(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記連続紙の搬送方向における前記補正用画像の長さに応じて、前記弛み部分の最下面位置を基準位置よりも上昇させる量を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
前記連続紙の搬送方向における前記補正用画像の長さは、前記補正用画像読取部により前記補正用画像が読み取られる場合における前記弛み部分の最大弛み量以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[画像形成システム100の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システム100の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置2の制御系の主要部を示す。画像形成システム100は、連続紙Pまたは用紙Sを記録媒体として使用し、当該連続紙P上または用紙S上に画像を形成するシステムである。
【0014】
図1に示すように、画像形成システム100は、連続紙Pの搬送方向(以下、用紙搬送方向とも言う)に沿って上流側から、給紙装置1、画像形成装置2、弛み形成装置3(弛み形成部)および巻き取り装置4(巻き取り部)が接続されて構成される。給紙装置1、弛み形成装置3および巻き取り装置4は、連続紙P上に画像を形成する場合に使用される。
【0015】
給紙装置1は、連続紙Pを画像形成装置2へ給紙する装置である。給紙装置1の筐体内では、
図1に示すように、ロール状の連続紙Pが支持軸に巻回されて回転可能に保持されている。給紙装置1は、支持軸に巻回された連続紙Pを、複数のローラー(例えば、繰り出しローラー、給紙ローラー)を経由して、一定の速度で外部へ搬送する。給紙装置1の給紙動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。なお、給紙装置1において、連続紙Pは、必ずしもロール状に保持されている必要はなく、折り畳まれて保持されていても良い。また、
図1には、一の連続紙Pのみが示されているが、給紙装置1の筐体内において複数の連続紙が保持されていても良い。
【0016】
画像形成装置2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置2は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙装置1から給紙された連続紙Pまたは用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
【0017】
また、画像形成装置2には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0018】
図2に示すように、画像形成装置2は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、及び制御部101を備える。
【0019】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置2の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0020】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて連続紙Pまたは用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0021】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0022】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0023】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0024】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0025】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0026】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0027】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0028】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0029】
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0030】
制御部101が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
【0031】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0032】
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0033】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0034】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0035】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0036】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。なお、中間転写ベルト421については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
【0037】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0038】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423B(以下「バックアップローラー423B」と称する)に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から連続紙Pまたは用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0039】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0040】
その後、連続紙Pまたは用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が連続紙Pまたは用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、連続紙Pまたは用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は連続紙Pまたは用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された連続紙Pまたは用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0041】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
【0042】
定着部60は、連続紙Pまたは用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、連続紙Pまたは用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、連続紙Pまたは用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
【0043】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた連続紙Pまたは用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、連続紙Pまたは用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から連続紙Pまたは用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
【0044】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0045】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。また、給紙装置1から画像形成装置2へ給紙された連続紙Pは、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が連続紙Pの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された連続紙Pまたは用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0046】
弛み形成装置3は、連続紙Pの搬送方向において、画像形成装置2の下流側、かつ、巻き取り装置4の上流側に設置される。弛み形成装置3は、画像形成装置2から搬送された連続紙Pを巻き取り装置4へ搬送する。弛み形成装置3は、画像形成装置2における画像形成速度(連続紙Pの搬送速度に相当)と、巻き取り装置4における連続紙Pの巻き取り速度(連続紙Pの搬送速度に相当)との速度差を吸収するために、連続紙Pに弛み部分P1を持たせて保持する。
【0047】
弛み形成装置3の筐体内には、反射型の距離検出部80が設けられている。距離検出部80は、連続紙Pの搬送方向と直交する重力方向において、距離検出部80から連続紙Pの弛み部分P1における最下面位置P2までの距離Dを検出する距離センサーである。より具体的には、距離検出部80は、図示しない発光部および受光部を備えている。弛み形成装置3の筐体内における距離検出部80と連続紙Pとの位置関係は、発光部から発せられた光が連続紙Pの弛み部分P1の上面位置(最下面位置P2)に反射して受光部に戻るような位置関係とされる。距離検出部80は、受光部内の受光素子のどの位置に反射光が戻ってきたかによって、距離検出部80から連続紙Pの弛み部分P1における最下面位置P2までの距離Dを検出する。距離検出部80は、検出した距離Dを画像形成装置2の制御部101に送信する。
【0048】
巻き取り装置4は、弛み形成装置3を経て画像形成装置2から搬送されてきた連続紙Pを巻き取る装置である。巻き取り装置4の筐体内では、例えば、
図1に示すように、連続紙Pが支持軸に巻回されてロール状に保持される。そのために、巻き取り装置4は、弛み形成装置3から搬送されてきた連続紙Pを、複数のローラー(例えば、繰り出しローラー、排紙ローラー)を経由して、一定の速度で支持軸に巻き取る。巻き取り装置4の巻き取り動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
【0049】
本実施の形態では、制御部101は、画像形成装置2において連続紙Pに画像が形成される場合(通常の画像形成時)、距離検出部80から送信された距離Dに応じた弛み部分P1の最下面位置P2が所定範囲に常に入るように、巻き取り装置4の巻き取り速度を制御する。所定範囲は、連続紙Pの最大弛み量の約半分に応じた最下面位置P2を中心位置(以下、通常位置と言う)として含む範囲である。ただし、画像形成システム100を構成する何れかの装置に不具合が発生した場合には、弛み部分P1の最下面位置P2は、所定範囲から外れて上限の異常検知位置(距離検出部80から近い側)または下限の異常検知位置(距離検出部80から遠い側)に達する。この場合、制御部101は、距離検出部80の検出結果に基づいて、弛み部分P1の最下面位置P2が異常検知位置に達したと判断し、画像形成システム100を構成する各装置の動作を停止させる。その後、ユーザーは、画像形成システム100を構成する各装置に不具合が発生していないか当該各装置を点検する。
【0050】
また、制御部101は、画像形成装置2における画像形成速度と、巻き取り装置4における連続紙Pの巻き取り速度との速度差がなるべく生じないように、巻き取り装置4による連続紙Pの巻き取り速度を、巻き取り装置4に巻き取られた連続紙Pの外径に応じて制御する。例えば、制御部101は、連続紙Pの外径が増大するにしたがって、連続紙Pの巻き取り速度を減少させる。連続紙Pの外径は、巻き取り装置4の筐体内に設けられた反射型のセンサー(図示せず)によって検出される。
【0051】
ただし、制御部101が検出された連続紙Pの外径に応じて巻き取り速度を変化させるときにタイムラグ(遅延時間)が生じる場合がある。この場合、画像形成装置2と巻き取り装置4との間で連続紙Pを引っ張り合う現象が生じて連続紙Pに形成される画像が乱れたり、連続紙Pが破損したりするといった不具合が発生する。本実施の形態では、弛み形成装置3を設けているため、画像形成装置2と巻き取り装置4との間で一時的な連続紙Pの搬送速度差が生じても、その搬送速度差を吸収することができる。
【0052】
弛み形成装置3内において弛み形成装置3と巻き取り装置4との接続部付近には、補正用画像読取部90が設けられる。補正用画像読取部90は、カラーラインセンサーであり、連続紙Pの搬送方向と直交する方向(主走査方向)において、画像形成装置2で使用される連続紙Pの最大幅以上の幅を有し、連続紙Pに形成された補正用画像を読み取る。補正用画像は、例えばA4用紙1000枚分に相当する長さ分の画像形成処理が連続紙Pに行われる度に、制御部101の制御を受けた画像形成部40によって連続紙Pの余白部分(両端部)に形成される。
【0053】
補正用画像読取部90は、連続紙Pの搬送方向と直交する方向に複数の読取素子がライン状に配列されており、各読取素子は、連続紙P上の画像から反射された反射光に応じた出力値を画像形成装置2の制御部101に送信する。補正用画像読取部90は、赤、緑、青の各色チャンネルのラインセンサーが平行に配列されて構成されている。赤色チャンネルのラインセンサーは、赤色のフィルタを備え、光の強さに応じた出力値(R信号)を出力する。緑色チャンネルのラインセンサーは、緑色のフィルタを備え、光の強さに応じた出力値(G信号)を出力する。青色チャンネルのラインセンサーは、青色のフィルタを備え、光の強さに応じた出力値(B信号)を出力する。なお、補正用画像読取部90の光学系は、折り返しミラーを用いた縮小光学系やCIS(Contact Image Sensor)でもよい。
【0054】
連続紙Pの余白部に形成される補正用画像としては例えば
図3に示すように、色補正用のパッチ画像I(コントロールストリップ)や画像位置の片寄りを補正するための基準画像T(トンボ画像)等が挙げられる。なお、補正用画像読取部90は、印刷物上に印刷された画像の欠損、汚れ、当該印刷物に生じた皺等を検出する印刷物検品装置として使用されても良い。
【0055】
制御部101は、補正用画像読取部90の読み取り結果に応じて、画像形成部40による画像形成条件を補正する。例えば、補正用画像読取部90がパッチ画像I(コントロールストリップ)を読み取った場合には、制御部101は、画像データに基づき形成される画像の色合いを好ましい色合い(再現性の高い色合い)とするため、パッチ画像Iの読み取り結果からパッチ画像IのRGB値を算出し、その算出結果に基づいて画像形成部40による画像形成条件を補正する(色補正)。また、補正用画像読取部90が基準画像T(トンボ画像)を読み取った場合には、制御部101は、連続紙Pの主走査方向における用紙エッジ部と基準画像Tとの間の距離を求める。そして、制御部101は、その求めた距離から、連続紙Pの主走査方向における画像の位置ズレ量を算出し、当該算出した位置ズレ量に基づいて画像形成部40による画像形成条件(主走査方向の書き出しタイミング)を補正する(片寄り補正)。なお、制御部101は、本発明の補正部としても機能する。
【0056】
本実施の形態では、制御部101は、弛み形成装置3の機能を利用することによって補正用画像読取部90における補正用画像の読取精度を向上させて、高精度に画像形成条件を補正するための制御を行っている。具体的には、補正用画像読取部90により補正用画像が読み取られる場合、連続紙Pの巻き取り速度を減少させることによって、連続紙Pの搬送方向における補正用画像読取部90の読取速度を減少させ、ひいては読取解像度を増大させる。例えば、連続紙Pに通常の画像を形成する場合(通常プリント時)と比べて連続紙Pの巻き取り速度を半分に減少させることによって、連続紙Pの搬送方向における読取解像度を600[dpi]から1200[dpi]に増大させる。この際、制御部101は、弛み形成装置3における弛み部分P1の最下面位置P2を以下のように制御する。なお、制御部101は、画像形成装置2における画像形成速度を一定速度VPに制御し続ける。
【0057】
図4は、本実施の形態に係る画像形成システム100の動作例を示すフローチャートである。ステップS100の処理は、画像形成装置2の操作部22を介してユーザーにより、画像形成部40の画像形成条件を補正するための補正モードが選択され、その選択に続いてプリントボタンが押下されることにより開始する。
【0058】
まず、制御部101は、巻き取り装置4を制御し、連続紙Pの巻き取り速度を画像形成速度VP(本発明の「第1の巻き取り速度」に対応)より速い巻き取り速度VR1(本発明の「第3の巻き取り速度」に対応)に増大させることによって、弛み部分P1の最下面位置P2を連続紙Pの重力方向における通常位置(本発明の「基準位置」に対応)より高い読取開始位置に上昇させる(ステップS100)。最下面位置P2の上昇は、画像形成装置2において補正用画像が連続紙Pに形成されてから、その連続紙Pが補正用画像読取部90の読取位置に到達する時間内で完了させる。補正用画像読取部90の読取位置は、連続紙Pの搬送路上で補正用画像読取部90に対向する位置である。
【0059】
次に、制御部101は、距離検出部80の検出結果を参照し、弛み部分P1の最下面位置P2が読取開始位置に達したか否かについて判定する(ステップS120)。この判定の結果、読取開始位置に達していない場合(ステップS120、NO)、処理はステップS120の前に戻る。
【0060】
一方、読取開始位置に達した場合(ステップS120、YES)、制御部101は、連続紙Pの巻き取り速度を画像形成速度VPより遅い巻き取り速度VR2(一定速度、本発明の「第2の巻き取り速度」に対応)に減少させる(ステップS140)。そして、補正用画像読取部90による補正用画像の読取動作が開始される。連続紙Pが巻き取り速度VR2で巻き取られ、補正用画像読取部90により補正用画像が読み取られている間は、画像形成装置2における画像形成速度と、巻き取り装置4における連続紙Pの巻き取り速度VR2との速度差に起因して連続紙Pの弛み量は増大し続け、ひいては弛み部分P1の最下面位置P2は重力方向に下降する。
【0061】
次に、制御部101は、距離検出部80の検出結果を参照し、弛み部分P1の最下面位置P2が通常位置より低い読取終了位置に達したか否かについて判定する(ステップS160)。この判定の結果、読取終了位置に達していない場合(ステップS160、NO)、処理はステップS160の前に戻る。
【0062】
一方、読取終了位置に達した場合(ステップS160、YES)、制御部101は、巻き取り装置4を制御し、連続紙Pの巻き取り速度を画像形成速度VPより速い巻き取り速度VR3に増大させることによって、弛み部分P1の最下面位置P2を読取終了位置から通常位置に上昇させる(ステップS180)。制御部101は、補正用画像の読取動作時における巻き取り速度の低下によって生じた巻き取り量の遅れを取り戻すように、巻き取り速度VR3を設定する。この時点で、補正用画像読取部90による補正用画像の読取動作は終了される。制御部101は、補正用画像読取部90の読み取り結果に応じて、画像形成部40における画像形成条件を補正する。
【0063】
最後に、制御部101は、距離検出部80の検出結果を参照し、弛み部分P1の最下面位置P2が通常位置に達したか否かについて判定する(ステップS200)。この判定の結果、通常位置に達していない場合(ステップS200、NO)、処理はステップS200の前に戻る。一方、通常位置に達している場合(ステップS200、YES)、画像形成システム100は、
図4における処理を終了する。
【0064】
なお、巻き取り速度VR1,VR3については、以下のように算出する。
図5は、連続紙Pが搬送される搬送路を概略的に示す図である。
図5において、POS1は、連続紙Pに補正用画像が転写される位置である。POS2は、弛み形成装置3の筐体内において連続紙Pの弛みが開始する位置である。POS3は、弛み形成装置3の筐体内において連続紙Pの弛みが終了する位置である。POS4は、補正用画像読取部90により連続紙P上の補正用画像が読み取られる位置である。L1は、位置POS1と位置POS2との間の距離である。L2は、位置POS2と位置POS3との間の距離である。L3は、位置POS3と位置POS4との間の距離である。Δaは、弛み部分P1の最下面位置P2が上限の異常検知位置に位置する場合において距離検出部80から最下面位置P2までの距離である。Δbは、弛み部分P1の最下面位置P2が読取開始位置に位置する場合において距離検出部80から最下面位置P2までの距離である。Δcは、弛み部分P1の最下面位置P2が通常位置に位置する場合において距離検出部80から最下面位置P2までの距離である。Δdは、弛み部分P1の最下面位置P2が読取終了位置に位置する場合において距離検出部80から最下面位置P2までの距離である。Δeは、弛み部分P1の最下面位置P2が下限の異常検知位置に位置する場合において距離検出部80から最下面位置P2までの距離である。
【0065】
まず、弛み部分P1の最下面位置P2が通常位置に位置する場合において、連続紙Pが位置POS1から位置POS4に搬送されるまでの時間t1を以下の式(1)から算出する。なお、時間t1は、弛み部分P1の最下面位置P2が通常位置から読取開始位置に移動しながら、連続紙Pが位置POS1から位置POS4に搬送されるまでの時間より長い。
t1={L1+2(Δc−L2/2)+L2・π/2+L3}/VP・・・(1)
【0066】
次に、補正用画像読取部90による補正用画像の読取動作が開始してから終了するまでの時間t2を以下の式(4)から算出する。式(2),(3)は、式(4)を導くための途中式である。VYは、補正用画像読取部90による補正用画像の読取速度(通常の画像形成時における巻き取り速度より遅い)であり、予め定められた連続紙Pの巻き取り速度VR2に等しい。
VP・t2−VY・t2=2(Δd−Δb)・・・(2)
(VP−VY)・t2=2(Δd−Δb)・・・(3)
t2=2(Δd−Δb)/(VP−VY)・・・(4)
【0067】
次に、補正用画像読取部90による補正用画像の読取動作が終了してから弛み部分P1の最下面位置P2を通常位置に移動させる時間t3を算出する。本実施の形態では、補正用画像の読取動作が開始してから終了するまでの時間t2と同じ時間で、弛み部分P1の最下面位置P2を通常位置に移動させることとする。つまり、以下の式(5)が成り立つ。
t3=t2・・・(5)
【0068】
次に、弛み部分P1の最下面位置P2を通常位置から読取開始位置に移動させる際の巻き取り速度VR1を以下の式(6)に基づいて算出する。
VR(t)dt−VP(t1−t0)=2(Δc−Δb)・・・(6)
ここで、t0は、現時点から、連続紙Pに補正用画像が転写されるまでの時間である。
本実施の形態では、巻き取り速度VR1を一定速度として以下の式(9)から算出する。式(7),(8)は、式(9)を導くための途中式である。
VR1(t1−t0)−VP(t1−t0)=2(Δc−Δb)・・・(7)
VR1(t1−t0)=2(Δc−Δb)+VP(t1−t0)・・・(8)
VR1=2(Δc−Δb)/(t1−t0)+VP・・・(9)
【0069】
次に、弛み部分P1の最下面位置P2を読取終了位置から通常位置に移動させる際の巻き取り速度VR3を以下の式(10)に基づいて算出する。
VR(t)dt−VP(t3−t2)=2(Δd−Δc)・・・(10)
本実施の形態では、巻き取り速度VR3を一定速度として以下の式(13)から算出する。式(11),(12)は、式(13)を導くための途中式である。
VR3(t3−t2)−VP(t3−t2)=2(Δd−Δc)・・・(11)
VR3(t3−t2)=2(Δd−Δc)+VP(t3−t2)・・・(12)
VR3=2(Δd−Δc)/(t3−t2)+VP・・・(13)
【0070】
また、連続紙Pの搬送方向において補正用画像読取部90により読み取り可能な補正用画像の長さ(全長)PLは、以下の式(14)から算出することができる。補正用画像の長さPLは、補正用画像読取部90により補正用画像が読み取られる場合における弛み部分P1の最大弛み量以下である。最大弛み量は、弛み部分P1の最下面位置P2が下限の異常検知位置に位置する場合における弛み部分P1の弛み量から、上限の異常検知位置に位置する場合における弛み部分P1の弛み量を減算した弛み量である。
PL=VY・t2=2・VY(Δd−Δb)/(VP−VY)・・・(14)
ここで、読取開始位置を固定した場合、すなわちΔbの値を固定にした場合には、式(14)を変形した以下の式(15)が成り立つ。
Δd=PL(VP/2・VY−1/2)+Δb・・・(15)
つまり、補正用画像の長さPLに応じて、Δdの値に応じた読取終了位置の値を変更しても良い。
一方、読取終了位置を固定した場合、すなわちΔbの値を固定にした場合には、式(14)を変形した以下の式(16)が成り立つ。
Δb=Δd−PL(VP/2・VY−1/2)・・・(16)
つまり、補正用画像の長さPLに応じて、Δdの値に応じた読取開始位置の値(弛み部分P1の最下面位置P2を通常位置よりも上昇させる量)を変更しても良い。
【0071】
[本実施の形態における効果]
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成システム100は、連続紙Pに画像を形成する画像形成部40と、画像形成部40により画像が形成された連続紙Pを巻き取る巻き取り装置4と、連続紙Pに重力方向の弛み部分P1を形成する弛み形成装置3と、画像形成部40により連続紙Pに形成された補正用画像を読み取る補正用画像読取部90と、補正用画像読取部90の読み取り結果に応じて、画像形成部40における画像形成条件を補正する補正部(制御部101)と、巻き取り装置4の巻き取り速度を通常の画像形成時には第1の巻き取り速度に制御する一方、補正用画像読取部90により補正用画像が読み取られる場合に、第1の巻き取り速度より遅い第2の巻き取り速度に制御する制御部101とを備える。
【0072】
このように構成した本実施の形態によれば、補正用画像読取部90により補正用画像が読み取られる場合、連続紙Pの巻き取り速度は減少されるため、連続紙Pの搬送方向における補正用画像読取部90の読取速度は減少し、ひいては読取解像度は増大する。また、搬送される連続紙Pのばたつきは小さくなり、その結果として連続紙Pをより定速で搬送することができる。よって、補正用画像読取部90における補正用画像の読取精度を向上させて、高精度に画像形成条件を補正することができる。また、連続紙Pの巻き取り速度が減少されることにより、巻き取り装置4と画像形成部40との間に連続紙の搬送速度差が発生することとなるが、その搬送速度差は弛み形成装置3に吸収されるため、画像形成部40における画像形成速度を減少させる必要はない。以上より、画像形成の生産性を低下させることなく、高精度に画像形成条件を補正することができる。
【0073】
なお、上記実施の形態では、弛み部分P1の最下面位置P2が通常位置から読取開始位置に移動して補正用画像の読み取りを開始し、その後、最下面位置P2が読取終了位置に移動してから補正用画像の読み取りを終了する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、弛み部分P1の最下面位置P2を読取開始位置に移動させず、最下面位置P2が通常位置に位置するときから補正用画像の読み取りを開始し、その後、最下面位置P2が読取終了位置に移動してから補正用画像の読み取りを終了するようにしても良い。
【0074】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。