特許第6237035号(P6237035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237035
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】動き検出装置及び動き検出用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20171120BHJP
   H04N 5/926 20060101ALI20171120BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20171120BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20171120BHJP
【FI】
   H04N7/18 G
   H04N5/926
   G06T1/00 500
   G06T7/20 300Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-194923(P2013-194923)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61252(P2015-61252A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 修一
(72)【発明者】
【氏名】荒戸 幸広
(72)【発明者】
【氏名】古屋野 智副
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏之
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−244633(JP,A)
【文献】 特開2003−111061(JP,A)
【文献】 特開2009−188754(JP,A)
【文献】 特開平11−8854(JP,A)
【文献】 特開2005−253089(JP,A)
【文献】 特開平07−284017(JP,A)
【文献】 特開2009−44422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/926
G06T 1/00
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Iフレーム及び前記Iフレーム以外のフレームを含む映像データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記映像データに含まれるフレームの数、及び前記受信部が受信した前記映像データに含まれる前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかをカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントした前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかに基づいて、前記映像データに含まれる前記フレームの数に対する前記Iフレームの数の割合が所定値よりも大きいと判定した場合に、前記映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する生成部と、
を備える動き検出装置。
【請求項2】
前記カウント部は、前記受信部が受信した前記映像データに含まれるフレームの数、及び前記フレームを構成する前記Iフレーム以外のフレームの数をカウントし、
前記生成部は、前記映像データに含まれる前記フレームの数に対する前記Iフレーム以外のフレームの数の割合が所定値よりも小さい場合に、前記動き検出情報を生成する、
請求項に記載の動き検出装置。
【請求項3】
前記映像データに含まれるPフレームのデータサイズを検出するサイズ検出部をさらに備え、
前記カウント部は、前記サイズ検出部が検出した前記データサイズが所定のサイズよりも大きい前記Pフレームの数をカウントし、
前記生成部は、前記カウント部がカウントした前記Pフレームの数が所定数より多い場合に前記動き検出情報を生成する、
請求項1又は2に記載の動き検出装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記所定のサイズよりも大きい前記Pフレームが所定数以上連続する場合に前記動き検出情報を生成する、
請求項に記載の動き検出装置。
【請求項5】
前記所定のサイズを前記映像データに対応する画面サイズに関連付けて記憶する記憶部をさらに備える、
請求項3又は4に記載の動き検出装置。
【請求項6】
コンピュータを、
Iフレーム及び前記Iフレーム以外のフレームを含む映像データを受信する受信部、
前記受信部が受信した前記映像データに含まれるフレームの数、及び前記受信部が受信した前記映像データに含まれる前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかをカウントするカウント部、及び
前記カウント部がカウントした前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかに基づいて、前記映像データに含まれる前記フレームの数に対する前記Iフレームの数の割合が所定値よりも大きいと判定した場合に、前記映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する生成部、
として機能させるための動き検出用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像に含まれる被写体の動きを検出する動き検出装置及び動き検出用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像のシーン変化を検出することが行われている。例えば、特許文献1には、映像信号から抽出したDC残余係数のカウント値を閾値と比較することにより、シーンが変化したことを検出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3571974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、店舗やオフィスに複数の撮影装置を設置し、複数の撮影装置において撮影された映像に含まれる被写体の動きを監視することが行われている。複数の撮影装置において撮影された映像に含まれる被写体の動きを監視するには、動きを監視する装置が、多数の映像データを並行して処理しなければならない。
【0005】
ところが、映像信号に含まれるデータを解析することにより被写体の動きを検出すると、データの解析に長時間を要する。したがって、複数の撮影装置において撮影された映像に含まれる被写体の動きを検出しようとすると、動きを監視する装置のデータ処理負荷が大きくなり、高性能のプロセッサを搭載しなければ処理できないという問題がある。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、撮影された映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができる動き検出装置及び動き検出用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る監視システムは、Iフレーム及び前記Iフレーム以外のフレームを含む映像データを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記映像データに含まれる前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかをカウントするカウント部と、前記カウント部がカウントした前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、前記映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、動き検出装置は、Iフレームの数及びIフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかのカウント数に基づいて被写体の動きを検出するので、フレーム内のデータの内容を解析する必要がなく、撮影された映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができる。
【0009】
また、前記カウント部は、前記受信部が受信した前記映像データに含まれるフレームの数、及び前記フレームを構成する前記Iフレームの数をカウントし、前記生成部は、前記映像データに含まれる前記フレームの数に対する前記Iフレームの数の割合が所定値よりも大きい場合に、前記動き検出情報を生成することを特徴とする。
また、前記カウント部は、前記受信部が受信した前記映像データに含まれるフレームの数、及び前記フレームを構成する前記Iフレーム以外のフレームの数をカウントし、前記生成部は、前記映像データに含まれる前記フレームの数に対する前記Iフレーム以外のフレームの数の割合が所定値よりも小さい場合に、前記動き検出情報を生成することを特徴とする。
【0010】
これらの発明によれば、生成部は、映像データに含まれるフレームの数に対するIフレーム又はIフレーム以外のフレームの数の割合に基づいて動きを検出するので、例えば、映像データに含まれるIフレームの割合が変化する場合に、受信した映像データに含まれるフレームに対するIフレーム又はIフレーム以外のフレームの割合の変化を監視することで、映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができる。
【0011】
また、前記動き検出装置は、前記映像データに含まれるPフレームのデータサイズを検出するサイズ検出部をさらに備え、前記カウント部は、前記サイズ検出部が検出した前記データサイズが所定のサイズよりも大きい前記Pフレームの数をカウントし、前記生成部は、前記カウント部がカウントした前記Pフレームの数が所定数より多い場合に前記動き検出情報を生成することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、動き検出装置は、例えば、映像中に含まれるPフレームの数が多いものの、全体的に被写体の動きが少ないような映像において、所定のサイズよりも大きいPフレームの数を監視することにより、撮影された映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができる。
【0013】
また、前記生成部は、前記所定のサイズよりも大きい前記Pフレームが所定数以上連続する場合に前記動き検出情報を生成することを特徴とする。
この発明によれば、動き検出装置は、所定のサイズよりも大きいPフレームが所定数以上連続する場合に動き検出情報を生成するので、フレームが示す画像に含まれるノイズによって被写体に動きがあったと誤判定されることを防止することができる。
【0014】
また、前記動き検出装置は、前記所定のサイズを前記映像データに対応する画面サイズに関連付けて記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする。
この発明によれば、動き検出装置は、映像データの画像サイズに基づいて所定のサイズを変更して動きを検出するので、画像サイズに適した所定のサイズに基づいて、映像に含まれる被写体の動きを検出することができる。
【0015】
本発明の第2の態様に係る動き検出用プログラムは、コンピュータを、Iフレーム及び前記Iフレーム以外のフレームを含む映像データを受信する受信部、前記受信部が受信した前記映像データに含まれる前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかをカウントするカウント部、及び前記カウント部がカウントした前記Iフレームの数及び前記Iフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、前記映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する生成部、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮影された映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る監視システムの概要図である。
図2】第1の実施形態に係る撮影装置及び動き検出装置の機能構成図である。
図3】第1の実施形態に係る映像データに含まれるフレームの例を示す図である。
図4】第1の実施形態の動き検出装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態に係る異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る監視システムの概要図である。
図7】第2の実施形態に係る映像データに含まれるフレームの例を示す図である。
図8】第2の実施形態に係るフレームレート及び画像サイズと、X値、Lカウンタ制限値及びPカウンタ制限値との関係を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
[監視システムSの概要]
図1は、第1の実施形態に係る監視システムSの概要図である。
監視システムSは、複数の撮影装置1(撮影装置1−1、撮影装置1−2、・・・、撮影装置1−i、ただしiは3以上の自然数)と、動き検出装置2と、ルータ3とを備える。
【0019】
複数の撮影装置1とルータ3とは、例えば店舗に設置されており、動き検出装置2は、例えば複数の撮影装置1が撮影した映像を監視する監視施設に設置されている。複数の撮影装置1は、ルータ3と、インターネット等のネットワークNとを介して、動き検出装置2と通信可能に接続されている。
【0020】
複数の撮影装置1は、被写体を撮影し、撮影された被写体の映像を示す映像データを、ルータ3及びネットワークNを介して動き検出装置2に送信する。動き検出装置2は、複数の映像データのそれぞれを構成するフレームを監視し、当該映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する。
【0021】
[撮影装置1及び動き検出装置2の構成例]
続いて、撮影装置1が備える機能について説明する。図2は、第1の実施形態に係る撮影装置1及び動き検出装置2の機能構成図である。図2では、ルータ3及びネットワークNを省略して説明を行う。
【0022】
複数の撮影装置1は、撮影部11と、送信部12とを備える。
撮影部11は、レンズ及びCCD(電荷結合素子)等により構成される。撮影部11は、所定のフレームレート及び所定の画像サイズで被写体を撮影して、被写体の映像データを生成する。その後、撮影部11は、生成した映像データのフレーム間予測圧縮符号化を行い、Iフレーム及びIフレーム以外のフレームを含む映像データを生成する。なお、所定のフレームレート及び所定の画像サイズは、適宜設定可能であるものとする。
【0023】
ここで、Iフレームは、フレーム間予測を用いずに符号化されるフレームである。具体的には、Iフレームは、離散コサイン変換で圧縮されたフレームであり、このフレームのみで一つの画像を復元することができる。また、Iフレーム以外のフレームは、例えば、Pフレームである。Pフレームは、直前のフレームとの差分のみを符号化したフレームである。なお、Iフレーム以外のフレームには、Bフレームもあるが、本実施形態では、説明を簡略にするため、Pフレームのみを用いて説明を進める。
【0024】
送信部12は、Iフレーム及びPフレームを含む映像データを、動き検出装置2に送信する。ここで、送信部12は、撮影部11がフレームを生成したことに応じて、当該フレームと、当該フレームの種別を示すフレーム種別情報とを動き検出装置2に随時送信する。
【0025】
続いて、動き検出装置2が備える機能について説明する。図2に示すように、動き検出装置2は、表示部21と、操作部22と、受信部23と、カウント部24と、生成部25と、表示制御部26とを備える。また、動き検出装置2は、例えば、ハードディスクやROMやRAMにより構成された記憶部27を備えている。この記憶部27は、動き検出用プログラムが記憶されている。動き検出装置2のCPUは、当該動き検出用プログラムを実行することにより、動き検出装置2を、受信部23、カウント部24、生成部25、及び表示制御部26として機能する。そして、動き検出装置2のCPUは、複数の撮影装置1から受信した映像データのそれぞれについて、当該映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出する。以下、1台の撮影装置1から受信した映像データに着目し、当該映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出する例について説明を行う。
【0026】
表示部21は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成されている。表示部21は、複数の撮影装置1において撮影された映像を、一の画面を分割した分割画面に同時に表示する。
操作部22は、例えば、マウスやキーボード等により構成されており、動き検出装置2の管理者からの操作入力を受け付ける。
【0027】
受信部23は、複数の撮影装置1から送信された、Iフレーム、Pフレーム及びフレーム種別情報を含む映像データを受信する。
カウント部24は、受信部23が受信した映像データが示す映像に含まれるIフレームの数及びPフレームの数の少なくともいずれかをカウントする。
【0028】
具体的には、カウント部24は、受信部23が受信した映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出するために用いるカウンタを初期化する。ここで、カウンタには、受信した映像データを構成するフレームの数をカウントするための受信カウンタと、当該フレームを構成するIフレームの数をカウントするためのIカウンタとが設けられている。受信カウンタ及びIカウンタの値は、記憶部27に記憶されている。カウント部24は、受信部23が、撮影装置1から映像データを受信し始めると、初期化処理として、当該撮影装置1に対応する受信カウンタの値及びIカウンタの値を0に設定する。
【0029】
続いて、カウント部24は、受信したフレーム種別情報に基づいてフレームの種別を判定する。ここで、撮影部11がフレーム種別情報を送信せず、カウント部24が、受信したフレームのデータ量に基づいてフレームの種別を判定してもよい。続いて、カウント部24は、受信部23が受信した映像データに含まれるフレームの数、及び当該フレームを構成するIフレームの数をカウントする。
【0030】
生成部25は、カウント部24がカウントしたIフレームの数及びPフレームの数の少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する。生成部25は、Iフレームの数及びPフレームの数の少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、映像データが示す映像における異常を検出する異常検出フラグの値をオフからオンに変更する。
【0031】
図3は、第1の実施形態に係る映像データに含まれるフレームの例を示す図である。図3には、映像データに含まれる連続したフレームとして、第1フレームから第14フレームが示されている。各フレームの内容を示すボックスの内部には、斜線の領域と空白の領域が含まれている。斜線の領域は、直前のフレームから変化した部分の領域を示しており、空白の領域は、直前のフレームから変化していない部分の領域を示している。Iフレームは、フレーム間予測を用いずに符号化されるフレーム、すなわち、直前のフレームに基づいて作成されないフレームであるため、全ての領域が斜線の領域となる。他方、Pフレームは、フレーム間予測を用いて符号化されるフレームであり、直前のフレームから変化している部分のみ斜線の領域となり、その他の領域は空白の領域となる。ここで、各フレームの下部に示される「I」又は「P」を含むブロックの大きさは、フレームのサイズを示している。
【0032】
図3では、2つのIフレームの間に、Pフレームが1個から2個しか含まれておらず、さらに、Pフレームにおける変化量が大きい。これは、画像の変化が大きく、撮影装置1においてIフレームを増加させることで画像の変化に対応して符号化していることを示している。生成部25は、映像データに含まれるフレームの数に対するIフレームの数の割合が所定値よりも大きい場合に、動き検出情報を生成、すなわち、異常検出フラグの値をオフからオンに変更する。生成部25は、異常検出フラグの値がオンに変化すると、映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出した旨を示す異常検出信号を表示制御部26に出力するとともに、異常検出フラグをオンからオフに変化させる。また、生成部25は、異常検出フラグがオンになると、受信カウントの値及びIカウンタの値を0に設定する。
【0033】
なお、カウント部24が、受信した映像データに含まれるフレームの数、及びフレームを構成するPフレームの数をカウントし、生成部25が、映像データに含まれるフレームの数に対するPフレームの数の割合が所定値よりも小さい場合に、動き検出情報を生成してもよい。
【0034】
表示制御部26は、受信部23が受信した映像データに基づいて映像を復元し、表示部21に表示させる。具体的には、表示制御部26は、受信部23が受信した映像データを構成するフレームの種別を判定し、フレームがIフレームの場合には、Iフレームが示す映像を復元して表示部21に表示させる。また、表示制御部26は、フレームがPフレームの場合には、当該Pフレームの直前のフレームが示す映像データと、当該Pフレームが示す映像データ(差分映像データ)に基づいて映像を復元し、表示部21に表示させる。
また、表示制御部26は、生成部25から異常検出信号が出力されたことに応じて、動き検出情報が生成された旨を示す情報を表示部21に表示する。
【0035】
[フローチャート]
図4は、第1の実施形態に係る動き検出装置2の処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートは、1台の撮影装置1に対応するフローチャートである。動き検出装置2は、複数の撮影装置1のそれぞれについて、当該フローチャートが示す処理を並列して実行する。
【0036】
まず、受信部23は、撮影装置1から送信された映像データの受信を開始する(S1)。
続いて、カウント部24は、各カウンタを初期化する(S2)。具体的には、カウント部24は、受信カウンタの値及びIカウンタの値を0に設定する。
続いて、生成部25は、映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出する異常検出処理を実行する(S3)。この処理の詳細については後述する。
【0037】
続いて、生成部25は、異常検出フラグがオンであるか否かを判定する(S4)。生成部25は、異常検出フラグがオンであると判定した場合(判定がYesの場合)、S5に処理を移し、異常検出フラグがオフであると判定した場合(判定がNoの場合)、S6に処理を移す。
続いて、生成部25は、映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出した旨を示す異常検出信号を表示制御部26に出力し、異常検出フラグを初期化する処理として、異常検出フラグをオンからオフに変化させる処理を行う(S5)。
【0038】
続いて、受信部23は、撮影装置1から送信された映像データの受信を完了したか否かを判定する(S6)。受信部23は、映像データの受信が完了したと判定した場合(判定がYesの場合)、このフローチャートの処理を終了し、映像データの受信が完了していないと判定した場合(判定がNoの場合)、S3に処理を移す。
【0039】
図5は、第1の実施形態に係る異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
まず、カウント部24は、受信カウンタの値を1増加させる(S301)。
続いて、カウント部24は、受信したフレームがIフレームであるか否かを判定する(S302)。カウント部24は、受信したフレームがIフレームであると判定した場合(判定がYesの場合)、S303に処理を移し、Iカウンタの値を1増加させる。また、カウント部24は、取得したフレームがIフレームではないと判定した場合(判定がNoの場合)、S304に処理を移す。
【0040】
続いて、生成部25は、受信カウンタの値が30(受信カウンタ制限値)であるか否かを判定する(S304)。生成部25は、受信カウンタの値が30であると判定した場合、S305に処理を移し、受信カウンタの値が30ではないと判定した場合、異常検出処理を終了する。ここで、受信カウンタ制限値は、例えば、被写体の動きを検出する時間間隔を規定する値であり、例えば、フレームレートによって決定される。本フローチャートでは、受信カウンタ制限値が30であるものとしたが、これに限らず、他の値であってもよい。
【0041】
S305において、生成部25は、受信カウンタに対するIカウンタの割合が0.3(所定値)よりも大きいか否かを判定する(S305)。生成部25は、0.3よりも大きいと判定した場合(判定がYesの場合)、S306に処理を移し、0.3以下と判定した場合(判定がNoの場合)、異常検出処理を終了する。ここで、本フローチャートでは、所定値の値を0.3としたが、これに限らず、他の値としてもよい。所定値は、検出対象とする被写体の動きの度合いに基づいて決定される。例えば、わずかな動きであっても検出する場合には、所定値を比較的小さくし、大きな動きのみを検出する場合には、所定値を比較的大きくする。
【0042】
S306において、生成部25は、映像データが示す映像に含まれる被写体に動きがあったと判定し、異常検出フラグをオンにするとともに、Iカウンタの値及び受信カウンタの値を0に設定する。
【0043】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る動き検出装置2は、カウント部24により、受信部23が受信した映像データに含まれるIフレームの数及びIフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかをカウントし、生成部25により、カウント部24がカウントしたIフレームの数及びIフレーム以外のフレームの数の少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、映像データが示す映像に含まれる被写体の動きを検出したことを示す動き検出情報を生成する。このようにすることで、動き検出装置2は、Iフレームの数及びIフレーム以外のフレームの数に基づいて被写体の動きを検出するので、フレーム内のデータの内容を解析する必要がなく、撮影された映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができる。
【0044】
<第2の実施形態>
[Pフレームのデータ量に基づいて被写体の動きを検出する]
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、Pフレームのデータ量に基づいて被写体の動きを検出する点で第1の実施形態と異なり、その他の点では同じである。
【0045】
[撮影装置1及び動き検出装置2の構成例]
図6は、第2の実施形態に係る撮影装置1及び動き検出装置2の機能構成図である。
第2の実施形態において、動き検出装置2は、受信部23が受信した映像データに含まれるPフレームのデータサイズを検出するサイズ検出部28をさらに備える。
【0046】
第2の実施形態において、カウンタには、Iフレームの数と、データサイズが所定のサイズよりも大きいPフレームの数とをカウントするためのLカウンタと、Pフレームの数をカウントするためのPカウンタとが設けられている。Lカウンタ及びPカウンタの値は、記憶部27に記憶されている。カウント部24は、受信部23が、撮影装置1から映像データを受信し始めると、初期化処理として、当該撮影装置1に対応するLカウンタの値及びPカウンタの値を0に設定する。
【0047】
カウント部24は、取得したフレームがPフレームである場合、Pカウンタの値を1増加させる。
カウント部24は、取得したフレームがIフレーム又はサイズ検出部28が検出したデータサイズが所定のサイズ(以下、X値ともいう。)よりも大きいPフレームである場合、Lカウンタの値を1増加させることにより、Iフレームの数と、サイズ検出部28が検出したデータサイズが所定のサイズよりも大きいPフレームの数とをカウントする。
【0048】
生成部25は、カウント部24がカウントした、Iフレームの数と、サイズ検出部28が検出したデータサイズが所定のサイズよりも大きいPフレームの数が所定数より多い場合に、動き検出情報を生成する。ここで、第2の実施形態の撮影装置1の撮影部11は、30フレームに1回以上、Iフレームを送信するように設定されている。そして、撮影部11は、画像の変化が大きい場合に、送信するフレームをIフレームに決定する。すなわち、画像の変化が大きい場合には、Iフレームが送信される頻度が高くなる。
【0049】
図7は、第2の実施形態に係る映像データに含まれるフレームの例を示す図である。図7には、図3と同様に映像データに含まれる連続したフレームとして、第1フレームから第14フレームが示されている。図7では、2つのIフレームの間に、Pフレームが5個以上含まれている。ここで、第10フレームから第13フレームのデータ量は多く、かつ、連続していることから、画像の変化が大きいことを示している。さらに第14フレームでは、Iフレームを受信していることから、第13フレームと第14フレームとの間でも画像の変化が大きいことを示している。
【0050】
第2の実施形態に係る生成部25は、図7に示される映像の特性を利用し、Iフレーム又は所定のサイズよりも大きいPフレームが所定数以上連続する場合に、動き検出情報を生成する。具体的には、生成部25は、Lカウンタの値がLカウンタ制限値よりも大きい場合に、異常検出フラグの値をオフからオンに変更する。
【0051】
また、生成部25は、Pフレームのデータ量が少ない状態が続く場合には、Iフレーム又は所定のサイズよりも大きいPフレームが所定数以上連続していないと判定し、これまでにカウントしたLカウンタの値を初期化する。具体的には、生成部25は、Pカウンタの値が、Pカウンタ制限値と等しい場合、Lカウンタの値及びPカウンタの値を0に設定する。
【0052】
ここで、サイズ検出部28は、映像データのフレームレート又は画像サイズに基づいて、カウントする際に参照されるX値を変更してもよい。また、生成部25は、映像データに対応するフレームレート又は画像サイズに基づいて、Lカウンタ制限値及びPカウンタ制限値を変更してもよい。具体的には、記憶部27には、X値、Lカウンタ制限値及びPカウンタ制限値と、映像データに対応するフレームレート及び画像サイズとを関連付けた設定情報が記憶されている。
【0053】
サイズ検出部28及び生成部25は、受信部23が映像データの受信を開始したことに応じて、映像データのフレームレートと、画像サイズとを測定してもよい。そして、サイズ検出部28及び生成部25は、記憶部27に記憶されている設定情報を参照して、X値、Lカウンタ制限値及びPカウンタ制限値を、測定したフレームレート及び画像サイズに対応する値に変更してもよい。このようにすることで、複数の撮影装置1が撮影する映像のフレームレートや画像サイズがそれぞれ異なる場合であっても、複数の撮影装置1に対応してX値、Lカウンタ制限値及びPカウンタ制限値を設定し、撮影装置1ごとに、最適な動き検出を行うことができる。
【0054】
図8は、第2の実施形態に係るフレームレート及び画像サイズと、X値、Lカウンタ制限値及びPカウンタ制限値との関係を示す図である。図8に示されるように、例えば、フレームレートが15fps、画像サイズがVGA(600*480ピクセル)の場合、X値は150Kbit、Lカウンタ制限値は60、Pカウンタ制限値は30である。また、例えば、フレームレートが30fps、画像サイズがSVGA(800*600ピクセル)の場合、X値は240Kbit、Lカウンタ制限値は120、Pカウンタ制限値は60である。
【0055】
[フローチャート]
図9は、第2の実施形態に係る異常検出処理の流れを示すフローチャートである。ここで、撮影装置1が送信する映像データの画像サイズは、VGA(600*480ピクセル)であるものとする。
【0056】
まず、カウント部24は、取得したフレームがIフレームであるか否かを判定する(S311)。カウント部24は、取得したフレームがIフレームであると判定した場合(判定がYesの場合)、S312に処理を移す。また、カウント部24は、取得したフレームがIフレームではないと判定した場合(判定がNoの場合)、S313に処理を移す。
S312において、カウント部24は、Lカウンタの値を1増加させ、S316に処理を移す。
【0057】
S313において、カウント部24は、取得したフレームがPカウンタであると判定し、Pカウンタの値を1増加させる。
続いて、サイズ検出部28は、Pフレームのデータ量が150Kbit(X値)より大きいか否かを判定する(S314)。サイズ検出部28は、Pフレームのデータ量が150Kbitより大きいと判定した場合(判定がYesの場合)、S315に処理を移し、150Kbit以下と判定した場合(判定がNoの場合)、S318に処理を移す。ここで、撮影装置1が送信する映像データの画像サイズは、VGA(600*480ピクセル)であるので、X値は、図8に示されるように150Kbitに設定されている。
【0058】
S315において、カウント部24は、Lカウンタの値を1増加させるとともに、Pカウンタの値を0に設定する。
S316において、生成部25は、Lカウンタの値が、60(Lカウンタ制限値)よりも大きいか否かを判定する。生成部25は、Lカウンタの値が60より大きいと判定した場合(判定がYesの場合)、S317に処理を移し、60以下と判定した場合(判定がNoの場合)、本フローチャートの処理を終了する。ここで、撮影装置1が送信する映像データの画像サイズは、VGAであるので、Lカウンタ制限値は、図8に示されるように60に設定されている。
S317において、生成部25は、映像データが示す映像に含まれる被写体に動きがあったと判定し、異常検出フラグをオンにする。
【0059】
S318において、生成部25は、Pカウンタの値が、30(Pカウンタ制限値)であるか否かを判定する。生成部25は、Pカウンタの値が30である場合(判定がYesの場合)、データ量が少ないPデータが長く続いていると判定し、S319に処理を移し、Pカウンタの値及びLカウントの値を0に設定する。また、生成部25は、Pカウンタの値が30ではない場合(判定がNoの場合)、本フローチャートの処理を終了する。ここで、撮影装置1が送信する映像データの画像サイズは、VGAであるので、Pカウンタ制限値は、図8に示されるように30に設定されている。
【0060】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、第2の実施形態に係る動き検出装置2は、所定のサイズ(X値)よりも大きいPフレームが所定数以上検出された場合に動き検出情報を生成する。これにより、動き検出装置2は、例えば、映像中に含まれるPフレームの数が多いものの、全体的に被写体の動きが少ないような映像において、所定のサイズよりも大きいPフレームの数を監視することにより、撮影された映像に含まれる被写体の動きを簡易的に検出することができる。
【0061】
また、生成部25は、所定のサイズよりも大きいPフレームが所定数以上連続する場合に動き検出情報を生成するので、フレームが示す画像に含まれるノイズによって被写体に動きがあったと誤判定されることを防止することができる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上述の実施形態を組み合わせたり、上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えたりすることが可能であることが当業者に明らかである。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、複数の撮影装置1とルータ3とが店舗に設置されており、動き検出装置2が監視施設に設置されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、複数の撮影装置1と動き検出装置2とが同一の施設に設置され、ルータ3を介して通信可能に接続されていてもよい。
【0064】
また、上述した第2の実施形態では、Pフレームのデータ量に基づいて被写体の動きを検出したが、これに限らない。例えば、Pフレームの代わりにBフレームのデータ量に基づいて被写体の動きを検出してもよいし、Pフレーム及びBフレームのデータ量に基づいて被写体の動きを検出してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1・・・撮影装置、11・・・撮影部、12・・・送信部、2・・・動き検出装置、21・・・表示部、22・・・操作部、23・・・受信部、24・・・カウント部、25・・・生成部、26・・・表示制御部、27・・・記憶部、28・・・サイズ検出部、N・・・ネットワーク、S・・・監視システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9