特許第6237043号(P6237043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6237043数式表示制御装置、数式表示制御方法、数式表示制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237043
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】数式表示制御装置、数式表示制御方法、数式表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20171120BHJP
   G06F 17/21 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G06F15/02 330F
   G06F15/02 315P
   G06F17/21 650
【請求項の数】18
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-196182(P2013-196182)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-209309(P2014-209309A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2016年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-73994(P2013-73994)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 博明
【審査官】 井上 宏一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−199174(JP,A)
【文献】 特開2010− 72940(JP,A)
【文献】 特開2011− 22913(JP,A)
【文献】 特開2005−242176(JP,A)
【文献】 特開昭54−120552(JP,A)
【文献】 カシオ計算機株式会社,fx-82ES fx-83ES 取扱説明書,2004年 8月31日,pp.19,25-27,[2009年12月15日検索],URL,http://support.casio.jp/pdf/004/fx-82ES_83ES.pdf
【文献】 カシオ計算機株式会社,教科書の表記通りに数式を表示する関数電卓,2004年 7月29日,[2009年12月15日検索],URL,http://www.casio.co.jp/release/2004/fx_82es.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
G06F 17/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数式を自然表示する数式表示制御装置であって、
数式を入力する数式入力手段と、
この数式入力手段により入力された数式を表示部に表示させる数式表示制御手段と、
この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段と、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段と、
この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段と、
この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段と、
を備え
前記逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる小数逆数表示制御手段を有する、
ことを特徴とする数式表示制御装置。
【請求項2】
前記小数逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化して一時表示させた後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とする請求項に記載の数式表示制御装置。
【請求項3】
数式を自然表示する数式表示制御装置であって、
数式を入力する数式入力手段と、
この数式入力手段により入力された数式を表示部に表示させる数式表示制御手段と、
この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段と、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段と、
この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段と、
この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段と、
を備え、
第1の逆数モードと第2の逆数モードとを切り替える逆数モード切替手段を備え、
前記逆数表示制御手段は、
前記逆数モード切替手段により第1の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、
前記逆数モード切替手段により第2の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が分数でも小数でもない場合は、その数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とする数式表示制御装置。
【請求項4】
前記逆数モード切替手段は、ユーザ操作に応じて第1の逆数モードと第2の逆数モードとを切り替える、ことを特徴とする請求項3に記載の数式表示制御装置。
【請求項5】
前記所定方向は、前記数式の前方方向であることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項6】
前記逆数対象検出手段は、前記逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に、括弧の固まり領域、関数の固まり領域、掛け算記号省略の固まり領域を判断し、四則記号以前または前記固まり領域先頭までを区切りとして前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項7】
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式に対し表示されたカーソルが、数値同士の間、四則記号の直後、乗算記号の省略位置、にある場合には、その逆数機能を無効にする逆数機能無効制御手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項8】
前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を識別して表示させる識別表示制御手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項9】
前記逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる分数逆数表示制御手段を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項10】
ユーザ操作に応じて分数計算の簡単化機能を入力する簡単化機能入力手段と、
この簡単化機能入力手段による簡単化機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの直前に÷記号に分数が連結された数式部分があるかを判断する数式部分判断手段と、
この数式部分判断手段により前記カーソルの直前に÷記号に分数が連結された数式部分があると判断された場合は、当該数式部分を×記号にその分数の分母と分子を入れ替えてなる分数を連結した数式部分に変換する分数変換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項11】
前記逆数機能入力手段は、逆数対象を分母とし分子を1にした自然表記形態の分数記号を表記してなる逆数キーを有し、この逆数キーのユーザ操作に応じて逆数機能を入力する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項12】
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式に対し表示されたカーソルが、当該数式の末尾で且つ四則記号の直後の位置にある場合には、前記数式入力手段により逆数対象の要素を入力するための入力枠を分母とし分子を1にした逆数入力用の分数を前記カーソルに替えて表示させると共に同カーソルを前記入力枠の位置に移動させる逆数分数末尾表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項13】
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式が未入力である場合又は、前記数式の末尾にカーソルが位置し当該数式の末尾が四則算である場合には、前記数式入力手段により逆数対象の要素を入力するための入力枠を分母とし分子を1にした逆数入力用の分数を前記表示部に表示させると共に前記カーソルを前記入力枠の位置に表示させる逆数分数表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項12の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項14】
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式に対し表示されたカーソルが、前記数式入力手段により入力された関数式の要素を入力するための入力枠の位置にある場合には、分子を1にした逆数入力用の分数の分母を前記入力枠とした表示に変換すると共に、前記カーソルを当該分母の位置に移動させる逆数分数入力表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載の数式表示制御装置。
【請求項15】
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御して数式を自然表示するための方法であって、
数式を入力し、
この入力された数式を前記表示部に表示させ、
この表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させ、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力し、
この逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出し、
この検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させること、
からなり、
前記検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させることは、前記検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とする数式表示制御方法。
【請求項16】
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御して数式を自然表示するための方法であって、
数式を入力し、
この入力された数式を前記表示部に表示させ、
この表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させ、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力し、
この逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出し、
この検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させること、
からなり、
さらに、前記電子機器は、第1の逆数モードと第2の逆数モードとを備え、
前記検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させることは、
前記第1の逆数モードでは、前記検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、
前記第2の逆数モードでは、前記検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が分数でも小数でもない場合は、その数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とする数式表示制御方法。
【請求項17】
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御して数式を自然表示するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
数式を入力する数式入力手段、
この数式入力手段により入力された数式を前記表示部に表示させる数式表示制御手段、
この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段、
この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段、
この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段、
として機能させ
前記逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる小数逆数表示制御手段を有する、
ことを特徴とするコンピュータ読み込み可能な数式表示制御プログラム。
【請求項18】
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御して数式を自然表示するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
数式を入力する数式入力手段、
この数式入力手段により入力された数式を前記表示部に表示させる数式表示制御手段、
この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段、
この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段、
この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段、
さらに、第1の逆数モードと第2の逆数モードとを切り替える逆数モード切替手段、
として機能させ、
前記逆数表示制御手段は、
前記逆数モード切替手段により第1の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、
前記逆数モード切替手段により第2の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が分数でも小数でもない場合は、その数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とするコンピュータ読み込み可能な数式表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆数を適切に表示させるための数式表示制御装置、数式表示制御方法、数式表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、関数電卓と称する電子式計算機において、ユーザによってキー入力された数式やその計算結果の表記形態は、そのまま1行にして表示されるものが多かった。
【0003】
例えば冪乗形式の数式を入力する場合、冪数をその冪数が掛かる記号や数字の右上に自然表示できないために、「X」の二乗であれば「X^2」のように1行表示されていた。
【0004】
また、例えば分数を含む数式の場合も同様に、当該分数記号を挟んだ分子と分母を上下方向に自然表示できないために、「A/B」などと入力されそのまま1行表示されていた。
【0005】
そこで、数式を教科書に記載されるような自然な形式で表示するようにした関数電卓が考えられている。そして、数式を入力して分数キー[a/b]を押すと、カーソル位置から前方の数式の固まり部分が分子に、後方の数式の固まり部分が分母に取り込まれた分数を表示させる関数電卓が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
このように、上下方向に重なった表示が必要な冪乗や分数などの関数(2D(dimension)関数)を自然な表記形態で表示可能な関数電卓は、小学生から中学生といった数学初学者の学習に効果を上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−199174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
数学初学者に対する一般的な学校教育では、分数の学習と関連して逆数を学習する。そこでは、“0”ではない数値Xに対する逆数を「1/X」といった分数形式にして学習する。
【0009】
しかしなから、従来の関数電卓では、数値Xに対する逆数が「X-1」(または「X^−1」)といった学校では学ばない冪乗形式で表示されて計算されるため、このような関数電卓を適切な学習ツールとして利用し難い問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、逆数に関する計算を分数と関連して適切に学ぶことが可能になる数式表示制御装置、数式表示制御方法、数式表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る数式表示制御装置は、数式を自然表示する数式表示制御装置であって、数式を入力する数式入力手段と、この数式入力手段により入力された数式を表示部に表示させる数式表示制御手段と、この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段と、ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段と、この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段と、この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段と、を備え、前記逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる小数逆数表示制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0012】
本発明に係る他の数式表示制御装置は、数式を自然表示する数式表示制御装置であって、数式を入力する数式入力手段と、この数式入力手段により入力された数式を表示部に表示させる数式表示制御手段と、この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段と、ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段と、この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段と、この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段と、を備え、第1の逆数モードと第2の逆数モードとを切り替える逆数モード切替手段を備え、前記逆数表示制御手段は、前記逆数モード切替手段により第1の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記逆数モード切替手段により第2の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が分数でも小数でもない場合は、その数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、逆数に関する計算を分数と関連して適切に学ぶことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の数式表示制御装置の実施形態に係る関数電卓10の外観構成を示す正面図。
図2】前記関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図。
図3】本発明の数式表示制御装置の他の実施形態に係るタブレットPC10Tの外観構成を示す正面図。
図4】前記関数電卓10の逆数モード切替処理を示すフローチャート。
図5】前記関数電卓10の数式表示制御処理を示すフローチャート。
図6】前記関数電卓10の数式表示制御処理に伴う逆数入力応答処理を示すフローチャート。
図7】前記関数電卓10の逆数入力応答処理に伴う逆数機能無効処理を示すフローチャート。
図8】前記関数電卓10の逆数入力応答処理に伴う固まり領域検出処理を示すフローチャート。
図9】前記関数電卓10の逆数モード切替処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作を示す図。
図10】前記関数電卓10のScientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)Msでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その1)を示す図。
図11】前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その2)を示す図。
図12】前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その3)を示す図。
図13】前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その4)を示す図。
図14】前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その5)を示す図。
図15】前記関数電卓10のEducational Inverse Mode(教育的逆数モード)Meでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その1)を示す図。
図16】前記関数電卓10の教育的逆数モードMeでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その2)を示す図。
図17】前記関数電卓10の教育的逆数モードMeでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その3)を示す図。
図18】前記関数電卓10の数式表示制御処理に伴う逆数による分数計算簡単化処理を示すフローチャート。
図19】前記関数電卓10の逆数による分数計算簡単化処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作を示す図。
図20】前記関数電卓10の数式表示制御処理に伴う他の実施形態の逆数入力応答処理を示すフローチャート。
図21】前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴う逆数機能無効処理を示すフローチャート。
図22】前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その1)を示す図。
図23】前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その2)を示す図。
図24】前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その3)を示す図。
図25】前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その4)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の数式表示制御装置の実施形態に係る関数電卓10の外観構成を示す正面図である。
【0018】
この数式表示制御装置は、以下に説明する計算専用の携帯機器(関数電卓10)として構成されるか、計算機能を備えたタッチパネル式PDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成される。
【0019】
この関数電卓10は、その携帯性の必要からユーザが片手で十分把持し片手で操作可能な小型サイズからなり、この関数電卓10の本体正面にはキー入力部11および表示部16が設けられる。
【0020】
前記キー入力部11には、数値や数式を入力したり計算の実行を指示したりするための数値・演算記号キー群12、各種の関数を入力したりメモリ機能を立ち上げたりするための関数機能キー群13、各種動作モードのメニュー画面を表示させたり動作モードの設定を指示したりするためのモード設定キー群14、前記表示部16に表示されたカーソルCuの移動操作やデータ項目の選択操作などを行うためのカーソルキー15が備えられる。
【0021】
前記数値・演算記号キー群12としては、[0]〜[9](数値)キー、[+][−][×][÷](四則記号)キー、[Ans][=](実行)キー、[AC](クリア)キーなどが配列される。
【0022】
前記関数機能キー群13としては、[1/□](逆数)キー13iをはじめ、[√□](ルート)キー、[□/□](分数)キー、[sin](サイン)キー、[M+](メモリプラス)キーなどが配列される。
【0023】
前記モード設定キー群14としては、[MODE](モード)キー、[SHIFT](シフト)キー、[ON](電源)キーなどが配列される。
【0024】
なお、本実施形態において、「√」(ルート)、「a/b」(分数)、「X」(冪関数)などのように、1行表示では特殊な記号を用いての表示が必要になり、教科書記載の自然表示ではその数字や関数記号を2次元に展開して上下方向に重なった表示が必要になる関数のことを2D(dimension)関数と称する。この明細書では、文字入力の制約上、冪乗を除く2D関数については1行表示にして記載する。
【0025】
ここで、前記[1/□](逆数)キー13iによって起動される、数式をカーソルCuの位置に応じた範囲で取り込んで逆数に変換して表示させるための逆数処理は、Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)での処理と、Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)での処理との2通りがあり、当該2通りの逆数モードはユーザ操作に応じて適宜切り替えられて設定される。
【0026】
そして、前記Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)に設定された状態“1”では、前記表示部16の状態表示エリアに自然科学逆数モードマーク[□→1/□]Msが表示され(図10参照)、また、前記Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)に設定された状態“2”では、教育的逆数モードマーク[△/□→□/△]Meが表示される(図15参照)。
【0027】
前記表示部16は、ドットマトリクス型の液晶表示ユニットからなる。
【0028】
図2は、前記関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0029】
この関数電卓10の電子回路は、コンピュータであるCPU21を備えている。
【0030】
前記CPU21は、メモリ22に予め記憶されている、あるいはメモリカード等の外部記録媒体23から記録媒体読取部23を介してメモリ22に読み込まれた、あるいは通信ネットワークN上のWebサーバ(ここでは、教育サーバ)30から通信部25を介してメモリ22にダウンロードされた、電卓制御プログラム22aおよび数式表示制御プログラム22bに従い回路各部の動作を制御し、キー入力部11からのキー入力信号に応じた各種の演算処理を実行する。
【0031】
前記メモリ22には、前記電卓制御プログラム22aおよび数式表示制御プログラム22bが記憶される他に、逆数モード設定メモリ22c、入力式エリア22d、カーソルポインタメモリ22e、ワークエリア(式バッファ)22fなどが確保される。
【0032】
前記逆数モード設定メモリ22cには、前記Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)に設定された状態でモードデータ“1”が、前記Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)に設定された状態でモードデータ“2”が記憶される。
【0033】
前記入力式エリア22dには、前記キー入力部11によりキー入力されたキーコードのデータが順次入力され、これにより構成される数式のデータが記憶される。例えば数値キーは数字を示すコードで、「sin」などの関数キーはその関数を示すコードで、「+」「−」「×」「÷」などの算術記号キーはその算術記号を示すコードで記憶される。
【0034】
前記カーソルポインタメモリ22eには、前記入力式エリア22dに記憶されると共に前記表示部16に表示された数式のデータを対象にして、カーソルキー15の操作により移動表示されるカーソルCuが位置するところを示すポインタデータが記憶される。
【0035】
前記ワークエリア(式バッファ)22fには、前記電卓制御プログラム22aおよび数式表示制御プログラム22bに従って、前記CPU21に入出力される各種のデータが必要に応じて一時的に記憶されるもので、例えば前記[1/□](逆数)キー13iが入力された場合、前記入力式エリア22dに記憶された数式のデータを対象に、前記カーソルポインタメモリ22eに記憶されたカーソルCuが位置するところのポインタより前方方向(逆方向)に存在する数式が読み出されて一時的に記憶される。
【0036】
このように構成された関数電卓10は、前記CPU21が前記電卓制御プログラム22aおよび数式表示制御プログラム22bに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる数式の逆数への変換表示に適切な数式表示制御機能を実現する。
【0037】
なお、この数式表示制御装置の実施形態は、前記関数電卓10により実現した場合について説明しているが、例えば図3に示すように、タブレットPC10Tにても、前記電卓制御プログラム22aおよび数式表示制御プログラム22bを組み込んだ関数電卓エミュレータのアプリケーションプログラムを実行させ、各プログラムに応じた入力および表示動作を、タッチパネル式カラー表示部16Tにて行わせることで実現可能であるのは勿論である。
【0038】
図3は、本発明の数式表示制御装置の他の実施形態に係るタブレットPC10Tの外観構成を示す正面図である。
【0039】
この図3におけるタブレットPC10Tでは、前記Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)に設定された状態で、タッチパネル式カラー表示部16Tの状態表示エリアに自然科学逆数モードマーク[□→1/□]Msが表示され、[1/□](逆数)キー13iの入力によって、数式「1÷(1+2)」のうちのカーソルCuの位置に応じて取り込まれた数式固まり領域「(1+2)」が逆数「1/(1+2)」に変換された表示動作を示している。
【0040】
次に、前記構成の関数電卓10の逆数モード切り替え機能および数式表示制御機能について説明する。
【0041】
図4は、前記関数電卓10の逆数モード切替処理を示すフローチャートである。
【0042】
図5は、前記関数電卓10の数式表示制御処理を示すフローチャートである。
【0043】
図6は、前記関数電卓10の数式表示制御処理に伴う逆数入力応答処理を示すフローチャートである。
【0044】
図7は、前記関数電卓10の逆数入力応答処理に伴う逆数機能無効処理を示すフローチャートである。
【0045】
図8は、前記関数電卓10の逆数入力応答処理に伴う固まり領域検出処理を示すフローチャートである。
【0046】
(逆数モード切り替え機能)
図9は、前記関数電卓10の逆数モード切替処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作を示す図である。
【0047】
キー入力部11の[MODE](モード)キーの入力に従い表示部16に表示される動作モードのメニュー画面(図示せず)において、逆数モード設定の項目が選択されると、Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)を項目“1”、Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)を項目“2”とした逆数モード選択画面Mが、図9(A)または図9(B)に示すように、表示部16に表示される(ステップT1)。
【0048】
この逆数モード選択画面Mにおいて、[1]キーが入力されると(ステップT21(Yes))、逆数モード設定メモリ22cにモードデータ“1”が記憶され、Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)に設定される(ステップT31)。
【0049】
また、前記逆数モード選択画面Mにおいて、[2]キーが入力されると(ステップT22(Yes))、逆数モード設定メモリ22cにモードデータ“2”が記憶され、Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)に設定される(ステップT32)。
【0050】
そして、前記自然科学逆数モードに設定された場合には(ステップT31)、例えば図10図14に示すように、表示部16の状態表示エリアに自然科学逆数モードマーク[□→1/□]Msが表示され、また、前記教育的逆数モードに設定された場合には(ステップT32)、例えば図15図17に示すように、表示部16の状態表示エリアに教育的逆数モードマーク[△/□→□/△]Meが表示される(ステップT4)。
【0051】
(数式表示制御機能)
キー入力部11のユーザ操作に伴い、入力されたキーに対応するキーコードが入力式エリア22dに読み込まれると(ステップS1)、そのキーコードに従い[1/□](逆数)キー13iが入力されたか(ステップS2)、または[√□](ルート)キー,[□/□」(分数)キー,[X](冪乗)キー等の2D関数のキーが入力されたか(ステップS3)、またはカーソルキー15が入力されたか(ステップS5)、または[Simp1/□](÷分数簡単化)キー13siが入力されたか(ステップS7)、または数字キー,算術記号キー等のその他のキーが入力されたか(ステップS8(No))、または[Ans][=]等の実行キーが入力されたか(ステップS8(Yes))が判断される。
【0052】
前記2D関数のキーが入力されたと判断されると(ステップS3(Yes))、入力された2D関数に対応した数式が2次元の自然表示形態で表示部16に表示される(ステップS4)。
【0053】
前記数字キー,算術記号キー等のその他のキーが入力されたと判断されると(ステップS8(No))、入力されたキーに対応した数字,記号が表示部16に表示される(ステップS9)。
【0054】
前記カーソルキー15が入力されたと判断されると(ステップS5(Yes))、前記表示部16に表示されているカーソルCuが当該カーソルキー15で指定された方向に移動される(ステップS6)。
【0055】
そして、前記[Ans][=]等の実行キーが入力されたと判断されると(ステップS8(Yes))、前記一連のキー入力処理(ステップS1〜S9)に伴い入力式エリア22dに記憶され表示部16に表示された数式について、当該入力式エリア22dに記憶されたキーコードデータが読み出されて演算対象となる数式として問題がないかチェックされる(ステップS10)。仮にこのステップS10の数式チェックで演算できない問題があると判断された場合には、シンタックス・エラーの表示がなされる。
【0056】
前記入力された数式に問題がないと判断された場合には演算処理が実行され(ステップS11)、その演算結果のデータが表示部16に表示される(ステップS12)。
【0057】
(数式表示制御機能:自然科学逆数モードMs)
図10は、前記関数電卓10のScientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)Msでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その1)を示す図である。
【0058】
前記一連のキー入力処理(ステップS1〜S9)に伴い、図10(A)に示すように、ユーザ任意の数式「1÷(1+2)」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図10(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0059】
この逆数入力応答処理へ移行されると、先ず逆数機能無効処理へ移行され(ステップAB)、カーソルCuが前記数式の中の数値同士の間(数値内)にあるのか(ステップB1)、またはカーソルCuの直前に四則の算術記号(+,−,×,÷)があるか(ステップB2)、またはカーソルCuが乗算記号(×,・)の省略された位置にあるのか(ステップB3)、が判断される。
【0060】
ここで、前記図10(A)で示した数式「1÷(1+2)」の最後部に位置するカーソルCuは、前記逆数機能無効処理で条件とされた何れの位置でもないと判断されるので(ステップB1(No),B2(No),B3(No))、固まり領域検出処理へ移行される(ステップSC)。
【0061】
なお、前記入力された数式に対するカーソルCuが、前記逆数機能無効処理で条件とされた何れかの位置にあると判断された場合には(ステップB1(Yes)又はB2(Yes)又はB3(Yes))、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0062】
前記図10(A)で示した数式「1÷(1+2)」に対する逆数機能無効処理を経て(B1(No),B2(No),B3(No))、固まり領域検出処理へ移行されると(ステップSC)、現在のカーソルCuの位置から逆方向(前方)に存在する数式「1÷(1+2)」がワークエリア(式バッファ)22fに読み出され、当該カーソルCuの位置から逆方向(前方)への数式の固まり部分の認識処理が開始される(ステップC1)。
【0063】
まず、前記カーソルCuの位置から数式を遡って、右括弧「)」から左括弧「(」までの数式部分(この場合は「(1+2)」)がひと固まりの数式部分として認識処理される(ステップC2)。
【0064】
また、同様に前記カーソルCuの位置から数式を遡って、2D関数を含む一般関数の掛かる範囲の終了位置から当該関数先頭までの数式部分(図10(B2)の場合は「1/(1+2)」)がひと固まり数式部分として認識処理される(ステップC3)。
【0065】
また、同様に前記カーソルCuの位置から数式を遡って、数値のみの数式部分および文字のみの数式部分(図13(D1)の場合は「78」)が、それぞれひと固まりの数式部分として認識処理される(ステップC4)。
【0066】
さらに、同様に前記カーソルCuの位置から数式を遡って、乗算記号(×,・)の省略された乗算範囲の数式部分(図12(B)の場合は「2A」)が、ひと固まりの数式部分として認識処理される(ステップC5)。
【0067】
そしてさらに数式を遡って、算術記号(+,−,×,÷)が存在すると判断された場合には(ステップC6(Yes))、当該算術記号の直前まで遡った数式部分(この場合は「(1+2)」)が、逆数変換の対象となる数式の固まり領域として取り込み処理される(ステップC7)。
【0068】
一方、前記ステップC6において、算術記号(+,−,×,÷)が存在しないと判断された場合には(ステップC6(No))、前記各固まりの全ての数式部分か、前記ワークエリア(式バッファ)22fに読み出された先頭までの数式部分が、逆数変換の対象となる数式の固まり領域として取り込み処理される(ステップC8)。
【0069】
すると、図10(B1)に示すように、前記固まり領域検出処理(ステップAC)にて検出されて取り込み処理された数式の固まり領域「(1+2)」が、例えば1秒間の点滅等により識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0070】
そして、前記逆数モード設定メモリ22cに記憶されたモードデータ“1”に従い、Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)Msに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図10(B2)に示すように、前記検出された数式の固まり領域「(1+2)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(1+2)」が、元の数式部分「(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0071】
この状態(図10(B2)参照)で続いて、図10(C)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB:B1(No),B2(No),B3(No))および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「1/(1+2)」が、図10(C1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0072】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図10(C2)に示すように、前記固まり領域「1/(1+2)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(1/(1+2))」が、元の数式部分「1/(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0073】
一方、図10(D)に示すように、ユーザ任意の数式「1÷(1+2)」を、カーソルCuを“2”と“)”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「2」が、図10(D1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0074】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図10(D2)に示すように、前記固まり領域「2」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/2」が、元の数式部分「2」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0075】
また、図10(E)に示すように、前記数式「1÷(1+2)」を、カーソルCuを“+”と“2”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuの直前に四則の算術記号(+)があると判断される(ステップB2(Yes))。
【0076】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0077】
図11は、前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その2)を示す図である。
【0078】
前記一連のキー入力処理(ステップS1〜S9)に伴い、図11(A)に示すように、ユーザ任意の数式「1÷2(1+2)」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図11(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0079】
すると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「2(1+2)」が、図11(B1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0080】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図11(B2)に示すように、前記固まり領域「2(1+2)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/2(1+2)」が、元の数式部分「2(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0081】
また、図11(C)に示すように、ユーザ任意の数式「1÷2×(1+2)」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図11(D)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0082】
すると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「(1+2)」が、図11(D1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0083】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図11(D2)に示すように、前記固まり領域「(1+2)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(1+2)」が、元の数式部分「(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0084】
なおこの場合、前記逆数の分数「1/(1+2)」の直前にある乗算の数式部分「2×」を分子として取り込んだ分数「2/(1+2)」にして、図11(D2′)に示すように表示させてもよい。
【0085】
図12は、前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その3)を示す図である。
【0086】
前記一連のキー入力処理(ステップS1〜S9)に伴い、図12(A)に示すように、ユーザ任意の数式「1+2A」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図12(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0087】
すると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「2A」が、図12(B1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0088】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図12(B2)に示すように、前記固まり領域「2A」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/2A」が、元の数式部分「2A」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0089】
また、図12(C)に示すように、前記数式「1+2A」を、カーソルCuを“2”と“A”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuが乗算記号(×,・)の省略された位置にあると判断される(ステップB3(Yes))。
【0090】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0091】
また、図12(D)に示すように、ユーザ任意の数式「1+2π」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図12(E)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0092】
すると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「2π」が、図12(E1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0093】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図12(E2)に示すように、前記固まり領域「2π」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/2π」が、元の数式部分「2π」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0094】
また、図12(F)に示すように、前記数式「1+2π」を、カーソルCuを“2”と“π”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuが乗算記号(×,・)の省略された位置にあると判断される(ステップB3(Yes))。
【0095】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0096】
図13は、前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その4)を示す図である。
【0097】
図14は、前記関数電卓10の自然科学逆数モードMsでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その5)を示す図である。
【0098】
図13(A1)に示すように、ユーザ任意の数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C6(No)→C8)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「(12+√(34(5+78)))」が識別表示され、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0099】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図13(A2)に示すように、前記固まり領域「(12+√(34(5+78)))」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(12+√(34(5+78)))」が、元の数式部分「(12+√(34(5+78)))」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0100】
また、図13(B1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”と最後の閉じ括弧“)”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「√(34(5+78))」が識別表示され、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0101】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図13(B2)に示すように、前記固まり領域「√(34(5+78))」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/√(34(5+78))」が、元の数式部分「√(34(5+78))」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0102】
また、図13(C1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”の最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C6(No)→C8)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「34(5+78)」が識別表示され、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0103】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図13(C2)に示すように、前記固まり領域「34(5+78)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(34(5+78))」が、元の数式部分「34(5+78)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0104】
また、図13(D1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“78”と“)”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「78」が識別表示され、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0105】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図13(D2)に示すように、前記固まり領域「78」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/78」が、元の数式部分「78」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0106】
また、図13(E1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“7”と“8”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuが前記数式の中の数値同士の間(数値内)にあると判断される(ステップB1(Yes))。
【0107】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、図13(E2)に示すように、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0108】
さらに、図13(F1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“+”と“7”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuの直前に四則の算術記号(+)があると判断される(ステップB2(Yes))。
【0109】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、図13(F2)に示すように、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0110】
また、図14(A1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“5”と“+”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C6(No)→C8)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「5」が識別表示され、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0111】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図14(A2)に示すように、前記固まり領域「5」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/5」が、元の数式部分「5」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0112】
また、図14(B1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“34”と“(”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuが乗算記号(×,・)の省略された位置にあると判断される(ステップB3(Yes))。
【0113】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、図14(B2)に示すように、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0114】
また、図14(C1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“3”と“4”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuが前記数式の中の数値同士の間(数値内)にあると判断される(ステップB1(Yes))。
【0115】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、図14(C2)に示すように、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0116】
また、図14(D1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲“√(34(5+78))”内の“√”と“3”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuが乗算記号(×,・)の省略された位置にあると判断される(ステップB3(Yes))。
【0117】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、図14(D2)に示すように、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0118】
さらに、図14(E1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲外の“+”と“√”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuの直前に四則の算術記号(+)があると判断される(ステップB2(Yes))。
【0119】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、図14(E2)に示すように、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0120】
また、図14(F1)に示すように、前記数式「(12+√(34(5+78)))」を、カーソルCuを√の範囲外の“12”と“+”との間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C6(No)→C8)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「12」が識別表示され、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0121】
そして、自然科学逆数モードMsに設定されていると判断されると(ステップA2(Yes))、図14(F2)に示すように、前記固まり領域「12」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/12」が、元の数式部分「12」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0122】
(数式表示制御機能:Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)Me)
図15は、前記関数電卓10のEducational Inverse Mode(教育的逆数モード)Meでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その1)を示す図である。
【0123】
図15(A)に示すように、前記逆数モード切替処理(図4参照)に従い、Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)Meに設定した後に、ユーザ任意の数式「1÷(1+2)」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図15(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0124】
すると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「(1+2)」が、図15(B1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0125】
そして、Educational Inverse Mode(教育的逆数モード)Meに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「(1+2)」は、分数ではなく(ステップA4(No))、小数でもないと判断され(ステップA6(No))、図15(B2)に示すように、当該固まり領域「(1+2)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(1+2)」が、元の数式部分「(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0126】
この状態(図15(B2)参照)で続いて、図15(C)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「1/(1+2)」が、図15(C1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0127】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「1/(1+2)」が分数であると判断され(ステップA4(Yes))、図15(C2)に示すように、当該固まり領域「1/(1+2)」の分母と分子を入れ替えた逆数の分数「(1+2)/1」が、元の数式部分「1/(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA5)。
【0128】
なおここで、分母が“1”となる分数「X/1」は「X」と整数化されて表示される。
【0129】
続いて、図15(D)に示すように、前記数式「1÷(1+2)」を、カーソルCuを“2”と“)”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、図15(E)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「2」が、図15(E1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0130】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「2」は、分数ではなく(ステップA4(No))、小数でもないと判断され(ステップA6(No))、図15(E2)に示すように、当該固まり領域「2」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/2」が、元の数式部分「2」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0131】
この状態(図15(E2)参照)で続いて、図15(F)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「1/2」が、図15(F1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0132】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「1/2」が分数であると判断され(ステップA4(Yes))、図15(F2)に示すように、当該固まり領域「1/2」の分母と分子を入れ替えた逆数の分数「2/1」(「2」と整数化)が、元の数式部分「1/2」に入れ替えられて表示される(ステップA5)。
【0133】
続いて、図15(G)に示すように、前記数式「1÷(1+2)」を、カーソルCuを“+”と“2”の間に位置させて表示部16に表示させた状態で、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)において、カーソルCuの直前に四則の算術記号(+)があると判断される(ステップB2(Yes))。
【0134】
すると、これ以降の逆数入力応答処理は無効とされ、現在の数式の表示状態が変化なく維持されるか、あるいは無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップB4)。
【0135】
図16は、前記関数電卓10の教育的逆数モードMeでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その2)を示す図である。
【0136】
前記図15(B)で示した場合と同様に、図16(A)に示すように、数式「1÷(1+2)」について、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された固まり領域「(1+2)」が、逆数の分数「1/(1+2)」に入れ替えられて表示された状態で(ステップA1,A2(No)→A4(No)→A6(No)→A3)、図16(B)に示すように、カーソルCuを分母「(1+2)」の最後部に位置させる。
【0137】
ここで、図16(C)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C6(No)→C8)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「(1+2)」が、図16(C1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0138】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「(1+2)」は、分数ではなく(ステップA4(No))、小数でもないと判断され(ステップA6(No))、図16(C2)に示すように、当該固まり領域「(1+2)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(1+2)」が、元の数式部分「(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0139】
続いて、図16(D)に示すように、数式「1÷1/(1/(1+2))」の最後部にカーソルCuを位置させた状態で、図16(E)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「1/(1/(1+2))」が、図16(E1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0140】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「1/(1/(1+2))」が分数であると判断され(ステップA4(Yes))、図16(E2)に示すように、当該固まり領域「1/(1/(1+2))」の分母と分子を入れ替えた逆数の分数「(1/(1+2))/1」→「1/(1+2)」が、元の数式部分「1/(1/(1+2))」に入れ替えられて表示される(ステップA5)。
【0141】
この状態で続いて、図16(F)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されて前記逆数入力応答処理に移行されると(ステップSA)、その逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「1/(1+2)」が、図16(F1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0142】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「1/(1+2)」が分数であると判断され(ステップA4(Yes))、図16(F2)に示すように、当該固まり領域「1/(1+2)」の分母と分子を入れ替えた逆数の分数「(1+2)/1」(「(1+2)」と整数化)が、元の数式部分「1/(1+2)」に入れ替えられて表示される(ステップA5)。
【0143】
図17は、前記関数電卓10の教育的逆数モードMeでの逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その3)を示す図である。
【0144】
図17(A)に示すように、ユーザ任意の数式「2+0.5」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図17(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS1,S2(Yes))、逆数入力応答処理へ移行される(ステップSA)。
【0145】
すると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C7)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「0.5」が、図17(B1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0146】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「0.5」は、小数であると判断され(ステップA6(Yes))、図17(B2)に示すように、分数「1/2」に変換されて識別表示Hされた後(ステップA7)、図17(B3)に示すように、当該分数変換された固まり領域「1/2」の分母と分子を入れ替えた逆数の分数「2/1」(「2」と整数化)が、元の数式部分「1/2」に入れ替えられて表示される(ステップA5)。
【0147】
また、図17(C)に示すように、数式「2+0.75」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図17(D)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力された場合も同様に、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「0.75」が、図17(D1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0148】
そして、前記固まり領域「0.75」は、小数であると判断され(ステップA6(Yes))、図17(D2)に示すように、分数「3/4」に変換されて識別表示Hされた後(ステップA7)、図17(D3)に示すように、当該分数変換された固まり領域「3/4」の分母と分子を入れ替えた逆数の分数「4/3」が、元の数式部分「3/4」に入れ替えられて表示される(ステップA5)。
【0149】
また、図17(E)に示すように、数式「(2+0.75)」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図17(F)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると、逆数機能無効処理(ステップAB)および固まり領域検出処理(ステップAC;C1〜C6(No)→C8)を経て取り込み処理された数式の固まり領域「(2+0.75)」が、図17(F1)に示すように識別表示Hされ、逆数変換の対象となる数式部分としてユーザに報知される(ステップA1)。
【0150】
そして、教育的逆数モードMeに設定されていると判断されると(ステップA2(No))、前記固まり領域「(2+0.75)」は、分数ではなく(ステップA4(No))、小数でもないと判断され(ステップA6(No))、図17(F2)に示すように、当該固まり領域「(2+0.75)」を分母とし、分子を「1」とした逆数の分数「1/(2+0.75)」が、元の数式部分「(2+0.75)」に入れ替えられて表示される(ステップA3)。
【0151】
(数式表示制御機能:逆数による分数計算簡単化)
図18は、前記関数電卓10の数式表示制御処理に伴う逆数による分数計算簡単化処理を示すフローチャートである。
【0152】
図19は、前記関数電卓10の逆数による分数計算簡単化処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作を示す図である。
【0153】
図19(A)に示すように、例えば分数同士の割り算からなるユーザ任意の数式「(3/5)÷(2/3)」を、カーソルCuを最後部に位置させて表示部16に表示させた状態で、図19(B)に示すように、[Simp1/□](÷分数簡単化)キー13siが入力されると(ステップS1,S7(Yes))、分数計算簡単化処理へ移行される(ステップSP)。
【0154】
この分数計算簡単化処理では、カーソルCuの直前に「÷分数」があるか否かが判断される(ステップP1)。
【0155】
ここで、前記数式「(3/5)÷(2/3)」について、カーソルCuの直前に“÷分数”である数式部分「÷(2/3)」があると判断されると(ステップP1(Yes))、図19(B1)に示すように、当該“÷分数”の数式部分「÷(2/3)」が識別表示Hされた後、その分母と分子を入れ替えて逆数にした“×分数”「×(3/2)」が、図19(B2)に示すように、前記“÷分数”の数式部分「÷(2/3)」と入れ替えられて表示される(ステップP2)。
【0156】
なお、前記[Simp1/□](÷分数簡単化)キー13siが入力されて分数計算簡単化処理へ移行された際に、カーソルCuの直前に「÷分数」が無いと判断された場合は(ステップP1(No))、当該逆数による分数計算簡単化機能が無効である旨のメッセージの表示またはエラー音声が出力される(ステップP3)。
【0157】
したがって、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、ユーザ入力されて表示された数式の任意の位置にカーソルCuを表示させ、[1/□](逆数)キー13iを入力すると、前記カーソルCuから逆方向へ逆数対象となる数式の固まり領域が、括弧の固まり領域、関数の固まり領域、掛け算記号省略の固まり領域を判断し、四則記号の直前まで、または前記固まり領域か当該数式の先頭までを区切りとして検出される。そして、前記検出された数式の固まり領域を分母とし分子を”1”にした逆数の分数が、前記検出された固まり領域に入れ替えられて表示される。
【0158】
このため、小中学生の逆数の学習に合わせた数式表示ができ、逆数に関する計算を分数と関連して適切に学ぶことが可能になる。
【0159】
また、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、前記[1/□](逆数)キー13iが入力された際に、前記カーソルCuが前記数式の中の数値同士の間(数値内)にあるか、または同カーソルCuの直前に四則の算術記号(+,−,×,÷)があるか、または同カーソルCuが乗算記号(×,・)の省略された位置にあると判断された場合は、逆数入力応答処理は無効とされる。
【0160】
このため、前記数式の中で逆数対象とならない数式部分が誤って逆数対象となってしまう不具合を未然に防止できる。
【0161】
また、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、前記カーソルCuの位置から逆方向へ逆数対象として検出された数式の固まり領域は、その逆数の分数として入れ替えられる前に一時的に識別表示Hされるので、ユーザは逆数の対象となる数式部分を明確に確認でき、その数式部分がどのように置き換わるかを効果的に学習できる。
【0162】
また、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、前記逆数対象として検出された数式の固まり領域が分数である場合には、その分母と分子を入れ替えた分数を逆数として表示させるので、小中学生の逆数の学習に合わせて、その逆数に関する計算を適切に学ぶことができる。
【0163】
また、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、前記逆数対象として検出された数式の固まり領域が小数である場合には、当該小数を分数化して一時識別表示させた後に、その分母と分子を入れ替えた分数を逆数として表示させるので、小数を対象とした逆数に関する計算も、分数と関連して適切に学ぶことができる。
【0164】
また、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、Scientific Inverse Mode(自然科学逆数モード)MsとEducational Inverse Mode(教育的逆数モード)Meとの切替処理に応じて、自然科学逆数モードMsに設定された状態では、前記検出された数式の固まり領域を分母とし分子を“1”にした逆数の分数を表示でき、教育的逆数モード)Meに設定された状態では、前記検出された数式の固まり領域の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を表示できる。
【0165】
また、前記構成の関数電卓10による数式表示制御機能によれば、[Simp1/□](÷分数簡単化)キー13siを有し、当該[Simp1/□](÷分数簡単化)キー13siを入力した際に、前記カーソルCuの直前に“÷分数”の数式部分がある場合には、当該“÷分数”の数式部分をその分母と分子を入れ替えた逆数の“×分数”に簡単化して表示できる。
【0166】
なお、前記各実施形態における[1/□](逆数)キー13iの表記形態はこれに限るものでなく、[1/X]等、逆数対象を分母とし分子を“1”とした数式自然表記形態であればよい。また、本発明においては、カーソルの位置から前方方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出するようにしたが、カーソル位置より後方方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出するようにしてもよい。またカーソル位置より前方方向と後方方向に夫々前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出するようにしてもよい。
【0167】
なお、前記図6図8図10図17を参照して説明した一連の逆数入力応答処理では、何れの実施形態の場合でも、ユーザ入力されて表示された数式の任意の位置にカーソルCuを表示させ、[1/□](逆数)キー13iを入力した際に、前記カーソルCuから逆方向へ逆数対象となる数式の固まり領域を検出することで、当該検出された数式の固まり領域を逆数にした分数を、同固まり領域に入れ替えて表示させる構成とした。
【0168】
これに対し、以下の他の実施形態で説明するように、新たな数式を入力する際、数式の入力途中、数式中の数値入力枠に数値入力する際に、任意の数値を逆数にした分数をユーザが容易に入力できる機能を加えてもよい。
【0169】
(他の実施形態)
図20は、前記関数電卓10の数式表示制御処理に伴う他の実施形態の逆数入力応答処理を示すフローチャートである。
【0170】
図21は、前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴う逆数機能無効処理を示すフローチャートである。
【0171】
前記図20で示す他の実施形態の逆数入力応答処理は、前記図6で示した逆数入力応答処理と比較して、逆数機能無効処理(ステップAB)に移行する前にステップA01〜A06の処理を加えた点で異なる。
【0172】
すなわち、この他の実施形態の逆数入力応答処理(SA′)では、前記[1/□](逆数)キー13iが入力された際に、先ず、カーソルCuが関数(積分、平方根、べき乗、分数等)の引数を入力するための数値入力枠(□)の位置にあるか否か(ステップA01)、数式未入力の状態であるか否か(ステップA02)、カーソルCuが数式の末尾(最後部)であって直前に四則算(算術記号)があるか否か(ステップA03)が判断される。
【0173】
そして、カーソルCuが関数の引数を入力するための数値入力枠□の位置にあると判断された場合は(ステップA01(Yes))、当該入力枠□を分母とし分子を“1”にした逆数入力用の分数「1/□」に入れ替えて表示させ、カーソルCuをその入力枠□の位置に移動させる(ステップA04)。
【0174】
また、数式未入力の状態であると判断された場合は(ステップA02(Yes))、数値入力枠□を分母とし分子を“1”とした逆数入力用の分数「1/□」を表示させ、カーソルCuをその入力枠□の位置に移動させる(ステップA05)。
【0175】
さらに、カーソルCuが数式の末尾(最後部)であって直前に四則算(算術記号)があると判断された場合は(ステップA03(Yes))、当該数式の末尾に前記逆数入力用の分数「1/□」を表示させ、カーソルCuをその入力枠□の位置に移動させる(ステップA06)。
【0176】
また、前記図21で示す他の実施形態の逆数入力応答処理に伴う逆数機能無効処理は、前記図7で示した逆数機能無効処理と比較して、ステップB2の条件「カーソル位置直前に四則算(算術記号)があるか?」に「カーソル位置が数式末尾(最後部)ではなく」という前提条件を明確にした点で異なる。
【0177】
すなわち、前記逆数機能無効処理において、カーソルCuの位置の直前に四則算の算術記号があることで逆数機能が無効として処理されるのは、当該カーソルCuの位置が数式の末尾(最後部)ではなく数式の途中にある場合に限られる。
【0178】
図22は、前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その1)を示す図である。
【0179】
前記表示部16に数式が未入力の状態で、ユーザが“12”の逆数を入力しようと考えた際に、図22(A)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、前記逆数入力応答処理(SA′)により数式未入力の状態であると判断され(ステップA02(Yes))、数値入力枠□を分母とし分子を“1”とした逆数入力用の分数「1/□」が表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA05)。
【0180】
そして、図22(B)に示すように、数値“12”が入力されると、前記カーソルCuが位置する逆数入力用分数「1/□」の数値入力枠□に当該数値“12”が入力されて表示され(ステップS1→S9)、分数形式にした“12”の逆数「1/12」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0181】
また、図22(C)に示すように、数式「123+」が入力されて表示され、当該数式の末尾(最後部)にカーソルCuが位置している状態で(ステップS1→S9)、ユーザがこれに続けて“4”の逆数を入力しようと考えた際に、図22(D)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、前記逆数入力応答処理(SA′)により、カーソルCuが数式の末尾(最後部)であって直前に四則算(算術記号)があると判断され(ステップA03(Yes))、その数式の末尾に前記逆数入力用の分数「1/□」が表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA06)。
【0182】
そして、図22(E)に示すように、数値“4”が入力されると、前記カーソルCuが位置する逆数入力用分数「1/□」の数値入力枠□に当該数値“4”が入力されて表示され(ステップS1→S9)、前記数式「123+」に続けて分数形式にした“4”の逆数「1/4」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0183】
図23は、前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その2)を示す図である。
【0184】
また、図23(A)に示すように、数式「20×」が入力されて表示され、当該数式の末尾(最後部)にカーソルCuが位置している状態で(ステップS1→S9)、ユーザがこれに続けて“3”の逆数を入力しようと考えた際に、図23(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、前記逆数入力応答処理(SA′)により、カーソルCuが数式の末尾(最後部)であって直前に四則算(算術記号)があると判断され(ステップA03(Yes))、その数式の末尾に前記逆数入力用の分数「1/□」が表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA06)。
【0185】
そして、図23(C)に示すように、数値“3”が入力されると、前記カーソルCuが位置する逆数入力用分数「1/□」の数値入力枠□に当該数値“3”が入力されて表示され(ステップS1→S9)、前記数式「20×」に続けて分数形式にした“3”の逆数「1/3」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0186】
また、図23(D)に示すように、[√□](ルート)キー13rの入力に応じた数式「√□」が表示され、その数値入力枠□の位置にカーソルCuが表示された状態で(ステップS1→S9)、ユーザが前記ルートの引数として数値の逆数を入力しようと考えた際に、図23(E)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、前記逆数入力応答処理(SA′)により、カーソルCuが関数(平方根)の引数を入力するための数値入力枠□の位置にあると判断され(ステップA01(Yes))、当該数値入力枠□の位置に前記逆数入力用の分数「1/□」が入れ替えられて表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA04)。
【0187】
これにより、ユーザは、関数の引数を入力するための数値入力枠□に、分数形式にした数値nの逆数「1/n」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0188】
図24は、前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その3)を示す図である。
【0189】
図25は、前記関数電卓10の他の実施形態の逆数入力応答処理に伴うユーザ操作に応じた表示動作(その4)を示す図である。
【0190】
図24(A)に示すように、[∫□](積分)キー13sの入力に応じた積分数式「∫□dx」が表示され、その数値入力枠□の位置にカーソルCuが表示された状態で(ステップS1→S9)、ユーザが前記積分の引数として“x”の逆数を入力しようと考えた際に、図24(B)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、前記逆数入力応答処理(SA′)により、カーソルCuが関数(積分)の引数を入力するための数値入力枠□の位置にあると判断され(ステップA01(Yes))、当該数値入力枠□の位置に前記逆数入力用の分数「1/□」が入れ替えられて表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA04)。
【0191】
そして、図24(C)に示すように、シフトキー13f+[x]キー13xの操作により“x”が入力されると、前記カーソルCuが位置する逆数入力用分数「1/□」の数値入力枠□に当該“x”が入力されて表示され(ステップS1→S9)、前記積分の引数を入力するための数値入力枠□に、分数形式にした“x”の逆数「1/x」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0192】
この後、前記積分の範囲を分数形式にした逆数によって入力するために、図24(D)に示すように、当該積分の始点の数値入力枠□にカーソルCuを移動させ(ステップS1→S5,S6)、図24(E)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、カーソルCuが関数の引数を入力するための数値入力枠□の位置にあると判断され(ステップA01(Yes))、当該数値入力枠□の位置に前記逆数入力用の分数「1/□」が入れ替えられて表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA04)。
【0193】
ここで、図25(A)に示すように、数値“4”が入力されると、前記カーソルCuが位置する逆数入力用分数「1/□」の数値入力枠□に当該数値“4”が入力されて表示され(ステップS1→S9)、前記積分の範囲の始点として分数形式にした“4”の逆数「1/4」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0194】
またこの後、図25(B)に示すように、当該積分の終点の数値入力枠□にカーソルCuを移動させ(ステップS1→S5,S6)、図25(C)に示すように、[1/□](逆数)キー13iが入力されると(ステップS2(Yes))、前記同様にカーソルCuが関数の引数を入力するための数値入力枠□の位置にあると判断され(ステップA01(Yes))、当該数値入力枠□の位置に前記逆数入力用の分数「1/□」が入れ替えられて表示されると共に、カーソルCuがその入力枠□の位置に移動されて表示される(ステップA04)。
【0195】
ここで、図25(D)に示すように、数値“3”が入力されると、前記カーソルCuが位置する逆数入力用分数「1/□」の数値入力枠□に当該数値“3”が入力されて表示され(ステップS1→S9)、前記積分の範囲の終点として分数形式にした“3”の逆数「1/3」を直感的な入力手順で容易に入力できる。
【0196】
そして、図25(E)に示すように、[=](実行)キー13eが入力されると(ステップS8(Yes))、前記入力された積分数式「∫1/41/3(1/x)dx」が演算処理され(ステップS10,S11)、その演算結果「0.2876820725」が表示される(ステップS12)。
【0197】
したがって、前記構成の関数電卓10による他の実施形態の逆数入力応答機能によれば、ユーザ入力されて表示された数式の固まり領域をカーソルCuの位置に基づき検出し、当該検出された数式の固まり領域を逆数にした分数を、同固まり領域に入れ替えて表示できるだけでなく、新たな数式を入力する際、数式の入力途中、数式中の数値入力枠に数値入力する際にも、任意の数値を逆数にした分数をユーザが容易に入力できるようになる。
【0198】
よって、数式処理に伴うより様々な段階において、逆数に関する計算を分数と関連して適切に学ぶことが可能になる。
【0199】
なお、前記各実施形態において記載した関数電卓10による各処理の手法、すなわち、図4のフローチャートに示す逆数モード切替処理、図5のフローチャートに示す数式表示制御処理、図6図7図8のフローチャートに示す前記数式表示制御処理に伴う逆数入力応答処理、図18のフローチャートに示す前記数式表示制御処理に伴う逆数による分数計算簡単化処理、図20図21のフローチャートに示す他の実施形態の逆数入力応答処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体(23)に格納して配布することができる。そして、表示部(16)を備えた電子機器のコンピュータは、この外部記録媒体(23)に記録されたプログラムを記憶装置(22)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明した逆数モード切り替え機能および数式表示制御機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0200】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワークN上を伝送させることができ、このプログラムデータを、ネットワークNに接続された表示部(16)を備えた電子機器のコンピュータに通信部(25)によって取り込むことで、前述した逆数モード切り替え機能および数式表示制御機能を実現することもできる。
【0201】
本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0202】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0203】
[1]
数式を自然表示する数式表示制御装置であって、
数式を入力する数式入力手段と、
この数式入力手段により入力された数式を表示部に表示させる数式表示制御手段と、
この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段と、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段と、
この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段と、
この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする数式表示制御装置。
【0204】
[2]
前記所定方向は、前記数式の前方方向であることを特徴とする[1]に記載の数式表示制御装置。
【0205】
[3]
前記逆数対象検出手段は、前記逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に、括弧の固まり領域、関数の固まり領域、掛け算記号省略の固まり領域を判断し、四則記号以前または前記固まり領域先頭までを区切りとして前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する、
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の数式表示制御装置。
【0206】
[4]
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式に対し表示されたカーソルが、数値同士の間、四則記号の直後、乗算記号の省略位置、にある場合には、その逆数機能を無効にする逆数機能無効制御手段を備えた、
ことを特徴とする[1]ないし[3]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0207】
[5]
前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を識別して表示させる識別表示制御手段を備えた、
ことを特徴とする[1]ないし[4]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0208】
[6]
前記逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる分数逆数表示制御手段を有する、
ことを特徴とする[1]ないし[5]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0209】
[7]
前記逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる小数逆数表示制御手段を有する、
ことを特徴とする[1]ないし[6]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0210】
[8]
前記小数逆数表示制御手段は、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化して一時表示させた後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とする[7]に記載の数式表示制御装置。
【0211】
[9]
ユーザ装置に応じて第1の逆数モードと第2の逆数モードとを切り替える逆数モード切替手段を備え、
前記逆数表示制御手段は、
前記逆数モード切替手段により第1の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、
前記逆数モード切替手段により第2の逆数モードに切り替えられた場合には、前記逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域が分数である場合は、その分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が小数である場合は、その小数を分数化した後に、この分数化された分数の分母と分子を入れ替えた逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させ、前記検出された数式の固まり領域が分数でも小数でもない場合は、その数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる、
ことを特徴とする[1]ないし[5]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0212】
[10]
ユーザ操作に応じて分数計算の簡単化機能を入力する簡単化機能入力手段と、
この簡単化機能入力手段による簡単化機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの直前に÷記号に分数が連結された数式部分があるかを判断する数式部分判断手段と、
この数式部分判断手段により前記カーソルの直前に÷記号に分数が連結された数式部分があると判断された場合は、当該数式部分を×記号にその分数の分母と分子を入れ替えてなる分数を連結した数式部分に変換する分数変換手段と、
を備えたことを特徴とする[1]ないし[9]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0213】
[11]
前記逆数機能入力手段は、逆数対象を分母とし分子を1にした自然表記形態の分数記号を表記してなる逆数キーを有し、この逆数キーのユーザ操作に応じて逆数機能を入力する、
ことを特徴とする[1]ないし[10]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0214】
[12]
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式に対し表示されたカーソルが、当該数式の末尾で且つ四則記号の直後の位置にある場合には、前記数式入力手段により逆数対象の要素を入力するための入力枠を分母とし分子を1にした逆数入力用の分数を前記カーソルに替えて表示させると共に同カーソルを前記入力枠の位置に移動させる逆数分数末尾表示制御手段を備えたことを特徴とする[1]ないし[11]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0215】
[13]
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式が未入力である場合又は、前記数式の末尾にカーソルが位置し当該数式の末尾が四則算である場合には、前記数式入力手段により逆数対象の要素を入力するための入力枠を分母とし分子を1にした逆数入力用の分数を前記表示部に表示させると共に前記カーソルを前記入力枠の位置に表示させる逆数分数表示制御手段を備えたことを特徴とする[1]ないし[12]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0216】
[14]
前記逆数機能入力手段により逆数機能が入力された際に、前記数式に対し表示されたカーソルが、前記数式入力手段により入力された関数式の要素を入力するための入力枠の位置にある場合には、分子を1にした逆数入力用の分数の分母を前記入力枠とした表示に変換すると共に、前記カーソルを当該分母の位置に移動させる逆数分数入力表示制御手段を備えたことを特徴とする[1]ないし[13]の何れかに記載の数式表示制御装置。
【0217】
[15]
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御して数式を自然表示するための方法であって、
数式を入力し、
この入力された数式を前記表示部に表示させ、
この表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させ、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力し、
この逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出し、
この検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させること、
からなることを特徴とする数式表示制御方法。
【0218】
[16]
表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御して数式を自然表示するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
数式を入力する数式入力手段、
この数式入力手段により入力された数式を前記表示部に表示させる数式表示制御手段、
この数式表示制御手段により表示された数式に対して、カーソルをユーザ操作に応じ移動可能にして表示させるカーソル表示制御手段、
ユーザ操作に応じて逆数機能を入力する逆数機能入力手段、
この逆数機能入力手段による逆数機能の入力に応じて、前記数式に対し表示されたカーソルの位置から所定方向に前記逆数機能の対象となる数式の固まり領域を検出する逆数対象検出手段、
この逆数対象検出手段により検出された数式の固まり領域を分母とし分子を1にした逆数の分数を当該数式の固まり領域に替えて表示させる逆数表示制御手段、
として機能させるためのコンピュータ読み込み可能な数式表示制御プログラム。
【符号の説明】
【0219】
10 …数式表示制御装置(関数電卓10/タブレットPC10T)
11 …キー入力部
12 …数値・演算記号キー群
13 …関数機能キー群
13i…[1/□](逆数)キー
13si…[Simp1/□](÷分数簡単化)キー
14 …モード設定キー群
15 …カーソルキー
16 …表示部
16T…タッチパネル式カラー表示部
21 …CPU
22 …メモリ
22a…電卓制御プログラム
22b…数式表示制御プログラム
22c…逆数モード設定メモリ
22d…入力式エリア
22e…カーソルポインタメモリ
22f…ワークエリア(式バッファ)
23 …外部記録媒体
24 …記録媒体読取部
25 …通信部
30 …Webサーバ(教育サーバ)
Cu …カーソル
Ms …自然科学逆数モードマーク[□→1/□]
Me …教育的逆数モードマーク[△/□→□/△]
H …識別表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図20
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