(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。また、
図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、
図3は、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。
この原子発振器1は、
図1に示すように、ガスセル21と、光出射部22と、光学部品231、232と、光検出部24と、ヒーター25(加熱部)と、温度センサー26と、コイル27と、制御部5と、を備える。
【0018】
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
図1に示すように、原子発振器1では、光出射部22がガスセル21に向けて励起光LLを出射し、ガスセル21を透過した励起光LLを光検出部24が検出する。
ガスセル21内には、ガス状のアルカリ金属(金属原子)が封入されており、アルカリ金属は、
図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
【0019】
光出射部22から出射された励起光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光1、2を含んでおり、この2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
【0020】
例えば、光出射部22が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部24の検出強度は、
図3に示すように、前述したEIT現象に伴って急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
【0021】
以下、本実施形態の原子発振器1の具体的な構成について説明する。
図4は、
図1に示す原子発振器の構造を示す断面図である。また、
図5は、
図4に示す原子発振器が備えるユニット部の加熱部および接続部材を説明するための断面図である。また、
図6は、
図4に示す原子発振器が備えるユニット部のガスセルおよび加熱側反射部を説明するための図である。
なお、以下では、説明の便宜上、
図4中の上側を「上」、下側を「下」という。
【0022】
原子発振器1は、
図4に示すように、前述したような量子干渉効果を生じさせる主要部を構成するユニット部2と、ユニット部2を収納するパッケージ3と、パッケージ3内に収納され、ユニット部2をパッケージ3に対して支持する支持部材4(支持部)と、支持部材4の外表面に設けられた支持側反射部7と、を備える。
ここで、ユニット部2は、ガスセル21と、光出射部22と、光学部品231、232と、光検出部24と、ヒーター25(加熱部)と、温度センサー26と、基板28と、接続部材29と、加熱側反射部6、81と、を含み、これらがユニット化されている。
また、原子発振器1は、ユニット部2に通電するための配線部82、83を備えている(
図8参照)。
【0023】
以下、原子発振器1の各部を順次詳細に説明する。
[ガスセル]
ガスセル21内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、ガスセル21内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
【0024】
図5に示すように、ガスセル21は、柱状の貫通孔を有する本体部211と、その貫通孔の両開口を封鎖する1対の窓部212、213とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成されている。
ここで、ガスセル21の各窓部212、213は、前述した光出射部22からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部212は、ガスセル21内へ入射する励起光が透過するものであり、他方の窓部213は、ガスセル21内から出射した励起光が透過するものである。
【0025】
この窓部212、213を構成する材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
また、ガスセル21の本体部211を構成する材料は、特に限定されず、シリコン材料、セラミックス材料、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部212、213と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
【0026】
そして、各窓部212、213は、本体部211に対して気密的に接合されている。これにより、ガスセル21の内部空間Sを気密空間とすることができる。
ガスセル21の本体部211と窓部212、213との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
以上説明したようなガスセル21は、ヒーター25からの熱により加熱される。これにより、ガスセル21を所望の温度に温度調節することができる。
【0027】
また、ガスセル21の外表面には、
図5に示すように、加熱側反射部6(低熱放射部)が配置されている。そして、加熱側反射部6は、波長4μmの電磁波(すなわち遠赤外線)に対する反射率が50%以上である。これにより、ガスセル21の熱が輻射(放射)により逃げるのを低減することができる。また、パッケージ3側から輻射された熱を加熱側反射部6で反射して、パッケージ3側からガスセル21への輻射による熱の伝達を低減することもできる。
【0028】
また、加熱側反射部6は、ガスセル21の外表面のうち光出射部22からの励起光LLが透過する部分を除く部分に配置されている。これにより、加熱側反射部6の構成材料や厚さ等に関係なく、光出射部22からの光をガスセル21内のアルカリ金属に照射し光検出部24で検出することができる。そのため、加熱側反射部6からの熱輻射を効果的に低減することができる。
【0029】
具体的に説明すると、加熱側反射部6には、励起光LLの通過領域に開口部61、62が形成されており、加熱側反射部6は、開口部61、62の形成領域以外の全域においてガスセル21の外表面を覆っている。
また、加熱側反射部6の波長4μmの電磁波に対する反射率(以下、「熱の反射率」ともいう)は、高い程前述したような効果が高まるため、75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
このような加熱側反射部6の構成材料としては、ガスセル21の外表面よりも熱の反射率が高ければ(すなわち、ガスセル21の外表面よりも熱の放射率が低ければ)、特に限定されないが、金属材料を用いることが好ましい。これにより、加熱側反射部6の熱の反射率を75%以上とすることができる。
【0030】
加熱側反射部6を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、銅(熱の反射率97.93%)、銀(熱の反射率98.47%)、金(熱の反射率98.62%)、チタン(熱の反射率78.04%)、クロム(熱の反射率93.77%)、鉄(熱の反射率87.09%)、コバルト(熱の反射率87.75%)、ニッケル(熱の反射率92.38%)、アルミニウム(熱の反射率99.03%)、イリジウム(熱の反射率98.73%)、鉛(熱の反射率98.90%)等の金属またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金を用いることができ、中でも、熱の反射率が高いという観点から、銅、銀、金、クロム、ニッケル、アルミニウム、イリジウム、鉛を用いることが好ましく、さらに化学安定性に優れているという観点から、金が好ましい。
【0031】
また、加熱側反射部6は、1種の金属または合金で構成されていてもよいし、2種以上の金属または合金を積層して構成されていてもよい。
また、加熱側反射部6を、ガスセル21を構成する材料の熱伝導率よりも大きい熱伝導率の材料で構成することにより、接続部材29からの熱を加熱側反射部6による熱伝導により効率的に拡散させることができる。その結果、ガスセル21内の温度分布を均一化することができる。特に、加熱側反射部6が窓部212、213間を繋いでいるので、窓部212、213間の温度差を小さくすることができる。また、加熱側反射部6が各窓部212、213の縁部に沿って全周に亘って設けられているので、各窓部212、213の温度分布の均一化を図ることができる。このような観点からも、加熱側反射部6は、金属材料で構成されていることが好ましい。
また、加熱側反射部6は、膜状をなしており、加熱側反射部6の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸着、スパッタリング等の気相成膜法を用いることができる。
なお、加熱側反射部6は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
【0032】
[光出射部]
光出射部22は、ガスセル21中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部22は、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を励起光として出射するものである。
【0033】
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル21中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起(共鳴)し得るものである。
また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル21中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起(共鳴)し得るものである。
この光出射部22としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
【0034】
[光学部品]
図4に示すように、複数の光学部品231、232は、それぞれ、前述した光出射部22とガスセル21との間における励起光LLの光路上に設けられている。
本実施形態では、光出射部22側からガスセル21側へ、光学部品231、光学部品232がこの順に配置されている。
光学部品231は、λ/4波長板である。これにより、光出射部22からの励起光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
【0035】
後述するようにコイル27の磁場によりガスセル21内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号の強度が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
【0036】
これに対し、後述するようにコイル27の磁場によりガスセル21内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号の強度が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
【0037】
光学部品232は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、ガスセル21に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部22の出力が大きい場合でも、ガスセル21に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品231を通過した所定方向の偏光を有する励起光LLの強度を光学部品232により調整する。
なお、光出射部22とガスセル21との間には、波長板および減光フィルターの他に、レンズ、偏光板等の他の光学部品が配置されていてもよい。また、光出射部22からの励起光の強度によっては、光学部品232を省略することができる。
【0038】
[光検出部]
光検出部24は、ガスセル21内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
本実施形態では、光検出部24は、接着剤30を介して接続部材29上に接合されている。
【0039】
ここで、接着剤30としては、公知の接着剤を用いることができるが、熱伝導性が優れる接着剤を用いた場合、接続部材29から熱により光検出部24も温度調節することができる。
この光検出部24としては、上述したような励起光LLを検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
以上説明したような光検出部24は、配線部83を介して、後述するパッケージ3の基体31(ベース部)に電気的に接続されている。
【0040】
[ヒーター]
ヒーター25は、通電により発熱する発熱抵抗体(加熱部)を有する。
このヒーター25からの熱は、基板28および接続部材29を介して、ガスセル21に伝達される。これにより、ガスセル21(より具体的にはガスセル21中のアルカリ金属)が加熱され、ガスセル21中のアルカリ金属を所望の濃度のガス状に維持することができる。また、本実施形態では、ヒーター25からの熱は、基板28を介して光出射部22にも伝達される。
【0041】
このヒーター25は、ガスセル21に対して離間している。これにより、ヒーター25への通電により生じた不要磁場がガスセル21内の金属原子に悪影響を与えるのを低減することができる。
本実施形態では、ヒーター25は、基板28上に設けられている。これにより、ヒーター25からの熱は、基板28に伝達される。また、ヒーター25は、基板28に設けられた配線(図示せず)に電気的に接続されている。
【0042】
[温度センサー]
温度センサー26は、ヒーター25またはガスセル21の温度を検出するものである。そして、この温度センサー26の検出結果に基づいて、前述したヒーター25の発熱量が制御される。これにより、ガスセル21内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
【0043】
本実施形態では、温度センサー26は、基板28上に設けられている。また、温度センサー26は、基板28に設けられた配線(図示せず)に電気的に接続されている。
なお、温度センサー26の設置位置は、これに限定されず、例えば、接続部材29上であってもよいし、ヒーター25上であってもよいし、ガスセル21の外表面上であってもよい。
温度センサー26としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
【0044】
[コイル]
コイル27は、通電により、磁場を発生させる機能を有する。これにより、ガスセル21中のアルカリ金属に磁場を印加することにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
【0045】
なお、コイル27が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
また、このコイル27は、ガスセル21を囲むように設けられたソレノイドコイルであってもよいし、ガスセル21を挟むように設けられたヘルムホルツコイルであってもよい。
【0046】
コイル27の設置位置は、図示しないが、ガスセル21と接続部材29との間であってもよいし、接続部材29とパッケージ3との間であってもよいし、パッケージ3の外側にあってもよい。また、コイル27は、図示しない配線を介して、制御部5に電気的に接続されている。また、コイル27に接続された配線は、基板28に設けられた配線を介して基体31に電気的に接続されていてもよいし、基体31に直接接続されていてもよい。
【0047】
[接続部材]
接続部材29は、ヒーター25とガスセル21の各窓部212、213とを熱的に接続している。これにより、ヒーター25からの熱を接続部材29による熱伝導により各窓部212、213に伝達し、各窓部212、213を加熱することができる。また、ヒーター25とガスセル21とを離間することができる。そのため、ヒーター25への通電により生じた不要磁場がガスセル21内のアルカリ金属原子に悪影響を与えるのを低減することができる。また、ヒーター25の数を少なくすることができるため、例えば、ヒーター25への通電のための配線の数を少なくし、その結果、原子発振器1(量子干渉装置)の小型化を図ることができる。
【0048】
図5に示すように、接続部材29は、ガスセル21を挟んで設けられた1対の接続部材291、292で構成されている。これにより、ガスセル21に対する接続部材29の設置を容易なものとしつつ、接続部材29からガスセル21の各窓部212、213に均一に熱を伝達させることができる。
より具体的に説明すると、接続部材291は、ガスセル21を挟んで配置されている1対の接続部291a、291bと、1対の接続部291a、291b間を連結する連結部291cとを有している。同様に、接続部材292は、ガスセル21を挟んで配置されている1対の接続部292a、292bと、1対の接続部292a、292b間を連結する連結部292cとを有している。これにより、ヒーター25からの熱を各窓部212、213に効率的に伝達することができる。
【0049】
ここで、接続部291a、292a、291b、292bは、それぞれ、加熱側反射部6に接触している。すなわち、窓部212、213と接続部材291、292とは、加熱側反射部6を介して接続されている。
また、接続部291a、291b、292a、292bは、それぞれ、励起光LLの通過領域を避けるように形成されている。すなわち、接続部291a、291b、292a、292bは、それぞれ、励起光LLの通過領域の外側に配置されている。これにより、ガスセル21へ励起光を入射させるとともに、ガスセル21から励起光を出射させることができる。
【0050】
このような1対の接続部材291、292は、例えば、ガスセル21の互いに対向する1対の側面の両側からガスセル21を挟むようにして嵌合している。
なお、加熱側反射部6と接続部291a、292aとの間、および、加熱側反射部6と接続部291b、292bとの間の少なくとも一方に隙間が形成されている場合には、その隙間に、熱伝導性を有する接着剤が充填されていてもよい。かかる接着剤としては、例えば、金属ペースト、伝熱性フィラーを含有した樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤等が挙げられる。
【0051】
また、連結部291c、292cは、それぞれ、加熱側反射部6(加熱側反射部6を省略した場合、ガスセル21)との間に隙間を形成して配置されている。これにより、連結部291c、292cとガスセル21との間の熱の伝達を低減し、接続部材291、292から各窓部212、213へ効率的に熱の伝達を行うことができる。
このような接続部材29の構成材料としては、ガスセル21を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料であればよいが、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属材料を用いることが好ましい。
【0052】
以上説明したような接続部材29は、基板28の上面に搭載されている。
また、接続部材29には、加熱側反射部81(低熱放射部)が接合されている。
加熱側反射部81は、波長4μmの電磁波(すなわち遠赤外線)に対する反射率が50%以上である。これにより、ガスセル21の熱が輻射により逃げるのを低減することができる。また、パッケージ3側から輻射された熱を加熱側反射部81で反射して、パッケージ3側からガスセル21への輻射による熱の伝達を低減することもできる。
【0053】
この加熱側反射部81は、板状またはシート状の1対の反射部材811、812で構成されている。
反射部材811、812は、前述した1対の接続部材291、292から露出したガスセル21の側面を覆うように、接続部材291、292を挟んで設けられている。また、反射部材811、812は、接続部材291、292に接着剤等により接合されている。
【0054】
また、反射部材811、812の熱の反射率は、加熱側反射部6と同様、高い程前述したような効果が高まるため、75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
このような反射部材811、812の構成材料としては、前述した加熱側反射部6と同様の材料を用いることができる。
なお、加熱側反射部81は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
【0055】
[基板]
基板28の一方の面(上面)には、前述した光出射部22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29等が搭載されている。
基板28は、ヒーター25からの熱を接続部材29へ伝達する機能を有する。これにより、ヒーター25が接続部材29に対して離間していても、ヒーター25からの熱を接続部材29へ伝達することができる。
【0056】
ここで、基板28は、ヒーター25と接続部材29とを熱的に接続している。このようにヒーター25および接続部材29を基板28に搭載することにより、ヒーター25の設置の自由度を高めることができる。
また、光出射部22が基板28に搭載されていることにより、ヒーター25からの熱により光出射部22を温度調節することができる。
【0057】
また、基板28は、光出射部22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29を支持する機能をも有する。
また、基板28は、光出射部22、ヒーター25、温度センサー26に電気的に接続される配線(図示せず)を有している。
このような基板28の構成材料としては、特に限定されないが、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属材料を用いることができる。また、基板28を金属材料で構成することにより、基板28の表面の熱の反射率を高め、基板28からの熱の輻射を低減することもできる。なお、基板28を金属材料で構成した場合、基板28の表面には、基板28が有する配線の短絡防止等の目的で、必要に応じて、例えば、樹脂材料、金属酸化物、金属窒化物等で構成された絶縁層が設けられていてもよい。ただし、かかる絶縁層は、上述した熱の輻射を低減する観点から、基板28の下面にはできるだけ設けないことが好ましい。
【0058】
以上説明したような基板28は、配線部82を介して、後述するパッケージ3の基体31に電気的に接続されている。これにより、光出射部22、ヒーター25および温度センサー26が、それぞれ、配線部82を介して、基体31に電気的に接続されている。基板28はセラミック基板上に金属配線があっても良く、表面および裏面、側面は放射率が低い材料で構成されていると輻射による熱の逃げが低減される効果が得られる。
なお、基板28は、接続部材29の形状、ヒーター25の設置位置等によっては、省略することができる。この場合、ヒーター25を接続部材29に接触させる位置に設置すればよい。また、この場合、光出射部22、ヒーター25および温度センサー26をそれぞれ配線部82に直接接続すればよい。
【0059】
[パッケージ]
図4に示すように、パッケージ3は、ユニット部2および支持部材4を収納する機能を有する。なお、
図4では、図示を省略しているが、パッケージ3内には、
図1に示すコイル27も収納されている。また、パッケージ3内には、前述した部品以外の部品が収納されていてもよい。
【0060】
このパッケージ3は、
図4に示すように、板状の基体31(ベース部)と、有底筒状の蓋体32とを備え、蓋体32の開口が基体31により封鎖されている。これにより、ユニット部2および支持部材4を収納する空間が形成されている。
基体31は、支持部材4を介してユニット部2を支持している。
また、基体31は、配線基板であり、図示しないが、基体31には、パッケージ3の外部から内部のユニット部2への通電のための複数の配線および複数の端子が設けられている。
【0061】
この基体31の構成材料としては、特に限定されず、例えば、金属材料、樹脂材料、セラミックス材料等を用いることができるが、セラミックス材料を用いることが好ましい。これにより、基体31の断熱性を高め、原子発振器1のさらなる低消費電力化を図ることができる。
本実施形態では、基体31の上面には、
図4に示すように、ベース側反射部33(低熱放射部)が配置されている。そして、ベース側反射部33は、波長4μmの電磁波(すなわち遠赤外線)に対する反射率が50%以上である。これにより、支持部材4の熱が輻射により逃げるのを低減することができる。また、パッケージ3側から輻射された熱をベース側反射部33で反射して、パッケージ3側から支持部材4への輻射による熱の伝達を低減することもできる。なお、ベース側反射部33は、基体31の上面でなくても、支持部材4と基体31との間、例えば、支持部材4の下面に配置されていても、支持部材4から放射される熱が基体31に伝達されるのを低減することができる。
【0062】
また、ベース側反射部33の熱の反射率は、加熱側反射部6と同様、高い程前述したような効果が高まるため、75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
このようなベース側反射部33の構成材料としては、前述した加熱側反射部6と同様の材料を用いることができる。
【0063】
また、ベース側反射部33は、膜状をなしており、ベース側反射部33の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸着、スパッタリング等の気相成膜法を用いることができる。
なお、ベース側反射部33は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
このようなベース側反射部33が設けられた基体31には、蓋体32が接合されている。
【0064】
基体31と蓋体32との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、基体31と蓋体32との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。また、
図4では、ベース側反射部33が基体31の上面の全域に亘って形成され、ベース側反射部33を介して、基体31と蓋体32とが接合されているが、ベース側反射部33の形成領域は、基体31の上面の一部であってもよく、その場合、基体31と蓋体32との間にベース側反射部33が介在していなくてもよい。
【0065】
このような蓋体32の構成材料としては、特に限定されず、例えば、樹脂材料、セラミックス材料、金属材料等を用いることができる。
また、基体31と蓋体32とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、パッケージ3内が気密空間であることが好ましい。これにより、パッケージ3内を減圧状態または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1の特性を向上させることができる。
【0066】
特に、パッケージ3内は、減圧状態であることが好ましい。これにより、パッケージ3内の空間を介した熱の伝達を低減することができる。そのため、接続部材29とパッケージ3の外部との間や、パッケージ3内の空間を介したヒーター25とガスセル21との間の熱干渉を低減することができる。そのため、ヒーター25からの熱を接続部材29を介して効率的に各窓部212、213へ伝達し、2つの窓部212、213間の温度差を低減することができる。また、ユニット部2とパッケージ3の外部との間の熱の伝達をより効果的に低減することができる。
【0067】
[支持部材]
支持部材4(支持部)は、パッケージ3内に収納されており、パッケージ3の一部を構成する基体31に対してユニット部2を支持する機能を有する。すなわち、支持部材4は、基体31に対してユニット部2の各部を直接的または間接的に支持している。
また、支持部材4は、ユニット部2とパッケージ3の外部との間の熱の伝達を低減する機能を有する。これにより、ユニット部2の各部と外部との間の熱干渉を低減することができる。
【0068】
図7(a)は、
図4に示す原子発振器の支持部の平面図、
図7(b)は、
図7(a)中のA−A線断面図である。
この支持部材4は、
図7に示すように、複数の脚部41(柱部)と、複数の脚部41を連結する連結部42とを有する。
複数の脚部41は、それぞれ、パッケージ3の基体31の内側の面に例えば接着剤により接合されている。
【0069】
この複数の脚部41は、基体31とユニット部2とが重なる方向からみた平面視(以下、単に「平面視」ともいう)にて、ユニット部2の外側に配置されている。
本実施形態では、脚部41は、平面視にて、正方形をなすガスセル21の角部に対応するように、4つ設けられている。
各脚部41は、円筒状をなし、基体31の内側の面に対して垂直な方向に延びて立設されている。
【0070】
また、各脚部41には、中空部411が形成されている。これにより、各脚部41の剛性を確保しつつ、脚部41における熱の伝達を低減することができる。
この中空部411は、大気圧よりも減圧した雰囲気(減圧状態または真空状態)であることが好ましい。これにより、脚部41における熱の伝達をより効果的に低減することができる。
【0071】
本実施形態では、中空部411は、脚部41を上下に貫通している。そのため、パッケージ3内を減圧状態とすることにより、中空部411内も減圧状態とすることができる。
なお、中空部411の上側が開放していない場合、各脚部41と基体31との間に中空部411の内外を連通する隙間を形成すれば、パッケージ3内を減圧状態とすることにより、中空部411内も減圧状態とすることができる。
【0072】
連結部42は、複数の脚部41の上端部(他端部)同士を連結している。これにより、支持部材4の剛性が高められている。本実施形態では、連結部42は、複数の脚部41と一体で形成されている。なお、連結部42は、複数の脚部41と別体で形成され、例えば、接着剤により各脚部41と接合されていてもよい。
連結部42は、全体が板状をなしている。すなわち、連結部42は、板状をなす板状部を含む。これにより、比較的簡単な構成で、支持部材4の剛性を高めることができる。
【0073】
また、連結部42は、平面視にて、4つの脚部41が角部に位置するように四角形をなしている。
この連結部42の上面(脚部41とは反対側の面)には、ユニット部2(より具体的には基板28)が接合(接続)されている。これにより、支持部材4によりユニット部2が支持されている。
【0074】
連結部42とユニット部2との接続部は、平面視にて、前述した複数の脚部41の上端部(他端部)よりも内側に位置している。
この連結部42の上面(すなわちユニット部2側の面)の中央部には、凹部421が形成されている。
この凹部421内の空間は、ユニット部2と連結部42との間に位置する。そのため、連結部42とユニット部2との間には、空間が形成されている。これにより、ユニット部2と連結部42との接触面積を低減して、連結部42とユニット部2との間の熱の伝達を効果的に低減することができる。また、凹部421により薄肉化して連結部42の熱抵抗を高め、連結部42における熱の伝達を低減することもできる。
【0075】
本実施形態では、凹部421は、平面視にて、ユニット部2の外形よりも内側に配置されている。したがって、ユニット部2は、連結部42の凹部421よりも外周側の部分に接合されている。なお、凹部421は、平面視にて、ユニット部2の外形よりも外側に位置する部分を有していてもよい。
【0076】
また、凹部421内は、減圧状態であることが好ましい。これにより、凹部421内の断熱性を高め、ユニット部2から連結部42への熱の逃げを低減することができる。
ユニット部2と支持部材4との接合箇所は、凹部421の外周に沿って全周に亘って形成されていてもよいが、接合箇所を介したユニット部2と支持部材4との間の熱伝導を低減する観点から、スポット状に複数形成されていることが好ましい。
【0077】
また、ユニット部2と支持部材4との間には、凹部421の内外を連通する隙間が形成されていることが好ましい。これにより、パッケージ3内を減圧状態とすることにより、凹部421内も減圧状態とすることができる。
このような支持部材4によれば、各脚部41の下端部(一端部)が平面視にてユニット部2に対して離間している。そのため、支持部材4は、ユニット部2と支持部材4との接続部から各脚部41の下端部(すなわち脚部41と基体31との接続部)への熱の伝達経路が屈曲または湾曲した部分(曲がっている部分)を有する。
【0078】
これにより、基体31とユニット部2との間の距離を小さくしても、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達経路を長くすることができる。そのため、原子発振器1の小型化を図りつつ、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達を低減することができる。また、複数の脚部41間が連結部42により連結されているので、支持部材4の剛性を高めることができる。そのため、ユニット部2の振動を低減することができる。
【0079】
特に、支持部材4は、多孔質体で構成されている。支持部材4が多孔質体を有することにより、支持部材4の断熱性(熱抵抗)を高めることができる。そのため、ガスセル21やヒーター25から支持部材4を通じた熱伝導による基体31への熱の逃げを低減し、その結果、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
支持部材4を構成する多孔質体は、支持部材4の外表面に開放する連続空孔(連続気泡)を有していることが好ましい。連続空孔を有する多孔質体は、一般に、空孔率が大きい。そのため、連続空孔を有する多孔質体で支持部材4を構成することにより、支持部材4の断熱性を高めることができる。また、ユニット部2および支持部材4を真空状態(大気圧よりも減圧した状態)のパッケージ3内に収納した場合、多孔質体の連続空孔内をも真空状態とすることができ、支持部材4の断熱性を効率的に高めることができる。また、真空下で空孔が潰れて多孔質体が変形することを防止することもできる。
【0080】
また、この場合、支持部材4を構成する多孔質体は、発泡体であることが好ましい。これにより、比較的簡単かつ確実に、空孔率の大きい多孔質体を実現することができる。
また、支持部材4の構成材料としては、熱伝導性が比較的低く、かつ、支持部材4がユニット部2を支持する剛性を確保し得る材料であれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、セラミックス材料等の非金属を用いることが好ましく、樹脂材料を用いることがより好ましい。支持部材4を主として樹脂材料で構成した場合、支持部材4の熱抵抗を高くすることができ、また、支持部材4の形状が複雑であっても、例えば射出成型等の公知の方法を用いて、支持部材4を容易に製造することができる。特に、支持部材4を主として樹脂材料で構成した場合、発泡体で構成された支持部材4を容易に形成することができる。なお、脚部41の構成材料と連結部42の構成材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、支持部材4は、樹脂材料を用いて構成されている場合、樹脂材料の他に、無機フィラーや各種添加剤等が50wt%未満の含有量で含有されていてもよい。
【0081】
支持部材4の構成材料に用いる樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0082】
これらの樹脂の中でも、支持部材4の構成材料として用いる樹脂材料としては、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。これにより、発泡体で構成された支持部材4を容易に形成することができる。また、支持部材4の機械的強度を比較的高くすることができる。さらに、ポリイミド樹脂およびアクリル樹脂は比較的高い化学安定性を有することから、支持部材4の経時的な劣化を低減することもできる。
【0083】
また、支持部材4の熱電導率は、0.1W・m
−1・K
−1以上40W・m
−1・K
−1以下であることが好ましく、0.1W・m
−1・K
−1以上0.5W・m
−1・K
−1以下であることがより好ましい。これにより、ユニット部2とパッケージ3との間の支持部材4を介した熱伝導をより効果的に抑えることができる。すなわち、支持部材4の断熱性を高め、ユニット部2とパッケージ3とを熱的に分離する効果を顕著なものとすることができる。
【0084】
[支持側反射部]
支持側反射部7は、
図7(b)に示すように、支持部材4の外表面に配置され、波長4μmの電磁波に対する反射率が50%以上である。これにより、支持部材4から放射される熱を低減することができる。
特に、支持側反射部7は、
図7(b)に示すように、上下方向(すなわち、支持部材4の表面にガスセル21と基体31とが並ぶ方向)に沿って互いに離れて配置されている複数の部分71、72、73を含んでいる。これにより、支持側反射部7を介したガスセル21と基体31との間の熱伝導を低減することができる。すなわち、支持側反射部7は、ガスセル21と基体31との間の熱伝導の増加を小さくしながら、支持部材4からの熱輻射を低減することができる。その結果、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
【0085】
また、パッケージ3から輻射された熱を支持側反射部7で反射して、パッケージ3から支持部材4への輻射による熱の伝達を低減することもできる。
本実施形態では、支持側反射部7の複数の部分71、72、73は、ガスセル21と基体31とが並ぶ方向に対して垂直な方向から見たとき、縞状に配置されている。これにより、比較的簡単な構成で、支持側反射部7を介したガスセル21と基体31との間の熱伝導を効率的に低減することができる。
【0086】
また、ガスセル21側から基体31側へ、支持側反射部7の部分71、72、73がこの順で並んでおり、部分71、72は、支持部材4の連結部42の表面に配置され、部分73は、支持部材4の脚部41の表面に配置されている。
最もガスセル21側に配置された部分71は、連結部42の外周面だけでなく、連結部42の上面にも設けられている。これにより、連結部42の上面からの熱の輻射を低減することができる。
【0087】
また、部分71は、前述した連結部42の上面のうち、ユニット部2が接触する部分近傍を除く部分に形成され、ユニット部2(より具体的には基板28)と間隔Gをもって離間している(
図7(a)参照)。これにより、ユニット部2から支持側反射部7への熱伝導を低減することができる。
また、部分72は、連結部42の外周面だけでなく、連結部42の下面にも設けられている。これにより、連結部42の下面からの熱の輻射を低減することができる。
【0088】
また、部分72は、部分71と間隔G1をもって離間し、部分73と間隔G2をもって離間している。これにより、部分71、73と部分72との間の熱伝導を低減することができる。ここで、間隔G1、G2が支持側反射部7のガスセル21側から基体31側への熱の伝熱経路を横断(遮断)するように配置されている。言い換えると、部分71、72、73は、ガスセル21側から基体31側に向かう途中で間隔G1、G2により断続的に途切れて配置されている。そのため、支持側反射部7のガスセル21側から基体31側への熱伝導を低減することができる。
【0089】
また、支持側反射部7の波長4μmの電磁波に対する反射率(熱の反射率)は、高い程前述したような効果が高まるため、75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
このような支持側反射部7の構成材料としては、支持部材4の外表面よりも熱の反射率が高ければ、特に限定されないが、金属材料を用いることが好ましい。これにより、支持側反射部7の熱の反射率を75%以上とすることができる。その結果、支持側反射部7の熱の輻射を低減する作用を好適に発揮させることができる。
【0090】
支持側反射部7を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、銅(熱の反射率97.93%)、銀(熱の反射率98.47%)、金(熱の反射率98.62%)、チタン(熱の反射率78.04%)、クロム(熱の反射率93.77%)、鉄(熱の反射率87.09%)、コバルト(熱の反射率87.75%)、ニッケル(熱の反射率92.38%)、アルミニウム(熱の反射率99.03%)、イリジウム(熱の反射率98.73%)、鉛(熱の反射率98.90%)等の金属またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金を用いることができ、中でも、熱の反射率が高いという観点から、銅、銀、金、クロム、ニッケル、アルミニウム、イリジウム、鉛を用いることが好ましく、さらに化学安定性に優れているという観点から、金が好ましい。
【0091】
また、支持側反射部7は、1種の金属または合金で構成されていてもよいし、2種以上の金属または合金を積層して構成されていてもよい。
前述したような材料は、支持部材4を構成する材料よりも熱伝導率が大きいが、前述したように、間隔G1、G2を設けることにより、支持側反射部7全体の熱伝導を低減することができる。
また、部分71、72、73は、それぞれ膜状をなしており、支持側反射部7の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸着、スパッタリング等の気相成膜法を用いることができる。
【0092】
[配線]
図8は、
図4に示す原子発振器が備える配線を説明するための側面図である。また、
図9(a)は、
図8に示す光出射部、加熱部および温度センサーに接続された配線の展開図、
図9(b)は、
図9(a)中のB−B線断面図である。また、
図10(a)は、
図8に示す光検出部に接続された配線の展開図、
図10(b)は、
図10(a)中のC−C線断面図、
図10(c)は、(a)中のD−D線断面図である。また、
図11は、加熱部に接続された配線の横断面積とその配線の抵抗値および加熱部の消費電力との関係を示すグラフである。
図8に示すように、配線部82は、前述した基板28と基体31とを電気的に接続している。また、配線部83は、前述した光検出部24と基体31とを電気的に接続している。
【0093】
以下、配線部82、83を順次詳細に説明する。
配線部82、83は、それぞれ、フレキシブル配線基板で構成されている。具体的に説明すると、
図9に示すように、配線部82は、ベースフィルム821と、複数の配線822a、822b、822c、822d、822e、822f(以下、「配線822」ともいう)と、カバーフィルム823と、を有している。同様に、
図10に示すように、配線部83は、ベースフィルム831と、複数の配線832a、832b(以下、「配線832」ともいう)と、カバーフィルム833と、を有している。なお、配線部82、83の各層間には、接着層が設けられていてもよい。
【0094】
ベースフィルム821およびカバーフィルム823は、それぞれ、シート状をなす絶縁性のフィルムであって、配線822を支持している。同様に、ベースフィルム831およびカバーフィルム833は、それぞれ、シート状をなす絶縁性のフィルムであって、配線832を支持している。これにより、配線822、832を安定して設置することができる。
【0095】
このベースフィルム821、831およびカバーフィルム823、833の厚さは、配線822または配線832を支持することができれば、特に限定されないが、熱抵抗を高める観点から、できるだけ薄いことが好ましい。
また、ベースフィルム821、831およびカバーフィルム823、833の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、ポリイミド樹脂のような樹脂材料を用いることができる。
【0096】
また、ベースフィルム821およびカバーフィルム823のうちの少なくとも一方のフィルムは、多孔質体(発泡体)で構成されていることが好ましい。これにより、当該フィルムの断熱性を高め、当該フィルムを通じた熱伝導により基板28から基体31へ熱が逃げるのを低減することができる。同様に、ベースフィルム831およびカバーフィルム833のうちの少なくとも一方のフィルムは、多孔質体(発泡体)で構成されていることが好ましい。これにより、当該フィルムの断熱性を高め、当該フィルムを通じた熱伝導により光検出部24から基体31へ熱が逃げるのを低減することができる。
【0097】
このようなベースフィルム821とカバーフィルム823との間には、配線822が配置されている。配線822同様に、ベースフィルム831とカバーフィルム833との間には、配線832が配置されている。
配線822は、温度センサー26と導通する1対の配線822a、822bと、光出射部22と導通する1対の配線822c、822dと、ヒーター25と導通する1対の配線822e、822fとで構成されている。
【0098】
配線822a、822b、822c、822d、822e、822fの一端部(
図9(a)中の右側の端部)には、それぞれ、基体31に電気的に接続される端子824a、824b、824c、824d、824e、824fが設けられている。一方、配線822a、822b、822c、822d、822e、822fの他端部(
図9(a)中の左側の端部)には、それぞれ、基板28に電気的に接続される端子825a、825b、825c、825d、825e、825fが設けられている。
【0099】
一方、配線832は、光検出部24と導通する1対の配線832a、832bで構成されている。
配線832a、832bの一端部(
図10(a)中の右側の端部)には、それぞれ、基体31に電気的に接続される端子834a、834bが設けられている。一方、配線832a、832bの他端部(
図10(a)中の左側の端部)には、それぞれ、光検出部24に電気的に接続される端子835a、835bが設けられている。
【0100】
このような配線822a、822b、822c、822d、822e、822f、832a、832bのうちの少なくとも1つの配線は、横断面積が60μm
2以上100μm
2以下である部分を含むことが好ましい。これにより、配線822または配線832の電気抵抗値の上昇を抑えつつ、ガスセル21やヒーター25等から配線822または配線832を通じた熱伝導による基体31への熱の逃げを低減し、その結果、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
【0101】
特に、配線822a、822b、822c、822d、822e、822f、832a、832bのうちの少なくとも配線822e、822fは、横断面積が60μm
2以上100μm
2以下である部分を含むことが好ましい。
原子発振器1を構成する電子部品のうち、最も原子発振器1全体の消費電力に占める割合の大きい消費電力を有するのは、ヒーター25である。ここで、ヒーター25に接続される各配線822e、822fの横断面積を小さくしていくと、
図11に示すように、ヒーター25の消費電力も小さくなる。特に、各配線822e、822fの横断面積が100μm
2以下となると、ヒーター25の消費電力が10mW以下となる。ヒーター25の消費電力が10mW以下となると、原子発振器1全体の消費電力を100mW以下とすることができ、様々な電子機器に搭載することが可能となる。
【0102】
また、各配線822e、822fの横断面積を小さくしていくと、各配線822e、822fの電気抵抗値が徐々に大きくなる。言い換えると、各配線822e、822fの横断面積を小さくしていくと、各配線822e、822fの熱抵抗値が徐々に大きくなる。したがって、各配線822e、822fの横断面積を小さくすることにより、配線822e、822fを通じた熱伝導による熱の逃げを低減することができる。
【0103】
しかし、各配線822e、822fの横断面積が60μm
2よりも小さくなると、各配線822e、822fの熱抵抗値が急激に大きくなる。そのため、各配線822e、822f自体が発熱しやすくなり、各配線822e、822fの横断面積が小さいことも相まって、各配線822e、822fが劣化や断線しやすくなる。特に、ヒーター25に供給する電力は比較的大きいため、各配線822e、822f自体の発熱が問題となる。また、横断面積が60μm
2よりも小さいと、各配線822e、822fの形成が難しい。
【0104】
以上のような観点から、各配線822の横断面積が60μm
2以上100μm
2以下であることにより、配線822の横断面積が最適化され、配線822の電気抵抗値の上昇を抑えつつ、ガスセル21やヒーター25から配線822を通じた熱伝導による基体31への熱の逃げを低減し、その結果、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
ここで、配線部82全体の長さが配線部83全体の長さよりも短い。そのため、配線部82の方が配線部83よりもユニット部2から基体31への熱の伝達経路が短い。したがって、配線822および配線832のうち少なくとも配線822は、各配線の横断面積が60μm
2以上100μm
2以下である部分を含むことが好ましい。
【0105】
配線822、832の横断面形状は、それぞれ、矩形であるが、その短辺方向での長さは、0.5μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上4μm以下であることがより好ましい。これにより、横断面積が小さい配線822、832を容易に形成することができる。また、配線822、832の曲げによる断線を防止することができる。これに対し、短辺方向での長さが小さすぎると、配線822、832の厚さが薄すぎて、配線822、832の曲げによる断線が生じやすくなる。一方、短辺方向での長さを大きすぎると、前述したような横断面積を実現する上で、配線822、832のアスペクト比が大きくなりすぎて、配線822、832の形成が難しくなる。
【0106】
また、光出射部22に接続された配線822c、822dを除く配線、すなわち、配線822a、822b、822e、822f、832a、832bは、ミアンダ配線を含んでいる。これにより、配線822a、822b、822e、822f、832a、832bの熱の伝達経路を長くすることにより、配線822a、822b、822e、822f、832a、832bの熱抵抗を大きくすることができる。その結果、ガスセル21やヒーター25から配線822a、822b、822e、822f、832a、832bを通じた熱伝導による基体31への熱の逃げを効果的に低減することができる。
特に、ヒーター25に電気的に接続されている配線822e、822fはミアンダ配線を含んでいることにより、ヒーター25から配線822e、822fを通じた熱伝導による基体31への熱の逃げを効果的に低減することができる。
【0107】
一方、配線822c、822dは、直線的に形成されている。これにより、光出射部22に対して高周波を含む電流を効率的に供給することができる。
このような配線822、832の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、金属材料を用いることが好ましい。一般に金属材料は延性に優れる。そのため、配線822、832を金属材料で構成することにより、横断面積が小さい配線822、832を容易に形成することができる。
【0108】
かかる金属材料としては、プラチナまたはプラチナを含む合金、または、銅または銅を含む合金を用いることが好ましい。
プラチナまたはプラチナを含む合金、銅または銅を含む合金は、薄膜を容易に形成できるだけでなく、熱伝導率が比較的低い。そのため、配線822、832の熱伝導率を低減することができる。また、プラチナまたはプラチナを含む合金は化学的安定性に優れていることから、腐食防止等を目的とするコーティングを配線822、832に施す必要がなく、配線822、832の形成が容易であるとともに、配線822、832の横断面積を容易に小さくすることができる。また、配線822、832の曲げによる断線を防止することもできる。
【0109】
配線部82と基板28、基体31との接続、および、配線部83と光検出部24、基体31との接続は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、異方性導電フィルム(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)等を用いて行うことができる。
なお、本実施形態では、配線部82が基板28とは別体で構成されているが、配線部82が基板28と一体で構成されていてもよい。この場合、例えば、配線部82および基板28は、ともにフレキシブル配線基板で一体に構成してもよいし、配線部82をフレキシブル部とし基板28をリジット部としたリジットフレキシブル配線基板で構成してもよい。
【0110】
以上説明した配線部82、83のうち配線部83の外表面には、
図8に示すように、反射部84が設けられている。
この反射部84は、
図10(b)に示すように、配線部83のベースフィルム831の表面に配置されている。そして、反射部84は、波長4μmの電磁波に対する反射率が50%以上である。これにより、ベースフィルム831からの熱の放射を低減することができる。
【0111】
また、反射部84は、ベースフィルム831のユニット部2側(
図8中の上側)の一部に配置されている。これにより、ユニット部2から反射部84を通じた熱伝導による基体31への熱伝導を低減しつつ、ベースフィルム831からの熱の放射を効率的に低減することができる。
また、反射部84の熱の反射率は、前述した加熱側反射部6と同様、高い程前述したような効果が高まるため、75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
【0112】
このような反射部84の構成材料としては、前述した加熱側反射部6と同様の材料を用いることができる。
また、反射部84は、膜状をなしており、反射部84の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸着、スパッタリング等の気相成膜法を用いることができる。
なお、反射部84は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
【0113】
[制御部]
図1に示す制御部5は、ヒーター25、コイル27および光出射部22をそれぞれ制御する機能を有する。
このような制御部5は、光出射部22の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部51と、ガスセル21中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部52と、ガスセル21に印加する磁場を制御する磁場制御部53とを有する。
【0114】
励起光制御部51は、前述した光検出部24の検出結果に基づいて、光出射部22から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部51は、前述した光検出部24によって検出された(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部22から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。また、励起光制御部51は、光出射部22から出射される共鳴光1、2の中心周波数を制御する。これにより、前述したようなEIT信号を検出することができる。そして、制御部5は、図示しない水晶発振器の信号をEIT信号に同期して出力させる。
【0115】
また、温度制御部52は、温度センサー26の検出結果に基づいて、ヒーター25への通電を制御する。これにより、ガスセル21を所望の温度範囲内に維持することができる。
また、磁場制御部53は、コイル27が発生する磁場が一定となるように、コイル27への通電を制御する。
【0116】
このような制御部5は、例えば、パッケージ3が実装される基板上に実装されたICチップに設けられている。なお、制御部5がパッケージ3内(例えば基体31上)に設けられていてもよい。
以上説明したような本実施形態の原子発振器1によれば、支持部材4が多孔質体で構成されているため、支持部材4の断熱性を高めることができ。そのため、ガスセル21やヒーター25から支持部材4を通じた熱伝導による基体31への熱の逃げを低減し、その結果、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
【0117】
2.電子機器
以上説明したような本発明の原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。このような本発明の原子発振器を備える電子機器は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の原子発振器を備える電子機器の一例について説明する。
図12は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
【0118】
図12に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
【0119】
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
【0120】
3.移動体
また、前述したような本発明の原子発振器は、各種移動体に組み込むことができる。このような本発明の原子発振器を備える移動体は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図13は、本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
図13に示す移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。そして、原子発振器1からの発振信号に基づいて、例えば、図示しない制御部が動力源の駆動を制御する。
【0121】
なお、本発明の原子発振器または量子干渉装置を組み込む電子機器または移動体は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、前述した実施形態の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0122】
また、前述した実施形態では、支持部が複数の脚部および連結部で構成されている場合を例に説明したが、支持部の形状は、ベース部に対してガスセルおよび加熱部を含むユニット部を支持することができれば、これに限定されず、例えば、板状、ブロック状、梁状等であってもよい。その際、支持部を通じたユニット部とベース部との間の熱の伝達経路を長くする観点から、支持部の高さや長さを大きくすることが好ましく、また、支持部の熱抵抗を大きくする観点から、支持部の幅を小さくすることが好ましい。また、支持部が複数の部材で構成されていてもよい。
【0123】
また、前述した実施形態では、支持部に支持されるユニット部がガスセルの他に接続部材、基板等を含む場合を例に説明したが、これに限定されず、ユニット部は少なくともガスセルおよび加熱部を含んでいればよい。
また、前述した実施形態では、ガスセルが基板および接続部材を介して間接的に支持部に支持されている場合を例に説明したが、ガスセルが支持部に直接的に支持されていてもよい。
また、前述した実施形態では、ユニット部とベース部との電気的接続にフレキシブル配線基板を用いた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、リード線であってもよい。