(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、制御部によって蓋体のロックを制御するため、構成が複雑化するという課題がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で充電回路の故障時に車両状態を保全することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる車両の充電部構造は、
正側コネクタ端子と負側コネクタ端子とを有し、車両に搭載されたバッテリに電力を充電するために前記車両とは異なる外部装置から電力を受ける受電コネクタと、前記車両に揺動可能に設けられ、前記受電コネクタを開閉する蓋体と
、前記蓋体の前記受電コネクタに対向する面に設けられ、前記蓋体の閉状態で前記正側コネクタ端子に挿入された状態となり前記正側コネクタ端子と電気的に接続される正側接触子、および前記蓋体の閉状態で前記負側コネクタ端子に挿入された状態となり前記負側コネクタ端子と電気的に接続される負側接触子と、前記蓋体の外周部に設けられ、正極側を前記正側接触子に、負極側を前記負側接触子に、それぞれ接続された電磁石と、前記受電コネクタの外周部の前記電磁石と対向する位置に設けられた永久磁石と、を備え、前記電磁石は、前記蓋体が閉状態である時に前記正側コネクタ端子および前記負側コネクタ端子間に所定電圧以上の電流が流れた場合、前記正側接触子および前記負側接触子から供給される電流により磁力を発生し、前記永久磁石と吸着することにより前記蓋体を閉状態にロックする、ことを特徴とする。
請求項
2の発明にかかる車両の充電部構造は、
前記正側コネクタ端子および前記負側コネクタ端子は、前記電磁石から前記正側コネクタ端子までの寸法と、前記電磁石から前記負側コネクタ端子までの寸法とが等しくなるように並んで配設される、ことを特徴とする。
請求項
3の発明にかかる車両の充電部構造は、前記蓋体は、前記受電コネクタの外周部に設けられたヒンジを介して前記車両に揺動可能に設けられ、前記ヒンジは、前記受電コネクタの外周部のうち、前記蓋体が閉状態にロックされた状態において前記電磁石から最も遠い位置に設けられている、ことを特徴とする。
請求項
4の発明にかかる車両の充電部構造は、
前記電磁石と前記正側コネクタ端子および前記負側コネクタ端子との間を電気的に接続する経路上に設けられ、
前記正側コネクタ端子と前記負側コネクタ端子と間に流れる電流を降圧して前記
電磁石に供給する降圧手段をさらに備える、ことを特徴とする。
請求項
5の発明にかかる車両の充電部構造は、
前記正側コネクタ端子と前記負側コネクタ端子との間に流れる電流を用いて、前記蓋体が閉状態である時に
前記正側コネクタ端子と前記負側コネクタ端子との間に所定電圧以上の電流が流れている旨を報知する報知手段をさらに備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の充電回路の故障時に、充電用のコネクタ端子間に流れる電流を用いて受電コネクタの蓋体を閉状態にロックするので、ロック機構を動作させるための電源供給経路を別途設けなくてもよく充電部構造を簡素化することができる。また、請求項1の発明によれば、高電圧電流が流れる可能性がある受電コネクタを閉状態にロックするので、ユーザが受電コネクタを触れる可能性や給電コネクタが接続される可能性がなく、高電圧システムを停止させなくても車両の状態を維持することができる。よって、充電回路の故障時にも車両の高電圧システムを停止させることなく走行を継続させることができる。
本発明によれば、ロック機構を電磁石により構成したので、電磁石への電流の供給時、すなわち充電回路の故障時にのみロック機構を動作させることができる。
本発明によれば、蓋体および受電コネクタの外周部に、電磁石および永久磁石のいずれかを設けたので、電磁石を2か所に設ける場合と比較して簡易な構成とすることができる。
本発明によれば、電磁石から正側コネクタ端子までの寸法と、電磁石から負側コネクタ端子までの寸法とが等しくなるように並んで配設したので、充電回路の故障時に高電圧がかかるコネクタ端子に対する電磁石の磁力の影響を低減することができる。
本発明によれば、ヒンジを電磁石から最も遠い位置に設けたので、一般的に金属素材で形成されるヒンジに対して、電磁石の磁力が及ぼす影響を最小限にすることができる。
本発明によれば、ロック機構に供給する電流を降圧する降圧手段を備えたので、ロック機構に耐電圧性が低い素子を用いることができ、製造コストを低減することができる。また、高電圧電流よるロック機構の故障の可能性を低減することができ、ロック機構の信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、充電回路の故障を報知する報知手段を設けたので、ユーザが充電回路の故障を認識することができ、修理などの対応により充電回路の故障状態を早期に解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる車両の充電部構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、車両の充電部構造がバッテリから供給される電力によって駆動される電気モータが搭載された車両に適用された場合について説明する。
【0009】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る車両の充電部構造10において蓋体104が開放位置にある状態を示す正面図、
図2は、蓋体が閉塞位置にある状態を
図1のA方向から見た図である。また、
図3は、実施の形態に係る車両の充電部構造10を含むバッテリ20周辺のシステム構成図である。
図1〜
図3を用いて、本発明の概要について説明する。
充電部構造10は、バッテリ20(
図3参照)から供給される電力を用いて、高電圧負荷30(
図3参照)である電気モータを駆動して走行する車両(電動車)に設けられている。充電部構造10は、例えば、車両を構成する不図示の外板パネルの凹部に収容されている。
【0010】
図1および
図2を参照して、充電部構造10は、受電コネクタ102および蓋体104を備えて構成される。
受電コネクタ102は、複数のコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)を有し、車両に搭載されたバッテリ20に電力を充電するために車両とは異なる外部装置(外部充電装置40)から電力を受ける。
より詳細には、受電コネクタ102は、正側コネクタ端子1022と、負側コネクタ端子1024と、ハウジング1026とを備えている。本実施の形態では、ハウジング1026は、円柱状を呈している。
正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024は、ハウジング1026の上面に間隔をおいて埋め込まれて配置されている。
本実施の形態では、正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024は、同形同大の円筒状を呈し、ハウジング1026の上面に露出している。
【0011】
蓋体104は、受電コネクタ102を使用しないときに受電コネクタ102を保護するものであり、車両に揺動可能に設けられ、受電コネクタ102を開閉する。
蓋体104は、ハウジング1026の上面を覆う形状で構成され、ヒンジ108を介してハウジング1026に、受電コネクタ102を覆う閉塞位置と受電コネクタ102を開放する開放位置との間で揺動可能に装着されている。すなわち、蓋体104は、受電コネクタ102の外周部に設けられたヒンジ108を介して車両に揺動可能に設けられている。
また、受電コネクタ102の外周部のうち、ヒンジ108の径方向の対向側には、機械式のロック装置1068が設けられており、蓋体104の開閉に用いられる。
蓋体104の内面(蓋体104を閉めた状態で受電コネクタ102と接する面)には、接触子(正側接触子1042および負側接触子1044)が設けられている。
図2に示すように、正側接触子1042および負側接触子1044は、蓋体104が受電コネクタ102を閉塞した閉塞位置において、ハウジング1026の上面に対向する蓋体104の内面に互いに等しい高さで突設されている。また、蓋体104が受電コネクタ102を開放した開放位置から、受電コネクタ102を閉塞した閉塞位置に揺動する際に、正側接触子1042は正側コネクタ端子1022に、負側接触子1044は負側コネクタ端子1024にそれぞれ挿入可能に設けられている。
これにより、受電コネクタ102を閉塞位置とした蓋体104の閉状態では、正側接触子1042は正側コネクタ端子1022に、負側接触子1044は負側コネクタ端子1024に、それぞれ挿入された状態となり、コネクタ端子と接触子との間が電気的に接続される。
【0012】
蓋体104の外面(蓋体104を閉めた状態で車両外側に露出する面)には、報知手段であるLED110が設けられている。報知手段であるLED110は、コネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に流れる電流を用いて発光し、蓋体104が閉状態である時、すなわち車両の非充電時にコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に所定電圧以上の電流が流れている旨を報知する。
なお、LED110は、蓋体104の外面に限らず、受電コネクタ102の近傍(受電コネクタ102が形成される車両の外板パネルの凹部内)や車両の外板パネル表面に設けられていてもよい。
【0013】
充電部構造10には、蓋体104が閉状態である時にコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に所定電圧以上の電流が流れた場合、すなわち車両の充電回路が故障した場合には、当該コネクタ端子間に流れる電流を用いて蓋体104を閉状態(閉塞位置)にロックするロック機構106(
図2)を備える。
これは、充電回路の故障時には受電コネクタ102のコネクタ端子に高電圧電流が流れる可能性があるためである。受電コネクタ102を閉状態にロックすることによって、ユーザが受電コネクタ102を触れることができなくなり、給電コネクタ402の接続等によって更なる不具合が生じるのを防ぐことができる。
また、一般的な車両では、充電回路が故障した場合には高電圧システムを停止させ、車両の走行もできなくなる。一方、充電部構造10を備えた車両では、ロック機構106が稼働して受電コネクタ102が閉状態にロックされているため、充電回路の故障時にも車両の高電圧システムを停止させることなく走行を継続させることができる。
【0014】
本実施の形態では、ロック機構106は、コネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に流れる電流が供給されることにより磁力を発生する電磁石1062(コイル)を含んで構成されている。より詳細には、本実施の形態では、電磁石1062と永久磁石1064とを用いて蓋体104を閉状態にロックする。
受電コネクタ102の外周部には永久磁石1064が設けられている。
図2に示すように、永久磁石1064はロック装置1068の一部として設置されており、この永久磁石1064と接する蓋体104の位置に電磁石1062が設けられる。電磁石1062は、正極側を蓋体104の正側接触子1042と、負極側を負側接触子1044と、それぞれ接続されており、各接触子から供給される電流により動作する。
なお、電磁石1062とヒンジ108は、蓋体104が閉状態にロックされた状態において、受電コネクタ102の外周部に径方向に対向して位置する。すなわち、ヒンジ108は、受電コネクタ102の外周部のうち、蓋体104が閉状態にロックされた状態において電磁石1062から最も遠い位置に設けられている。これは、一般的に金属素材で形成されるヒンジ108に電磁石1062からの磁力の影響が及びにくくするためである。
【0015】
電磁石1062にコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に流れる電流が供給されると、電磁石1062に磁力が発生する。このとき、電磁石1062と永久磁石1064とが吸着して蓋体104を閉状態にロックする。
なお、本実施の形態では、電磁石1062を蓋体104に、永久磁石1064を受電コネクタ102の外周部に設けているが、電磁石1062を受電コネクタ102の外周部に、永久磁石1064を蓋体104にそれぞれ設けてもよい。また、電磁石1062を蓋体104および受電コネクタ102の外周部の両方に設けてもよい。
【0016】
また、
図1および
図2では、ヒンジ108、正側コネクタ端子1022、負側コネクタ端子1024および永久磁石1064(蓋体104が閉状態における電磁石1062の位置)が、受電コネクタ102の径方向に並んでいる。
しかしながら、電磁石1062から正側コネクタ端子1022までの寸法と、電磁石1062から負側コネクタ端子1024までの寸法とが等しくなるように、正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024を並んで配設してもよい。
すなわち、
図4のような配置となっていてもよい。
図4のような配置とすることにより、正側コネクタ端子1022または負側コネクタ端子1024に対する電磁石1062からの磁力の影響を最小限とすることができる。
また、蓋体104がヒンジ108を介して揺動された場合、正側接触子1042と正側コネクタ端子1022との装脱と、負側接触子1044と負側コネクタ端子1024との装脱とが同時に行われるため、蓋体104の受電コネクタ102への装脱を円滑に行うことができる。
【0017】
図3を用いて、車両のバッテリ20周辺のシステム構成について説明する。
車両には、バッテリ20、高電圧負荷30および周辺回路が搭載されている。
バッテリ20は、受電コネクタ102を介して供給される電力により充電され、また、充電した電力を高電圧負荷30に供給するものである。
なお、バッテリ20への充電時には、外部充電装置40の給電コネクタ402を受電コネクタ102に接続し、給電コネクタ402の正側コネクタ端子4022と受電コネクタ102の正側コネクタ端子1022、および給電コネクタ402の負側コネクタ端子4024と受電コネクタ102の負側コネクタ端子1024をそれぞれ接続して電力の授受をおこなう。
高電圧負荷30は、バッテリ20から後述する正側負荷用コンタクタ302、負側負荷用コンタクタ304を介して供給される電力によって動作するものであり、車両の駆動源であるモータ、モータを駆動するインバータ、エアコンなどの補機類を含む。
【0018】
周辺回路は、正側負荷用コンタクタ302、負側負荷用コンタクタ304、正側充電用コンタクタ312、負側充電用コンタクタ314を含んで構成されている。
バッテリ20の正極端子202は、正側負荷用コンタクタ302、正側充電用コンタクタ312を介して受電コネクタ102の正側コネクタ端子1022に接続されている。
バッテリ20の負極端子204は、負側負荷用コンタクタ304、負側充電用コンタクタ314を介して受電コネクタ102の負側コネクタ端子1024に接続されている。
また、高電圧負荷30の正極端子322は、正側負荷用コンタクタ302と正側充電用コンタクタ312との間に、高電圧負荷30の負極端子324は、負側負荷用コンタクタ304と負側充電用コンタクタ314との間に、それぞれ接続されている。
正側負荷用コンタクタ302、負側負荷用コンタクタ304、正側充電用コンタクタ312および負側充電用コンタクタ314の開閉は、図示しないECUにより制御されている。
【0019】
ここで、周辺回路の動作について説明する。
1)バッテリ20から高電圧負荷30に電力の供給を行う場合:
初期状態では、正側充電用コンタクタ312、負側充電用コンタクタ314、正側負荷用コンタクタ302、負側負荷用コンタクタ304が全てオフとなっている。
高電圧負荷30に対する電力供給を開始する場合には、正側負荷用コンタクタ302および負側負荷用コンタクタ304をオンさせ、これによりバッテリ20から高電圧負荷30に電力の供給を行う。
なお、正極負荷コンタクタ302と並列にチャージコンタクタおよび抵抗を設けてもよい。この場合、バッテリ20から高電圧負荷30に電力の供給を行う際に、初めにチャージコンタクタのみをオンにして高電圧負荷30のインバータに設けられたコンデンサを充電させる。コンデンサの電圧がバッテリ20の電圧と等しくなったならば、正側負荷用コンタクタ302および負側負荷用コンタクタ304をオンにする。このようにチャージコンタクタを先行してオンさせることによって、コンデンサに過大な突入電流が流れて正側負荷用コンタクタ302および負側負荷用コンタクタ304が溶着するのを防止することができる。
【0020】
2)受電コネクタ102を介してバッテリ20に電力を充電する場合:
初期状態、すなわちバッテリ20の非充電時には、正側充電用コンタクタ312および負側充電用コンタクタ314はオフとなっている。
バッテリ20の充電を開始する場合には、正側負荷用コンタクタ302、負側負荷用コンタクタ304、正側充電用コンタクタ312、負側充電用コンタクタ314を全てオンすることで、受電コネクタ102とバッテリ20の正極端子202および負極端子204とを接続する。
これにより、受電コネクタ102に接続された外部充電装置40からの電力が正側充電用コンタクタ312、正側負荷用コンタクタ302、負側充電用コンタクタ314、負側負荷用コンタクタ304を介してバッテリ20の正極端子202、負極端子204に供給される。
【0021】
上記のように、正側充電用コンタクタ312および負側充電用コンタクタ314は、バッテリ20の充電時以外にはオフとなっており、受電コネクタ102とバッテリ20との間の電気的接続は切断されている。しかしながら、正側充電用コンタクタ312および負側充電用コンタクタ314に溶着が生じると、正側充電用コンタクタ312および負側充電用コンタクタ314が常時オンとなってしまい、バッテリ20の高電圧電流が受電コネクタ102に流れる。
このような状態でユーザが受電コネクタ102に触れたり、受電コネクタ102や給電コネクタ402を挿入したりすると、外部充電装置40の故障や電力系統の更なる故障が生じる可能性がある。
このため、充電部構造10では、蓋体104が閉状態である時(車両の非充電時)に受電コネクタ102のコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に所定電圧以上の電流が流れた場合、コネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に流れる電流を用いて蓋体104を閉状態にロックする。これにより、給電コネクタ402の接続等ができなくなり、車両の状態を維持することができる。
【0022】
具体的には、蓋体104に正側接触子1042および負側接触子1044を設け、この正側接触子1042および負側接触子1044と電磁石1062とを接続する。
蓋体104が閉状態となった状態では、正側接触子1042および負側接触子1044が正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024と接続するので、正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024を流れる電流が正側接触子1042および負側接触子1044を介して電磁石1062に供給される。
この結果、電磁石1062に磁力が発生し、永久磁石1064を吸着して、蓋体104を閉状態にロックする。
なお、所定電圧以上の電流とは、たとえば、蓋体104を閉状態にロックする(通常のユーザの力では開状態とできない)だけの磁力を電磁石1062に発生可能な電流である。
【0023】
また、本実施の形態では、報知手段であるLED110を設け、正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024を流れる電流を用いて、充電回路に故障が生じている旨を報知する。
LED110は、降圧手段である降圧回路112を介して、正側充電用コンタクタ312と正側コネクタ端子1022との間、負側充電用コンタクタ314と負側コネクタ端子1024との間にそれぞれ接続されている。正側充電用コンタクタ312および負側充電用コンタクタ314がオンとなると、降圧回路112を介してバッテリ20の電力がLED110に供給され、LED110が発光する。
充電回路の非故障時には、充電時以外はLED110は発光しない。一方、充電回路の故障時には、充電時以外でもLED110が発光する。よって、ユーザはLED110の発光状態を視認することにより充電回路の故障を検知することができる。
このように、充電時にもLED110が点灯することによって、ユーザはランプ点灯=高電圧印加と認識することができ、内部短絡時(充電回路の故障時)において一層の注意喚起につなげることができる。
【0024】
なお、本実施の形態では、LED110と正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024との間にのみ降圧回路112を設けているが、電磁石1062と正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024との間に降圧回路(降圧手段)を設けてもよい。
すなわち、ロック機構106とコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)との間を電気的に接続する経路上に設けられ、コネクタ端子間に流れる電流を降圧してロック機構に供給する降圧手段をさらに備えてもよい。
この場合、耐電圧性が低い電磁石1062を用いることができ、製造コストを低減することができる。また、高電圧電流による電磁石1062の故障の可能性を低減することができ、ロック機構106の信頼性を向上させることができる。
【0025】
以上説明したように、実施の形態にかかる車両の充電部構造10は、車両の充電回路の故障時に、充電用のコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)間に流れる電流を用いて受電コネクタ102の蓋体104を閉状態にロックするので、ロック機構106を動作させるための電源供給経路を別途設けなくてもよく充電部構造10の構成を簡素化することができる。
また、充電部構造10は、充電回路の故障時に高電圧電流が流れる可能性がある受電コネクタ102を閉状態にロックするので、ユーザが受電コネクタ102を触れる可能性や給電コネクタ402が接続される可能性がなく、高電圧システムを停止させなくても車両の状態を維持することができる。よって、充電回路の故障時にも車両の高電圧システムを停止させることなく走行を継続させることができる。
また、充電部構造10は、ロック機構106を電磁石1062により構成したので、電磁石1062への電流の供給時、すなわち充電回路の故障時にのみロック機構106を動作させることができる。
また、充電部構造10は、蓋体104および受電コネクタ102の外周部に、電磁石1062および永久磁石1064を設けたので、電磁石1062を2か所に設ける場合と比較して簡易な構成とすることができる。
また、充電部構造10は、ヒンジ108を電磁石1062から最も遠い位置に設けたので、一般的に金属素材で形成されるヒンジ108に対して、電磁石1062の磁力が及ぼす影響を最小限にすることができる。
また、充電部構造10は、充電回路の故障を報知する報知手段としてLED110を設けたので、ユーザが充電回路の故障を認識することができ、修理などの対応により充電回路の故障状態を早期に解消することができる。
また、充電部構造10において、電磁石1062から正側コネクタ端子1022までの寸法と、電磁石1062から負側コネクタ端子1024までの寸法とが等しくなるように並んで配設するようにすれば、充電回路の故障時に高電圧がかかるコネクタ端子(正側コネクタ端子1022および負側コネクタ端子1024)に対する電磁石1062の磁力の影響を低減することができる。
また、充電部構造10において、ロック機構106に供給する電流を降圧する降圧手段を備えるようにすれば、ロック機構106に耐電圧性が低い素子を用いることができ、製造コストを低減することができる。また、高電圧電流によるロック機構106の故障の可能性を低減することができ、ロック機構106の信頼性を向上させることができる。
【0026】
なお、本実施の形態ではECUなどの制御部を介さずにロック機構106を動作させるようにしたが、制御部を介してロック機構106を動作させるようにしてもよい。
たとえば、正側接触子1042と電磁石1062との間、または負側接触子1044と電磁石1062との間に制御部によって開閉制御可能なロック用コンタクタを設けておく。ロック用コンタクタは初期状態では開としておく。制御部は充電回路の故障の有無を検知して、充電回路に故障が生じた場合にはロック用コンタクタを閉にする。
これにより、電磁石1062にコネクタ端子を流れる電流が供給され、電磁石1062が発生する磁力により蓋体104を閉状態にロックすることができる。
また、本実施の形態におけるロックとは通常のユーザの力では開状態とできないだけの磁力を電磁石1062に発生させることとしたが、ユーザが蓋体104を開動作する際に非故障時よりも強い力を要するようにすれば、どの程度の磁力を電磁石1062に発生させてもよい。
さらに、本実施の形態では報知手段としてLED110を設けたが、蓋体104の外面に、コネクタ端子間に流れる電流を用いて点灯されるディスプレイを設けてもよい。この場合、ディスプレイに文字を表示させることで、充電中なのか故障なのかをユーザに識別させることができる。