(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調整手段は、前記判断手段により前記遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より長いと判断された場合、当該遅延が発生したコンテンツ再生直後の再生待機時間及びその他のコンテンツ再生後の再生待機時間から前記遅延時間を差し引くことにより、前記遅延時間分の調整を行う請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
前記調整手段は、前記判断手段により前記遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より長いと判断された場合、コンテンツの再生後、次のコンテンツを直ちに再生することによって前記遅延時間のうち前記次のコンテンツまでの再生待機時間に相当する時間を調整し、前記遅延時間から前記次のコンテンツまでの再生待機時間を差し引いた残りの時間を次のコンテンツ再生後の再生待機時間内で調整する請求項3に記載のコンテンツ再生装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0012】
[コンテンツ再生システム1の構成]
図1は、本発明の実施形態のコンテンツ再生システム1の概略構成を示すブロック図である。コンテンツ再生システム1は、複数のデジタルサイネージ装置2(2A、2B)と、通信ネットワークNを介してデジタルサイネージ装置2に通信自在なサーバ装置4とが備えられている。本実施形態においては、デジタルサイネージ装置2を2A、2Bの2台として説明するが、デジタルサイネージ装置2の台数は、特に限定されない。また、コンテンツ再生システム1を構成する各装置は、通信ネットワークNを介して時刻が同期されている。
【0013】
[デジタルサイネージ装置2の構成]
デジタルサイネージ装置2は、例えば、店舗や展示会会場などに設置され、例えば、広告映像等のコンテンツを再生する装置である。
【0014】
図2はデジタルサイネージ装置2の主制御構成を示すブロック図である。
デジタルサイネージ装置2は、コンテンツの映像光を照射する投影部21と、投影部21から照射された映像光を背面で受けて前面に投影するスクリーン部22とを備えている。
【0015】
まず、投影部21について説明する。
投影部21は、制御部23と、プロジェクタ24と、記憶部25と、通信部26と、計測部34と、を備えている。プロジェクタ24、記憶部25、通信部26、計測部34は、
図2に示すように制御部23に接続されている。
【0016】
制御部23は、記憶部25に記憶されている各種のプログラムを実行して所定の演算や各部の制御を行うCPU(Central Processing Unit)とプログラム実行時の作業領域となるメモリとを備えている(いずれも図示略)。制御部23は、プログラム記憶部251に記憶されているプログラムとの協働により、調整手段、判断手段として機能する。また、プロジェクタ24や音声出力部33を制御することで再生手段として機能する。更に、計測部34との協働により計測手段として機能する。
【0017】
プロジェクタ24は、制御部23から出力された映像データの画像データを映像光に変換してスクリーン部22に向けて照射する。
【0018】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部25には、
図2に示すように、プログラム記憶部251、コンテンツ記憶部252、再生スケジュール記憶部253が設けられている。
【0019】
プログラム記憶部251には、制御部23で実行されるシステムプログラムや各種処理プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0020】
コンテンツ記憶部252は、投影部21によりスクリーン部22に投影するコンテンツの映像データを記憶する。映像データは、動画データを構成する複数のフレーム画像の画像データ及び各フレーム画像に対応する音声データにより構成されている。映像データは、予めサーバ装置4から配信されたものがコンテンツ記憶部252に記憶されている。
【0021】
再生スケジュール記憶部253は、コンテンツの再生スケジュールを記憶する。
図3に、再生スケジュールの一例を示す。
図3に示すように、再生スケジュールは、少なくとも、コンテンツ記憶部252に記憶されている各コンテンツの再生順番、コンテンツの再生時間、再生待機時間(以下、待機時間と略記する)の情報を含む。なお、最初のコンテンツ再生前の待機時間をI
0とし、最初のコンテンツ再生後のコンテンツ間の待機時間を順番にI
1、I
2・・・とする。また、
図3においては、複数のデジタルサイネージ装置2A、2Bのスケジュールを示しているが、各デジタルサイネージ装置2には、自装置の再生スケジュールのみが記憶されていればよい。
再生スケジュールは、予めサーバ装置4から配信されたものが再生スケジュール記憶部253に記憶されている。
【0022】
通信部26は、モデム、ルータ、ネットワークカード等により構成され、通信ネットワークN上のサーバ装置4等の外部機器との通信を行う。
【0023】
計測部34は、計測開始時からの経過時間を計測して制御部23に出力する。
【0024】
次に、スクリーン部22について説明する。
図4は、スクリーン部22の概略構成を示す正面図である。
図4に示すようにスクリーン部22には、画像形成部27と、画像形成部27を支持する台座28とが備えられている。
【0025】
画像形成部27は、映像光の照射方向に対して略直交するように配置された、例えばアクリル板などの一枚の透光板29に、フィルム状のフレネルレンズが積層された背面投影用のフィルムスクリーンが貼付されて構成されたスクリーンである。画像形成部27は、コンテンツの投影対象物に応じた形に成形されている。
【0026】
台座28には、ボタン式の操作部32と、音声を出力するスピーカなどの音声出力部33とが設けられている。
操作部32、音声出力部33は、
図1に示すように制御部23に接続されている。
【0027】
サーバ4は、コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2におけるコンテンツの再生スケジュールを生成して配信するとともに、各デジタルサイネージ装置2で再生するコンテンツの映像データを通信ネットワークNを介して配信するコンピュータ装置である。各デジタルサイネージ装置2の再生スケジュールは、
図3に示すように、複数のデジタルサイネージ装置2間で再生が重複しないようになっている。
【0028】
[デジタルサイネージ装置2の動作]
次に、コンテンツ再生システム1における各デジタルサイネージ装置2の動作について説明する。
【0029】
図5に、コンテンツ再生システム1を構成する各デジタルサイネージ装置2において実行されるコンテンツ再生処理のフローチャートを示す。コンテンツ再生処理は、例えば、予め定められた時刻が到来した際に、制御部23とプログラム記憶部251に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0030】
まず、制御部23は、遅延の繰り越し時間を格納するための変数cに0を設定し、カウンタnに1を設定する(ステップS1)。
【0031】
次いで、制御部23は、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールを参照し、待機時間I
0があるか否かを判断する(ステップS2)。待機時間I
0があると判断した場合(ステップS2;YES)、制御部23は、時間I
0だけ待機し(ステップS3)、ステップS4の処理に移行する。待機時間I
0がないと判断した場合(ステップS2;NO)、制御部23は、ステップS4に移行する。
【0032】
次いで、制御部23は、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールのn番目のコンテンツを再生し(ステップS4)、計測部34によりコンテンツの再生時間を計測させる(ステップS5)。なお、ステップS4において、制御部23はコンテンツ記憶部252に記憶されているn番目のコンテンツの画像データをプロジェクタ24に送信し、プロジェクタ24により画像形成部27に投影させる。また、対応する音声データを音声出力部33に送信して音声信号に変換し出力させる。
【0033】
n番目のコンテンツの再生が終了すると、制御部23は、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールを参照し、次に再生すべきコンテンツがあるか否かを判断する(ステップS6)。次に再生すべきコンテンツがないと判断した場合(ステップS6;NO)、制御部23は、コンテンツ再生処理を終了する。
【0034】
一方、次に再生すべきコンテンツがあると判断した場合(ステップS6;YES)、制御部23は、計測した再生時間から再生スケジュール記憶部253に記憶されているn番目のコンテンツの再生時間を減算することにより、n番目のコンテンツ再生時の遅延時間d
nを算出する(ステップS7)。
【0035】
次いで、制御部23は、再生スケジュール記憶部253に記憶されている再生スケジュールを参照し、待機時間I
nを取得する(ステップS8)。
【0036】
次いで、制御部23は、n番目のコンテンツ再生時の遅延時間d
nと、変数cに格納されている遅延の繰り越し時間cの合計(d
n+c)=0であるか否かを判断する(ステップS9)。即ち、n番目のコンテンツがスケジュールどおり再生されたか否かを判断する。d
n+c=0であると判断した場合(ステップS9;YES)、制御部23は、待機時間I
nだけ待機する(ステップS10)。そして、変数cに0を設定し(ステップS11)、ステップS18の処理に移行する。
【0037】
ステップS9において、d
n+c=0ではないと判断した場合(ステップS9;NO)、制御部23は、d
n+c≦I
nであるか否かを判断する(ステップS12)。即ち、n番目のコンテンツ再生時の遅延時間d
nと繰り越し時間cの合計が待機時間I
n以下であるか否かを判断する。d
n+c≦I
nであると判断した場合(ステップS12;YES)、制御部23は、再生スケジュールの待機時間I
nをI
n−(d
n+c)に更新し(ステップS13)、I
n−(d
n+c)だけ待機する(ステップS14)。そして、変数cに0を設定し(ステップS15)、ステップS18の処理に移行する。
【0038】
ステップS12において、d
n+c≦I
nではないと判断した場合(ステップS12;NO)、制御部23は、(d
n+c)−I
nを算出して遅延の繰り越し時間として変数cに設定し(ステップS16)、再生スケジュールの待機時間I
nを0に更新し(ステップS17)、ステップS18の処理に移行する。
【0039】
ステップS18において、制御部23は、変数nを1インクリメントし(ステップS18)、ステップS4の処理に戻る。ステップS6において次に再生すべきコンテンツがないと判断した場合、制御部23は、コンテンツ再生処理を終了する。
【0040】
図6に、1番目のコンテンツ(コンテンツA)を再生し、遅延時間d
1≦待機時間I
1であったときのその後の再生タイミングの調整を模式的に示す。なお、1番目のコンテンツは遅延の繰り越し時間cは0であるため、
図6では考慮していない。また、
図6は、一例として、2番目のコンテンツ(コンテンツB)の遅延時間d
2を0とした例を示している。
【0041】
図6に示すように、1番目のコンテンツAの再生中に遅延d
1が発生した場合、次のコンテンツBは元の再生スケジュールよりd
1だけ遅れて再生が開始されることとなり、以降の全てのコンテンツの再生に遅延が生じてしまう。
【0042】
一方、コンテンツ再生処理によって待機時間I
1をI
1−d
1に調整した場合、
図6に示すように、2番目のコンテンツBは元の再生スケジュールどおりに再生することができる。
【0043】
図7に、1番目のコンテンツ(コンテンツA)を再生し、遅延時間d
1>待機時間I
1であったときのその後の再生タイミングの調整を模式的に示す。なお、1番目のコンテンツは遅延の繰り越し時間は0であるため、
図7では考慮していない。また、
図7は、一例として、2番目のコンテンツ(コンテンツB)の遅延時間d
2を0とした例を示している。
【0044】
図7に示すように、1番目のコンテンツAの再生中に待機時間I
1より大きい遅延d
1が発生した場合、2番目のコンテンツBは元の再生スケジュールよりd
1だけ遅れて再生が開始されることとなり、以降の全てのコンテンツの再生に大幅な遅延が生じてしまう。
【0045】
一方、コンテンツ再生処理によれば、1番目のコンテンツAの再生後、直ちに2番目のコンテンツBを再生することによって、遅延時間d
1のうち、時間I
1だけ調整することができる。調整しきれない残りのd
1−I
1は、遅延の繰り越し時間cとして、2番目のコンテンツBの遅延時間d
2(
図7においては0)に加算して、待機時間I
2内で調整する。これにより、
図7に示すように、3番目のコンテンツ(コンテンツC)の開始を元の再生スケジュールに揃えることができる。
【0046】
なお、
図7では、d
2+c≦待機時間I
2である場合を例として示しているが、待機時間I
2以上の遅延は調整はできないため、d
2+c>待機時間I
2である場合は、(d
2+c)−I
2を遅延の繰り越し時間cとして、3番目のコンテンツCの遅延時間d
3に加算して、次の待機時間I
3内で調整する。以降、同様の処理を繰り返す。このように、コンテンツ再生処理によれば、遅延時間が待機時間よりも長くなった場合でも、遅延時間のうち待機時間分は待機時間内で調整し、調整できなかった分は次の待機時間に繰り越して調整するので、遅延を最小限に抑えるように調整をすることができる。
【0047】
以上説明したように、デジタルサイネージ装置1によれば、コンテンツの映像データと、そのコンテンツの再生順番、再生時間、及びコンテンツ間の再生待機時間を含む再生スケジュールとが記憶部25に記憶されており、制御部23は、記憶部25に記憶されている再生スケジュールに基づいてコンテンツを再生し、コンテンツ再生中に遅延時間を計測し、遅延時間が発生した場合に、コンテンツ間の再生待機時間内で遅延時間分の調整を行う。
【0048】
従って、視聴者が意識していないコンテンツ間の再生待機時間内でコンテンツ再生中の遅延時間分を調整するので、違和感なくその後の再生タイミングの調整を行うことができる。また、デジタルサイネージ装置2のそれぞれが個別に再生スケジュールを調整することができるので、複数台が近接して配置されていたり、掛け合いを行っていたりするような場合であっても、装置間で再生タイミングを調整するための通信等の複雑なやりとりをすることなく、容易に再生タイミングの相対的なずれを調整することが可能となる。
【0049】
例えば、制御部23は、遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より短い場合、次のコンテンツまでの再生待機時間を当該再生待機時間から遅延時間を差し引いた時間に更新することによってその後の再生タイミングの調整を行うことができる。
【0050】
また、例えば、制御部23は、遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より長い場合であっても、コンテンツの再生後、次のコンテンツを直ちに再生することによって遅延時間のうち次のコンテンツまでの再生待機時間に相当する時間を調整し、遅延時間から次のコンテンツまでの再生待機時間を差し引いた残りの時間を次のコンテンツ再生後の再生待機時間内で調整することで、その後の再生タイミングの調整を行うことができる。
【0051】
上記実施形態における記述内容は、本発明のコンテンツ再生装置の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0052】
例えば、上記実施形態においては、画像形成部27は、コンテンツの投影対象物に応じた形に成形されていることとして説明したが、これに限定されず、例えば、矩形やその他の形であってもよい。
【0053】
その他、コンテンツ再生システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
コンテンツと、そのコンテンツの再生順番、再生時間、及びコンテンツ間の再生待機時間を含む再生スケジュールを記憶する記憶手段と、
前記再生スケジュールに基づいてコンテンツを再生する再生手段と、
コンテンツ再生中の遅延時間を計測する計測手段と、
前記遅延時間が発生した場合に、前記再生スケジュールにおけるコンテンツ間の再生待機時間内で前記遅延時間分の調整を行う調整手段と、
を備えるコンテンツ再生装置。
<請求項2>
前記遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より短いか否かを判断する判断手段を備え、
前記調整手段は、前記判断手段により前記遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より短いと判断された場合、前記次のコンテンツまでの再生待機時間を当該再生待機時間から前記遅延時間を差し引いた時間に更新することによって前記遅延時間分の調整を行う請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
<請求項3>
前記調整手段は、前記判断手段により前記遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より長いと判断された場合、当該遅延が発生したコンテンツ再生直後の再生待機時間及びその他のコンテンツ再生後の再生待機時間から前記遅延時間を差し引くことにより、前記遅延時間分の調整を行う請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
<請求項4>
前記調整手段は、前記判断手段により前記遅延時間が次のコンテンツまでの再生待機時間より長いと判断された場合、コンテンツの再生後、次のコンテンツを直ちに再生することによって前記遅延時間のうち前記次のコンテンツまでの再生待機時間に相当する時間を調整し、前記遅延時間から前記次のコンテンツまでの再生待機時間を差し引いた残りの時間を次のコンテンツ再生後の再生待機時間内で調整する請求項3に記載のコンテンツ再生装置。
<請求項5>
コンテンツと、そのコンテンツの再生順番、再生時間、及びコンテンツ間の再生待機時間を含む再生スケジュールを記憶する工程と、
前記再生スケジュールに基づいてコンテンツを再生する工程と、
コンテンツ再生中の遅延時間を計測する工程と、
前記遅延時間が発生した場合に、前記再生スケジュールにおけるコンテンツ間の再生待機時間内で前記遅延時間分の調整を行う工程と、
を含む再生スケジュール調整方法。
<請求項6>
コンピュータを、
コンテンツと、そのコンテンツの再生順番、再生時間、及びコンテンツ間の再生待機時間を含む再生スケジュールを記憶する記憶手段、
前記再生スケジュールに基づいてコンテンツを再生する再生手段、
コンテンツ再生中の遅延時間を計測する計測手段、
前記遅延時間が発生した場合に、前記再生スケジュールにおけるコンテンツ間の再生待機時間内で前記遅延時間分の調整を行う調整手段、
として機能させるためのプログラム。