(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のセンサが検知した情報を親機に送信する無線通信システムを、双方向通信型で実現する場合、次に示す問題が生じる。
【0008】
親機は、質問信号を送信する送信期間と、応答信号を受信する受信期間とを、交互に繰り返す。親機は、送信系と受信系が搬送波として同一周波数を利用する場合に、質問信号を送信する送信期間に応答信号を受信することはできない。したがって、親機の送信期間中に、子機が親機に応答信号を送信しても、親機は応答信号を受信できない。
【0009】
したがって、子機がセンサの検知情報を取得しても、その情報を親機が取得できず、システム制御部では、子機が検知情報を取得していないように判断されてしまう。
【0010】
本発明の目的は、双方向通信型を用いた場合でも、子機の検知情報を途切れることなく、より確実にシステム制御部へ提供できる無線式情報取得システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、親機と子機とシステム制御部を備えた無線式情報取得システムに関する。システム制御部と親機は、無線もしくは有線で接続されている。親機は、送信期間と受信期間を交互に設け、送信期間中に質問信号を送信し、受信期間中に応答信号を受信する。子機は、質問信号を受信して、子機情報が重畳された応答信号を送信する。さらに、本発明の無線式情報取得システムは次の特徴を有する。親機は、受信期間には応答信号を受信した時に該応答信号に含まれる子機情報をシステム制御部にアップロードし、送信期間中には応答信号を送信した子機の送信間隔に基づいて子機情報を補間してシステム制御部にアップロードする。
【0012】
この構成では、送信期間中に子機からの応答信号を受信できなくても、当該送信期間の前の受信期間での応答信号の受信状態に応じて、子機情報が補間されて、アップロードされる。これにより、子機情報がある可能性が高い送信期間において、子機情報を欠損させることなく、アップロードすることができる。
【0013】
また、この発明は、親機と子機とシステム制御部を備えた無線式情報取得システムに関する。システム制御部と親機は、無線もしくは有線で接続されている。親機は、送信期間と受信期間を交互に設け、送信期間中に質問信号を送信し、受信期間中に応答信号を受信する。子機は、質問信号を受信して、子機情報が重畳された応答信号を送信する。さらに、本発明の無線式情報取得システムは次の特徴を有する。親機は、受信期間には、応答信号を受信した時に、応答信号に含まれる子機情報をシステム制御部にアップロードする。システム制御部は、親機の受信期間にアップロードされた子機情報をもとに親機の送信期間中の子機情報を補間する。
【0014】
この構成では、応答信号が親機の送信期間中に送信されても、システム制御部で子機情報の欠損を補間できる。
【0015】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、次の構成であることが好ましい。子機は、情報取得対象の動きを検出するセンサを備える。子機は、センサからセンサ検知情報を得られた場合に、子機情報にセンサ検知情報を含むようにして応答信号を送信する。親機は、センサ検知情報が含まれていることを検出すると、送信期間中に子機情報を
補間してアップロードする。
【0016】
この構成では、センサ検知情報が得られた場合にのみアップロードされるので、親機を省電力化できる。
【0017】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、子機は、センサが動作もしくは物理量を検知したことを示すセンサ検知情報に含まれるセンサ検知回数が増加するほど応答信号の送信間隔を短くすることが好ましい。
【0018】
この構成では、センサON情報の発生頻度に応じて、子機が親機に当該センサON情報を含む応答信号を送信することができる。これにより、情報取得対象に対する検知情報を、情報取得対象の状態に応じて適切に把握することができる。例えば、センサON情報が頻繁に発生すれば、より素早くセンサON情報を親機に送信することができる。これにより、情報取得対象に対する検知情報を詳細に把握することができる。
【0019】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、子機は、センサが動作もしくは物理量を検知したことを示すセンサ検知情報が一定時間得られないことを検出すると、応答信号の送信間隔を長くすることが好ましい。
【0020】
この構成では、センサON情報が得られなくなると、応答信号の送信間隔を長くなるので、不必要に応答信号を送信することを抑制できる。これにより、子機の省電力化を実現できる。
【0021】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、親機は、応答信号の送信間隔が短くなるほど、子機情報のアップロードの間隔を短くすることが好ましい。
【0022】
この構成では、子機情報の取得頻度に応じた間隔で、当該子機情報をアップロードすることができる。
【0023】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、次の構成であることが好ましい。親機は、質問信号を複数のパルス波の連続波からなるパルスバースト波で形成し、各パルス波に固有のパルス識別情報を重畳する。子機は、質問信号の受信タイミングのパルス識別情報を取得して、該パルス識別情報から応答信号の送信タイミングを決定する。
【0024】
この構成では、子機は、最初に質問信号を受けてから応答信号を送信する際に、当該質問信号を受けた送信期間中に応答信号を送信することを防止できる。また、受信期間内においてできる限り送信期間に近いタイミングを選択できる等、受信期間の有効利用につながる応答信号の送信タイミングを設定することができる。
【0025】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、親機は複数であり、該複数の親機は、質問信号の送信タイミングを一致させることが好ましい。
【0026】
この構成では、親機が複数存在することで、これらを広範囲に配置すれば、子機情報を広い範囲で取得することができる。
【0027】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、子機は複数であり、複数の子機は、自身の応答信号の送信前に他の子機の送信状況を検知し、他の子機が送信していないと判断すると応答信号を送信することが好ましい。
【0028】
この構成では、複数の子機が送信する応答信号が衝突しないので、親機は、各子機の応答信号を確実に受信することができる。これにより、各子機で得られるセンサ検知情報を確実にアップロードすることができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、双方向通信型を用いても、子機で取得した検知情報を、途切れることなく、より確実にシステムへ提供できる
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第1の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線式情報取得システムの構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る無線式情報取得システムの送受信概念を示す図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る親機が子機に送信するパルスバースト波の具体的な波形例を示す図である。なお、以下の説明では、親機、子機ともに一台の場合例に示すが、親機が複数台の場合、子機が複数台の場合、親機、子機ともに複数台の場合についても、本実施形態の構成を適用することができる。
【0032】
まず、情報取得システム10の機能構成について、
図1を参照して説明する。
【0033】
図1に示すように、情報取得システム10は、親機20、子機31、およびシステム制御装置40を備える。なお、親機数および子機数は複数であってもよく、個々の親機及び子機は基本的に
図1に示す親機20および子機31の構成を有する。
【0034】
親機20は、電源200、親機制御部201、質問信号生成部202、送受切替部203、アンテナ204、親機受信部205、システム側送受信部206、および、システム側アンテナ207を備える。親機20は、例えば無線のアクセスポイントである。電源200は、親機20の各部に電源供給をする。
【0035】
親機制御部201は、親機20全体の制御を行い、例えば、送信期間と受信期間を設定したり、質問信号Spbの送信条件を設定したりする。また、親機制御部201は、復調された応答信号Srep,Sreから、センサ検知情報を含む子機情報を取得する。
【0036】
親機制御部201は、取得した子機情報からアップロードデータDrep,Dreを生成し、システム側送受信部206に与える。この際、具体的な処理は後述するが、親機制御部201は、必要に応じてアップロードデータDreを補間して、システム側送受信部206に与える。親機制御部201は、システム側送受信部206に対して、復調された応答信号Srep,Sreの受信タイミングに準じて、アップロードデータDrep,Dreの送信タイミングを与える。
【0037】
質問信号生成部202は、与えられた送信条件(パルスバースト波の時間長(バースト時間長)Ttxp)に基づいて、連続する複数のパルス波によって形成されたパルスバースト波からなる質問信号Spbを生成し、送受切替部203へ出力する。この際、質問信号生成部202は、各パルス波に対してパルス番号Bを重畳させている。
【0038】
送受切替部203は、例えばスイッチ回路であり、送信期間は質問信号生成部202とアンテナ204を接続し、受信期間は親機受信部205とアンテナ204を接続する。これにより、送信期間では、質問信号生成部202から出力された質問信号Spbは、送受切替部203を介してアンテナ204に供給され、当該アンテナ204から外部へ送信される。一方、受信期間では、アンテナ204が受信した外部からの信号(応答信号Sreを含む)を、親機受信部205に出力する。
【0039】
親機受信部205は、受信信号を検波し、受信信号が応答信号Srep,Sreであれば、当該応答信号Srep,Sreを復調して、親機制御部201に出力する。
【0040】
システム側送受信部206は、親機制御部201から与えられたアップロードデータDrep,Dreを、同じく親機制御部201から与えられたアップロード用の送信タイミングで、システム側アンテナ207から送信する。なお、親機20とシステム制御装置40とのデータ送受信は、本実施形態のようにアンテナ207とアンテナ403との通信ではなく、有線ネットワーク等による他の手段よって通信することにしてもよい。
【0041】
子機31は、電池310、子機制御部311、子機受信部312、送受切替部313、アンテナ314、応答信号生成部315、および、センサ316を備える。子機31のセンサ316を除く部分は、情報取得対象に装着されたアクティブRFIDタグである。
【0042】
センサ316は、情報取得対象に装着され、情報取得対象の動きを検出すると、センサON情報を発生する。センサ316は、情報取得対象の動きを検出可能なセンサであって、例えばチルトスイッチ(傾斜スイッチ)、加速度センサ、角速度(ジャイロ)センサ、地磁気センサ等のモーションセンサが用いられる。
【0043】
電池310は、子機31の各部に電源供給する。電池310は、一次電池であってもよく二次電池であってもよい。
【0044】
子機制御部311は、子機31全体の制御を行う。子機制御部311は、復調された質問信号Spbが応答すべき質問信号であるかどうかを検出したり、復調された質問信号Spbのパルス番号Bを検出して、当該パルス番号Bから最初の応答信号Srepの送信タイミングを決定する。
【0045】
子機制御部311は、センサ316からセンサON情報を取得していれば、当該センサON情報を含むセンサ検知情報を生成し、センサ316からセンサON情報を取得していなければ、センサON情報を含まないセンサ検知情報を生成する。子機制御部311は、センサ検知情報と子機識別情報とを含む子機情報を生成する。より具体的には、子機制御部311は、子機情報の生成間隔(応答信号の送信間隔に対応する)に対応する時間内に、センサON情報が何回含まれているかをカウントする。子機制御部311は、センサON情報があるかないかを示す情報として、センサON情報の回数をセンサ検知情報として生成する。すなわち、センサON情報が検出できれば、その回数を示すセンサ検知情報(センサカウントMC≠0)を生成し、センサON情報が検出できなければ、回数「0」のセンサ検知情報(センサカウントMC=0)を生成する。
【0046】
また、子機制御部311は、センサON情報に基づいて、応答信号の送信間隔Trep1,Trep2を選択する。具体的には、子機制御部311は、回数が「0」の場合には送信間隔Trep1を選択し、回数が「0」でない場合には送信間隔Trep2(<Trep1)を選択する。
【0047】
子機受信部312は、受信した信号を検波し、質問信号Spbを検出して復調する。送受切替部313は、例えばスイッチ回路であり、親機20の受信期間は、アンテナ314と応答信号生成部315とを接続し、それ以外の期間(親機20の送信期間)は、アンテナ314と子機受信部312とを接続する。
【0048】
応答信号生成部315は、子機制御部311から与えられる最初の応答信号Srepの送信タイミングおよび送信間隔Trep1,Trep2に基づいて、応答信号Srep,Sreを生成する。応答信号生成部315は、子機31に固有の子機識別情報(子機識別ID)とセンサ検知情報から子機情報を生成する。応答信号生成部315は、子機情報を応答信号Srep,Sreに重畳し、送受切替部313、アンテナ314を介して送信する。
【0049】
システム制御装置40は、制御部401、受信部402、アンテナ403、記録デバイス410を備える。制御部401は、システム制御装置40全体の制御を行う。制御部401は、アップロードデータDrep,Dreを、記録デバイス410に記憶、保存したり、アップロードデータDrep,Dreに基づいて、情報取得対象の動作等を観測する等のアプリケーションを実行する。なお、このアプリケーションは、例えば記録デバイス410に記憶しておき、制御部401が読み出して実行すればよい。
【0050】
受信部402は、アンテナ403を介して受信した無線信号から、アップロードデータDrep,Dreを復調する。受信部402は、アップロードデータDrep,Dreを制御部401に出力する。
【0051】
なお、本実施形態では、システム制御装置40は、親機20から無線信号を受信するだけの構成であるが、親機20に対して、制御データ等を送信する構成を備えていてもよい。例えば、親機20が複数台存在する場合、システム制御装置40は、各親機20に対して同期基準信号を送信する。各親機20は、この同期基準信号に同期して、質問信号Spbを送信する。このような構成を用いることで、複数の親機20の質問信号Spbのタイミングが一致するので、子機31が第1の親機20の通信範囲から第2の親機20の通信範囲に移動しても、応答信号Sreの送信タイミングを再設定する必要が無い。
【0052】
次に、具体的な本実施形態の質問信号Spbと応答信号Sreを用いた送受信と、アップロードデータの送信概念について説明する(
図2、
図3参照)。
【0053】
親機20は、振幅レベルがHiの期間(送信期間)と振幅レベルがLowの期間(受信期間)とを1つの送受サイクル(サイクル時間Ttrp)として、子機31への質問信号Spbの送信と子機31から応答信号Sreの受信を繰り返し行う。振幅レベルがHiの期間である送信期間は、すなわちパルスバースト波の時間長(バースト時間長)Ttxpは、例えば親機20が送信する送信距離に基づいて決定されている。また、振幅レベルがLowの期間である受信期間は、子機31に対する通信頻度等によって設定される。例えば、通信頻度を上げる場合には受信期間を短くし、通信頻度を上げる必要が無い場合には受信期間を長く設定する。
【0054】
例えば、具体的な例としては、次のような送信期間と受信期間の組合せがある。第1の組合せとしては、送受サイクル時間Ttrpが60秒であり、送信期間(=バースト時間長Ttxp)が10秒であり受信期間が50秒である。第2の組合せとしては、送受サイクル時間Ttrpが20秒であり、送信期間(=バースト時間長Ttxp)が5秒であり受信期間が15秒である。第3の組合せとしては、送受サイクル時間Ttrpが6秒であり、送信期間(=バースト時間長Ttxp)が2秒であり受信期間が2秒であり、パルスバースト波の繰り返し周期(質問信号繰り返し周期)は4秒である。なお、上記組合せは任意であり、使用状況や使用目的によって適宜変更可能である。
【0055】
子機31は、センシング期間Tsenに質問信号Spbを検出すると、この検出タイミングからウェイト時間Twat後に、応答信号Srepを生成して送信する。なお、ウェイト時間Twatは、応答信号Srepの送信タイミングが親機20の受信期間内になるように適宜設定されている。なお、このウェイト時間Twatは、後述する方法により、より精確に設定することができる。
【0056】
子機31は、センサ316からのセンサON情報を取得して、センサ検知情報が含まれる子機情報を応答信号Srepに重畳し、応答信号Srepを送信する。この際、子機31は、他の装置(他の子機等)が応答信号等を送信していないかどうかプレセンスを行い、他の装置が応答信号等の送信を行っていなければ、応答信号Srepを送信する。なお、
図2の例では、この最初の応答信号Srepの生成タイミングで、センサON情報を取得していないので、回数「0」のセンサ検知情報(センサカウントMC=0)を生成する。
【0057】
また、子機31は、回数「0」のセンサ検知情報であることに基づいて、次の応答信号までの送信間隔をTrep1に設定する。
【0058】
子機31から送信された応答信号Srepは、親機20で受信される。親機20は、応答信号Srepから子機情報を復調し、アップロードデータDrepを生成し、システム制御装置40に送信する。この際、親機20は、子機31からの応答信号Srepの受信タイミングを基準タイミングにして、アップロードデータDrepを送信する。
【0059】
次に、子機31は、応答信号Srepの送信タイミングから、送信間隔Trep1の時間経過後に、応答信号Sreを送信する。この際、
図2に示すように、子機31は、センサON情報を取得している。したがって、子機31は、回数「0」でないセンサ検知情報(センサカウントMC≠0)を含む子機情報を重畳した応答信号Sreを送信する。この際、子機31は、他の装置(他の子機等)が応答信号等を送信していないかどうかプレセンスを行い、他の装置が応答信号等の送信を行っていなければ、応答信号Sreを送信する。このプレセンスは、以降、子機31が応答信号の送信を行う毎に行われる。
【0060】
さらに、子機31は、回数「0」でないセンサ検知情報を検出したことに基づいて、次の送信間隔Trep2(<Trep1)を設定する。すなわち、子機31は、回数「0」でないセンサ検知情報を検出した場合には、回数「0」のセンサ検知情報を検出した場合よりも送信間隔を短くする。このように送信間隔を切り換えることで、情報取得対象に動きがある場合、すなわち観測間隔を短くする方が有効な場合に、センサ検知情報をより多い頻度で親機20に送信することができる。
【0061】
子機31から送信された応答信号Sreは、親機20で受信される。親機20は、応答信号Sreから子機情報を復調し、アップロードデータDreを生成し、システム制御装置40に送信する。また、親機20は、回数「0」でないセンサ検知情報を含む応答信号Sreを検出したことに基づいて補間フラグをON状態にする。この際、親機20は、子機31からの応答信号Sreの受信タイミングを基準タイミングにして、アップロードデータDreを送信する。
【0062】
ここで、上述のように、子機31からの応答信号の送信間隔が切り替わることで、応答信号の受信タイミングを基準としたアップロードデータの送信間隔も切り替わる。したがって、情報取得対象に動きがある場合、すなわち観測間隔を短くする方が有効な場合に、センサ検知情報をより多い頻度でシステム制御装置40にアップロードすることができる。
【0063】
このような処理を受信期間中に繰り返した後、親機20は、送信期間に切り替わる。ここで、応答信号の送信間隔によっては、応答信号が親機20の送信期間内に送信されることがある。この場合、親機20は、応答信号を受信できない。
【0064】
このため、親機20は、応答信号の受信タイミングを記憶しておき、親機20における応答信号の受信間隔を取得する。すなわち、親機20は、子機31での応答信号の送信タイミングを記憶しておき、子機31に対する応答信号の送信間隔を取得する。
【0065】
そして、親機20は、送信期間に切り替わり、送信期間に切り替わる直前の応答信号の受信タイミングから受信間隔時間が経過したこと、および、補間フラグがON状態であることを検出すると、補間用のアップロードデータDreを生成して、システム制御装置40に送信する。この際、親機20は、直前の応答信号に含まれる子機情報を用いて補間用のアップロードデータDrecを生成する。
【0066】
このような処理を行うことで、親機20が子機31に対して送信期間であっても、受信する可能性の高い応答信号に基づいて、システム制御装置40に子機情報をアップロードすることができる。これにより、親機20の送信期間で応答信号が受信できないことによる子機情報の欠落をより確実に
補間でき、アップロードデータDreと補間用のアップロードデータDrepにより、情報取得対象の動きを継続的に観測することができる。なお、本実施形態では、センサ検出情報に応じて送信間隔を切り替える例を示したが、送信間隔を切り替えない場合であっても、応答信号の送受信タイミングが親機20の送信期間内になる場合には、上述の処理を適用して、補間用のアップロードデータをシステム制御装置40に送信することができる。また、センサ検出情報の有無に関係なく、すなわち、子機31にセンサ316が備えられていなくても、応答信号の送受信タイミングが親機20の送信期間内になる場合には、上述の処理を適用して、補間用のアップロードデータをシステム制御装置40に送信することができる。
【0067】
なお、質問信号Spbを次に示す信号とすることにより、子機31が最初に質問信号Spbを受信した後の応答信号Srepの送信タイミングをより精確に設定することができる。質問信号Spbにおける送信期間に相当するパルスバースト波は、
図3に示すように、パルス繰り返し周期Tbで連続的に発生する複数のパルス波によって形成されている。
【0068】
各パルス波は個別に変調されており、各パルスに固有のパルス番号が重畳されている。より具体的には、
図3に示すように、パルス数(パルスバースト波に含まれるパルス波の個数)がn+1の場合には、パルス番号は、パルスバースト波(振幅レベルがHiの期間)の立ち下がり側を基準として、パルスバースト波の立ち上がり方向に沿って、B(0),B(1),・・・,B(n−1)の順で設定され、立ち上がりのパルス番号はB(n)に設定されている。パルス番号は整数である。
【0069】
子機31は、所定の周期で親機20からの質問信号Spbをセンシングする。この際、子機31の子機制御部311は、最初に質問信号Spbを受信するまでは、センシングを行う期間(
図2のセンシング期間Tsen)のみ、子機受信部312の電源をオン状態にし、アンテナ314で受信した信号を検波する。子機制御部311は、センシングを行う期間以外では、子機受信部312の電源をオフ状態(スリープ状態)にする。また、子機制御部311は、最初に質問信号Spbを受信するまでは、応答信号生成部315の電源をオフ状態にする。これにより、子機31の消費電力を低減することができ、電池310を長寿命化することができる。この、最初の質問信号Spbを検出するまでのセンシング間隔、すなわち応答繰り返し周期Trepは、バースト時間長Ttxp以下に設定されている(Trep≦Ttxp)。これにより、子機31は、質問信号Spbを確実に検出することができる。
【0070】
なお、子機31のセンシング期間Tsenは、パルス波の繰り返し周期Tbよりも長く設定されている。なお、センシング期間Tsenは、パルス波の繰り返し周期Tb以上であればできる限り短い方が好ましい。これにより、センシング期間Tsenによってパルス波1つ分を確実に受信でき、パルス番号Bを確実に検出することができる。さらに、必要以上にセンシング期間Tsenが長くならないので、省電力化できる。
【0071】
子機31は、センシング期間において質問信号Spbを検出すると、復調された質問信号Spbからセンシングタイミングでのパルス番号Bを検出する。子機31は、パルス番号Bを用いて、次式から応答信号Sreを送信するまでのウェイト時間Twatを算出する。
【0072】
Twat=A*B*Tb+Trw
ここで、Aは1以上の係数であり、Trwは子機31が設定する乱数値である。なお、乱数値Trwは固定値であってもよく、省略することもできる。
【0073】
このようなウェイト時間Twatの設定を行うことで、ウェイト時間Twatは、パルスバースト波の立ち下がりタイミング、すなわち送信期間から受信期間に切り替わるタイミングと子機31が質問信号Spbを検出したタイミングとの時間差(時間長)に応じた値となる。例えば、パルスバースト波の立ち上がり付近で子機31が質問信号Spbを検出すれば、ウェイト時間Twatは長くなり、パルスバースト波の立ち下がり付近で子機31が質問信号Spbを検出すれば、ウェイト時間Twatは短くなる。
【0074】
これにより、応答信号Srepの送信タイミングは、確実に親機20の受信期間内となる。また、質問信号Spbの検出タイミングに応じてウェイト時間Twatが設定されるので、ウェイト時間Twatが不要に長くならず、適切なタイミングで応答信号Srepを送信することができる。
【0075】
さらに、乱数を用いることで、後述する子機が複数存在する場合であって、質問信号Spbの検出タイミングが複数の子機で一致しても、乱数によりウェイト時間Twatが子機毎に異なりやすい。したがって、各子機の応答信号Srepが衝突する可能性を低くすることができる。
【0076】
このように、本実施形態に示す質問信号Spbを用いれば、最初の応答信号Srepを、確実に親機20の受信期間内に送信することができる。
【0077】
次に、親機20と子機31の処理フローについて説明する。なお、上述の構成と送受信概念の説明と重複する箇所は説明を簡略化する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る親機の処理を示すフローチャートである。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る子機の処理を示すフローチャートである。
【0078】
[親機20の処理フロー(
図4参照)]
親機20は、まず送受信サイクル時間Ttrpの計測を開始する(S101)。親機20は、この計測開始処理とともに質問信号Spbの送信を開始する(S102)。
【0079】
親機20は、補間フラグがON状態であれば(S103:YES)、子機情報をアップロードする(S131)。親機20は、補間フラグがON状態でなければ(S103:NO)、子機情報をアップロードしない。
【0080】
親機20は、質問信号送信期間が終了するまでは(S104:NO)、ステップS103,S131に示す状況に応じたアップロード処理を繰り返す。親機20は、質問信号送信期間が終了すると(S104:YES)、受信期間に切り替わる。
【0081】
親機20は、応答信号Sreを受信すると(S105)、子機情報を取得して、センサON情報を解析する。親機20は、センサON情報がある、すなわち回数「0」でないセンサON情報を検出すると(S106:YES)、補間フラグをON状態にして(S161)、子機情報を含むアップロードデータをシステム制御装置40に送信する(S107)。親機20は、センサON情報がない、すなわち回数「0」のセンサON情報を検出すると(S106:NO)、補間フラグをON状態にせず、子機情報を含むアップロードデータをシステム制御装置40に送信する(S107)。なお、補間フラグがON状態のときに、一定期間以上、センサON情報がないことを検出すると、補間フラグをOFFに切り替える。
【0082】
親機20は、送受サイクル時間Ttrpに達するまでは(S108:NO)、ステップS105,S106,S107,S161の処理を繰り返す。親機20は、送受サイクル時間Ttrpに達すると(S108:YES)、送信期間に切り替わり、上述のステップS101から始まる処理に戻る。
【0083】
[子機31の処理フロー(
図5参照)]
子機31は、起動すると、質問信号Spbをプレセンスする(S201)。子機31は、質問信号Spbを検出できなければ(S202:NO)、質問信号Spbに対するプレセンスを繰り返す(S201)。
【0084】
子機31は、質問信号Spbを検出すると(S202:YES)、バースト波番号からスリープ時間を算出し(S203)、当該スリープ時間に基づいてスリープ処理を行う(S204)。
【0085】
子機31は、スリープ処理後に、他の応答信号に対するプレセンスを行う(S205)。他の応答信号を検出した場合、すなわち他の子機が送信中であることを検出した場合(S206:YES)、送信ウェイト処理を実行し(S221)、所定時間後に再度プレセンスを行う(S205)。
【0086】
子機31は、他の子機が送信中でないことを検出すると(S206:NO)、センサON情報の回数であるセンサカウントMCを読み出す。
【0087】
子機31は、センサカウントMCが「0」でなければ(S206:YES)、当該センサカウントMCの値(センサON情報の回数)を含む子機情報を生成して、当該子機情報を含む応答信号Sreを送信する(S208)。そして、子機31は、センサON情報有り(センサカウントMC≠0)の送信間隔Trep2の間、スリープ処理して(S209)、ステップS205に戻る。
【0088】
子機31は、センサカウントMCが「0」であれば(S206:NO)、当該センサカウントMCの値=「0」(センサON情報の回数「0」)を含む子機情報を生成して、当該子機情報を含む応答信号Sreを送信する(S231)。さらに、子機31は、センサカウントMCが「0」である期間を計時するためのタイマカウントを開始する(S232)。
【0089】
子機31は、タイマカウント処理がタイムアップしなければ(S233:NO)、センサON情報有りの送信間隔Trep2の間、スリープ処理して(S209)、ステップS205に戻る。子機31は、タイマカウント処理がタイムアップしていれば(S233:YES)、センサON情報無しの送信間隔Trep1(>Trep2)の間、スリープ処理して(S234)、ステップS205に戻る。
【0090】
なお、子機31は、応答信号の送信間隔の期間中に、センサ316からのセンサON情報に基づいて、次の割り込み処理を実行する。子機31は、センサ316からセンサON情報を取得すると、センサカウントMCをインクリメントするとともに(S291)、タイマカウント処理を初期値(「0」)にリセットする(S292)。
【0091】
親機20と子機31がこのような処理を行うことにより、上述のような本実施形態の作用効果を得ることができる。また、
図4に示すように、補間フラグがON状態でなければ子機情報をアップロードしないようにすることで、システム制御装置40へのアップロードを、情報取得対象の観測のための必要最小限に抑えることができ、親機20を省電力化することができる。なお、補間フラグがON状態でなくても、子機情報をシステム制御装置40にアップロードしてもよい。また、
図5に示すように、センサカウントMC=0の時、所定時間を待って送信間隔を切り替える例を示したが、センサカウントMC=0を検出したタイミングで送信間隔を切り替えてもよい。ただし、所定時間を待って送信間隔を切り替えることにより、子機31と親機20の突発的な送受信エラー等が生じても、送受信エラーの影響を抑制してアップロードすることができ、情報取得対象の観測に対するロバスト性を向上させることができる。
【0092】
なお、上述の説明では、親機20におけるアップロードデータの補間を行う送信期間の直前の受信期間での応答信号の受信状況に応じて、補間用のアップロードデータを決定する例を示した。しかしながら、親機20からシステム制御装置40へのアップロードを、子機31からの応答信号の受信タイミングから遅らせることで、親機20におけるアップロードデータの補間を行う送信期間の前後の受信期間での応答信号の受信状況に応じて、補間用のアップロードデータを決定することもできる。この場合、例えば、前後の受信期間で同様のセンサON情報を得られた場合に、当該センサON情報を含む子機情報を生成して、当該子機情報を含むアップロードデータを生成して送信するとよい。
【0093】
本実施形態に示す無線式情報取得システムは、次に示すような応用アプリケーションに適用することができる。
図6は、本発明の無線式情報取得システムを適用した応用アプリケーションの一例を示す概略構成図である。
【0094】
図6に示すように、情報取得システム10Aが適用される応用アプリケーションは所在管理システムである。情報取得システム10Aには親機21,22、子機31、システム制御装置40が属している。親機21,22は、上述の親機20と同じ構成からなる。親機21,22は、ネットワークを通じてシステム制御装置40に接続されている。親機21は領域901に配置されており、親機22は領域902に配置されている。子機31は、情報取得対象である人90に装着されている。
【0095】
図6(A)に示すように、人90が領域901内で静止している時、子機31は、センサON情報がない応答信号(センサカウントMC=0の応答信号)を送信する。親機21は、この応答信号を受信して、必要に応じてシステム制御装置40にアップロードする。アップロードした場合には、システム制御装置40は、アップロードデータに基づいて、人90が領域901内で静止していること、もしくは、子機31が領域901内に置かれていることを検出する。
【0096】
図6(B)に示すように、人90が領域901内を移動している時、子機31にてセンサON情報が順次取得される。子機31は、センサON情報がある応答信号(センサカウントMC≠0の応答信号)を送信する。親機21は、この応答信号を受信して、システム制御装置40にアップロードする。システム制御装置40は、アップロードデータに基づいて、人90が領域901内を移動していることを検出する。
【0097】
この際、移動時間が長いと、親機21の送信期間中に、子機31から応答信号を受信できないことがあるが、本実施形態の構成を用いることで、システム制御装置40には、継続的にアップロードデータが入力される。これにより、システム制御装置40は、人90の動きを継続的に観測することができる。
【0098】
さらに、
図6(B)に示すように、人90が領域901から領域902に移動した場合、子機31から送信されるセンサON情報がある応答信号は、親機22で受信される。親機22は、この応答信号を受信して、システム制御装置40にアップロードする。システム制御装置40は、アップロードデータに基づいて、人90が領域901から領域902へ移動したことを検出する。このように、複数の親機を用いれば、一つの親機を用いる場合よりも広範囲で、人90の動きを継続的に観測することができる。この際、親機21,22が同期して質問信号を送信することで、子機31が応答信号の送信タイミングを変更しなくても、継続的に応答信号に基づくアップロード処理を行うことができる。
【0099】
次に、本発明の第2の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る無線式情報取得システムの送受信概念を示す図である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る親機の処理を示すフローチャートである。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る子機の処理を示すフローチャートである。
【0100】
本実施形態の無線式情報取得システムは、第1の実施形態に示した無線式情報取得システムに対して、応答信号の送信間隔およびアップロード間隔の設定方法が異なるものであり、他の構成および処理は、第1の実施形態に示した無線式情報取得システムと同じである。
【0101】
本実施形態の無線式情報取得システムでは、センサON情報の回数、すなわちセンサカウントMCの値が0でない場合に、センサカウントMCの値に応じて送信間隔およびアップロード間隔を切り替えるものである。
【0102】
具体的には、
図7に示すように、送信間隔の時間内でのセンサカウントMCが「3」の場合、送信間隔Trep22を設定する。この際、送信間隔Trep22は、第1の実施形態の
図2に示した送信間隔Trep2よりも短く設定する。すなわち、センサカウントMCが「1」の場合の送信間隔Trep2よりも、センサカウントMCが「3」の場合の送信間隔Trep22を短くする。
【0103】
そして、
図2に示すように、センサカウントMCが「1」の場合には、本実施形態の無線式情報取得システムにおいても、送信間隔Trep2とする。
【0104】
この際、親機20は、送信期間では、設定された送信間隔に準じて補間用のアップロードデータDrecを生成して、システム制御装置40にアップロードする。
【0105】
このように、本実施形態の処理では、センサカウントMCの値に応じて送信間隔が切り替えられるので、情報取得対象の動きに応じた頻度で応答信号を送信してアップロードすることができる。そして、親機20の送信期間であっても、センサの検知状況に応じた間隔でアップロード処理が行われるので、情報取得対象の動きをより精確に観測することができる。
【0106】
このような処理を実現するため、親機および子機は次に示す処理フローを実行する。なお、親機20、子機31ともに基本的な処理は、第1の実施形態と同じであるので、本実施形態に特徴的な箇所のみを具体的に説明する。
【0107】
[親機20の処理フロー(
図8参照)]
受信期間中、親機20は、センサON情報を取得すると(S106:YES)、当該センサON情報をカウントしてセンサカウントMCを取得する(S160)。親機20は、センサカウントMCを取得すると、補間フラグをON状態とし(S161)、センサカウントMCを含む子機情報を生成して、当該子機情報を含むアップロードデータをシステム制御装置40に送信する。
【0108】
送信期間中、親機20は、補間フラグがON状態であることを検出すると(S103:YES)、センサカウントMCに応じた間隔で子機情報をアップロードする(S132)。
【0109】
[子機31の処理フロー(
図9参照)]
子機31は、センサカウントMC≠0を検出すると(S207:YES)、センサON情報有りの応答信号、すなわち「0」でない実測値のセンサカウントMCを含む応答信号を送信し(S208)、センサカウントMCに応じた送信間隔を設定する(S209)。
【0110】
なお、本実施形態では、センサカウントMC≠0の場合の送信間隔を二段階で設定する例を示した。この場合、センサカウントMCに閾値を設けて、閾値以上であれば相対的に短い送信間隔、閾値未満であれば相対的に長い送信間隔に設定すればよい。また、送信間隔は、さらに多段階に設定してもよい。
【0111】
また、上述の各実施形態では、子機が一台の場合を示したが、子機が二台以上の場合においては、各子機に上述の構成および処理を適用すればよい。この際、親機は子機毎にアップロード間隔を決めてもよく、応答信号を受ける複数の子機の送信間隔に基づいて、一つのアップロード間隔に決めてもよい。この場合、例えば、最も短い送信間隔にアップロード間隔を合わせ、アップロード間隔と異なる送信間隔の子機に対するセンサカウントMCを、アップロード間隔に合わせて補正すればよい。
【0112】
さらに、上述の各実施形態では、親機20が送信期間中に受信できない子機31の応答信号を、親機20において補間し、親機20からシステム制御装置40にアップロードする例を示したが、システム制御装置40において補間を行うこともできる。すなわち、親機20の送信期間中に子機31からの応答信号を受信できない場合でも、親機20からはその間の応答信号をシステム制御装置40にアップロードしない。その代わり、その直前の親機20の受信期間における親機20からシステム制御装置40へのアップロード信号Dreをもとにシステム制御装置40において、親機20の送信期間に子機が発した応答信号を補間することで、上述の実施形態と同様に、システム制御装置は、子機31の状態を継続的に把握することができる。