特許第6237211号(P6237211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237211
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】取引装置、取引システム及び取引方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G07D9/00 426D
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-264394(P2013-264394)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-121875(P2015-121875A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】林田 裕幸
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−020440(JP,A)
【文献】 特開2014−215729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07G 1/00−1/14
G06Q 20/00−20/42
50/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が操作する取引装置において、
客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付ける入力手段と、
表示手段とを備え、
上記表示手段は、顧客が有する携帯型情報通信端末にアクセスするためのアクセス可能情報を表示するフィールドを含む表示画面を表示し、
上記アクセス可能情報が表示画面に表示された後、顧客担当者装置を取り扱う上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができるようになる
ことを特徴とする取引装置。
【請求項2】
顧客が操作する取引装置において、
顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付ける入力手段と、
表示手段とを備え、
上記表示手段は、上記顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置と上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で文字列メッセージを授受することを可能とするアクセス可能情報を含む表示画面を上記表示手段に表示する
ことを特徴とする取引装置。
【請求項3】
上記表示手段は、上記アクセス可能情報を二次元コードで上記表示画面に表示することを特徴とする請求項に記載の取引装置。
【請求項4】
上記アクセス可能情報が電話番号であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の取引装置。
【請求項5】
上記顧客担当者装置からの指示に応じて表示画面を切り替える遠隔表示切替受付手段を有することを特徴とする請求項のいずれかに記載の取引装置。
【請求項6】
操作中の顧客を撮像する撮像手段と、
上記顧客担当者装置からの指示に応じて上記撮像手段を起動する遠隔撮像指令受付手段を有することを特徴とする請求項のいずれかに記載の取引装置。
【請求項7】
顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置とを有する取引システムにおいて、
上記取引装置は、上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージを授受できる状態に移行させるトリガを顧客が与えることができる文字列授受状態起動可能化手段を有し、
上記顧客担当者装置は、上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で、文字列メッセージを授受する文字列メッセージ授受手段を有する
ことを特徴とする取引システム。
【請求項8】
顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置との間で所定処理を行う取引方法において、
上記取引装置の文字列授受状態起動可能化手段は、上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージを授受できる状態に移行させる顧客によるトリガを受付け、
上記顧客担当者装置の文字列メッセージ授受手段は、上記トリガがあった後に、上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で文字列メッセージを授受する
ことを特徴とする取引方法。
【請求項9】
上記アクセス可能情報が表示画面に表示された後、上記アクセス可能情報を含む電文が前記取引装置から送信されることを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項10】
上記入力手段と、上記表示手段とは、一体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の取引装置。
【請求項11】
顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置とを有する取引システムにおいて、
上記取引装置は、上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付ける入力手段を有し、
上記顧客担当者装置は、上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で、文字列メッセージを授受する文字列メッセージ授受手段を有する
ことを特徴とする取引システム。
【請求項12】
顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置との間で所定処理を行う取引方法において、
上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付け、
上記顧客が有する携帯型情報通信端末と上記顧客担当者装置との間で文字列メッセージを授受する
ことを特徴とする取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は取引装置、取引システム及び取引方法に関し、例えば、金融機関等に設置される自動取引装置(ATM;Automatic Teller Machine)における障害発生時の対応方法に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
ATMに対する顧客の操作は、画面での誘導に従って行うのが一般的である。そのため、ガイダンス音声が聞き取れなくとも、また、ガイダンス音声がなくても、通常、顧客は操作を行うことができる。しかし、視覚障がい者は、画面での誘導に従うことが難しい。そのため、従来のATMは、視覚障がい者に配慮した動作モードなどを有する。一方、従来のATMは、聴覚障がい者に配慮した動作モードなどを有していない。
【0003】
また、金融機関店舗のATMの近傍には、オートホンが設置されている(特許文献1参照)。顧客がATMの操作方法が分からなくなった場合や、ATMの故障などのトラブルが生じた場合において、近くに金融機関の人間がいない状況では、顧客は、オートホンを用いて遠隔のオペレータに問い合わせることを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−305833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のATMは聴覚障がい者に配慮した動作モードを備えておらず、また、オートホンは音声通信を前提とした装置である。そのため、近くに金融機関の人間がいない状況で、聴覚障がい者が、ATMの操作方法が分からなくなった場合やATMに故障などのトラブルにあった場合には、聴覚障がい者が適切な対応をとることができない。例えば、ATMから排出されるべきカードが排出されない故障が生じた場合に、聴覚障がい者は、オートホンの受話器を持ち上げてもオペレータの音声を聴取できず、どのように対処して良いかを認識することができない。
【0006】
また、発音障がい者や発話障がい者(以下、これらをまとめて発音障がい者と呼ぶ)も、オートホンを用いて音声によって伝達したい内容をオペレータに通知することができない。例えば、故障の状況をオペレータに伝達することができず、どのように対処したら良いかをオペレータから得ることができない。
【0007】
そのため、音声による対話を十分には行えない障がいをもった顧客に対しても、対応を伝達できて利便性が高い取引装置、取引システム及び取引方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、顧客が操作する取引装置において、(1)顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付ける入力手段と、表示手段とを備え、(2)上記表示手段は、顧客が有する携帯型情報通信端末にアクセスするためのアクセス可能情報を表示するフィールドを含む表示画面を表示し、上記アクセス可能情報が表示画面に表示された後、顧客担当者装置を取り扱う上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができるようになることを特徴とする。
第2の本発明は、顧客が操作する取引装置において、(1)顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付ける入力手段と、表示手段とを備え、(2)上記表示手段は、上記顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置と上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で文字列メッセージを授受することを可能とするアクセス可能情報を含む表示画面を上記表示手段に表示することを特徴とする。
【0009】
の本発明は、顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置とを有する取引システムにおいて、(1)上記取引装置は、上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージを授受できる状態に移行させるトリガを顧客が与えることができる文字列授受状態起動可能化手段を有し、(2)上記顧客担当者装置は、上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で、文字列メッセージを授受する文字列メッセージ授受手段を有することを特徴とする。
【0010】
の本発明は、顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置との間で所定処理を行う取引方法において、(1)上記取引装置の文字列授受状態起動可能化手段は、上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージを授受できる状態に移行させる顧客によるトリガを受付け、(2)上記顧客担当者装置の文字列メッセージ授受手段は、上記トリガがあった後に、上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で文字列メッセージを授受することを特徴とする。
第5の本発明は、顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置とを有する取引システムにおいて、(1)上記取引装置は、上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付ける入力手段を有し、(2)上記顧客担当者装置は、上記顧客が有する携帯型情報通信端末との間で、文字列メッセージを授受する文字列メッセージ授受手段を有することを特徴とする。
第6の本発明は、顧客が操作する取引装置と、上記取引装置の設置箇所とは異なる場所に設けられた顧客担当者が取り扱う顧客担当者装置との間で所定処理を行う取引方法において、(1)上記顧客担当者と顧客との間で文字列メッセージによるコミュニケーションができる状態に移行する指示を受付け、(2)上記顧客が有する携帯型情報通信端末と上記顧客担当者装置との間で文字列メッセージを授受することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、音声による対話を十分には行えない障がいをもった顧客に対しても、対応を伝達できて利便性が高い取引装置、取引システム及び取引方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る取引システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態におけるATMの構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態におけるコールセンタサーバの詳細構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態におけるオペレータ端末の詳細構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る取引システムの、ATMに障害等が発生した場合の動作を示すシーケンス図である。
図6】第1の実施形態のATMにおける、聴覚障がい者や発音障がい者を配慮したコールセンタへの連絡誘導画面を示す説明図である。
図7】第1の実施形態のATMにおける、顧客の携帯電話番号の入力、送信を求める操作誘導画面を示す説明図である。
図8】第1の実施形態のATMが送信するATM取引休止連絡電文の構成を示す説明図である。
図9】第2の実施形態におけるATMの構成を示すブロック図である。
図10】第2の実施形態のATMにおける、聴覚障がい者や発音障がい者を配慮したコールセンタへの連絡誘導画面を示す説明図である。
図11】第2の実施形態における、ATM取引休止状態を通知する電文を受信した際のコールセンタ側の動作を示すフローチャートである。
図12】営業時間内にATM取引休止状態になった、第2の実施形態のATMに表示させる画面を示す説明図である。
図13】第2の実施形態のATMにおける、顧客の携帯電話からオペレータ端末への発信を求める旨を含む画面を示す説明図である。
図14】変形実施形態のATMにおける初期画面(顧客待受け画面)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置、取引システム及び取引方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第1の実施形態の取引装置はATMである。
【0014】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る取引システム1の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、取引システム1は、金融機関の本支店やコンビニエンスストアなどのATM設置箇所毎に設けられている構成要素と、コールセンタの構成要素と、金融機関センタの構成要素とを含んでいる。
【0016】
各ATM設置箇所においては、1又は複数のATM10やATM設置箇所内サーバ11や金融機関のテラーが操作するテラー端末(図示せず)等がLAN12に収容され、ネットワークN1を介してコールセンタ側要素と接続可能となっていると共に、ネットワークN2を介して金融機関センタ側要素と接続可能となっている。図1では、広域ネットワークとの境界に位置するルータ等は省略している。ネットワークN1やN2は、複数のネットワークでなっていることが一般的であり、また、その全て若しくは一部の区間が専用回線で構築されていても良い。また、コールセンタの設置場所によっては、ネットワークN1及びN2が同じ場合もあり得る。以上のように、ネットワーク構成は図1に示す構成に限定されるものではない。また、以下では一々言及しないが、通信には暗号通信が利用される。
【0017】
この取引システム1においては、顧客が有する携帯型情報通信端末15もATM設置箇所における構成要素となっている。携帯型情報通信端末15は、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの、インスタントメッセージ(ソフトウェア)を備えて短文メッセージ(テキストチャット)の送受信機能を有するものである。
【0018】
コールセンタにおいては、コールセンタサーバ20、複数のオペレータ端末21等がLAN22に収容されている。これら構成要素20、21は、上述のように、ネットワークN1を介してATM設置箇所側要素と接続可能となっている。また、これら構成要素20、21は、ネットワークN2を介して金融機関センタ側要素と接続可能となっている。
【0019】
金融機関センタには、ネットワークN2に接続されている金融機関のホストコンピュータ30と、この金融機関ホストコンピュータ30に収容されているデータベース装置31とを有する。データベース装置31は、詳細構成の図示は省略するが、口座情報を管理している口座情報データベースや、顧客情報を管理している顧客情報データベースなどを有する。口座情報データベースは、各口座における具体的な取引情報を管理している、顧客情報データベースは、顧客の氏名、住所、携帯電話番号、暗証番号、所有する口座の特定情報等を管理している。
【0020】
図2は、第1の実施形態におけるATM10の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2において、ATM10は、表示部とその上面側に設けられているタッチパネル式の入力部とを備えた表示・入力部(操作入力部)40と、キャッシュカード等のカードに記録された情報のリードライトを行うカード処理部41と、通帳の磁気ストライプのリードライトや通帳への印字制御を行う通帳処理部42と、取引明細を明細票に印字して排出する明細票処理部43と、紙幣の取込みや排出を行う紙幣入出金機44と、硬貨の取込みや排出を行う硬貨入出金機45と、他の装置(コールセンタサーバ20、オペレータ端末22、金融機関ホストコンピュータ30など)との通信を行う通信部46と、コールセンタのオペレータやATM設置箇所内のテラーなどとの間で音声による対話を行うためのオートホン47と、ATM10の各部を制御する制御部48とを有する。
【0022】
オートホン47は対応するATM10の筐体外部には設けられているが、図2では、オートホン47が対応するATM10に収容されている場合を示している。なお、オートホン47が、LAN12に直接収容され、ATM10を介することなく、コールセンタのオペレータやATM設置箇所内のテラーなどとの対話を可能とするものであっても良い。
【0023】
制御部48は、CPUやメモリなどでなる。制御部48におけるメモリには、ATM取引プログラム48aや操作誘導等の各種画面データ48bが記憶されている。制御部48の制御機能については、後述する動作説明の項で明らかにする。
【0024】
図3は、第1の実施形態におけるコールセンタサーバ20の詳細構成を示すブロック図である。
【0025】
コールセンタサーバ20は、通信制御部50、自動呼振分(ACD;Automatic Call Distribuion)制御部51、音声/短文メッセージ制御部52及びデータ格納部53などを有し、ATM10(オートホン47を含む)とのインタフェース機能(GW機能)、自動音声応答(IVR;Interactive Voice Response)機能、ユニファイド機能等のメッセージ処理機能、呼制御サーバ機能)自動呼振分機能等を担っている。
【0026】
この第1の実施形態の場合、後述するように、オートホン47を適用しないで顧客との間でオペレータが行う情報授受に特徴を有し、自動音声応答機能、呼制御サーバ機能、自動呼振分機能等のコールセンタサーバとしての一般的な機能には特徴を備えていない。
【0027】
通信制御部50は、主として、呼制御サーバ機能やATM10とのインタフェース機能などを担い、ATM10若しくはオペレータ端末21との間で、呼制御用や通話用のパケットなどを授受するものである。自動呼振分制御部51は、ATM10からの着呼に対し、空き状態のどのオペレータ端末21を対応付けるかを自動的に決定するものである。音声/短文メッセージ制御部52は、通話状態にあるオペレータ端末20毎に、しかも、その各通信方向毎に、どのような音声データや、文字列データでなる短文メッセージを通信するかのデータ種別を管理し、それに応じて、通信データや短文メッセージの形成を制御するものである。データ格納部53には、音声データ、短文メッセージの定型文データなどが格納されている。
【0028】
オペレータ端末21は、例えば、図4に示すように、パソコンなどでなるオペレータ端末本体60に対して、オペレータが音声通信に用いる電話機61が接続されて構成されている。この電話機61は、例えば、ハンドセットやヘッドセットなどの音声の入出力装置だけで、呼制御に係る機能の実行部分(いわゆるソフトフォン)はオペレータ端末本体(例えばパソコン)60が有していても良い。なお、オペレータ端末21は、オペレータ端末本体60と電話機(例えば、IP電話機)61とがLAN22にそれぞれ接続する構成のものであっても良い。
【0029】
オペレータ端末本体60は、オペレータが操作する端末装置としても機能するものである。この第1の実施形態の場合、オペレータ端末本体60は、例えば、オペレータの操作に応じて、所定の短文メッセージを携帯型情報通信端末15に送信することをコールセンタサーバ20に指示したりするものである。
【0030】
オペレータ端末本体60は、上述した電話機能以外の機能を実行すべく、図4に示すように、ユーザインタフェース(UI)部70、通信制御部71、データ格納部72を有する。UI部70は、オペレータへの画面出力や、キーボードやマウスの入力操作等を制御するものである。通信制御部71は、コールセンタサーバ20との通信を行うものである。UI部70及び通信制御部71は協働して、インスタントメッセージ(ソフトウェア)を実行するものである。なお、IPパケットを用いた通信の場合、オペレータ端末21と、携帯型情報通信端末15とは、コールセンタサーバ20を経由しないで通信することも可能であるが、この第1の実施形態の場合、常に、コールセンタサーバ20を経由して通信するとして説明する。なお、オペレータ端末21と、携帯型情報通信端末15との直接通信を可能とするようにしても良い。また、オペレータ端末21と金融機関ホストコンピュータ30との間の通信についても、コールセンタサーバ20を経由して通信するとして説明するが、同様な変形実施形態を挙げることができる。データ格納部62は、オペレータがキーボードなどを操作する際に必要となるデータ(例えば、コールセンタサーバ20のデータ格納部53に記憶されているデータの種別一覧のデータなども含まれる)や、オペレータが利用者に音声で伝える際に必要となるデータ等を格納しているものである。
【0031】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の取引システム1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図5は、ATM10に障害等が発生した場合における取引システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0033】
ATM10は、自己に障害が発生した場合や、キャッシュカード若しくは通帳が筐体内に挿入されている状況で所定時間以上操作がなされなかった場合など、取引の取扱が休止した場合には、ATM設置箇所内サーバ11の管理データに基づいて金融機関の人間がいないことなどを確認した後(例えば、ATM設置箇所内サーバ11が管理している営業時間データやATM設置箇所社員のタイムカードデータによる)、図6に示すコールセンタへの連絡を誘導する画面を表示・入力部40に表示させる(ステップS100)。
【0034】
このコールセンタへの連絡誘導画面は、オートホン47による対話が困難な聴覚障がい者や発音障がい者を配慮し、図6に示すように、「お取扱いできなくなりました 備え付けの電話でお問合せください」、「電話をご利用できないお客様は下のボタンを押して下さい」というメッセージと共に、「係員へ連絡」というボタンアイコンを含んでいる。聴覚障がい者や発音障がい者以外の顧客はオートホン47を用いてコールセンタ側と連絡することになる。一方、聴覚障がい者や発音障がい者の顧客は、「係員へ連絡」ボタンアイコン(以下、他のアイコンも含め、アイコンの表記を省略する)を操作することになる。
【0035】
因みに、ATM設置箇所の営業時間内などATM設置箇所に金融機関の人間がいる場合には、「お取扱いできなくなりました 備え付けの電話でお問合せください」というメッセージだけを含む連絡誘導画面を表示する。この場合においてはオートホン47のオフフックに対してATM設置箇所内の金融機関従業員が駆け付けるので、聴覚障がい者や発音障がい者の顧客がオートホン47をオフフックしても適切に対応してもらうことができる。
【0036】
コールセンタへの連絡誘導画面における「係員へ連絡」ボタンが操作されると、ATM10は、図7に示す顧客の携帯電話番号の入力、送信を求める操作誘導画面を表示・入力部40に表示させる(ステップS101)。この操作誘導画面は、「お手持ちの携帯電話にメールでご連絡します 電話番号を入力して下さい」というメッセージと共に、電話番号を入力するためのテンキーや入力された電話番号を表示するフィールドを含んでいる。ここでの「メール」は、例えば、インスタントメッセージング機能による短文メッセージを意味している。顧客が電話番号を入力後、「確認」キーを操作すると、ATM10は、コールセンタ側との通信回線を確立した後(ステップS102)、ATM取引休止を連絡する電文をコールセンタ側に送信する(ステップS103)。通信回線の確立時には、コールセンタサーバ20は担当するオペレータ(オペレータ端末21)を自動的に定め、定めたオペレータのオペレータ端末21に対して、音声通信ではなく、受信した電文に含まれている情報と共に短文メッセージ対応であることを連絡する。
【0037】
図8は、ATM取引休止連絡電文の構成を示す説明図である。ATM取引休止連絡電文は、入力された顧客の携帯電話番号、ATMが設けられている店番及びATMの機番、顧客の口座番号、故障状況(カード若しくは通帳が挿入されている)等の情報を含んでいる。なお、口座番号を読取る前に障害が発生した場合など、ATM取引休止連絡電文の一部のフィールドが空欄になっていることもあり得る。
【0038】
オペレータ端末21の表示内容により短文メッセージ対応であることを認識したオペレータは、コールセンタサーバ20を介して、金融機関ホストコンピュータ30によって、現在の顧客を認証させる(ステップS104、S105)。その後、オペレータは、顧客の携帯型情報通信端末15へ送信する短文メッセージを形成した後(ステップS106)、その短文メッセージを送信する(ステップS107)。また、この送信の前若しくは後で、保守員が待機している箇所に、電話連絡により、若しくは、データ通信により、該当するATM設置箇所への出動を指示する(ステップS108)。
【0039】
オペレータは、短文メッセージの形成を、例えば次のように行う。オペレータは、コールセンタサーバ20のデータ格納部53で管理されている保守員移動時間情報から、該当するATM設置箇所(例えば、金融機関支店)に最も近い保守員が待機している場所から該当するATM設置箇所までの移動時間を取り出す。また、オペレータは、受信したATM取引休止連絡電文の内容から、ATM10の筐体内にキャッシュカード若しくは通帳のいずれかが残っているかを判別する。その後、オペレータは、コールセンタサーバ20のデータ格納部53から、今回適用する短文メッセージの定型文を取り出し、その定型文中の文字列を埋める箇所に、今回の状況に応じた文字列を挿入して短文メッセージを完成させる。短文メッセージの定型文が「係員が向かうまで○○分ほどお待ち下さい。お待ちできない場合には、後日お届けの住所に××を送付します。」であり、保守員の移動時間が15分で、ATM10の筐体内にキャッシュカードが残っている場合であれば、短文メッセージは「係員が向かうまで15分ほどお待ち下さい。お待ちできない場合には、後日お届けの住所にカードを送付します。」となる。
【0040】
以上では、短文メッセージの定型文を利用する場合を示したが、短文メッセージの全文をオペレータがキー入力するようにしても良い。
【0041】
自己の携帯型情報通信端末15に着信した短文メッセージにより、顧客は、オートホン47によらずに、その時点でどのように対応したら良いかの情報を得ることができる。例えば、保守員を待つことができれば待ち、待つ時間がなければ立ち去ることになる。後者の場合において、顧客がオペレータへ宛てた短文メッセージにより立ち去ることをオペレータに伝えることができる。但し、オペレータ及び顧客間の短文メッセージの授受による意思伝達は、上記の例に限定されるものではなく、例えば、顧客がオペレータに質問し、オペレータがそれに応えるという短文メッセージの授受であっても良い。
【0042】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、聴覚障がい者や発音障がい者等の顧客が、ATM取引休止状態において、オートホンを用いることなく、遠隔地のオペレータとの間で短文メッセージ(テキストチャット)によって意思伝達を行うことができる。
【0043】
この場合において、顧客は、普段使い慣れた携帯型情報処理端末に対して入出力操作を行うことができ、使い勝手は良好である。
【0044】
また、コールセンタに対して、ATM取引休止状態を短文メッセージではなく、ATM自身が電文によって通知するので、コールセンタ側で取引休止状態になったATMを簡単に判別することができ、対応をとる必要がある対象を適切に把握することができる。
【0045】
さらに、上記効果を発揮させるためのATMの変更は、コールセンタへの連絡誘導画面や顧客の携帯電話番号の入力、送信を求める操作誘導画面を用意し、ATM取引休止状態を通知する電文を形成して送信する程度であって、ATMは電話番号を入力する画面を設けるという、比較的簡易な変更に留めることができる。また、コールセンタ側も、ATM取引休止状態の通知電文の受信により、短文メッセージを授受するようにする変更であって、比較的簡易な変更に留めることができる。
【0046】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による取引装置、取引システム及び取引方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第2の実施形態の取引装置もATMである。
【0047】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態に係る取引システム(以下、符号1Aを用いる)の構成も、上述した第1の実施形態に係る図1で表すことができる。
【0048】
図9は、第2の実施形態におけるATM(以下、符号10Aを用いる)の構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0049】
第2の実施形態のATM10Aは、第1の実施形態のATM10の構成要素に加えてカメラ49を有する。また、第2の実施形態のATM10Aは、第1の実施形態とは異なる表示画面データを有している。
【0050】
第2の実施形態でも、コールセンタサーバ20やオペレータ端末21の構成は第1の実施形態と同様であり、後述する動作説明で明らかになるように、一部の処理が、第1の実施形態とは異なっている。
【0051】
第2の実施形態の金融機関ホストコンピュータ(以下、符号30Aを用いる)は、第1の実施形態のものとほぼ同様であるが、顧客情報の一部として、いずれかのATM10Aのカメラ49が撮像した顧客画像データを含んでいる点が、第1の実施形態の金融機関ホストコンピュータ30と異なっている。カメラ搭載のATM10Aで取引を行う毎に、カメラ49で撮像して顧客画像データを得、得られた顧客画像データを金融機関ホストコンピュータ30Aに転送して格納させる。直近取引の顧客画像データだけを格納するようにしても良く、直近所定回数の取引時の顧客画像データを格納するようにしても良い。
【0052】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の取引システム1Aの動作を、図面を参照しながら説明する。
【0053】
ATM10Aは、自己に障害が発生した場合や、キャッシュカード若しくは通帳が筐体内に挿入されている状況で所定時間以上操作がなされなかった場合など、取引の取扱が休止した場合には、現時刻がATM設置箇所の営業時間内か否かを確認することなく、図10に示すコールセンタへの連絡を誘導する画面を表示・入力部40に表示させる。
【0054】
図10に示すコールセンタへの連絡誘導画面は、「お取扱いできなくなりました 備え付けの電話でお問合せください」、「電話をご利用できないお客様は下のボタンを押して下さい」というメッセージと共に、「お金が出ない」、「取り忘れた」、「その他」というボタンを含んでいる。「取り忘れた」ボタンは、例えば、開放した時間が所定時間を超えた場合には紙幣が取られなくても紙幣出入口の蓋を閉鎖し、紙幣を内部に引き込むことに対応したボタンであり、硬貨の出金やカードの排出に関しても同様な動作が実行される。図10では3種類のボタンを表示する場合を示したが、これより多くのボタンを表示するようにしても良い。
【0055】
顧客は、図10に示すコールセンタへの連絡誘導画面における3種類のボタンの中から、オペレータに通知したい内容に対応するボタンを操作し、このとき、ATM10Aは、操作されたボタンの情報を含むATM取引休止状態を通知する電文を形成してコールセンタに送信する。
【0056】
図11は、このようなATM取引休止状態を通知する電文を受信した際のコールセンタ側(オペレータ、コールセンタサーバ20及びオペレータ端末21)の動作を示すフローチャートである。図11は、オペレータ端末21(従ってオペレータ)の割振りが行われた後の処理を示している。また、図11のフローチャートの処理の全て若しくは一部はオペレータ端末21が自動的に行っても良く、また、オペレータとの対話などに従って行っても良いが、以下の説明では、主体がオペレータ端末21であるとして説明する。
【0057】
ATM取引休止状態を通知する電文の内容が与えられたオペレータ端末21は、コールセンタサーバ20のデータ格納部53から、取引休止状態となったATM10Aが設置されているATM設置箇所(金融機関の支店など)の営業時間のデータを取り出し、現時刻が営業時間内か否かを判別する(ステップS200)。
【0058】
現時刻が営業時間内であると(なお、残業している従業員がいる時間は営業時間とみなすようにしても良い)、オペレータ端末21は、ATM10Aに対して、営業時間内にATM取引休止状態になった場合の図12に示すような画面の表示を指示すると共に(ステップS201)、取引休止状態となったATM10Aが設置されているATM設置箇所に対して、データ通信により、ATM設置箇所内サーバ11に取引休止状態となったATM10Aに向かうことの指示メッセージを送出し(ステップS202)、一連の処理を終了する。なお、電話によって、ATM設置箇所に取引休止状態となったATM10Aに向かうことを指示するようにしても良い。
【0059】
図12に示す画面は、上述した図10の3種類のボタンが表示されていた領域に、「ただいま係員が向かっています お待ちください」というメッセージを表示させたものである。
【0060】
これに対して、現時刻が営業時間外であると、オペレータ端末21は、取引休止状態となったATM10Aの具体的な状態が、リモート返却対象事象であるか否かを判別する(ステップS203)。例えば、キャッシュカードや通帳が筐体内に留まっている取引休止状態はリモート返却対象事象に該当する。
【0061】
取引休止状態がリモート返却対象事象であると、オペレータ端末21は、ATM10Aに対して、カメラ49の撮像を指示し、返信された顧客画像データを取込むと共に(ステップS204)、コールセンタサーバ20を介して、金融機関ホストコンピュータ30Aから、その顧客の顧客画像データを取り寄せ(ステップS205)、2つの顧客画像データを照合する(ステップS206)。この照合は、画像認識処理を利用した機械的な照合であっても良く、オペレータによる目視による照合であっても良い。
【0062】
2つの顧客画像データに写っている顧客が同一人と判断した場合には、オペレータ端末21は、取引休止状態となったATM10Aに対して返却対象(キャッシュカードや通帳)を含む返却動作起動指令を送信する(ステップS207)。このとき、ATM10Aは、指示された返却対象(キャッシュカード若しくは通帳)を返却しようとし、その動作結果(返却できたか否か)をオペレータ端末21に返信し、オペレータ端末21は、その結果を判別する(ステップS208)。返却対象を適切に返却できた場合には、オペレータ端末21は一連の処理を終了する。なお、返却対象を適切に返却できた場合には、ATM10Aも初期状態に戻る。
【0063】
取引休止状態がリモート返却対象事象でない場合、取引休止状態がリモート返却対象事象であるが2つの顧客画像データに写っている人物が異なると判断した場合、又は、返却対象の返却を指示したが返却ができなかった場合には、オペレータ端末21は、保守員が待機している箇所に、電話連絡若しくはデータ通信により、該当するATM設置箇所への出動を指示すると共に、保守員が待機している箇所から該当するATM設置箇所までの移動時間(移動予測時間)を得る(ステップS209)。そして、オペレータ端末21は、図13に示す画面の表示をATM10Aに指示する(ステップS210)。
【0064】
図13に示す表示画面は、「係員が向かうまで30分ほどお待ち下さい。」(30分の文字列は移動時間により変化する部分である)、「お待ちできない場合は、お手持ちの携帯電話で050−XXXX−XXXXへコールしてください メールで折り返しご連絡します」というメッセージを含んでいる。ここでの発呼番号は、現在のオペレータのオペレータ端末21の電話番号(若しくは内線番号)になっている。すなわち、オペレータ端末21は、図13に示す画面の表示をATM10Aに指示した後、顧客が有する携帯型情報通信端末15からの着信を待ち受ける状態になる(ステップS211)。
【0065】
図13に示す表示画面を見た顧客は、その時点でどのように対応したら良いかの情報を得ることができる。例えば、保守員を待つことができれば待ち、待つ時間がなければ、顧客が有する携帯型情報通信端末15から、表示されている電話番号050−XXXX−XXXXに発信することになる。後者の場合においては、これ以降、オペレータ及び顧客間の短文メッセージの授受による意思伝達を行うことができる(ステップS212)。例えば、顧客が有する携帯型情報通信端末15から電話番号050−XXXX−XXXXの着信があると、オペレータはオペレータ端末21から「お届けの住所にカードを送ります」という短文メッセージを顧客が有する携帯型情報通信端末15に送信し、ATM10A内に残ったままのキャッシュカードを送付することを伝えることができる。
【0066】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によっても、聴覚障がい者や発音障がい者等の顧客が、ATM取引休止状態において、オートホンを用いることなく、遠隔地のオペレータとの間で短文メッセージ(テキストチャット)によって意思伝達を行うことができ、しかも、顧客は、普段使い慣れた携帯型情報処理端末に対して入出力操作を行うことができ、使い勝手は良好である。
【0067】
また、第2の実施形態によれば、ATM取引休止状態において表示する操作誘導画面に状況等を反映できる複数の選択肢ボタンを設けて顧客に選択させて、ATMがコールセンタ側にその選択状況を含む電文によって通知するので、コールセンタ側で取引休止状態になったATMやその状況を簡単に判別することができ、対応をとる必要がある対象や内容を適切に把握することができる。
【0068】
さらに、第1の実施形態と同様に、ATMやコールセンタ側の変更を僅かな変更に留めることができる。
【0069】
(C)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0070】
(c−1)上記各実施形態では、ATMが取引休止状態になった場合に、顧客がオペレータと短文メッセージを授受できるようにする場合を示したが、取引を実行可能な状態でも、顧客の選択により、顧客がオペレータと短文メッセージを授受できるようにしても良い。
【0071】
図14は、この変形実施形態に係るATMの初期画面(顧客待受け画面)を示す説明図である。この初期画面では、「お引き出し」、「お預入れ」、「残高照会」、「通帳記帳」、「お振込み」、「お振替え」、「暗証番号変更」、「その他取引」などの取引きを選択するボタンに加え、「電話をご利用できないお客様用」というメッセージと共に「係員へ連絡」ボタンが設けられ、「係員へ連絡」ボタンが操作された際には、第1の実施形態と同様に動作して、顧客がオペレータと短文メッセージを授受できるようにする。
【0072】
(c−2)上記各実施形態では、携帯型情報処理装置が有するインスタントメッセージ機能を利用して、顧客がオペレータと文字列メッセージ(テキストキャット)を授受して情報の伝達を行うものを示したが、リアルタイム性に多少欠けるが、一般的な電子メールによって、顧客がオペレータと文字列メッセージを授受できるようにしても良い。
【0073】
この場合であれば、第1の実施形態の電話番号を入力させる際にメールアドレスを入力させるようにするか、若しくは、金融機関ホストコンピュータの顧客情報として電話番号とメールアドレスの双方を記述しておき、オペレータ端末が、入力された電話番号からメールアドレスを取り出すようにしても良い。
【0074】
また、第2の実施形態を変形する場合には、「050−XXXX−XXXXへコールしてください」の部分を、メールアドレスを記述し、そのメールアドレスへ問合せメールを送信して下さい、に変更すれば良い。
【0075】
さらに、文字列メッセージの複数種類の授受方法(インスタントメッセージを利用する方法、一般的な電子メールを利用する方法など)から、顧客が利用する授受方法を選択できるようにしても良い。
【0076】
(c−3)上記第2の実施形態では、連絡先情報を、文字列の表記で伝えるものを示したが、連絡先情報をQR(登録商標)コードで表記しておき、携帯型情報処理装置が、QRコードを読み取ることで連絡先情報をそのまま使える形で得るようにしても良い。この際の連絡先情報は、電話番号であってもメールアドレスであっても良い。
【0077】
また、QRコードは、連絡先情報だけでなく、所定のメッセージを含むものであっても良い。例えば、ATMが、QRコードを読み取ると定型の短文メッセージ(テキストチャット)を作成し、店番やATM機番を自動的に定型の短文メッセージにセットするようにしても良い。
【0078】
(c−4)上記各実施形態では、文字列メッセージを授受するために顧客が利用する装置が、顧客が有する携帯型情報処理装置である場合を示したが、他の装置であっても良い。例えば、ATMに設けられている受話器や、ATM脇の設けられているオートホンなどに、インスタントメッセージ機能に対応する構成を搭載し、文字列メッセージを授受できるようにしても良い。
【0079】
(c−5)上記第2の実施形態では、リモート返却を実行するための顧客確認をATM内蔵カメラが撮像した顧客画像データに基づいて行うものを示したが、これに代え、若しくは、これに加えて、他の方法によっても顧客を確認するようにしても良い。
【0080】
例えば、ATM内蔵かめらではなく、ATMコーナに設置されたカメラが撮像した顧客画像データで確認するようにしても良い。
【0081】
また例えば、顧客情報の中に顧客以外の人が知っていることが少ない情報を記述しておき(例えば、母親の名前、父親の生年など)、ATMに不正解の選択肢も含めた質問画面を表示させ、所定数の質問全てに正解したか否かで顧客を確認するようにしても良い。
【0082】
(c−6)上記各実施形態では、説明したボタンの全てが表示画面上に設けられたアイコンであったが、その一部のボタンをハードウェア的なボタンとするようにしても良い。例えば、「係員へ連絡」ボタンをハードウェア的なボタンとし、表示画面では、そのボタンの位置を教えて操作することを求めるようにしても良い。
【0083】
(c−7)上記各実施形態では、ATMに本発明を適用したものを示したが、他の取引装置に本発明の技術思想を適用することができる。例えば、予約した航空券を取り出す航空券発券装置や無人店舗などに設置されているキヨスク端末などに本発明の技術思想を適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1、1A…取引システム、10、10A…自動取引装置(ATM)、15…携帯型情報通信端末、20…コールセンタサーバ、21…オペレータ端末、30、30A…金融機関ホストコンピュータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14