(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
動力源としてのエンジンと、エンジンスイッチの操作に基づく上記エンジンの始動/停止を制御するエンジン制御部と、上記エンジンにより駆動されて油圧アクチュエータの油圧源となるメインポンプと、上記エンジンの自動停止状態からの再始動のためにエンジンを駆動する油圧モータと、この油圧モータの油圧源となる高圧アキュムレータと、上記高圧アキュムレータの圧力を検出する高圧センサと、上記メインポンプの吐出油を上記高圧アキュムレータに送って同アキュムレータに蓄圧する蓄圧ラインと、上記高圧アキュムレータの蓄圧油を上記油圧モータに送って同モータを駆動するモータラインと、上記蓄圧及びモータ両ラインと上記高圧アキュムレータの接続状態を切換える作動切換弁と、上記エンジンの自動停止/再始動及び上記作動切換弁の作動を制御する制御手段と、上記エンジンスイッチとは無関係にエンジン再始動の指令を出力する再始動指令手段とを備え、上記作動切換弁は、上記蓄圧ラインを上記高圧アキュムレータに接続する蓄圧位置と、上記モータラインを上記高圧アキュムレータに接続する放出位置と、上記蓄圧及びモータ両ラインを上記高圧アキュムレータに対して遮断する遮断位置との間で切換わり作動し、上記制御手段は、
(A) 上記高圧センサにより検出される上記高圧アキュムレータの圧力が設定値以上であり、かつ、予め設定されたオートストップ条件が成立したときにのみ上記エンジンを自動停止させるオートストップ制御を行い、エンジン運転中、上記高圧センサにより検出される上記高圧アキュムレータの圧力が上記設定値未満のときは上記オートストップ条件の成立にかかわらず上記オートストップ制御を行わずに上記作動切換弁を上記蓄圧位置にセットし、蓄圧が完了した後に上記遮断位置にセットし、
(B) 上記再始動指令手段からの再始動指令に基づいて上記エンジン制御部にエンジン再始動信号を送り、
(C) 上記作動切換弁を、上記再始動指令手段からの再始動指令に基づいて上記放出位置に、上記エンジンの再始動完了後に上記作動切換弁を遮断位置にそれぞれセットする
ように構成したことを特徴とする建設機械の制御装置。
上記作動切換弁を、パイロット圧によって切換わり作動する油圧パイロット切換弁として構成し、上記制御手段は、上記エンジンによって駆動されるパイロットポンプと、このパイロットポンプからの吐出油によって蓄圧される低圧アキュムレータと、この低圧アキュムレータと上記作動切換弁のパイロットポートとを結ぶパイロットラインと、このパイロットラインに設けた切換制御弁と、この切換制御弁の作動を制御するコントローラとを備え、上記切換制御弁は、上記作動切換弁に対するパイロット圧の供給を遮断する中立位置と、上記低圧アキュムレータの圧力を作動切換弁に上記放出位置に切換えるためのパイロット圧として供給する放出切換位置と、上記低圧アキュムレータの圧力を上記作動切換弁に上記蓄圧位置に切換えるためのパイロット圧として供給する蓄圧切換位置とを有し、上記コントローラは、上記切換制御弁を上記中立、放出切換、蓄圧切換の各位置間で切換制御するように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の制御装置。
上記油圧モータを、レギュレータによって傾転が変化する可変容量型モータとして構成し、上記低圧アキュムレータから上記切換制御弁を通じて上記レギュレータに作動圧を供給するとともに、上記コントローラからレギュレータに傾転指示信号を送ることによってモータ傾転を変化させるように構成したことを特徴とする請求項2記載の建設機械の制御装置。
上記油圧アクチュエータの作動を制御する油圧パイロット切換式のコントロールバルブと、操作されたときに上記コントロールバルブにパイロット圧を供給する操作手段であって上記再始動指令手段を兼ねるリモコン弁と、上記パイロットポンプと上記リモコン弁の一次側とを結ぶリモコン弁一次圧ラインとを備え、上記パイロットラインを上記リモコン弁一次圧ラインに接続するとともに、上記リモコン弁一次圧ラインにおける上記パイロットポンプから見て上記接続点よりも上流側に、パイロットポンプ側への油の逆流を阻止するチェック弁を設け、上記コントローラは、上記リモコン弁の操作によるエンジン再始動指令を受けて上記切換制御弁を上記放出切換位置に切換えるように構成したことを特徴と
する請求項2または3記載の建設機械の制御装置。
上記コントローラは、エンジン運転中、上記高圧アキュムレータの圧力が上記高圧設定値以下になったときに、上記切換制御弁を上記蓄圧切換位置に切換えるように構成したことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の建設機械の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された公知技術によると、蓄圧専用の油圧ポンプと、これを駆動するための電動機が必要となるため、この公知技術をエンジン再始動装置として用いると、装置構成が複雑で設備コストが高くなるとともに、電動機の動力分によってエネルギーロスとなる。
【0008】
そこで本発明は、エンジンの自動停止後の再始動をアキュムレータと油圧モータによって行うことを前提として、装置構成が簡単で設備コストが安くてすみ、高い省エネ効果を得ることができる建設機械の制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、動力源としてのエンジンと、エンジンスイッチの操作に基づく上記エンジンの始動/停止を制御するエンジン制御部と、上記エンジンにより駆動されて油圧アクチュエータの油圧源となるメインポンプと、上記エンジンの自動停止状態からの再始動のためにエンジンを駆動する油圧モータと、この油圧モータの油圧源となる高圧アキュムレータと、
上記高圧アキュムレータの圧力を検出する高圧センサと、上記メインポンプの吐出油を上記高圧アキュムレータに送って同アキュムレータに蓄圧する蓄圧ラインと、上記高圧アキュムレータの蓄圧油を上記油圧モータに送って同モータを駆動するモータラインと、上記蓄圧及びモータ両ラインと上記高圧アキュムレータの接続状態を切換える作動切換弁と、上記エンジンの自動停止/再始動及び上記作動切換弁の作動を制御する制御手段と、上記エンジンスイッチとは無関係にエンジン再始動の指令を出力する再始動指令手段とを備え、上記作動切換弁は、上記蓄圧ラインを上記高圧アキュムレータに接続する蓄圧位置と、上記モータラインを上記高圧アキュムレータに接続する放出位置と、上記蓄圧及びモータ両ラインを上記高圧アキュムレータに対して遮断する遮断位置との間で切換わり作動し、上記制御手段は、
(A)
上記高圧センサにより検出される上記高圧アキュムレータの圧力が設定値以上であり、かつ、予め設定されたオートストップ条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させるオートストップ制御を行い、
エンジン運転中、上記高圧センサにより検出される上記高圧アキュムレータの圧力が上記設定値未満のときは上記オートストップ条件の成立にかかわらず上記オートストップ制御を行わずに上記作動切換弁を上記蓄圧位置に切換え、蓄圧が完了した後に上記作動切換弁を上記遮断位置にセットし、
(B) 上記再始動指令手段からの再始動指令に基づいて上記エンジン制御部にエンジン再始動信号を送り、
(C) 上記作動切換弁を、上記再始動指令手段からの再始動指令に基づいて上記放出位置に、上記エンジンの再始動完了後に上記作動切換弁を遮断位置に
、それぞれセットする
ように構成したものである。
【0010】
この構成によれば、基本的な効果として、油圧アクチュエータの油圧源であるメインポンプをアキュムレータへの蓄圧用に兼用でき、しかもアキュムレータの蓄圧と放出(エンジン再始動)を作動切換弁の切換えによって行うことができるため、装置構成が簡単で設備コストが安くてすむとともに、エネルギーのロスがなく、省エネとなる。
【0011】
また、メインポンプの運転中、たとえばメインポンプ負荷が大きくなったときに作動切換弁を放出位置に切換えて油圧モータを作動させることが可能となる。
【0012】
すなわち、メインポンプと油圧モータの同時運転が可能な構成であって、メインポンプで油圧アクチュエータ7を作動させながら、油圧モータによってエンジンをアシストすることが可能であるため、システム全体として一層の省エネを図ることができる。
【0013】
さらに、油圧モータによるエンジン再始動を行いながら、メインポンプから油圧アクチュエータへの圧油の供給を行うことができるため、エンジン再始動後すぐにアクチュエータ操作が可能となり、作業能率が良いものとなる。
【0014】
本発明において、上記作動切換弁を、パイロット圧によって切換わり作動する油圧パイロット切換弁として構成し、上記制御手段は、上記エンジンによって駆動されるパイロットポンプと、このパイロットポンプからの吐出油によって蓄圧される低圧アキュムレータと、この低圧アキュムレータと上記作動切換弁のパイロットポートとを結ぶパイロットラインと、このパイロットイランに設けた切換制御弁と、この切換制御弁の作動を制御するコントローラとを備え、上記切換制御弁は、上記作動切換弁に対するパイロット圧の供給を遮断する中立位置と、上記低圧アキュムレータの圧力を上記作動切換弁に上記放出位置に切換えるためのパイロット圧として供給する放出切換位置と、上記低圧アキュムレータの圧力を上記作動切換弁に上記蓄圧位置に切換えるためのパイロット圧として供給する蓄圧切換位置とを有し、上記コントローラは、上記切換制御弁を上記中立、放出切換、蓄圧切換の各位置間で切換制御するように構成するのが望ましい(請求項2〜5)。
【0015】
この構成によれば、エンジンが停止していても、低圧アキュムレータ圧によって高圧アキュムレータの蓄圧/放出の切換えが可能となる。すなわち、エンジン運転中に貯めたエネルギー(低圧アキュムレータ圧)を、エンジン停止中の高圧アキュムレータの切換動作に利用できるため、エネルギー効率が良く、さらなる省エネとなる。
【0016】
この場合、上記油圧モータを、レギュレータによって傾転が変化する可変容量型モータとして構成し、上記低圧アキュムレータから上記切換制御弁を通じて上記レギュレータに作動圧を供給するとともに、上記コントローラからレギュレータに傾転指示信号を送ることによってモータ傾転を変化させるように構成するのが望ましい(請求項3)。
【0017】
この構成によれば、モータ傾転を、低圧アキュムレータの圧力を利用して変える(たとえばエンジン再始動時にはモータ傾転を最大として駆動トルクを確保し、再始動後はモータ傾転を最小に戻す)ことができる。
【0018】
また、請求項2または3の構成において、上記油圧アクチュエータの作動を制御する油圧パイロット切換式のコントロールバルブと、操作されたときに上記コントロールバルブにパイロット圧を供給する操作手段であって上記再始動指令手段を兼ねるリモコン弁と、上記パイロットポンプと上記リモコン弁の一次側とを結ぶリモコン弁一次圧ラインとを備え、上記パイロットラインを上記リモコン弁一次圧ラインに接続するとともに、上記リモコン弁一次圧ラインにおける上記パイロットポンプから見て上記接続点よりも上流側に、パイロットポンプ側への油の逆流を阻止するチェック弁を設け、上記コントローラは、上記リモコン弁の操作によるエンジン再始動指令を受けて上記切換制御弁を上記放出切換位置に切換えるように構成するのが望ましい(請求項4,5)。
【0019】
この構成によると、
(i) アクチュエータ操作のためのリモコン弁をエンジン再始動指令手段として兼用すること、
(ii) 作動切換弁のパイロット圧源である低圧アキュムレータを、エンジン停止中のリモコン弁の一次パイロット圧源として利用できること
により、リモコン弁の操作のみによってエンジンの再始動が可能となる。すなわち、エンジンの再始動を最小限の設備と簡単な操作によって行うことができる。
【0020】
さらに、請求項2〜4のいずれかの構成において、上記高圧アキュムレータの圧力を検出する高圧センサと、上記低圧アキュムレータの圧力を検出する低圧センサを設け、上記コントローラは、上記エンジン自動停止後、上記高圧アキュムレータの圧力が、上記油圧モータによるエンジン再始動に必要な圧力として予め定められた高圧設定値以下になったとき、または上記低圧アキュムレータの圧力が、上記作動切換弁を作動させるのに必要な圧力として予め定められた低圧設定値以下になったときに、上記切換制御弁を上記放出切換位置に切換えるとともに、上記エンジン制御部にエンジン再始動指令信号を出力するように構成するのが望ましい(請求項5)。
【0021】
この構成によれば、エンジン自動停止後、高圧アキュムレータまたは低圧アキュムレータが設定値以下に圧力低下すると、再始動指令がなくても、エンジンが自動的に再始動して両アキュムレータの蓄圧作用が行われ、それぞれの圧力が設定値以上に保たれるため、エンジン再始動を確実に行うことができる。
【0022】
また、請求項2〜5のいずれかの構成において、上記コントローラは、エンジン運転中、上記高圧アキュムレータの圧力が上記高圧設定値以下になったときに、上記切換制御弁を上記蓄圧切換位置に切換えるように構成するのが望ましい(請求項6)。
【0023】
こうすれば、エンジン運転中、高圧アキュムレータの圧力を高圧設定値に保ち、自動停止後の再始動に備えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、エンジンのオートストップ後の再始動を、アキュムレータと油圧モータによって行うことを前提として、装置構成が簡単で設備コストが安くてすみ、高い省エネ効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施形態はショベルを適用対象としている。
【0027】
実施形態に係る制御装置のシステム構成を
図1に示す。
【0028】
図1において、高圧の油圧ラインを普通の実線で、低圧の油圧ラインを破線で、電気信号のやり取りを行う信号ラインを矢印及び二重斜線付きの実線でそれぞれ示している。
【0029】
動力源としてのエンジン1は、基本的には図示しないエンジンスイッチ(キースイッチ)の操作に基づいて始動され、この始動を含めた運転/停止及び回転数が、エンジン制御部2と、これからの指令信号を受けるガバナ制御部3によって制御される。
【0030】
エンジン1にはメインポンプ4が接続され、このメインポンプ4から吐出された油が、操作手段としてのリモコン弁5で操作される油圧パイロット切換式のコントロールバルブ6を介して油圧アクチュエータ7に送られる。8はメインポンプ4とコントロールバルブ6を結ぶメインポンプラインである。
【0031】
なお、メインポンプ4、リモコン弁5、コントロールバルブ6、油圧アクチュエータ7はそれぞれ複数ずつ設けられるが、説明を分かり易くするためにいずれも一つのみを図示している。
【0032】
また、エンジン1には、パイロット圧源としてのパイロットポンプ9と、エンジン再始動用の油圧モータ10が接続されている。
【0033】
パイロットポンプ9の吐出側は、リモコン弁一次圧ライン11によってリモコン弁5の一次側に接続され、エンジン運転中、パイロットポンプ9からの吐出油(低圧)がリモコン弁5に一次圧油として供給される。
【0034】
リモコン弁一次圧ライン11には、キャビンの乗降口に設けられたゲートレバー12の開閉を検出するリミットスイッチ13からのゲートレバー開閉信号に応じてブロック位置イと開通位置ロの間で切換わり作動する油圧ロック弁(電磁弁)14が設けられている。
【0035】
この油圧ロック弁14は、ゲートレバー12が開かれた(オペレータがキャビン外に退出した)ときにブロック位置イに、ゲートレバー12が閉じられた(オペレータがキャビン内に入った)ときに開通位置ロにそれぞれセットされ、油圧ロック弁14の開通位置ロでリモコン弁5にパイロット一次圧が供給されてコントロールバルブ6の操作が可能となる。
【0036】
油圧モータ10は、レギュレータ15によって傾転(容量)が変化する可変容量型モータとして構成され、レギュレータ15に作動圧と傾転指示信号が入力されることによってモータ傾転が最大(トルク最大)と最小(トルク最小)の間で変化する。
【0037】
この油圧モータ10の油圧源となる高圧アキュムレータ16は、蓄圧ライン17を介してメインポンプライン8に、モータライン18を介して油圧モータ10にそれぞれ接続され、メインポンプライン8の圧力(アクチュエータ作動圧)によって蓄圧される一方、エンジン再始動時に圧力を放出して油圧モータ10を駆動する。
【0038】
高圧アキュムレータ16と蓄圧、モータ両ライン17,18の間には油圧パイロット切換式の作動切換弁19が設けられている。
【0039】
この作動切換弁19は、蓄圧ライン17からの圧力を高圧アキュムレータ16に送る蓄圧位置イと、高圧アキュムレータ16の圧力をモータライン18(油圧モータ10)に送る放出位置ロと、両ライン17,18を高圧アキュムレータ16に対して遮断する中立位置(蓄圧保持位置)ハの間で切換わり作動する。
【0040】
この作動切換弁19の蓄圧側及び放出側パイロットライン19a,19bは、コントローラ20によって制御される切換制御弁(電磁切換弁)21及びパイロットライン22を介してリモコン弁一次圧ライン11(詳しくは同ライン11におけるリモコン弁5と油圧ロック弁14との間)に接続されている。
【0041】
また、油圧モータ10のレギュレータ15に作動圧を送るレギュレータライン15aが放出側パイロットライン19bに接続され、作動切換弁19が放出位置ロに切換わると同時に、レギュレータ15に、モータ傾転を最大とするための作動圧が供給される。
【0042】
切換制御弁21は、作動切換弁19の蓄圧側パイロットポート19aにパイロット圧を供給する蓄圧切換位置aと、同放出側パイロットポート19bにパイロット圧を供給する放出切換位置bと、パイロット圧を遮断する中立位置cとを有し、作動切換弁19が、この切換制御弁21の蓄圧切換位置aで蓄圧位置イに、同放出切換位置bで放出位置ロに、同中立位置cで中立位置ハにそれぞれセットされる。
【0043】
そして、後述するようにエンジン運転中、高圧アキュムレータ16の圧力が油圧モータ10によるエンジン再始動に必要な圧力として予め定められた高圧設定値以下になったときに、切換制御弁21がコントローラ20からの信号に基づいて蓄圧切換位置aにセットされる。
【0044】
これにより、作動切換弁19が蓄圧位置イに切換えられて高圧アキュムレータ16の蓄圧作用が行われる。
【0045】
一方、エンジン自動停止後の再始動時に、コントローラ20からの信号に基づいて切換制御弁21が放出切換位置bにセットされ、これにより作動切換弁19が放出位置ロに切換えられて、高圧アキュムレータ圧力により油圧モータ10が回転し、エンジン1が駆動される。
【0046】
また、パイロットライン22には低圧アキュムレータ23が接続されている。
【0047】
この低圧アキュムレータ23は、パイロットポンプ9からのパイロット圧によって蓄圧され、エンジン停止後の再始動時に、低圧アキュムレータ圧力が作動切換弁19を放出位置ロに切換えるためのパイロット圧として供給される。
【0048】
すなわち、パイロットポンプ9と、低圧アキュムレータ23と、パイロットライン22と、切換制御弁21と、コントローラ20とによって制御手段24が構成され、この制御手段24によってエンジン1の自動停止/再始動及び作動切換弁19の作動が制御される。
【0049】
また、リモコン弁一次圧ライン11におけるリモコン弁5と油圧ロック弁14との間であって、パイロットポンプ9から見てリモコン弁一次圧ライン11とパイロットライン22の接続点よりも上流側に、パイロットポンプ側への油の逆流を阻止するチェック弁25が設けられている。
【0050】
一方、検出手段として、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ26と、リモコン弁5のパイロット圧を通じて操作の有無を検出する操作センサ(圧力センサ)27と、高圧、低圧両アキュムレータ16,23の圧力を検出する高圧、低圧両センサ28,29が設けられ、これらからの検出信号がコントローラ20に送られる。
【0051】
コントローラ20は、各検出信号に基づいて次の制御を行う。
【0052】
A. エンジン1のオートストップ制御
予め設定されたオートストップ条件(たとえばリモコン弁5が無操作で、かつ、この無操作状態が一定の猶予時間継続していること)が成立したときに、作業休止と判断し、エンジン制御部2にエンジン停止指令信号を送ってエンジン1を自動停止せる。
【0053】
また、このオートストップ制御の一環として、切換制御弁21を通じて作動切換弁19を中立位置ハにセットし、高圧アキュムレータ16の圧漏れを防止する。
【0054】
加えて、切換制御弁21を中立位置cにセットすることにより、同制御弁21とチェック弁25とでパイロットライン22中のパイロット油を閉じ込めてその漏れを防止する。
【0055】
B. エンジン1の再始動制御
エンジン自動停止後、リモコン弁5が操作されたときに、作業再開の意思が示されたとして、切換制御弁21を放出切換位置bに切換えるとともに、エンジン制御部2にエンジン再始動指令信号を送る。
【0056】
これにより、作動切換弁19が放出位置ロに切換わって高圧アキュムレータ16の圧力が油圧モータ10に送られ、同モータ10でエンジン1が駆動されて再始動する。
【0057】
また、このエンジン再始動に際して、油圧モータ10のレギュレータ15に最大傾転指示信号を送り、油圧モータ10の傾転を最大としてエンジン1を駆動するのに必要なトルクを確保する。
【0058】
なお、エンジン再始動完了後はレギュレータ15に最小傾転指示信号を送り、モータ傾転を最小に戻す。
【0059】
C. 高圧、低圧両アキュムレータ16,23の蓄圧制御
エンジン運転中、油の洩れ等によって両アキュムレータ16,23の圧力が設定値以下、すなわち、高圧アキュムレータ16については油圧モータ10によるエンジン再始動に必要な圧力として予め定められた高圧設定値以下、低圧アキュムレータ23については作動切換弁19を切換作動させるのに必要な圧力として予め定められた低圧設定値以下となったときに、切換制御弁21を蓄圧切換位置aにセットする。
【0060】
これにより、作動切換弁19が蓄圧位置イにセットされ、作業によってメインポンプライン8に発生するアクチュエータ作動圧によって高圧アキュムレータ16が蓄圧される。
【0061】
また、このときパイロットポンプ9もエンジン駆動で回転し、パイロット圧が発生しているため、このパイロット圧によって低圧アキュムレータ23も蓄圧される。
【0062】
そして、両アキュムレータ16,23の圧力がいずれも設定値以上となると、蓄圧完了として切換制御弁21を中立位置cに切換える。
【0063】
これにより、作動切換弁19が中立位置ハに切換わるため、高圧アキュムレータ16への蓄圧が停止し、蓄圧維持状態となる。
【0064】
この蓄圧制御は、オートストップ条件成立によるエンジン自動停止の際を含めて、エンジン運転中、継続して行われる。
【0065】
また、エンジン自動停止後、両アキュムレータ圧力が設定値以下に低下したときは、後述するように、エンジン再始動指令がなくてもエンジン再始動制御を行ってエンジン1を自動的に再始動させるとともに、切換制御弁21を切換制御して高圧及び低圧両アキュムレータ16,23に蓄圧する。
【0066】
以上の作用を、
図2のフローチャートによりまとめて説明する。
【0067】
エンジンスイッチの操作によるエンジン始動とともに制御が開始される。
【0068】
まず、ステップS1で高圧、低圧両アキュムレータ16,23がともに設定値以上か否かが判断され、YESの場合はそのままステップS2に移行する。
【0069】
NOの場合は、切換制御弁21の蓄圧切換位置aへの切換え(ステップS3)、蓄圧完了の判断(ステップS4)、切換制御弁21の中立位置cへの復帰(ステップS5)を経てステップS2に移行する。
【0070】
ステップS2ではオートストップ条件が成立したか否かが判断され、NOの場合はステップS1に戻り、YESの場合はステップS6でエンジン1が自動停止する。
【0071】
続くステップS7では、エンジン再始動指令信号が入力されたか否か、つまり、リモコン弁5が操作されたか否かが判断される。
【0072】
ここでYESとなると、ステップS8で切換制御弁21の放出切換位置bへの切換え(作動切換弁19の放出位置ロへの切換え)、ステップS9でレギュレータ15への最大傾転指示、ステップS10でエンジン制御部2へのエンジン始動指令がそれぞれ行われる。これによってエンジン1が再始動する。
【0073】
そして、ステップS11でエンジン回転数に基づいて再始動が完了したか否かが判断され、YESの場合には、ステップS12で高圧、低圧両アキュムレータ16,23の圧力がともに設定値以上か否かが判断される。
【0074】
ステップS12でYESとなると、ステップS13で切換制御弁21の中立位置cへの切換え、ステップS14でレギュレータ15への最小傾転指示がそれぞれ行われてステップS1に戻る。
【0075】
一方、ステップS7でNO、すなわち、まだエンジン再始動指令がない場合、ステップS15で高圧、低圧両アキュムレータ16,23の圧力がともに設定値以上か否かが判断され、YESの場合はステップS6に戻ってエンジン停止状態が維持される。
【0076】
これに対しNOの場合は、再始動指令がなくても、蓄圧の必要があるとして、ステップS8に移行してエンジン再始動制御が行われる。
【0077】
この制御装置によると、次の効果を得ることができる。
【0078】
I) 基本的な効果として、油圧アクチュエータ7の油圧源であるメインポンプ4を高圧アキュムレータ16への蓄圧用に兼用でき、しかも高圧アキュムレータ16の蓄圧と放出(エンジン再始動)を作動切換弁19の切換えによって行うことができるため、装置構成が簡単で設備コストが安くてすむとともに、エネルギーのロスがなく、省エネとなる。
【0079】
II) メインポンプ4の運転中、たとえばメインポンプ負荷が大きくなったときに作動切換弁19を放出位置ロに切換えて油圧モータ10を作動させることが可能となる。
【0080】
すなわち、メインポンプ4と油圧モータ10の同時運転が可能な構成であって、メインポンプ4で油圧アクチュエータ7を作動させながら、油圧モータ10によってエンジン1をアシストすることが可能であるため、システム全体として一層の省エネを図ることができる。
【0081】
III) 油圧モータ10によるエンジン再始動を行いながら、メインポンプ4から油圧アクチュエータ7への圧油の供給を行うことができるため、エンジン再始動後すぐにアクチュエータ操作が可能となり、作業能率が良いものとなる。
【0082】
IV) 制御手段24を、パイロットポンプ9と、低圧アキュムレータ23と、パイロットライン22と、切換制御弁21と、コントローラ20とによって構成し、コントローラ20により切換制御弁21を通じて作動切換弁19を切換制御する構成としたから、エンジン停止中でも、低圧アキュムレータ圧によって高圧アキュムレータの蓄圧/放出の切換えが可能となる。すなわち、エンジン運転中に貯めたエネルギー(低圧アキュムレータ圧)を、エンジン停止中の高圧アキュムレータの切換動作に利用できるため、エネルギー効率が良く、さらなる省エネとなる。
【0083】
V) 油圧モータ10を可変容量型モータとして構成し、低圧アキュムレータ23から切換制御弁21を通じてレギュレータ15に作動圧を供給するとともに、コントローラ20からレギュレータ15に傾転指示信号を送ることによってモータ傾転を変化させる構成としたから、低圧アキュムレータ23の圧力を利用してモータ傾転を変えること、すなわち、エンジン再始動時にはモータ傾転を最大として駆動トルクを確保し、再始動後はモータ傾転を最小に戻すことができる。
【0084】
VI) アクチュエータ操作のためのリモコン弁5をエンジン再始動指令手段として兼用し、かつ、作動切換弁19のパイロット圧源である低圧アキュムレータ23を、エンジン停止中のリモコン弁5の一次パイロット圧源として利用できるため、リモコン弁5の操作のみによってエンジンの再始動が可能となる。すなわち、エンジン再始動を最小限の設備と簡単な操作によって行うことができる。
【0085】
VII) 高圧、低圧両アキュムレータ16,23の圧力を監視し、エンジン自動停止後、高圧アキュムレータ16または低圧アキュムレータ23が設定値以下に圧力低下すると、再始動指令がなくても、エンジン1を自動的に再始動させて両アキュムレータ16,23の蓄圧作用を行う構成としたから、それぞれのアキュムレータ圧力を設定値以上に保ち、エンジン再始動を確実に行うことができる。
【0086】
VIII) エンジン運転中、高圧アキュムレータ16の圧力が高圧設定値以下になったときに、切換制御弁21を放出切換位置bに切換えて蓄圧する構成としたから、エンジン運転中、高圧アキュムレータ16の圧力を高圧設定値に保ち、自動停止後の再始動に備えることができる。
【0087】
他の実施形態
(1) 上記実施形態では、リモコン弁5が無操作で、かつ、この無操作が一定の猶予時間継続したときにオートストップ条件が成立したとしてエンジン1を自動停止させ、リモコン弁5が操作されたときにエンジン1を再始動させる構成としたが、ゲートレバー12が開いたときにエンジン1を自動停止させ、閉じたときに再始動させるようにしてもよい。
【0088】
あるいは、リモコン弁5の無操作と猶予時間の経過とゲートレバー12の開き操作をオートストップ条件とし、リモコン弁5の操作とゲートレバー12の閉じの少なくとも一方でエンジン1を再始動させるようにしてもよい。
【0089】
さらに、たとえばリモコン弁5のレバー等に再始動スイッチを設け、これが操作されたときにエンジン1を再始動させるようにしてもよい。
【0090】
(2) 上記実施形態では、高圧、低圧両アキュムレータ16,23の圧力を監視し、少なくとも一方の圧力が設定値以下になったときに、再始動指令の有無とは無関係にエンジン1を再始動させる構成をとったが、低圧アキュムレータ23の圧力低下のおそれがない構成をとる場合、あるいはあっても作動切換弁19の作動に支障がない程度に抑制できる構成をとる場合等には、高圧アキュムレータ16のみを監視、蓄圧制御の対象としてもよい。
【0091】
(3) 制御手段の他の構成として、たとえば作動切換弁19を電磁切換弁とし、コントローラ20で直接、作動切換弁19を切換制御する構成をとってもよい。
【0092】
(4) 本発明はショベルに限らず、ショベルの転用機械としての他の各種建設機械にも上記同様に適用することができる。