(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の熱源機においては、通電線がバーナの筺体に接触することによって、バーナに通電線の電圧がリークするという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、バーナに通電線の電圧がリークすることを抑制できる熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱源機は、燃焼ガスの潜熱を回収可能なものである。熱源機は、バーナと、熱交換器と、貯留部材と、通電線とを備えている。バーナは燃焼ガスを供給するためのものである。熱交換器はバーナによって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。貯留部材は、電気絶縁性を有する素材で形成されており、かつ熱交換器で燃焼ガスの潜熱を回収することによって発生したドレンを貯留するためのものである。通電線は電気を通電可能なものである。貯留部材は、バーナを覆うように配置された部分を有し、該部分はバーナと通電線との間に位置している。
【0008】
本発明の熱源機によれば、電気絶縁性を有する素材で形成された貯留部材はバーナを覆うように配置された部分を有している。該部分はバーナと通電線との間に位置しているため、該部分によってバーナと通電線との絶縁が確保される。これにより、バーナに通電線の電圧がリークすることを抑制できる。
【0009】
上記の熱源機においては、貯留部材は、通電線を支持可能な支持部を含んでいる。これにより、貯留部材は支持部に通電線を支持することができる。
【0010】
上記の熱源機においては、支持部は、貯留部材の外壁に設けられており、通電線を係止可能に構成されている。これにより、メンテナンスの際に、通電線と貯留部材とが互いに干渉し難く作業し易くなる。
【0011】
上記の熱源機においては、支持部は、貯留部材の外壁に形成された溝である。このため、通電線を溝に固定することができる。
【0012】
上記の熱源機においては、溝は、延在する方向の一端および他端の少なくともいずれかが開口している。このため、通電線の溝への脱着作業がし易くなる。
【0013】
上記の熱源機においては、溝は、底部と、溝の幅方向における底部の両端にそれぞれ接続された第1および第2の側面部と、第1および第2の側面部のそれぞれの底部に対して反対側に位置する端部の少なくともいずれかに設けられた抜け止め部材とを含んでいる。支持部は、抜け止め部材と底部との間に通電線を挟み込んで通電線を固定するように構成されている。このため、抜け止め部材によって通電線を溝から脱落し難くすることができる。
【0014】
上記の熱源機は、バーナに点火するための点火ノズルと、点火ノズルに電圧を加えて点火ノズルを点火させるための高電圧発生部材とをさらに備えている。通電線は、点火ノズルと高電圧発生部材とを電気的に接続する高圧コードである。このため、高電圧発生部材から高電圧が印加された高圧コードの電圧がリークすることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、バーナに通電線の電圧がリークすることを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態の熱源機の構成を説明する。
【0018】
図1を参照して、本実施の形態の熱源機(給湯器)1の概略的な構成について説明する。本実施の形態の熱源機1は、独立した2つの燃焼系統、具体的には右側に給湯側燃焼系統、左側に風呂・暖房側燃焼系統を有し、さらに燃焼に関連する動作を司る制御装置2を有する。
【0019】
給湯側燃焼系統には、燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する給湯側燃焼部7と、その給湯側燃焼部7に燃焼用の空気を送風する公知の送風機9と、湯水あるいは熱媒体が流通し燃焼ガスによって加熱される給湯側熱交換部11と、給湯流水系統20が備えられ、同様に風呂・暖房側燃焼系統には、風呂・暖房側燃焼部8と、その風呂・暖房側燃焼部8に送風する送風機9と、風呂・暖房側熱交換部12と、暖房流水系統21と、追い焚き流水系統22とが備えられている。また、熱源機1は、風呂・暖房側燃焼系統と給湯側燃焼系統の両方のドレンを受けるドレン排出系統13を有している。
【0020】
各燃焼部7、8は、燃料ガスを燃焼する複数のバーナ40が設けられ、燃料ガスをバーナ40に至らせる燃料配管41が接続されている。燃料配管41には、元ガス電磁弁(燃料用弁)42、それぞれのバーナ40に至る燃料ガスの流通を規制する比例弁(燃料用弁)43と電磁弁(燃料用弁)44が設けられている。すなわち、各燃焼部7、8では、各燃料用弁42、43、44の開閉が制御されて、燃料配管41を介して供給された燃料ガスが、バーナ40で燃焼されて燃焼ガスが生成される。
【0021】
給湯流水系統20は、給湯側熱交換部11がその一部を形成するものであり、給水源から供給される湯水を給湯側熱交換部11に流し、その給湯側熱交換部11からカラン等に至らせる給湯主流路23と、給湯側熱交換部11をバイパスする給湯側バイパス流路25とを有する。そして、給湯流水系統20には、給湯側バイパス流路25を通過する流量を調整する給湯側バイパス流量調整弁(液体用弁)26や、出湯温度が所定値よりも低い場合に出湯流量を絞る出湯流量調整弁(液体用弁)27等が設けられている。
【0022】
さらに、給湯流水系統20には、出湯流路調整弁27から分岐し、湯水を風呂の浴槽へと導く風呂落とし込み流路28が備えられている。そして、この風呂落とし込み流路28には、浴槽への水流を規制する注湯電磁弁(液体用弁)30と、浴槽側からの水流の逆流を防止する逆流防止機構31等が設けられている。
【0023】
なお、給湯側熱交換部11は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器11aと、燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器11b(熱交換器HE)とで構成されている。
【0024】
暖房流水系統(端末循環路)21は、風呂・暖房側熱交換部12がその一部を形成するものであり、湯水は、風呂・暖房側熱交換部12と浴室暖房機等の高温側端末(図示しない)との間を循環する高温端末経路と、風呂・暖房側熱交換部12と床暖房等の低温側端末(図示しない)との間を循環する低温端末経路と、高温端末経路と低温端末経路とを繋ぐ暖房側バイパス流路と、追い焚き流水系統22を流れる湯水を加熱する風呂加熱経路とを流通する。
【0025】
そして、暖房流水系統21には、湯水の循環流を形成する暖房側ポンプ36と、湯水の温度変化に起因した体積の膨張に伴う圧力上昇又は収縮に伴う圧力低下を抑制する膨張タンク37と、暖房側バイパス流路上に設けられた暖房側バイパス熱動弁(液体用弁)39と、風呂加熱経路への通水を規制する風呂側熱動弁(液体用弁)45と、追い焚き流水系統22を流れる湯水との熱交換が行われる液・液熱交換器46等が設けられている。
【0026】
なお、風呂・暖房側熱交換部12は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器12aと、燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器12b(熱交換器HE)とで構成されている。
【0027】
追い焚き流水系統22は、前記液・液熱交換器46がその一部を形成するものであり、液・液熱交換器46と風呂の浴槽(図示しない)との間を浴槽内の湯水が循環する追い焚き流路47を有する。そして、追い焚き流路47には、湯水の循環流を形成する追い焚き側ポンプ48等が設けられている。なお、この追い焚き流路47には、前記した風呂落とし込み流路28が接続されている。
【0028】
ドレン排出系統13は、燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを、中和器(貯留部材)14で中和してから外部に排水する流路である。すなわち、
図5に示すように、ドレン排出系統13は、二次熱交換器11b、12bから中和器14に至る中和器導入流路15と、中和器14と、中和器14より下流側の外部排出流路16とで構成されている。
【0029】
続いて、本実施の形態の熱源機(給湯器)1の具体的な構成について説明する。
図2を参照して、熱源機1は、前面FS、上面US、下面(底面)LS、側面SSおよび図示しない後面(背面)を有する筺体HPを備えている。前面FSには燃焼ガスを排気するための排気口EPが設けられている。熱源機1は、略直方体形状を有しており、高さ(上下)方向(図中矢印Y方向)の寸法よりも幅(左右)方向(図中X方向)の寸法が小さくなるように形成されており、幅(左右)方向(図中X方向)の寸法よりも奥行き(前後)方向(図中Z方向)の寸法が小さくなるように形成されている。
【0030】
図3を参照して、熱源機1は、燃焼ガスの潜熱を回収可能な潜熱回収式熱源機である。燃焼ガスを供給するためのバーナ40の上方に、給湯側熱交換部11および風呂・暖房側熱交換部12が配置されている。具体的には、バーナ40の上方に、バーナ40によって供給された燃焼ガスの顕熱を回収するための一次熱交換器11aと、風呂・暖房側熱交換部12の一次熱交換器12aとが配置されている。さらに、各一次熱交換器11a、11bの上方に、バーナ40によって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するための給湯側熱交換部11の二次熱交換器11b(熱交換器HE)と、風呂・暖房側熱交換部12の二次熱交換器12b(熱交換器HE)とが配置されている。
【0031】
また、バーナ40は筺体HPの前面FSに対向する対向面DPを有している。この対向面DPよりも筺体HPの前面FS側およびバーナ40よりも下面(底面)LS側に略L字状に中和器14が配置されている。中和器14は、各二次熱交換器11b、12bで燃焼ガスの潜熱を回収することによって発生したドレンを貯留するためのものである。中和器14の内部には中和剤が充填されており、この中和剤によってドレンを中和することができる。また、中和器14は電気絶縁性を有する素材で形成されている。中和器14の材料としては、たとえばポリプロピレンを用いることができる。
【0032】
図3および
図4を参照して、中和器14は、バーナ40を覆うように配置された部分を有している。この部分は、バーナ40の下方側においてバーナ40のノズルが配置された位置に配置されている。このため、中和器14はバーナ40の上方側の高温部分を避けて配置されている。中和器14のバーナ40を覆うように配置された部分は、バーナ40と、電気を通電可能な通電線50との間に位置している。つまり、バーナ40と通電線50とは中和器14の少なくとも一部を挟んでいる。
【0033】
中和器14は、通電線50を支持可能な支持部SPを有している。この支持部SPは、中和器14の外壁OPに設けられており、通電線50を係止可能に構成されている。本実施の形態では、この支持部SPは、中和器14の外壁OPに形成された溝TPである。
【0034】
バーナ40の対向面DPにはバーナ40に点火するための点火ノズル51が接続されている。また、バーナ40の側面に点火ノズル51に電圧を加えて点火ノズル51を点火させるための高電圧発生部材52が配置されている。この高電圧発生部材52としては、たとえばイグナイタを用いることができる。通電線50は、点火ノズル51と高電圧発生部材52とを電気的に接続する高圧コードである。
【0035】
図5および
図6を参照して、中和器14は、横長部14aと縦長部14bとを有している。筺体HPの前面FS側から見たときに、横長部14aと縦長部14bとは、略L字形状を有するように接続されている。筺体HPの側面SS側から見たときに、横長部14aと縦長部14bとは、奥行き(前後)方向にずれて配置されている。筺体HPの前面FSから見たときに、横長部14aは横長に形成されており、縦長部14bは縦長に形成されている。つまり、主に
図3および
図5を参照して、横長部14aは、筺体HPの前面FS側から見たときに、バーナ40の対向面DPと重なる領域に位置する部分を有し、左右方向に延びている。この横長部14aはバーナ40の対向面DPと対向するように、対向面DPに沿って配置されている。また、熱源機1の奥行き(前後)方向において、横長部14aはバーナ40の対向面DPと筺体HPの前面FSとの間に配置されている。また、縦長部14bは筺体HPの前面FS側から見たときに、横長部14aの一端側から下方に延びている。
【0036】
また、中和器14は、図中矢印で示すように、ドレンが上端UEから入り、横長部14aおよび縦長部14bを通って下端LEから排出されるように構成されている。横長部14aはドレンの喫水面L1を有するように構成されており、縦長部14bはドレンの喫水面L2を有するように構成されている。さらに、縦長部14bは、横長部14aから下方に延びる第1の通路H1と第1の通路H1から上方に延びる第2の通路H2を有している。この第1の通路H1と第2の通路H2とによって水封構造WSが構成されている。縦長部14bは風呂回路に接続可能な第1の接続口C1と、暖房回路に接続可能な第2の接続口C2を有している。
【0037】
また、中和器14の下端LE近傍にはドレンを流通可能な排水部材60および中和器14の排水栓61が取り付けられている。横長部14aの中央にはコントローラ固定金具62が取り付けられている。中和器14の上端UE近傍にはドレンの容量を検知するための中和器電極63、64が取り付けられている。さらに、横長部14aには中和器の注入口を封止可能な中和器キャップ65およびパッキン66が取り付けられている。
【0038】
図7を参照して、溝TPの形状についてさらに詳しく説明する。溝TPは、延在する方向の両端が開口している。なお、溝TPは延在する方向の一端および他端の少なくともいずれかが開口していればよい。溝TPは延在する方向の一端から他端まで連続して形成されている。また、本実施の形態では、溝TPは、底部BPと、第1および第2の側面部S1、S2と、抜け止め部材PPとを有している。
【0039】
第1および第2の側面部S1、S2は、溝TPの幅方向における底部BPの両端にそれぞれ接続されている。抜け止め部材PPは、第1および第2の側面部S1、S2のそれぞれの底部BPに対して反対側に位置する端部に設けられている。具体的には、抜け止め部材PPは、第1および第2の側面部S1、S2から突出するように形成されている。なお、抜け止め部材PPは第1および第2の側面部S1、S2のそれぞれの底部BPに対して反対側に位置する端部の少なくともいずれかに設けられていればよい。そして、支持部SPは、抜け止め部材PPと底部BPとの間に通電線50を挟み込んで通電線50を固定するように構成されている。
【0040】
続いて、本実施の形態の熱源機1の基本的動作について説明する。
熱源機1の基本的動作は、給湯運転、暖房運転、並びに、風呂落とし込みや追い焚き運転があり、いずれも公知のそれと同様である。
【0041】
給湯運転は、カラン等が操作されて、出湯要求があれば、給湯側燃焼部7で生成された燃焼ガスで給湯側熱交換部11が加熱され、所望の温度の湯がカラン等から出湯される。暖房運転は、風呂の浴室暖房等(高温側端末)に高温の湯を循環させる高温暖房運転と、床暖房機器等(低温側端末)に低温の湯(高温側端末に循環する湯水の温度よりも低温)を循環させる低温暖房運転がある。すなわち、高温暖房運転では、風呂・暖房側燃焼部8で生成された燃焼ガスで風呂・暖房側熱交換部12が加熱されて、高温端末経路を介して高温側端末に高温の湯水が循環され、低温暖房運転では、風呂・暖房側燃焼部8で生成された燃焼ガスで風呂・暖房側熱交換部12が加熱されて、低温端末経路を介して低温側端末に低温の湯が循環される。
【0042】
追い焚き運転は、浴槽内の湯水の温度が所定温度以下であったり、リモコン等による追い焚き運転の要求があれば、液・液熱交換器46を介して、浴槽内の湯水を設定温度に至るまで加熱する。より具体的には、本実施の形態の追い焚き運転は、風呂・暖房側燃焼部8で生成された燃焼ガスで風呂・暖房側熱交換部12が加熱され、その熱が暖房流水系統21を介して間接的に追い焚き流路47に伝わり、浴槽内の湯水を加熱している。風呂落とし込み運転は、出湯要求の方法が異なる(リモコン等を介した要求)だけであり、前記給湯運転とほぼ同様の動作が実施されるため、説明を省略する。
【0043】
次に、本実施の形態の熱源機の作用効果について説明する。
本実施の形態の熱源機1によれば、電気絶縁性を有する素材で形成された中和器14はバーナ40を覆うように配置された部分を有している。該部分はバーナ40と通電線50との間に位置しているため、該部分によってバーナ40と通電線50との絶縁が確保される。これにより、バーナ40に通電線50の電圧がリークすることを抑制できる。また、該部分はバーナ40と通電線50との間に位置しているため、通電線50がバーナ40に接触して通電線50の被覆が溶けることを防止できる。さらに、通電線50がバーナ40に接近してスパークのノイズを拾うことを抑制できる。
【0044】
本実施の形態の熱源機1においては、中和器14は、通電線50を支持可能な支持部SPを有している。これにより、中和器14は支持部SPに通電線50を支持することができる。
【0045】
本実施の形態の熱源機1においては、支持部SPは、中和器14の外壁に設けられており、通電線50を係止可能に構成されている。これにより、メンテナンスの際に、通電線50と中和器14とが互いに干渉し難く作業し易くなる。
【0046】
本実施の形態の熱源機1においては、支持部SPは、中和器14の外壁に形成された溝TPである。このため、通電線50を溝TPに固定することができる。また、通電線50を溝TPで覆うことができるため、通電線50の電圧のリークを効果的に抑制できる。
【0047】
本実施の形態の熱源機1においては、溝TPは、延在する方向の一端および他端の少なくともいずれかが開口している。このため、通電線50の溝TPへの脱着作業がし易くなる。
【0048】
本実施の形態の熱源機1においては、支持部SPは、抜け止め部材PPと底部BPとの間に通電線50を挟み込んで通電線50を固定するように構成されている。このため、抜け止め部材PPによって通電線50を溝TPから脱落し難くすることができる。
【0049】
本実施の形態の熱源機1は、通電線50は、点火ノズル51と高電圧発生部材52とを電気的に接続する高圧コードである。このため、高電圧発生部材52から高電圧が印加された高圧コードの電圧がリークすることを抑制できる。
【0050】
なお、上記では、貯留部材が中和器14である場合を説明したが、これに限定されず、ドレンタンクであってもよい。また、上記では、通電線50が高圧コードである場合を説明したが、これに限定されず、通電線50は高圧が印加されなくてもよい。さらに、上記では、支持部SPが溝TPである場合を説明したが、これに限定されず、通電線50が乗り越えられない堰によって形成されていてもよく、またクリップのように形成されていてもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。