特許第6236951号(P6236951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236951
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ローラ装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B65H3/06 340D
   B65H3/06 330E
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-151556(P2013-151556)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2014-40327(P2014-40327A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2016年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-163478(P2012-163478)
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】市川 弘
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−168930(JP,A)
【文献】 特開昭61−86330(JP,A)
【文献】 特開2005−140193(JP,A)
【文献】 特開平7−206187(JP,A)
【文献】 特開2006−27746(JP,A)
【文献】 特開2006−248648(JP,A)
【文献】 特開平8−245010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H1/00−3/68、5/02、5/06、5/22、29/12−29/24、29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成された第1ローラと、
前記第1ローラの端部を回転可能に支持する第1支持部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有するローラ装置であって、
前記第1支持部は、前記第1ローラの端部を支持する第1位置と前記第1ローラの端部よりも前記軸方向外側の第2位置との間の移動領域において移動可能に構成され、
前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成され、
前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域内に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を規制して前記第1ローラの端部から前記第1支持部が外れるのを抑え、かつ、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域外に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を許容するための規制部材を有し、
前記第1ローラの端部は前記軸方向へ延びる第1軸であり、
前記支持部材の前記第1支持部は前記第1軸を回転可能に支持する第1軸受部であり、
前記第1軸受部は、弾性変形することにより前記移動領域において移動可能となるように構成されたことを特徴とするローラ装置。
【請求項2】
前記本体は、外側へ向けて開口する第2開口を有し、
前記支持部材は、前記第1ローラを露出するための第3開口を有し、前記第1ローラの軸線に平行で、且つ、軸線から径方向に離れた揺動軸線を中心として、前記第1ローラが前記第2開口に臨む前記第4位置と、前記第1ローラが前記第4位置よりも前記第2開口から退避した前記第3位置との間を揺動可能に前記本体に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のローラ装置。
【請求項3】
第2ローラをさらに有し、
前記支持部材は、前記第2ローラの端部を回転可能に支持する第3支持部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラ装置。
【請求項4】
前記第1ローラの外周面および前記第2ローラの外周面は、それぞれ異なる材料により形成されていることを特徴とする請求項に記載のローラ装置。
【請求項5】
前記第1ローラの外周面は、前記第2ローラの外周面よりも柔らかい材料で形成されていることを特徴とする請求項に記載のローラ装置。
【請求項6】
前記第1支持部は、前記軸方向と直交する径方向外側に向けて突出する突出部を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項7】
前記突出部の前記軸方向内側の面は、基端側よりも先端側が前記軸方向外側に位置するように構成されたことを特徴とする請求項に記載のローラ装置。
【請求項8】
前記第4位置は、前記第3位置に対して前記軸方向と直交する径方向に離れて位置し、
前記支持部材は、前記第3位置と、前記第4位置と、前記第3位置に対して前記第4位置とは反対側に位置する第5位置との間を揺動可能に構成され、
前記係合部は、前記支持部材が前記第3位置と前記第5位置との間を揺動する間、前記本体に係合するように構成され、
前記規制部材は、前記支持部材が前記第3位置と前記第5位置との間を揺動している間、前記第1支持部の前記軸方向への移動を規制するように、前記第3位置と前記第5位置との間で移動する前記第1支持部の移動軌跡に沿って延びていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項9】
前記規制部材の前記第1支持部と対向する対向面は、前記軸方向における位置が一端から他端にわたってすべて同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載のローラ装置。
【請求項10】
本体と、
所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成された第1ローラと、
前記第1ローラの端部を回転可能に支持する第1支持部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有するローラ装置であって、
前記第1支持部は、前記第1ローラの端部を支持する第1位置と前記第1ローラの端部よりも前記軸方向外側の第2位置との間の移動領域において移動可能に構成され、
前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成され、
前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域内に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を規制して前記第1ローラの端部から前記第1支持部が外れるのを抑え、かつ、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域外に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を許容するための規制部材を有し、
前記支持部材の前記第1支持部は第2軸を有し、
前記第1ローラの端部は、前記第2軸に嵌る穴部を有し、
前記第1支持部は、弾性変形することにより前記移動領域において移動可能となるように構成されたことを特徴とするローラ装置。
【請求項11】
本体と、
所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成された第1ローラと、
前記第1ローラの端部を回転可能に支持する第1支持部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有するローラ装置であって、
前記第1支持部は、前記第1ローラの端部を支持する第1位置と前記第1ローラの端部よりも前記軸方向外側の第2位置との間の移動領域において移動可能に構成され、
前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成され、
前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域内に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を規制して前記第1ローラの端部から前記第1支持部が外れるのを抑え、かつ、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域外に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を許容するための規制部材を有し、
前記第4位置は、前記第3位置に対して前記軸方向と直交する径方向に離れて位置し、
前記支持部材は、前記第3位置と、前記第4位置と、前記第3位置に対して前記第4位置とは反対側に位置する第5位置との間を揺動可能に構成され、
前記係合部は、前記支持部材が前記第3位置と前記第5位置との間を揺動する間、前記本体に係合するように構成され、
前記規制部材は、前記支持部材が前記第3位置と前記第5位置との間を揺動している間、前記第1支持部の前記軸方向への移動を規制するように、前記第3位置と前記第5位置との間で移動する前記第1支持部の移動軌跡に沿って延びていることを特徴とするローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラを回転可能に支持する支持部を有する支持部材と、支持部材が取り付けられる本体とを有するローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラ装置として、給紙トレイから用紙を送り出すためのピックアップローラと、ピックアップローラの用紙搬送方向下流側に配置される分離ローラと、ピックアップローラと分離ローラを回転可能に支持する支持部材と、支持部材が取り付けられる本体とを備えた画像形成装置が知られている。このピックアップローラは支持部材の一対の側壁に回転可能に支持されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−096479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した技術では、ピックアップローラは分離ローラとともに支持部材ごと本体から取り外されて交換される。しかしながら、ピックアップローラが支持部材とともに本体に装着された状態において、外力が支持部材の側壁に加わると、側壁が変形してピックアップローラが支持部材から不意に脱落してしまうおそれがある。このようにピックアップローラが支持部材から脱落すると、画像形成動作を行うことができなくなるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、支持部材を本体に取り付けた状態では支持部材からローラが外れるのを抑えることができ、扱いやすいローラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るローラ装置は、本体と、所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成された第1ローラと、前記第1ローラの端部を回転可能に支持する第1支持部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有する。
前記第1支持部は、前記第1ローラの端部を支持する第1位置と前記第1ローラの端部よりも前記軸方向外側の第2位置との間の移動領域において移動可能に構成される。
前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成される。
前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記第1支持部の前記移動領域内に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を規制して前記第1ローラの端部から前記第1支持部が外れるのを抑え、かつ、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記第1支持部材の前記移動領域外に配置されて前記第1支持部の前記軸方向外側への移動を許容するための規制部材を有する。
【0007】
この構成によれば、支持部材が第3位置にあるとき、すなわち支持部材が本体に装着されているときには、規制部材で第1支持部の移動が規制されるので、支持部材が本体に装着された状態においてユーザが誤って第1ローラ等に触れて第1ローラが支持部材から外れるのを抑えることができる。また、支持部材を第4位置に移動、すなわち支持部材を本体の取付位置(第3位置)からずらしたときには、第1支持部の移動が許容されるので、第1ローラを外して交換することができる。このようにして、ローラ装置が扱いやすくなっている。
【0008】
また、前記した構成において、前記第1ローラの端部は前記軸方向へ延びる第1軸であり、前記支持部材の前記第1支持部は前記第1軸を回転可能に支持する第1軸受部であってもよい。
【0009】
また、前記した構成において、前記第1軸受部は、弾性変形することにより前記移動領域において移動可能となるように構成してもよい。
【0010】
また、前記した構成において、前記第1軸受部とは別体に構成される第2支持部をさらに備え、前記第2支持部は、前記第1軸受部を前記軸方向に沿って着脱可能に支持する第1開口を有するように構成してもよい。
【0011】
また、前記した構成において、前記支持部材の前記第1支持部は第2軸を有し、前記第1ローラの端部は、前記第2軸に嵌る穴部を有するように構成してもよい。
【0012】
また、前記した構成において、前記第1支持部は、弾性変形することにより前記移動領域において移動可能となるように構成されてもよい。
【0013】
また、前記した構成において、前記本体は、外側へ向けて開口する第2開口を有し、前記支持部材は、前記第1ローラを露出するための第3開口を有し、前記第1ローラの軸線に平行で、且つ、軸線から径方向に離れた揺動軸線を中心として、前記第1ローラが第2開口に臨む前記第4位置と、前記第1ローラが前記第4位置よりも前記第2開口から退避した前記第3位置との間を揺動可能に前記本体に支持されるのが望ましい。
【0014】
これによれば、第1ローラを支持部材に対して着脱すべく、支持部材を第4位置に揺動させると、第1ローラが第2開口に臨むので、作業者が第2開口から第1ローラにアクセスしやすくなり、第1ローラの着脱作業を容易にすることができる。
【0015】
また、前記した構成において、第2ローラをさらに有し、前記支持部材は、前記第2ローラの端部を回転可能に支持する第3支持部を有していてもよい。
【0016】
この場合には、例えば各ローラに加わる圧接力の違いにより、第1ローラの方が第2ローラよりも先に摩耗しても、第1ローラのみを交換することができる。
【0017】
また、前記した構成において、前記第1ローラの外周面および前記第2ローラの外周面は、それぞれ異なる材料により形成されていてもよい。具体的には、例えば、前記第1ローラの外周面は、前記第2ローラの外周面よりも柔らかい材料で形成されていてもよい。
【0018】
この場合には、材料の違いにより、第1ローラの方が第2ローラよりも先に摩耗しても、第1ローラのみを交換することができる。
【0019】
また、前記した構成において、前記第1支持部は、前記軸方向と直交する径方向外側に向けて突出する突出部を有するのが望ましい。
【0020】
これによれば、突出部にユーザの指を引っ掛けて第1支持部の操作を行うことができるので、第1支持部の操作を容易にすることができる。
【0021】
また、前記した構成において、前記突出部の前記軸方向内側の面は、基端側よりも先端側が前記軸方向外側に位置するのが望ましい。
【0022】
これによれば、突出部の軸方向内側の面に指をより引っ掛けやすくなるので、第1支持部の操作性をより向上させることができる。
【0023】
また、前記した構成において、前記第4位置は、前記第3位置に対して前記軸方向と直交する径方向に離れて位置し、前記支持部材は、前記第3位置と、前記第4位置と、前記第3位置に対して前記第4位置とは反対側に位置する第5位置との間を揺動可能に構成され、前記係合部は、前記支持部材が前記第3位置と前記第5位置との間を揺動する間、前記本体に係合するように構成される場合には、前記規制部材は、前記支持部材が前記第3位置と前記第5位置との間を揺動している間、前記第1支持部の前記軸方向への移動を規制するように、前記第3位置と前記第5位置との間で移動する前記第1支持部の移動軌跡に沿って延びるように構成されるのが望ましい。
【0024】
これによれば、支持部材が第3位置と第5位置との間で揺動する際に、第1支持部が規制部材に引っ掛かるのを抑えることができる。
【0025】
また、前記した構成において、前記規制部材の前記第1支持部と対向する対向面は、前記軸方向における位置が一端から他端にわたってすべて同じ位置に配置されているのが望ましい。
【0026】
これによれば、対向面の軸方向における位置が一端から他端にわたってすべて同じ位置、すなわち、対向面に段差がないので、第1支持部が第3位置から第5位置に揺動する際に、第1支持部が対向面に引っ掛かるのを抑えることができる。
【0027】
また、本発明に係るローラ装置は、本体と、所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成されたローラと、前記ローラの端部を回転可能に支持する支持部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有するローラ装置であって、前記支持部は、前記ローラの端部を支持する第1位置と前記ローラの端部から外れ始める第2位置との間の移動領域において移動可能に構成され、前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成され、前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記支持部の前記移動領域内に配置され、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記支持部の前記移動領域外に配置される規制部材を有する構成であってもよい。
【0028】
また、本発明に係るローラ装置は、本体と、所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成されたローラと、前記ローラの軸を回転可能に支持する軸受部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有するローラ装置であって、前記軸受部は、前記ローラの軸を支持する第1位置と前記ローラの軸の端面と前記軸受部の前記軸方向内側の面の位置が同じ位置となる第2位置との間の移動領域において移動可能に構成され、前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成され、前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記支持部の前記移動領域内に配置され、かつ、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記支持部の前記移動領域外に配置される規制部材を有する構成であってもよい。
【0029】
また、本発明に係るローラ装置は、本体と、所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成されたローラと、前記ローラの端部に形成される穴部を回転可能に支持する軸部を有する支持部と、前記本体に取り外し可能に係合する係合部とを有する支持部材と、を有するローラ装置であって、前記支持部は、前記軸部で前記ローラの穴部を支持する第1位置と前記ローラの穴部に隣接する表面と前記軸部の先端面の位置が同じ位置となる第2位置との間の移動領域において移動可能に構成され、前記支持部材は、前記係合部が前記本体に係合する第3位置と、前記係合部が前記本体から外れて前記第3位置から離れた第4位置とに移動可能に構成され、前記本体は、前記支持部材が前記第3位置にあるときに前記支持部の前記移動領域内に配置され、かつ、前記支持部材が前記第4位置にあるときに前記支持部の前記移動領域外に配置される規制部材を有する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、支持部材を本体に取り付けた状態では支持部材からローラが外れるのを抑えることができ、支持部材を本体から外した状態では支持部材からローラを外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタを示す断面図である。
図2】ピックアップローラ付近の構造を示す斜視図である。
図3】各ローラが組み付けられたローラ用筐体を示す斜視図である。
図4】ローラ用筐体からピックアップローラが外された状態を示す斜視図である。
図5】ピックアップローラと第1軸受部の断面を簡略的に示す図である。
図6】下側筐体からローラ用筐体を外した状態を示す斜視図である。
図7】ローラ用筐体が給紙位置に位置する状態を示す断面図(a)と、ローラ用筐体が離間位置に位置する状態を示す断面図(b)と、ローラ用筐体が脱落位置に位置する状態を示す断面図(c)である。
図8】下側筐体を前側から見た正面図である。
図9】移動領域と規制部との関係を示す簡略図(a)〜(b)である。
図10】ローラ用筐体が給紙位置に位置する状態を示す斜視図(a)と、ローラ用筐体が脱落位置に位置する状態を示す斜視図(b)と、分離ローラを駆動軸から外した状態を示す斜視図(c)である。
図11】第1軸受部の変形例を簡略的に示す断面図(a),(b)である。
図12】第1支持部や突出部の変形例を簡略的に示す断面図である。
図13】移動領域を別の形で表現した第1例を示すための簡略図(a)〜(c)である。
図14】第1例の移動領域と規制部の関係を示す簡略図(a)〜(c)である。
図15】移動領域を別の形で表現した第2例を示すための簡略図(a)〜(c)である。
図16】第2例の移動領域と規制部の関係を示す簡略図(a),(b)である。
図17】移動領域を別の形で表現した第3例を示すための簡略図(a)〜(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、ローラ装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分について詳細に説明することとする。
【0033】
以下の説明において、方向は、レーザプリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0034】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体の一例としての装置本体2と、用紙Pを画像形成部4に給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
【0035】
装置本体2は、左右一対の本体フレーム21と、各本体フレーム21の上部を連結する上パネル22と、各本体フレーム21に対して回動可能に設けられるフロントカバー23とを備えている。上パネル22には、装置本体2外に排出される用紙Pを載置するための排紙トレイ22Aが形成されている。また、装置本体2の前側下部には、後述する給紙トレイ31を着脱するための第2開口の一例としての着脱口24が外側へ向けて開口するように形成されている。
【0036】
フィーダ部3は、装置本体2内の下部に設けられ、前側から着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内に設けられた圧板32とを備えている。また、フィーダ部3は、第1ローラの一例としてのピックアップローラ33と、第2ローラの一例としての分離ローラ34とを備えている。なお、ピックアップローラ33付近の構造については、後で詳述する。
【0037】
ピックアップローラ33は、給紙トレイ31内に積載される用紙Pの前端部の上方に設けられ、分離ローラ34は、ピックアップローラ33に対して用紙Pの搬送方向下流側に設けられている。分離ローラ34の前斜め下側には、当該分離ローラ34との間で用紙Pを挟み込むことで一枚ずつに分離する分離パッド35が設けられている。
【0038】
圧板32は、給紙トレイ31内の用紙Pをピックアップローラ33に向けて付勢するために、後端32Aが給紙トレイ31の底壁に回動可能に支持されて前端32Bが上下動するように構成されている。さらに、フィーダ部3は、分離ローラ34の搬送方向下流側に設けられる紙粉取りローラ36Aと、紙粉取りローラ36Aに対向する搬送ローラ36Bと、紙粉取りローラ36Aの搬送方向下流側に設けられる一対のレジストローラ37とを備えている。
【0039】
また、給紙トレイ31は、各本体フレーム21によって前後方向に着脱可能に支持されている。なお、ピックアップローラ33、分離ローラ34および搬送ローラ36Bは、装置本体2に保持されているが、分離パッド35および紙粉取りローラ36Aは、給紙トレイ31に保持されている。そのため、給紙トレイ31を取り外したときには、分離ローラ34と分離パッド35との間のニップ、および、紙粉取りローラ36Aと搬送ローラ36Bとの間のニップが開放され、分離ローラ34等が着脱口24を介して外部に露出するようになっている。
【0040】
このように構成されるフィーダ部3では、給紙トレイ31内の用紙Pがピックアップローラ33で送り出されて分離ローラ34および分離パッド35で一枚ずつに分離される。その後、用紙Pは、各種ローラ36,37を通った後画像形成部4に搬送される。
【0041】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、定着装置7とを備えている。
【0042】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
【0043】
プロセスカートリッジ6は、フロントカバー23の開放により形成される開口を通して装置本体2に着脱可能であり、感光ドラム61と、転写ローラ62と、符号を省略して示す帯電器、現像ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー収容室とを備えている。
【0044】
このプロセスカートリッジ6では、回転する感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0045】
次いで、トナー収容室内のトナーが現像ローラによって感光ドラム61の静電潜像に供給されて、感光ドラム61の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム61と転写ローラ62の間で用紙Pが搬送されることで、感光ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0046】
定着装置7は、符号を省略して示すハロゲンヒータや定着フィルムやニップ板などを備えた加熱ユニット71と、加熱ユニット71のニップ板との間で定着フィルムを挟持する加圧ローラ72とを備えている。そして、このように構成される定着装置7では、用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ユニット71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着している。
【0047】
なお、定着装置7で熱定着された用紙Pは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ22A上に排出される。
【0048】
<ピックアップローラ33付近の構造>
次に、ピックアップローラ33付近の構造について詳細に説明する。
図2図4に示すように、ピックアップローラ33および分離ローラ34は、装置本体2の下部を構成する下側筐体25に着脱可能に取り付けられる支持部材の一例としてのローラ用筐体100内に収容されている。
【0049】
ピックアップローラ33は、所定の軸方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成され、用紙Pに圧接される円柱状のローラ部33Aと、ローラ部33Aの両端から軸方向外側に延びる第1軸の一例としての軸33Bとを有している。同様に、分離ローラ34も、用紙Pに圧接される円柱状のローラ部34Aと、ローラ部34Aの両端から軸方向外側に突出する軸34Bを有している。
【0050】
そして、ピックアップローラ33のローラ部33Aの外周面と分離ローラ34のローラ部34Aの外周面は、それぞれ異なる材料で形成されている。具体的に、本実施形態では、ピックアップローラ33のローラ部33Aの外周面は、分離ローラ34のローラ部34Aの外周面よりも軟らかい材料で形成されており、分離ローラ34のローラ部34Aよりも摩耗しやすくなっている。
【0051】
ローラ用筐体100は、樹脂製の筐体であり、主に、下側筐体25に装着された状態において上方に配置される上壁部110と、上壁部110の左右両端から下方に延びる左壁部120および右壁部130と、上壁部110、左壁部120および右壁部130の後端を繋ぐ後壁部140とを一体に備えている。また、ローラ用筐体100は、各ローラ33,34を前側および下側に露出させる第3開口の一例としての露出用開口101を有している。
【0052】
左壁部120の後側部分は、ピックアップローラ33の左側の軸33Bを回転可能に支持する軸受孔121Aが形成された第1支持部の一例としての第1軸受部121となっており、前側部分は、分離ローラ34の左側の軸34Bを回転可能に支持する軸受孔122Aが形成された第3支持部の一例としての第2軸受部122となっている。右壁部130の後側には、ピックアップローラ33の右側の軸33Bを回転可能に支持する軸受孔131Aが形成された第1支持部の一例としての第1軸受部131が設けられている。
【0053】
第1軸受部131の前後には、上下に延びて下方に開口するスリット130Aが形成されている。これにより、第1軸受部131が、上壁部110から下方に延びる上下に長い長尺の板状に形成されるので、ローラ用筐体100の本体に対して樹脂により一体に形成された第1軸受部131が軸方向に弾性変形可能となっている。
【0054】
より詳しくは、図5に簡略的に示すように、第1軸受部131は、ピックアップローラ33の軸33Bを支持する第1位置(実線の位置)と、ピックアップローラ33の軸33Bの軸方向外側に隣り合い、かつ、ピックアップローラ33の軸33Bから外れた第2位置(2点鎖線の位置)とに挟まれた移動領域Xの範囲(破線の枠内)で移動可能に構成されている。これにより、図3,4に示すように、ローラ用筐体100を下側筐体25から外した状態において、第1軸受部131を軸方向外側に撓ませることで、ローラ用筐体100に分離ローラ34を取り付けた状態のまま、ピックアップローラ33のみを交換可能となっている。
【0055】
また、第1軸受部131は、当該第1軸受部131の軸受孔131A付近から下方(軸33Bの径方向外側)に向けて突出する突出部132を有している。具体的に、突出部132は、図5に示すように、ピックアップローラ33のうち第1軸受部131の軸方向内側に隣り合う部位の外周面33Cよりも径方向外側に突出するように形成されている。
【0056】
これにより、突出部132にユーザの指を軸方向内側から引っ掛ける際に、ピックアップローラ33の外周面33Cが邪魔にならないので、第1軸受部131の操作を容易にすることが可能となっている。
【0057】
また、本実施形態においては、突出部132の先端側の軸方向内側の内面132Aが、基端側の内面132Bよりも軸方向外側に位置している。具体的には、突出部132の軸方向内側の内面は、径方向外側および軸方向外側に向けて傾斜するように形成され、先端側において下方に屈曲するように形成されている。
【0058】
言い換えると、突出部132の先端側の内面132Aは、軸受孔131Aの周囲の部位の内面131Bよりも軸方向外側に位置している。これにより、突出部132の軸方向内側のスペースが広くなるので、当該スペースに指を入れやすくなり、第1軸受部131の操作性をより向上させることが可能となっている。
【0059】
図3,4に示すように、右壁部130の前側部分には、分離ローラ34の右側の軸34Bを回転可能に支持する第2支持部の一例としての軸受部材150が着脱可能に設けられている。これにより、軸受部材150をローラ用筐体100から外すことで、ローラ用筐体100にピックアップローラ33を取り付けた状態のまま、分離ローラ34のみを交換可能となっている。
【0060】
そして、分離ローラ34の左側の軸34Bが、図2に示すように、下側筐体25に回転可能に設けられた駆動軸251に連結されるとともに、右側の軸受部材150が下側筐体25に支持されることで、ローラ用筐体100が軸34Bを中心にして揺動可能となっている。言い換えると、ローラ用筐体100は、ピックアップローラ33の軸33Bに平行で、かつ、当該軸33Bから前方(径方向)に離れた揺動軸線を中心として、揺動可能に下側筐体25に支持されている。
【0061】
なお、このように分離ローラ34の軸34Bが駆動軸251に連結されることで、装置本体2に設けられる図示せぬモータからの駆動力が駆動軸251を介して分離ローラ34に伝達されて、分離ローラ34が回転するようになっている。また、分離ローラ34に伝達された駆動力は、ローラ用筐体100内に回転可能に設けられるギヤGを介してピックアップローラ33に伝達され、ピックアップローラ33が回転するようになっている。
【0062】
また、図3に示すように、後壁部140には、係合部の一例としての係合突起141が後方に突出するように形成されている。係合突起141は、図6および図7に示すように、装置本体2を構成する揺動アーム200の一端部210に形成された係合孔211に取り外し可能に係合している。
【0063】
ここで、揺動アーム200は、その略中央部が下側筐体25に揺動可能に支持されており、他端部が駆動機構Dによって上下動されることで、図6に示すように、一端部210が上下動するようになっている。これにより、ローラ用筐体100が、第3位置の一例としての給紙位置(図7(a)の位置)と、第5位置の一例としての離間位置(図7(b)の位置)とに揺動するようになっている。つまり、係合突起141は、ローラ用筐体100が給紙位置と離間位置との間を揺動する間、揺動アーム200の一端部210に係合するように構成されている。
【0064】
また、係合突起141を揺動アーム200の一端部210から外すと、ローラ用筐体100が、重力により揺動して、第4位置の一例としての脱落位置(図7(c)の位置)に移動可能となっている。ここで、前述した脱落位置は、給紙位置から下方(軸方向に直交する径方向)に離れた位置であり、離間位置は、給紙位置に対して脱落位置とは反対側に位置する位置である。
【0065】
そして、図7,8に示すように、下側筐体25には、ローラ用筐体100が給紙位置と離間位置との間を揺動する間、すなわちローラ用筐体100が各ローラ33,34の機能を発揮する状態で下側筐体25に取り付けられている間、ローラ用筐体100の第1軸受部131と軸方向で対向して、当該第1軸受部131の軸方向外側への移動を規制する規制部材の一例としての規制部300が設けられている。
【0066】
具体的に、規制部300は、ローラ用筐体100が給紙位置から離間位置の範囲に位置するときに、第1軸受部131の移動領域X内に配置されている。つまり、図7(a),(b)や図9(a),(b)に簡略的に示すように、ローラ用筐体100の揺動に伴って上下に移動する移動領域Xの範囲内に、規制部300が常に入るように構成されている。言い換えると、規制部300は、給紙位置と離間位置との間で上下に移動する第1軸受部131の移動軌跡に沿って上下に延びるように構成されている。
【0067】
これにより、ローラ用筐体100が給紙位置から離間位置の範囲内に位置するとき、すなわちローラ用筐体100が下側筐体25に装着されているときには、規制部300で第1軸受部131の移動が規制されるので、ローラ用筐体100が下側筐体25に装着された状態においてユーザが誤ってピックアップローラ33等に触れてピックアップローラ33がローラ用筐体100から外れるのを抑えることが可能となっている。また、このように規制部300が第1軸受部131の移動軌跡に沿って延びるように形成されることで、ローラ用筐体100が給紙位置と離間位置との間で揺動する際に、第1軸受部131が規制部300に引っ掛かるのを抑えることが可能となっている。
【0068】
特に、本実施形態では、図6に示すように、規制部300の第1軸受部131と対向する対向面301は、軸方向における位置が、上端から下端にわたってすべて同じ位置となっている。すなわち、対向面301に段差が形成されていないので、第1軸受部131が給紙位置から離間位置に揺動する際に、第1軸受部131が対向面301に引っ掛かるのをより抑えることが可能となっている。
【0069】
また、規制部300は、図7(c)や図9(c)に簡略的に示すように、ローラ用筐体100が脱落位置に位置するときに移動領域X外に配置されて第1軸受部131の軸方向外側への移動を許容するように構成されている。つまり、ローラ用筐体100が給紙位置から脱落位置に揺動すると、移動領域Xが下に下がって、規制部300が移動領域Xから外れるようになっている。
【0070】
これにより、ローラ用筐体100を脱落位置に移動、すなわちローラ用筐体100を下側筐体25の取付位置(給紙位置)からずらしたときには、第1軸受部131の移動が許容されるので、ピックアップローラ33のみを外して交換することが可能となっている。
【0071】
特に、本実施形態では、ローラ用筐体100が脱落位置に位置するときにピックアップローラ33の略全体が装置本体2の着脱口24に臨み、ローラ用筐体100が給紙位置に位置するときにピックアップローラ33が脱落位置よりも着脱口24から退避して分離ローラ34の後側に隠れるようになっている。これにより、ピックアップローラ33をローラ用筐体100に対して着脱すべく、ローラ用筐体100を脱落位置に揺動させると、ピックアップローラ33の略全体が着脱口24に臨むので、作業者が着脱口24からピックアップローラ33にアクセスしやすくなり、ピックアップローラ33の着脱作業を容易にすることが可能となっている。
【0072】
さらに、ローラ用筐体100が給紙位置に位置するときにはピックアップローラ33が分離ローラ34の後側に隠れるので、ピックアップローラ33をユーザがいじりにくくなり、ローラ用筐体100が下側筐体25に取り付けられた状態においてピックアップローラ33が外れるのをより抑えることが可能となっている。
【0073】
次に、ピックアップローラ33を交換するときの一連の動作を図10(a)〜(c)を参照して説明する。
例えばピックアップローラ33が分離ローラ34よりも先に摩耗した場合には、まず、ユーザは、図10(a),(b)に示すように、ローラ用筐体100の係合突起141を揺動アーム200の一端部210から外して、給紙位置から脱落位置に揺動させる。
【0074】
この状態において、ユーザが、突出部132に指を引っ掛けて第1軸受部131を軸方向に撓ませると、図4に示すように第1軸受部131がピックアップローラ33の軸33Bから外れて、ピックアップローラ33のみを外すことができる。その後は、新しいピックアップローラ33の軸33Bを、第1軸受部131を撓ませつつ、各第1軸受部121,131に嵌め込んだ後、ローラ用筐体100を上に揺動させて、係合突起141を揺動アーム200の一端部210に係合させれば、ピックアップローラ33の交換作業が完了する。
【0075】
また、図10(c)に示すように、脱落位置において、ユーザがローラ用筐体100を軸方向にスライドさせるとともに図示反時計回りに回動させることで、分離ローラ34を駆動軸251から外すと、ローラ用筐体100を下側筐体25から完全に外すことができる。そのため、ユーザは、このようにローラ用筐体100を下側筐体25から完全に外した後において、突出部132を操作することで、ピックアップローラ33のみ、または、分離ローラ34のみを交換することができる。なお、ローラの交換作業が終わった後は、前述した動作を逆に行うことで、ローラ用筐体100を下側筐体25に再び組み付けることができる。
【0076】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0077】
前記実施形態では、第1軸受部131とローラ用筐体100とを樹脂で一体に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11(a),(b)に示すように、第1軸受部として、ローラ用筐体400とは別体に構成される第1軸受部材500を採用してもよい。
【0078】
具体的に、第1軸受部材500は、ピックアップローラ33の軸33Bを回転可能に支持する略円筒状に形成される。そして、第1軸受部材500の外周面には、径方向外側に突出する突出部510が形成されている。
【0079】
また、ローラ用筐体400のうちピックアップローラ33に軸方向で対面する第2支持部の一例としての側壁420には、第1軸受部材500を軸方向に沿って着脱可能に支持する第1開口の一例としての装着孔410が形成されている。そして、第1軸受部材500は、装着孔410に装着された第1位置と、装着孔410から軸方向外側に外れた第2位置との間で移動可能となっている。
【0080】
さらに、図11(a)に示すように、ローラ用筐体400が装置本体に装着された状態においては、第1軸受部材500の移動領域Y内に、前述したような規制部300が第1軸受部材500と軸方向で対向(隣接)するように配置される。詳しくは、この状態において、規制部300の一部が移動領域Y内に入り込んでいる。
【0081】
また、図11(b)に示すように、ローラ用筐体400が装置本体から外された状態においては、規制部300が第1軸受部材500の移動領域Yから外れるようになっている。この場合であっても、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
前記実施形態では、第1ローラの端部を軸33Bとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば図12に示すように、第1ローラ600の両端部に円状の穴部610を形成してもよい。この場合には、ローラ用筐体700のうち第1ローラ600を挟んで軸方向で対向する第1支持部の一例としての両側壁710に、穴部610に嵌り込む第2軸の一例としての軸部711を軸方向内側に突出するように形成し、各軸部711で各穴部610を回転可能に支持すればよい。
【0083】
そして、各軸部711と各側壁710とローラ用筐体700とを、樹脂により一体に形成し、各側壁710が弾性変形することにより軸方向に移動可能となっていればよい。この場合であっても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
前記実施形態では、突出部132の軸方向内側の内面を傾斜面と下方に延びる平面とで構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば図12に示すように、突出部732の軸方向内側の内面が径方向外側および軸方向外側に向けて傾斜する傾斜面のみで構成されていてもよい。
【0085】
前記実施形態では、係合部として係合突起141を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、本体側に設けた突起に係合する孔や凹部であってもよい。
【0086】
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他のローラ装置、例えばファクシミリなどの紙送り装置、コピー機に取り付けられる用紙後処理装置、プリンタに取り付けられる増設給紙装置、原稿を搬送しながら読み取る原稿読取装置などに本発明を適用してもよい。
【0087】
前記実施形態では、第1ローラをピックアップローラ33、第2ローラを分離ローラ34としたが、本発明はこれに限定されず、どのようなローラであってもよい。また、支持部材に設けるローラは、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0088】
前記実施形態では、規制部材として本体(下側筐体25)に一体に形成される規制部300を例示したが、本発明はこれに限定されず、本体とは別体に規制部材を構成してもよい。
【0089】
以下に、別の形で表現した移動領域のいくつかの例を図面を参照して説明する。以下の説明において、前記実施形態と略同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
図13(a)に示すように、支持部の一例としての第1軸受部131の移動領域Z1は、以下のように表現することができる。第1軸受部131の移動領域Z1は、第1軸受部131がピックアップローラ33の端部の一例としての軸33Bを支持する第1位置と、第1軸受部131がピックアップローラ33の軸33Bから外れ始める第2位置との間の領域である。なお、ここでいう移動領域Z1は、第1軸受部131が移動できる限界の範囲を意味するものではなく、第1軸受部131の最低限の移動範囲を示している。つまり、第1軸受部131は、少なくとも移動領域Z1の範囲で移動可能になっていればよく、例えば移動領域Z1よりも軸方向外側に移動可能となっていてもよい。なお、後述する移動領域Z2,Z3についても同様である。
【0091】
詳しくは、第1軸受部131の移動領域Z1は、図13(b)に示した第1軸受部131がピックアップローラ33の軸33Bを支持する第1位置と、図13(c)に示したピックアップローラ33の軸33Bの端面B1と第1軸受部131の軸方向内側の内面131Bの位置が同じ位置となる第2位置との間の領域である。ここで、「端面B1と内面131Bの位置が同じ位置」とは、軸33Bの端面B1と当該端面B1に対して斜めになった内面131Bの軸受孔131A周囲の部位のうち最も軸方向外側に位置する部位131Cが同じ位置になっていることをいう。
【0092】
また、言い換えると、第1軸受部131の移動領域Z1は、第1軸受部131がピックアップローラ33の軸33Bを支持する第1位置と、当該第1位置におけるピックアップローラ33の軸33Bと第1軸受部131の軸受孔131Aとのラップ量A(図13(b)参照)だけ第1軸受部131が前記第1位置から軸方向外側に離れた第2位置との間の領域である。そして、図14(a),(b)に示すように、規制部300は、ローラ用筐体100が給紙位置から離間位置の範囲に位置するときに、第1軸受部131の移動領域Z1内に配置され、図14(c)に示すように、ローラ用筐体100が脱落位置に位置するときに移動領域Z1外に配置される。
【0093】
また、図15(a)に示すように、ローラ用筐体400とは別体に構成される第1軸受部材500を用いた構成においては、第1軸受部材500の移動領域Z2を以下のように表現することができる。第1軸受部材500の移動領域Z2は、第1軸受部材500がピックアップローラ33の軸33Bを支持する第1位置と、第1軸受部材500がピックアップローラ33の軸33Bから外れ始める第2位置との間の領域である。詳しくは、第1軸受部材500の移動領域Z2は、図15(b)に示した第1軸受部材500がピックアップローラ33の軸33Bを支持する第1位置と、図15(c)に示したピックアップローラ33の軸33Bの端面B1と第1軸受部材500の軸方向内側の内面500Bの位置が同じ位置となる第2位置との間の領域である。
【0094】
また、言い換えると、第1軸受部材500の移動領域Z2は、第1軸受部材500がピックアップローラ33の軸33Bを支持する第1位置と、当該第1位置におけるピックアップローラ33の軸33Bと第1軸受部材500の軸受孔500Aとのラップ量B(図15(b)参照)だけ第1軸受部材500が前記第1位置から軸方向外側に離れた第2位置との間の領域である。そして、図16(a)に示すように、規制部300は、ローラ用筐体400が装置本体に装着された状態においては、第1軸受部材500の移動領域Z2内に配置され、図16(b)に示すように、ローラ用筐体400が装置本体から外された状態においては、規制部300が第1軸受部材500の移動領域Z2外に配置される。
【0095】
また、図17(a)に示すように、第1ローラ600の両端部に形成した穴部610を、ローラ用筐体700の両側壁710に形成される軸部711で回転可能に支持する構成においては、支持部の一例としての側壁710の移動領域Z3を以下のように表現することができる。側壁710の移動領域Z3は、軸部711で第1ローラ600の穴部610を支持する第1位置と、軸部711が第1ローラ600の穴部610から外れ始める第2位置との間の領域である。詳しくは、側壁710の移動領域Z3は、図17(b)に示した軸部711で第1ローラ600の穴部610を支持する第1位置と、図17(c)に示した第1ローラ600の穴部610に隣接する表面620と軸部711の先端面711Aの位置が同じ位置となる第2位置との間の領域である。
【0096】
ここで、「表面620と先端面711Aの位置が同じ位置」とは、表面620と当該表面620に対して斜めになった先端面711Aの外周縁のうち最も軸方向内側の部位711Bが同じ位置になっていることをいう。
【0097】
また、言い換えると、側壁710の移動領域Z3は、軸部711で第1ローラ600の穴部610を支持する第1位置と、当該第1位置における軸部711と穴部610のラップ量C(図17(b)参照)だけ前記第1位置から軸方向外側に離れた第2位置との間の領域である。なお、規制部は、前述した各形態と同様に、ローラ用筐体700が装置本体に装着された状態において移動領域Z3内に配置され、ローラ用筐体700が装置本体から外された状態において移動領域Z3外に配置される位置に設ければよい。
【符号の説明】
【0098】
1 レーザプリンタ
2 装置本体
25 下側筐体
33 ピックアップローラ
33B 軸
100 ローラ用筐体
121 第1軸受部
131 第1軸受部
141 係合突起
200 揺動アーム
210 一端部
211 係合孔
300 規制部
X 移動領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17