特許第6237173号(P6237173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237173
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20171120BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20171120BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20171120BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61K8/86
   C11D1/72
   C11D17/08
   C11D1/10
   C11D3/20
   A61Q19/10
   A61K8/44
   A61K8/34
   A61Q1/14
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-251186(P2013-251186)
(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公開番号】特開2015-107929(P2015-107929A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】河内 順一
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 宗明
(72)【発明者】
【氏名】脇田 和晃
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−073221(JP,A)
【文献】 特開2006−183030(JP,A)
【文献】 特開2005−187411(JP,A)
【文献】 特開平08−165235(JP,A)
【文献】 特開2006−182698(JP,A)
【文献】 特開2015−107927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を含有し、前記成分(a)の含有量が0.5〜20質量%であり、前記成分(b)の含有量が0.2〜8質量%であり、前記成分(c)の含有量が1.0〜20質量%であり、前記成分(a)、前記成分(b)および前記成分(c)の含有量の和[a+b+c]が1.7〜30質量%であり、前記成分(a)の含有量の前記成分(b)の含有量に対する質量比[a/b]が1/3〜40/1であることを特徴とする、液体洗浄剤組成物。
(a) 下記式(1);

O−(CHCHO)n−H・・・・(1)

(式中、Rは炭素数10〜14の直鎖または分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは85〜150の数を示す)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤
(b) アシル基の炭素数が8〜14であるアシルアミノ酸系陰イオン性界面活性剤
(c) 炭素数3〜6の多価アルコール
(d) 水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関し、詳しくはフォーマー容器に充填して使用するのに好適な液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
身体用洗浄料や洗顔料などのクレンジング料は、一般的に泡立てて使用され、その泡によって洗浄することにより、肌と指が直接触れて発生する摩擦を防ぐ役割を果たすため、泡質が良好なクレンジング料が求められている。最近では、手軽に良質な泡を得るために、洗浄剤を微細な孔より空気とともに噴出させることにより、泡として吐出するポンプフォーマータイプのクレンジング料が人気を集めている。これからわかるように、洗浄時の肌に対するケアに関心が集まっており、クレンジング力にも高い関心が寄せられている。これまでは、クレンジング料は、クレンジング力が高いものが良いとされてきたが、クレンジング力が高すぎると、口紅やファンデーションなどのメイクアップ化粧料とともに肌の脂も脱脂し、肌荒れを起こす原因となる場合がある。そのため、近年、メイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、さらに洗浄後にしっとり感があるクレンジング料が求められている。
【0003】
このような背景から、N―アシルグルタミン酸系アニオン活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、高級脂肪酸石鹸、多価アルコールを含有し、泡質が良好で、洗浄後にしっとり感がある洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の洗浄剤組成物は、泡の弾力および持続性といった泡質が不十分であった。
【0004】
これまでに泡質を改善する試みとして、様々な検討が行われている。例えばN―アシルアミノ酸系アニオン界面活性剤、クラフト点が20℃以上のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤または半極性界面活性剤、多価アルコールおよびノニオン性界面活性剤を含有し、泡に弾力があり、洗浄後にしっとり感がある洗浄剤組成物が提案されている(特許文献2)。
【0005】
また、特許文献3では、両性界面活性剤、カチオン化セルロース、N―アシルアミノ酸系陰イオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤を含有し、泡質が良好な洗浄剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−97009号公報
【特許文献2】特開2006−183039号公報
【特許文献3】特開2013−155143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の洗浄剤組成物は、泡の弾力および持続性といった泡質が不十分であった。
また、特許文献3の洗浄剤組成物は、カチオン化セルロースを含有しているため、ポンプフォーマーで使用する際に、目詰まりするといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、メイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、洗浄後にしっとり感があり、目詰まりすることなく、さらに弾力のある泡が洗浄時も持続する液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、本願の構成とすることで、メイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、洗浄後にしっとり感があり、目詰まりすることなく、さらに弾力のある泡が洗浄時も持続する液体洗浄剤組成物を発明するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、下記成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を含有し、成分(a)の含有量が0.5〜20質量%であり、成分(b)の含有量が0.2〜8質量%であり、成分(c)の含有量が1.0〜20質量%であり、成分(a)、成分(b)および成分(c)の含有量の和[a+b+c]が1.7〜30質量%であり、成分(a)の含有量の成分(b)の含有量に対する質量比[a/b]が1/3〜40/1であることを特徴とする。
(a) 下記式(1);

O−(CHCHO)n−H・・・・(1)

(式中、Rは炭素数10〜14の直鎖または分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは85〜150の数を示す)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤
(b) アシル基の炭素数が8〜14であるアシルアミノ酸系陰イオン性界面活性剤
(c) 炭素数3〜6の多価アルコール
(d) 水
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、メイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、洗浄後にしっとり感があり、目詰まりすることなく、さらに弾力のある泡が洗浄時も持続する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】泡膜のモデル図である。
図2】成分(b)が界面に吸着した後、成分(a)が界面に吸着し、長いポリエチレングリコール鎖(以下、PEG鎖と呼ぶ)の絡み合いにより泡膜を増粘している状態を示す模式図である。
図3】PEG鎖の絡み合いが起こらない状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
(成分(a))
本発明の成分(a)である、エチレンオキシドの平均付加モル数nが85〜150モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、長鎖アルキルアルコール(ROH)にエチレンオキシドを付加させた非イオン性界面活性剤である。
【0014】
出発原料として使用される長鎖アルキルアルコール(ROH)は、特に限定されるものではないが、炭素数が10〜14の飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖の長鎖アルキルアルコールを使用できる。こうしたアルコールとしては、例えば、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールなどが挙げられ、好ましくはラウリルアルコール、ミリスチルアルコールである。これらは、それぞれ単独で、或いは2種以上を適宜組合せて用いてもよい。また、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールが主成分である、ヤシ油・パーム核油などの天然油脂由来を還元して得られる長鎖アルキルアルコールも好適に使用することができる。
【0015】
の炭素数が10未満の場合は泡の弾力および持続性が不十分である。この観点からは、Rの炭素数は10以上とするが、12以上が更に好ましい。また、Rの炭素数が14を超えると、泡の弾力および持続性が不十分である。
【0016】
エチレンオキシドの付加モル数nは85〜150モルである。エチレンオキシドの付加モル数が85未満であると、泡の弾力性および持続性が不十分である。この観点からは、エチレンオキシドの付加モル数は90モル以上が更に好ましく、95モル以上が一層好ましい。また、エチレンオキシドの付加モル数が150モルを超えると、溶融時の粘性が著しく高くハンドリングが悪いため、工業的な製造が困難であるばかりでなく、泡の弾力および持続性が不十分である。この観点からは、エチレンオキシドの付加モル数は135モル以下が更に好ましく、120モル以下が一層好ましい。
【0017】
(成分(b))
本発明の成分(b)は、アシル基の炭素数が8〜14であるアシルアミノ酸系陰イオン性界面活性剤である。本発明におけるアシルアミノ酸系陰イオン界面活性剤とは、1級〜3級のアミノ基とカルボン酸またはスルホン酸を同一分子内に含有する化合物と脂肪酸とのアシル化物であり、主にアシル化剤として脂肪酸クロライドを用いたショッテン・バウマン反応などによって製造される。
【0018】
ここで、1級〜3級のアミノ基とカルボン酸またはスルホン酸を同一分子内に含有する化合物としては、抽出法や発酵法で得られる天然の酸性または中性アミノ酸や、合成法や酵素法で得られる合成の酸性または中性アミノ酸が挙げられる。アミノ酸の具体例としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、タウリン、メチルタウリン、ザルコシン(N−メチルグリシン)、β-アラニンなどが挙げられ、それぞれL体、D体、ラセミ体が存在しうるが、これらのいずれをも使用することができる。
【0019】
上記アミノ酸とアシル化物であるアシルアミノ酸系陰イオン性界面活性剤の種類としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アシルメチルタウリン塩、アシルタウリン塩、アシルメチル−β−アラニンまたはその塩、アシル−β−アラニンまたはその塩、アシルグルタミン酸またはその塩、アシルグリシンまたはその塩、アシルアスパラギン酸またはその塩、アシルザルコシンまたはその塩などが挙げられる。その中で、洗浄時の泡の持続性および洗浄後のしっとり感が得られる点で、アシルメチルタウリン塩、アシルメチル−β−アラニンまたはその塩、アシルグルタミン酸またはその塩、アシルグリシンまたはその塩、アシルアスパラギン酸またはその塩が好ましい。さらに好ましくは、アシルグルタミン酸またはその塩、アシルアスパラギン酸またはその塩である。
【0020】
前記塩としては、特に限定されるものではなく、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。前記アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられ、前記アルカノールアミン塩としては、例えば、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。泡の持続性をより高めるためには、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0021】
成分(b)のアシル基の炭素数は8〜14である。炭素数が8未満であると、洗浄後のしっとり感が不十分である。このアシル基の炭素数は、10以上が更に好ましく、12が特に好ましい。また、成分(b)のアシル基の炭素数が14を超えると、クレンジング力と泡の弾力および持続性が不十分である。この観点からは、この炭素数は12が好ましい。
【0022】
(成分(c))
成分(c)は、ポンプフォーマーの目詰まりを予防し、洗浄後のしっとり感を付与するためのものである。成分(c)の多価アルコールは特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールなどを例示することができる。これらのうち一種を単独、或いは二種以上を適宜組合せて用いることができる。
【0023】
成分(c)の多価アルコールの炭素数は3〜5が好ましい。また、成分(c)の多価アルコールの水酸基数は3〜4が好ましい。
【0024】
(成分(d))
本発明の成分(d)は水であり、蒸留水やイオン交換水等の精製水を好ましく用いることができる。
【0025】
次いで、本願発明に係る組成物を更に詳細に説明する。
図1は、泡膜のモデル図である。新しく気-液界面が形成されると、動的表面張力に優れる成分(b)が、水中から界面に素早く吸着し、界面を安定化させる(図1)。成分(b)が界面に吸着した後、遅れて、成分(a)が界面に吸着し、PEG鎖の絡み合いにより泡膜を増粘し、泡の弾力および持続性が飛躍的に向上する(図2)。エチレンオキシドの付加モル数が低分子である場合、すなわちエチレンオキシドの付加モル数が80以下であると、図3のようにPEG鎖の絡み合いが起こらず、泡の弾力および持続性は不十分であることが判明した。
【0026】
成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量を100質量%としたとき、成分(a)の含有量は、0.5〜20質量%とする。
【0027】
成分(a)の含有量が0.5質量%未満では、泡の弾力および泡の持続性が不十分である。この観点からは、成分(a)の含有量は、1.0質量%以上が更に好ましく、2.0質量%以上が一層好ましい。また、成分(a)の含有量が20質量%を超えると、洗浄剤の粘度が上昇し、ポンプフォーマーからの吐出性が悪くなり、目詰まりする原因となる。この観点からは、成分(a)の含有量は、18質量%以下が更に好ましく、16質量%以下が一層好ましい。
【0028】
成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量を100質量%としたとき、成分(b)の含有量は、0.2〜8質量%とする。
【0029】
成分(b)の含有量が0.2質量%未満では、クレンジング力、洗浄後のしっとり感、泡の弾力および持続性が不十分である。この観点からは、成分(b)の含有量は、0.3質量%以上が更に好ましく、0.4質量%以上が一層好ましい。また、成分(b)の含有量が8質量%を超える場合は洗浄後のしっとり感が不十分である。この観点からは、成分(b)の含有量は、6質量%以下が更に好ましく、4質量%以下が一層好ましい。
【0030】
成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量を100質量%としたとき、成分(c)の含有量は、1.0〜20質量%とする。
【0031】
成分(c)の含有量が1.0質量%未満であると、洗浄後のしっとり感が不十分であり、ポンプフォーマーからの吐出性が悪くなり、目詰まりする原因となる。この観点からは、成分(c)の含有量は、3質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が一層好ましい。また、成分(c)の含有量が20質量%を超えると、洗浄剤の粘度が上昇し、ポンプフォーマーからの吐出性が悪くなり、目詰まりする原因となる。この観点からは、成分(c)の含有量は、18質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が一層好ましい。
【0032】
成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量を100質量%としたとき、成分(a)、成分(b)および成分(c)の含有量の合計[a+b+c]は、1.7〜30質量%とする。
【0033】
[a+b+c]が1.7質量%未満の場合、クレンジング力、泡の弾力および持続性、しっとり感が不十分である。この観点からは、[a+b+c]は、2質量%以上が更に好ましく、4質量%以上が一層好ましい。また、[a+b+c]が30質量%を超えると、コスト的に不利であるばかりでなく、ポンプフォーマーからの吐出性が悪くなり、目詰まりする原因となる。この観点からは、[a+b+c]は、25質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が一層好ましい。
【0034】
成分(a)の含有量の成分(b)の含有量に対する質量比[a/b]は、1/3〜40/1である。[a/b]が1/3未満では、泡の弾力、泡の持続性が不十分である。この観点からは、[a/b]は、1/1以上が更に好ましく、2/1以上が一層好ましい。また、[a/b]が40/1を超えると、泡の弾力、泡の持続性が不十分である。この観点からは、[a/b]は、20/1以下が更に好ましく、16/1以下が一層好ましい。
【0035】
以上述べたように、成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)を、上記比率で組み合わせることで、メイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、洗浄後にしっとり感があり、目詰まりすることなく、さらに弾力のある泡が洗浄時も持続する。
【0036】
さらに、本発明の洗浄剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を添加することができる。こうした任意成分としては、例えば、植物油脂、動物油脂などの油脂類;スクワラン、流動パラフィン、水添ポリイソブテンなどの炭化水素油;セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコール類; 環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサンなどのシリコーン類; パルミチン酸2−エチルヘキシル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロプルなどのエステル油; 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ココイルアルギニンエチルPCAなどのカチオン性界面活性剤; ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、α‐オレフィンスルホン酸塩などの成分(b)以外の陰イオン性界面活性剤; アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルイミノジ酢酸塩などの両性界面活性剤; ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどの成分(a)以外の非イオン性界面活性剤; エタノールなどの溶剤; クエン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩などのpH調整剤、トコフェロールなどの抗酸化剤、多糖類、アミノ酸、ペプチド、防腐剤、香料、着色剤などを適宜配合することができる。
【0037】
本発明の液体洗浄剤組成物のpH値は、特に限定されるものではないが、25℃、原液で好ましくは4.5〜9.0、より好ましくは5.0〜8.5、さらに好ましくは5.5〜8.0である。pHを4.5〜9.0とすることによって、洗浄後のしっとり感が更に向上する。
【0038】
本発明における液体洗浄剤組成物の製剤態様は、特に限定されるものではないが、液体洗浄剤組成物を泡状に吐出させるフォーマー容器充填用洗浄剤として好適である。フォーマー容器としては、例えば、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられる。前記ノンガス型の泡吐出容器としては、液体洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、最終製剤に粘度が必要とされないものであれば、そのまま使用しても構わない。
【0039】
本発明の液体洗浄組成物は、化粧落とし用のクレンジング料のほか、ボディシャンプー、ハンドソープ、毛髪用シャンプー等として利用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、成分(a)、(b)、(c)および(d)は、成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量に対する質量%、その他の成分は、成分(a)、(b)、(c)および(d)の合計質量を100質量部としたときの質量部で表記する。実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0041】
<泡状クレンジング料の調製>
表1及び表2に示した実施例1〜11及び比較例1〜8の各原料をビーカーに全て投入し、60℃のウォーターバスで加温しながら、プロペラを使って1時間攪拌した。溶解確認後、40℃以下に冷却した。最後に、クエン酸を加えてpHを調整し、洗浄組成物を得た。調製した洗浄組成物をポンプフォーマー容器に充填し、下記の評価に用いた。
【0042】
<泡状クレンジング料の評価>
専門パネラー20名による使用感テストを行った。調製した泡状クレンジング料を手に取ってメイクを落としてもらい、1)クレンジング力、2)洗浄後のしっとり感、3)洗浄時の泡の弾力、4)洗浄時の泡の持続性について、パネラー各人が下記絶対評価にて4段階評価し、評点をつけた。5)目詰まりについては、泡状クレンジング料をプッシュして出した後、1週間保存し、再度プッシュしたときの目詰まりについて観察した。
【0043】
1)クレンジング力
泡状クレンジング料でメイクを落とし、そのクレンジング力について、以下の基準にて評価した。20名のパネラーの評価の平均点が、3.0以上を合格とした。ただし、平均点が3.0以上であっても、1点と評価するパネラーが1名以上いたら、不合格とした。
4:メイクの落ちが非常によく、クレンジング力が十分実感できる。
3:メイクの落ちがよく、クレンジング力が実感できる。
2:メイクがあまり落ちず、クレンジング力があまり実感できない。
1:メイクがほとんど落ちず、クレンジング力が実感できない。
【0044】
2)洗浄後のしっとり感
泡状クレンジング料でメイクを落とし、水で洗い流した後の肌のしっとり感について、以下の基準にて評価した。20名のパネラーの評価の平均点が、3.0以上を合格とした。ただし、平均点が3.0以上であっても、1点と評価するパネラーが1名以上いたら、不合格とした。
4:しっとり感がある。
3:ややしっとり感がある。
2:ややしっとり感にかける。
1:しっとり感にかける。
【0045】
3)洗浄時の泡の弾力
泡状クレンジング料でメイクを落としている最中の泡の弾力性について、以下の基準にて評価した。20名のパネラーの評価の平均点が、3.0以上を合格とした。ただし、平均点が3.0以上であっても、1点と評価するパネラーが1名以上いたら、不合格とした。
4:泡の弾力が非常によい。
3:泡の弾力がかなりよい。
2:泡の弾力があまりない。
1:泡の弾力がほとんどない。
【0046】
4)洗浄時の泡の持続性
泡状クレンジング料でメイクを落としている最中の泡の持続性について、以下の基準にて評価した。20名のパネラーの評価の平均点が、3.0以上を合格とした。ただし、平均点が3.0以上であっても、1点と評価するパネラーが1名以上いたら、不合格とした。
4:泡持ちが非常によい。
3:泡持ちがよい。
2:泡持ちが悪い。
1:泡持ちが非常に悪い。
【0047】
5)目詰まり
泡状クレンジング料をプッシュして出した後、1週間保存し、再度プッシュしたときの目詰まりについて観察した。○を合格とした。
○:目詰まりが起こらない。
×:目詰まりが生じる。
結果を表1および表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
*1 POE=ホ゜リオキシエチレンの略
*2 目詰まりのため、未評価
【0051】
各表に示したとおり、本発明に係る実施例1〜11の泡状クレンジング料は、いずれもメイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、洗浄後にしっとり感があり、目詰まりすることなく、さらに弾力のある泡が洗浄時も持続していた。
【0052】
これに対し、比較例1〜8では十分な効果は得られなかった。
すなわち、比較例1、2は、成分(a)に代えて、エチレンオキシドの付加モル数が85未満であるPOE(60)ラウリルエーテル、POE(30)ラウリルエーテルを用いたため、泡の弾力および泡の持続性が不十分であった。
【0053】
比較例3は、成分(a)に代えて、アルキル基の炭素数が18であるPOE(100)ステアリルエーテルを用いたため、泡の弾力および泡の持続性が不十分であった。
【0054】
比較例4は、成分(a)に代えて、カチオン化セルロースを用いたため、目詰まりが生じた。
【0055】
比較例5は、成分(b)に代えて、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを用いたため、洗浄後のしっとり感、泡の弾力および持続性が不十分であった。
【0056】
比較例6は、成分(b)に代えて、アシル基の炭素数が18であるステアロイルグルタミン酸ナトリウムを用いているため、クレンジング力、泡の弾力および泡の持続性が不十分であった。
【0057】
比較例7は、成分(b)を配合していないため、クレンジング力、洗浄後のしっとり感、泡の弾力および泡の持続性が不十分であった。
【0058】
比較例8は、成分(a)を配合していないため、泡の弾力および泡の持続性が不十分であった。
【0059】
以下、泡状クレンジング料を、実施例と同様に評価を行った。

(実施例12)
配合率(質量%)
(a) POE(100)ラウリルエーテル 6
(b) ココイルグルタミン酸ナトリウム 2
(c) グリセリン 4
(c) 1,3−ブチレングリコール 3
(c) プロピレングリコール 3
(d) 水(イオン交換水) 残部
合計質量 100
(その他の成分)
ラウラミノジ酢酸ナトリウム 1
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 1
クエン酸ナトリウム 0.95
ポリエチレングリコール1000 0.5
ポリエチレングリコール1540 0.5
エタノール 0.2
メチルパラベン 0.2
香料 0.1
フェノキシエタノール 0.1
グリチルリチン酸2カリウム 0.1
クエン酸 0.05
EDTA−2ナトリウム 0.05
エチドロン酸4ナトリウム 0.05
トコフェロール 0.02
【0060】
(実施例13)
配合率(質量%)
(a) POE(100)ラウリルエーテル 6
(b) ココイルグルタミン酸ナトリウム 2
(c) グリセリン 3
(c) 1,3−ブチレングリコール 4
(c) ソルビトール 2
(c) ジプロピレングリコール 1
(d) 水(イオン交換水) 残部
合計質量 100
(その他の成分)
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 1
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1
クエン酸ナトリウム 0.95
エタノール 0.2
メチルパラベン 0.2
香料 0.1
グリチルリチン酸2カリウム 0.1
フェノキシエタノール 0.1
クエン酸 0.05
EDTA−4ナトリウム 0.05
エチドロン酸4ナトリウム 0.05
酢酸トコフェロール 0.02
【0061】
実施例(12)、(13)の泡状クレンジング料は、メイクアップ化粧料を落とすクレンジング力を持ち、洗浄後にしっとり感があり、目詰まりすることなく、さらに弾力のある泡が洗浄時も持続していた。
図1
図2
図3