(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態のPOS(Point of Sales)システム1の概略構成図を示す。POSシステム1(印刷システム)は、小売店、飲食店、或いはその他の店舗、施設等に適用されるシステムである。POSシステム1は、店舗における商品(サービスを含む)販売に関し、商品の登録、支払い金額算出、支払いに伴う会計処理、販売及び会計処理の結果を印刷するレシート発行、この会計処理に伴う情報の提供等を行う。また、POSシステム1は、店舗における商品の販売状況、商品の在庫の状況、売上の状況等を管理する機能を有する。
POSシステム1が使用される店舗には、少なくとも1台のプリンター11が設けられ、会計処理等を行う制御タブレット端末101と、表示等の処理を行う1又は複数のタブレット端末102を設置可能である。制御タブレット端末101及び各タブレット端末102はプリンター11に接続される。
【0014】
制御タブレット端末101及びタブレット端末102は、タブレット型(板状)のコンピューターであり、本実施形態では、前面に形成された表示領域にタッチパネルが設けられ、タッチ操作によって各種入力が可能である。制御タブレット端末101は、会計を担当するレジ担当者(以下、オペレーターという)が使用する。タブレット端末102は、会計に関する情報、例えば、会計の合計金額等を顧客に対して表示する、カスタマーディスプレイとして機能する。
【0015】
プリンター11は、POSサーバー17と、デバイスサーバー18とを備える。
POSサーバー17は、POSシステム1を管理するサーバーユニットであり、制御タブレット端末101に対するデータの提供等を行う。また、デバイスサーバー18は、複数のタブレット端末102に対して表示データを送信する。
【0016】
デバイスサーバー18は、カードリーダー12と、バーコードスキャナー13と、キャッシュドロワー14とに接続している。カードリーダー12は、USB等の規格に準拠した有線通信インターフェイスによりデバイスサーバー18に接続される。カードリーダー12は、クレジットカードや顧客の会員カード等に使用される磁気カードやICカードに記録された情報を読み取って、読取結果をデバイスサーバー18に出力する。バーコードスキャナー13は、近距離無線通信や通信ケーブルを介してデバイスサーバー18に接続され、商品又は商品の包装に付されたバーコードを読み取って、読取結果をデバイスサーバー18に出力する。デバイスサーバー18は、カードリーダー12や、バーコードスキャナー13から入力したデータを制御タブレット端末101に送信する。
【0017】
キャッシュドロワー14は、デバイスサーバー18に有線接続され、制御タブレット端末101から所定の信号が入力されると、金銭等を収容するドロワーを開く。
また、デバイスサーバー18は、プリンターユニット(印刷部)21を備えている。デバイスサーバー18は、プリンターユニット21を制御して、レシートを印刷させる。
【0018】
図2は、制御タブレット端末101、タブレット端末102及びプリンター11の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プリンター11は、制御タブレット端末101及びタブレット端末102と通信を行うサーバーインターフェイス(
図2及び
図3ではI/Fと略記する)32を備えている。プリンター11において、サーバーインターフェイス(通信部)32には、POSサーバー17とデバイスサーバー18とが接続される。
【0019】
サーバーインターフェイス32は、ネットワークカード等の所定の通信インターフェイスを備え、POSサーバー17が備えるPOSサーバー制御部30と、デバイスサーバー18が備えるデバイス制御部20との少なくとも一方の制御により動作する。サーバーインターフェイス32は、制御タブレット端末101との間、及び、タブレット端末102との間で所定の無線通信プロトコルを実行し、各種データを送受信する。これにより、POSサーバー17及びデバイスサーバー18は、サーバーインターフェイス32を介して制御タブレット端末101及びタブレット端末102とデータ通信を行う。データ通信されるデータには、決済処理に係るデータ及び制御情報が含まれる。決済処理に係るデータには、例えば、カードリーダー12やバーコードスキャナー13により読み取られる情報が含まれる。具体的には、クレジットカードや顧客の会員カード等に使用される磁気カードやICカードに記録された情報が挙げられる。また、決済処理に係るデータには、店舗における商品(サービスを含む)販売に関し、商品の登録、支払い金額算出、支払いに伴う会計処理、販売及び会計処理の結果を印刷するレシート発行等のデータが含まれる。また、制御情報は、制御タブレット端末101からプリンター11に送信される、プリンター11を制御する情報である。特に、制御情報には、制御部310への電源の供給を停止させる情報が含まれる。なお、制御部310については後述する。
【0020】
デバイスサーバー18は、デバイス制御部20と、プリンターユニット21と、無線デバイス通信部22と、有線デバイス通信部24と、記憶部25とを備える。
デバイス制御部20は、デバイスサーバー18を制御する。デバイス制御部20は、機能ブロックとして、プリンターユニット制御部20a、通信部20b、デバイス通信制御部20c及び電源制御部20dを備える。
【0021】
プリンターユニット制御部20aは、プリンターユニット21の制御プログラムを実行してプリンターユニット21を制御する。プリンターユニット21は、印刷媒体であるロール紙を搬送する搬送機構、サーマルヘッドによってロール紙に文字や画像を印刷する印刷機構、ロール紙を切断するカッター機構等を備える。プリンターユニット21は、プリンターユニット制御部20aの制御の下、ロール紙にレシートの画像を印刷した後、所定の位置でロール紙を切断することにより、レシートを発行する。
【0022】
通信部20bは、通信制御プログラムを実行して、制御タブレット端末101とタブレット端末102との間で行われるデータ通信を制御する。通信部20bは、端末インターフェイス271を介して第1端末制御部261と接続され、第1端末制御部261から送信されたデータを受信する。通信部20bは、第1端末制御部261から受信したデータを記憶部25に送信する。また、通信部20bは、端末インターフェイス272を介して、第2端末制御部262と接続される。通信部20bは、第2端末制御部262に対して、制御タブレット端末101から受信したデータを送信する。
【0023】
デバイス通信制御部20cは、デバイス制御プログラムを実行して、デバイスと通信し、デバイスを制御する。
上述したプリンターユニット21の制御プログラムや、通信制御プログラム、デバイスの制御プログラムは、例えば、プリンター11のメーカーが提供するAPI(Application Program Interface)を利用して生成される。また、これらのプログラムは、デバイス制御部20が実行する。
【0024】
電源制御部20dは、プリンターユニット制御部20a、通信部20b、POSサーバー制御部30に接続している。また、電源制御部20dは、後述する電源部320(
図3参照)に接続している。電源制御部20dは、電源の制御プログラムを実行して、プリンター11の各部への電源供給を制御する。特に、電源制御部20dは、サーバーインターフェイス32で電源の供給を停止させる制御情報を受信した場合に、電源部320から制御部310への電源の供給を停止する制御を行う。なお、電源制御部20dの詳細については、
図3を参照しながら後述する。
【0025】
無線デバイス通信部(接続部)22は、例えばリンクマネージャーや、リンクコントローラー、高周波回路、アンテナ等を含む。デバイス通信制御部20cは、無線デバイス通信部22を制御する。この制御に従って、無線デバイス通信部22は、バーコードスキャナー13との間で近距離無線通信を行う。
デバイス通信制御部(データ制御部)20cは、有線デバイス通信部(接続部)24を制御する。有線デバイス通信部24は、デバイス通信制御部20cの制御に従って、カードリーダー12との間で有線通信を行う。記憶部25は、各種のプログラムやデータを書き換え可能に記憶する。
【0026】
POSサーバー17は、POSサーバー制御部30と、POSサーバー記憶部31とを備え、POSサーバー制御部30がサーバーインターフェイス32に接続される。POSサーバー17は、例えば、商品に関する情報を格納するデータベース、売り上げを管理するデータベース、在庫を管理するデータベース等を記憶するPOSサーバー記憶部31を備え、これらのデータベースを利用してPOSシステム1を管理する。
【0027】
なお、以下の説明では、制御タブレット端末101及びタブレット端末102が、POSサーバー17のアプリケーション実行部30aでウェブアプリケーションを実行し、データを処理する例について説明する。つまり、制御タブレット端末101は、第1ブラウザー実行部261aが実行するウェブアプリケーションによって、各種データをプリンター11に送信する。これはあくまで一例であり、例えば、制御タブレット端末101が、オペレーティングシステムで実行するアプリケーションプログラムの機能により、POSサーバー17とデータを送受信してPOSシステム1の機能を実現してもよい。この場合、第1端末制御部261は、アプリケーションプログラムの機能により、デバイスサーバー18からバーコードの読取データやカードの読取データを取得する。また、第1端末制御部261は、取得したデータとタッチパネル101aで入力されたデータとに基づき、金額の表示等の処理を行い、POSサーバー17にデータを送信する。ここで、第1端末制御部261は、例えばXML形式のデータをプリンター11に送信する。POSサーバー17はサーバープログラムを実行し、制御タブレット端末101から受信したXML形式のデータを処理し、処理結果のデータを制御タブレット端末101およびタブレット端末102にXML形式で送信する。このように、ウェブアプリケーションに限らない方法で、本発明に係るPOSシステム1の機能を実現可能である。
【0028】
POSサーバー制御部30は、POSサーバー17を制御する。また、POSサーバー記憶部31は、各種のプログラムやデータを書き換え可能に記憶する。
POSサーバー記憶部31には、ロードされたアプリケーション35が記憶される。アプリケーション実行部30aは、アプリケーション35を読み出して実行し、単独又は第1ブラウザー実行部261aと、各種処理を実行する。アプリケーション実行部30aは、制御タブレット端末101又はタブレット端末102から要求されたウェブページのデータを生成し、或いはPOSサーバー記憶部31から読み出して、要求元の端末に送信する。各端末は、受信したウェブページのデータに基づいて、後述する画面を表示する。
【0029】
制御タブレット端末101は、第1端末制御部261と、端末インターフェイス(I/F)271と、表示制御部281と、入力検出部291と、タッチパネル101aとを備える。
タッチパネル101aは、制御タブレット端末101に配設された表示パネル101cと、表示パネル101cに重ねて配置されたタッチセンサー101bとを備える。表示パネル101cは、液晶表示パネル、有機EL(electroluminescence)パネル、電子ペーパー等のディスプレイであり、表示制御部281の制御により駆動する。タッチセンサー101bは、表示パネル101cに重ねて配設された静電容量式もしくは感圧式のセンサーであり、ユーザーの手指やペン型操作デバイスによる接触操作を検出して、操作を検出した位置を示す信号を入力検出部291に出力する。表示制御部281は、第1ブラウザー実行部261aから入力する表示データに基づいて、表示パネル101cを駆動して、文字や画像等を含む画面を表示する。
入力検出部291は、タッチセンサー101bが出力する信号に基づいて、タッチパネル101aに対する接触操作を検出する。この操作を検出した場合、入力検出部291は、操作位置を、表示パネル101cの表示位置に対応する座標により示す座標データを生成して、第1ブラウザー実行部261aに出力する。
【0030】
第1端末制御部261は、制御タブレット端末101を制御するものであり、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路等を備える。第1端末制御部261は、ブラウザープログラムを実行してブラウザーの機能を実現する第1ブラウザー実行部261aを備える。
第1ブラウザー実行部261aは、ブラウザーの機能により、HTML等のマークアップ言語やスクリプト言語で記述されたウェブページを、POSサーバー17からダウンロードする。ダウンロードされたウェブページのデータは、例えば図示しないRAMに記憶される。第1ブラウザー実行部261aは、ブラウザーの機能により、ダウンロードされたウェブページのデータを読み込み、このウェブページの表示データを生成して、表示制御部281に出力する。また、第1ブラウザー実行部261aは、ウェブページに実装されたスクリプトの機能により、単独で又はアプリケーション実行部30aと、各種処理を実行する。従って、制御タブレット端末101は、第1ブラウザー実行部261a単体で、又は第1ブラウザー実行部261aとPOSサーバー17のアプリケーション実行部30aとによりPOS端末装置として機能する。
【0031】
第1ブラウザー実行部261aは、タッチセンサー101bへのタッチ操作に対応して入力検出部291から入力される座標データと表示制御部281に出力した表示データに基づき、入力された内容を特定する。第1ブラウザー実行部261aは、特定した入力内容に基づいて、スクリプトの機能によって適切な処理を実行し、また、特定した入力内容を示すデータをPOSサーバー17へ送信する。アプリケーション実行部30aは、入力されたデータに基づいて各種処理を実行する。また、第1ブラウザー実行部261aは、アプリケーション実行部30aがアプリケーションプログラムを実行した実行結果のデータをPOSサーバー17から受信して、受信したデータを反映した表示データを生成して表示制御部281に出力する。
端末インターフェイス271(I/F)は、第1端末制御部261の制御の下、デバイスサーバー18及びPOSサーバー17と、所定の無線通信プロトコルを実行して通信を行う。
【0032】
タブレット端末102は、制御タブレット端末101と同様、第2端末制御部262、端末インターフェイス(I/F)272、表示制御部282、入力検出部292及びタッチパネル102aを備える。
タッチパネル102aは、タブレット端末102に配設された表示パネル102c(表示部)と、表示パネル102cに重ねて配置されたタッチセンサー102bとで構成される。表示パネル102cは、液晶表示パネル、有機ELパネル、電子ペーパー等のディスプレイであり、表示制御部282によって駆動される。タッチセンサー102bは、表示パネル102cに重ねて配設された静電容量式もしくは感圧式のセンサーであり、ユーザーの手指やペン型操作デバイスによる接触操作を検出して、操作を検出した位置を示す信号を入力検出部292に出力する。
表示制御部282は、後述する第2ブラウザー実行部262aから入力する表示データに基づいて、表示パネル102cを駆動し、表示パネル102cに文字や画像等を含む画面を表示する。
入力検出部292は、タッチセンサー102bが出力する信号に基づいて、タッチパネル102aに対する接触操作を検出する。この操作を検出した場合、入力検出部292は、操作位置を、表示パネル102cの表示位置に対応する座標により示す座標データを生成し、第2ブラウザー実行部262aに出力する。
【0033】
第2端末制御部262は、タブレット端末102を制御するものであり、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路等を備える。第2端末制御部262は、ブラウザープログラムを実行してブラウザーの機能を実現する第2ブラウザー実行部262aを備える。
【0034】
第2ブラウザー実行部262aは、ブラウザーの機能により、HTML等のマークアップ言語やスクリプト言語で記述されたウェブページを、デバイスサーバー18からダウンロードする。ダウンロードされたウェブページのデータは、例えば図示しないRAMに記憶される。第2ブラウザー実行部262aは、ブラウザーの機能により、ダウンロードされたウェブページのデータを読み込み、このウェブページの表示データを生成して、表示制御部282に出力する。
【0035】
また、第2ブラウザー実行部262aは、会計処理の実行中にデバイスサーバー18から送信される会計処理データ等を受信して、受信したデータを所定の表示態様で表示データを生成して、表示制御部282に出力する。これにより、表示パネル102cに会計に係る金額などの情報が表示され、タブレット端末102がカスタマーディスプレイとして機能する。
【0036】
POSシステム1による商品販売に関する処理の概略を説明する。
オペレーターがバーコードスキャナー13によって商品に付されたバーコードを読み取ると、デバイス通信制御部20cがバーコードスキャナー13の読み取り結果を示すデータを取得する。デバイス通信制御部20cは、読み取ったバーコード情報を示すデータを生成し、通信部20bに出力する。通信部20bは、バーコード情報を示すデータを第1ブラウザー実行部261aに送信する。
第1ブラウザー実行部261aは、受信したバーコード情報を表示する表示データを生成して表示制御部281に出力する。これによりバーコード情報が表示パネル101cに表示される。第1ブラウザー実行部261aは、アプリケーション実行部30aと通信し、バーコード情報が示す商品の商品名称、単価を問い合わせる。この問い合わせを受けたアプリケーション実行部30aは、データベースにアクセスして情報を取得し、取得した情報を第1ブラウザー実行部261aに送信する。
第1ブラウザー実行部261aは、アプリケーション実行部30aから受信した商品の名称、商品の単価等の情報や、タッチセンサー101bで入力された商品の数量、合計金額等を表示する表示データを生成する。さらに、タッチセンサー101bで会計すべき商品を確定する旨の操作が行われると、顧客から代金の預かり、及びお釣りの返却が行われる。これに伴い、第1ブラウザー実行部261aは、合計金額、預かり代金の金額、釣り銭の金額を表示する表示データを生成する。これにより、各種金額が表示パネル101cに表示される。
【0037】
また、第1ブラウザー実行部261aは、商品名、数量、合計金額、預かり金額、釣り銭の金額等のデータを通信部20bに送信する。通信部20bは、第1ブラウザー実行部261aから受信したデータを第2ブラウザー実行部262aに送信する。第2ブラウザー実行部262aは、このデータを受信して表示データを生成し、表示制御部282に出力する。これにより、カスタマーディスプレイであるタブレット端末102に商品販売の会計処理に関する各種の情報が表示される。
その後、第1ブラウザー実行部261aが、プリンターユニット21が印刷するレシートに関する情報が含まれたXMLドキュメントを生成する。第1ブラウザー実行部261aは生成したXMLドキュメントを、通信部20bに送信する。
通信部20bは、第1ブラウザー実行部261aからXMLドキュメントを受信し、プリンターユニット制御部20aに出力する。プリンターユニット制御部20aは、入力されたXMLドキュメントに基づいて、プリンターユニット21にレシートの発行に関する各種処理を行わせる。これにより、プリンターユニット21が各種機構を動かして、レシートを発行する。
【0038】
図3は、プリンター11のハードウェア構成を示す図であり、特に、POSサーバー17及びデバイス制御部20の機能を実現する構成と、プリンター11に電源を供給する電源部320とを示す。
図3に示すハードウェアの構成例では、メイン制御基板300に、CPU(Central Processing Unit)311、ROM(Read Only Memory)312、RAM(Random Access Memory)313が実装される。また、メイン制御基板300には記憶部314、入出力部(Input/Output、以下、I/Oと略記する)315等のハードウェアが搭載される。これらのハードウェアは、システムバス316により相互に接続している。これらメイン制御基板300に形成されたハードウェアにより、制御部310が構成される。制御部310は、CPU311でプログラムを実行して、決済処理に係る制御を行うPOSサーバー制御部30、デバイス制御部20の通信部20b、デバイス通信制御部20c、及び、電源制御部20dの機能を実現する。また、記憶部314の記憶領域は、POSサーバー17のPOSサーバー記憶部31、及びデバイスサーバー18の記憶部25として使用される。
【0039】
メイン制御基板300には、電源を供給する電源部320が搭載される。電源部320は、メイン制御基板300に設けられたI/O315と制御信号線321で接続する。また、電源部320は、制御部310と、プリンターユニット制御部(印刷制御部)20aを搭載するプリンター基板(印刷制御基板)200と、プリンターユニット21とに電源線322で接続される。
【0040】
I/O315は、サーバーインターフェイス32と、電源スイッチ33と、電源部320と、無線デバイス通信部22と、有線デバイス通信部24とに接続する。I/O315は、サーバーインターフェイス32、電源スイッチ33、無線デバイス通信部22及び有線デバイス通信部24のいずれかから入力したデータを、システムバス316を介してCPU311へと出力する。また、I/O315は、CPU311が出力するデータを無線デバイス通信部22、有線デバイス通信部24、サーバーインターフェイス32、及び電源部320に出力する。
【0041】
記憶部314は、磁気的、光学的記憶媒体又は半導体記憶素子で構成される不揮発性の記憶装置により構成される。CPU311は、プリンター11の電源をオフさせる場合に、RAM313に記憶されているデータを記憶部314に記憶させ、プリンター11の電源オフによるデータの消失を防止する。
記憶部314には、各種のプログラムやデータが、CPU311により読み取り及び書き換え可能な態様で記憶される。各種のプログラムには、アプリケーションプログラムが含まれ、データには、制御タブレット端末101から受信するデータが含まれる。
【0042】
電源部320には、プリンター11の外部に設けられる不図示のAC/DCアダプターによって直流24Vに変換された商用電源が入力される。電源部320は、外部から供給される24Vの直流電源に基づき、プリンターユニット21に24V電源を供給する。また、電源部320は、直流24Vの電源を5Vに降圧して、制御部310及びプリンター基板200のプリンターユニット制御部20aに供給する。
電源部320は、制御部310から制御信号線321を介して入力される制御信号に従って、電源供給のオンとオフとを切り替える。電源部320は、プリンターユニット21、プリンター基板200、及び、制御部310に対する電源供給を、個別にオンオフ可能であってもよい。また、電源部320は、電源供給をオフにしている状態で、制御部310、またはCPU311に、電源スイッチ33の操作を検出する電力を供給可能であってもよい。
【0043】
電源スイッチ33は、プリンター11の筐体に設けられ、オペレーターの操作により電源部320からの電源の供給を開始させるスイッチである。電源スイッチ33は、押下されたときに所定時間通電し、CPU311は、電源スイッチ33の通電を検出することで、電源スイッチ33の操作を検出する。
【0044】
記憶部314は、プリンター11の電源をオフにする動作を設定する設定情報を記憶している。設定情報は、例えば、外部の装置としての制御タブレット端末101(送信装置)又はタブレット端末102からデータを送信し、記憶させることができる。
制御部310は、電源部320の電源供給がオンの状態で、電源スイッチ33が操作された場合に、設定情報を参照して、設定情報により示される動作を実行する。プリンター11では、プリンター11の稼働状態を、通常モード、スタンバイモード、スリープモードの3通りに設定できる。制御部310は、設定情報に従って、これら3通りの動作状態のいずれかに移行し、或いは、後述するシャットダウンシーケンスを実行する。
【0045】
通常モードは、プリンター11への通電を維持してプリンター11が稼働可能な状態をいう。
スタンバイモードは、オペレーターからの印刷開始の指示を待つ待機モードのことである。スタンバイモードでは、例えば、プリンターユニット21が備える印刷ヘッド、或いは、キャリッジ駆動モーター等の各種モーターへの通電が停止される。例えばプリンター11がサーマルヘッドを備える場合に、サーマルヘッドの温度が画像形成時の温度よりも低温に維持され、電力消費量が抑制される。
スリープモードは、スタンバイモードより更に消費電力を抑えたモードである。スリープモードでは、プリンター11のうち消費電力の大きい構成部分への通電が停止され、プリンター11の消費電力が、より少ない状態となる。例えば、スリープモードでは、制御部310を構成するROM312、RAM313、記憶部314、及びI/O315が停止され、CPU311は定期的に入力を検出する動作を行ってその他の時間は停止する。また、スリープモードではI/F32、有線デバイス通信部24、及び無線デバイス通信部22への通電が停止される。スリープモードでは、CPU311が、スリープモードからスタンバイモードまたは通常モードへの復帰を指示する入力を受け付け可能であるが、それ以外の入力を受け付けない。
【0046】
制御部310は、CPU311がプログラムを実行することで、電源制御部20dとして機能する。また、設定情報を記憶する記憶部314は、記憶部25に相当する。
制御部310は、電源スイッチ33の操作がなされた場合に、操作時におけるプリンター11の稼働状態と、記憶部314に記憶された設定情報に基づき、プリンター11の稼働状態の移行またはシャットダウンシーケンス(シャットダウン処理)を実行する。
また、制御部310は、制御タブレット端末101から送信されるデータを受信し、このデータに従って設定情報を生成する。ここで生成された設定情報は、記憶部314が記憶する。また、制御部310は、制御タブレット端末101から受信したデータ(制御情報)が、プリンター11の稼働状態の移行又はシャットダウン(電源オフ)を指示するデータであった場合、このデータに従って稼働状態の移行又はシャットダウンシーケンスを行う。
【0047】
設定情報には、制御部310が制御タブレット端末101から送信されるデータに従って設定情報を生成する場合に用いる、認証処理に関する情報を含んでもよい。認証処理に関する情報には、記憶部314に記憶された認証情報が含まれる。制御部310(電源制御部20d)は、制御タブレット端末101から制御情報と共に認証データを受信する場合に、記憶部314に記憶された認証情報に基づいて認証データの認証を行う。認証処理に関する情報としては、認証処理の要否、及び、認証処理に用いる情報が挙げられる。認証処理としては、文字や数字からなるパスワードの照合、指紋や掌紋等の生体情報の照合による認証が挙げられる。また、特定の図形を描画する操作による認証であってもよい。この情報を用いると、制御部310(電源制御部20d)が制御タブレット端末101から送信されたデータに基づいて、設定情報を生成する際に、認証を実行できる。制御部310は、認証に成功した場合に、制御タブレット端末101から受信した指示に従ってプリンター11の電源をオフにする。これにより、権限のない装置がプリンター11の稼働状態を設定できなくなるので、セキュリティー面の信頼性が向上する。
【0048】
制御部310は、プリンター11の電源をオフにする場合、シャットダウンシーケンスを実行して、電源部320の電源供給を遮断する。シャットダウンシーケンスは、上述したPOSサーバー制御部30とデバイス制御部20が処理するデータの破損や消失をすることなく、プリンター11の電源をオフにする一連の動作であり、電源部320の電源供給を遮断する動作を含む。
以下の説明では、POSサーバー制御部30とデバイス制御部20が通常モードで実行する処理を、第1処理および第2処理に区別する。第1処理は、プリンターユニット制御部20aがプリンターユニット21を制御して、印刷を実行する処理である。第2処理は、制御タブレット端末101やタブレット端末102と、プリンター11とがデータ通信を行って、制御タブレット端末101又はタブレット端末102から要求された処理を実行する処理である。この第2処理は、POSサーバー制御部30と、通信部20bと、デバイス通信制御部20cとで実行される。具体的には、商品販売に関する会計処理、この会計処理に伴いデータを表示する処理等であるが、電源制御部20dが設定情報を生成する処理を含んでもよい。
【0049】
制御部310は、シャットダウンシーケンスにおいて、第1処理と第2処理の実行状態を検出し、実行中の第1処理及び第2処理を終了させた後で、電源部320の電源供給をオフにする。この過程で、制御部310は、プリンターユニット制御部20aが実行中の第1処理を検出する。第1処理が実行中である場合、制御部310は、第1処理の終了を待機する。プリンターユニット制御部20aは、第1処理が終了した際に、第1処理の終了を制御部310に通知する。また、制御部310は、プリンターユニット制御部20aに対し、第1処理を中断するように指示してもよい。この場合、制御部310は、プリンターユニット制御部20aに出力したデータを取得して、記憶部314に記憶する。次にプリンター11が通常モードに移行した際に、記憶部314に記憶したデータに基づきプリンターユニット制御部20aが動作を再開するように設定を行ってもよい。
【0050】
また、制御部310は、POSサーバー制御部30により実行中の第2処理を検出する。制御部310は、第2処理が実行中である場合には、第2処理の終了を待機する。また、制御部310は、第2処理を中断することも可能であり、この場合、POSサーバー制御部30が処理中のデータを取得して、記憶部314に記憶する。次にプリンター11が通常モードに移行した際に、記憶部314に記憶したデータに基づきPOSサーバー制御部30の第2処理を再開するように設定を行ってもよい。
制御部310は、RAM313に記憶されているデータを、記憶部314に予め設けられた領域に記憶させる。記憶部314は不揮発性であるため、RAM313に記憶されたデータを記憶部314に待避させることで、制御部310が処理中のデータの消失及び破損を防止できる。
このように、制御部310は、シャットダウンシーケンスにおいて、次の(1)、(2)、(3)の処理動作を実行する。
(1)第1処理及び第2処理を終了する動作
(2)RAM313に記憶されているデータを記憶部314に待避する動作
(3)電源部320を制御して、電源部320の電源供給をオフにする動作
(1)〜(3)の動作の実行順序は、(3)の実行前に(1)及び(2)の実行を完了することを除き、制限されない。また、(3)の動作では、電源部320からプリンターユニット21、プリンター基板200、及び制御部310に対する電源供給を遮断してもよい。また、制御部310の一部(例えば、CPU311、ROM312、I/O315)に電源供給をして、その他の各部への電源供給をオフにしてもよい。
【0051】
プリンター11の電源がオフの状態で電源スイッチ33が操作されると、電源部320からメイン制御基板300への電源供給が開始され、プリンター11が起動する。また、プリンター基板200及びプリンターユニット21への電源供給も開始され、プリンター11が、POSサーバー17及びデバイスサーバー18の機能、及び印刷機能を実行可能となる。また、スタンバイモードおよびスリープモードで電源スイッチ33が操作された場合、CPU311は、プリンター11の稼働状態を通常モードに移行させる。
【0052】
図4は、制御部310の動作を示すフローチャートである。この
図4には、制御タブレット端末101からプリンター11の電源をオフする要求を受信した場合の制御部310の動作を示す。
図4に示す制御部310の処理は、電源制御部20dの機能に相当する。この動作では制御タブレット端末101が送信装置に相当し、第1端末制御部261は指示部に相当する。
【0053】
制御部310は、制御タブレット端末101からデータ(制御情報)を受信したか否かを判定する(ステップS1)。制御タブレット端末101からデータを受信した場合(ステップS1;Yes)、制御部310は、受信したデータが、プリンター11の電源オフの指示であるか否かを判定する(ステップS2)。受信したデータがプリンター11の電源オフの指示ではなかった場合(ステップS2;No)、制御部310は、受信したデータに応じた処理を行う(ステップS3)。
受信したデータがプリンター11のオフ要求であった場合(ステップS4;Yes)、制御部310は、RAM313に保存された設定情報を参照して、認証処理の要否を判定する(ステップS4)。認証を要しない場合(ステップS4;No)、制御部310は、上述のシャットダウンシーケンスを実行してプリンター11の電源をオフにする(ステップS5)。
【0054】
また、認証を要する場合(ステップS4;Yes)、制御部310は、制御タブレット端末101に対して認証データを要求する(ステップS6)。制御タブレット端末101では、第1ブラウザー実行部261aが制御を行い、タッチパネル101aに認証データの入力画面が表示される。ここで、タッチパネル101aにタッチ操作が行われて認証データが入力されると、制御タブレット端末101は、入力されたデータをプリンター11に送信する。
制御部310は、制御タブレット端末101から認証データを受信するまで待機し(ステップS7)、認証データを受信した場合に(ステップS7;Yes)、受信したデータと設定情報に含まれる認証データとを照合して、認証を行う(ステップS8)。
ここで、受信したデータと設定情報の認証データとが一致、または適合し、認証に成功した場合(ステップS8;Yes)、制御部310はプリンター11のシャットダウンシーケンスを実行する。また、受信したデータと設定情報の認証データが一致しない、または不適合であった場合、制御部310は認証失敗と判定する(ステップS8;No)。この場合、制御部310は、制御タブレット端末101に対して認証失敗を通知し、認証データの再送信を要求して(ステップS9)、ステップS7に戻る。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のプリンター11は、電源部320、電源スイッチ33、プリンターユニット21、制御部310、サーバーインターフェイス32と、電源制御部20dとを備える。電源部320は、電源を供給する。電源スイッチ33は、電源部320からの電源の供給を開始させる。プリンターユニット21は、電源部320から電源が供給され、印刷を行う。制御部310は、電源部320から電源が供給され、決済処理に係る制御を行う。サーバーインターフェイス32は、決済処理に係るデータ及び制御部310への電源の供給を停止させる制御情報を受信する。電源制御部20dは、サーバーインターフェイス32で制御情報を受信した場合に、電源部320から制御部310への電源の供給を停止する制御を行う。
従って、本実施形態のプリンター11によれば、サーバーインターフェイス32が制御情報を受信した場合に、電源制御部20dの制御によりプリンター11の制御部310の電源をオフにする。これにより、制御部が処理するデータの消失等を招かないような制御を行うことが可能となる。
【0056】
また、本実施形態のプリンター11は、制御情報を受信した場合に、制御情報の認証を行う認証情報を記憶する記憶部25を備える。そして、サーバーインターフェイス32は、制御情報を受信する時に、制御情報に係る認証データを受信し、電源制御部20dは、制御情報を受信した場合に記憶部25に記憶される認証情報に基づいて認証データの認証を行う。従って、認証を行って、不正な指示によってプリンターの電源がオフされることを防止できる。
【0057】
また、電源制御部20dは、制御情報を受信した場合に、予め設定された制御部310のシャットダウン処理を実行して制御部310への電源の供給を停止させる。制御部310がシャットダウン処理を実行することにより、処理中のデータの消失や破損を防止できる。
【0058】
また、本実施形態のプリンター11は、プリンターユニット21を制御するプリンターユニット制御部20aを備える。制御部310は、決済処理に係るデータをプリンターユニット制御部20aに出力する第1処理と、決済処理に係るデータを処理して、処理したデータをサーバーインターフェイス32で送信する第2処理とを実行する。そして、制御情報を受信した場合に、制御部310は、シャットダウン処理で第1処理と第2処理とを終了させ、電源制御部20dは、制御部310への電源の供給を停止させる。
従って、決済処理に係るデータをプリンターユニット制御部20aに出力する第1処理、及び決済処理に係るデータを処理して、処理したデータをサーバーインターフェイス32で送信する第2処理のいずれにおいても、処理中のデータの消失や破損を防止できる。
【0059】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、制御タブレット端末101を、プリンター11に対して電源オフの指示を送信する外部の装置として用いる場合について説明したが、これに限らず、タブレット端末102から電源オフの指示を送信してもよい。また、プリンター11と通信可能に接続された、他の装置が電源オフの指示を送信してもよい。外部の装置の具体的な態様は任意であり、プリンター11と通信可能であればよく、携帯型電話機、パーソナルコンピューター等を用いることも可能である。また、プリンター11が実行するデータ処理のうち、上述した第2処理は、POSサーバー17及びデバイスサーバー18の機能に係る処理に限定されない。その他の細部構成についても任意に変更可能である。