特許第6237006号(P6237006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000002
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000003
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000004
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000005
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000006
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000007
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000008
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000009
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000010
  • 特許6237006-ヒートシンク及び基板ユニット 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237006
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ヒートシンク及び基板ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20171120BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L23/40 A
   H01L23/40 C
   H05K7/20 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-179771(P2013-179771)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-50255(P2015-50255A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】相澤 修
(72)【発明者】
【氏名】宗 毅志
(72)【発明者】
【氏名】真壁 英二
(72)【発明者】
【氏名】鵜塚 良典
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−023280(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0023423(US,A1)
【文献】 特開2003−133514(JP,A)
【文献】 特開2010−199371(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302509(US,A1)
【文献】 特開2007−095746(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0219825(US,A1)
【文献】 特開2013−098328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体に固定される固定部と、
前記固定部に沿って延在し前記固定部に重ね合わされた本体部と、前記本体部の延在方向の一方側に位置し前記本体部に立設された放熱凸部とを有し、前記固定部に対して前記延在方向の一方側にスライドする放熱部と、
を備えたヒートシンク。
【請求項2】
前記固定部及び前記放熱部の一方には、前記延在方向に延びる溝が形成され、
前記固定部及び前記放熱部の他方には、前記溝に挿入された突出部が形成されている、
請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記固定部及び前記放熱部の一方には、前記放熱部のスライド方向に並ぶ複数の固定穴が形成され、
前記固定部及び前記放熱部の他方には、前記固定部に対する前記放熱部のスライド位置に応じて前記複数の固定穴のいずれかと選択的に連通される連通穴が形成され、
前記固定穴及び前記連通穴には、固定部材が挿入されている、
請求項1又は請求項2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記固定部及び前記放熱部の一方には、前記固定部及び前記放熱部の他方における両側の側部に沿って前記放熱部のスライド方向に延びる一対の側壁部が形成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【請求項5】
発熱体が実装されたプリント基板と、
前記発熱体に固定された固定部と、前記固定部に対してスライドする放熱部とを有するヒートシンクと、
を備え、
前記放熱部は、前記固定部に沿って延在し前記固定部に重ね合わされた本体部と、前記本体部の延在方向の一方側に位置し前記本体部に立設された放熱凸部とを有し、前記固定部に対して前記延在方向の一方側にスライドする、
基板ユニット
【請求項6】
前記プリント基板には、第一発熱体と、前記発熱体としての第二発熱体が実装され、
前記第一発熱体には、第一ヒートシンクが固定され、前記第二発熱体には、前記ヒートシンクとしての第二ヒートシンクにおける前記固定部が固定され、
前記第一ヒートシンクには、前記延在方向の一方側である前記発熱体側へ延長された延長部が形成され、
前記放熱部は、前記固定部に対して前記延長部の延長方向である前記延在方向の一方側にスライドする、
請求項5に記載の基板ユニット。
【請求項7】
前記第二ヒートシンクの前記固定部は、前記第一ヒートシンクと共に共通の固定具により前記プリント基板に固定されている、
請求項6に記載の基板ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、ヒートシンク及び基板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体に固定される固定部と、固定部に一体に形成された放熱凸部とを備えたヒートシンクがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−219250号公報
【特許文献2】特開2010−263118号公報
【特許文献3】特開2007−188998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなヒートシンクを用いた発熱体の冷却技術においては、例えば電子部品等の発熱体をプリント基板上の所望の位置に配置する場合に、ヒートシンクに対して、発熱体の配置に制限が生じることを抑制できることが要求されることがある。
【0005】
そこで、本願の開示する技術は、一つの側面として、発熱体の配置に制限が生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願の開示する技術に係るヒートシンクは、発熱体に固定される固定部と、前記固定部に沿って延在し前記固定部に重ね合わされた本体部と、前記本体部の延在方向の一方側に位置し前記本体部に立設された放熱凸部とを有し、前記固定部に対して前記延在方向の一方側にスライドする放熱部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する技術によれば、発熱体の配置に制限が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係る基板ユニットの側面断面図である。
図2図1に示されるヒートシンクについて放熱部の位置を変更する前後の状態を斜視図にて示した図である。
図3図2に示されるヒートシンクの分解斜視図である。
図4図2の4−4線断面図である。
図5】第二実施形態に係るヒートシンクについて放熱部の位置を変更する前後の状態を斜視図にて示した図である。
図6図5に示されるヒートシンクの分解斜視図である。
図7図5の7−7線断面図である。
図8】第三実施形態に係るヒートシンクの斜視図である。
図9】第四実施形態に係る基板ユニットの側面断面図である。
図10】第五実施形態に係る基板ユニットについて電子部品の位置を変更する前後の状態を側面断面図にて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
はじめに、本願の開示する技術の第一実施形態を説明する。
【0010】
図1に示されるように、第一実施形態に係る基板ユニット10は、プリント基板12と、複数の電子部品14,16と、複数のヒートシンク18,20とを備えている。
【0011】
プリント基板12は、平板状に形成されており、電子部品14,16は、プリント基板12の表面にそれぞれ半田付け等により実装されている。電子部品14,16は、それぞれ例えばCPU(Central Processing Unit)等の発熱部品とされており、プリント基板12の延在方向であるX方向及びY方向のうちX方向に並んで配置されている。
【0012】
電子部品14,16同士は、プリント基板12の表面に形成された配線(導電パターン)により接続されており、電子部品14と電子部品16との間では、信号の送受信が行われる。なお、一方の電子部品14は、第一発熱体の一例であり、他方の電子部品16は、第二発熱体(発熱体)の一例である。
【0013】
ヒートシンク18,20は、いずれも放熱性及び伝熱性の高い例えばアルミニウム合金等の金属材料により形成されている。一方のヒートシンク18は、第一ヒートシンクの一例であり、板状の固定部22と、この固定部22の表面に立設された複数のフィン24とを有している。各フィン24は、Y方向を板厚方向としてX方向に延びる板状に形成されている。また、この複数のフィン24は、後述する他方のヒートシンク20に設けられた複数のフィン56(図2参照)と同様に、Y方向に間隔を空けて配列されている。
【0014】
固定部22は、伝熱シート26を介して一方の電子部品14の表面に重ね合わされている。この固定部22における電子部品14の両側の部位には、段付ネジ28がそれぞれ貫通されている。各段付ネジ28の先端部に形成されたネジ部30は、プリント基板12の表側からプリント基板12を貫通しており、このネジ部30の先端部には、プリント基板12の裏側からナット32が螺入されている。
【0015】
また、段付ネジ28には、コイルバネ34が装着されており、このコイルバネ34は、段付ネジ28の頭部36と固定部22との間に圧縮状態で介在されている。そして、固定部22は、コイルバネ34により電子部品14側に押圧されている。また、このように固定部22が電子部品14側に押圧された状態で、一方のヒートシンク18は、電子部品14に固定されている。
【0016】
この一方のヒートシンク18の固定部22における他方の電子部品16側の端部には、延長部38が形成されている。この延長部38は、固定部22における他方の電子部品16側の端部がX方向に沿って他方の電子部品16側へ延長されることにより形成されている。この延長部38の表面には、上述の複数のフィン24と同様の複数のフィン40が立設されている。
【0017】
他方のヒートシンク20は、第二ヒートシンクの一例であり、固定部42及び放熱部44を有している。この固定部42及び放熱部44は、別の部材とされている。固定部42は、板状に形成されており、伝熱シート46を介して他方の電子部品16の表面に重ね合わされている。固定部42における電子部品16の両側の部位には、プリント基板12側に延びる脚部48がそれぞれ形成されている。各脚部48は、プリント基板12の表面に当接されており、プリント基板12に対して立設されている。
【0018】
電子部品14側に位置する一方の脚部48、及び、プリント基板12における一方の脚部48と対応する部分には、固定部42の表側からネジ50が貫通されており、このネジ50の先端部には、プリント基板12の裏側からナット52が螺入されている。そして、固定部42は、このネジ50により他方の電子部品16に固定されている。
【0019】
放熱部44は、固定部42の表面に重ね合わされた板状の本体部54と、この本体部54の表面(固定部42側と反対側の面)に立設された複数のフィン56とを有している。図2図3に示されるように、本体部54は、より具体的には、X方向に延びY方向に並ぶ一対の腕部58と、Y方向に延びて一対の腕部58の一端部を連結する連結部60とを有している。
【0020】
複数のフィン56は、それぞれY方向を板厚方向としてX方向に延びる板状に形成されており、互いにY方向に間隔を空けて配列されている。この複数のフィン56は、放熱凸部の一例であり、上述の本体部54のうちの連結部60に設けられている。すなわち、図1に示されるように、この複数のフィン56は、本体部54における延長部38側と反対側であって、本体部54におけるX方向の一方側に設けられている。
【0021】
また、図3に示されるように、固定部42には、この固定部42の表面に開口する一対の溝62が形成されている。この一対の溝62は、それぞれX方向に延びており、固定部42におけるY方向の両端部に形成されている。各溝62の一端は、終端しており、各溝62の他端は、固定部42のX方向に開放されている。なお、一対の溝62が延びる方向であるX方向は、上述の電子部品16への固定部42(図1参照)の重ね合わせ方向であるZ方向と交差する方向の一例である。
【0022】
一方、放熱部44の裏面には、固定部42側に突出する一対の突出部64が形成されている。この一対の突出部64は、一対の溝62とそれぞれ対応する位置に形成されており、この一対の溝62と同様に、X方向にそれぞれ延びている。
【0023】
そして、一対の突出部64は、一対の溝62の他端側から一対の溝62に挿入されている。各溝62及び突出部64は、溝62の底側から溝62の開口側に向かうに従ってY方向の幅が減少するテーパ状に形成されており、これにより、溝62からの突出部64の抜けが規制されている。また、このようにして一対の突出部64が一対の溝62に挿入されることにより、放熱部44は、固定部42に対してX方向にスライド可能とされている。図1に示されるように、本実施形態では、一例として、この放熱部44のスライド方向が上述の延長部38の延長方向と一致されている。
【0024】
また、上述のようにヒートシンク20がヒートシンク18とX方向に並んで配置された状態において、一方のヒートシンク18における延長部38は、他方のヒートシンク20の固定部42の一部を覆っている。つまり、延長部38は、固定部42よりもヒートシンク20の高さ方向(Z方向)の上側に位置すると共に、固定部42における一方の電子部品14側の一部分とX方向にオーバラップしている。
【0025】
また、この延長部38は、本体部54よりもヒートシンク20の高さ方向の上側に位置している。さらに、放熱部44のフィン56が延長部38と干渉することを避けるために、放熱部44は、延長部38側と反対側にスライドされている。そして、これにより、フィン56は、電子部品16に対して放熱部44のスライド方向であるX方向にずれて配置されている。
【0026】
このように、本実施形態では、ヒートシンク18に延長部38が形成された場合でも、電子部品14と電子部品16との位置は変わらずに、放熱部44の位置のみが電子部品14側と反対側に移動されることで延長部38の追加に対応している。
【0027】
なお、放熱部44と固定部42との間には、熱伝達促進のために例えばサーマルグリース等の熱伝達材が介在されても良い。
【0028】
次に、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0029】
以上詳述したように、第一実施形態によれば、放熱部44は、固定部42に対してスライド可能となっている。従って、放熱性の向上のために他方の電子部品16側に延びる延長部38がヒートシンク18に形成されていても、放熱部44を固定部42に対して延長部38と反対側にスライドさせることができる。これにより、延長部38と、放熱部44のフィン56とが干渉することを抑制することができる。この結果、他方の電子部品16の配置に制限が生じることを抑制することができるので、この電子部品16を電子部品14に近づけて配置することが可能となる。
【0030】
つまり、仮にヒートシンク20が固定部42と放熱部44の一体構造とされた場合、ヒートシンク18から延びる延長部38と放熱部44のフィン56との干渉を抑制するためには、放熱部44を含むヒートシンク20の全体を延長部38から離す必要がある。また、この場合に、他方の電子部品16の冷却性を確保するためには、他方のヒートシンク20の直下に電子部品16を配置する必要がある。このため、上述の如く仮にヒートシンク20が固定部42と放熱部44の一体構造とされた場合には、他方の電子部品16を電子部品14に近づけて配置することができず、電子部品16の配置に制限が生じることになる。
【0031】
これに対し、第一実施形態によれば、上述の如く、放熱部44を固定部42に対して延長部38と反対側にスライドさせることができるので、他方の電子部品16を電子部品14に近づけて配置することができる。
【0032】
また、このように電子部品14を電子部品16に近づけて配置することにより、電子部品14と電子部品16とを接続する配線の長さを短くすることができるので、電子部品14と電子部品16との間の信号の伝送速度を向上させることができる。さらに、延長部38の下方のスペースを電子部品16の配置のために有効に活用することができるので、プリント基板12の実装密度を向上させることができる。
【0033】
しかも、放熱部44の本体部54は、固定部42に重ね合わされている。従って、固定部42と放熱部44との接触面積を確保することができるので、固定部42と放熱部44との間の伝熱性を確保することができる。従って、放熱部44が固定部42に対してスライドされていても、ヒートシンク20の放熱性を確保することができる。
【0034】
また、図2に示されるように、固定部42には、X方向に延びる一対の溝62が形成されており、放熱部44には、一対の溝62に挿入された突出部64が形成されている。従って、この一対の溝62及び突出部64により、固定部42に対する放熱部44のスライド方向を規定することができるので、放熱部44をスライドさせる際の操作性、ひいては、ヒートシンク20の使い勝手を良好にすることができる。
【0035】
また、図1に示されるように、固定部42における電子部品16の両側には、プリント基板12に対して立設する脚部48が設けられている。従って、この脚部48により固定部42を電子部品16の両側においてプリント基板12に対して支持することができる。これにより、ネジ50により固定部42をプリント基板12に固定する場合でも、固定部42から電子部品16に過剰な荷重が作用することを抑制することができる。
【0036】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。
【0037】
上述の第一実施形態において、基板ユニット10は、第一発熱体及び第二発熱体の一例として電子部品14,16を有していた。しかしながら、基板ユニット10は、電子部品以外の発熱部品を第一発熱体及び第二発熱体の一例として有していても良い。
【0038】
また、ヒートシンク20は、放熱凸部の一例としてフィン56を有していた。しかしながら、ヒートシンク20は、フィン以外の形状で形成された凸部を放熱凸部として有していても良い。同様に、ヒートシンク18も、フィン以外の形状で形成された凸部を放熱凸部として有していても良い。
【0039】
また、放熱部44は、一例として延長部38の延長方向(X方向)にスライド可能とされていた。しかしながら、放熱部44は、延長部38の延長方向とは異なる方向(例えば、Y方向、又は、X方向及びY方向の合成方向など)にスライド可能とされていても良い。
【0040】
また、固定部42には、溝62が形成され、放熱部44には、突出部64が形成されていた。しかしながら、固定部42には、突出部64が形成され、放熱部44には、溝62が形成されていても良い。
【0041】
また、脚部48は、固定部42に一体に形成されていた。しかしながら、脚部48は、固定部42と別体に形成されていても良い。
【0042】
また、基板ユニット10は、発熱体の一例として、電子部品16を有していた。しかしながら、基板ユニット10は、電子部品以外のものを発熱体として有していても良い。
【0043】
[第二実施形態]
次に、本願の開示する技術の第二実施形態を説明する。
【0044】
図5に示される第二実施形態に係るヒートシンク70は、上述の第一実施形態に係るヒートシンク20に対して次のように構造が変更されている。
【0045】
すなわち、図6に示されるように、固定部42におけるY方向の両端部には、複数のネジ穴72が形成されている。固定部42における各端側に形成された複数のネジ穴72は、それぞれ二列に並んでいる。各列における複数のネジ穴72は、放熱部44のスライド方向であるX方向に並んでいる。一方の列における複数のネジ穴72と他方の列における複数のネジ穴72は、互い違いに並んでいる。なお、この複数のネジ穴72は、複数の固定穴の一例である。
【0046】
一方、放熱部44における腕部58の先端部(連結部60側と反対側の端部)には、連通穴74がそれぞれ形成されている。この連通穴74は、固定部42に対する放熱部44のスライド位置に応じて複数のネジ穴72のいずれかと選択的に連通される。また、この連通穴74には、放熱部44側から固定部材の一例である金属製のネジ76が挿入される。そして、このネジ76の先端部がネジ穴72に螺入されることにより、放熱部44は、固定部42に対してX方向に位置決めされた状態で固定部42に固定される(図7参照)。
【0047】
また、放熱部44におけるY方向の両端部には、固定部42側へ垂下する一対の側壁部78が形成されている。この一対の側壁部78は、固定部42における両側の側部に沿ってX方向に延びている。
【0048】
なお、この第二実施形態においても、放熱部44と固定部42との間には、熱伝達促進のために例えばサーマルグリース等の熱伝達材が介在されても良い。
【0049】
次に、第二実施形態に特有の作用及び効果について説明する。
【0050】
この第二実施形態によれば、固定部42に対する放熱部44のスライド位置に応じて複数のネジ穴72のいずれかと連通穴74とが選択的に連通される。そして、連通穴74にネジ76が挿入されると共に、このネジ76の先端部がネジ穴72に螺入されることにより、放熱部44を固定部42に位置決めした状態で固定することができる。これにより、放熱部44が固定部42に対して不意に動いてしまうことを抑制することができる。
【0051】
また、放熱部44と固定部42とが金属製のネジ76により連結されるので、このネジ76を通じて固定部42から放熱部44に熱を伝達することができる。これにより、ヒートシンク70の放熱性を向上させることができる。
【0052】
さらに、ネジ76により放熱部44が固定部42に押圧されるので、放熱部44と固定部42との密着性を高めることができる。従って、このことによっても、ヒートシンク70の放熱性を高めることができる。
【0053】
また、放熱部44には、固定部42における両側の側部に沿って放熱部44のスライド方向に延びる一対の側壁部78が形成されている。従って、この一対の側壁部78により、固定部42に対する放熱部44のスライド方向を規定することができるので、放熱部44をスライドさせる際の操作性、ひいては、ヒートシンク70の使い勝手を良好にすることができる。
【0054】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。
【0055】
第二実施形態において、固定部42には、放熱部44のスライド方向に並ぶ複数のネジ穴72が形成され、放熱部44には、連通穴74が形成されていた。しかしながら、放熱部44に複数のネジ穴72が形成され、固定部42に連通穴74が形成されても良い。そして、固定部42に形成された連通穴74に固定部42側からネジ76が挿入されると共に、このネジ76の先端部が放熱部44に形成されたネジ穴72に螺入されることにより、放熱部44が固定部42に対して固定されても良い。
【0056】
また、第二実施形態では、固定穴及び固定部材の一例として、ネジ穴72及びネジ76が用いられていた。しかしながら、例えば、圧入穴と、この圧入穴に圧入される圧入部材などのように、ネジ穴及びネジ以外のものが固定穴及び固定部材の一例として用いられても良い。
【0057】
また、第二実施形態において、一対の側壁部78は、放熱部44に形成されていた。しかしながら、一対の側壁部78は、放熱部44における両側の側部に沿うようにして固定部42に形成されていても良い。
【0058】
[第三実施形態]
次に、本願の開示する技術の第三実施形態を説明する。
【0059】
図8に示される第三実施形態に係るヒートシンク80は、上述の第一実施形態に係るヒートシンク20に対して次のように構造が変更されている。
【0060】
すなわち、固定部42には、ヒートパイプ82が設けられ、放熱部44には、ヒートパイプ84が設けられている。このヒートパイプ82,84は、放熱部44のスライド方向であるX方向に延びる部分を少なくとも有している。このヒートパイプ82におけるX方向に延びる部分と、ヒートパイプ84におけるX方向に延びる部分とは、放熱部44がいずれのスライド位置に位置されていてもX方向にオーバラップした状態を保つように形成されている。
【0061】
このように構成されていると、固定部42及び放熱部44における金属部分に加え、ヒートパイプ82及びヒートパイプ84によっても熱を伝達することができる。これにより、ヒートシンク80の放熱性をより向上させることができる。
【0062】
なお、この第三実施形態では、固定部42及び放熱部44にヒートパイプ82,84がそれぞれ設けられていたが、固定部42及び放熱部44のどちらか一方にのみヒートパイプが設けられていても良い。
【0063】
[第四実施形態]
次に、本願の開示する技術の第四実施形態を説明する。
【0064】
図9に示される第四実施形態に係る基板ユニット90は、上述の第一実施形態に係る基板ユニット10に対して次のように構造が変更されている。
【0065】
すなわち、ヒートシンク20における電子部品14側の端部には、接続部92が形成されている。この接続部92は、ヒートシンク20の高さ方向に延びており、接続部92の上面は、固定部22及び延長部38の下面に接触している。また、この固定部22及び接続部92には、固定具の一例として一方の段付ネジ28が貫通されており、この共通の段付ネジ28により、ヒートシンク20の固定部42は、ヒートシンク18と共にプリント基板12に固定されている。
【0066】
このように構成されていると、ヒートシンク18,20をそれぞれ独立してプリント基板12に固定する場合に比して、固定部材(ネジ)の数を減らすことができる。また、固定部材の数を減らすことにより、プリント基板12上のスペースを確保することができるので、プリント基板12の実装密度を向上させることができる。
【0067】
また、固定部42に形成された接続部92がヒートシンク18の固定部22及び延長部38に接触しているので、ヒートシンク18及びヒートシンク20の一方から他方へ熱を伝達することができる。これにより、双方の電子部品14,16の冷却性を向上させることができる。
【0068】
[第五実施形態]
次に、本願の開示する技術の第五実施形態を説明する。
第五実施形態は、参考例である。
【0069】
図10に示される第五実施形態に係る基板ユニット100は、上述の第一実施形態に係る基板ユニット10に対して次のように構造が変更されている。
【0070】
図10の上図には、基板ユニット100において、電子部品16の位置が変更される前の状態が示されており、図10の下図には、基板ユニット100において、電子部品16の位置が変更された後の状態が示されている。そして、この第五実施形態では、プリント基板12の仕様変更に伴い、図10の下図に示されるように、一例として、電子部品16の位置がX方向に移動されている。
【0071】
また、この電子部品16の位置の変更に対応して、放熱部44も、固定部42に対してX方向にスライドされている。そして、放熱部44に形成された複数のフィン56は、放熱部44のスライド方向であるX方向に電子部品16とオーバラップされている。
【0072】
このように、電子部品16の位置が変更されても、放熱部44をスライドさせることにより、複数のフィン56を電子部品16とオーバラップさせることができる。これにより、電子部品16の冷却性を確保することができる。
【0073】
また、上述のように、放熱部44が固定部42に対してスライド可能とされていると、電子部品16の配置に制限が生じることを抑制することができる。これにより、電子部品16の配置の自由度を確保することができると共に、プリント基板12の実装密度を向上させることができる。
【0074】
なお、上述の第一乃至第五実施形態(各実施形態の変形例を含む)のうち、組み合わせ可能な実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【0075】
以上、本願の開示する技術の一態様について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0076】
なお、上述の本願の開示する技術の一態様に関し、更に以下の付記を開示する。
【0077】
(付記1)
発熱体に固定される固定部と、
放熱凸部を有し、前記固定部に対してスライドする放熱部と、
を備えたヒートシンク。
(付記2)
前記固定部は、前記発熱体に重ね合わされた状態で固定され、
前記放熱部は、前記発熱体への前記固定部の重ね合わせ方向と交差する方向にスライドする、
付記1に記載のヒートシンク。
(付記3)
前記放熱部は、前記固定部に重ね合わされ前記放熱凸部が立設された本体部を有している、
付記2に記載のヒートシンク。
(付記4)
前記放熱凸部は、前記本体部における前記交差する方向の一方側に設けられている、
付記3に記載のヒートシンク。
(付記5)
前記固定部及び前記放熱部の一方には、前記交差する方向に延びる溝が形成され、
前記固定部及び前記放熱部の他方には、前記溝に挿入された突出部が形成されている、
付記2〜付記4のいずれか一項に記載のヒートシンク。
(付記6)
前記溝及び前記突出部は、前記溝の底側から前記溝の開口側に向かうに従って幅が減少するテーパ状に形成されている、
付記5に記載のヒートシンク。
(付記7)
前記固定部及び前記放熱部の一方には、前記放熱部のスライド方向に並ぶ複数の固定穴が形成され、
前記固定部及び前記放熱部の他方には、前記固定部に対する前記放熱部のスライド位置に応じて前記複数の固定穴のいずれかと選択的に連通される連通穴が形成され、
前記固定穴及び前記連通穴には、固定部材が挿入されている、
付記2〜付記4のいずれか一項に記載のヒートシンク。
(付記8)
前記固定穴は、前記固定部に形成されたネジ穴とされ、
前記固定部材は、前記放熱部側から前記連通穴に挿入されて前記ネジ穴に螺入されたネジとされている、
付記7に記載のヒートシンク。
(付記9)
前記固定部及び前記放熱部の一方には、前記固定部及び前記放熱部の他方における両側の側部に沿って前記放熱部のスライド方向に延びる一対の側壁部が形成されている、
付記1〜付記8のいずれか一項に記載のヒートシンク。
(付記10)
発熱体が実装されたプリント基板と、
前記発熱体に固定された固定部と、放熱凸部を有し前記固定部に対してスライドする放熱部とを有するヒートシンクと、
を備えた基板ユニット。
(付記11)
前記プリント基板には、第一発熱体と、前記発熱体としての第二発熱体が実装され、
前記第一発熱体には、第一ヒートシンクが固定され、前記第二発熱体には、前記ヒートシンクとしての第二ヒートシンクにおける前記固定部が固定されている、
付記10に記載の基板ユニット。
(付記12)
前記第一ヒートシンクには、前記発熱体側へ延長された延長部が形成され、
前記放熱部は、前記固定部に対して前記延長部の延長方向にスライドする、
付記11に記載の基板ユニット。
(付記13)
前記放熱部は、前記固定部に重ね合わされた本体部を有し、
前記放熱凸部は、前記本体部における前記延長部側と反対側に設けられている、
付記12に記載の基板ユニット。
(付記14)
前記延長部は、前記固定部の一部を覆っている、
付記12又は付記13に記載の基板ユニット。
(付記15)
前記放熱部は、前記固定部に重ね合わされた本体部を有し、
前記放熱凸部は、前記本体部における前記固定部側と反対側の面に立設され、
前記延長部は、前記本体部よりも前記第二ヒートシンクの高さ方向の上側に位置している、
付記12〜付記14のいずれか一項に記載の基板ユニット。
(付記16)
前記第二ヒートシンクの前記固定部は、前記第一ヒートシンクと共に共通の固定具により前記プリント基板に固定されている、
付記11〜付記15のいずれか一項に記載の基板ユニット。
(付記17)
前記固定部における前記発熱体の両側には、前記プリント基板に対して立設する脚部が設けられている、
付記11〜付記16のいずれか一項に記載の基板ユニット。
(付記18)
前記放熱凸部は、前記発熱体に対して前記放熱部のスライド方向にずれて配置されている、
付記11〜付記17のいずれか一項に記載の基板ユニット。
(付記19)
前記放熱凸部は、前記放熱部のスライド方向に前記発熱体とオーバラップされている、
付記11〜付記17のいずれか一項に記載の基板ユニット。
(付記20)
前記ヒートシンクは、付記1〜付記10のいずれか一項に記載のヒートシンクである、
付記11〜付記19のいずれか一項に記載の基板ユニット。
【符号の説明】
【0078】
10,90,100 基板ユニット
12 プリント基板
14 電子部品(第一発熱体の一例)
16 電子部品(発熱体及び第二発熱体の一例)
18 ヒートシンク(第一ヒートシンクの一例)
20,70 ヒートシンク(第二ヒートシンクの一例)
38 延長部
42 固定部
44 放熱部
48 脚部
54 本体部
56 フィン(放熱凸部の一例)
62 溝
64 突出部
72 ネジ穴(固定穴の一例)
74 連通穴
76 ネジ(固定部材の一例)
78 側壁部
82,84 ヒートパイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10