを意味している。なお、固着部23が形成されるフィルムが特に限られることはない。例えば固着部23は、表面フィルム1および裏面フィルム2と帯片30との間の熱溶着によって形成されるものであってもよく、若しくは、袋10の表面側に位置する帯片30と袋10の裏面側に位置する帯片30との間の熱溶着によって形成されるものであってもよく、若しくは、袋10の表面側に位置する帯片30と表面フィルム1との間の熱溶着、並びに、袋10の裏面側に位置する帯片30と裏面フィルム2との間の熱溶着によって形成されるものであってもよい。
【0030】
本実施の形態において、固着部23は、袋10の表面側において、人の指が挿入される隙間が把持部20の一端21と袋10の表面との間に形成され得るとともに、袋10の裏面側において、人の指が挿入される隙間が把持部20の他端22と袋10の裏面との間に形成され得るよう、構成されている。例えば
図2に示すように、2つの固着部23が、上下方向において所定の間隔Lを空けて形成されている。このため、2つの固着部23の間の位置において、袋10の表面側および裏面側のいずれにおいても、本体部11と把持部20との間に、指を挿入することができる程度の隙間を設けることが可能である。
【0031】
本体部11と把持部20との間に指が挿入された状態で、内容物の注出のために袋10が傾けられる場合、把持部20の一端21、他端22や反転部24は、重力によって指に引っ掛かるようになる。従って本実施の形態によれば、手が把持部20を握ることよりもむしろ、把持部20が手の指に引っ掛かることによって、袋10を保持することができる。このため、手が袋の一部を握ることによって袋の保持が主に実現されるタイプの袋に比べて、袋10を安定に保持することができる。なお、手の指への把持部20の引っ掛かかりは、手と袋10との間に生じる摩擦力が小さい場合であっても、安定に起こり得る。従って、袋10や把持部20の表面が滑りやすい材料で構成されている場合や、滑りやすい手袋が手にはめられている場合であっても、袋10を安定に保持することができると期待される。
【0032】
また本実施の形態によれば、本体部11と把持部20との間に挿入された指には、本体部11および把持部20からの挟圧力が及ぼされる。従って本実施の形態によれば、使用者は、自身が把持部20を把持する力だけでなく、上述の挟圧力を使用して、袋10を安定に保持することができる。この挟圧力は一般に、充填部12の容積に対する、実際に充填部12に充填されている内容物の容積の比率(以下、充填率とも称する)が高くなるほど大きくなる。なぜなら、充填率が高い場合には、本体部11の表面フィルム1および裏面フィルム2が強く張られた状態にあるからである。従って、袋10に充填されている内容物の充填率が高く、このため袋10の重量が大きい場合であっても、袋10を安定に保持することができる。例えば、充填部12に充填されている内容物の容積が500ml〜5000mlの範囲内のときに好適に使用することができ、また、充填部12に充填されている内容物の容積が900ml〜3000mlの範囲内のときにさらに好適に使用することができる。
【0033】
さらに本実施の形態によれば、指が挿入される隙間の上方には上側の固着部23が存在している。従って、袋10の重さに耐えきれずに袋10が手に対して下方に移動したとしても、上側の固着部23が指に引っ掛かり、これによって袋10の移動が阻止され得る。このため、袋10が床などにまで落下してしまうことを防ぐことができる。なお、固着部23による引っ掛かりをはじめから利用するため、指を上側の固着部23の直下に挿入してもよい。
【0034】
2つの固着部23の間の間隔Lは、フィルム1,2および帯片30の剛性や、袋10の重量などに応じて適切に設定される。好ましくは、間隔Lは、親指を除く4本の指が本体部11と把持部20との間に挿入され得るよう、設定される。
【0035】
(帯片)
次に、把持部20を構成しているフィルム状の帯片30について説明する。なお「フィルム状」とは、帯片30を折り返すことによって帯片30を袋10の表面側および裏面側の両方で本体部11に対して固定することができるよう、帯片30の厚みおよび柔軟性が設定されていることを表している。
【0036】
把持部20を構成する帯片30として、好ましくは、一枚の帯片30が用いられる。この場合、複数の帯片30が用いられる場合に比べて、帯片30を本体部11に対して固定するための工程を簡易なものとすることができる。一枚の帯片30が用いられる場合、この帯片30は、後述する
図6(c)において示されるように、上下方向を長辺とする矩形形状を概略的に有していてもよい。「概略的」とは、90°の角を有する完全な矩形形状だけでなく、角が取られている形状も、ここでいう「矩形形状」に含まれることを表している。
【0037】
(フィルムおよび帯片の層構成)
次に
図3を参照して、表面フィルム1、裏面フィルム2、底面フィルム3および帯片30の層構成の一例について説明する。
図3に示すように、フィルム1,2,3および帯片30は、基材層41と、基材層41上に設けられた熱可塑性樹脂層45と、を含んでいる。このうち基材層41は、フィルム1,2,3および帯片30の外面1a,2a,3a,30aを構成する層であり、熱可塑性樹脂層45は、外面1a,2a,3a,30aの反対側にある内面1b,2b,3b,30bを構成する層である。各1,2,3および帯片30の熱可塑性樹脂層45を互いに熱溶着させることにより、上述のシール部や固着部23が形成される。
基材層41を構成する材料としては、例えばPETやナイロンを用いることができる。基材層41によって、外面1a,2a,3a,30aにおける高い印刷適性を確保することができる。また基材層41は、熱溶着時の高い耐熱性を有している。
熱可塑性樹脂層45を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンやプロピレンなどを用いることができる。
基材層41と熱可塑性樹脂層45とは、ドライラミネーション法や溶融押し出し法を用いることによって積層され得る。
フィルム1,2,3および帯片30の厚みは、例えば8〜300μmの範囲内になっている。
【0038】
なお、本体部11や帯片30に剛性などの所望の特性を付与することができる限りにおいて、フィルム1,2,3および帯片30の層構成が上述のものに限られることはない。例えばフィルム1,2,3および帯片30は、
図3に示すように、基材層41と熱可塑性樹脂層45との間に設けられた中間層42や中間層43をさらに含んでいてもよい。
中間層42としては、例えばアルミニウム箔を用いることができる。このような中間層42を設けることにより、酸素や水蒸気が袋10の内部に進入することを抑制することができる。中間層42は、金属あるいは金属酸化物の蒸着膜を有する熱可塑性樹脂フィルムから構成されていてもよい。
中間層43としては、例えば延伸ナイロンフィルムを用いることができる。このような中間層43を設けることにより、袋10の耐突き刺し性を高めることができる。
PETフィルムからなる基材層41、アルミニウム箔からなる中間層42および延伸ナイロンフィルムからなる中間層43の厚みは、例えばそれぞれ12μm、9μmおよび15μmになっている。
【0039】
(固着部の構成)
次に
図4および
図5を参照して、上述のフィルム1,2および帯片30から構成された本体部11および把持部20の断面構造について説明する。
図4および
図5は、
図2に示す袋10をIV−IV線およびV−V線に沿って見た場合を示す断面図である。
【0040】
はじめに
図4を参照して、固着部23が形成されていない部分における本体部11および把持部20の断面構造について説明する。
図4に示すように、本体部11の第1側部シール部15は、表面フィルム1の熱可塑性樹脂層45と裏面フィルム2の熱可塑性樹脂層45とを熱溶着することによって構成されている。また把持部20は、帯片30の熱可塑性樹脂層45が本体部11の表面フィルム1および裏面フィルム2と向かい合うように本体部11の第1側縁15aに沿って帯片30を折り返すことによって構成されている。
図4において、帯片30の一端が符号31で表されており、帯片30の他端が符号32で表されている。本実施例においては、帯片30の一端31および他端32が把持部20の一端21および他端22に一致している。また把持部20の反転部24は、
図4に示すように湾曲形状を有している。
【0041】
次に
図5を参照して、固着部23が形成されている部分における本体部11および把持部20の断面構造について説明する。
図5に示すように、第1側部シール部15を構成する表面フィルム1および裏面フィルム2にはそれぞれ孔1cおよび孔2cが形成されている。また表面フィルム1および裏面フィルム2は、孔1cおよび孔2cが互いに少なくとも部分的に重なるよう位置決めされている。そして、袋10の表面側に位置する帯片30は、表面フィルム1および裏面フィルム2の孔1cおよび孔2cを介して、袋10の裏面側に位置する帯片30に熱溶着されており、これによって固着部23が形成されている。このようにして形成された固着部23の周囲には、
図5に示すように、表面フィルム1および裏面フィルム2の積層体が存在している。従って、帯片30に対して力が及ぼされて帯片30が本体部11に対して移動しようとしたとしても、そのような移動は、固着部23が表面フィルム1および裏面フィルム2の積層体に引っ掛かることによって阻止される。すなわち、固着部23によって、帯片30すなわち把持部20を本体部11に対して固定することができる。
【0042】
袋の製造方法
次に、上述の袋10を製造する方法について、
図6(a)〜(d)を参照して説明する。
【0043】
(本体部の製造方法)
まず、孔1cが形成された表面フィルム1と、孔2cが形成された裏面フィルム2と、底面フィルム3とを準備する。次に
図6(a)に示すように、互いの孔1c,2cが重なるように表面フィルム1および裏面フィルム2を対向させるとともに、折り込んだ状態の底面フィルム3を表面フィルム1と裏面フィルム2との間に挿入する。この際、表面フィルム1、裏面フィルム2および底面フィルム3は、熱可塑性樹脂層で構成されたそれぞれの内面1a,2a,3aが互いに接するよう配置される。その後、各フィルム1,2,3を熱溶着によってシールする。これによって、
図6(b)に示すように、底部シール部14、第1側部シール部15および第2側部シール部16によって囲まれた充填予定部12aが形成された本体部11を得ることができる。充填予定部12aとは、後の工程において内容物が充填される部分のことである。充填予定部12aに内容物が充填され、そして上部シール部13によって充填予定部12aが密閉されることにより、上述の充填部12が得られる。なお
図6(b)に示すように、各フィルム1,2,3を熱溶着によってシールする工程と同時に、若しくはこの工程の後に、熱溶着によって上述の角部シール部17を形成し、これによってスパウト18を本体部11に取り付けてもよい。
【0044】
次に矩形形状を有する帯片30を準備し、この帯片30を
図6(c)に示すように本体部11の裏面フィルム2に重ねる。このとき、超音波などを利用して帯片30を本体部11の裏面フィルム2側から本体部11に対して仮シールしてもよい。
【0045】
次に帯片30を折り返して帯片30を本体部11の表面フィルム1にも重ねる。その後、孔1c,2cが形成されている部分において、表面フィルム1に重ねられている帯片30を裏面フィルム2に重ねられている帯片30に熱溶着させ、これによって上述の固着部23を形成する。このようにして、反転部24を有し、かつ固着部23によって本体部11に対して固定された把持部20を得ることができる。
【0046】
その後、図示はしないが、充填部12に内容物を充填する。また、本体部11の上部において表面フィルム1および裏面フィルム2を熱溶着させて上部シール部13を形成する。これによって、内容物が充填された本体部11と、本体部11に取り付けられた把持部20と、を備える袋10を得ることができる。
【0047】
図7(a)は、使用者が右手で袋10の把持部20を把持して袋10を傾けている様子を示す図である。
図7(a)に示すように、本実施の形態による袋10によれば、袋10の裏面側において、把持部20の他端22と裏面フィルム2との間の隙間に右手RHの指、例えば人差し指から小指までの4本の指を挿入することができる。従って、使用者は、自身が把持部20を把持する力だけでなく、本体部11および把持部20から指に対して及ぼされる挟圧力を使用して、袋10を安定に保持することができる。なお図示はしないが、把持部20の他端22と裏面フィルム2との間の隙間に右手RHの人差し指から小指までの4本の指を挿入するだけでなく、袋10の表面側において、把持部20の一端21に右手RHの親指を引っ掛けたり、把持部20の一端21と表面フィルム1との間に右手RHの親指を挿入したりしてもよい。これによって、袋10をより安定に保持することができる。
【0048】
また上述のように、本体部11と把持部20との間の隙間は、袋10の裏面側だけでなく、袋10の表面側にも同様に形成されている。このため
図7(b)に示すように、使用者は、袋10の表面側においても、把持部20の一端21と表面フィルム1との間の隙間に左手LHの指、例えば人差し指から小指までの4本の指を挿入することができる。従って本実施の形態によれば、右利きの使用者だけでなく左利きの使用者も、把持部20を利用して袋10を安定に保持することができる。なお図示はしないが、把持部20の一端21と表面フィルム1との間の隙間に左手LHの人差し指から小指までの4本の指を挿入するだけでなく、袋10の裏面側において、把持部20の他端22に左手LHの親指を引っ掛けたり、把持部20の他端22と裏面フィルム2との間に左手LHの親指を挿入したりしてもよい。これによって、袋10をより安定に保持することができる。
【0049】
また上述のように、帯片30から構成される把持部20は、その一端21および他端22がいずれも袋10の第1側縁15aに沿って上下方向に延びるよう、本体部11に取り付けられている。従って、把持部20を構成する帯片30の厚みの分だけ、上下方向における袋10の剛性が高くなることが期待される。
さらに把持部20には、帯片30を折り返すことによって構成された、湾曲形状を有する反転部24が、第1側縁15aに沿って存在している。従って、帯片30の厚みに基づく剛性だけでなく、帯片30の折り返し構造に基づく剛性をも、袋10に付与することができる。
このように把持部20は、袋10の保持性(持ち易さ)を高めるという機能だけでなく、上下方向における袋10の剛性を高め、これによって袋10の自立性や保形性を高めるという機能をも発揮することができる。
【0050】
なお上述のように、本実施の形態において、帯片30は、本体部11の表面フィルム1および裏面フィルム2と同一の層構成で構成されている。すなわち、帯片30の基材層41および熱可塑性樹脂層45が、本体部11の表面フィルム1および裏面フィルム2の基材層41および熱可塑性樹脂層45と同一になっている。一般に、充填部12に充填されている内容物の容積が多い時、例えば容積が500ml〜5000mlの範囲内のときには、表面フィルム1および裏面フィルム2の基材層41として、高い剛性を有するものが用いられる。従って、把持部20を構成する帯片30の基材層41も同様に高い剛性を有している。また帯片30の剛性は、上述のように折り返し構造によって高められている。すなわち帯片30は、構成材料の点および構造的な点の両方において、高い剛性を有するものとなっている。従って本実施の形態によれば、充填部12に充填されている内容物の容積が多い場合であっても、十分な自立性や保形性を把持部20によって実現することができる。
【0051】
また本実施の形態によれば、上述のように、熱溶着によって把持部20が本体部11に取り付けられている。従って、把持部20を本体部11に取り付ける工程を、表面フィルム1や裏面フィルム2などのフィルムを熱溶着して本体部11を形成する工程と同様の製造ラインで実施することができる。このため、従来に比べて製造工程を大きく変更することなく、把持部20付きの袋10を製造することができる。従って、持ち易く、かつ折れ曲がりにくい袋10を低いコストで得ることができる。
【0052】
また上述のように、本実施の形態において、帯片30は、本体部11の表面フィルム1および裏面フィルム2と同一の層構成で構成されている。このため、帯片30の材料を容易に調達することができる。この点でも、把持部20付きの袋10の製造に要するコストを低くすることができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0054】
(把持部の一端および他端の変形例)
把持部20の一端21または他端22の少なくとも一方は、帯片30を内側に折り込むことによって形成される折り返し部として構成されていてもよい。この場合、帯片30の端部31,32が外部に露出しないようになるので、端部31,32が使用者の手に接触することを防ぐことができる。このため、使用者の手に対する把持部20の接触感を良好なものとすることができる。また、帯片30の端部31,32によって使用者の手が傷ついてしまうことを防ぐことができる。さらに、帯片30の折り返し構造に基づく剛性が、把持部20の反転部24だけでなく把持部20の一端21や他端22においても得られることになるので、袋10の自立性や保形性をさらに高めることができる。
【0055】
以下、一端21または他端22が帯片30の折り返し部として構成されている複数の例について、
図8A乃至
図10Bを参照して説明する。なお
図8A、
図9Aおよび
図10Aは、上述の本実施の形態における
図5に相当する図であり、変形例による袋10を
図2のV−V線と同様の線に沿って見た場合を示す断面図である。
【0056】
〔一端および他端の第1の変形例〕
図8Aに示す例において、把持部20の一端21および他端22はいずれも、帯片30を内側に折り込むことによって形成される折り返し部として構成されている。従って本変形例によれば、把持部20の一端21および他端22の両方において、使用者の手に対する把持部20の接触感を良好なものとし、かつ、使用者の手が傷ついてしまうことを防ぐことができる。また、把持部20の一端21および他端22の両方において、帯片30の折り返し構造に基づく高い剛性を実現することができる。なお以下の説明において、帯片30のうち、一端21または他端22における折り返し部を介して内側に折り込まれている部分を、内側部分34と称する。また、帯片30のうち内側部分34よりも外側に位置する部分を、外側部分33と称する。
【0057】
以下、本変形例における固着部23の構造について説明する。
図8Aに示すように、把持部20の一端21を構成する折り返し部を介して内側に折り込まれている内側部分34には、孔30cが形成されている。同様に、把持部20の他端22を構成する折り返し部を介して内側に折り込まれている内側部分34にも、孔30cが形成されている。また
図8Aに示すように、袋10の表面側の内側部分34の孔30cおよび袋10の裏面側の内側部分34の孔30cは、表面フィルム1の孔1cおよび裏面フィルム2の孔2cに重なるよう配置されている。そして、袋10の表面側に位置する帯片30の外側部分33は、内側部分34の孔30cおよびフィルム1,2の孔1c,2cを介して、袋10の裏面側に位置する帯片30の外側部分33に熱溶着されており、これによって固着部23が形成されている。このようにして形成された固着部23の周囲には、表面フィルム1および裏面フィルム2の積層体だけでなく、帯片30の内側部分34も存在することになる。従って、固着部23がフィルム1,2および内側部分34の積層体に引っ掛かることによって、把持部20が本体部11に対して固定されることになる。また、内側部分34が固着部23に引っ掛かることによって、内側部分34の一端31,他端32が固定され、この結果、把持部20の一端21および他端22を構成する帯片30の折り返し部が安定に保持される。
【0058】
図8Aに示す例において、表面フィルム1および裏面フィルム2に形成される孔1cおよび孔2cの幅が符号W1で表されており、帯片30の内側部分34に形成される孔30cの幅が符号W2で表されている。幅W1および幅W2は、固着部23に対して求められる強度や、表面フィルム1と裏面フィルム2との間の位置合わせのし易さ、並びに、表面フィルム1および裏面フィルム2と帯片30との間の位置合わせのし易さなどを考慮して適切に設定される。なお、表面フィルム1および裏面フィルム2と帯片30との間の位置合わせのし易さを考慮すると、帯片30の内側部分34に形成される孔30cの幅W2が、表面フィルム1および裏面フィルム2に形成される孔1cおよび孔2cの幅W1よりも大きくなっていることが好ましい。
【0059】
なお
図8Aにおいては、固着部23の経路を確保するために、孔30cが帯片30の内側部分34に形成されている例を示した。しかしながら、図示はしないが、固着部23の経路を確保することができる限りにおいて、帯片30の内側部分34に、孔の代わりに切り欠きが形成されていてもよい。なお本明細書において、「孔」とは、フィルムや帯片の端部や側縁にまでは達しないように形成されている貫通部分のことであり、「切り欠き」とは、フィルムや帯片の端部や側縁にまで達するように形成されている貫通部分のことである。
【0060】
次に
図8B(a)〜(d)を参照して、
図8Aに示す把持部20を帯片30から形成する手順の一例を説明する。なお
図8B(c)や
図8B(d)においては、説明の便宜上、本体部11の図示を省略している。
【0061】
はじめに
図8B(a)に示すように、一端31側および他端32側の両方にそれぞれ2つの孔30cが形成された帯片30を準備する。次に
図8B(b)に示すように、帯片30の一端31および他端32をそれぞれ折り返す。これによって、把持部20の一端21および他端22となる部分が形成される。なお
図8B(b)においては、折り返される前の一端31、他端32およびそれらの周辺部分が一点鎖線で示されている。
【0062】
その後、
図8B(c)に示すように、一端21側の孔30cと他端22側の孔30cとが互いに重なるよう、一端21を他端22側へ折り返す。これによって、把持部20の反転部24となる部分が形成される。なお
図8B(c)においては、折り返される前の一端21およびそれらの周辺部分が一点鎖線で示されている。その後、一端21側の帯片30と他端22側の帯片30とを孔30cを介して熱溶着させる。これによって、
図8B(d)に示すように、固着部23によって本体部11に対して固定された把持部20を得ることができる。
【0063】
〔一端および他端の第2の変形例〕
図9Aに示す例において、把持部20の一端21は、帯片30を内側に折り込むことによって形成される折り返し部として構成されている。また
図9Aに示すように、把持部20の一端21側の折り返し部を介して内側に折り込まれた帯片30の内側部分34は、反転部24を経て袋10の裏面側にまで延在している。例えば
図9Aに示すように、帯片30の一端31および他端32のいずれもが把持部20の他端22に一致するように、1枚の帯片30が折り返されている。この場合、把持部20の反転部24は、
図9Aに示すように、帯片30を折り返すことによって形成される外側折り返し部33aと、外側折り返し部33aよりも内側で帯片30を折り返すことによって形成される内側折り返し部34aと、を含むようになる。すなわち把持部20の反転部24が、二重に重ねられた帯片30の折り返し部によって構成されるようになる。このため本変形例によれば、上下方向における反転部24の剛性をさらに高めることができ、これによって、袋10の自立性や保形性をさらに高めることができる。
【0064】
次に
図9B(a)〜(d)を参照して、
図9Aに示す把持部20を帯片30から形成する手順の一例を説明する。なお
図9B(c)や
図9B(d)においては、説明の便宜上、本体部11の図示を省略している。
【0065】
はじめに
図9B(a)に示すように、一端31側に4つの孔30cが形成された帯片30を準備する。次に
図9B(b)に示すように、帯片30の一端31を他端32側へ折り返す。これによって、把持部20の一端21および他端22となる部分が形成される。なお
図9B(b)においては、折り返される前の一端31およびその周辺部分が一点鎖線で示されている。
【0066】
その後、
図9B(c)に示すように、水平方向において並ぶ孔30cが互いに重なるよう、一端21を他端22側へ折り返す。これによって、把持部20の反転部24となる部分が形成される。なお
図9B(c)においては、折り返される前の一端21およびそれらの周辺部分が一点鎖線で示されている。その後、一端21側の帯片30と他端22側の帯片30とを孔30cを介して熱溶着させる。これによって、
図9B(d)に示すように、固着部23によって本体部11に対して固定された把持部20を得ることができる。
【0067】
〔一端および他端の第3の変形例〕
図10Aに示す例において、把持部20の一端21および他端22はいずれも、帯片30を内側に折り込むことによって形成される折り返し部として構成されている。また、把持部20の他端22側の折り返し部を介して内側に折り込まれた帯片30の内側部分34は、反転部24を経て袋10の表面側にまで延在している。従って、帯片30の一端31および他端32のいずれもが袋10の表面側に存在している。また把持部20の反転部24は、上述の
図9Aに示す変形例の場合と同様に、外側折り返し部33aおよび内側折り返し部34aを含んでいる。
【0068】
本変形例によれば、上述の
図8Aに示す変形例の場合と同様に、把持部20の一端21および他端22の両方において、使用者の手に対する把持部20の接触感を良好なものとし、かつ、使用者の手が傷ついてしまうことを防ぐことができる。また、把持部20の一端21および他端22の両方において、帯片30の折り返し構造に基づく高い剛性を実現することができる。
【0069】
また本変形例によれば、上述の
図9Aに示す変形例の場合と同様に、上下方向における反転部24の剛性を高めることができ、これによって、袋10の自立性や保形性をさらに高めることができる。
【0070】
次に
図10B(a)〜(d)を参照して、
図10Aに示す把持部20を帯片30から形成する手順の一例を説明する。なお
図10B(c)や
図10B(d)においては、説明の便宜上、本体部11の図示を省略している。
【0071】
はじめに
図10B(a)に示すように、一端31側および他端32側の両方にそれぞれ2つの孔30cが形成された帯片30を準備する。次に
図10B(b)に示すように、帯片30の一端31および他端32をそれぞれ折り返す。これによって、把持部20の一端21および他端22となる部分が形成される。なお
図10B(b)においては、折り返される前の一端31、他端32およびそれらの周辺部分が一点鎖線で示されている。
【0072】
その後、
図10B(c)に示すように、一端21側の孔30cと他端22側の孔30cとが互いに重なるよう、一端21を他端22側へ折り返す。これによって、把持部20の反転部24となる部分が形成される。なお
図10B(c)においては、折り返される前の一端21およびそれらの周辺部分が一点鎖線で示されている。その後、一端21側の帯片30と他端22側の帯片30とを孔30cを介して熱溶着させる。これによって、
図10B(d)に示すように、固着部23によって本体部11に対して固定された把持部20を得ることができる。
【0073】
(把持部にリブが形成される例)
図11Aは、本変形例による袋10を示す側面図であり、
図11Bは、
図11Aに示す袋10をXIB−XIB線に沿って見た場合を示す断面図である。
図11Aおよび
図11Bに示すように、把持部20には、外側に突出するとともに上下方向に延びるリブ26が形成されていてもよい。リブ26は例えば、本体部11に取り付けられる前の帯片30にエンボス加工を施すことによって形成され得る。このようなリブ26を把持部20に形成することにより、上下方向における袋10の剛性をさらに高めることができ、これによって、袋10の自立性や保形性をさらに高めることができる。なお図示はしないが、リブ26は、内側に突出するように形成されていてもよく、また、左右方向(水平方向)に延びるよう形成されていてもよい。
【0074】
(把持部に補強部が形成される例)
把持部20には、本体部11の第1側縁15aよりも側方側に位置するとともに上下方向に延びる補強部27が形成されていてもよい。この補強部27は、袋10の表面側の帯片30と袋10の裏面側の帯片30とを熱溶着することによって構成されている。このような補強部27を形成することにより、上下方向における把持部20の剛性をさらに高めることができ、これによって、袋10の自立性や保形性をさらに高めることができる。
【0075】
以下、把持部20に補強部27が形成される複数の例について、
図12A乃至
図12Cを参照して説明する。
【0076】
図12Aに示すように、補強部27は、本体部11の第1側縁15aのうち把持部20と重なっていない第1側縁15aの位置よりも側方に形成されていてもよい。
または、
図12Bに示すように、補強部27は、本体部11の第1側縁15aのうち把持部20と重なっていない第1側縁15aの位置よりも充填部12側に形成されていてもよい。この場合、本体部11の第1側部シール部15には、補強部27の経路を確保するための切り欠き15bが形成される。
または、
図12Cに示すように、補強部27は、本体部11の第1側縁15aのうち把持部20と重なっていない第1側縁15aの位置よりも側方の位置、および、把持部20と重なっていない第1側縁15aの位置よりも充填部12側の位置の両方に連続的に形成されていてもよい。本変形例においても、
図12Bに示す例の場合と同様に、本体部11の第1側部シール部15には、補強部27の経路を確保するための切り欠き15bが形成される。
【0077】
なお
図8A乃至
図10Bに示す変形例のように、一端21または他端22が帯片30の折り返し部として構成されている場合、図示はしないが、帯片30の内側部分34には、袋10の表面側の外側部分33と袋10の裏面側の外側部分33とを互いに熱溶着させて補強部27を形成するための孔または切り欠きが形成されていてもよい。
【0078】
(表面フィルムおよび裏面フィルムの孔の変形例)
上述の本実施の形態および各変形例において、把持部20を本体部11に対して固定するための固着部23、および、固着部23の経路を確保するために表面フィルム1および裏面フィルム2に形成される孔1c,2cが、上下方向において所定の間隔を空けて設けられる例を示した。しかしながら、指が挿入され得る隙間を本体部11と把持部20の一端21および他端22との間に形成することができる限りにおいて、固着部23および孔1c,2cの位置や形状が特に限られることはない。
【0079】
例えば
図13Aに示すように、上下方向に延びる部分を含む孔1c,2cがそれぞれ表面フィルム1および裏面フィルム2に形成されていてもよい。この場合、上下方向に延びる部分を含む1つの固着部23によって、把持部20が本体部11に対して固定されることになる。なお、孔1c,2cと把持部20の一端21,他端22との間の、水平方向における距離Dは、指が体部11と把持部20の一端21および他端22との間に適切な深さで挿入され得るよう、設定される。
【0080】
また
図13Bに示すように、表面フィルム1および裏面フィルム2には、孔の代わりに切り欠き1d,2dがそれぞれ形成されていてもよい。切り欠き1d,2dは、
図13Bに示すように、上下方向における切り欠き1d,2dの寸法が本体部11の第1側縁15aに向かうにつれて少なくとも部分的に小さくなるよう、構成されている。このため、帯片30に対して力が及ぼされて帯片30が本体部11に対して移動しようとしたとしても、切り欠き1d,2dを介して形成される固着部23は、表面フィルム1および裏面フィルム2の積層体に引っ掛かることができる。従って、固着部23によって、把持部20を本体部11に対して固定することができる。
【0081】
(表面フィルムおよび裏面フィルムの孔のさらなる変形例)
また上述の本実施の形態および各変形例において、互いの孔1c,2cが重なるように表面フィルム1および裏面フィルム2が配置されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、互いの孔1c,2cが重ならないように表面フィルム1および裏面フィルム2が配置されていてもよい。以下、そのような変形例について、
図14Aおよび
図14Bを参照して説明する。
【0082】
図14Aは、本変形例による袋10を示す側面図であり、
図14Bは、
図14Aに示す袋10をXIVB−XIVB線に沿って見た場合を示す断面図である。
図14Bに示すように、表面フィルム1および裏面フィルム2は、互いの孔1c,2cが上下方向においてずれた位置に存在するよう、配置されている。このような孔1c,2cの配置が採用されている本変形例において、袋10の表側に位置する帯片30は、表面フィルム1に形成された孔1cを介して裏面フィルム2に熱溶着されており、これによって固着部23aが形成されている。この固着部23aの周囲には表面フィルム1が存在しており、従って、固着部23aの移動は、固着部23aが表面フィルム1に引っ掛かることによって阻止される。すなわち固着部23aによって、袋10の表面側に位置する帯片30が本体部11に対して固定されている。
【0083】
また、袋10の裏側に位置する帯片30は、裏面フィルム2に形成された孔2cを介して表面フィルム1に熱溶着されており、これによって固着部23bが形成されている。この固着部23bの周囲には裏面フィルム2が存在しており、従って、固着部23bの移動は、固着部23bが裏面フィルム2に引っ掛かることによって阻止される。すなわち固着部23bによって、袋10の裏面側に位置する帯片30が本体部11に対して固定されている。
【0084】
このように、互いの孔1c,2cが重ならないように表面フィルム1および裏面フィルム2が配置されている場合であっても、把持部20を熱溶着によって本体部11に対して固定することができる。
【0085】
なお本変形例においては、互いの孔1c,2cが上下方向においてずれた位置に存在するよう、表面フィルム1および裏面フィルム2が配置されている例を示したが、これに限られることはない。例えば表面フィルム1および裏面フィルム2は、互いの孔1c,2cが左右方向(水平方向)においてずれた位置に存在するよう、配置されていてもよい。
【0086】
(スパウトの変形例)
上述の本実施の形態および各変形例において、スパウト18が袋10の角部に形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、
図15Aに示すように、スパウト18が袋10の上部に形成されていてもよい。または
図15Bに示すように、第1側部シール部15が袋10の側部に形成されていてもよい。なお
図15Aに示すようにスパウト18が袋10の上部に形成されている場合、第1側部シール部15だけでなく第2側部シール部16にも把持部20が取り付けられていてもよい。
【0087】
(本体部の構造の変形例)
上述の本実施の形態および各変形例において、本体部11がガセット式の袋として構成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、
図16Aおよび
図16Bに示すように、本体部11は、表面フィルム1と裏面フィルム2とを熱溶着することによって得られる三方シール袋や四方シール袋として構成されていてもよい。また図示はしないが、本体部11は、ピロー袋であってもよい。これらの場合であっても、第1側部シール部15に把持部20を取り付けることにより、袋10の持ち易さや保形性を改善することができる。
【0088】
(注出口部の変形例)
上述の本実施の形態および各変形例において、内容物が注出される際に通る注出口部が、表面フィルム1および裏面フィルム2とは別個の部材から構成されたスパウト18として構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、
図17に示すように、注出口部は、表面フィルム1と裏面フィルム2とを熱溶着させることによって形成される注出口シール部19aによって画定される、本体部11と一体の一体型注出口19として構成されていてもよい。
【0089】
(その他の変形例)
図示はしないが、把持部20を構成する帯片30の端部は、側面図において、角が取られた形状を有していてもよい。
【0090】
また上述の本実施の形態および各変形例において、把持部20の反転部24が湾曲形状を有する例を示したが、これに限られることはない。例えば、図示はしないが、把持部20の反転部24は、鋭い角度で折り返されることによって形成される屈曲形状を有していてもよい。
【0091】
また上述の本実施の形態および各変形例において、帯片30が、本体部11の表面フィルム1および裏面フィルム2と同一の層構成で構成されている例を示したが、これに限られることはない。熱溶着によって把持部20を本体部11に対して固定するための帯片30の層構成として、様々なものを採用することができる。例えば帯片30は、熱可塑性樹脂層45のみで構成されていてもよい。また、基材層41が熱によって溶融することができる材料で構成されている場合、帯片30が基材層41のみで構成されていてもよい。
【0092】
また上述の本実施の形態および各変形例において、帯片30を本体部11に対して固定するための固着部23が、帯片30および/またはフィルム1,2の熱可塑性樹脂層が溶融することによって形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、固着部23は、帯片30を本体部11に対して固着させるためのホットメルトによって構成されたものであってもよい。また固着部23は、超音波法を用いて帯片30を本体部11に対して固着させる際に形成されるものであってもよい。ホットメルトや超音波法が用いられる場合、袋10の表面側に位置する帯片30は、表面フィルム1に孔や切り欠きを形成することなく表面フィルム1の外面1aに固着されることもでき、同様に、袋10の裏面側に位置する帯片30は、裏面フィルム2に孔や切り欠きを形成することなく裏面フィルム2の外面2aに固着されることもできる。なお、ホットメルトや超音波法が用いられるであっても、上述の本実施の形態や各変形の場合と同様に、フィルム1,2や帯片30に孔1c,2cや孔30cまたは切り欠きが形成されており、これらの孔1c,2c,30cまたは切り欠きの中に、ホットメルトや超音波法によって得られる固着部23が形成されてもよい。なおホットメルトや超音波法が用いられる場合、帯片30は、上述の熱可塑性樹脂層45を含んでいなくてもよい。
【0093】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。