(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記経路を通過して前記気体供給部から前記噴射部へ供給される前記気体の流量は、前記第2吸着用経路を通過して前記気体供給部から前記第2吸着孔へ供給される前記気体の流量よりも大きい請求項1に記載の電子部品搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査される電子部品には、例えば、60〜100℃の高温環境下で電気的特性を検査すれば十分で細かい温度制御が不要なものと、反対に、例えば、80〜82℃の温度環境下で電気的特性を検査しなければならず細かい温度制御が必要なものもある。細かい温度制御が不要な電子部品を検査するのであれば、加熱手段のみを備える検査装置を用いれば十分であり、加熱手段および冷却手段を備える検査装置ではオーバースペックとなってしまう。反対に、細かい温度制御が必要な電子部品を検査するのであれば、加熱手段および冷却手段を備える検査装置を用いなくてはならず、加熱手段のみを備える検査装置ではアンダースペックとなってしまう。
【0005】
このように、検査される電子部品には、細かい温度制御が必要なものと必要ないものとがあるにもかかわらず、従来の電子部品検査装置では同じ検査装置を用いることしかできないため、利便性が悪かった。
本発明の目的は、利便性の高い電子部品搬送装置、電子部品検査装置および冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電子部品搬送装置は、気体吸引部と、
気体供給部と、
前記気体吸引部および前記気体供給部に接続された第1吸着用経路と、
前記気体吸引部および前記気体供給部に接続され、前記第1吸着用経路とは独立して配置された第2吸着用経路と、
前記気体供給部に接続された経路と、を有し、
電子部品を吸着する第1吸着孔および第2吸着孔を有する第1ハンドを用いる場合には、前記第1吸着孔と前記第1吸着用経路とが接続されるとともに、前記第2吸着孔と前記第2吸着用経路とが接続され、
電子部品を吸着する第3吸着孔および気体を噴射して前記電子部品を冷却する噴射部を有する第2ハンドを用いる場合には、前記第3吸着孔と前記第1吸着用経路とが接続されるとともに、前記噴射部と前記経路とが接続さ
れ、
前記第1ハンドを用いる場合に前記第2吸着孔と連通し、前記第2ハンドを用いる場合に前記噴射部と連通する供用経路と、
前記供用経路と前記第2吸着用経路とが連通する状態と、前記供用経路と前記経路とが連通する状態とを切り替える切替部と、を有していることを特徴とする。
これにより、電子デバイスの種類によって第1ハンドと第2ハンドとを使い分けることができるため利便性の高い電子部品搬送装置となる。
また、配管の増加を抑制でき、電子部品搬送装置の大型化や高コスト化を抑えることができる。
【0007】
本発明の電子部品搬送装置では、前記経路を通過して前記気体供給部から前記噴射部へ供給される前記気体の流量は、前記第2吸着用経路を通過して前記気体供給部から前記第2吸着孔へ供給される前記気体の流量よりも大きいことが好ましい。
これにより、電子部品の冷却効果を高めることができる
。
【0008】
本発明の電子部品搬送装置では、前記切替部は、前記供用経路と前記第2吸着用経路とが連通する状態と、前記供用経路と前記経路とが連通する状態とを切り替える第1切替部と、
前記供用経路と前記経路とが連通する状態で、前記経路が開いた状態と、閉じた状態とを切り替える第2切替部と、を有していることが好ましい。
このように経路を切り替える第1切替部と、気体の噴射を制御する第2切替部とを用いることによって、気体の噴射をより精度よく制御できるため、電子部品の冷却制御をより精度よく行うことができる。
【0009】
本発明の電子部品搬送装置では、前記第3吸着孔で吸着された前記電子部品の温度を検知する温度検知部を有し、
前記供用経路と前記経路とが連通する状態で、前記温度検知部の検知結果に基づい
て前記第2切替部を制御
し、前記気体を噴射して前記電子部品を冷却することが好ましい。
これにより、精度よく、電子部品を所望の温度に冷却、維持することができる。
本発明の電子部品搬送装置では、前記第1ハンドは、前記第1吸着孔で吸着した前記電子部品を加熱する第1加熱部および前記第2吸着孔で吸着した前記電子部品を加熱する第2加熱部を有し、
前記第2ハンドは、前記第3吸着孔で吸着した前記電子部品を加熱する第3加熱部を有していることが好ましい。
これにより、効率的に電子部品を加熱することができる。
【0010】
本発明の電子部品搬送装置では、制御部と、
前記制御部に接続された第1電気経路および第2電気経路と、を有し、
前記第1ハンドを用いる場合には、前記第1加熱部と前記第1電気経路とが電気接続されるとともに、前記第2加熱部と前記第2電気経路とが電気接続され、
前記第2ハンドを用いる場合には、前記第3加熱部と前記第1電気経路とが電気接続されるとともに、
前記第2切替部と前記第2電気経路とが電気接続されることが好ましい。
これにより、第1、第2ハンドのいずれが配置されている場合であっても、これらの駆動を制御部によって制御することができる。
【0011】
本発明の電子部品搬送装置では、前記第1ハンドを用いる場合に前記第2電気経路と前記第2加熱部とを電気接続する第1ハンド用電気経路と、
前記第2ハンドを用いる場合に前記第2電気経路と
前記第2切替部とを電気接続する第2ハンド用電気経路と、
前記第2電気経路と前記第2加熱部とが電気接続された状態と、前記第2電気経路と
前記第2切替部とが電気接続された状態とを切り替える電気経路切替部と、を有することが好ましい。
これにより、電気配線の増加を抑制でき、電子部品搬送装置の大型化や高コスト化を抑えることができる。
【0012】
本発明の電子部品搬送装置では、ベースと、
前記ベースに対して前記第1ハンドおよび前記第2ハンドを移動可能に支持するハンド支持部と、を有し、
前記供用経路は、可撓性を有し、前記第2吸着孔または前記噴射部に接続される側の端部が前記ベースに固定的に設けられ、前記第2吸着用経路または前記経路と接続される側の端部が前記ハンド支持部に固定的に設けられ、前記ベースの移動を許容できるように撓んで設けられていることが好ましい。
これにより、供用経路の破損を防止することができるとともに、第1、第2ハンドをスムーズに移動させることができる。
【0013】
本発明の電子部品検査装置は、気体吸引部と、
気体供給部と、
前記気体吸引部および前記気体供給部に接続された第1吸着用経路と、
前記気体吸引部および前記気体供給部に接続され、前記第1吸着用経路とは独立して配置された第2吸着用経路と、
前記気体供給部に接続された経路と、
前記電子部品の検査を行う検査部と、を有し、
電子部品を吸着する第1吸着孔および第2吸着孔を有する第1ハンドを用いる場合には、前記第1吸着孔と前記第1吸着用経路とが接続されるとともに、前記第2吸着孔と前記第2吸着用経路とが接続され、
電子部品を吸着する第3吸着孔および気体を噴射する噴射部を有する第2ハンドを用いる場合には、前記第3吸着孔と前記第1吸着用経路とが接続されるとともに、前記噴射部と前記経路とが接続さ
れ、
前記第1ハンドを用いる場合に前記第2吸着孔と連通し、前記第2ハンドを用いる場合に前記噴射部と連通する供用経路と、
前記供用経路と前記第2吸着用経路とが連通する状態と、前記供用経路と前記経路とが連通する状態とを切り替える切替部と、を有していることを特徴とする。
これにより、電子デバイスの種類によって第1ハンドと第2ハンドとを使い分けることができるため利便性の高い電子部品検査装置となる。
【0014】
本発明の冷却システムは、電子部品を吸着する第1吸着孔および第2吸着孔を有する第1ハンドと、
前記第1吸着孔および前記第2吸着孔から気体を吸引する気体吸引部と、
前記第1吸着孔および前記第2吸着孔へ気体を供給する気体供給部と、
前記気体吸引部および前記気体供給部と前記第1吸着孔とを接続する第1吸着用経路と、
前記気体吸引部および前記気体供給部と前記第2吸着孔とを接続し、前記第1吸着用経路とは独立して配置された第2吸着用経路と、を有する電子部品搬送装置において、
前記第1ハンドを、電子部品を吸着する第3吸着孔および気体を噴射する噴射部を有する第2ハンドに交換して用いる場合に使用される冷却システムであって、
前記気体供給部と前記第2吸着用経路とを連通する経路と、
切替部と、を有し、
前記経路を設置することで、前記第2吸着用経路の前記経路との接続部よりも前記第1ハンドまたは前記第2ハンド側の部分を、前記第2吸着用経路と前記経路の供用経路とし、
前記切替部により、前記第2吸着用経路と前記供用経路とが接続された状態と、前記経路と前記供用経路とが接続された状態と、を切り替えることができることを特徴とする。
これのような冷却システムによれば、従来の電子部品搬送装置に冷却機能を簡単に付加することができる。
【0015】
本発明の冷却システムでは、前記電子部品搬送装置は、
前記第1ハンドに設けられ、前記第1吸着孔で吸着した前記電子部品を加熱する第1加熱部および前記第2吸着孔で吸着した前記電子部品を加熱する第2加熱部と、
前記第1加熱部および前記第2加熱部の駆動を制御する制御部と、
前記制御部と前記第1加熱部とを電気接続する第1電気経路と、
前記制御部と前記第2加熱部とを電気接続する第2電気経路と、を有し、
前記第2ハンドは、
前記第3吸着孔で吸着した前記電子部品を加熱する第3加熱部を有していることが好ましい。
これにより、電子部品を効率的に加熱することができる。
【0016】
本発明の冷却システムでは、前記第2電気経路と前記切替部とを電気接続する切替部用電気経路と、
電気経路を切り替える電気経路切替部と、をさらに有し、
前記切替部用電気経路を設置することで、前記第2電気経路の前記切替部用電気経路との接続部よりも前記制御部側の部分を、前記第2電気経路と前記切替部用電気経路との供用電気経路とし、
前記電気経路切替部により、前記供用電気経路と第2電気経路とが導通する状態と、前記供用電気経路と前記切替部用電気経路とが導通する状態と、を切り替えることが好ましい。
これにより、電気配線の増加を抑制でき、電子部品搬送装置の大型化や高コスト化を抑えることができる。
本発明の冷却システムでは、前記第2ハンドをさらに有
し、
前記第2ハンドは、前記第1ハンドと交換して用いられることが好ましい。
これにより、より利便性の高い冷却システムとなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の電子部品搬送装置、電子部品検査装置および冷却システムについて添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
[電子部品検査装置]
<第1実施形態>
まず、電子部品検査装置の第1実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の電子部品検査装置の好適な実施形態を示す平面図である。
図2は、第1ハンドが有する第1ハンドユニットの断面図である。
図3は、
図2に示す第1ハンドユニットの平面図である。
図4は、
図1に示す電子部品検査装置の第1連結ベースの平面図である。
図5は、連結ポートの接続状態を示す図である。
図6は、接続端子の接続状態を示す図である。
図7は、第1ハンドを第2ハンドへ変更した電子部品検査装置を示す平面図である。
図8は、第2ハンドが有する第1ハンドユニットの断面図である。
図9は、
図8に示す第1ハンドユニットの平面図である。
図10は、第1ハンドユニットの配置を示す平面図である。
図11は、連結ポートの接続状態を示す図である。
図12は、接続端子の接続状態を示す図である。
図13および
図14は、それぞれ、
図1に示す電子部品検査装置が有する配管を示す図である。
図15は、帯状配管体を示す平面図である。
図16および
図17は、それぞれ、
図1に示す電子部品検査装置が有する電気配線を示す図である。
図18ないし
図26は、それぞれ、
図7に示す電子部品検査装置による電子部品の検査手順を説明する平面図である。
【0020】
なお、以下では、説明の便宜上、
図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸に平行な方向を「X方向」と言い、Y軸に平行な方向を「Y方向」と言い、Z軸に平行な方向を「Z方向」と言う。
図1に示す電子部品検査装置100は、例えば、ICデバイス(ICチップ)、LCD(Liquid Crystal Display)、CIS(CMOS Image Sensor)などの電子部品の電気的特性を検査・試験するための装置である。なお、以下では、説明の便宜上、検査・試験を行う試験部品としてICデバイスを用いる場合について代表して説明し、これを「ICデバイス9」とする。
【0021】
電子部品検査装置100は、供給トレイ120と、回収トレイ130と、第1シャトル140と、第2シャトル150と、検査用ソケット(検査部)160と、供給装置170と、回収装置180と、検査装置190と、これら各部の制御を行う制御装置110とを有している。この電子部品検査装置100は、ICデバイス9を検査用ソケット160まで搬送し、検査用ソケット160にてICデバイス9の電気的特性を検査・試験する装置である。
【0022】
電子部品検査装置100では、検査用ソケット160を除く構成、すなわち、供給トレイ120、回収トレイ130、第1シャトル140、第2シャトル150、供給装置170、回収装置180、検査装置190および制御装置110によって、ICデバイス9の搬送を実行する電子部品搬送装置(本発明の電子部品搬送装置)が構成されている。電子部品搬送装置は、「ハンドラー」とも呼ばれている。
【0023】
電子部品検査装置100の構成は、本実施形態のものに限定されず、必要に応じて、これら各部のうちの少なくとも1つが省略されていてもよいし、他の構成(例えば、ヒーター、チャンバー等)が付加されていてもよい。
また、
図1に示すように、電子部品検査装置100は、上記各部を搭載するベース101と、上記各部を収容するようにベース101に被せられた図示しない安全カバーとを有しており、この安全カバーの内側の領域Sに、第1シャトル140、第2シャトル150、検査用ソケット160、供給装置170、回収装置180および検査装置190が配置されているとともに、領域Sの内外に移動可能となるように供給トレイ120および回収トレイ130が配置されている。
【0024】
以下、これら各部について、順次詳細に説明する。
(供給トレイ)
供給トレイ120は、検査を行うICデバイス9を領域S外から領域S内に搬送するためのトレイである。供給トレイ120は、板状をなしており、その上面には、ICデバイス9を保持するための複数のポケット121がX方向およびY方向に行列状に形成されている。
供給トレイ120は、領域Sの内外を跨るようにY方向へ延びるレール122上を移動する図示しないステージに載置されている。リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段によってステージを移動すると、供給トレイ120がレール122に沿って±Y方向に往復移動する。
【0025】
(回収トレイ)
回収トレイ130は、検査済みのICデバイス9を収容し、領域S内から領域S外に搬送するためのトレイである。回収トレイ130は、板状をなしており、その上面には、ICデバイス9を保持するための複数のポケット131がX方向およびY方向に行列状に形成されている。
回収トレイ130は、領域Sの内外を跨るようにY方向へ延びるレール132上を移動する図示しないステージに載置されている。リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段によってステージを移動すると、回収トレイ130がレール132に沿って±Y方向に往復移動する。
【0026】
電子部品検査装置100では、このような構成の回収トレイ130がX方向に2つ並んで配置されている。2つの回収トレイ130のうちの一方は、検査の結果、所定の電気的特性を満足する「良品」と判断されたICデバイス9を収容するためのトレイであり、他方の回収トレイ130は、検査の結果、所定の電気的特性を満足していない「不良品」と判断されたICデバイス9を収容するためのトレイである。このように、良品と不良品とでトレイを分けることにより、その後のICデバイス9の分別を簡単に行うことができる。
回収トレイ130は、供給トレイ120に対して+X方向に離間して設けられており、供給トレイ120と回収トレイ130との間に、第1シャトル140、第2シャトル150および検査用ソケット160が配置されている。
【0027】
(第1シャトル)
第1シャトル140は、供給トレイ120によって領域S内に搬送されてきたICデバイス9をさらに検査用ソケット160の近傍まで搬送するため、さらには、検査用ソケット160で検査された検査済みのICデバイス9を回収トレイ130の近傍まで搬送するためのシャトルである。
【0028】
図1に示すように、第1シャトル140は、ベース部材141と、ベース部材141に着脱可能に固定された2つのシャトル冶具142、144とを有している。これら2つのシャトル冶具142、144は、X方向に並んで設けられている。また、シャトル冶具142、144の上面には、それぞれ、ICデバイス9を収容するための8つのポケット143、145がX方向に2個、Y方向に4個並ぶように行列状に形成されている。
【0029】
シャトル冶具142、144のうち、供給トレイ120側に位置するシャトル冶具142は、供給トレイ120に収容されたICデバイス9を移し替えて収容するシャトル冶具であり、回収トレイ130側に位置するシャトル冶具144は、検査用ソケット160での検査を終えたICデバイス9を収容するためのシャトル冶具である。すなわち、シャトル冶具142は、未検査のICデバイス9を収容するシャトル冶具であり、シャトル冶具144は、検査済みのICデバイス9を収容するシャトル冶具である。
第1シャトル140は、ベース部材141がX方向へ延びるレール146に支持されており、リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段によって、レール146に沿って±X方向に往復移動可能となっている。
【0030】
(第2シャトル)
第2シャトル150は、前述した第1シャトル140と同様の機能および構成を有している。すなわち、第2シャトル150は、供給トレイ120によって領域S内に搬送されてきたICデバイス9をさらに検査用ソケット160の近傍まで搬送するため、さらには、検査用ソケット160によって検査された検査済みのICデバイス9を回収トレイ130の近傍まで搬送するためのシャトルである。
【0031】
図1に示すように、第2シャトル150は、ベース部材151と、ベース部材151に着脱可能に固定された2つのシャトル冶具152、154とを有している。これら2つのシャトル冶具152、154は、X方向に並んで設けられている。また、シャトル冶具152、154の上面には、それぞれ、ICデバイス9を収容するための8つのポケット153、155がX方向に2個、Y方向に4個並ぶように行列状に形成されている。
【0032】
シャトル冶具152、154のうち、供給トレイ120側に位置するシャトル冶具152は、供給トレイ120に収容されたICデバイス9を移し替えて収容するシャトル冶具であり、回収トレイ130側に位置するシャトル冶具154は、検査用ソケット160での検査を終えたICデバイス9を収容するためのシャトル冶具である。すなわち、シャトル冶具152は、未検査のICデバイス9を収容するシャトル冶具であり、シャトル冶具154は、検査済みのICデバイス9を収容するシャトル冶具である。
【0033】
第2シャトル150は、ベース部材151がX方向へ延びるレール156に支持されており、リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段によって、レール156に沿って±X方向に往復移動可能となっている。
また、第2シャトル150は、前述した第1シャトル140に対して−Y方向に離間して設けられており、第1シャトル140と第2シャトル150との間に、検査用ソケット160が配置されている。
【0034】
(検査用ソケット)
検査用ソケット(検査部)6は、ICデバイス9の電気的特性を検査・試験するためのソケットである。
検査用ソケット160は、ICデバイス9を配置するための8つの検査用個別ソケット161を有している。8つの検査用個別ソケット161は、X方向に2個、Y方向に4個並ぶように行列状に設けられている。また、8つの検査用個別ソケット161の配列ピッチは、各シャトル冶具142、144、152、154に形成された4つのポケット143、145、153、155の配列ピッチとほぼ等しい。これにより、シャトル冶具142、144、152、154と検査用個別ソケット161との間でICデバイス9の搬送を円滑に行うことができる。
【0035】
図示しないが、各検査用個別ソケット161の底部からは、制御装置110と電気接続されている複数のプローブピンが突出している。複数のプローブピンは、それぞれ、スプリング等によって上方に付勢されている。複数のプローブピンは、検査用個別ソケット161にICデバイス9が配置されると、配置されたICデバイス9が有する外部端子と接触する。これにより、プローブピンを介してICデバイス9と制御装置110(後述する検査制御部111)とが電気接続され、ICデバイス9の検査・試験を行うことのできる状態となる。
なお、検査用ソケット160は、ベース101に着脱可能に固定されているのが好ましい。これにより、簡単に、目的の検査に応じて検査用ソケット160を付け替えたり、ICデバイス9の大きさ、形状、数によって、それに適した検査用ソケット160を付け替えたりすることができる。
【0036】
(供給装置)
供給装置170は、供給トレイ120に収容されたICデバイス9を、シャトル冶具142、152に搬送するロボットである。
供給装置170は、ベース101に支持された支持フレーム171と、支持フレーム171に支持され、支持フレーム171に対して±Y方向に往復移動可能な移動フレーム173と、移動フレーム173に支持され、移動フレーム173に対して±X方向に往復移動可能なハンドユニット支持部174と、ハンドユニット支持部174に支持された4つのハンドユニット175とを有している。
【0037】
支持フレーム171には、Y方向に延在するレール172が形成されており、このレール172に沿って移動フレーム173が±Y方向に往復移動する。また、移動フレーム173には、X方向に延在する図示しないレールが形成されており、このレールに沿ってハンドユニット支持部174が±X方向に往復移動する。なお、支持フレーム171に対する移動フレーム173の移動、移動フレーム173に対するハンドユニット支持部174の移動は、リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段によって行われる。
【0038】
また、4つのハンドユニット175は、X方向およびY方向にそれぞれ2つずつ並ぶように行列状に配置されている。また、各ハンドユニット175は、ICデバイス9を保持する保持部と、保持部をZ方向に昇降させる昇降機構とを有している。保持部は、例えば、吸着ノズルを有しており、ICデバイス9を吸着保持することができる。なお、昇降機構は、リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段を利用することができる。
【0039】
(検査装置)
検査装置190は、シャトル冶具142、152に収容されたICデバイス9を検査用ソケット160へ搬送するとともに、検査を終えたICデバイス9を検査用ソケット160からシャトル冶具144、154へ搬送するロボットである。また、検査装置190は、ICデバイス9を検査用ソケット160の検査を行う際、ICデバイス9を検査用ソケット160(プローブピン)に押し付け、ICデバイス9に所定の検査圧を印加する機能を有している。
【0040】
図1に示すように、検査装置190は、ベース101に固定された第1フレーム191と、第1フレーム191に支持され、第1フレーム191に対して±Y方向へ往復移動可能な第2フレーム192と、第2フレーム192に支持され、第2フレーム192に対して±Z方向へ往復移動可能な第1連結ベース(ハンド支持部)193と、第2フレーム192に支持され、第2フレーム192に対して±Z方向へ往復移動可能な第2連結ベース(ハンド支持部)194と、第1連結ベース193に支持された8つの第1ハンドユニット200と、第2連結ベース194に支持された8つの第2ハンドユニット300とを有している。
【0041】
第1、第2連結ベース193、194は、ともに第2フレーム192に支持されているため、±Y方向については一体的に移動する。一方、±Z軸方向については、第1、第2連結ベース193、194は、独立して移動する。第1フレーム191に対する第2フレーム192の移動の移動、第2フレーム192に対する第1、第2連結ベース193、194の移動は、例えば、リニアモーター等を駆動源とする図示しない駆動手段によって行われる。
このような検査装置190では、第1フレーム191、第2フレーム192および前記駆動手段で、第1、第2ハンドユニット200、300をY方向およびZ方向に移動させる移動機構195を構成している。また、8つの第1ハンドユニット200および8つの第2ハンドユニット300がそれぞれ第1ハンドH1を構成している。
【0042】
各第1ハンドユニット200は、シャトル冶具142、144と検査用ソケット160との間でICデバイス9を搬送する装置である。8つの第1ハンドユニット200は、第1連結ベース193の下側に、X方向に2個、Y方向に4個並ぶ行列状に配置されている。また、第1ハンドユニット200の配設ピッチは、シャトル冶具142、144に形成されたポケット143、145および検査用ソケット160に設けられた検査用個別ソケット161の配設ピッチと等しい。これにより、シャトル冶具142、144と検査用ソケット160との間でのICデバイス9の搬送を円滑に行うことができる。
【0043】
一方、各第2ハンドユニット300は、シャトル冶具152、154と検査用ソケット160との間でICデバイス9を搬送する装置である。8つの第2ハンドユニット300は、第2連結ベース194の下側に、X方向に2個、Y方向に4個並ぶ行列状に配置されている。また、第2ハンドユニット300の配設ピッチは、シャトル冶具152、154に形成されたポケット153、155および検査用ソケット160に設けられた検査用個別ソケット161の配設ピッチと等しい。これにより、シャトル冶具152、154と検査用ソケット160との間でのICデバイス9の搬送を円滑に行うことができる。
【0044】
以下、第1、第2連結ベース193、194、第1、第2ハンドユニット200、300の構成について説明するが、第1、第2連結ベース193、194は、互いに同じ構成であり、第1、第2ハンドユニット200、300も、互いに同様の構成であるため、以下では、第1連結ベース193と1つの第1ハンドユニット200について代表して説明し、他の第1ハンドユニット200、第2連結ベースおよび各第2ハンドユニット300については、その説明を省略する。
【0045】
第1ハンドユニット200は、例えば、ねじ止め等によって、着脱可能に第1連結ベース193に固定されている。
図2に示すように、第1ハンドユニット200は、第1連結ベース193に固設されたエアシリンダー210と、そのエアシリンダー210の先端部に連結されたデバイスチャック220とを有している。
エアシリンダー210は、第1連結ベース193に固定されたシリンダチューブ211を有している。シリンダチューブ211は、有底筒状のチューブ本体212と、チューブ本体212の開口を塞ぐフロントプレート213とを有し、チューブ本体212とフロントプレート213とで形成されるシリンダ室内にピストン214がZ方向に移動可能に配設されている。シリンダ室は、ピストン214によって、その上側に位置する第1室D1と、下側に位置する第2室D2とに区画される。
【0046】
ピストン214は、後述するスプリングSPによって上方に持ち上げられ、エアシリンダー210が作動していない状態では、ピストン214の第1室D1側の面がチューブ本体212の底面と当接する位置(以下、これを最上端位置という)に位置するようになっている。
また、チューブ本体212の第1室D1側の端部には、エアー導入口215が形成され、そのエアー導入口215には、連結ポートP1が取着されている。また、連結ポートP1は、図示しない電空レギュレーターに連結されており、電空レギュレーターから第1室D1にエアーが供給されると、そのエアーの圧力によって、ピストン214が最上端位置からスプリングSPの弾性力に抗して下方に移動するようになっている。第1室D1を所定のエアー圧とすることによって、検査用ソケット160に配置されたICデバイス9を適した圧力で押圧することができる。そのため、ICデバイス9と検査用ソケット160との導通を確実に図ることができるとともに、ICデバイス9の破損を抑制することができる。
以上のようなエアシリンダー210の下側に配置されたデバイスチャック220は、ピストン214の下端部に固定された連結ブロック230と、連結ブロック230の下側に配置されたヒーターブロック240と、ヒーターブロック240の下側に配置されたコンタクトプッシャー250とを有している。
【0047】
連結ブロック230は、スプリングSPを介して第1連結ベース193に連結されている。すなわち、連結ブロック230は、第1連結ベース193に対してスプリングSPを介して弾性的に吊下されている。そして、前述したように、スプリングSPは、連結ブロック230を介してピストン214を最上端位置まで押し上げている。また、連結ブロック230には、その下面中央部と側面とに開放する貫通孔が形成されており、この貫通孔は、真空案内路231として機能する。そして、真空案内路231の一端には連結ポートP2が取着されている。さらに、連結ポートP2は、後述するように、気体吸引部610および気体供給部620に接続されている。
【0048】
また、連結ブロック230の下側にはヒーターブロック240が連結固定され、ヒーターブロック240の下側にはコンタクトプッシャー250が着脱可能に連結固定されている。ヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250の中央部には、これらを貫き、真空案内路231と連通する収容孔が形成され、この収容孔には吸引管260が配設されている。吸引管260の先端部には、備えた吸着パッド(吸着孔)270が連結固着されている。そして、気体吸引部610でエアーを吸引し、吸引管260内を負圧状態にすることによって、吸着パッド270でICデバイス9を吸着保持できるようになっている。反対に、気体供給部620でエアーを供給し、吸引管260内の負圧状態を解除することによって、吸着パッド270で吸着保持しているICデバイス9を放すことができる。
【0049】
ヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250は、それぞれ、硬質で高い熱伝導率を有する材料で構成されている。硬質で高い熱伝導率を有する材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、金、白金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金または金属間化合物、さらには、これらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられる。
【0050】
ヒーターブロック240には、2本の棒状のヒーター(加熱部)241が埋設されている。このヒーター241の駆動は、制御装置110によって制御される。ヒーター241が発熱すると、その熱がヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250を介してICデバイス9に伝わり、ICデバイス9の温度が上昇する。これにより、高温環境下でのICデバイス9の電気的特性を検査することができる。
【0051】
2つのヒーター241は、Y方向へ延在し、ヒーターブロック240の中央部にある吸引管260を避けてX方向の両端部に配置されている。このようなヒーター241としては、ICデバイス9を加熱することができれば、特に限定されず、例えば、アルミナヒーター、窒化アルミヒーター、窒化珪素ヒーター、炭化珪素ヒーター、窒化硼素ヒーター等の各種セラミックヒーター、ニクロム線等の電熱線を用いた各種カートリッジヒーター等を用いることができる。また、ヒーター241は、棒状のものに限定されず、例えば、面状のものを用いることもできる。
【0052】
また、
図3に示すように、ヒーターブロック240には、温度センサー243が埋設されている。温度センサー243は、ヒーターブロック240の温度を検知することで、間接的にICデバイス9の温度を検知する。前述したように、ヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250が熱伝導率の高い材料で構成されているため、ICデバイス9とヒーターブロック240の温度差は少なく、ヒーターブロック240に埋設された温度センサー243によってもICデバイス9の温度を十分正確に検知することができる。
【0053】
本実施形態では、温度センサー243の実際に温度を検知する部分である検知部243aがヒーターブロック240の中央部に位置しているため、ICデバイスとの離間距離が小さくなる。そのため、ICデバイス9の温度をより正確に検知することができる。また、2つのヒーター241を棒状とし、かつ、ヒーターブロック240のX方向両端部に配置することによって、ヒーター241と温度センサー243をなるべく遠ざけることができる。そのため、温度センサー243は、ヒーター241からの熱の影響を受け難くなる。
【0054】
温度センサー243としては、ICデバイス9の温度を検知することができれば、特に限定されず、例えば、白金センサー等のPtセンサー、熱電対、サーミスター等を用いることができる。なお、ICデバイス9がサーマルダイオード等を内蔵している場合には、温度センサー243を省略し、サーマルダイオードによってICデバイス9の温度を検知してもよい。
【0055】
なお、本実施形態の温度センサー243は、ICデバイス9の温度を間接的に検知するように配置されているが、その配置は、ICデバイス9の温度を検知することができれば特に限定されず、例えば、直接、ICデバイス9の温度を検知するよう構成されていてもよい。具体的には、温度センサー243が、デバイスチャック220の下面に露出するように配置され、押圧時にICデバイス9と接触するようになっていてもよい。また、電子部品検査装置100では、ヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250の熱抵抗を考慮して、温度センサー243で検知された温度に所定の補正を加えた温度をICデバイス9の温度としてもよい。
【0056】
本実施形態では、温度センサー243をヒーターブロック240に埋設しているが、温度センサー243をコンタクトプッシャー250に埋設してもよく、その方がICデバイス9との距離も近くなり、温度検知精度が向上すると考えられる。しかしながら、コンタクトプッシャー250は、ICデバイス9の種類や大きさによって適宜選択される部材であるため、仮に、コンタクトプッシャー250に温度センサー243を配置するとしたら、替えのコンタクトプッシャー250全てに温度センサー243を配置しなければならずコスト増を招く。したがって、コスト減を目的とするならば、本実施形態のように、温度センサー243をヒーターブロック240に配置するのがよい。
【0057】
以上、第1ハンドユニット200の構成について説明した。なお、以下では、説明の便宜上、8つの第1ハンドユニット200を第1ハンドユニット200A〜200Hとして区別する場合もある。第1ハンドユニット200A〜200Hの配列は、
図4に示す通りである。また、本実施形態では、第1ハンドユニット200A、200C、200E、200Gの吸着孔が特許請求の範囲に記載の「第1吸着孔」に相当し、第1ハンドユニット200B、200D、200F、200Hの吸着孔が「第2吸着孔」に相当し、第1ハンドユニット200A、200C、200E、200Gのヒーター241が「第1加熱部」に相当し、第1ハンドユニット200B、200D、200F、200Hのヒーター241が「第2加熱部」に相当する。
【0058】
図4に示すように、第1連結ベース193の上面側には8個の連結ポートP31〜P38が並んで設けられ、側面には8個の連結ポートP41〜P48が設けられている。連結ポートP31と連結ポートP41、連結ポートP32と連結ポートP42、連結ポートP33と連結ポートP43、連結ポートP34と連結ポートP44、連結ポートP35と連結ポートP45、連結ポートP36と連結ポートP46、連結ポートP37と連結ポートP47、連結ポートP38と連結ポートP48は、それぞれ、第1連結ベース193の内部に形成された図示しない貫通孔を介して接続されている。
【0059】
また、
図5に示すように、連結ポートP41は、配管R11を介して第1ハンドユニット200Aの連結ポートP2に接続され、連結ポートP42は、配管R12を介して第1ハンドユニット200Bの連結ポートP2に接続され、連結ポートP43は、配管R13を介して第1ハンドユニット200Cの連結ポートP2に接続され、連結ポートP44は、配管R14を介して第1ハンドユニット200Dの連結ポートP2に接続され、連結ポートP45は、配管R15を介して第1ハンドユニット200Eの連結ポートP2に接続され、連結ポートP46は、配管R16を介して第1ハンドユニット200Fの連結ポートP2に接続され、連結ポートP47は、配管R17を介して第1ハンドユニット200Gの連結ポートP2に接続され、連結ポートP48は、配管R18を介して第1ハンドユニット200Hの連結ポートP2に接続されている。
【0060】
図4に示すように、第1ハンドユニット200A、200Bに並んで連結ポートP41、P42が配置され、第1ハンドユニット200C、200Dに並んで連結ポートP43、P44が配置され、第1ハンドユニット200E、200Fに並んで連結ポートP45、P46が配置され、第1ハンドユニット200G、200Hに並んで連結ポートP47、P48が配置されているため、配管R11〜R14を短く抑えることができ、エアーの吸引・供給を効率的に行うことができる。ただし、連結ポートP41〜P48の配置としては、特に限定されない。
【0061】
また、
図4に示すように、第1連結ベース193には、8個の接続端子CT11、CT12、CT13、CT14、CT15、CT16、CT17、CT18が設けられている。
図6に示すように、8つの接続端子CT11〜CT18は、電気配線を介して、各第1ハンドユニット200A〜200Hのヒーター241に電気接続されている。
以上、
図1に示す検査装置190について詳細に説明した。電子部品検査装置100では、
図1に示す検査装置190において、第1ハンドH1(第1、第2ハンドユニット200、300)を、別の第2ハンドH2(第1、第2ハンドユニット200’、300’)に付け替えることができる。
【0062】
図7に示すように、第2ハンドH2は、第1連結ベース193に支持され、X方向およびY方向に2つずつ行列状に配置される4つの第1ハンドユニット200’と、第2連結ベース194に支持され、X方向およびY方向に2つずつ行列状に配置される4つの第2ハンドユニット300’とを有している。なお、
図7に示すように、第2ハンドH2を用いる場合には、第1、第2ハンドユニット200’、300’の数および配置に対応させるべく、シャトル冶具142、144、152、154をそれぞれ4つのポケット143、145、153、155を有するものに変更し、検査用ソケット160を4つの検査用個別ソケット161を有するものに変更するのが好ましい。
【0063】
以下、第1、第2ハンドユニット200’、300’の構成について説明するが、各第1、第2ハンドユニット200’、300’は、互いに同様の構成であるため、以下では、1つの第1ハンドユニット200’について代表して説明し、他の第1ハンドユニット200’および各第2ハンドユニット300’については、その説明を省略する。
第1ハンドユニット200’は、例えば、ねじ止め等によって、着脱可能に第1連結ベース193に固定される。第1ハンドユニット200’は、前述した第1ハンドユニット200にICデバイス9を冷却するための冷却部290’を加えた構成となっている。したがって、以下では、第1ハンドユニット200との相違点である冷却部290’を中心に説明し、第1ハンドユニット200と同様の構成の部分については、その説明を省略する。
図8および
図9に示すように、第1ハンドユニット200’が備える冷却部290’は、連結ブロック230とヒーターブロック240との間に配置された放熱部としてのヒートシンク291’と、ヒートシンク291’に冷却用ガスGを噴射する噴射ノズル292’とを有している。
【0064】
ヒーターブロック240は、優れた断熱性を有する柱状の部材293’を介して連結ブロック230に連結されており、部材293’によって形成された空間(ヒーターブロック240と連結ブロック230との間の空間)にヒートシンク291’が配置されている。また、ヒートシンク291’は、例えば半田等のろう材を用いてヒーターブロック240に固定され、熱的に接続されている。また、ヒートシンク291’は、連結ブロック230に非接触に設けられている。言い換えると、ヒートシンク291’と連結ブロック230の間には隙間が形成されている。これにより、ヒートシンク291’と連結ブロック230との間の熱交換が抑制され、ヒートシンク291’の放熱効果が向上する。前記隙間の大きさは、部材293’の高さを調節することによって、簡単に制御することができる。
【0065】
一方、噴射ノズル292’は、ヒートシンク291’の横に並んで設けられており、ヒートシンク291’に向けて冷却用ガスGを噴射するように構成されている。ヒートシンク291’に冷却用ガスGを吹き付けることで、ヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250を介してICデバイス9を冷却することができる。また、噴射ノズル292’は、固定具を介して連結ブロック230に固定されているため、ヒートシンク291’との相対的位置が一定に保たれている。そのため、ヒートシンク291’に対して冷却用ガスGが安定して噴射され、ヒートシンク291’を安定して冷却することができる。なお、噴射ノズル292’からの冷却用ガスGの噴射は、制御装置110によって制御されている。
【0066】
また、噴射ノズル292’は、冷却用ガスGを拡散噴射(放射状に噴射)するように構成されているのが好ましい。これにより、噴射ノズル292’の小型化を図りつつ、ヒートシンク291’のより広い範囲に冷却用ガスGを吹き付けることができる。また、噴射ノズル292’から噴射される冷却用ガスGの噴射断面形状は、Z方向の広がりを、XY平面内方向の広がりよりも抑えた形状とするのが好ましい。これにより、冷却用ガスGを効率的にヒートシンク291’に供給することができる。
【0067】
このような第1ハンドユニット200’によれば、ICデバイス9のヒーター241による加熱と、冷却用ガスGによる冷却とによって、ICデバイス9の温度を所定温度範囲(例えば、設定温度±2℃程度)に維持することができる。特に、冷却用ガスGによって、ICデバイス9の自己発熱による昇温を迅速にキャンセルすることができ、検査中のICデバイス9の温度をほぼ一定に保ち続けることができ、ICデバイス9の検査をより精度よく行うことができる。
【0068】
以上、第1ハンドユニット200’の構成について説明した。本実施形態では、各第1ハンドユニット200’の吸着孔が特許請求の範囲に記載の「第3吸着孔」に相当し、各第1ハンドユニット200’のヒーター241が「第3加熱部」に相当する。なお、以下では、説明の便宜上、第1連結ベース193に設置された4つの第1ハンドユニット200’を第1ハンドユニット200A’〜200D’として区別する場合もある。第1ハンドユニット200A’〜200D’の配列は、
図10に示す通りである。
【0069】
図10に示すように、X方向に並ぶ2つの第1ハンドユニット200A’、200B’の間には、第1ハンドユニット200A’が有する噴射ノズル292’と、第1ハンドユニット200B’が有する噴射ノズル292’とが位置している。これら2つの噴射ノズル292’は、Y方向に並んで位置している。これと同様に、X方向に並ぶ第1ハンドユニット200C’、200D’の間に、第1ハンドユニット200C’が有する噴射ノズル292’と、第1ハンドユニット200D’が有する噴射ノズル292’とが位置している。このような配置とすることで、例えば、第1ハンドユニット200A’の噴射ノズル292’から噴射された冷却用ガスGが、他の第1ハンドユニット200B’、200C’、200D’のヒートシンク291’に導かれてしまうことを防止することができる(第1ハンドユニット200B’、200C’、200D’についても同様)。そのため、各第1ハンドユニット200’でヒートシンク291’の意図しない冷却が防止され、ICデバイス9の温度制御を独立して高精度に行うことができる。第2に、第1ハンドユニット200A’、200B’の離間距離、第1ハンドユニット200C’、200D’の離間距離をそれぞれ詰めることができる。そのため、第1ハンドユニット200’の狭ピッチ化を図ることができる。
【0070】
また、
図11に示すように、連結ポートP41は、配管R21を介して第1ハンドユニット200A’の連結ポートP2に接続され、連結ポートP42は、配管R22を介して第1ハンドユニット200A’の噴射ノズル292’に接続されている。また、連結ポートP43は、配管R23を介して第1ハンドユニット200B’の連結ポートP2に接続され、連結ポートP44は、配管R24を介して第1ハンドユニット200B’の噴射ノズル292’に接続されている。また、連結ポートP45は、配管R25を介して第1ハンドユニット200C’の連結ポートP2に接続され、連結ポートP46は、配管R26を介して第1ハンドユニット200C’の噴射ノズル292’に接続されている。また、連結ポートP47は、配管R27を介して第1ハンドユニット200D’の連結ポートP2に接続され、連結ポートP48は、配管R28を介して第1ハンドユニット200D’の噴射ノズル292’に接続されている。
【0071】
すなわち、
図6および
図11に示すように、連結ポートP42は、第1ハンドH1が設置される場合には第1ハンドユニット200Bの連結ポートP2と接続され、第2ハンドH2が設置される場合には第1ハンドユニット200A’の噴射ノズル292’に接続される。同様に、連結ポートP44は、第1ハンドH1が設置される場合には第1ハンドユニット200Dの連結ポートP2と接続され、第2ハンドH2が設置される場合には第1ハンドユニット200B’の噴射ノズル292’に接続される。同様に、連結ポートP46は、第1ハンドH1が設置される場合には第1ハンドユニット200Fの連結ポートP2と接続され、第2ハンドH2が設置される場合には第1ハンドユニット200C’の噴射ノズル292’に接続される。同様に、連結ポートP48は、第1ハンドH1が設置される場合には第1ハンドユニット200Hの連結ポートP2と接続され、第2ハンドH2が設置される場合には第1ハンドユニット200D’の噴射ノズル292’に接続される。
【0072】
また、
図12に示すように、接続端子CT11は、電気配線を介して、第1ハンドユニット200A’のヒーター241に電気接続され、接続端子CT13は、電気配線を介して、第1ハンドユニット200B’のヒーター241に電気接続され、接続端子CT15は、電気配線を介して、第1ハンドユニット200C’のヒーター241に電気接続され、接続端子CT17は、電気配線を介して、第1ハンドユニット200D’のヒーター241に電気接続されている。なお、その他の接続端子CT12、CT14、CT16、CT18は、第1ハンドユニット200’と電気的に接続されていない。
【0073】
(配管群)
次に、
図13および
図14に基づいて、電子部品検査装置100に配設されている配管群について説明する。なお、電子部品検査装置100は、第1連結ベース193に設けられた8つの連結ポートP31〜P34用の配管と、第2連結ベース194に設けられた8つの連結ポート用の配管とを有しているが、これらは互いに同様の構成であるため、以下では、第1連結ベース193に設けられた連結ポートP31〜P38用の配管について代表して説明し、第2連結ベース194に設けられた連結ポート用の配管については、その説明を省略する。
【0074】
電子部品検査装置100は、吸引管260内の空気を吸引して負圧状態とする気体吸引部(真空回路)610と、吸引管260内に空気を供給して前記負圧状態を破壊する気体供給部620とを有している。また、気体供給部620は、噴射ノズル292’へ冷却用ガスGとしての空気を供給する機能をさらに有している。
気体供給部620が供給する気体を空気(圧縮空気)とすることで、取扱いが簡単となるとともにコスト減を図ることができる。また、冷凍式クーラーを使用し、冷却された圧縮空気を用いることによって、ICデバイス9の冷却性能を向上させることができる。ただし、気体供給部620が供給する気体としては、上記効果を発揮することができれば空気に限定されず、例えば、水素やヘリウム等の空気よりも熱伝導率の高い気体を用いることもできる。この場合には、空気の場合と比較してICデバイス9の冷却効率が向上する。また、先に背景技術として述べた装置と比較して、装置構成が簡単になる。
【0075】
また、電子部品検査装置100は、一端が連結ポートP32、P34、P36、P38に接続された供用配管(供用経路)R32、R34、R36、R38と、供用配管R32、R34、R36、R38の他端と気体吸引部610および気体供給部620とを接続するチャッキング用配管(第2吸着用経路)R42、R44、R46、R48と、供用配管R32、R34、R36、R38の他端と気体供給部620とを接続する冷却用配管(経路)R52、R54、R56、R58と、連結ポートP31、P33、P35、P37と気体吸引部610および気体供給部620とを接続するチャッキング用配管(第1吸着用経路)R41、R43、R45、R47とを有している。
【0076】
また、電子部品検査装置100は、電磁弁(第1切替部)512、514、516、518を有しており、電磁弁512、514、516、518によって、チャッキング用配管R42、R44、R46、R48と供用配管R32、R34、R36、R38とが連通する状態と、冷却用配管R52、R54、R56、R58と供用配管R32、R34、R36、R38とが連通する状態とを切り替えることができる。
また、電子部品検査装置100は、冷却用配管R52、R54、R56、R58の途中に配置された電磁弁(第2切替部)522、524、526、528を有しており、電磁弁522、524、526、528によって、冷却用配管R52、R54、R56、R58が開いた状態と、閉じた状態とを切り替えることができる。
【0077】
また、電子部品検査装置100は、チャッキング用配管R41の途中に配置された電磁弁531、541と、チャッキング用配管R42の途中に配置された電磁弁532、542と、チャッキング用配管R43の途中に配置された電磁弁533、543と、チャッキング用配管R44の途中に配置された電磁弁534、544と、チャッキング用配管R45の途中に配置された電磁弁535、545と、チャッキング用配管R46の途中に配置された電磁弁536、546と、チャッキング用配管R47の途中に配置された電磁弁537、547と、チャッキング用配管R48の途中に配置された電磁弁538、548と、を有している。そして、これら電磁弁531〜538、541〜548によって、それぞれのチャッキング用配管R41〜R48において、気体吸引部610が開かれ気体供給部620が閉じられた状態と、気体吸引部610が閉じられ気体供給部620が開かれた状態とを切り替えることができる。
【0078】
なお、これら電磁弁512〜518、522〜528、531〜538、541〜548は、それぞれ、制御装置110に接続されており、制御装置110によってその駆動が制御される。また、電磁弁512〜518、522〜528、531〜538、541〜548は、それぞれ、その役割を果たすことができる限り、他の切替機構に変更することもできるし、異なるタイプの電磁弁(例えば、電磁弁531〜538、541〜548として常時開電磁)を用いることもできる。
【0079】
供用配管R32、R34、R36、R38と、チャッキング用配管R41、R43、R45、R47の供用配管R32、R34、R36、R38と並ぶ部分(並設部分)R411、R431、R451、R471とは、
図4および
図15に示すように、X方向を幅とする帯状に束ねられており、これにより帯状配管体R6が形成されている。帯状配管体R6の一端は、第1連結ベース193に固定(連結ポートP31〜P38に接続)され、他端は、ベース101に直接または間接的に固定されている。そして、帯状配管体R6は、可撓性を有し、
図15に示すように撓んだ状態で配置されている。帯状配管体R6は、第1ハンドH1(第2ハンドH2)の±Y方向の移動に伴って変形し、これにより、気体吸引部610および気体供給部620と第1ハンドH1(第2ハンドH2)との接続状態が維持される。
【0080】
特に、帯状配管体R6がX方向に幅を有しているため、帯状配管体R6が撓むことによって供用配管R32、R34、R36、R38および部分R411、R431、R451、R471に加わるストレスを小さく抑えることができ、帯状配管体R6の破損(例えば亀裂の発生)を効果的に防止することができる。さらに、冷却用配管R52、R54、R56、R58とチャッキング用配管R42、R44、R46、R48とを供用配管R32、R34、R36、R38でまとめているため、帯状配管体R6に含まれる配管の数を少なく抑えることができる。そのため、帯状配管体R6の重量を抑えることができ、帯状配管体R6に加わるストレスを低減することができる。
【0081】
次に、電磁弁512、514、516、518、522、524、526、528、531〜538、541〜548の制御について説明する。
検査装置190に第1ハンドH1を配置する場合は、
図13に示すように、電磁弁512、514、516、518をそれぞれOFF状態(非通電状態)とする。これにより、チャッキング用配管R41〜R48が連結ポートP31〜P38と接続された状態なる。そして、例えば第1ハンドユニット200Aについて言えば、電磁弁531をON状態(通電状態)、電磁弁541をOFF状態(非通電状態)とすることで気体吸引部610によって吸引管260内を負圧状態とし、吸着パッド270でICデバイス9を吸着保持することができ、反対に、電磁弁531をOFF状態、電磁弁541をON状態とすることで気体供給部620によって吸引管260内を負圧破壊し、吸着パッド270で吸着保持されたICデバイス9を放すことができる。他の第1ハンドユニット200B〜200Hについても同様である。
【0082】
一方、検査装置190に第2ハンドH2を配置する場合は、
図14に示すように、電磁弁512、514、516、518をそれぞれON状態(通電状態)とする。これにより、冷却用配管R52、R54、R56、R58が供用配管R32、R34、R36、R38を介して連結ポートP32、P34、P36、P38と接続された状態なる。そして、例えば第1ハンドユニット200A’について言えば、電磁弁531をON状態、電磁弁541をOFF状態とすることにより吸着パッド270でICデバイス9を吸着保持することができ、反対に、電磁弁531をOFF状態、電磁弁541をON状態とすることにより吸着パッド270で吸着保持されたICデバイス9を放すことができる。一方、電磁弁522をON状態(通電状態)とすることにより噴射ノズル292’から空気を噴射してICデバイス9を冷却することができ、反対に、電磁弁522をOFF状態(非通電状態)とすることにより噴射ノズル292’からの空気の噴射を停止しICデバイス9の冷却を停止することができる。電磁弁522のON/OFFは、第1ハンドユニット200A’が有する温度センサー243からの信号(ICデバイス9の温度情報)に基づいて制御装置110により制御される。これにより、効果的にICデバイス9の温度を所定範囲に収めることができる。特に、本実施形態のように、経路を切り替える電磁弁512だけではなく、経路の開閉を行う電磁弁522を配置し、この電磁弁522の制御によって噴射ノズル292’から冷却用ガスGを噴射する状態と、噴射を停止する状態とを切り替えることで、より高精度にICデバイス9の温度制御を行うことができる。他の第1ハンドユニット200B’〜200D’についても同様である。
【0083】
ここで、電子部品検査装置100では、第2ハンドH2を用いる場合において、ICデバイス9の冷却特性を十分とするために、気体供給部620から供給される空気の流量が高く設定されている。一方で、気体供給部620から供給される空気をそのままの流量で吸引管260に供給して負圧破壊させてしまうと、ICデバイス9に過度な圧が加わり、ICデバイス9が勢いよく放り出されてしまったりし、ICデバイス9の破壊に繋がるおそれがある。そこで、チャッキング用配管R41〜R48の途中に絞り弁590を配置して、チャッキング用配管R41〜R48を通過して吸引管260に供給される空気の流量を抑えている。すなわち、冷却用配管R52〜R58を通過して噴射ノズル292’に供給される空気の流量が、チャッキング用配管R41〜R48を介して吸引管260に供給される空気の流量よりも大きくなっている。これにより、ICデバイス9の冷却効率を高くしつつ、ICデバイス9の不本意な破損等を防止することができる。
【0084】
なお、冷却用配管R52、R54、R56、R58を通過して噴射ノズル292’に供給される空気の流量としては、特に限定されないが、20リットル/min以上、100リットル/min以下程度であるのが好ましい。また、チャッキング用配管R41〜R48を通過して吸引管260に供給される空気の流量としては、特に限定されないが、0.5リットル/min以上、5リットル/min以下程度であるのが好ましい。
【0085】
このような配管群の構成によれば、空気の流通経路を簡単に変更することができ、冷却システムを有さず加熱システムのみを有する第1ハンドH1を設置する場合と、冷却システムおよび加熱システムを共に有する第2ハンドH2を設置する場合との両方に簡単に対応することができる。また、検査対象となるICデバイス9の検査条件に応じて第1、第2ハンドH1、H2を使い分けることができるため、ICデバイス9に対して適した検査を実施することができる。
【0086】
(電気配線群)
次に、
図16および
図17に基づいて、電子部品検査装置100に配設されている電気配線群について説明する。なお、電子部品検査装置100は、第1連結ベース193に配置される第1ハンドユニット200、200’用の電気配線と、第2連結ベース194に配置される第2ハンドユニット300、300’用の電気配線とを有しているが、これらは互いに同様の構成であるため、以下では、第1連結ベース193に配置される第1ハンドユニット200、200’用の電気配線について代表して説明し、第2連結ベース194に配置される第2ハンドユニット300、300’用の電気配線については、その説明を省略する。
【0087】
図16および
図17に示すように、電子部品検査装置100は、制御装置110と接続端子CT11、CT13、CT15、CT17とを接続する第1電気配線(第1電気経路)L11、L12、L13、L14と、4つのリレー(電気経路切換部)Ry1、Ry2、Ry3、Ry4と、制御装置110とリレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4の共通端子とを接続する第2電気配線(第2電気経路)L21、L22、L23、L24と、リレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4の一方の端子と接続端子CT12、CT14、CT16、CT18とを接続する第3電気配線L31、L32、L33、L34と、リレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4の他方の端子と電磁弁522、524、526、528とを接続する第4電気配線L41、L42、L43、L44とを有している。リレーRy1〜Ry4の制御は、制御装置110によって行われる。なお、リレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4は、それぞれ、その役割を果たすことができる限り、他の切替機構に変更することもできる。
【0088】
そして、第1ハンドH1を用いる場合には、
図16に示すように、リレーRy1〜Ry4を介して、制御装置110と接続端子CT12、CT14、CT16、CT18とが電気接続される。一方、第2ハンドH2を用いる場合には、
図17に示すように、リレーRy1〜Ry4が切り替わって、リレーRy1〜Ry4を介して、制御装置110と電磁弁522、524、526、528とが電気接続される。
【0089】
これにより、第1ハンドH1を用いる場合には、制御装置110によって、各第1ハンドユニット200のヒーター241の駆動を制御することができ、第2ハンドH2を用いる場合には、制御装置110によって、各第1ハンドユニット200’のヒーター241および噴射ノズル292’からの冷却用ガスGの噴射を制御することができる。特に、本実施形態のように、接続端子CT12、CT14、CT16、CT18と制御装置110とを接続する配線と、電磁弁522、524、526、528と制御装置110とを接続する配線との一部を、第2電気配線L21、L22、L23、L24で供用することによって、電気配線を少なくすることができる。
【0090】
(回収装置)
回収装置180は、シャトル冶具144、154に収容された検査済みのICデバイス9を回収トレイ130に搬送するためのロボットである。
回収装置180は、供給装置170と同様の構成をなしている。すなわち、回収装置180は、ベース101に支持された支持フレーム181と、支持フレーム181に支持され、支持フレーム181に対してY方向に往復移動可能な移動フレーム183と、移動フレーム183に支持され、移動フレーム183に対してX方向に往復移動可能なハンドユニット支持部184と、ハンドユニット支持部184に支持された複数のハンドユニット185とを有している。これら各部の構成は、供給装置170の対応する各部の構成と同様であるため、その説明を省略する。
ここで、シャトル冶具144(154)に収容された検査済みのICデバイス9の中には、検査に合格した良品と、不合格であった不良品とが存在する。したがって、前述したように、良品については一方の回収トレイ130に収容し、不良品については他方の回収トレイ130に収容する。
【0091】
(制御装置)
制御装置10は、検査制御部111と、駆動制御部112と、温度制御部113とを有している。検査制御部111は、例えば、図示しないメモリー内に記憶されたプログラムに基づいて、検査用ソケット160(検査用個別ソケット161)に配置されたICデバイス9の電気的特性の検査を行う。また、駆動制御部112は、例えば、供給トレイ120、回収トレイ130、第1、第2シャトル140、150、供給装置170、回収装置180、検査装置190、電磁弁512、514、516、518、531〜538、541〜548等の駆動を制御し、ICデバイス9の搬送を行う。また、温度制御部113は、ヒーター241、電磁弁522、524、526、528等の駆動を制御し、ICデバイス9の温度を調節する。
【0092】
次に、温度制御部113によるICデバイス9の温調制御について説明する。
第1ハンドユニット200によってICデバイス9が検査用個別ソケット161へ押圧されている状態では、温度制御部113は、ヒーター241を駆動し、温度センサー243で検知されるICデバイス9の温度をフィードバックしながらICデバイス9を加熱する。そして、ICデバイス9が所定温度以上になった後、検査制御部111によってICデバイス9が駆動し、その電気的特性の検査が開始される。
【0093】
なお、例えば、ICデバイス9を100℃(検査温度T1)以上で検査しなければならない場合、温度制御部113は、ICデバイス9の加熱設定温度T2を検査温度T1と等しい100℃またはヒーターブロック240およびコンタクトプッシャー250の熱抵抗を考慮して検査温度T1よりも若干高めの105℃に設定してICデバイス9の加熱を開始する。そして、ICデバイス9の温度が加熱設定温度T2を超え、検査制御部111によるICデバイス9の検査が開始されると、ICデバイス9の自己発熱を考慮して、加熱設定温度T2を100℃(検査温度T1)未満、例えば95℃に設定する。これにより、ヒーター241と自己発熱によるICデバイス9の過度な昇温が抑制され、ICデバイス9の検査を温度的に安定した状態で行うことができる。
【0094】
一方、第1ハンドユニット200’によってICデバイス9が検査用個別ソケット161へ押圧されている状態では、温度制御部113は、ヒーター241を駆動し、温度センサー243で検知されるICデバイス9の温度をフィードバックしながらICデバイス9を加熱する。そして、ICデバイス9を設定温度範囲内で安定させた後、検査制御部111によってICデバイス9の検査が開始される。検査が開始されると自己発熱によってICデバイス9が昇温する。ICデバイス9の温度が所定温度範囲を超えた場合(または、超えそうな場合)、温度制御部113は、ヒーター241の駆動を停止するとともに、噴射ノズル292’から冷却用ガスGを噴射し、ICデバイス9を冷却する。反対に、冷却用ガスGによる冷却によってICデバイス9の温度が設定温度を下回った場合(または下回りそうな場合)、温度制御部113は、冷却用ガスGの噴射を停止するとともにヒーター241を駆動する。このような制御を行うことにより、検査中のICデバイス9の温度を設定温度範囲内で安定させることができる。
【0095】
温度制御部113によるヒーター241および噴射ノズル292’の制御方法としては、上記のような、ヒーター241の駆動と冷却用ガスGの噴射とを切り替える方法に限定されない。例えば、検査中、ヒーター241を常に駆動したままで、ICデバイス9が設定温度範囲を超えた場合に冷却用ガスGを噴射するような制御であってもよい。また、検査中、ヒーター241の駆動と冷却用ガスGの噴射とを常に行い、ICデバイス9の温度に応じて、ヒーター241の出力や冷却用ガスGの噴射量を変更する制御、具体的には、ICデバイス9の温度が上昇するとともにヒーター241の出力を小さくし、冷却用ガスGの噴射量を多くするような制御であってもよい。このように、ヒーター241の駆動と冷却用ガスGの噴射とを同時に行うことにより、ICデバイス9の過度で急峻な温度変化を防止することができ、ICデバイス9の温度揺らぎを小さく抑えることができる場合がある。
【0096】
以上、電子部品検査装置100の構成について詳細に説明した。このような電子部品検査装置100によれば、第1ハンドH1と第2ハンドH2とを選択して用いることができる。そのため、高温環境下で検査をすることができればその温度を細かく制御しなくてもよいICデバイス9を検査する場合には第1ハンドH1を用い、高温環境下でかつ設定された温度で検査をしなければならないICデバイス9を検査する場合には第2ハンドH2を用いることができる。このように、電子部品検査装置100は、検査するICデバイス9に適したハンドを用いることができ、利便性に優れるとともに、ICデバイス9の検査を精度よく行うことができる。
【0097】
また、電子部品検査装置100では、冷却用配管(経路)R52、R54、R56、R58と、電磁弁512、514、516、518と、電磁弁522、524、526、528とによって、ICデバイス9を冷却するための冷却システムを構成している。このような冷却システムによれば、メンテナンス性に優れ、例えば、交換が必要な場合には、簡単にシステムを交換することができる。
次に、電子部品検査装置100によるICデバイス9の検査方法について
図18〜
図26に基づいて説明する。なお、以下で説明する検査方法、特にICデバイス9の搬送手順は、一例であり、これに限定されない。また、以下では、説明の便宜上、第2ハンドH2を用いた場合について説明する。
【0098】
(ステップ1)
まず、
図18に示すように、各ポケット121にICデバイス9が収容された供給トレイ120を領域S内へ搬送するとともに、第1、第2シャトル140、150を−X方向側に移動させる。
(ステップ2)
次に、
図19に示すように、供給装置170によって、供給トレイ120に収容されたICデバイス9をシャトル冶具142、152に移し替え、シャトル冶具142、152の各ポケット143、153にICデバイス9を収容する。
【0099】
(ステップ3)
次に、
図20に示すように、第1、第2シャトル140、150を共に+X方向側に移動し、シャトル冶具142が検査用ソケット160に対して+Y方向側に、シャトル冶具152が検査用ソケット160に対して−Y方向側に並んだ状態とする。
(ステップ4)
次に、
図21に示すように、第2フレーム192を移動させ、第1連結ベース193がシャトル冶具142の直上に位置するとともに、第2連結ベース194が検査用ソケット160の直上に位置した状態とする。その後、各第1ハンドユニット200’によってシャトル冶具142に収容されたICデバイス9を保持する。
(ステップ5)
次に、
図22に示すように、第2フレーム192を−Y方向側に移動させ、第1連結ベース193が検査用ソケット160の直上に位置するとともに、第2連結ベース194がシャトル冶具152の直上に位置する状態とする。
【0100】
また、第2フレーム192の移動と並行して、次のような作業も行う。まず、第1シャトル140を−X方向側に移動させて、シャトル冶具144が供給トレイ120に対して+Y方向に並んだ状態とする。次に、供給装置170により、供給トレイ120に収容されたICデバイス9をシャトル冶具142に移し替え、シャトル冶具142の各ポケット143にICデバイス9を収容する。
【0101】
(ステップ6)
次に、第1連結ベース193を降下させ、各第1ハンドユニット200’で保持したICデバイス9を検査用個別ソケット161内に配置する。この際、各第1ハンドユニット200’は、所定の検査圧でICデバイス9を検査用個別ソケット161に押し当てる。これにより、ICデバイス9の外部端子と検査用個別ソケット161に設けられたプローブピンとが電気接続された状態となる。そして、制御装置110による温度制御によってICデバイス9を所定温度とした後、検査制御部111によって各ICデバイス9に対して検査が実施される。検査が終了すると、ICデバイス9を再吸着し、第1連結ベース193を上昇させてICデバイス9を検査用個別ソケット161から取り出す。
この作業と並行して、各第2ハンドユニット300’がシャトル冶具152に収容されたICデバイス9を保持し、ICデバイス9をシャトル冶具152から取り出す。
【0102】
(ステップ7)
次に、
図23に示すように、第2フレーム192を+Y方向側に移動させ、第1連結ベース193が第1シャトル140のシャトル冶具144の直上に位置するとともに、第2連結ベース194が検査用ソケット160の直上に位置する状態とする。
また、第2フレーム192の移動と並行して、次のような作業も行う。まず、第2シャトル150を−X方向側に移動させて、シャトル冶具152が供給トレイ120に対して+Y方向に並んだ状態とする。次に、供給装置170によって、供給トレイ120に収容されたICデバイス9をシャトル冶具152に移し替え、シャトル冶具152の各ポケット153にICデバイス9を収容する。
【0103】
(ステップ8)
次に、
図24に示すように、第2連結ベース194を降下させ、各第2ハンドユニット300’で保持したICデバイス9を検査用個別ソケット161に配置する。そして、ICデバイス9を所定温度とした後、検査圧を与えながらICデバイス9の検査が実施される。検査が終了すると、ICデバイス9を再吸着し、第2連結ベース194を上昇させて、ICデバイス9を検査用個別ソケット161から取り出す。
【0104】
この作業と並行して次のような作業を行う。まず、各第1ハンドユニット200’が保持する検査済みのICデバイス9をシャトル冶具144の各ポケット145に収容する。次に、第1シャトル140を+X方向側に移動させ、シャトル冶具142が第1ハンドユニット200’の直下に位置する状態とする。次に、各第1ハンドユニット200’によりシャトル冶具142に収容されたICデバイス9を保持するとともに、回収装置180により、シャトル冶具144に収容された検査済みのICデバイス9を回収トレイ130に移し替える。
【0105】
(ステップ9)
次に、
図25に示すように、第2フレーム192を−Y方向側に移動させ、第1連結ベース193が検査用ソケット160の直上に位置するとともに、第2連結ベース194がシャトル冶具154の直上に位置した状態とする。
第2フレーム192の移動と並行して、次のような作業も行う。まず、第1シャトル140を−X方向側に移動させ、シャトル冶具144が検査用ソケット160に対して+Y方向に並んだ状態とする。次に、供給装置170によって、供給トレイ120に収容されたICデバイス9をシャトル冶具142に移し替え、シャトル冶具142の各ポケット143にICデバイス9を収容する。
【0106】
(ステップ10)
次に、
図26に示すように、第1連結ベース193を降下させ、各第1ハンドユニット20’で保持したICデバイス9を検査用個別ソケット161に配置する。そして、ICデバイス9を所定温度とした後、検査制御部111によってICデバイス9の検査を実施する。検査が終了すると、ICデバイス9を再吸着し、第1連結ベース193を上昇させ、ICデバイス9を検査用個別ソケット161から取り出す。
【0107】
この作業と並行して次のような作業を行う。まず、各第2ハンドユニット300’が保持する検査済みのICデバイス9をシャトル冶具154の各ポケット155に収容する。次に、第2シャトル150を+X方向側に移動させ、シャトル冶具152が第2ハンドユニット300’の直下に位置する状態とする。次に、各第2ハンドユニット300’によりシャトル冶具152に収容されたICデバイス9を保持するとともに、回収装置180により、シャトル冶具154に収容された検査済みのICデバイス9を回収トレイ130に移し替える。
【0108】
(ステップ11)
これ以降は、前述したステップ7〜ステップ10を繰り返す。なお、この繰り返しの途中にて、供給トレイ120に収容されたICデバイス9のすべてを第1シャトル140に移し終えると、供給トレイ120が領域S外に移動する。そして、供給トレイ120に新たなICデバイス9を供給するか、既にICデバイス9が収容されている別の供給トレイ120と交換した後、供給トレイ120が再び領域S内に移動する。
【0109】
同様に、繰り返しの途中にて、回収トレイ130の全てのポケット131にICデバイス9が収容されると、回収トレイ130が領域S外に移動する。そして、回収トレイ130に収容されたICデバイス9を取り除くか、回収トレイ130を別の空である回収トレイ130を交換した後、回収トレイ130が再び領域S内に移動する。
このような方法によれば、効率よくICデバイス9の検査を行うことができる。具体的には、検査装置190が第1ハンドユニット200’と第2ハンドユニット300’とを有しており、例えば、第1ハンドユニット200’が保持したICデバイス9が検査されている状態にて、これと並行して第2ハンドユニット300’が検査を終えたICデバイス9をシャトル冶具154に収容するとともに、次に検査するICデバイス9を保持してスタンバイしている。このように、2つのハンドユニットを用いて、それぞれ、異なる作業を行うことにより、無駄な時間を削減でき、効率的にICデバイス9の検査を行うことができる。
【0110】
<第2実施形態>
次に、本発明の電子部品検査装置の第2実施形態について説明する。
図27は、本発明の第2実施形態にかかる電子部品検査装置の第1ハンドが有する第1ハンドユニットの断面図である。
図28は、
図27に示す揺動機構の効果を説明する断面図である。
【0111】
以下、第2実施形態の電子部品検査装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる電子部品検査装置は、ハンドユニットの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0112】
図27に示すように、本実施形態の第1ハンドユニット200には、前述した第1実施形態のエアシリンダー210に替えて揺動機構400が設けられている。揺動機構400は、デバイスチャック220を第1連結ベース193に対して揺動可能とすることによって、デバイスチャック220に保持されたICデバイス9を検査用個別ソケット161の底面の傾きに追従させるための機構である。このような機構を備えることで、ICデバイス9を検査用個別ソケット161の面に均一に押圧することができる。そのため、ICデバイス9の破損を抑制することができ、また、ICデバイス9と検査用個別ソケット161との電気的接続をより確実に行うことができる。
【0113】
揺動機構400は、揺動体410と、揺動体410に遊動手段420を介して懸架された遊動体430とを備えている。
揺動体410は、揺動する揺動部本体411と、揺動部本体411の表面に接着して揺動部本体411を揺動させるためのゴム膜(膜状弾性部材)412と、ゴム膜412を支持するための支持部材413とを備えている。本実施形態では、支持部材413は、2つのパーツに分割されており、この2つのパーツにゴム膜412を挟み込み、ネジ等で2つのパーツを結合させることにより、ゴム膜412を支持している。
【0114】
さらに、揺動体410は、揺動部本体411が必要以上に揺動して、ゴム膜412に過度なストレスが生じないように、揺動部本体411の揺動範囲を規制する係止部414を有している。係止部414は、揺動部本体411を支持部材413に係止するための部材である。また、係止部414は、揺動規制部を有している。
図27に示すように、係止部414の内周面と揺動部本体411の外周面との間には空間S1が形成されている。空間S1は、揺動部本体411の揺動を可能とするための空間である。空間S1は、揺動部本体411が最大でも0.5度だけ揺動するように設計されている。これにより、揺動部本体411の検査の用に十分な揺動範囲を確保しつつ、過度な揺動を防止することができる。
【0115】
なお、揺動部本体411の外周面には上下方向に延びる凹部411aが形成されており、係止部414の内周面には凹部411aに係合する凸部414aが形成されている。これにより、揺動部本体411の回転が防止されている。
また、揺動体410にはゴム膜412と支持部材413とにより密閉空間S3が形成されている。そして、密閉空間S3の上面には圧力調整手段490から空気が出入りするための空気孔413aが設けられている。密閉空間S3に圧力調整手段490から正圧を供給すると、ゴム膜412は、密閉空間S3が広がるように下方に撓み、その結果、揺動部本体411が下方に付勢される。下方に付勢された揺動部本体411は、係止部414に係止された状態となる。
【0116】
揺動部本体411が係止部414に係止された状態(密閉空間S3が加圧されている状態)で第1ハンドユニット200を下降させ、圧力調整手段490により加えた圧力よりも大きい力で検査用個別ソケット161に押しつけると、
図28に示すように、揺動部本体411が係止部414から離れて、揺動しながら検査用個別ソケット161の傾きに追従する。これにより、ICデバイス9を検査用個別ソケット161の面に均一に押圧することができる。
【0117】
揺動部本体411の下側には、遊動手段420を介して遊動体430が配置されている。遊動手段420は、ベアリング等の複数の鋼球421で構成されている。鋼球421は、鋼球421の平面移動(X、Y方向への移動および回転)を可能とする空間S2内に配置されている。遊動体430は、鋼球421が空間S2内を転がることにより、揺動部本体411に対してX、Y方向に移動したり、Z軸まわり(θ方向)に回転したりすることができる。そのため、デバイスチャック220に保持したICデバイス9が、検査用個別ソケット161に対してX、Y、θ方向にずれている場合であっても、より精度よくICデバイス9を検査用個別ソケット161に押圧することができる。
【0118】
また、揺動機構400は、揺動部本体411に対して移動した遊動体430の位置を元の位置(自然状態)に戻す復元手段として、遊動体430に固定された板バネ417を有しており、この板バネ417に揺動部本体411が4方向で接している。例えば、遊動体430がX方向に移動すると、Y方向にある板バネ417がX方向に撓み、板バネ417の応力により遊動体430を元の位置に戻そうとする。同様に、遊動体430がY方向またはθ方向に移動しても、板バネ417の応力によって、遊動体430を元の位置に戻そうとする。これにより、ICデバイス9の試験終了後に遊動体430が元の位置に復元され、次に試験を受けるICデバイス9の吸着がし易くなる。なお、本実施形態では復元手段に板バネを用いているが、その他にもコイルばね(圧縮ばね、引っ張りばね)、ゴム等の弾性体等を用いてもよい。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0119】
<第3実施形態>
次に、本発明の電子部品検査装置の第3実施形態について説明する。
図29は、本発明の第3実施形態にかかる電子部品検査装置が有する配管群を示す図である。
以下、第3実施形態の電子部品検査装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0120】
本発明の第3実施形態にかかる電子部品検査装置は、配管群に設置されている電磁弁の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図29に示すように、本実施形態の電子部品検査装置100’は、チャッキング用配管R42、R44、R46、R48と供用配管R32、R34、R36、R38とが連通する状態と、冷却用配管R52、R54、R56、R58と供用配管R32、R34、R36、R38とが連通する状態とを切り替える電磁弁(切替部)552、554、556、558を有している。電磁弁552は、第1実施形態の電磁弁512、522の代わりに設けられ、これら2つの電磁弁の機能を兼ねている。同様に、電磁弁554は、第1実施形態の電磁弁514、524の代わりに設けられ、これら2つ電磁弁の機能を兼ねている。また、電磁弁556は、第1実施形態の電磁弁516、526の代わりに設けられ、これら2つ電磁弁の機能を兼ねている。また、電磁弁558は、第1実施形態の電磁弁518、528の代わりに設けられ、これら2つ電磁弁の機能を兼ねている。これら電磁弁552、554、556、558の駆動は、それぞれ、制御装置110(温度制御部113)によって制御される。これら電磁弁552、554、556、558は、それぞれ、その役割を果たすことができる限り、他の切替機構に変更することもできるし、異なるタイプの電磁弁を用いることもできる。
【0121】
次に、電磁弁552、554、556、558の制御について説明する。
検査装置190に第1ハンドH1を配置する場合は、電磁弁552、554、556、558をそれぞれ
図29に示す状態とする。これにより、チャッキング用配管R41〜R48が連結ポートP31〜P38と接続された状態となり、各第1ハンドユニット200でICデバイス9の吸着と開放とを行うことができる。
【0122】
一方、検査装置190に第2ハンドH2を配置する場合は、温度センサー243からの情報(ICデバイス9の温度)に基づいて、温度制御部113が電磁弁552、554、556、558の駆動を制御し、噴射ノズル292’からの冷却用ガスGの噴射/停止を切り替えることにより、ICデバイス9の所定温度範囲に維持する。
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0123】
[冷却システム]
次に、本発明の冷却システムについて説明する。
図30は、従来の電子部品検査装置が有する配管を示す図である。
図31は、従来の電子部品検査装置が有する電気配線を示す図である。
図32および
図33は、それぞれ、
図30および
図31に示す電子部品検査装置に組み込まれた本発明の冷却システムの好適な実施形態を示す図である。
従来の電子部品検査装置100”は、前述した電子部品検査装置100に対して第2ハンドH2を有していない構成となっている。そのため、電子部品検査装置100”は、第2ハンドH2用の配管や電気配線を有していない。
【0124】
すなわち、従来の電子部品検査装置100”は、
図30に示すように、連結ポートP31、P33、P35、P37と気体吸引部610および気体供給部620とを接続するチャッキング用配管(第1吸着用経路)R41、R43、R45、R47と、連結ポートP32、P34、P36、P38と気体吸引部610および気体供給部620とを接続するチャッキング用配管(第2吸着用経路)R42、R44、R46、R48と、チャッキング用配管R41〜R48の途中に配置された電磁弁531〜538、541〜548とを有している。また、
図31に示すように、従来の電子部品検査装置100”は、制御装置110と接続端子CT11、CT13、CT15、CT17とを接続する第1電気配線(第1電気経路)L11、L12、L13、L14と、制御装置110と接続端子CT12、CT14、CT16、CT18とを接続する第2電気配線L21、L22、L23、L24とを有している。
【0125】
冷却システム800は、このような電子部品検査装置100”に組み込むことで前述した電子部品検査装置100と同様の構成とすることのできるシステムである。このような冷却システム800によれば、従来の電子部品検査装置100”を利用することができ、冷却機能付きの電子部品検査装置を新たに購入しなくてもよい分、コスト減を図ることができる。
【0126】
図32および
図33に示すように、冷却システム800は、前述した電子部品検査装置100には予め組み込まれている電磁弁512、514、516、518と、電磁弁522、524、526、528と、冷却用配管R52、R54、R56、R58と、リレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4と、第4電気配線L41、42、43、44と、を有しており、必要に応じてさらに第2ハンドH2を有している。
【0127】
冷却システム800の設置方法としては、例えば、まず、チャッキング用配管R42、R44、R46、R48の途中に電磁弁512、514、516、518を配置する。次に、電磁弁512、514、516、518と気体供給部620とを接続するように冷却用配管R52、R54、R56、R58を設置し、さらに、冷却用配管R52、R54、R56、R58の途中に電磁弁522、524、526、528を設置する。そして、各電磁弁512〜518、522〜528を制御装置110に接続する。このような構成では、チャッキング用配管R42、R44、R46、R48の電磁弁512、514、516、518よりも第1、第2ハンドH1、H2側の部分が、チャッキング用配管R42、R44、R46、R48と冷却用配管R52、R54、R56、R58の共用部分である供用配管R32、R34、R36、R38となる。そのため、配管の増加を抑えることができる。
【0128】
また、例えば、まず、第2電気配線L21、L22、L23、L24の途中にリレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4を配置する。次に、リレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4に第4電気配線L41、L42、L43、L44を介して電磁弁522、524、526、528を接続する。このような構成では、第2電気配線L21、L22、L23、L24のリレーRy1、Ry2、Ry3、Ry4よりも制御装置110側の部分が、制御装置110と接続端子CT12、CT14、CT16、CT18とを接続する電気配線と、制御装置110と電磁弁522、524、526、528とを接続する電気配線との共用部分である供用電気配線(供用電気経路)となる。そのため、電気配線の増加を抑えることができる。
以上により、電子部品検査装置100”への冷却システム800の設置が完了し、前述した電子部品検査装置100と同様の構成となり、第1ハンドH1と第2ハンドH2とを選択して使用することができるようになる。
【0129】
なお、本実施形態の冷却システム800は、電磁弁512、514、516、518と、電磁弁522、524、526、528とを有しているが、これら電磁弁512、514、516、518、522、524、526、528に替えて電磁弁552、554、556、558を有していてもよい。このような構成の冷却システム800を従来の電子部品検査装置100”に組み込むことで、前述した電子部品検査装置100’と同様の構成となる。
以上、本発明の電子部品搬送装置、電子部品検査装置および冷却システムについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0130】
前述した実施形態では、X方向×Y方向=2×4の計8つの第1ハンドユニット200を有する第1ハンドH1について説明したが、第1ハンドユニット200の数は、第1ハンドH1が2つ以上の吸着孔を有していれば、特に限定されず、1個や2個であってもよいし、例えば、X方向×Y方向=2×2の計4個の第1ハンドユニット200が配置された構成であってもよいし、X方向×Y方向=4×4の計16個の第1ハンドユニット200が配置された構成であってもよい。第2ハンドユニット300についても、同様である。
【0131】
また、前述した実施形態では、X方向×Y方向=2×4の計4つの第1ハンドユニット200’を有する第2ハンドH2について説明したが、第1ハンドユニット200’の数は、吸着孔の合計数が、第1ハンドH1が有する吸着孔の数の半分以下となれば、特に限定されず、1個や2個であってもよいし、X方向×Y方向=2×4の計8個の第1ハンドユニット200’が配置された構成であってもよい。第2ハンドユニット300’についても、同様である。
また、前述した実施形態では、各ハンドユニットが1つの吸着孔を有し、1つのICデバイスを吸着するよう構成されているが、ハンドユニットの構成としては、これに限定されず、複数の吸着孔を有し、複数のICデバイスを吸着するように構成されていてもよい。