【実施例】
【0030】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。また、結果については以下の方法で評価した。
【0031】
・水中油型乳化物の評価方法
水中油型乳化物の固形分、油分を測定した。
固形分:CEMJapan株式会社製マイクロウェブ固形分測定器を使用して測定した。
油分:ゲルベル試験法によって測定した。油分が10重量%以上のものについては適宜希釈してゲルベル試験によって測定し、得られた値を希釈率に応じて換算して油分を求めた。
水中油型乳化物の粘度、ボテテスト(水中油型乳化物の乳化状態の安定性)、油脂粒子径を評価した。
方法は、
粘度:水中油型乳化物の粘度の測定は、東機産業株式会社製BM型粘度計を用い、品温5℃で2号ローター、60rpmで測定した。
ボテテスト:水中油型乳化物を100ml容ビーカーに50g採り、20℃で2時間インキュベートし、その後5分間撹拌した時のボテの発生の有無を確認した。
油脂粒子径:レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2200)を用いて、水中油型乳化物を蒸留水で測定可能範囲に希釈し測定後、データとして出力される。油脂粒子径は積算50%径のメジアン径、積算25%径、積算75%径を求めた。
【0032】
・水中油型乳化物を起泡させた場合の評価方法
ホイップ時間:水中油型乳化物1kgをホバートミキサー(HOBART CORPORATION製 MODEL N−5)3速(300rpm)にてホイップし、最適気泡状態に達するまでの時間。
オーバーラン(%):[(一定容積の水中油型乳化物の重量)−(一定容積の気泡後の水中油型乳化物重量)]÷(一定容量の気泡後の水中油型乳化物の重量)×100
保形性:造花した起泡物を15℃で24時間保存した場合の形の変化を評価する。
「良好」「やや不良」「不良」の三段階で評価した。
【0033】
・風味の評価方法
風味評価項目としては、口にした際の初期に感じる香りを「トップの香り」とし、口腔中に食品が充分に広がった際の中盤に感じる香りと味をそれぞれ「ミドルの香り」、「ミドルの味」とし、口腔中から食品が無くなった際の終盤に感じる香りと味をそれぞれ「ラストの香り」、「ラストの味」とした。それぞれの味と香りを点数で評価した。
(風味評価項目)
○ トップの香り
○ ミドルの香り
○ ミドルの味
○ ラストの香り
○ ラストの味
味と香りの点数付けはパネラー20人で評価しその平均値とした。
評価方法は対照品(比較例)を置いて、対照品(比較例)を3として以下の基準で評価した。
1:比較対照よりかなり好ましくない
2:比較対照より好ましくない
3:比較対照と同等
4:比較対照より好ましい
5:比較対照よりかなり好ましい
【0034】
実験例1
パーム核油(融点31℃)35部にレシチン0.2部を分散・溶解したものを油相(A)する。70℃の温水60部にショ糖脂肪酸エステルを分散・溶解したものを水相(A)とする。2L容積のステンレス丸バットに水相(A)を仕込み、更に油相(A)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数5000rpmで、70℃撹拌混合開始と同時に、脱脂粉乳5部を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(イ)500gを得た。
【0035】
実験例2
パーム核油(融点31℃)35部にレシチン0.2部を分散・溶解したものを油相(A)する。70℃の温水60部にショ糖脂肪酸エステルを分散・溶解したものを水相(A)とする。2L容積のステンレス丸バットに水相(A)を仕込み、更に油相(A)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数5000rpmで、70℃撹拌混合を10分間行い、その後、脱脂粉乳5部を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(ロ)500gを得た。
【0036】
実験例1と実験例2で得た水中油型乳化物(イ)と(ロ)の風味について官能評価を行ったところ、水中油型乳化物(ロ)が(イ)に比べて非常に良好な乳風味を示した。
そこで、ヘッドスペースGC−MSで香気分析を行ったところ、水中油型乳化物(ロ)から検出される香気成分(特定の脂肪酸)の量が水中油型乳化物(イ)より有意に多いことが示された。この香気分析の結果を表2に示した。
ヘッドスペースGC−MSによる香気成分分析は、Mono Trap法によりヘッドスペース部分の香気成分を濃縮回収して、GC/TOP−MSにて分析を行ったものである。分析の結果、脂肪酸類に有意な差があった。値は面積値である。
【0037】
(表2)
【0038】
この事実は予め油脂、乳化剤、水で十分乳化させて一旦水中油型乳化物を作り、その後に風味成分を含む原材料を添加して引き続き乳化するという新規な乳化法が従来の乳化法に比して、豊かな風味の水中油型乳化物が得られるというものである。
本願発明はこの実験事実に基づいてなされたものである。
【0039】
実施例1
70℃の温水86.55部(100gの熱水にポリリン酸ナトリウム0.13部を溶解した熱水を含む)に水分散性乳化剤であるショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB16)0.1部を分散し水相(1)とする。
これとは別にヤシ油(融点25℃)4部を加熱融解し、そこにトコフェロール0.02部を溶解・分散して油相(1)とする。
40Lタンクに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、10分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは159J/Lであった。これを表3に纏めた。
次に風味原料のホエーパウダー6部、粉末チーズ3.2部を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。水相(1)、油相(1)及び風味材(1)の配合を表4に纏めた。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表5に纏めた。
風味評価において、後述する対照品である比較例1に比して、トップから良好なチーズ風味と乳味が感じられ、ミドルは良好なチーズの香りと濃厚感があり、ラストにかけては自然ですっきりした風味であった。
【0040】
実施例1〜実施例4の水中油型乳化物(A)を調製するまでの撹拌エネルギーを表3に纏めた。
【0041】
(表3)
【0042】
実施例1〜実施例4の水相(1、2、3、4)、油相(1、2、3、4)及び風味材(1、2、3、4)の配合を表4に纏めた。
【0043】
(表4)
【0044】
実施例1〜実施例4の水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表5に纏めた。
【0045】
(表5)
【0046】
実施例2
70℃の温水73.1部(100gの熱水にポリリン酸ナトリウム0.1部を溶解した熱水を含む)に水分散性乳化剤であるショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB16)0.1部、ショ糖型液糖13.2部及びキサンタンガム0.1部を分散し水相(2)とする。
これとは別にヤシ油(融点25℃)7部を加熱融解したものを油相(2)とする。
40Lタンクに水相(2)を仕込み、更に油相(2)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、10分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは162J/Lであった。これを表3に纏めた。
次に風味原料のホエーパウダー4部、栗ペースト2部及び栗香料0.4部を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPa の均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。水相(2)、油相(2)及び風味材(2)の配合を表4に纏めた。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表5に纏めた。
風味評価において、後述する対照品である比較例2に比して、トップから栗の強い風味と乳味がバランス良く感じられ、ミドルにかけても栗の良好な香りと濃厚感があり、ラストにかけては自然ですっきりした風味であった。
【0047】
実施例3
70℃の温水50.52部(100gの熱水にポリリン酸ナトリウム0.15部を溶解した熱水を含む)に水分散性乳化剤であるショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB16)0.1部、麦芽糖水飴25部及び還元水飴9部を分散し水相(3)とする。
これとは別にヤシ油(融点25℃)5部を加熱融解したものを油相(3)とする。
40Lタンクに水相(3)を仕込み、更に油相(3)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、10分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは225J/Lであった。これを表3に纏めた。
次に風味原料のホエーパウダー5部、ココアパウダー5部及びチョコレート香料0.23部を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で149℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。水相(3)、油相(3)及び風味材(3)の配合を表4に纏めた。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表5に纏めた。
風味評価において、後述する対照品である比較例3に比して、トップから強いココア感が出て風味良好で、ラストのココアと乳の余韻も良好であった。
【0048】
実施例4
70℃の温水70.1部(100gの熱水に炭酸水素ナトリウム0.01部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.06部を溶解した熱水を含む)に水分散性乳化剤であるショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB16)0.05部、ショ糖型液糖13部、キサンタンガム0.06部及びカラメル色素0.13部を分散し水相(4)とする。
これとは別にパーム大豆混合硬化油(融点31℃)2部を加熱融解したものを油相(4)とする。
40Lタンクに水相(4)を仕込み、更に油相(4)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、10分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは164J/Lであった。これを表3に纏めた。
次に風味原料の脱脂粉乳4.5部、ホエーパウダー5部、ココアパウダー5部及び香料(チョコレート、バニラ、ミルク)0.09部を加えて更に30分間撹拌混合した後、15MPaの均質化圧力で均質化して水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で149℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、25MPa の均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。水相(4)、油相(4)及び風味材(4)の配合を表4に纏めた。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表5に纏めた。
風味評価において、後述する対照品である比較例4に比して、トップからチョコレート感のある風味が立ち、ミドルからラストにかけての乳風味とのバランスも良好であった。
【0049】
比較例1
実施例1と同様な水相(1)と油相(1)を準備し、40Lタンクに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで撹拌混合した。撹拌開始と同時に風味材(1)を加え、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物を得た。
最終製品の水中油型乳化物の結果を表6に纏めた。
比較例2
実施例2と同様な水相(2)と油相(2)を準備し、40Lタンクに水相(2)を仕込み、更に油相(2)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで撹拌混合した。撹拌開始と同時に風味材(2)を加え、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物を得た。
最終製品の水中油型乳化物の結果を表6に纏めた。
【0050】
比較例3
実施例3と同様な水相(3)と油相(3)を準備し、40Lタンクに水相(3)を仕込み、更に油相(3)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで撹拌混合した。撹拌開始と同時に風味材(3)を加え、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物を得た。
最終製品の水中油型乳化物の結果を表6に纏めた。
比較例4
実施例4と同様な水相(4)と油相(4)を準備し、40Lタンクに水相(4)を仕込み、更に油相(4)を加えて、攪拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで撹拌混合した。撹拌開始と同時に風味材(4)を加え、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、25MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物を得た。
最終製品の水中油型乳化物の結果を表6に纏めた。
【0051】
比較例1〜比較例4の結果を表6に纏めた。
【0052】
(表6)
【0053】
実施例5
70℃の温水65.43部(100gの熱水にヘキサメタリン酸ナトリウム0.2部、重曹0.02部を溶解した熱水を含む)に水分散性乳化剤であるショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5)を分散し水相(5)とする。
これとは別にパーム核油(融点28℃)30部を加熱融解し、そこに油分散性乳化剤であるレシチン0.2部を溶解・分散して油相(5)とする。
40Lタンクに水相(5)を仕込み、更に油相(5)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、10分間撹拌し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは155J/Lであった。これを表7に纏めた。
次に風味原料の脱脂粉乳4部を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、5MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。水相(5)、油相(5)及び風味材(5)の配合を表8に纏めた。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表9に纏めた。
24時間エージングした後の水中油型乳化物(B)1kgに70gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水のホイップ分析を行った。またホイップしたクリームの風味の評価を行った。これらの結果も表9に纏めた。
【0054】
実施例5〜実施例8の水中油型乳化物(A)を調製するまでの撹拌エネルギーを表7に纏めた。
【0055】
(表7)
【0056】
実施例5、実施例6の水相(5、6)、油相(5、6)及び風味材(5、6)の配合を表8に纏めた。
【0057】
(表8)
【0058】
実施例5〜実施例8の水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表9に纏めた。
【0059】
(表9)
【0060】
実施例6
70℃の温水50.355部(100gの熱水にヘキサメタリン酸ナトリウム0.06部、重曹0.02部を溶解した熱水を含む)に水分散性乳化剤であるショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5)0.2部を分散し水相(6)とする。
これとは別にパーム核油(融点28℃)10部、硬化パーム核油(融点34℃)10部、硬化油(菜種/パーム混合)(融点31℃)25部を加熱融解し、そこに油分散性乳化剤であるレシチン0.2部、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB5.1)0.15部、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB4.9)0.015部を溶解・分散して油相(6)とする。水相(6)、油相(6)及び風味材(6)の配合を表8に纏めた。
20L容積のステンレス角バットに水相(6)を仕込み、更に油相(6)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数8000rpmで、70℃、10分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは2470J/Lであった。これを表7に纏めた。
次に風味原料の脱脂粉乳を4部加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、5MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表9に纏めた。
24時間エージングした後の水中油型乳化物1kgに70gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水のホイップ分析を行った。またホイップしたクリームの風味の評価を行った。これらの結果も表9に纏めた。
【0061】
実施例7
実施例1と同様な水相(1)と油相(1)を準備し、20L容積のステンレス角バットに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数8000rpmで、70℃、1分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは255J/Lであった。これを表7に纏めた。
次に実施例1と同様の風味材(1)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表9に纏めた。
風味評価において、先の対照品である比較例1に比して、トップから良好なチーズ風味と乳味が感じられ、ミドルからラストにかけての余韻は実施例1より更にバランス良好であった。
【0062】
実施例8
実施例1と同様な水相(1)と油相(1)を準備し、20L容積のステンレス角バットに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数8000rpmで、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは7662J/Lであった。これを表7に纏めた。
次に実施例1と同様の風味材(1)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表9に纏めた。
風味評価において、先の対照品である比較例1に比して、トップからかなり良好なチーズ風味と乳味が感じられ、ミドルからラストにかけての余韻も後で述べる実施例9より良好であった。
【0063】
実施例9
実施例1と同様な水相(1)と油相(1)を準備し、20L容積のステンレス角バットに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数8000rpmで、70℃、10分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは2554J/Lであった。これを表10に纏めた。
次に実施例1と同様の風味材(1)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表11に纏めた。
風味評価において、先の対照品である比較例1に比して、トップから良好なチーズ風味と乳味が感じられ、ミドルからラストにかけての余韻も実施例7より良好であった。
【0064】
実施例10
実施例1と同様な水相(1)と油相(1)を準備し、20L容積のステンレス角バットに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としてはラボリューション(プライミクス株式会社)を使用し、回転数22000rpmで、70℃、1.5分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは7967J/Lであった。これを表10に纏めた。
次に実施例1と同様の風味材(1)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表11に纏めた。
風味評価において、先の対照品である比較例1に比して、トップからかなり良好なチーズ風味と乳味が感じられ、ミドルからラストにかけての余韻は実施例8と同等であった。
【0065】
実施例11
実施例2と同様な水相(2)と油相(2)を準備し、40Lタンクに水相(2)を仕込み、更に油相(2)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、20分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは325J/Lであった。これを表10に纏めた。
次に実施例2と同様の風味材(2)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表11に纏めた。
風味評価において、先の対照品である比較例2に比して、トップから栗の強い風味と乳味がバランス良く感じられ、ミドルにかけても栗の良好な香りと濃厚感があり、ラストにかけての余韻も比較例2より良好であった。
【0066】
実施例12
実施例2と同様な水相(2)と油相(2)を準備し、40Lタンクに水相(2)を仕込み、更に油相(2)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは487J/Lであった。これを表10に纏めた。
次に実施例2と同様の風味材(2)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表11に纏めた。
風味評価において、先の対照品である比較例2に比して、トップからかなり栗の強い風味と乳味がバランス良く感じられ、、ミドルにかけても栗の良好な香りと濃厚感があり、ラストにかけての余韻も実施例11より更に良好であった。
【0067】
実施例9〜実施例12の水中油型乳化物(A)を調製するまでの撹拌エネルギーを表10に纏めた。
【0068】
(表10)
【0069】
実施例9〜実施例12の水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表11に纏めた。
【0070】
(表11)
【0071】
比較例5
実施例5と同様な水相(5)と油相(5)を準備し、40Lタンクに水相(5)を仕込み、更に油相(5)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数572rpmで撹拌混合した。撹拌開始と同時に風味材(5)を加え、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、5MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物を得た。
24時間エージングした後の水中油型乳化物1kgに70gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水のホイップ分析を行った。またホイップしたクリームの風味の評価を行った。
【0072】
比較例6
実施例6と同様な水相(6)と油相(6)を準備し、20L容積のステンレス角バットに水相(6)を仕込み、更に油相(6)を加えて、撹拌機としてはTKホモミキサー(プライミクス株式会社)を使用し、回転数8000rpmで撹拌開始と同時に風味材(6)を加え、70℃、30分間撹拌混合し、水中油型乳化物を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、5MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物を得た。
24時間エージングした後の水中油型乳化物1kgに70gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水のホイップ分析を行った。またホイップしたクリームの風味の評価を行った。
【0073】
比較例5及び比較例6の結果を表12に纏めた。
【0074】
(表12)
【0075】
実施例13
実施例1と同様な水相(1)と油相(1)を準備し、9tタンクに水相(1)を仕込み、更に油相(1)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数1200rpmで、70℃、15分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは2803J/Lであった。これを表13に纏めた。
次に実施例(1)と同様の風味材(1)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表14に纏めた。風味評価において、先の対照品である比較例1に比して、トップから良好なチーズ風味と乳味が感じられ、ミドルは濃厚感があり、ラストにかけては自然ですっきりした風味であった。
【0076】
実施例14
実施例2と同様な水相(2)と油相(2)を準備し、9tタンクに水相(2)を仕込み、更に油相(2)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数1200rpmで、70℃、15分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは2803J/Lであった。これを表13に纏めた。
次に実施例(2)と同様の風味材(2)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、15MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表14に纏めた。風味評価において、先の対照品である比較例2に比して、トップから栗の強い風味と乳味がバランス良く感じられ、ミドルにかけても濃厚感があり、ラストにかけての余韻も良好であった。
【0077】
実施例15
実施例6と同様な水相(6)と油相(6)を準備し、9tタンクに水相(6)を仕込み、更に油相(6)を加えて、撹拌機としては4枚羽根(Fuji Electric Co..Ltd.)を使用し、回転数1200rpmで、70℃、15分間撹拌混合し、水中油型乳化物(A)を得た。撹拌エネルギーは2639J/Lであった。これを表13に纏めた。
【0078】
(表13)
次に実施例(6)と同様の風味材(6)を加えて更に30分間撹拌混合し、水中油型乳化物(B)を得た。これを岩井機械製殺菌装置で144℃4秒間直接蒸気殺菌処理し、78℃まで冷却後、5MPaの均質化圧力で均質化して、更に冷却後、5℃で24時間エージングして最終製品の水中油型乳化物(B)を得た。
水中油型乳化物(A)の結果、最終の水中油型乳化物(B)の結果を表14に纏めた。
24時間エージングした後の水中油型乳化物1kgに70gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水のホイップ分析を行った。またホイップしたクリームの風味の評価を行った。これらの結果も表14に纏めた。
【0079】
(表14)