(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237198
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】リード線のガイド構造、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
H05K7/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-261068(P2013-261068)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-119024(P2015-119024A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清
【審査官】
石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−222217(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00439176(EP,A1)
【文献】
特開平10−215084(JP,A)
【文献】
実開昭57−071380(JP,U)
【文献】
実開昭61−172420(JP,U)
【文献】
実開昭64−018787(JP,U)
【文献】
米国特許第05952616(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00−7/12
G06F 3/02−3/027
H03M 11/04
11/08−11/14
11/20−11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー回路基板の一面側に配置された弾性絶縁材料のキーシートに設けられた突起が、当該キー回路基板の貫通孔に貫通されて当該キー回路基板の他面側に突出され、
前記突起の前記キー回路基板の他面側への突出部に形成された溝に、前記キー回路基板の他面側に配置された電子部品のリード線が挿入されて挟み込まれていることを特徴とするリード線のガイド構造。
【請求項2】
前記キー回路基板の一部に前記電子部品が配置されて、
前記キー回路基板の外側にメイン回路基板の端子部が配置され、
前記リード線の一端が前記電子部品の端子部に半田付けされて、
前記リード線の他端が前記メイン回路基板の端子部に半田付けされていることを特徴とする請求項1に記載のリード線のガイド構造。
【請求項3】
前記キー回路基板、前記キーシート、及び、前記リード線が収容されるケースに一体形成された突起が、前記弾性絶縁材料のキーシートに設けられた突起の裏側に形成された穴に挿入されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリード線のガイド構造。
【請求項4】
前記突起の前記他面側への突出部に前記溝が略平行に複数形成され、
前記複数の略平行する前記溝に前記リード線がそれぞれ挿入されて挟み込まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のリード線のガイド構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガイド構造を有し、
前記キー回路基板と、
前記キーシートと、
前記リード線と、
当該キー回路基板、当該キーシート、及び、当該リード線が収容されるケースと、を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ等の電子部品のリード線のガイド構造と、そのガイド構造によるリード線を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、スピーカのリード線を固定用基板のスリットに挟持させた構造が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−291089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、スピーカが組み込まれた上ケースに下ケースを組み付ける際に、下ケースのリブがスピーカのリード線を噛み込んでしまうことがある。
これを避けるため、リード線をテープ等で固定すると、コストがアップし、組み付け作業効率が低下する。
【0005】
本発明の課題は、電子部品のリード線を基板に沿わせた状態に保持して、ケースを組み付けてもリード線を噛み込むことがなく、固定用テープを廃止して、組み付け作業性の向上とコストダウンを図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明は、
キー回路基板の一面側に配置された弾性絶縁材料のキーシートに設けられた突起
が、当該キー回路基板の貫通孔に貫通されて当該キー回路基板の他面側に突出され、
前記突起の前記
キー回路基板の他面側への突出部に形成された溝に、前記キー回路基板の他面側に配置された電子部品のリード線が挿入されて挟み込まれている、リード線のガイド構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キーのズレ防止用の突起に形成した溝にリード線を固定できるので、ケースを組み付けてもリード線を噛み込むことがなくなる。
従って、組み付け作業性もよくなり、固定用テープを廃止して、コストダウンできる。
また、キーは絶縁材料なので、リード線の被覆が切れてもショートすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、電子辞書の電子部品実装構造例を示した平面図である。
【
図2】
図1の矢印A−A線に沿った拡大断面図である。
【
図3】
図1のリード線を通すための溝を有するズレ防止リブの拡大図(a)と、その溝にリード線を通した状態の図(b)である。
【
図4】
図3(b)の矢印B−B線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1及び
図2は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として電子辞書の電子部品実装構造例を示すもので、1は上ケース、2はメイン回路基板、3はキー回路基板、4はゴムキー、5はスピーカ(電子部品)、6はリード線である。
【0010】
図示のように、上ケース1にメイン回路基板2、キー回路基板3が固定され、キー回路基板3の下にはゴムキー4が配置されている。ゴムキー4は、キー回路基板3のキー接点を有する面に配置され、シート状部材のキーシートに変形可能なドーム形状の複数のキー釦が一体に形成されている。そして、ゴムキー4には、後述するように、キー釦が形成されているシート面とは反対のシート面にズレ防止用の突起41が、キー釦同士の間に複数形成されている。
また、キー回路基板3の略中央部に位置する電子部品であるスピーカ5が上ケース1に固定されている。
【0011】
スピーカ5の一対のプラス/マイナス端子部には、一対のリード線6の一端が半田でそれぞれ固定されている。
また、一対のリード線6の他端は、メイン回路基板2のキー回路基板3に対し右側方に位置する一対のプラス/マイナス端子部に半田でそれぞれ固定されている。
【0012】
そして、ゴムキー4のシートに設けられた7箇所のズレ防止用の突起41が、キー回路基板3の貫通孔31をそれぞれ貫通して、キー回路基板3に対するゴムキー4のズレ防止となっている。
さらに、ゴムキー4のズレ防止用の突起41には、突起の裏側に穴43が形成されており、この穴43に、上ケース1のズレ防止用の突起11がそれぞれ挿入されて、上ケース1に対するゴムキー4のズレ防止となっている。
【0013】
以上において、ゴムキー4のズレ防止用の突起41を利用して、リード線6が固定されている。
すなわち、メイン回路基板2とスピーカ5の間において、
図3及び
図4にも拡大して示すように、ゴムキー4の4箇所のズレ防止の突起41を延長して突出部を形成し、その突出部に溝42を形成する。
そして、その4箇所の突起41の各々の溝42にリード線6をそれぞれ圧入して挟み込む。
【0014】
以上、実施形態のスピーカ5のリード線6のガイド構造によれば、ゴムキー4と一体のズレ防止用の突起41を、キー回路基板3の貫通孔31に貫通して他面側に突出させ、その突起41の他面側への突出部に溝42を形成し、その溝42にリード線6を挿入して挟み込むことにより、リード線6が長くなっても、ゴムキー4の突起41の突出部の溝42に固定できるので、図示しない下ケースを組み付けてもリード線6を噛み込むことがなくなる。
従って、組み付け作業性もよくなり、固定用テープを廃止して、コストダウンできる。
また、突起41のゴムは絶縁体なので、リード線6の被覆が切れてもショートすることがない。
【0015】
(変形例)
図4は変形例を示すもので、図示のように、ゴムキー4と一体のズレ防止用の突起41を大径に形成して、その大径の突起41の突出部に、略平行する二本の溝42を形成する。
そして、その大径の突起41の二本の溝42に一対のリード線6をそれぞれ圧入して挟み込む。
【0016】
このように、ゴムキー4と一体の大径の突起41の二本の溝42に一対のリード線6を保持させてもよい。
【0017】
(他の変形例)
以上の実施形態においては、電子辞書のスピーカのリード線としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、スピーカに限らず、マイクなど他の電子部品のリード線でもよく、さらに、電子辞書に限らず、携帯電話など他の電子機器であってもよい。
また、実施形態では、ゴムキーとしたが、軟質樹脂など他の弾性絶縁材料によるキーであってもよい。
さらに、キー、突起及び溝の形状と個数等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0018】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
弾性絶縁材料のキーシートをキー回路基板の一面側に配置する一方、電子部品のリード線を前記キー回路基板の他面側に配置する構造であって、
前記弾性絶縁材料のキーシートに設けられた突起を、前記キー回路基板の貫通孔に貫通して他面側に突出させ、
前記突起の前記他面側への突出部に溝を形成し、
前記溝に前記リード線を挿入して挟み込んだことを特徴とするリード線のガイド構造。
<請求項2>
前記キー回路基板の一部に前記電子部品が配置されて、
前記キー回路基板の外側にメイン回路基板の端子部が配置され、
前記リード線の一端が前記電子部品の端子部に半田付けされて、
前記リード線の他端が前記メイン回路基板の端子部に半田付けされていることを特徴とする請求項1に記載のリード線のガイド構造。
<請求項3>
前記弾性絶縁材料のキーシートに設けられた突起の裏側に形成された穴に、ケースに一体の突起が挿入されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリード線のガイド構造。
<請求項4>
前記突起の前記他面側への突出部に前記溝を略平行に複数形成し、
前記複数の略平行する前記溝に前記リード線をそれぞれ挿入して挟み込んだことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のリード線のガイド構造。
<請求項5>
請求項1から4のいずれか一項に記載のガイド構造により配置されたリード線を備えることを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0019】
1 ケース
11 突起
2 メイン回路基板
3 キー回路基板
31 貫通孔
4 キーシート
41 突起
42 溝
43 穴
5 電子部品
6 リード線