特許第6237172号(P6237172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日油株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6237172-液体洗浄剤組成物 図000004
  • 特許6237172-液体洗浄剤組成物 図000005
  • 特許6237172-液体洗浄剤組成物 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237172
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20171120BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20171120BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20171120BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61K8/86
   C11D1/72
   C11D1/04
   C11D3/20
   C11D17/08
   A61K8/34
   A61K8/36
   A61Q19/10
   A61Q5/02
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-251132(P2013-251132)
(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公開番号】特開2015-107927(P2015-107927A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 宗明
(72)【発明者】
【氏名】河内 順一
(72)【発明者】
【氏名】脇田 和晃
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−073221(JP,A)
【文献】 特開平08−165234(JP,A)
【文献】 特開2006−342293(JP,A)
【文献】 特開2005−187411(JP,A)
【文献】 特開2015−107929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)の含有量が0.5〜20質量%、前記成分(B)の含有量が0.2〜8質量%、前記成分(C)の含有量が1.0〜20質量%、前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)の含有量の和[A+B+C]が1〜30質量%、前記成分(A)の含有量の前記成分(B)の含有量に対する質量比[A/B]が2/1〜20/1であることを特徴とする、液体洗浄剤組成物。

(A) 一般式(1);
O―(CHCHO)−H ・・・ (1)
(式(1)中、Rは炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは85〜150の数を示す)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤
(B) 炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖の飽和または不飽和の高級脂肪酸塩
(C) 炭素数3〜6の多価アルコール
(D) 水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物、詳しくはポンプフォーマー充填用の液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に石鹸は、身体用洗浄料や洗顔料などの洗浄剤組成物に使われ、洗浄後に独特のさっぱりとした感触を与えるだけでなく、泡立ちがよく、泡立てることで、キメの細かい泡が得られ、生分解性も良好であり、環境に対しても負荷のかかりにくい洗浄基剤であることから、現在も広く使われている。
【0003】
キメ細かい泡は、皮膚の毛穴などの小さな部位にも入りこめることから汚れのかき出しに優れている。通常、泡立てには、洗浄剤組成物を空気を巻き込みながら時間を掛けて手で泡立てるか、泡立てネットを使用する必要があり、泡立てる手間が掛かる。一方、洗浄剤組成物をポンプフォーマーに充填し、細かい泡として吐出させて使用する製品は、泡立てる手間が省け、泡立てが苦手な人でも簡単にキメ細い泡を得られる手軽さから、近年人気を集めている。
【0004】
ポンプフォーマーは、容器内部の多孔質膜を通過させることで、内容組成物と空気とを混合して泡沫状としているが、泡形成のためには、多孔質膜を通過させる必要があり、内容組成物が多孔質膜で目詰まりを起すという問題がある。特に、石鹸を用いた場合、低温保存時に析出することにより、目詰まりが生じ易いといった問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するために、特許文献1では、脂肪酸の有機塩としたポンプフォーマーに充填した水性液体洗浄剤が提案されている。しかし、これら試みに拠っても、製剤安定性、多孔質膜の目詰まり、泡質、使用感等の諸問題の解決には至っておらず、満足しうるものではなかった。
【0006】
また、特許文献2では、脂肪酸の有機塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキロールアミド、および多価アルコールを含有し、低温下及び高温下における保存安定性に優れた泡沫洗浄剤が提供されている。
【0007】
泡の弾力に関しては、特許文献3では、N―アシルアミノ酸系アニオン界面活性剤、クラフト点が20℃以上の石鹸、多価アルコール、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、泡質がクリーミーで弾力を有し、かつ低温における安定性にすぐれ、洗浄後にしっとりとした肌感触を与えるフォーマー容器入り洗浄組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−92064号公報
【特許文献2】特開2006−342293号公報
【特許文献3】特開2006−183039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2記載の泡沫洗浄剤では、泡の弾力、泡の持続性に関して問題があった。
【0010】
また、特許文献3記載の洗浄剤では、泡の持続性や洗い流後の感触に関して改善の余地があった。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、目詰まりがなく、キメが細かく、弾力が高い泡が持続し、長時間保存安定性に優れ、洗浄後の感触が良好な、ポンプフォーマーに最適な液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、本願発明の構成とすることで、目詰まりがなく、泡の弾力が高い泡が持続し、クレンジング力、長時間保存安定性に優れ、洗浄後の感触が良好な、ポンプフォーマーに最適な液体洗浄剤組成物を提供するに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する液体洗浄剤組成物であって、成分(A)の含有量が0.5〜20質量%、成分(B)の含有量が0.2〜8質量%、成分(C)の含有量が1.0〜20質量%、成分(A)、成分(B)および成分(C)の含有量の和[A+B+C]が1〜30質量%、成分(A)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比[A/B]が2/1〜20/1であることを特徴とする。

(A) 一般式(1);
O―(CHCHO)−H ・・・ (1)
(式(1)中、Rは炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは85〜150の数を示す)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤
(B) 炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖の飽和または不飽和の高級脂肪酸塩
(C) 炭素数3〜6の多価アルコール
(D) 水
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体洗浄剤組成物は、とくにポンプフォーマーの洗浄組成物として適し、ポンプフォーマーから吐出される泡は、目詰まりがなく、キメが細かく、弾力が高い泡が持続し、長時間保存安定性に優れ、洗浄後の感触が良好な、ポンプフォーマーに最適な液体洗浄剤組成物を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】泡膜のモデル図である。
図2】成分(b)が界面に吸着した後、成分(a)が界面に吸着し、長いポリエチレングリコール鎖の絡み合いにより泡膜を増粘している状態を示す模式図である。
図3】ポリエチレングリコール鎖の絡み合いが起こらない状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の成分(a)である、エチレンオキシドの平均付加モル数が85〜150モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、長鎖アルキルアルコール(ROH)にエチレンオキシドを付加させた非イオン性界面活性剤である。
【0017】
出発原料として使用される長鎖アルキルアルコール(ROH)は、特に限定されるものではないが、炭素数が10〜14の飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の長鎖アルキルアルコールを使用できる。例えば、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられ、好ましくはラウリルアルコール、ミリスチルアルコールである。これらは、それぞれ単独で、或いは二種以上を適宜組合せて用いてもよい。また、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールが主成分である、ヤシ油・パーム核油等の天然油脂由来を還元して得られる長鎖アルキルアルコールも好適に使用することができる。
【0018】
の炭素数が10未満の場合は、洗浄時の泡の持続性及び、皮膚や眼への刺激性が懸念される。この観点からは、Rの炭素数を10以上とするが、12以上とすることが更に好ましい。また、Rの炭素数が14を超えると、低温安定性が悪化する。この観点からは、Rの炭素数を14以下とする。
【0019】
エチレンオキシドの付加モル数nは85〜150モルである。エチレンオキシドの付加モル数nが85モル未満であると、洗浄時の泡の弾力性および、泡の安定性が低下し、洗浄後のうるおい感が十分に得られない。この観点からは、エチレンオキシドの付加モル数nは、90モル以上とすることが更に好ましく、95モル以上とすることがさらに好ましい。また、エチレンオキシドの付加モル数nが150モルを超えると、溶融時の粘性が著しく高くハンドリングが悪いため、工業的な製造が困難であるばかりでなく、ポリエーテルの結晶析出により低温安定性も悪化する。この観点からは、エチレンオキシドの付加モル数nは、130モル以下が好ましく、120モル以下が一層好ましい。
【0020】
成分(B)の脂肪酸塩に用いられる脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、カプリリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の炭素数8〜16の脂肪酸を例示することができ、これらは、それぞれ単独で、或いは二種以上を適宜組合せて用いてもよい。
【0021】
成分(B)の脂肪酸塩に用いられる脂肪酸の炭素数が8未満の場合は洗浄時の泡の持続性及び、皮膚や眼への刺激性が懸念される。この観点からは、前記脂肪酸の炭素数は、10以上が更に好ましく、12以上が一層好ましい。また、前記脂肪酸の炭素数が16を超えると、低温安定性や泡の安定性が悪化する。この観点からは、前記脂肪酸の炭素数は、14以下が更に好ましい。ここで,洗浄力および起泡力の観点から、炭素数12〜16の高級脂肪酸を用いるのが好ましく、炭素数12〜14の高級脂肪酸がより好ましい。これらは、それぞれ単独で、或いは二種以上を適宜組合せて用いてもよい。また、ヤシ油・パーム核油等の天然油脂を加水分解して得られる脂肪酸も好適に使用することができる。
【0022】
成分(B)の脂肪酸塩の塩としては、脂肪酸をアルカリでケン化、又は中和した、アルカリ金属塩や有機アミン塩等を例示することができる。用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機アルカリ等が挙げられる。本発明では、洗浄組成物の泡立ちの観点から、アルカリ金属塩を用いることが好ましく、カリウム塩がさらに好ましい。
【0023】
成分(B)の脂肪酸塩のクラフト点は、19℃以下が好ましい。クラフト点は以下の方法で測定したものである。
濃度1.0質量%の脂肪酸塩を試験管に注入し、水酸化カリウムなどのアルカリを用いてpH10.0に調整し−20℃の恒温槽に1日保存し、アニオン界面活性剤溶液を凍結させた。この試料を5℃のウォーターバスに入れ、1時間1℃ずつ昇温を行い、不溶物のない場合は、クラフト点を5℃以下とし、不溶物のある場合はその溶解する温度をクラフト点とした。
【0024】
成分(C)の多価アルコールは、ポンプフォーマの目詰まりを予防し、洗浄後のうるおい感を付与するためのものである。成分(C)の多価アルコールは特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等を例示することができる。これらのうち一種を単独、或いは二種以上を適宜組合せて用いることができる。
【0025】
成分(C)の多価アルコールの炭素数は3〜5が好ましい。また、成分(C)の多価アルコールの水酸基数は3〜4が好ましい。
【0026】
成分(D)は水であり、蒸留水やイオン交換水等の精製水を好ましく用いることができる。
【0027】
成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計質量を100質量%としたとき、成分(A)の含有量は0.5〜20質量%とする。
成分(A)の含有量が20質量%を超えると、洗浄液の粘度が上昇し、ポンプフォーマーからの吐出性が悪くなるだけでなく、洗浄時後、べたつきが生じる。この観点からは、成分(A)の含有量は、18質量%以下が更に好ましく、16質量%以下が一層好ましい。また、成分(A)の含有量が0.5未満では、泡の持続性が不十分である。この観点からは、成分(A)の含有量は、1.0質量%以上が好ましく、2質量%以上が更に好ましい。
【0028】
成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計質量を100質量%としたとき、成分(B)の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対し0.3〜8質量%とする。
【0029】
成分(B)の含有量が8質量%を超えると、低温安定性及び洗浄液の増粘による吐出性の悪化が懸念される。この観点からは、成分(B)の含有量は、6質量%以下が好ましく、4質量%以下が更に好ましい。また、成分(B)の含有量が0.3未満では泡が吐出されないだけでなく、クレンジング力が低下する。この観点からは、成分(B)の含有量は、0.4質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましい。
【0030】
成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計質量を100質量%としたとき、成分(C)の含有量は1.0〜20質量%とする。
【0031】
成分(C)の含有量が1.0質量%未満であると、目詰まりを起こし、吐出性が悪化する。この観点からは、成分(C)の含有量は、
3質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が一層好ましい。また、成分(C)の含有量が20重量%を超えると皮膚への刺激、洗浄後のべたつき感が懸念される。この観点からは、成分(C)の含有量は、18質量%以下が好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
【0032】
成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計質量を100質量%としたとき、成分(A)、成分(B)および成分(C)の含有量の和[A+B+C]は、1〜30質量%とする。
【0033】
[A+B+C]が30質量%を超えると、コスト的に不利であるばかりでなく、洗浄液の粘度が上昇し吐出性が悪化する懸念がある。この観点からは、[A+B+C]は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。また、[A+B+C]が1質量%未満の場合、洗浄時の泡の持続性及びクレンジング力において不十分である。この観点からは、[A+B+C]は2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることが更に好ましい。
【0034】
また、成分(A)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比[A/B]は、1/8〜40/1とする。[A/B]が40/1を超えると、洗浄時の泡の持続性及びクレンジング力が不十分である。この観点からは、[A/B]は、20/1以下が更に好ましく、16/1以下が一層好ましい。また、[A/B]が1/8未満では、洗浄時の泡の持続性及び洗浄後のうるおい感が不十分である。この観点からは、[A/B]は、1/1以上が更に好ましく、2/1以上が一層好ましい。
【0035】
次いで、本願発明に係る組成物を更に詳細に説明する。
図1は、泡膜のモデル図である。新しく気-液界面が形成されると、動的表面張力に優れる成分(b)が、水中から界面に素早く吸着し、界面を安定化させる(図1)。成分(b)が界面に吸着した後、遅れて、成分(a)が界面に吸着し、長いポリエチレングリコール鎖(以下、「PEG鎖」と呼ぶ)の絡み合いにより泡膜を増粘し、泡の弾力および持続性が飛躍的に向上する(図2)。エチレンオキシドの付加モル数が低分子である場合、すなわちエチレンオキシドの付加モル数が80以下であると、図3のようにPEG鎖の絡み合いが起こらず、泡の弾力および持続性は不十分であることが判明した。
【0036】
さらに、本発明の洗浄剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を添加することができ、その他任意成分としては、例えば、植物油脂、動物油脂等の油脂類;スクワラン、流動パラフィン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール類、環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン等のシリコーン類; パルミチン酸2−エチルヘキシル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロプル等のエステル油; 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ココイルアルギニンエチルPCA等の陽イオン性界面活性剤; ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、α‐オレフィンスルホン酸塩等の(B)成分以外の陰イオン性界面活性剤; アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルイミノジ酢酸塩等の両イオン性界面活性剤; ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等のA成分以外の非イオン性界面活性剤; エタノール、プロピレングリコール、グリセリンなどの溶剤; クエン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩などのpH調整剤、トコフェロールなどの抗酸化剤、多糖類、アミノ酸、ペプチド、防腐剤、香料、着色剤などを適宜配合することができる。
【0037】
本発明の液体洗浄剤組成物のpH値は、特に限定されるものではないが、25℃、原液で好ましくは6.5〜11.0、より好ましくは7.0〜10.0、さらに好ましくは7.0〜9.0である。pHが6.5より低いと泡の持続性が不十分であり、pHが11.0より高いと、皮膚への刺激性が懸念される。
【0038】
本発明における液体洗浄剤組成物の製剤態様は、特に限定されるものではないが、液体洗浄剤組成物を泡状に吐出させるフォーマー容器充填用洗浄剤として好適である。フォーマー容器としては、例えば、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられる。前記ノンガス型の泡吐出容器としては、液体洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、最終製剤に粘度が必要とされないものであれば、そのまま使用しても構わない。
【0039】
本発明の液体洗浄組成物は、化粧落とし用のクレンジング料のほか、ボディシャンプー、ハンドソープ、毛髪用シャンプー等として利用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、成分(a)、(b)、(c)および(d)は、成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量に対する質量%、その他の成分は、成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量を100質量部としたときの質量部で表記する。実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0041】
<洗浄組成物の調製>
表1及び表2に示した実施例1〜6及び比較例1〜6の各原料をビーカーに全て投入し、60℃のウォーターバスで加温しながら、プロペラを使って1時間攪拌した。溶解確認後、40℃以下に冷却して洗浄組成物を得た。調製した洗浄組成物をポンプフォーマー容器に充填し、下記の評価に用いた。
【0042】
<洗浄組成物の評価>
パネラー10名が、各フォーマー容器に入った、調製直後の洗浄剤組成物を使用し、下記評価基準に基づいて泡のキメ細かさを評価し、パネラー10名の平均値を求め、3.0以上を合格とした。
【0043】
<泡のキメ細かさ>
4点:非常にキメ細かい
3点:ややキメ細かい
2点:ややキメ細かくない
1点:キメ細かくない
【0044】
<目詰まり>
各フォーマー容器に入った、調製直後の洗浄剤組成物を3プッシュ(約30mL)した。次に、1週間放置した後、再度泡を吐出させ、泡の大きさについて、目視にて観察した。
○:均一な泡を吐出させることができた
×:泡を吐出できなかった
【0045】
<泡の弾力性の評価>
各フォーマー容器に入った、調製直後の洗浄剤組成物1プッシュ(約10mL)を吐出させ、コーンプレート型レオメーターを用いてずり速度100s−1において、測定開始後100秒後の見掛けの粘度を測定した。なお、測定冶具は直径50mm角度2°のコーンタイプのものを用い、測定温度は25℃で測定し、泡の粘度250mPa・s以上を合格とした。
【0046】
<泡の安定性>
100mlのメスシリンダーにポンプフォーマーから泡を50ml吐出し、5分後の様子を目視にて確認
○:外観に変化がなかった。
△:泡の体積が減少していたが、50%以上泡が残っていた。
×:排液が進み、泡の体積が50%以下に低下した。
【0047】
<洗浄後の肌感触の評価>
パネラー10名が、各ポンプフォーマー入り洗浄剤組成物を使用後、下記評価基準に基づいて洗浄後の肌感触を官能的に評価し、パネラー10名の平均値を求め、3.0以上を合格とした。
4:非常にさっぱりとした感触がある
3:ややさっぱり感触がある
2:さっぱりとした感触に欠ける
1:さっぱりとした感触がない
【0048】
<低温安定性>
洗浄剤組成物 50gを100mLのスクリュー管に充填し、密閉した後、0℃恒温槽で1ヶ月間保存した。試験後の試料の性状を確認し、以下の基準で評価を行った。
○ : 試料の外観に変化が確認されない。
× : 外観が白濁していること我が確認された。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
各実施例において、本発明の効果が示された。
【0052】
比較例1は、引用文献3の再現性を試みたものであるが、泡の持続性、洗浄後の感触(さっぱり感)という点で劣っていた。
比較例2では、(A)成分のnが85未満であるため、泡の弾力、泡の持続性が劣っていた。
比較例3では、(A)成分のnが85未満であるため、泡の弾力、泡の持続性、低温安定性が劣っていた。
比較例4では、(A)成分のRがステアリル基であり、ゲル状になり、泡の吐出ができなかった。泡の弾力が弱く、泡の持続性、低温安定性が劣っていた。
比較例5は、(A)成分がアルキル基を有していないため、泡の弾力が弱く、泡の持続性、低温安定性が劣っていた。
比較例6は(B)成分の代りにステアリン酸塩を用いたが、塩が析出し、評価できなかった。
【0053】
また、以下に示す組成のベビーシャンプーにおいて、本発明の効果が示された。
(実施例7)
質量(%)
ポリオキシエチレン(120)ラウリルエーテル 5
ヤシ油脂肪酸カリウム 2
プロピレングリコール 3
1、3−ブチレングリコール 3
精製水 残部
合計(%) 100
(その他の成分)
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 3
香料 0.1
クエン酸 適量(pH8に調整)
【0054】
(実施例8)
質量(%)
ポリオキシエチレン(100)ミリスチルエーテル 5
ミリスチン酸カリウム 2
ソルビトール 3
1、3−ブチレングリコール 3
精製水 残部
合計(%) 100
(その他の成分)
ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム 2
2-アルキル-N-カルボキシメチル-
N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 2
防腐剤 0.2
香料 0.1
クエン酸 適量(pH8に調整)
【0055】
(実施例9)
質量(%)
ポリオキシエチレン(100)ラウリルエーテル 5
ミリスチン酸カリウム 2
ソルビトール 3
1、3−ブチレングリコール 3
精製水 残部
合計(%) 100
(その他の成分)
ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム 2
2-アルキル-N-カルボキシメチル-
N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 2
コカミドDEA 2
トコフェロール 0.01
香料 0.1
クエン酸 適量(pH8に調整)
図1
図2
図3