(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記昇圧回路は、前記動作用スイッチング素子と、蓄電器と、整流器とを含むチャージポンプ回路を用いて、前記第2の電圧よりも高い電圧を生成する、請求項1又は2に記載の電源制御装置。
前記昇圧回路は、前記動作用スイッチング素子と、蓄電器と、整流器と、リアクトルとを含む昇圧チョッパ回路を用いて、前記第2の電圧よりも高い電圧を生成する、請求項1又は2に記載の電源制御装置。
前記第1の電源用のトランスから前記整流部の順方向電圧降下は、前記動作用スイッチング素子のオン電圧よりも高い、請求項1から6のいずれかに記載の電源制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置について説明する。
【0021】
画像形成装置は、用紙などをローラにより搬送しその用紙などに電子写真方式により印刷(プリント)を行うプリント機能や、文書データなどをHDD(Hard Disk Drive)などに保存するサーバ機能などを有している。画像形成装置は、電源制御装置を有し、電源制御装置によって交流電源から生成された直流電圧を用いて、種々の機能を実行する。
【0023】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の全体の構成について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置のハードウェア構成を示す側面図である。
【0026】
図を参照して画像形成装置1は、給紙カセット3と、排紙トレイ5と、プリント部30と、電源装置(電源制御装置の一例)600とを備える。
【0027】
給紙カセット3は、画像形成装置1の下部に、画像形成装置1の筐体に抜き差し可能に配置されている。各給紙カセット3に装てんされた用紙は、印字時に、1枚ずつ給紙カセット3から給紙され、プリント部30に送られる。給紙カセット3の数は1つに限られず、それより多くてもよい。
【0028】
排紙トレイ5は、画像形成装置1の筐体の上方に配置されている。排紙トレイ5には、プリント部30により画像が形成された用紙が筐体の内部から排紙される。
【0029】
プリント部30は、画像形成装置1の筐体の内部に配置されている。プリント部30は、おおまかに、用紙搬送部200と、トナー像形成部300と、定着装置400と、駆動部(
図2に図示)500とを有している。プリント部30は、いわゆるタンデム方式でCMYKの4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成されている。
【0030】
用紙搬送部200は、給紙ローラ210、搬送ローラ220、排紙ローラ230などで構成されている。給紙ローラ210、搬送ローラ220、及び排紙ローラ230は、それぞれ、例えば対向する2つのローラで用紙を挟みながらそのローラを回転させて用紙を搬送する。給紙ローラ210は、給紙カセット3から用紙を1枚ずつ給紙する。給紙ローラ210により、用紙が画像形成装置1の筐体の内部に給紙される。搬送ローラ220は、給紙ローラ210により給紙された用紙をトナー像形成部300に搬送する。また、搬送ローラ220は、定着装置400を経由した用紙を排紙ローラ230に搬送する。排紙ローラ230は、搬送ローラ220により搬送された用紙を画像形成装置1の筐体の外部に排出する。用紙搬送部200は、これら以外にも用紙を搬送するためなどに用いられるローラを有していてもよい。
【0031】
トナー像形成部300は、4色のトナーボトル301Y,301M,301C,301K(以下、これらをまとめてトナーボトル301と呼ぶことがある)と、中間転写ベルト305と、転写ローラ307と、4組の現像ユニット310Y,310M,310C,310K(以下、これらをまとめて現像ユニット310と呼ぶことがある)と、レーザスキャンユニット320などで構成されている。
【0032】
イエロートナーボトル301Y、マゼンタトナーボトル301M、シアントナーボトル301C、ブラックトナーボトル301Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のCMYK各色のトナーを貯蔵する。
【0033】
中間転写ベルト305は、環状であり、2つのローラ間に架けわたされている。中間転写ベルト305は、用紙搬送部200と連動して回転する。転写ローラ307は、中間転写ベルト305のうち一方のローラに接触している部分に対向するように配置されている。用紙は、中間転写ベルト305と転写ローラ307との間で挟持されながら搬送される。
【0034】
現像ユニット310は、感光体311(現像ユニット毎に感光体311Y,311M,311C,311Kが設けられる。)、現像装置、クリーナ、及び帯電器などを含む。イエロー現像ユニット310Y,マゼンタ現像ユニット310M,シアン現像ユニット310C,ブラック現像ユニット310Kは、それぞれY、M、C、Kの画像を形成するために配置されている。現像ユニット310は、中間転写ベルト305の直下に並置されている。レーザスキャンユニット320は、各感光体311上にレーザ光を走査可能に配置されている。
【0035】
トナー像形成部300において、レーザスキャンユニット320は、YMCKの各色別の画像データに基づいて、帯電器により一様に帯電した感光体311上に潜像を形成する。現像装置は、各感光体311に各色別のトナー像を形成する。各感光体311は、トナー像を中間転写ベルト305に転写し、その中間転写ベルト305上に、用紙に形成するトナー像の鏡像を形成する(1次転写)。その後、高電圧が印加された転写ローラ307により、中間転写ベルト305に形成されたトナー像が用紙に転写され、用紙上にトナー像が形成される(2次転写)。
【0036】
画像形成により現像ユニット310内のトナーが少なくなると、各色のトナーボトル301内に保管されたトナーが現像ユニットに供給される。
【0037】
定着装置400は、加熱ローラ401及び加圧ローラ403を有している。定着装置400は、加熱ローラ401と加圧ローラ403とでトナー像が形成された用紙を挟持しながら搬送し、その用紙に加熱及び加圧を行う。これにより、定着装置400は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。定着装置400を経由した用紙は、排紙ローラ230により、画像形成装置1の筐体から排紙トレイ5に排出される。
【0038】
駆動部500は、例えば、メインモータ501、定着モータ502、黒現像モータ503、カラー現像モータ504、及びカラー感光体モータ505を有している。駆動部500は、後述するCPU21(
図2に示す。)の制御の下で駆動される。メインモータ501は、給紙工程から転写工程までの用紙搬送と、中間転写ベルト305及び黒感光体311Kの駆動とを行う。定着モータ502は、定着装置400の駆動を行う。黒現像モータ503は、ブラック現像ユニット310Kの駆動を行う。カラー現像モータ504は、イエロー・マゼンタ・シアンの現像ユニット310Y,310M,310Cの駆動を行う。カラー感光体モータ505は、イエロー・マゼンタ・シアンの感光体311Y,311M,311Cの駆動を行う。
【0039】
画像形成装置1に印字が指示されると、給紙カセット3に格納された用紙は、給紙ローラ210により1枚ずつ取り出される。用紙は、給紙ローラ210、搬送ローラ220により搬送される。給紙と並行して、帯電された各色の感光体311Y,311M,311C,311Kが、レーザスキャンユニット320により画像データに基づき露光される。感光体311上には、各色の現像ユニット310Y,310M,310C,310K内のトナーで現像されることで、トナー画像が形成される。各色の感光体311上に形成されたトナー画像は中間転写ベルト305上に転写され、中間転写ベルト305上に4色分のトナー画像が形成される。次に、転写ローラ307に電圧が印加されることで、中間転写ベルト305上に形成されたトナー画像が搬送された用紙に転写される。用紙上に形成されたトナー画像は、用紙が定着装置400を通過し熱と圧力が加えられることで、用紙に定着される。トナー画像が定着された用紙は、排紙ローラ230により排紙トレイ3に排出される。
【0040】
電源装置600は、画像形成装置1の各部に、比較的低圧な駆動用電源と制御用電源とを供給する、低圧電源である。電源装置600の構成の詳細については、後述する。
【0041】
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0042】
図を参照して、画像形成装置1は、さらに、操作部11と、制御部(CPU部)20と、不揮発性メモリ27と、インターフェイス部29とを備えている。
【0043】
操作部11は、画像形成装置1の筐体に、ユーザにより操作可能に配置されている。操作部11には、表示パネル13が配置されている。表示パネル13は、例えば、タッチパネルを備えたLCD(Liquid Crystal Display)である。表示パネル13は、ユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作を受け付けたりする。表示パネル13は、制御部20のCPU21により制御されて表示を行う。操作部11は、表示パネル13や操作ボタン(図示せず)などがユーザにより操作されると、その操作に応じた操作信号又は所定のコマンドをCPU21に送信する。すなわち、ユーザは、操作部11に操作を行うことにより、画像形成装置1に種々の動作を実行させることができる。
【0044】
制御部20は、CPU21と、ROM(Read Only Memory)23と、RAM(Random Access Memory)25などを有している。制御部20は、操作部11、不揮発性メモリ27、インターフェイス部29、及び電源装置600などと共にシステムバスに接続されている。これにより、制御部20と画像形成装置1の各部とが、信号を送受可能に接続されている。
【0045】
CPU21は、ROM23、RAM25、又は不揮発性メモリ27などに記憶された制御プログラム23aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU21は、操作部11から操作信号が送られたり、クライアントPCなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じた制御プログラム23aを実行する。これにより、ユーザによる操作部11の操作などに応じて、画像形成装置1の動作が行われる。
【0046】
ROM23は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM23には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。また、ROM23には、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム(プログラム)23aが記憶されている。そのほか、ROM23には、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU21は、所定の処理を行うことにより、ROM23からのデータの読み込みや、ROM23へのデータの書き込みを行う。ROM23は、書換え不可能なものであってもよい。
【0047】
RAM25は、CPU21のメインメモリである。RAM25は、CPU21が制御プログラム23aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
【0048】
不揮発性メモリ27は、例えばプリント枚数などの寿命状態に関する情報など、画像形成装置1の電源オフ後も維持が必要な情報を記憶する。また、不揮発性メモリ27は、例えば、インターフェイス部29を介して外部から送られたジョブのデータなどを記憶する。不揮発性メモリ27は、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラムなどを記憶するように構成されていてもよい。不揮発性メモリ27は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。不揮発性メモリ27は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュROMなどで構成される。
【0049】
インターフェイス部29は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェア部と、所定の通信プロトコルで通信を行うソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。インターフェイス部29は、画像形成装置1をLANなどの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置1は、外部ネットワークに接続されているクライアントPCなどの外部装置と通信可能になる。画像形成装置1は、クライアントPCからジョブを受信可能である。また、画像形成装置1は、画像データを、クライアントPCに送信したり、メールサーバなどを介してE−mailにより送信したりすることができる。
【0050】
インターフェイス部29は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。インターフェイス部29は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスであってもよい。この場合、インターフェイス部29は、通信ケーブルを介して接続された外部装置と画像形成装置1とを通信可能にする。
【0051】
電源装置600は、画像形成装置1の筐体の内部に設けられている。電源装置600は、商用電源に接続され、商用電源を基に画像形成装置1の各部に電力を供給する。
【0052】
現像ユニット310Y,310M,310C,310Kには、それぞれ、不揮発性メモリ319Y,319M,319C,319Kが設けられている。また、トナーボトル301Y,301M,301C,301Kには、それぞれ、不揮発性メモリ309Y,309M,309C,309Kが設けられている。現像ユニット310やトナーボトル301は、消耗品である。CPU21は、それぞれの消耗品に関する寿命状態などの情報を、これらの不揮発性メモリ319Y〜319K,309Y〜309Kに格納する。これにより、各消耗品を取り外して、別の画像形成装置に装着した場合であっても、その消耗品の寿命状態を、その移行先の画像形成装置に反映させることができる。したがって、各消耗品の寿命管理を確実に行い、適正に画像をプリント可能にすることができる。
【0053】
ここで、画像形成装置1は、動作モードとして、例えば通常のプリント機能などを実行する通常動作モードと、通常動作モードの下での動作時よりも省電力化される省エネモード(省エネルギーモード、スリープモード)とを有している。画像形成装置1は、通常動作モードの下での動作時において、例えばプリント機能などが所定期間行われなかったときに、省エネモードに移行する。画像形成装置1は、省エネモードの下での動作時において、例えばプリント機能などを実行する場合、通常動作モードに移行する。このように、一時的に画像形成装置1が使用されない場合などにおいては、画像形成装置1が省エネモードで駆動されるので、画像形成装置1の消費電力を低減することができる。
【0055】
次に、電源装置600の構成について説明する。
【0056】
図3は、電源装置600の構成を示す回路図である。
【0057】
図を参照して、電源装置600は、第1の電源601と、第2の電源602と、第3の電源603とを生成する。第1の電源601は、例えば24Vの直流電源であり、駆動用電源である。第2の電源602は、例えば5Vの直流電源であり、制御用電源である。第3の電源603は、例えば第2の電源602よりも高い、10Vの直流電源である。第3の電源603は、第1の電源601の過電流保護検出回路655を動作させる。
【0058】
電源装置600は、大まかに、一次側回路部610と、共振電源部620と、フライバック電源部630と、昇圧回路640とを有している。また、電源装置600は、第1制御回路651(昇圧制御回路CC1)と、第2制御回路652(共振電源制御回路CC2)と、第3制御回路653(フライバック制御回路CC3)と、過電流保護検出回路655(オペアンプOP1)とを有している。
【0059】
一次側回路部610には、整流部611が設けられている。整流部611には交流電源(Vac)101が入力される。交流電源101は、例えば商用電源であり、日本国内ではAC100Vである。
【0060】
整流部611は、4つのダイオードD1〜D4を有している。交流電源101の交流電力は、各ダイオードD1〜D4によって全波整流される。これにより直流電力が得られる。
【0061】
一次側回路部610は、整流部611で得られた直流電力の出力を、略一定の電圧(例えば400V)になるように昇圧し、共振電源部620に出力する。すなわち、整流部611からの直流電力のエネルギーが、リアクトルL1に蓄えられる。これは、リアクトルL1を介して接続されたMOS型の電界効果トランジスタ(MOSFET)であるスイッチング素子Q1が一定時間オンにされることにより行われる。リアクトルL1は、還流用のダイオードD5などを介してコンデンサC1に接続されている。その後、スイッチング素子Q1が一定時間オフにされ、リアクトルL1に蓄えられたエネルギーがコンデンサC1に蓄積される。この繰り返しが行われることにより、昇圧動作が行われる。
【0062】
スイッチング素子Q1の制御は、第1制御回路(昇圧制御回路)651により行われる。すなわち、第1制御回路651のPFCスイッチング端子CPは、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート端子)に接続されており、PFCスイッチング端子CPからオン・オフ信号が出力されることでスイッチング素子Q1が動作する。
【0063】
共振電源部620は、電流共振型の電源である。共振電源部620は、一次側回路部610の出力に直列に接続されたスイッチング素子Q2,Q3と、トランスT1と、コンデンサC2とを有している。共振電源部620において、第2制御回路(共振電源制御回路)652は、出力CHとCLにより、高電位側のスイッチング素子Q2と低電位側のスイッチング素子Q3とを交互にデューティ50%でオン・オフする。スイッチング素子Q2,Q3のスイッチングの周波数は、トランスT1を経て出力される出力電圧が一定となるように制御される。共振電源部の二次側は、ダイオードD6,D7により全波整流され、コンデンサC3により平滑され、出力される。この出力は、駆動用電源である例えば24Vの第1の電源601となる(第1の電源601が生成される)。
【0064】
また、一次側回路部610で昇圧された出力電圧は、フライバック電源部630にも出力される。
【0065】
フライバック電源部630は、トランスT2と、スイッチング素子Q4とを有している。
【0066】
スイッチング素子Q4の制御は、第3制御回路(フライバック制御回路)653により行われる。すなわち、第3制御回路653のスイッチングオン・オフ端子CFは、スイッチング素子Q4の制御端子(ゲート端子)に接続されており、スイッチングオン・オフ端子CFからオン・オフ信号が出力されることでスイッチング素子Q4が動作する。スイッチング素子Q4は、トランスT2を経て出力される出力電圧が一定となるように、第3制御回路653による制御に基づいて動作する。
【0067】
フライバック電源部630の二次側の出力電圧は、ダイオードD9で整流され、コンデンサC5で平滑され、出力される。この出力は、画像形成装置1の制御用電源である、例えば5Vの第2の電源602となる(第2の電源602が生成される)。
【0068】
なお、トランスT2の補助巻線出力は、ダイオードD8で整流され、コンデンサC4で平滑され、補助巻線電源(制御電源出力)VSとなる。補助巻線電源VSは、第1制御回路651、第2制御回路652、及び第3制御回路653のそれぞれの電源として、電源端子Vcc1,Vcc2,Vcc3に供給される。
【0069】
ここで、電源装置600は、第1の電源601の出力の短絡等が発生したとき、それを検出して回路が保護されるように動作するように構成されている。
【0070】
すなわち、第1の電源601の24Vが出力される経路には、オペアンプOP1を用いて構成される過電流保護検出回路655が接続されている。共振電源部620の出力電流を抵抗R2と抵抗R3とで分圧した電圧が、オペアンプOP1のV+端子に入力される。また、電流検出抵抗R1を挟んだ上で抵抗R4と抵抗R5とで分圧した電圧が、V−端子に入力される。オペアンプOP1は、この2つの電圧を比較し、あらかじめ設定された過電流値以上となったときに、オペアンプOP1の出力がハイ(H)となる。オペアンプOP1の出力は、トランジスタQ8に接続されている。トランジスタQ8は、抵抗R6を介して第2の電源602の出力ライン(5Vライン)に接続されたフォトカプラPC1をオン・オフする。フォトカプラPC1の二次側は、第3制御回路653のラッチ端子LAに接続されている。
【0071】
オペアンプOP1の出力がハイになると、トランジスタQ8がオンとなり、フォトカプラPC1がオンとなる。そうすると、ラッチ端子LAがロー(L)になり、第3制御回路653の発信が停止される。これにより、フライバック電源部630が停止する。また、これにより補助巻線電源VSが停止して制御回路CC1,CC2の電源供給が停止することとなり、トランスT1,T2が停止する。
【0072】
昇圧回路640は、動作用スイッチング素子(トランジスタ)Q5〜Q7と、コンデンサ(蓄電器の一例)C6,C7と、ダイオード(整流器の一例)D10〜D12と、抵抗R8〜T11とを有している。昇圧回路640は、チャージポンプ回路であり、10Vの第3の電源603を生成し出力する。
【0073】
昇圧回路640のチャージポンプの発振用ラインは、トランスT1の二次側出力の一端とダイオードD7のアノードとの間と、動作用スイッチング素子Q5の駆動部(ゲート)との間に接続されている。これにより、DUTY50%で常に稼働する共振電源によって、動作用スイッチング素子Q5がスイッチング動作を行い、第2の電源602の出力である5Vが、ダイオードD11,D12とコンデンサC6,C7とによって、倍の高さの電圧に昇圧される。
【0074】
ここで、第1の電源601の出力が短絡しているときには、共振電源部620のダイオードD7のカソードの電圧は、0Vとなる。その一方で、アノードの電圧は、ファーストリカバリーダイオードD7の順方向電圧降下分だけ高くなり、約1Vになる。換言すると、第1の電源601用のトランスT1からダイオードD7の順方向電圧降下は、動作用スイッチング素子Q7のオン電圧よりも高くなっている。
【0075】
昇圧回路640の発振用のスイッチング素子Q7のベースエミッタ間電圧Vbeは、約0.6Vであり、ダイオードD7のアノードの電圧(1V)よりも低い。そのため、第1の電源601の出力が短絡しているときも、スイッチング素子Q7はスイッチングを行うこととなる。すなわち、本実施の形態では、第1の電源601の出力が短絡しているときも、昇圧回路640は動作し、10Vの第3の電源603が出力される。
【0076】
第3の電源603は、第1の電源601の過電流保護検出回路655用のオペアンプOP1の電源にも接続されている。したがって、第1の電源601の出力短絡時や短絡起動時においても、あらかじめ設定した電流値を超える電流が流れたときに、過電流保護検出回路655が働き、回路が保護される。
【0077】
なお、本実施の形態において、画像形成装置1の動作モードが省エネルギーモードとなるとき、電源装置600も省エネルギーモードで動作する。すなわち、画像形成装置1が省エネルギーモードとなると、電源装置600に送られるスリープ信号SLEEPが、通常動作モードに対応するハイ(H)から、省エネルギーモードに対応するロー(L)に変化する。スリープ信号SLEEPは、第1制御回路651のオン・オフ端子ST1と、第2制御回路652のオン・オフ端子ST2とに接続されている。スリープ信号SLEEPとしてローがオン・オフ端子ST1,ST2に入力されると、制御回路651,652の出力が停止することにより一次側回路部610及び共振電源部620の動作が停止する。
【0078】
このように制御回路651,652の出力が停止することにより、一次側回路部610及び共振電源部620の動作が停止するが、5Vの第2の電源602の動作は継続される。しかし、動作用スイッチング素子Q5の発振が停止することによって、昇圧回路640の動作が停止するため、10Vの第3の電源603は出力されない。したがって、省エネルギーモード時においては、第2の電源602は動作し、第1の電源601及び第3の電源603は動作しないので、確実に省エネルギーの動作状態が維持される。
【0080】
図4は、本実施の形態の一変型例に係る電源装置600aの構成を示す回路図である。
【0081】
図4に示されるように、チャージポンプ回路に代えて昇圧チョッパ回路を用いた昇圧回路640aが設けられていてもよい。昇圧回路640aは、動作用スイッチング素子Q5と、コンデンサ(蓄電器の一例)C6と、ダイオード(整流器の一例)D9,D10と、リアクトルL2とを有している。動作用スイッチング素子Q5の一端は、リアクトルL2を介して第2の電源602の出力側ラインに接続されている。
【0082】
昇圧チョッパ回路640aの動作は、次のようである。すなわち、動作用スイッチング素子Q5がオンとなったときにリアクトルL2にエネルギーをチャージし、動作用スイッチング素子Q5がオフとなったときにダイオードD9を介してコンデンサC6にエネルギーをチャージすることにより、第2の電源602の出力電圧よりも高い、例えば10Vの第3の電源603の出力を得られる。その他の動作は、上述の実施の形態と同様である。
【0084】
以上のように構成された画像形成装置では、電源装置600において共振電源部620のトランスT1の出力パルスを利用し、制御用の第2の電源602の出力電圧を昇圧して、共振電源部620の動作に同期し、第1の電源601の過電流保護検出回路655を機能させる。したがって、第1の電源601の出力短絡時にも動作可能で、共振電源部620のオフ時には、第2の電源602についての損失が発生しないようにして、第2の電源602から昇圧された第1の電源601の過電流保護検出回路用の電源を安価に生成できる。換言すると、第2の電源602を昇圧した第3の電源603を第1の電源601の過電流保護回路用の電源に使用することで、駆動用電源の短絡起動時も含めて、回路を保護することができる。また、省エネルギー動作時において、第1の電源601のオフ時にそれに同期して同期して昇圧回路640が停止するので、第2の電源602の損失がなくなり、確実に省エネルギーモードの効果が得られる。
【0085】
また、本実施の形態では、駆動用電源が第1の電源601であり、第1の電源601は、電源動作時は常にDUTY50%の正弦波にて発振しているものである。したがって、第3の電源603が、トランスT1の出力パルスを利用し、第2の電源602の出力電圧を昇圧した電圧を生成し、第3の電源を駆動用電源の過電流保護回路に供給することができる。
【0087】
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などいずれであってもよい。また、画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)であってもよい。スキャナ機能では、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD等に蓄積する。複写機能では、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する。プリンタとしての機能では、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う。ファクシミリ機能では、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する。データ通信機能では、接続された外部機器との間でデータを送受信する。サーバ機能では、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする。
【0088】
画像形成装置は、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
【0089】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0090】
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0091】
本発明は、画像形成装置に限らず、他種の装置や、それに用いられる電源装置に広く適用可能である。
【0092】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。