【実施例】
【0039】
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
【0040】
(1)土手高さ
ヨモタ光機(株)製ドットチェッカーα600Zを用いて、
図1、
図3の7を測定することで、高い土手高さaを決定した。また、
図1、
図3の8を測定することで低い土手高さbを決定した。
【0041】
(2)土手高さのバラツキ
ヨモタ光機(株)製ドットチェッカーα600Zを用いて、グラビアロールの幅方向に向かって約20cm間隔の5箇所で高い土手高さaを測定し、高い土手高さaのバラツキを下記の式で算出した。
・土手高さのバラツキ=(q max−q min)/q average
q max・・・5箇所で測定した土手高さの最大値
q min・・・5箇所で測定した土手高さの最小値
q average・・・5箇所で測定した土手高さの平均値。
【0042】
(3)土手高さ比率b/aのバラツキ
ヨモタ光機(株)製ドットチェッカーα600Zを用いて、グラビアロールの幅方向に向かって約20cm間隔の5箇所で高い土手高さaおよびそれに隣接する低い土手高さbをそれぞれ測定した。次に隣り合う高い土手高さaと低い土手高さbとの土手高さ比率b/aを算出し、土手高さ比率b/aのバラツキを下記の式で算出した。
・土手高さ比率b/aのバラツキ=x max−x min
x max・・・5箇所で算出した土手高さ比率b/aの最大値
x min・・・5箇所で算出した土手高さ比率b/aの最小値。
【0043】
(4)グラビアセルの線密度
図4の線2を1線として1インチ(2.54cm)あたりの線数を算出し、グラビアセルの線密度を決定した。
【0044】
(5)グラビアセルの線角度
ヨモタ光機(株)製ドットチェッカーα600Zを用いて、
図4の3、3’を測定することで、グラビアセルの線角度を決定した。
【0045】
(6)グラビアセルの表面全体に対する開口部分の面積比率
ヨモタ光機(株)製ドットチェッカーα600Zを用いて、グラビアロールの幅方向に向かって約20cm間隔の5箇所で
図1、
図2の5の土手面積(単位:μm
2)、すなわち高い土手の頂点に位置する平面部分の面積を測定した。また、グラビアロールの幅方向に向かって約20cm間隔の5箇所で線密度(線/インチ)を測定した。次に5箇所の平均土手面積をy(μm
2)、5箇所の平均線密度をz(線/インチ)とし、開口部分の面積比率を下記の式で算出した。
・開口部分の面積比率(%)={1−(y×z
2)/(2.54×10
4)
2}×100。
【0046】
(7)グラビアセルのセル容積
STEINHART社製簡易セル容積測定システムキャパッチを用いて、グラビアロールの幅方向に向かって約20cm間隔の5箇所でセル容積を測定し、5箇所の平均値をとることでグラビアセルのセル容積とした。
【0047】
(8)塗液の粘度
レオメータ(レオテック社製、RC20)を用い、JIS Z8803−1996に準拠して測定した。
【0048】
(9)塗布膜の平滑性
初期塗布厚み10μmで塗布を開始し、塗布開始より10分後、倉敷紡績(株)製ファイバー式水膜厚計RF−60−Pを用いて、グラビアロールの幅方向に向かって約20cm間隔の5箇所で塗布厚みを測定し、下記の式および基準で塗布膜の平滑性を評価した。
・塗布厚みのバラツキ=(r max−r min)/r average
r max・・・5箇所で測定した塗布厚みの最大値
r min・・・5箇所で測定した塗布厚みの最小値
r average・・・5箇所で測定した塗布厚みの平均値
○:0.15未満
△:0.15以上0.20未満
×:0.20を超える。
【0049】
(10)塗布厚みの安定性
初期塗布厚み10μmで塗布を開始し、塗布開始より12時間後、倉敷紡績(株)製ファイバー式水膜厚計RF−60−Pを用いて、グラビアロールの幅方向に対して中心位置の塗布厚みを測定し、次の基準で塗布厚みの安定性を評価した。
○:9.0μm以上(初期塗布厚みの90%以上)
×:9.0μm未満(初期塗布厚みの90%未満)。
【0050】
(実施例1)
図5に示す塗布方式を用いて、幅が1000mm、厚みが500μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるウエブ11を張力1000N/mで矢印の方向に33m/分で走行させながら、ウエブに対しリバース方向に回転するグラビアロール12を使用して塗布を行った。グラビアロール12には、塗液供給手段13、ドクターブレード14を設置した。
【0051】
塗布時には、グラビアロールをその表面がウエブ走行方向に対してリバース方向に30m/分で移動するように回転させた。ウエブとグラビアロールの速度差は63m/分であった。
【0052】
グラビアロール12は直径270mmのステンレス鋼を母材とするロールからなり、その外周面にセル部として、ロール軸に対して45°の方向に傾斜した連続溝(
図4の3の線角度(グラビアセルのa列・グラビアロールの回転方向)45°、
図4の3’の線角度(グラビアセルのb列・グラビアロールの回転方向)45°)が回転軸方向に2.54cm当たり250本(線密度:250線/インチ)、高い土手高さaが70μm、高い土手高さaのバラツキが0.10、低い土手高さbが35μm、土手高さ比率b/aが0.50、土手高さ比率b/aのバラツキが0.20、グラビアセルの表面全体に対する開口部分の面積比率が85%、セル容積が20cm
3/m
2のハイブリッドタイプのグラビアセルとした。
【0053】
塗液には、有機スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂を20wt%含んだ、粘度が50.0mPa・sのポリエステル樹脂水溶液を使用し、ウエブ11の片面に塗布直後乾燥前の塗布厚みで10μmに調整して塗布を開始した。塗布直後乾燥前の塗布厚みは、倉敷紡績(株)製ファイバー式水膜厚計RF−60−Pで測定した。
【0054】
(実施例2)
塗液に増粘剤で粘度を500.0mPa・sに増大させたものを用いた以外は実施例1と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0055】
(実施例3)
ウエブ11を張力1000N/mで
図5の矢印方向に330m/分で走行させながら、グラビアロール12の表面がフィルム走行方向に対してリバース方向に300m/分で移動するように回転させた以外は実施例1と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0056】
(実施例4)
グラビアロール12のセルの土手高さ比率b/aのバラツキが0.40であるものを用いた以外は実施例1と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0057】
(比較例1)
グラビアロール12のセルの土手高さ比率b/aが0.06であるものを用いた以外は実施例3と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0058】
(比較例2)
グラビアロール12のセルの土手高さ比率b/aが0.90であるものを用いた以外は実施例2と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0059】
(比較例3)
グラビアロール12のセルタイプが
図6の18に示された通り、ヘリカルタイプであるものを用いた以外は実施例3と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0060】
(比較例4)
グラビアロール12のセルタイプが
図6の17に示された通り、ハニカムタイプであるものを用いた以外は実施例2と同様にして、ウエブ表面にコーティングを行った。
【0061】
【表1】