(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試験画像データ作成手段は、入力階調値が最低となる最低階調画像と、入力階調値が最高となる最高階調画像と、入力階調値が当該最低階調画像と当該最高階調画像との間となる中間階調画像とを、前記試験画像として含む前記試験画像データを作成し、
前記階調特性作成手段は、前記撮像データにおける前記最低階調画像の出力階調値と前記最高階調画像の出力階調値とを用いて前記中間階調画像の出力階調値を正規化することで、前記相対的な階調特性を作成すること
を特徴とする請求項1記載の階調補正装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態が適用される画像表示システム10の構成の一例を示した図である。
この画像表示システム10は、表示のための画像データの作成等を行うコンピュータ装置20と、コンピュータ装置20で作成された画像データに基づく画像を表示画面31に表示する表示装置30と、コンピュータ装置20に対する入力等を受け付ける入力装置40とを備えている。
【0009】
この画像表示システム10において、コンピュータ装置20および表示装置30は例えばDVI(Digital Visual Interface)を介して接続されており、コンピュータ装置20および入力装置40は例えばUSB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。なお、コンピュータ装置20および表示装置30については、DVIに代えて、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)やDisplayPort、あるいはD−subを介して接続するようにしてもかまわない。
【0010】
コンピュータ装置20は、所謂汎用のパーソナルコンピュータである。そして、コンピュータ装置20では、OS(Operating System)の管理下において各種アプリケーションソフトウェアを動作させることで、画像データの作成等が行われるようになっている。
【0011】
また、表示装置30は、例えばPC用の液晶ディスプレイ、液晶テレビあるいはプロジェクタなど、加法混色にて画像を表示する機能を備えたもので構成される。したがって、表示装置30における表示方式は、液晶方式に限定されるものではない。ここで、本実施の形態では、表示装置30が、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色を用いて画像の表示を行っているものとする。なお、
図1では、表示装置30内に表示画面31が設けられているが、表示装置30として例えばプロジェクタを用いる場合、表示画面31は、表示装置30の外部に設けられたスクリーン等となる。また、例えばノート型PCやタブレット型PCのコンピュータ装置20にあっては、コンピュータ装置20が表示装置30を備えたものとなる。
【0012】
さらに、入力装置40は、例えばキーボード装置やマウス装置等で構成される。
【0013】
この画像表示システム10では、例えば入力装置40およびコンピュータ装置20を用いて作成した出力画像データに基づく画像を、表示装置30の表示画面31に表示させるようになっている。ここで、画像表示システム10においては、表示装置30における表示画面31に、画像を正しい色で表示させることが要求される。特に、表示装置30においては、表示装置30のそれぞれに固有な階調特性に起因して、RGB各色の階調が目的とする階調からずれてしまうことがあり、階調のずれに伴って画像の色も目的とする色からずれることになってしまう。
【0014】
このため、この画像表示システム10では、コンピュータ装置20あるいはコンピュータ装置20の外部で作成した試験画像データに基づく試験画像を、表示装置30を用いて表示画面31に表示させ、表示画面31に表示された試験画像を撮影して得た撮像データに基づいて、この表示装置30の階調特性(階調の形状)を推定するとともに、得られた推定結果に基づいて、階調補正のための階調補正データを作成する階調補正動作を実行できるようになっている。なお、本実施の形態では、コンピュータ装置20において試験画像データの作成を行っている。
【0015】
図1には、上記階調補正動作で用いられ、試験画像データに基づいて表示装置30の表示画面31に表示された試験画像の撮影に用いられるデジタルカメラ60を、画像表示システム10と併せて示している。ここで、撮影装置の一例としてのデジタルカメラ60は、RGBの3色を用いたカラー画像を撮影可能なものであれば、撮影専用機は勿論のこと、携帯電話端末やタブレット端末等に内蔵されるものであってもかまわない。なお、コンピュータ装置20およびデジタルカメラ60は、例えばUSBを介して接続されている。ただし、コンピュータ装置20とデジタルカメラ60とがネットワークを介して接続されるものであってもよく、このような場合にあっては、階調補正データを作成する機能を、ネットワークに接続されたサーバ(図示せず)で行い、作成された階調補正データをコンピュータ装置20に戻すようにしてもかまわない。
【0016】
ここで、本実施の形態のコンピュータ装置20は、出力画像データ作成部210と、階調補正部220と、試験画像データ記憶部230と、撮像データ処理部240と、目標階調特性記憶部250と、比較部260と、階調補正データ作成部270と、階調補正データ記憶部280とを備える。
【0017】
試験画像データ作成手段の一例としての出力画像データ作成部210は、表示装置30を用いて表示画面31に表示するための出力画像データ(試験画像データを含む)を作成し、階調補正部220に出力する。
【0018】
階調補正部220は、出力画像データ作成部210から入力されてくる出力画像データに対し、階調補正データ記憶部280から読み出した階調補正データを用いて階調補正を施す。また、階調補正部220は、得られた階調補正済の出力画像データを表示装置30に出力する。なお、階調補正部220は、出力画像データ作成部210から入力されてくる出力画像データが例えば試験画像データである場合には、出力画像データに階調補正を施すことなく、そのまま表示装置30に出力することもできる。
【0019】
試験画像データ記憶部230は、階調補正動作で用いる各種試験画像の元データを記憶する。また、試験画像データ記憶部230は、出力画像データ作成部210からの要求に応じて、対応する元データを出力画像データ作成部210に出力する。
【0020】
階調特性作成手段の一例としての撮像データ処理部240は、デジタルカメラ60を用いて表示画面31を撮影して得た撮像データを取得するとともに、取得した撮像データに対し、後述する切り出し処理や正規化処理を含む各種画像処理を施すことで、RGB各色に対応する正規化データを作成する。また、撮像データ処理部240は、得られたRGB各色の正規化データを比較部260に出力する。
【0021】
記憶部の一例としての目標階調特性記憶部250は、表示装置30におけるRGB各色の目標階調特性(入出力特性)を記憶する。また、目標階調特性記憶部250は、比較部260からの要求に応じて、対応する目標階調特性を比較部260に出力する。
【0022】
比較部260は、撮像データ処理部240から入力されてくるRGB各色の正規化データと、目標階調特性記憶部250から読み出したRGB各色の目標階調特性とを、色毎に比較する。また、比較部260は、色毎の比較結果に基づく指示を、出力画像データ作成部210または階調補正データ作成部270に出力する。
【0023】
階調補正データ作成手段の一例としての階調補正データ作成部270は、比較部260からの指示を受けた場合に、RGB各色の目標階調特性とRGB各色の正規化データとに基づき、RGB各色に対応する階調補正データを作成する。また、階調補正データ作成部270は、作成した階調補正データを階調補正データ記憶部280に出力する。
【0024】
階調補正データ記憶部280は、階調補正データ作成部270から入力されてくるRGB各色の階調補正データを記憶する。また、階調補正データ記憶部280は、階調補正部220からの要求に応じて、対応する階調補正データを階調補正部220に出力する。
【0025】
図2は、コンピュータ装置20のハードウェア構成を示した図である。
コンピュータ装置20は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして図示するように、コンピュータ装置20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)21と、記憶手段であるメインメモリ22およびHDD(Hard Disk Drive)23とを備える。ここで、CPU21は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ22は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD23は、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。さらに、コンピュータ装置20は、入力装置40や表示装置30を含む外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)24を備えている。
【0026】
なお、
図1に示すコンピュータ装置20を構成する出力画像データ作成部210、階調補正部220、試験画像データ記憶部230、撮像データ処理部240、目標階調特性記憶部250、比較部260、階調補正データ作成部270および階調補正データ記憶部280の機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。すなわち、
図2に示すコンピュータ装置20に設けられたCPU21が、各部の機能を実現するプログラムを、例えばHDD23の記憶装置からメインメモリ22に読み込んで、これらの各機能を実現する。また、HDD23やメインメモリ22等の記憶装置が、試験画像データ記憶部230、目標階調特性記憶部250および階調補正データ記憶部280の機能を実現する。
【0027】
図3は、本実施の形態の画像表示システム10における階調補正動作の手順を説明するためのフローチャートである。なお、以下に示す手順は、コンピュータ装置20によって実行される。
【0028】
入力装置40等を介して階調補正動作の実行に関する指示を受け付けると(ステップ10)、出力画像データ作成部210は、試験画像データ記憶部230から第1試験画像の元データを読み出すとともに、読み出した元データに基づいて第1試験画像データ(出力画像データ)を作成し、階調補正部220を介して表示装置30へと出力する(ステップ20)。なお、このとき、階調補正部220は、出力画像データ作成部210から入力されてくる第1試験画像データに階調補正を施すことなく、そのまま表示装置30に出力する。
【0029】
そして、コンピュータ装置20から入力されてくる第1試験画像データに基づく第1試験画像は、表示装置30によって表示画面31に表示される。また、表示画面31に表示された第1試験画像を含む表示画像(第1表示画像)は、デジタルカメラ60によって撮影される。
【0030】
次に、撮像データ処理部240は、デジタルカメラ60が第1試験画像を含む第1表示画像を撮影して得た第1撮像データを取得する(ステップ30)。続いて、撮像データ処理部240は、取得した第1撮像データから、第1試験画像に対応する第1試験撮像データの切り出しを行い(ステップ40)、さらに、切り出した第1試験撮像データに基づいてRGB各色について第1正規化データの作成を行う(ステップ50)。
【0031】
次いで、比較部260は、撮像データ処理部240からRGB各色の第1正規化データを取得するとともに、目標階調特性記憶部250からRGB各色の目標階調特性を取得し、第1正規化データと目標階調特性とを比較して、第1正規化データの目標階調特性とのずれを抽出する(ステップ60)。
【0032】
そして、比較部260は、ステップ60で抽出された、第1正規化データの中で目標階調特性とのずれが大きい領域について、より詳細な階調特性(詳細特性と呼ぶ)を測定するか否かを判定する(ステップ70)。ここで、詳細特性とは、第1正規化データよりも入力階調値の範囲(レンジ)が狭いもの、または、第1正規化データと入力階調値の範囲は同じものの使用する入力階調値の数が多いものをいう。なお、ステップ70における判定は、比較部260自身で行ってもよいし、例えば入力装置40を介して受け付けたユーザの指示に基づくものであってもよい。
【0033】
ステップ70において肯定の判断(YES)を行った場合、比較部260は、出力画像データ作成部210に指示を出力する。この指示を受けて、出力画像データ作成部210は、試験画像データ記憶部230から第2試験画像の元データを読み出すとともに、読み出した元データに基づいて第2試験画像データ(出力画像データ)を作成し、階調補正部220を介して表示装置30へと出力する(ステップ80)。ここで、ステップ80では、入力階調値の幅および間隔の指定が行われ、出力画像データ作成部210は、この指定に対応した第2試験画像の元データの読み出しを行う。なお、このとき、階調補正部220は、出力画像データ作成部210から入力されてくる第2試験画像データに階調補正を施すことなく、そのまま表示装置30に出力する。
【0034】
そして、コンピュータ装置20から入力されてくる第2試験画像データに基づく第2試験画像は、表示装置30によって表示画面31に表示される。また、表示画面31に表示された第2試験画像を含む表示画像(第2表示画像)は、デジタルカメラ60によって撮影される。
【0035】
次に、撮像データ処理部240は、デジタルカメラ60が第2試験画像を含む第2表示画像を撮影して得た第2撮像データを取得する(ステップ90)。続いて、撮像データ処理部240は、取得した第2撮像データから、第2試験画像に対応する第2試験撮像データの切り出しを行い(ステップ100)、さらに、切り出した第2試験撮像データに基づいてRGB各色について第2正規化データの作成を行う(ステップ110)。
【0036】
そして、階調補正データ作成部270は、ステップ50で作成された第1正規化データと、ステップ110で作成された第2正規化データとに基づいて、RGB各色に関する階調補正データの作成を行い、作成した階調補正データを階調補正データ記憶部280に記憶させる(ステップ120)。
【0037】
一方、ステップ70において否定の判断(NO)を行った場合、階調補正データ作成部270は、ステップ50で作成された第1正規化データに基づいて、RGB各色に関する階調補正データの作成を行い、作成した階調補正データを階調補正データ記憶部280に記憶させる(ステップ120)。
【0038】
図4は、階調補正動作で用いる第1試験画像100の構成の一例を示す図である。この第1試験画像100は、
図3に示すステップ20で作成された第1試験画像データに基づき、表示装置30によって表示画面31に表示される。
【0039】
図4に示す第1試験画像100は、RGBのうちの赤(R)成分のみによって構成され、それぞれが異なる入力階調値に設定された赤第1階調画像R1、赤第2階調画像R2および赤第3階調画像R3と、RGBのうちの緑(G)成分のみによって構成され、それぞれが異なる入力階調値に設定された緑第1階調画像G1、緑第2階調画像G2および緑第3階調画像G3と、RGBのうちの青(B)成分のみによって構成され、それぞれが異なる入力階調値に設定された青第1階調画像B1、青第2階調画像B2および青第3階調画像B3と、RGBのそれぞれが最高の入力階調値に設定された白画像Wと、RGBのそれぞれが最低の入力階調値に設定された黒画像Bkとを含んでいる。なお、本実施の形態において、RGB各色の入力階調値は、8ビットすなわち256階調(0〜255)となっている。
【0040】
この例において、赤第1階調画像R1の入力階調値は(R,G,B)=(128,0,0)に、赤第2階調画像R2の入力階調値は(R,G,B)=(160,0,0)に、赤第3階調画像R3の入力階調値は(R,G,B)=(192,0,0)に、それぞれ設定されている。また、緑第1階調画像G1の入力階調値は(R,G,B)=(0,128,0)に、緑第2階調画像G2の入力階調値は(R,G,B)=(0,160,0)に、緑第3階調画像G3の入力階調値は(R,G,B)=(0,192,0)に、それぞれ設定されている。さらに、青第1階調画像B1の入力階調値は(R,G,B)=(0,0,128)に、青第2階調画像B2の入力階調値は(R,G,B)=(0,0,160)に、青第3階調画像B3の入力階調値は(R,G,B)=(0,0,192)に、それぞれ設定されている。そして、白画像Wの入力階調値は(R,G,B)=(255,255,255)に、黒画像Bkの入力階調値は(R,G,B)=(0,0,0)に、それぞれ設定されている。
【0041】
また、
図4に示す第1試験画像100では、赤第1階調画像R1、赤第2階調画像R2および赤第3階調画像R3が横方向に並べて配置され、赤第1階調画像R1、赤第2階調画像R2および赤第3階調画像R3の下方に、緑第1階調画像G1、緑第2階調画像G2および緑第3階調画像G3が横方向に並べて配置され、緑第1階調画像G1、緑第2階調画像G2および緑第3階調画像G3の下方に、青第1階調画像B1、青第2階調画像B2および青第3階調画像B3が横方向に並べて配置されている。これにより、赤第1階調画像R1〜赤第3階調画像R3と、緑第1階調画像G1〜緑第3階調画像G3と、青第1階調画像B1〜青第3階調画像B3とは、3×3のマトリクス状に配置される。また、白画像Wは赤第1階調画像R1の左隣に配置され、黒画像Bkは白画像Wの下方且つ緑第1階調画像G1の左隣に配置される。
ここで、本実施の形態では、赤第1階調画像R1〜赤第3階調画像R3、緑第1階調画像G1〜緑第3階調画像G3、青第1階調画像B1〜青第3階調画像B3、白画像Wおよび黒画像Bkのそれぞれが、試験画像としての機能を有している。
また、本実施の形態では、黒画像Bkが最低階調画像として、白画像Wが最高階調画像として、赤第1階調画像R1〜赤第3階調画像R3、緑第1階調画像G1〜緑第3階調画像G3、青第1階調画像B1〜青第3階調画像B3が中間階調画像として、それぞれ機能している。
【0042】
図5は、表示画面31における第1試験画像100の表示領域とデジタルカメラ60(
図1参照)による撮像領域60aとの関係を説明するための図である。ここで、
図5(a)は相対的に大画面となる表示画面31を例示しており、
図5(b)は相対的に小画面となる表示画面31を例示している。
【0043】
本実施の形態において、第1試験画像100は、表示画面31における中央部に表示される。また、第1試験画像100の表示領域の大きさは、表示画面31の画面サイズに関わらず、共通の大きさであって画面サイズよりも小さい大きさに設定される。そして、第1試験画像100とともに表示画像を構成する背景画像は、例えば黒色((R,G,B)=(0,0,0))あるいは灰色(グレイ)などに設定される。
【0044】
また、デジタルカメラ60による撮像領域60aの大きさは、第1試験画像100の表示領域よりも大きく設定される。この例においては、デジタルカメラ60に設けられたレンズ(図示せず)の収差を考慮し、撮像領域60aの周縁部が背景画像となるように、表示画面31に対する撮像領域60aの位置が設定されている。そして、この例では、撮像領域60aが表示画面31の内側に収まるようになっている。なお、表示画面31に、第1試験画像100とともに、撮像領域60aを示す枠線等の画像を表示するようにしてもかまわない。
【0045】
図6は、第1撮像データに基づく赤(R)の階調補正を説明するための図である。より具体的に説明すると、
図6は、
図3に示すフローチャートにおいて、ステップ70で否定の判断(NO)がなされることにより、第1撮像データから得られた第1正規化データに基づいて、赤の階調補正データを作成する場合を例示している。ここで、
図6(a)は赤の目標階調特性を、
図6(b)は赤の第1試験撮像データを、
図6(c)は赤の第1正規化データを、
図6(d)は赤の階調補正データを、それぞれ示している。そして、赤の目標階調特性は目標階調特性記憶部250に記憶され、赤の第1試験撮像データおよび赤の第1正規化データは撮像データ処理部240によって作成され、赤の階調補正データは階調補正データ作成部270によって作成される。
【0046】
図6(a)に示す赤の目標階調特性において、横軸は赤の入力階調値Rin(0〜255)を、縦軸は赤の出力階調値Rout(0〜255)を、それぞれ示している。この例において、赤の目標階調特性における入力階調値と出力階調値とは、図中に破線で示す正比例の関係にはなく、ガンマカーブ(例えばγ=2.2)を描くようになっている。
【0047】
また、
図6(b)に示す赤の第1試験撮像データにおいて、横軸は赤の入力階調値Rinを示しており、縦軸は正規化される前の出力階調値Routを、それぞれ示している。この例において、赤の第1試験撮像データにおける入力階調値と正規化される前の出力階調値とは、デジタルカメラ60および表示装置30のそれぞれに固有な特性を含むものとなっている。
【0048】
さらに、
図6(c)に示す赤の第1正規化データにおいて、横軸は赤の入力階調値Rinを示しており、縦軸は正規化された赤の出力階調値Routを示している。この例において、赤の第1正規化データにおける入力階調値と正規化された出力階調値とは、図中に破線で示す正比例の関係にはなく、表示装置30に固有なカーブを描くようになっている。
【0049】
本実施の形態において、赤の第1正規化データは、次のような手順を経て得られる。
本実施の形態では、表示装置30に表示される第1試験画像100を含む表示画像を、デジタルカメラ60で撮影することで得られた第1撮像データから、第1試験画像100に対応する領域を切り出して第1試験撮像データを得ている。そして、得られた第1試験撮像データから、
図6(b)に示すように、赤第1階調画像R1に対応する領域の赤の出力階調値である赤第1出力階調値r1と、赤第2階調画像R2に対応する領域の赤の出力階調値である赤第2出力階調値r2と、赤第3階調画像R3に対応する領域の赤の出力階調値である赤第3出力階調値r3と、白画像Wに対応する領域の赤の出力階調値である赤最大出力階調値rmaxと、黒画像Bkに対応する領域の赤の出力階調値である赤最小出力階調値rminとを抽出する。それから、
図6(c)に示すように、赤最小出力階調値rminが0となり、赤最大出力階調値rmaxが1となるように、赤第1出力階調値r1と、赤第2出力階調値r2と、赤第3出力階調値r3とを正規化する。その後、正規化された5つの点(rmin、r1、r2、r3、rmax)を結ぶ近似曲線を描くことにより、赤の第1正規化データが得られる。
【0050】
このようにして得られた赤の第1正規化データにおいては、赤第1出力階調値r1〜赤第3出力階調値r3が、絶対値ではなく相対的な値として得られる。デジタルカメラ60にはそれぞれに固有なデバイス特性があり、また、撮影時に各種自動調整が実行されたり、照明の影響を受けたりすることがあるが、このような正規化を施しておくことで、赤の第1正規化データにおいて、デジタルカメラ60に固有なデバイス特性等の影響を低減することが可能になる。
【0051】
さらにまた、
図6(d)に示す赤の階調補正データは、
図6(c)に示す赤の第1正規化データを反転させることによって得られる。そして、得られた赤の階調補正データは、階調補正データ記憶部280に記憶され、その後、階調補正部220による出力画像データの階調補正に用いられる。
【0052】
なお、ここでは詳細について説明を行わないが、第1撮像データに基づく緑の階調補正、および、第1撮像データに基づく青の階調補正も、上述した第1撮像データに基づく赤の階調補正と同じ手順で実行され、その結果、緑の階調補正データおよび青の階調補正データが得られる。
【0053】
図7は、階調補正動作で用いる第2試験画像200の構成の一例を示す図である。この第2試験画像200は、
図3に示すステップ80で作成された第2試験画像データに基づき、表示装置30によって表示画面31に表示される。なお、ここでは、目標階調特性と比較して赤第3階調画像R3のずれが大きいことにより、赤第3階調画像R3の前後において詳細特性の測定を行う場合(
図3に示すステップ70においてYES)の第2試験画像200を例示している。
【0054】
図7に示す第2試験画像200は、RGBのうち赤(R)成分のみによって構成され、それぞれが異なる入力階調値に設定された赤第3階調画像R3、赤第4階調画像R4、赤第5階調画像R5、赤第6階調画像R6および赤第7階調画像R7と、RGBがそれぞれ中間の入力階調値に設定された4つの灰画像Grとを含んでいる。
【0055】
この例において、赤第3階調画像R3の入力階調値は、第1試験画像100のところで説明したように(R,G,B)=(192,0,0)に設定されている。これに対し、赤第4階調画像R4の入力階調値は(R,G,B)=(176,0,0)に、赤第5階調画像R5の入力階調値は(R,G,B)=(208,0,0)に、赤第6階調画像R6の入力階調値は(R,G,B)=(224,0,0)に、赤第7階調画像R7の入力階調値は(R,G,B)=(240,0,0)に、それぞれ設定されている。また、4つの灰画像Grの入力階調値は、それぞれ(R,G,B)=(128,128,128)に設定されている。
【0056】
また、
図7に示す第2試験画像200では、赤第4階調画像R4、1つ目の灰画像Grおよび赤第5階調画像R5が横方向に並べて配置され、赤第4階調画像R4、1つ目の灰画像Grおよび赤第5階調画像R5の下方に、2つ目の灰画像Gr、赤第3階調画像R3および3つ目の灰画像Grが横方向に並べて配置され、2つ目の灰画像Gr、赤第3階調画像R3および3つ目の灰画像Grの下方に、赤第6階調画像R6、4つ目の灰画像Grおよび赤第7階調画像R7が横方向に並べて配置される。これにより、合計9個の画像は、3×3のマトリクス状に配置される。また、この例では、縦方向および横方向に、赤色の画像と灰色の画像とが互い違いに配置されるようになっている。
ここで、本実施の形態では、赤第4階調画像R4〜赤第7階調画像R7および4つの灰画像Grのそれぞれも、試験画像としての機能を有している。
【0057】
図8は、第1撮像データおよび第2撮像データに基づく赤(R)の階調補正を説明するための図である。より具体的に説明すると、
図8は、
図3に示すフローチャートにおいて、ステップ70で肯定の判断(YES)がなされることにより、第1撮像データから得られた第1正規化データと第2撮像データから得られた第2正規化データとに基づいて、赤の階調補正データを作成する場合を例示している。ここで、
図8(a)は赤の目標階調特性を、
図8(b)は赤の第1試験撮像データおよび赤の第2試験撮像データを、
図8(c)は赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データを、
図8(d)は赤の階調補正データを、それぞれ示している。そして、赤の目標階調特性は目標階調特性記憶部250に記憶され、赤の第1試験撮像データ、赤の第2試験撮像データ、赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データは撮像データ処理部240によって作成され、赤の階調補正データは階調補正データ作成部270によって作成される。ここで、
図8(a)に示す赤の目標階調特性は、
図6(a)に示したものと同じである。
【0058】
また、
図8(b)に示す赤の第1試験撮像データおよび第2の試験撮像データにおいて、横軸は赤の入力階調値Rinを示しており、縦軸は正規化される前の出力階調値Routを、それぞれ示している。この例において、赤の第1試験撮像データおよび第2の試験撮像データにおける入力階調値と正規化される前の出力階調値とは、デジタルカメラ60および表示装置30のそれぞれに固有な特性を含むものとなっている。
【0059】
さらに、
図8(c)に示す赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データにおいて、横軸は赤の入力階調値Rinを示しており、縦軸は正規化された赤の出力階調値Routを示している。この例において、赤の第1正規化データにおける入力階調値と正規化された出力階調値とは、図中に破線で示す正比例の関係にはなく、表示装置30に固有なカーブを描くようになっている。
【0060】
本実施の形態において、赤の第2正規化データは、次のような手順を経て得られる。
本実施の形態では、表示装置30に表示される第2試験画像200を含む表示画像を、デジタルカメラ60で撮影することで得られた第2撮像データから、第2試験画像200に対応する領域を切り出して第2試験撮像データを得ている。そして、得られた第2試験撮像データから、赤第3階調画像R3に対応する領域の赤の出力階調値である赤第3出力階調値r3と、赤第4階調画像R4に対応する領域の赤の出力階調値である赤第4出力階調値r4と、赤第5階調画像R5に対応する領域の赤の出力階調値である赤第5出力階調値r5と、赤第6階調画像R6に対応する領域の赤の出力階調値である赤第6出力階調値r6と、赤第7階調画像R7に対応する領域の赤の出力階調値である赤第7出力階調値r7とを抽出する。それから、赤第3出力階調値r3を用いて、赤第4出力階調値r4と、赤第5出力階調値r5と、赤第6出力階調値r6と、赤第7出力階調値r7とを規格化する。ここで、赤第3階調画像R3は、第1試験画像100と第2試験画像200とにともに含まれる画像であり、このような規格化を施すことによって、赤第4階調画像R4に対応する赤第4出力階調値r4〜赤第7階調画像R7に対応する赤第7出力階調値r7は、赤第1階調画像R1に対応する赤第1出力階調値r1〜赤第3出力階調値r3と同じ条件で正規化されることになる。その後、正規化された9つの点(rmin、r1、r2、r3、r4、r5、r6、r7、rmax)を結ぶ近似曲線を描くことにより、赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データが得られる。
【0061】
このようにして得られた赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データにおいては、赤第1出力階調値r1〜赤第7出力階調値r7が、絶対値ではなく相対的な値として得られる。デジタルカメラ60にはそれぞれに固有なデバイス特性があり、また、撮影時に各種自動調整が実行されることがあるが、このような正規化を施しておくことで、赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データにおいて、デジタルカメラ60に固有なデバイス特性等の影響を低減することが可能になる。
【0062】
さらにまた、
図8(d)に示す赤の階調補正データは、
図8(c)に示す赤の第1正規化データおよび赤の第2正規化データを反転させることによって得られる。そして、得られた赤の階調補正データは、階調補正データ記憶部280に記憶され、その後、階調補正部220による出力画像データの階調補正に用いられる。
このときに得られる赤の階調補正データは、
図6(d)に示す例と比較して、測定点数が増加している分、より正確なものとなる。
【0063】
なお、ここでは詳細について説明を行わないが、第1撮像データおよび第2撮像データに基づく緑の階調補正、および、第1撮像データおよび第2撮像データに基づく青の階調補正も、上述した第1撮像データおよび第2撮像データに基づく赤の階調補正と同じ手順で実行され、その結果、緑の階調補正データおよび青の階調補正データが得られる。