(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態1の駐車エリア自動課金システム1は、課金管理サーバ10、車載機20、携帯機30を備える。実施形態1では、携帯機30が請求項の車両用駐車自動課金装置に相当する。
【0017】
車載機20は車両4に搭載され、車両4のACC電源が供給されて作動し、また、バックアップ電源は備えておらず、ACC電源がオフになると即座に全ての機能が作動しない構成となっている。
【0018】
携帯機30は、車両4において車載機20とともに用いられる。これら車載機20、携帯機30が車両4で用いられるのに対して、課金管理サーバ10は、駐車エリア管理会社等に設置される。
【0019】
<課金管理サーバ10の構成>
図2に示すように、課金管理サーバ10は、制御部11、記憶部12、公衆無線通信部13を備える。制御部11は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータである。この制御部11は、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに記憶されているプログラムを実行することで、記憶部12、公衆無線通信部13の制御を行い、また、課金額演算部111としても機能する。
【0020】
記憶部12には、課金管理サーバ10が管理する各課金駐車エリアについて、課金駐車エリアの範囲を決定するための課金駐車エリア情報が記憶されている。また、各課金駐車エリアの駐車料金も記憶されている。
【0021】
公衆無線通信部13は、電話等に利用される公衆回線網を利用した通信を行うための通信部である。この公衆無線通信部13は、次に説明する駐車開始通知および駐車終了通知を携帯機30から受信する。また、記憶部12に記憶されている課金駐車エリア情報や、次に説明する課金額演算部111が演算した課金額を携帯機30に送信する。この公衆無線通信部13が請求項のサーバ側課金用通信部に相当する。
【0022】
課金額演算部111は、携帯機30から公衆回線網を介して送信される駐車開始通知および駐車終了通知に基づいて、携帯機30が用いられた車両4が課金駐車エリアに駐車したことにより発生した課金額を演算する。課金額演算部111の詳細処理は後述する。
【0023】
<車載機20の構成>
図3に示すように、車載機20は、制御部21、表示部22、近距離無線通信部23、相互無線通信部24、公衆無線通信部25、位置検出部26、記憶部27を備える。実施形態1における車載機20は、こられ各部21〜27が、図示しない1つの筐体内に収容されている。
【0024】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータである。この制御部21は、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに記憶されているプログラムを実行することで、表示部22、近距離無線通信部23、相互無線通信部24、公衆無線通信部25、位置検出部26、記憶部27を制御する。
【0025】
表示部22は、本実施形態では、複数のLEDであり、車載機20の作動状態等がLEDの点灯状態により示される。
【0026】
近距離無線通信部23は、車車間通信や路車間通信を行うための通信部であり、5.8GHz帯や700MHz帯など所定の周波数帯の電波を用いて、他の車両4に搭載された車載機20や、道路の所定の位置に設置された路側機との間で通信を行う。
【0027】
相互無線通信部24は、車両4に持ち込まれた携帯機30が備える相互無線通信部34(
図4参照)との間で通信する通信部であり、上記近距離無線通信部23よりも通信距離が短い。本実施形態では、Bluetooth(登録商標)と呼ばれる無線通信規格に従って通信を行う通信部である。
【0028】
公衆無線通信部25は、公衆回線網を利用した通信を行うための通信部であり、公衆回線網を介して、課金管理サーバ10が備える公衆無線通信部13と通信が可能である。
【0029】
位置検出部26は、衛星からの電波に基づいて自装置の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS受信機を備えている。このGNSS受信機が受信した信号に基づいて、現在位置を検出する。
【0030】
記憶部27は、不揮発性の記憶媒体を備えている。この記憶媒体に課金対象者IDが記憶されている。課金対象者IDは、車両4が課金駐車エリアに駐車した場合に駐車料金を課金する者を特定するIDである。
【0031】
<携帯機30の構成>
本実施形態の携帯機30は、スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話機である。
図4に示すように、携帯機30は、制御部31、記憶部32、表示部33、相互無線通信部34、公衆無線通信部35、位置検出部36、電池37を備える。
【0032】
制御部31は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータである。この制御部31は、記憶部32、表示部33、相互無線通信部34、公衆無線通信部35、位置検出部36を制御する。
【0033】
記憶部32は、フラッシュメモリ等の書き換え可能なメモリであり、種々のアプリケーションプログラムが記憶される。このアプリケーションプログラムとして、
図5、7に示す課金処理アプリケーションが記憶されている。また、記憶部32には、課金管理サーバ10から送信された課金駐車エリア情報も記憶される。
【0034】
表示部33は、液晶ディスプレイ等の薄型ディスプレイであり、上記課金処理アプリケーションプログラムが実行された場合には、
図10に示す課金状態画面が表示される。
【0035】
相互無線通信部34は、車載機20が備える相互無線通信部24との間で通信する通信部であり、本実施形態では、Bluetoothと呼ばれる無線通信規格に従って通信を行う通信部である。
【0036】
公衆無線通信部35は、公衆回線網を利用した通信を行うための通信部であり、公衆回線網を介して、課金管理サーバ10が備える公衆無線通信部13と通信が可能である。この公衆無線通信部35は請求項の課金用通信部に相当する。
【0037】
位置検出部36は、GNSSで用いられるGNSS受信機を備えており、このGNSS受信機が受信した信号に基づいて、現在位置を検出する。
【0038】
電池37は、二次電池であり、制御部31、記憶部32、表示部33、相互無線通信部34、公衆無線通信部35、位置検出部36に電力を供給する。この電池37が内蔵電源に相当する。
【0039】
<課金処理アプリケーションプログラムの処理1>
制御部31は、課金処理アプリケーションプログラムを実行することにより、まず、
図5のフローチャートに示す処理を実行する。課金処理アプリケーションプログラムは、表示部33に表示された図示しないアイコンがユーザによりタッチ操作されることにより実行される。
【0040】
なお、予めペアリング操作が実行済みであり、車載機20の相互無線通信部24と携帯機30の相互無線通信部34は、それらが起動している状態において互いの距離が接近すると自動的に接続関係となる。
【0041】
ステップS1では、所定の起動画面を表示部33に表示する。ステップS2では、種々の設定値を読み出す。この設定値は、図示しない設定変更操作により、ユーザが変更できる。
【0042】
位置取得部に相当するステップS3では、自車位置を取得する。自車位置は、携帯機30が備える位置検出部36から取得してもよいが、ここでは、車載機20の位置検出部26が検出した現在位置を、自車位置として、相互無線通信部24、34を介して取得する。
【0043】
ステップS4では、課金駐車エリア情報を取得する必要があるか否かを判断する。課金駐車エリア情報は、前述のように、課金駐車エリアの範囲を決定するための情報である。本実施形態では、課金駐車エリアを四角形と仮定しており、課金駐車エリア情報は、その四角形において対角を構成する2点の座標と、その四角形の回転角θの3つの情報からなる。なお、回転角θは、ここでは真北を0度とする角度である。
【0044】
図8に示すように、四角形は、対角を構成する2点P1、P2の座標と、回転角θの3つの情報により一意に定まる。この3つの情報により四角形である課金駐車エリアの範囲を示すことにより、四角形の4点の座標で課金駐車エリアの範囲を示すよりもデータ量を少なくすることができる。
【0045】
ステップS4では、記憶部32の記憶内容と、ステップS3で取得した自車位置とを照らし合わせ、自車位置から所定範囲内の課金駐車エリア情報が記憶部32に記憶されていない場合に、課金駐車エリア情報の取得が必要であると判断する。また、自車位置から所定範囲内の課金駐車エリア情報が記憶部32に記憶されていても、その課金駐車エリア情報の取得時点からの経過日数が基準日数を越えている場合に、課金駐車エリア情報の取得が必要であると判断してもよい。
【0046】
課金駐車エリア情報の取得が必要と判断した場合(S4:Yes)、ステップS5へ進む。課金駐車エリア情報の取得は不要であると判断した場合(S4:No)、ステップS6へ進む。
【0047】
ステップS5では、ステップS3で取得した自車位置を基準とした所定範囲の課金駐車エリア情報を課金管理サーバ10から取得して、記憶部32に記憶する。詳しくは、自車位置を基準とした所定範囲の課金駐車エリア情報を要求する信号を、公衆無線通信部35を用いて課金管理サーバ10に送信する。この信号に応答して、課金管理サーバ10の公衆無線通信部13から課金駐車エリア情報が送信されるので、その課金駐車エリア情報を公衆無線通信部35で受信する。そして、受信した課金駐車エリア情報を記憶部32に記憶する。
【0048】
エリア判断部に相当するステップS6では、自車位置が課金駐車エリア内であるか否かを判断する。この判断は、ステップS3で取得した自車位置と、記憶部32に記憶されている課金駐車エリア情報がそれぞれ示す課金駐車エリアの範囲とを比較して行う。
【0049】
自車位置がいずれかの課金駐車エリア内であると判断した場合には(S6:Yes)、ステップS7に進み、自車位置がいずれの課金駐車エリアにも入っていないと判断した場合には(S6:No)、ステップS8へ進む。
【0050】
ステップS7では、表示部33に、課金状態画面として、課金駐車エリア内であることを示す画面を表示する。一方、ステップS8では、表示部33に、課金状態画面として、課金駐車エリア外、すなわち、現在位置は無料駐車エリアであることを示す画面を表示する。
【0051】
ステップS7またはステップS8を実行した後は、ステップS9へ進む。ステップS9では、自車両、すなわち、この車載機20を搭載している車両が駐車状態か否かを判断する。本実施形態では、携帯機30の相互無線通信部34と、車載機20の相互無線通信部24との接続が切断されたことにより駐車状態となったと判断する。
【0052】
前述したように、車載機20はACC電源が供給されて作動する。車両4が駐車状態となると、ACC電源はオフになるので、携帯機30の相互無線通信部34と、車載機20の相互無線通信部24との接続が切断される。そこで、本実施形態では、携帯機30の相互無線通信部34と、車載機20の相互無線通信部24との接続が切断されたことにより駐車状態となったと判断するのである。
【0053】
駐車状態ではないと判断した場合(S9:No)、ステップS3へ戻る。駐車状態であると判断した場合には(S9:Yes)、ステップS10へ進む。なお、ステップS9を実行するのは、課金駐車エリア内であると判断した場合である。よって、ステップS9において駐車状態であると判断した場合、課金駐車エリア内での駐車であることになる。
【0054】
ステップS10では、公衆無線通信部35を用いて、駐車開始通知を課金管理サーバ10へ送信する。ステップS10の処理が課金開始処理に相当する。
【0055】
ステップS10で送信する駐車開始通知には、駐車開始時刻、課金対象者ID、駐車位置が含まれている。なお、課金対象者IDは、予め、あるいは、このステップS10の実行時に車載機20から取得する。また、駐車開始時刻は、駐車開始通知の送受信時刻とほぼ同じ時刻となることから、駐車開始通知が駐車開始時刻を含んでいなくてもよい。
【0056】
<課金額演算部111の処理>
課金管理サーバ10の制御部11の課金額演算部111は
図6に示す処理を一定周期で繰り返し実行する。ステップS21では、公衆無線通信部13が上記駐車開始通知を受信したか否かを判断する。この判断がYesであればステップS22へ進み、NoであればステップS24へ進む。
【0057】
ステップS22では、駐車料金を決定する。具体的には、まず、駐車開始通知に含まれている駐車位置と記憶部12に記憶されている課金駐車エリア情報とから課金駐車エリアを特定する。そして、特定した課金駐車エリアの駐車料金を、記憶部12に記憶されている各課金駐車エリアの駐車料金から選択する。駐車料金は、通常は、時間当たりの料金であり、この時間当たりの料金は、時間帯により異なることもある。また、課金駐車エリアによっては、1日あたりの料金であることもある。
【0058】
ステップS23では、ステップS22で決定した駐車料金を、駐車開始通知を送信した携帯機30へ送信する。
【0059】
ステップS24では、駐車終了通知を受信したか否かを判断する。駐車終了通知は、次に説明する
図7の処理において、車両4で用いられている携帯機30から送信されるものである。この駐車終了通知には、課金対象者IDが含まれている。また、駐車終了時刻も含まれている。ただし、駐車終了時刻は、駐車終了通知の送受信時刻とほぼ同じ時刻となることから、駐車終了通知が駐車終了時刻を含んでいなくてもよい。
【0060】
ステップS24の判断は、駐車終了通知に含まれている課金対象者IDをもとに、ステップS21で受信したと判断した駐車開始終了通知ごとに行う。駐車開始通知を受領した課金対象者IDと同じIDを一つでも受信していればステップS24はYesと判断する。ステップS24の判断がYesであればステップS25へ進み、Noであれば
図6の処理を終了する。
【0061】
ステップS25では、課金額を演算する。課金額は、駐車時間と駐車料金から定まる。駐車時間は、駐車開始時刻と駐車終了時刻とから算出する。駐車料金は、前述のステップS22で説明した方法で決定する。
【0062】
ステップS26では、ステップS25で決定した課金額を、駐車終了通知を送信した携帯機30へ送信する。
【0063】
<課金処理アプリケーションプログラムの処理2>
携帯機30の制御部31は、課金処理アプリケーションプログラムを実行中であれば、
図5のステップS10の後、さらに、
図7に示す処理を実行する。
【0064】
ステップS11では、課金管理サーバ10から、現在、車両4が駐車している課金駐車エリアの駐車料金を受信する。課金管理サーバ10は、前述した
図6のステップS23において、この駐車料金を送信している。
【0065】
ステップS12では、表示部33に、課金状態画面として、課金中を示す画面を表示する。課金中を示す画面には、ステップS11で受信した駐車料金や、駐車開始時刻も示されている。なお、このステップS12および
図5のステップS7、S8が課金状態表示処理部に相当する。
【0066】
ステップS13では、駐車状態が終了したか否かを判断する。本実施形態では、携帯機30の相互無線通信部34と、車載機20の相互無線通信部24とが再び無線接続されたことにより、駐車状態が終了したと判断する。このステップS13と前述のステップS9の処理が、駐車判断部に相当する。
【0067】
前述したように、携帯機30と車載機20は予めペアリング操作が実行済みであり、車載機20の相互無線通信部24と携帯機30の相互無線通信部34は、起動状態において互いの距離が接近すると自動的に接続関係となる。また、車載機20はACC電源が供給されて作動する。したがって、車両4に携帯機30が持ち込まれ、車両4のACC電源がオンになると、携帯機30の相互無線通信部34と、車載機20の相互無線通信部24とが再び接続される。また、ACCオンは、車両4が駐車状態から停車状態となった、すなわち、駐車状態が終了したとみなすことができる。
【0068】
そこで、本実施形態では、携帯機30の相互無線通信部34と車載機20の相互無線通信部24とが再び接続されたことにより、駐車状態が終了したと判断する。ステップS13の判断がNoであれば、ステップS13を繰り返し実行する。なお、ステップS13を繰り返し実行している間に、携帯機30に対して設定されている画面オフ以降時間が経過すれば、この課金処理アプリケーションプログラムは画面オフ処理をしていなくても、表示部33はオフになる。
【0069】
ステップS13がYesであればステップS14へ進む。ステップS14では、公衆無線通信部35を用いて、駐車終了通知を課金管理サーバ10へ送信する。このステップS14の処理が課金終了処理に相当する。また、ステップS14とステップS10が課金処理部に相当する。なお、前述したように、課金管理サーバ10は、駐車終了通知を受信すると、課金額を演算、送信する(
図6のS25、S26)。
【0070】
ステップS15では、課金管理サーバ10が送信した課金額を受信する。ステップS16では、ステップS15で受信した課金額を表示部33に表示する。
【0071】
<車両4の位置と表示部33の表示例>
次に、上記課金処理アプリケーションプログラムを実行することにより携帯機30の表示部33に表示される課金状態画面を説明する。
図9に、車両4の経時的な移動位置を示している。車両4は、時刻t1では課金駐車エリア5の外に位置しており、時刻t2では課金駐車エリア5に入っている。しかし、まだ時刻t2では車両4は移動中であり、駐車していない。そして、時刻t3から、車両4は課金駐車エリア5で駐車状態となっている。
【0072】
図10には、
図9の時刻t1〜t3に対応する表示部33の表示例を示している。時刻t1では、車両4は課金駐車エリア5に入っていないため、
図5のステップS8が実行されて、表示部33に、課金状態画面として、現在位置は無料駐車エリアであることを示す画面が表示される。
【0073】
時刻t2では、車両4は課金駐車エリア5に入っているが、駐車状態ではないので、
図5のステップS7が実行されて、表示部33に、課金状態画面として、課金駐車エリア内であることを示す画面が表示される。この画面には、駐車料金も表示されている。
【0074】
時刻t3では、車両4は課金駐車エリア内で駐車状態であるので、
図7のステップS12が実行されて、表示部33に、課金状態画面として、課金中を示す画面が表示される。課金中を示す画面には、駐車料金や駐車開始時刻も示されている。
【0075】
<実施形態1の効果>
以上、説明した実施形態1によれば、携帯機30は、この携帯機30が持ち込まれている車両4が課金駐車エリア内において駐車状態となったことを自動的に判断する(S6、S9)。そして、駐車状態となったと判断した場合には、駐車開始通知を課金管理サーバ10に送信する(S10)。また、車両4が駐車状態を終了したと判断した場合には、駐車終了通知を課金管理サーバ10に送信する(S13、S14)。
【0076】
このように、車両4が課金駐車エリア内に駐車した場合に、駐車開始通知と駐車終了通知とが自動的に課金管理サーバ10に送信されるので、課金駐車エリアに車両4が駐車した場合に、自動的に課金を行うことができる。
【0077】
また、駐車開始通知には、駐車位置が含まれているため、課金管理サーバ10は、車両4がどの課金駐車エリアに駐車したかを判断することができる。よって、課金駐車エリア別に異なる駐車料金を設定することができる。
【0078】
また、実施形態1では、課金状態を示す課金状態画面が表示部33に表示される。課金状態画面には、(1)現在位置が無料駐車エリアであることを示す画面、(2)課金駐車エリア内であることを示す画面、(3)課金中を示す画面が選択的に表示される。(1)、(2)の表示により、車両4の乗員は、駐車前から、車両4を駐車した場合に課金が行われるか否かを知ることができる。また、(3)の表示により、課金処理が実際に行われたことを知ることができる。
【0079】
また、実施形態1では、課金状態画面が表示されるのは、携帯機30の表示部33であり、課金中を示す画面には、駐車開始時刻と、課金駐車エリアの駐車料金も表示される。よって、課金中を示す画面を見ることにより、車両4から離れた位置であっても、車両4をいつ課金駐車エリアに止めたかを知ることができる。また、現在時刻と、課金中を示す画面に示されている駐車開始時刻とから駐車時間を計算し、その駐車時間と課金中を示す画面に示されている駐車料金とから、現時点での課金額を車両4に戻らなくても計算することができる。
【0080】
また、実施形態1では、スマートフォンである携帯機30に課金処理アプリケーションプログラムを実行させることで、携帯機30を車両用駐車自動課金装置として機能させることができるので、別途、車両用駐車自動課金装置を用意する必要がない。
【0081】
また、実施形態1の車載機20はACC電源で作動する。そのため、アクセサリーソケットから電力を取得できるので、簡便に車両4に設置することができる。ただし、ACC電源が切断されると、その直後から全ての機能が作動しないので、車載機20は車両4が駐車したことを判断できない。しかし、実施形態1では、携帯機30の相互無線通信部34と、車載機20の相互無線通信部24との接続が切断されたことにより駐車状態となったと判断する。よって、ACC電源で作動する車載機20を利用して、車両4が駐車状態となったことを判断できる。
【0082】
<実施形態2>
次に実施形態2を説明する。なお、この実施形態2以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用することができる。
【0083】
<実施形態2の駐車エリア自動課金システム100の全体構成>
実施形態2の駐車エリア自動課金システム100は、
図11に示すように、いずれも実施形態1の車載機20とは異なる2種類の車載機20A、20Bと、いずれも実施形態1の携帯機30とは異なる2種類の携帯機30A、30Bを備える。課金管理サーバ10は実施形態1と同じである。
【0084】
車載機20Aと携帯機30Aは組み合わせて、課金駐車エリアを利用するユーザの車両4A、4Dで用いられる。これに対して、車載機20Bと携帯機30Bは組み合わせて、課金駐車エリアを管理する管理者の車両4Bで用いられる。なお、実施形態2では、車載機20Aと携帯機30Aが車両用自動課金装置に相当し、車載機20Bと携帯機30Bが管理者側装置に相当する。また、車載機20Bの近距離無線通信部23が管理者側近距離無線受信部に相当する。
【0085】
実施形態1の駐車エリア自動課金システム1は、課金駐車エリアに車両4が駐車したとしても、駐車開始通知が課金管理サーバ10に送信されなければ課金は行われない。したがって、何らか、不正な手段を使い、駐車開始通知を課金管理サーバ10に送信しないようにして、課金を免れようとするユーザが現れる可能性がある。たとえば、
図11における車両4Cは、車載機20A、携帯機30Aを備えていないので、車両4Cからは、駐車開始通知は送信されない。
【0086】
そこで、実施形態2の駐車エリア自動課金システム100は、車載機20Bと携帯機30Bを用いて、不正駐車車両、すなわち、駐車開始通知を課金管理サーバ10に送信せずに課金駐車エリアに駐車している車両を発見できるようになっている。
【0087】
<車載機20A、20B、携帯機30A、30Bのハードウェア構成>
実施形態2では、車載機20A、20Bは、ACC電源に加えて、常時電源(+B)にも接続されている。そのため、ACC電源がオフになっても、車載機20A、20Bは動作する。その他のハードウェア構成は実施形態1と同じであり、
図3に示す構成を備える。また、携帯機30A、30Bのハードウェア構成は実施形態1と同じであり、
図4に示す構成を備える。
【0088】
<実施形態2の課金処理アプリケーションプログラムの処理>
実施形態2の携帯機30Aも、課金処理アプリケーションプログラムを実行する。実施形態2の課金処理アプリケーションプログラムは、
図12、
図13で説明する部分を除き、実施形態1と同じである。
【0089】
図12のステップS9Aでは、駐車状態となったか否かを判断する。後述するように、実施形態2では、車載機20Aが駐車状態となったことを判断する。そして、駐車状態となったと判断した場合には、車載機20Aは、携帯機30Aに駐車状態となったことを通知する。このステップS9Aでは、車載機20Aから、駐車状態となったことが通知されたか否かで、駐車状態となったかどうかを判断する。
【0090】
駐車状態となったと判断したら(S9A:Yes)、実施形態1と同じく、駐車開始通知を課金管理サーバ10へ送信する(S10)。加えて、実施形態2では、ステップS10Aにおいて、駐車開始通知を課金管理サーバ10へ送信したことを示す駐車開始送信済み通知を、相互無線通信部34を用いて車載機20Aへ送信する。
【0091】
図13のステップS13Aでは、駐車状態となったか否かを判断する。後述するように、実施形態2では、車載機20Aは駐車終了も判断する。そして、駐車終了を判断した場合には、車載機20Aは、携帯機30Aに駐車終了を通知する。このステップS13Aでは、車載機20Aから駐車終了が通知されたか否かで、駐車状態が継続しているか否かを判断する。
【0092】
駐車状態が終了したと判断したら(S13A:Yes)、実施形態1と同じく、駐車終了通知を課金管理サーバ10へ送信する(S14)。
【0093】
<車載機20Aの制御部21の処理>
実施形態2では、ユーザの車載機20Aの制御部21は、
図14に示す処理を一定周期で繰り返し実行する。ステップS31では、ACC電源がオフになったか否かを判断する。この判断がNoであれば
図14の処理を終了する。ステップS31の判断がYesであればステップS32へ進む。
【0094】
ステップS32では、駐車状態となったことを、相互無線通信部24を介して携帯機30Aへ通知する。携帯機30Aは、この通知を受信すると駐車状態となったと判断し、前述のように、駐車開始通知を課金管理サーバ10に送信し(S10)、さらに、駐車開始送信済み通知を車載機20Aに送信する(S10A)。
【0095】
ステップS33では、この駐車開始送信済み通知を受信したか否かを判断する。ステップS33の判断がNoであれば、ステップS33を繰り返す。ステップS33の判断がYesであれば、ステップS34へ進む。
【0096】
ステップS34では、ACC電源がオンになったか否かを判断する。この判断がNoでればステップS35に進み、YesであればステップS37に進む。
【0097】
ステップS35では、次に説明するステップS36において正規駐車信号を送信してからの時間が送信周期を経過したか否かを判断する。送信周期は適宜設定可能であり、たとえば、1秒〜10秒の範囲で設定されていることとする。
【0098】
車車間通信に用いる無線装置の場合、走行中は100ms周期(走行中周期に相当)で情報を送信することが定められている。よって、ここでの送信周期を1秒〜10秒の範囲に設定する場合、正規駐車信号の送信周期は、走行中の情報送信周期よりも長い周期に設定されていることになる。送信周期が経過していなければ(S35:No)、ステップS34に戻る。送信周期が経過していればステップS36に進む。
【0099】
ステップS36では正規駐車信号を、近距離無線通信部23を用いて車両4の周囲にブロードキャスト方式で送信する。この正規駐車信号は、駐車開始通知を課金管理サーバ10に送信したことを示す信号であり、また、正規駐車信号には車両位置も含まれている。車両位置には、位置検出部26が検出した位置を用い、位置は緯度、経度で表されている。
【0100】
ステップS36を実行後はステップS34へ戻る。よって、実施形態2では、駐車状態である間は、正規駐車信号を周囲に周期的に送信することになる。
【0101】
ステップS34がYes、すなわち、ACCがオンになると、ステップS37へ進む。ステップS37では、駐車終了を、相互無線通信部24を介して携帯機30Aへ通知する。この通知を受信することで、携帯機30Aは
図13のステップS13Aの判断をYesとする。
【0102】
ステップS37を実行したら
図14の処理を終了する。よって、ACCオンにより正規駐車信号の送信は終了する。
【0103】
<管理者の車載機20Bの処理>
管理者の車載機20B、正確には、車載機20Bの制御部21は、
図15に示す処理を一定周期で繰り返し実行する。ステップS41では、近距離無線通信部23により正規駐車信号を受信したか否かを判断する。実施形態2では、車載機20Bの近距離無線通信部23が請求項の管理者側近距離無線通信部に相当する。
【0104】
ステップS41の判断がNoであれば
図15の処理を終了する。ステップS41の判断がYesであれば、ステップS42に進む。
【0105】
前述したように、正規駐車信号には、その正規駐車信号を送信した車載機20の位置が含まれている。ステップS42では、正規駐車信号に含まれている位置を、携帯機30Bへ相互無線通信部24を用いて通知する。
【0106】
<管理者の携帯機30Bの処理>
管理者の携帯機30Bは、正確には、携帯機30Bの制御部31は、
図16に示す処理を一定周期で繰り返し実行する。ステップS51では、相互無線通信部34により、課金駐車エリアに駐車中の車両4の位置を受信したか否かを判断する。この判断がNoであれば
図16の処理を終了する。ステップS51の判断がYesであれば、ステップS52に進む。
【0107】
ステップS52では、ステップS51で受信したと判断した車両4の位置をもとに、表示部33に表示している調査結果画面を更新する。実施形態2では、携帯機30Bの制御部31が、請求項の表示処理部として機能する。
【0108】
<不正発見の具体例>
図17は、車両4A、4C、4Dの配置と、調査結果画面の一例とを比較して示す図である。
図17では、車両4A、4C、4Dは課金駐車エリア5に、一列に駐車している。ただし、
図11に示したように、車両4Cは、車載機20Aを搭載していないので、正規駐車信号を送信していない。これに対して、車両4A、4Dは、一定周期で正規駐車信号を送信している。
【0109】
管理者の車両4Bは、上記3台の車両4A、4C、4Dの配列と平行に、それら3台の車両4A、4C、4D側方を通過しようとしているところである。
【0110】
ユーザの車両4A、4Dに搭載された車載機20Aは正規駐車信号を送信しているので、管理者の車両4Bの位置がこれらの車両4A、4Dに近くなると、管理者の車両4Bの車載機20Bは、車載機20Aが送信した正規駐車信号を受信する(S41:Yes)。そして、車載機20Bは、正規駐車信号に含まれている位置を携帯機30Bに通知する(S42)。
【0111】
携帯機30Bは、位置を受信すると(S51:Yes)、表示部33に表示している調査結果画面を更新する。
図17の例では、車両4Bを始点とする吹き出し内に調査結果画面を示している。この調査結果画面において、正規駐車図形6が表示されている位置が、正規駐車信号に含まれている位置を表している。
【0112】
調査結果画面には、正規駐車図形6は2つしか表示されていない。これに対して、課金駐車エリア5には、3台のユーザの車両4A、4C、4Dが駐車している。そして、正規駐車図形6の間隔が比較的開いていることから、車両4Cが正規駐車信号を送信していない車両であると判断することができる。このようにして、実施形態2では、不正に駐車している車両4Cを発見することができる。
【0113】
<実施形態2の効果>
以上、説明した実施形態2によれば、ユーザの車両4A、4Dで用いられる車載機20Aは、ACCがオフである間(S34:No)、すなわち駐車状態である間は、正規駐車信号を周囲に周期的に送信する(S36)。そして、管理者の車両4Bで用いられる車載機20Bは、正規駐車信号を受信したら(S41:Yes)、正規駐車信号に含まれている位置を携帯機30Bに送信する(S42)。携帯機30Bは、位置を受信したら(S51:Yes)、調査結果画面を更新する(S52)。
【0114】
不正を行っている車両4Cは、正規駐車信号を周囲に送信しない。よって課金駐車エリア5を見まわる管理者が携帯機30Bを使用し、その携帯機30Bの表示部33に表示される調査結果画面上の正規駐車図形6の位置と、実際に課金駐車エリア5に駐車している車両4とを比較することで、不正に駐車している車両4Cを発見することができる。
【0115】
また、実施形態2では、車両の大きさに比べて通信距離が長い近距離無線通信部23を用いて正規駐車信号を送信している。よって、管理者の車載機20Bは、駐車している車両4A、4C、4Dにそれほど接近しなくても、不正に駐車している車両4Cを発見することができる。
【0116】
また、正規駐車信号の送信周期は、走行中の情報送信周期よりも長い周期に設定されているので、駐車中に正規駐車信号を送信することによってバッテリーが上がってしまう可能性を低減することができる。
【0117】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0118】
<変形例1>
たとえば、前述の実施形態では、課金駐車エリア情報は課金管理サーバ10が記憶していたが、車載機20あるいは携帯機30がこの課金駐車エリア情報を記憶していてもよい。
【0119】
<変形例2>
前述の実施形態では、1つの課金管理サーバ10が全ての課金駐車エリアに対して課金額演算部111の処理を実行していたがこれに限られない。課金駐車エリア毎に、あるいは、互いに近接する複数の課金駐車エリア毎に課金管理サーバを備え、各課金管理サーバが、課金額演算部111の機能を備えていてもよい。
【0120】
<変形例3>
駐車状態となったことの判断方法は前述の実施形態1、2に示した方法に限られない。実施形態1、2に示した方法の他に、パーキングブレーキがオンになったこと、シフトポジションがパーキングポジションに入ったこと、イグニションオフになったこと、車両の乗員が全員降車した後、全ドアが閉じられたこと、さらにその全ドア閉の後、全ドアがロックされたこと、あるいは、それらの組み合わせなど、公知の種々の駐車判定方法により、駐車状態となったことを判断してもよい。また、課金駐車エリア内で一定時間以上、停車した場合に、駐車状態と判断してもよい。
【0121】
<変形例4>
実施形態1、2では、駐車状態となったと判断する条件と、駐車状態ではなくなったと判断する条件、すなわち、駐車終了と判断する条件を同じ条件としていたが、これらを互いに異なる条件としてもよい。たとえば、駐車状態となったと判断する条件は前述の実施形態と同じとする一方、駐車終了と判断する条件は、車両の移動開始としてもよい。
【0122】
<変形例5>
また、課金管理サーバ10に駐車開始通知を送信していないのに、周囲に正規駐車信号を送信する不正を発見あるいは防止するために、課金管理サーバ10が決定した不正防止情報を正規駐車信号に含ませて、車両4の周囲に送信するようにしてもよい。
【0123】
この場合、課金管理サーバ10は、駐車開始通知を受信したら、不正防止情報をその駐車開始通知を送信した携帯機30に送信する。不正防止情報は、たとえば、駐車開始通知ごとにランダムに決定する文字列である。
【0124】
さらに、管理者の車載機20Bあるいは携帯機30Bは、ユーザの車載機20Aから正規駐車信号を受信したら、課金管理サーバ10と通信して、その正規駐車信号に含まれている不正防止情報が、課金管理サーバ10が決定したものかどうかを確認してもよい。
【0125】
<変形例6>
前述の実施形態では、課金状態画面により課金状態を表示していたが、LEDの点灯に状態により、課金状態を表示してもよい。また、課金状態の表示をしなくてもよい。
【0126】
<変形例7>
前述の実施形態では、携帯機30が車両用駐車自動課金装置として機能していたが、車載機20は、表示部22がLEDであることを除けば、携帯機30と同じ要素を備えている。また、前述したように、課金状態はLEDで表示してもよいし、また、課金状態の表示は必須ではない。したがって、車載機20を車両用駐車自動課金装置として用いることもできる。また、車載機20の表示部22を、携帯機30の表示部33と同様に、画面表示ができる表示部として、車載機20を車両用駐車自動課金装置として用いてもよい。
【0127】
<変形例8>
前述の実施形態では、近距離無線通信部23が正規駐車信号を周囲に送信することにより、課金開始処理を実行したことを車両の周囲に知らせていたが、これに限られない。近距離無線通信部23よりも通信距離が短い、通信距離が数m以下の無線通信装置、たとえば近接場通信装置を備え、この近接場通信装置により、正規駐車信号を送信するようにしてもよい。
【0128】
通信距離が数m以下である場合、各車両のすぐ横まで行かないと車両用駐車自動課金装置が送信する正規駐車信号を受信することができない。しかし、各車両のすぐ横まで正規駐車信号を受信することから、正規駐車信号に車両の位置を含ませる必要はない。
【0129】
<変形例9>
さらには、正規駐車信号を無線送信することに代えて、車両外から視認できる位置に設置したLED等の表示部を周辺通知部として用いて、その表示部により課金開始処理を実行したことを車両の周囲に通知してもよい。
【0130】
<変形例10>
前述の実施形態2において、さらに、車載機20は、車両の走行中および停車中も、所定の情報を周囲に無線送信するようにしてもよい。所定の情報は、特に限定はない。たとえば、自車両の位置を含んだ情報である。
【0131】
停車中と駐車中を区別しており、停車に対しては課金駐車エリア内であっても課金しないシステムである場合、課金駐車エリア内で停車している車両は、正規駐車信号を周囲に送信しない。したがって、正規駐車信号を周囲に送信しているか否かでは、不正に駐車している車両であるか、停車中の車両であるかの区別はできない。
【0132】
しかし、この変形例のようにすれば、車両の走行中および停車中も車載機20が情報を周囲に無線送信する。そのため、近距離無線通信部23が何らかの電波を送信しているか、何も電波を送信していないかを判断することにより、不正の手段として何も電波を送信しないという手段を発見することができる。