(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数道路区間検出部は、前記第1地図格納部が格納している前記第1地図、及び前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の第1道路区間のうちから、前記位置情報が表す前記第1地図上の位置からの距離が予め定めた閾値距離より短い第1道路区間を少なくとも2以上検出し、
前記変換位置算出部は、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報が表す前記第1地図上の位置と前記最短区間検出部が検出した前記最短区間との間の距離が前記設定距離以上であると判定した場合には、前記複数比率算出部が算出した前記複数区間比率、及び前記複数対応区間検出部が検出した前記複数対応区間に基づいて、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報が表す前記第1地図上の位置に対応する前記第2地図上の位置を少なくとも2以上算出し、算出した少なくとも2以上の位置から1つの代表位置を算出して前記変換位置とすることを特徴とする請求項2に記載の位置情報変換装置。
前記最短区間検出部は、前記第1地図格納部が格納している前記第1地図、及び前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づいて、前記第1地図上の複数の第1道路区間のうちから、前記位置情報が表す前記第1地図上の位置から下した垂線の長さが最短の第1道路区間を前記最短区間として検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置情報変換装置。
前記最短区間検出部は、前記位置情報が表す前記第1地図上の位置から前記第1地図上の複数の第1道路区間のいずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、前記第1地図上の前記複数の第1道路区間のうち、前記位置情報が表す前記第1地図上の位置と第1道路区間の一方の端部との間の距離、及び前記位置情報が表す前記第1地図上の位置と第1道路区間の他方の端部との間の距離のうち短いほうが最短である第1道路区間を前記最短区間として検出することを特徴とする請求項4に記載の位置情報変換装置。
前記最短区間検出部は、前記位置情報が表す前記第1地図上の位置から前記第1地図上の複数の第1道路区間のいずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、前記第1地図上の複数の第1道路区間それぞれを延長した複数の直線のうちから、前記位置情報が表す前記第1地図上の位置から下した垂線の長さが最短の直線を検出し、検出した直線のもととなった第1道路区間を前記最短区間として検出することを特徴とする請求項4に記載の位置情報変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る位置情報変換装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、位置情報変換装置を搭載した車両Aを表すブロック図である。
図1に示すように、車両Aは、実地図格納装置1、位置情報取得装置2、イラスト地図格納装置3、イラスト地図表示装置4、及び経路誘導装置5を備える。本実施形態の位置情報変換装置は、これら実地図格納装置1、位置情報取得装置2、イラスト地図格納装置3、イラスト地図表示装置4、及び経路誘導装置5によって構成される。
【0009】
実地図格納装置1は、建物や道路等を実際の形状で表した地図(以下、「実地図」とも呼ぶ)を格納している。実地図としては、例えば、道路を区分して設定した複数の小区間(以下、「道路区間」とも呼ぶ)の情報を有するものがある。道路区間としては、例えば、道路交通網を表現するために道路に沿って設定されるリンク(ノードとノードとを連結する線分)を採用できる。道路区間の端部は、予め定めた一方を「起点端部」と呼び他方を「終点端部」と呼ぶ。
【0010】
位置情報取得装置2は、車両Aの実地図上の現在位置(緯度経度)を表す位置情報を取得する。位置情報取得装置2としては、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの送信信号に基づいて現在位置を検出するGPS受信機を採用できる。そして、位置情報取得装置2は、取得した実地図上の現在位置を経路誘導装置5に出力する。
なお、本実施形態では、位置情報取得装置2が、車両Aの実地図上の現在位置を表す位置情報を取得する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、位置情報取得装置2が、ユーザが指定した実地図上の任意地点を表す位置情報を取得する構成としてもよい。また、例えば、位置情報取得装置2が、地図等から抽出した店舗、名所及び観光スポット等の実地図上のランドマーク位置を表す位置情報を取得する構成としてもよい。
【0011】
イラスト地図格納装置3は、建物や道路等を誇張・変形して表した地図(以下、「イラスト地図」とも呼ぶ)を格納している。イラスト地図の道路は、複数の小区間(道路区間)に区分されている。これにより、イラスト地図は、複数の道路区間の情報を有する。イラスト地図上の複数の道路区間(以下、「第2道路区間」とも呼ぶ)のそれぞれは、実地図上の複数の道路区間(以下、「第1道路区間」とも呼ぶ)のいずれかに対応付けられている。第2道路区間の端部は、一方を「起点端部」と呼び他方を「終点端部」と呼ぶ。第2道路区間の起点端部は、当該第2道路区間に対応付けられている第1道路区間の起点端部に対応付けられている。
【0012】
イラスト地図表示装置4は、経路誘導装置5からの指令に従って、車両Aの現在位置付近を含むイラスト地図上にイラスト地図上位置情報が表す位置を重畳した画像(以下、「位置付イラスト地図」とも呼ぶ)を表示する。イラスト地図上位置情報としては、例えば、位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置を表す情報がある。
図2は、経路誘導装置5を表すブロック図である。
【0013】
経路誘導装置5は、位置情報取得部6、位置情報変換部7、及び変換後位置情報提示部8を備える。
位置情報取得部6は、位置情報取得装置2が出力した位置情報を取得する。また、位置情報取得部6は、取得した位置情報を入力位置情報として位置情報変換部7に出力する。
位置情報変換部7は、位置情報取得部6が出力した入力位置情報、実地図格納装置1が格納している実地図、及びイラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置を表す情報(イラスト上位置情報)を演算する。そして、位置情報変換部7は、演算したイラスト地図上の位置を表す情報(イラスト上位置情報)を変換後位置情報提示部8に出力する。
【0014】
図3は、位置情報変換部7の構成を表すブロック図である。
具体的には、位置情報変換部7は、
図3に示すように、対象線分パラメータ検出部7a、及び座標変換部7bを備える。
図4は、対象線分パラメータ検出部7aの動作を説明する説明図である。
対象線分パラメータ検出部7aは、
図4(a)に示すように、実地図格納装置1が格納している実地図、及び位置情報取得部6が出力した入力位置情報に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が最短の第1道路区間(以下、「最短区間」とも呼ぶ)を検出する。具体的には、対象線分パラメータ検出部7aは、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、1つの第1道路区間(最短区間の候補)を選択する。続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、
図4(b)に示すように、選択した第1道路区間(最短区間の候補)の起点端部(以下、「点A」とも呼ぶ)と終点端部(以下、「点B」とも呼ぶ)とを結ぶ線分ABを点Aを中心として右回りに90°回転させた場合の、回転後の線分AB(以下、「線分AD」とも呼ぶ)を演算する。ここで、線分ADは、下記(1)式を満たし、線分ABの点Aを通り線分ABに直交する。
【0016】
続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、入力位置情報が表す実地図上の位置(以下、「点T」とも呼ぶ)から点A及び点Bを通る直線(以下、「直線AB」とも呼ぶ)に下ろした垂線と直線ABとが交差する位置(以下、「点C」とも呼ぶ)を演算する。続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、点Tから点A及び点Dを通る直線(以下、「直線AD」とも呼ぶ)に下ろした垂線と直線ADとが交差する位置(以下、「点E」とも呼ぶ)を演算する。続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、線分ABの長さに対する線分ACの長さの比率s、及び線分ADの長さに対する線分AEの長さの比率tを演算する。ここで、線分AT、線分AB、及び線分ADには、下記(2)式の関係が成立する。また、比率s、及び比率tは、下記(3)、(4)式より、線分ABに対する点C、点Eの位置関係を表す。
【0018】
続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、演算した点Cが線分AB上に存在するか否かを判定する。具体的には、対象線分パラメータ検出部7aは、比率sが0以上で且つ1以下であるか否かを判定する。そして、対象線分パラメータ検出部7aは、比率sが0以上で且つ1以下であると判定した場合には、点Cが線分AB上に存在すると判定し、線分AEの長さ、つまり、点Tと線分ABとの間の距離を演算する。これにより、対象線分パラメータ検出部7aは、入力位置情報が表す実地図上の位置と実地図上の第1道路区間との間の距離を算出する。点Tと線分ABとの間の距離の算出方法としては、例えば、比率t及び線分ADの長さに基づき、下記(5)式に従って算出する方法がある。一方、対象線分パラメータ検出部7aは、比率sが0未満または1より大きいと判定した場合には、点Cが線分AB上に存在しないと判定し、点Tと線分ABとの間の距離を算出しない。
【0020】
続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、実地図上の複数の第1道路区間のうちに、未選択の第1道路区間があるか否かを判定する。そして、対象線分パラメータ検出部7aは、未選択の道路区間があると判定した場合には、未選択の第1道路区間を1つ選択して上記フローを再度実行する。一方、対象線分パラメータ検出部7aは、未選択の第1道路区間がない、つまり、実地図上の複数の第1道路区間をすべて選択したと判定した場合には、点Tと線分ABとの間の距離を算出した第1道路区間のうちから、点Tと線分ABとの間の距離が最短の第1道路区間(最短区間)を検出する。最短区間の算出方法としては、例えば、点Tと線分ABとの間の距離を算出した第1道路区間のうち、下記(6)、(7)式を満たす第1道路区間を最短区間として検出する方法がある。これにより、対象線分パラメータ検出部7aは、実地図、及び入力位置情報に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置から下した垂線の長さ(|t・AD|)が最短の第1道路区間を最短区間として検出する。
【0022】
続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した最短区間(線分AB)と入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|t・線分AD|)と最短区間の長さ(|線分AB|)との比率tを算出する。続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した最短区間(線分AB)の基点端部(点A)を通り線分ABと直交する直線(直線AD)と入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|s・線分AB|)と最短区間の長さ(|線分AB|)との比率sを算出する。続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、イラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、検出した最短区間に対応付けられているイラスト地図上の第2道路区間(以下、「対応区間」とも呼ぶ)を検出する。続いて、対象線分パラメータ検出部7aは、算出した比率s、tを含むパラメータ(以下、「線分パラメータ」とも呼ぶ)、及び検出した対応区間を表す情報(以下、「線分検出情報」とも呼ぶ)を座標変換部7bに出力する。
【0023】
図5は、最短区間の算出方法の変形例を説明するための説明図である。
なお、対象線分パラメータ検出部7aは、入力位置情報が表す実地図上の位置から実地図上の複数の第1道路区間いずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、
図5に示すように、実地図上の複数の第1道路区間のうち、入力位置情報が表す実地図上の位置と第1道路区間の一方の端部との間の距離、及び入力位置情報が表す実地図上の位置と第1道路区間の他方の端部との間の距離のうち短いほうが最短である第1道路区間を最短区間として検出する構成としてもよい。この場合、最短区間の算出方法としては、例えば、下記(8)式を満たす第1道路区間を最短区間として検出する。
【0025】
また、対象線分パラメータ検出部7aは、入力位置情報が表す第1地図上の位置から第1地図上の複数の第1道路区間のいずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、第1地図上の複数の第1道路区間それぞれを延長した複数の直線のうちから、位置情報が表す前記第1地図上の位置から下した垂線の長さが最短の直線を検出し、検出した直線のもととなった第1道路区間を最短区間として検出する構成としてもよい。
【0026】
図6は、座標変換部7bの動作を説明するための説明図である。
座標変換部7bは、対象線分パラメータ検出部7aが出力した線分パラメータ(比率s、t)及び線分検出情報(対応区間)に基づいて、対応区間から、対応区間の長さと比率s、tとの乗算結果が表す距離を隔てた第2地図上の位置を、入力位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置(以下、「変換位置」とも呼ぶ)とする。具体的には、座標変換部7bは、イラスト地図上の複数の第2道路区間のうちから、線分検出情報が表す対応区間を選択する。続いて、座標変換部7bは、
図6(a)に示すように、選択した対応区間の起点端部(以下、「点A’」とも呼ぶ)と終点端部(以下、「点B’」とも呼ぶ)とを結ぶ線分A’B’を点A’を中心として右回りに90°回転させた場合の、回転後の線分A’B’(以下、「線分A’D’」とも呼ぶ)を演算する。ここで、線分A’D’は、下記(9)式を満たし、線分A’B’の点A’を通り線分A’B’に直交する。
【0028】
続いて、座標変換部7bは、演算した線分A’D’、線分A’B’、及び線分パラメータが含む比率s、tに基づき、下記(10)式に従って入力位置情報が表す実地図上の位置、つまり、
図4(b)の点Tに対応するイラスト地図上の位置(以下、「点T’」とも呼ぶ)を演算する。続いて、座標変換部7bは、
図6(b)に示すように、演算した点T’の位置(変換位置)をイラスト地図上位置情報として変換後位置情報提示部8に出力する。
【0030】
変換後位置情報提示部8は、位置情報変換部7が出力したイラスト地図上位置情報、及びイラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、位置付イラスト地図を表示させる指令をイラスト地図表示装置4に出力する。これにより、イラスト地図表示装置4は、当該指令が出力されると、位置付イラスト地図(車両Aの現在位置付近を含むイラスト地図上にイラスト地図上位置情報が表す位置を重畳した画像)を表示する。
【0031】
(動作その他)
次に、本実施形態の位置情報変換装置を搭載した車両Aの動作を説明する。
まず、経路誘導装置5(位置情報取得部6)が、
図2に示すように、位置情報取得装置2が出力した位置情報(車両Aの現在位置を表す位置情報)を取得する。続いて、経路誘導装置5(対象線分パラメータ検出部7a)が、取得した車両Aの位置情報(入力位置情報)、及び実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が最短の第1道路区間(最短区間)を検出する。続いて、経路誘導装置5(対象線分パラメータ検出部7a)が、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)と最短区間(線分AB)との間の距離(|t・線分AD|)と最短区間の長さ(|線分AB|)との比率tを算出する。また、経路誘導装置5(対象線分パラメータ検出部7a)が、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)と最短区間(線分AB)の基点端部(点A)を通り線分ABと直交する直線(直線AD)との間の距離(|s・線分AB|)と最短区間の長さ(|線分AB|)との比率sを算出する。続いて、経路誘導装置5(対象線分パラメータ検出部7a)が、イラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、検出した最短区間に対応付けられているイラスト地図上の第2道路区間(対応区間)を検出する。
【0032】
続いて、経路誘導装置5(座標変換部7b)が、検出した対応区間を表す情報(線分検出情報)、及び算出した比率s、t(線分パラメータ)に基づいて、対応区間から、対応区間の長さと比率s、tとの乗算結果が表す距離を隔てた第2地図上の位置を、入力位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置(イラスト上位置情報)とする。続いて、経路誘導装置5(変換後位置情報提示部8)が、検出したイラスト地図上位置情報、及びイラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、位置付イラスト地図をイラスト地図表示装置4に表示させる指令をイラスト地図表示装置4に出力する。これにより、イラスト地図表示装置4が、経路誘導装置5からの指令に従って、車両Aの現在位置及びその周辺部を含むイラスト地図上にイラスト地図上位置情報が表すイラスト地図上の位置を重畳した画像(位置付イラスト地図)を表示する。それゆえ、本実施形態では、実地図上の位置をイラスト地図上の位置により適切に変換できる。
【0033】
本実施形態では、実地図が第1地図を格納する。以下同様に、
図1の実地図格納装置1が第1地図格納部を構成する。また、
図1の経路誘導装置5、
図2の位置情報取得部6が位置情報取得部を構成する。さらに、
図1の経路誘導装置5、
図2の位置情報変換部7が最短区間検出部、距離比率算出部、対応区間検出部及び変換位置算出部を構成する。また、
図1のイラスト地図格納装置3が第2地図格納部を構成する。
【0034】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)経路誘導装置5は、実地図上の位置を表す位置情報を取得する。続いて、経路誘導装置5は、取得した位置情報、及び実地図に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、位置情報が表す実地図上の位置からの距離が最短の第1道路区間(最短区間)を検出する。続いて、経路誘導装置5は、実地図に基づいて、位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離と最短区間の長さとの比率tを算出する。続いて、経路誘導装置5は、イラスト地図に基づいて、最短区間に対応付けられているイラスト地図上の第2道路区間である対応区間を検出する。続いて、経路誘導装置5は、算出した比率t、及び検出した対応区間に基づいて、対応区間から、対応区間の長さと比率との乗算結果が表す距離を隔てた第2地図上の位置を、位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置(イラスト上位置情報。変換位置)を算出する。
【0035】
このような構成によれば、位置情報が表す実地図上の位置をイラスト地図上の位置に変換する場合、位置情報が表す実地図上の位置から実地図上の最短区間までの間の距離と該最短区間の長さとの比率(以下、「第1比率」とも呼ぶ)と、該位置に対応するイラスト地図上の変換位置からイラスト地図上の対応区間までの間の距離と該対応区間の長さとの比率(以下、「第2比率」とも呼ぶ)とは同程度になるものと考えられるので、対応区間から、第1比率と対応区間の長さとの乗算結果が表す距離を隔てたイラスト地図上の位置を、位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置である変換位置とする。これにより、実地図上の位置をイラスト地図上の位置により適切に変換できる。
【0036】
(2)経路誘導装置5は、実地図、及び入力位置情報に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置から下した垂線の長さが最短の第1道路区間を最短区間として検出する。
このような構成によれば、入力位置情報が表す位置から最も近い第1道路区間を最短区間として検出できる。それゆえ、最短区間をより適切に検出できる。
【0037】
(3)経路誘導装置5は、入力位置情報が表す実地図上の位置から実地図上の複数の第1道路区間のいずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、実地図上の複数の第1道路区間のうち、入力位置情報が表す実地図上の位置と第1道路区間の一方の端部との間の距離、及び入力位置情報が表す実地図上の位置と第1道路区間の他方の端部との間の距離のうち短いほうが最短である第1道路区間を最短区間として検出する。
このような構成によれば、位置情報が表す実地図上の位置から実地図上の第1道路区間に垂線を下すことができない場合にも、最短区間をより適切に検出できる。
【0038】
(4)経路誘導装置5は、入力位置情報が表す第1地図上の位置から第1地図上の複数の第1道路区間のいずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、第1地図上の複数の第1道路区間それぞれを延長した複数の直線のうちから、位置情報が表す前記第1地図上の位置から下した垂線の長さが最短の直線を検出し、検出した直線のもととなった第1道路区間を最短区間として検出する構成としてもよい。
このような構成によれば、位置情報が表す実地図上の位置から実地図上の第1道路区間に垂線を下すことができない場合にも、最短区間をより適切に検出できる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な構成等については同一の符号を使用して、その詳細は省略する。
本実施形態は、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離が設定距離以上であると判定した場合には、最短区間に代えて、少なくとも2以上の第1道路区間を用いて、イラスト上位置情報(変換位置)を算出する点が第1実施形態と異なる。
具体的には、本実施形態は、位置情報変換部7の構成が第1実施形態と異なっている。
実地図上の複数の第1道路区間のそれぞれは、ユニークな道路区間番号を設定されている。また、イラスト地図上の複数の第2道路区間のそれぞれは、当該第2道路区間に対応付けられている第1道路区間に設定されている道路区間番号が設定されている。
【0040】
図7は、経路誘導装置5の構成を表すブロック図である。
図7に示すように、位置情報変換部7は、座標変換部7b、パラメータ算出部7c、及び複数位置情報変換部7dを備える。
図8は、パラメータ算出部7cのブロック図である。
図8に示すように、パラメータ算出部7cは、全区間パラメータ算出処理部7ca、単数パラメータ算出部7cb、及び複数パラメータ算出部7ccを備える。
【0041】
図9は、全区間パラメータ算出処理部7caの動作を説明するための説明図である。
全区間パラメータ算出処理部7caは、実地図格納装置1が格納している実地図、及び位置情報取得部6が出力した入力位置情報に基づいて、全区間パラメータ(後述)及び最短区間情報(後述)を演算する。具体的には、全区間パラメータ算出処理部7caは、
図9(a)に示すように、実地図上の複数の第1道路区間それぞれに設定した道路区間番号のうちから、1つの道路区間番号i(i=1、2、…)を選択する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、
図9(b)に示すように、選択した道路区間番号iが設定された第1道路区間の起点端部(以下、「点Ai」とも呼ぶ)と終点端部(以下、「点Bi」とも呼ぶ)とを結ぶ線分AiBiを点Aiを中心として右回りに90°回転させた場合の、回転後の線分AiBi(以下、「線分AiDi」とも呼ぶ)を演算する。ここで、線分AiDiは、下記(11)式を満たし、線分AiBiの点Aiを通り線分AiBiに直交する。
【0043】
続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、入力位置情報が表す実地図上の位置(以下、「点T」とも呼ぶ)から点Ai及び点Biを通る直線(以下、「直線AiBi」とも呼ぶ)に下ろした垂線と直線AiBiとが交差する位置(以下、「点Ci」とも呼ぶ)を演算する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、点Tから点Ai及び点Diを通る直線(以下、「直線AiDi」とも呼ぶ)に下ろした垂線と直線AiDiとが交差する位置(以下、「点Ei」とも呼ぶ)を演算する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、線分AiBiの長さに対する線分AiCiの長さの比率si、及び線分AiDiの長さに対する線分AiEiの長さの比率tiを演算する。ここで、線分AiT、線分AiBi、及び線分AiDiには、下記(12)式の関係が成立する。また、比率si、及び比率tiは、下記(13)、(14)式より、線分AiBiに対する点Ci、点Eiの位置関係を表す。
【0045】
続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、演算した点Ciが線分AiBi上に存在するか否かを判定する。具体的には、全区間パラメータ算出処理部7caは、比率siが0以上で且つ1以下であるか否かを判定する。そして、全区間パラメータ算出処理部7caは、比率siが0以上で且つ1以下であると判定した場合には、点Ciが線分AiBi上に存在すると判定し、線分AiEiの長さ、つまり、点Tと線分AiBiとの間の距離を演算する。これにより、全区間パラメータ算出処理部7caは、入力位置情報が表す実地図上の位置と実地図上の第1道路区間との間の距離を算出する。点Tと線分AiBiとの間の距離の演算方法としては、例えば、比率ti及び線分AiDiの長さに基づき、下記(15)式に従って算出する方法がある。一方、全区間パラメータ算出処理部7caは、比率siが0未満または1より大きいと判定した場合には、点Ciが線分AiBi上に存在しないと判定し、点Tと線分AiBiとの間の距離を算出しない。
【0047】
続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、設定した道路区間番号のうちに、未選択の道路区間番号があるか否かを判定する。そして、全区間パラメータ算出処理部7caは、未選択の道路区間番号があると判定した場合には、未選択の道路区間番号を1つ選択して上記フローを再度実行する。一方、全区間パラメータ算出処理部7caは、未選択の道路区間番号がない、つまり、設定した道路区間番号をすべて選択したと判定した場合には、実地図上の複数の第1区間のうちから、点Tと線分AiBiとの間の距離を算出した第1道路区間(以下、「最短区間候補」とも呼ぶ)を検出する。
【0048】
続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した最短区間候補(線分AiBi)と入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|ti・線分AiDi|)と最短区間候補の長さ(|線分AiBi|)との比率tiを算出する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した最短区間候補(線分AiBi)の基点端部(点Ai)を通り線分AiBiと直交する直線(直線AiDi)と入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|si・線分AiBi|)と最短区間候補の長さ(|線分AiBi|)との比率siを算出する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、イラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、検出した最短区間候補に対応付けられているイラスト地図上の第2道路区間(以下、「対応区間候補」とも呼ぶ)を検出する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、算出した比率si、ti、及び対応区間候補を含むパラメータ(以下、「全区間パラメータ」とも呼ぶ)を単数パラメータ算出部7cb及び複数パラメータ算出部7ccに出力する。
【0049】
続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、検出した最短区間候補のうちから、点Tと線分AiBiとの間の距離が最短の最短区間候補(最短区間)を検出する。最短区間の算出方法としては、例えば、検出した最短区間候補のうち、下記(16)、(17)式を満たす最短区間候補を最短区間として検出する方法がある。これにより、全区間パラメータ算出処理部7caは、実地図、及び入力位置情報に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置から下した垂線の長さ(|ti・AiDi|)が最短の第1道路区間を最短区間として検出する。
【0051】
なお、全区間パラメータ算出処理部7caは、入力位置情報が表す実地図上の位置から実地図上の複数の第1道路区間いずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、
図5に示すように、実地図上の複数の第1道路区間のうち、入力位置情報が表す実地図上の位置と第1道路区間の一方の端部との間の距離、及び入力位置情報が表す実地図上の位置と第1道路区間の他方の端部との間の距離のうち短いほうが最短である第1道路区間を最短区間として検出する構成としてもよい。この場合、最短区間の算出方法としては、例えば、下記(18)、(19)式を満たす第1道路区間を最短区間として検出する。
【0053】
また、全区間パラメータ算出処理部7caは、入力位置情報が表す第1地図上の位置から第1地図上の複数の第1道路区間のいずれにも垂線を下すことができないと判定した場合には、第1地図上の複数の第1道路区間それぞれを延長した複数の直線のうちから、位置情報が表す前記第1地図上の位置から下した垂線の長さが最短の直線を検出し、検出した直線のもととなった第1道路区間を最短区間として検出する構成としてもよい。
【0054】
続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した最短区間(線分AiBi)と入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|ti・線分AiDi|)と最短区間の長さ(|線分AiBi|)との比率tiを算出する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した最短区間(線分AiBi)の基点端部(点Ai)を通り線分AiBiと直交する直線(直線AiDi)と入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|si・線分AiBi|)と最短区間の長さ(|線分AiBi|)との比率siを算出する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、イラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、検出した最短区間に対応付けられているイラスト地図上の第2道路区間(以下、「対応区間」とも呼ぶ)を検出する。続いて、全区間パラメータ算出処理部7caは、算出した比率si、ti、及び対応区間を表す情報(以下、「最短区間情報」とも呼ぶ)を単数パラメータ算出部7cb及び複数パラメータ算出部7ccに出力する。
【0055】
単数パラメータ算出部7cbは、全区間パラメータ算出処理部7caが出力した全区間パラメータ及び最短区間情報に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が最も短い第1道路区間(最短区間)の道路区間番号jを検出する。続いて、単数パラメータ算出部7cbは、検出した道路区間番号jの第1道路区間の線分AjEj、つまり、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離が予め定めた設定距離未満であるか否かを判定する。設定距離としては、例えば、線分AjBjの長さを採用できる。そして、単数パラメータ算出部7cbは、線分AjEjが設定距離(線分AjBjの長さ)未満であると判定した場合には、全区間パラメータ算出処理部7caが出力した最短リンク情報が表す比率s、tを含むパラメータ(以下、「線分パラメータ」とも呼ぶ)、及び最短リンク情報が表す対応区間を表す情報(以下、「線分検出情報」とも呼ぶ)を座標変換部7bに出力する。これにより、単数パラメータ算出部7cbは、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間とが十分に近い場合に、線分パラメータ及び線分検出情報を出力する。一方、単数パラメータ算出部7cbは、線分AjEjが設定距離(線分AjBjの長さ)以上であると判定した場合には、座標変換部7bに何も出力しない。
【0056】
複数パラメータ算出部7ccは、全区間パラメータ算出処理部7caが出力した全区間パラメータ及び最短区間情報に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が最も短い第1道路区間(最短区間)の道路区間番号jを検出する。続いて、複数パラメータ算出部7ccは、検出した道路区間番号jの第1道路区間の線分AjEj、つまり、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離が予め定めた設定距離以上であるか否かを判定する。設定距離としては、例えば、線分AjBjの長さを採用できる。そして、複数パラメータ算出部7ccは、線分AjEjが設定距離(線分AjBjの長さ)以上であると判定した場合には、全区間パラメータ算出処理部7caが出力した全区間パラメータを検出前複数線分パラメータとして座標変換部7bに出力する。これにより、単数パラメータ算出部7cbは、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間とが乖離している場合に、検出前複数線分パラメータを座標変換部7bに出力する。一方、複数パラメータ算出部7ccは、線分AjEjが設定距離(線分AjBjの長さ)未満であると判定した場合には、複数位置情報変換部7dに何も出力しない。
【0057】
図10は、複数位置情報変換部7dの構成を示すブロック図である。
図10に示すように、複数位置情報変換部7dは、複数対象線分検出部7da、複数座標変換部7db、及び複数座標統合部7dcを備える。
複数対象線分検出部7daは、パラメータ算出部7cが出力した検出前複数線分パラメータ(比率ti)に基づき、下記(20)式に従って入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)と最短区間候補(線分AiBi)との間の距離liを算出する。
【0059】
続いて、複数対象線分検出部7daは、算出した距離li、及び閾値L(例えば、固定値)に基づいて、最短区間候補(第1道路区間)のうちから、下記(21)式を満たす第1道路区間を少なくとも2つ検出する。これにより、複数対象線分検出部7daは、複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が閾値L(予め定めた設定距離)より短い第1道路区間を少なくとも2以上検出する。
【0061】
なお、本実施形態では、複数対象線分検出部7daが、最短区間候補(第1道路区間)のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)からの距離が閾値L以内にある最短区間候補(第1道路区間)を検出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、複数対象線分検出部7daが、最短区間候補(第1道路区間)のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)からの距離が短い最短区間候補(第1道路区間)から順に設定数(例えば、2つ)の第1道路区間を検出する構成としてもよい。
【0062】
続いて、複数対象線分検出部7daは、イラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、検出した少なくとも2以上の第1道路区間に対応付けられている第2道路区間(以下、「複数対応区間」とも呼ぶ)を検出する。続いて、複数対象線分検出部7daは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した少なくとも2以上の第1道路区間それぞれと入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離と当該第1道路区間の長さとの比率tiを算出する。続いて、複数対象線分検出部7daは、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した少なくとも2以上の第1道路区間(線分AiBi)の基点端部(点Ai)を通り線分AiBiと直交する直線(直線AiDi)それぞれと入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|si・線分AiBi|)と当該第1道路区間の長さ(|線分AiBi|)との比率siを算出する。続いて、複数対象線分検出部7daは、検出した複数対応区間を表す情報(以下、「複数線分検出情報」とも呼ぶ)、及び算出した比率si、ti(以下、「複数線分パラメータ」とも呼ぶ)を複数座標変換部7dbに出力する。
【0063】
図11は、複数座標変換部7dbの動作を説明するための説明図である。
複数座標変換部7dbは、複数対象線分検出部7daが検出した複数線分パラメータ(比率si、ti)、及び複数線分検出情報(複数対応区間)に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)に対応するイラスト地図上の位置(以下、「変換候補位置」とも呼ぶ)を少なくとも2つ算出する。具体的には、複数座標変換部7dbは、複数対応区間のうちから、1つの複数対応区間を選択する。続いて複数座標変換部7dbは、
図11(a)に示すように、選択した複数対応区間の基点端部(以下、「点Ai’」とも呼ぶ)と終点端部(以下、「点Bi’」とも呼ぶ)とを結ぶ線分Ai’Bi’を点Ai’を中心として右回りに90°回転させた場合の、回転後の線分Ai’Bi’(以下、「線分Ai’Di’」とも呼ぶ)を演算する。ここで、線分Ai’Di’は、下記(22)式を満たし、線分Ai’Bi’の点Ai’を通り線分Ai’Bi’に直交する。
【0065】
続いて、複数座標変換部7dbは、演算した線分Ai’Di’、線分Ai’Bi’、及び複数線分パラメータが含む比率si、tiに基づき、下記(23)式に従って入力位置情報が表す実地図上の位置、つまり、
図9(b)の点Tに対応するイラスト地図上の位置(変換候補位置。以下、点Ti’」とも呼ぶ)を演算する。続いて、複数座標変換部7dbは、複数線分検出情報が表す複数対応区間のうちに、未選択の複数対応区間があるか否かを判定する。そして、複数座標変換部7dbは、未選択の複数対応区間があると判定した場合には、未選択の複数対応区間を1つ選択して上記フローを再度実行する。一方、複数座標変換部7dbは、未選択の複数対応区間がない、つまり、複数対応区間をすべて選択したと判定した場合には、
図10(b)に示すように、演算した点Ti’(変換候補位置)を表す情報(以下、「複数座標変換情報」とも呼ぶ)を複数座標統合部7dcに出力する。これにより、複数座標変換部7dbは、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)に対応するイラスト地図上の位置(変換候補位置。点T’)を少なくとも2つ算出する。
【0067】
複数座標統合部7dcは、複数座標変換部7dbが出力した複数座標変換情報に基づいて、複数座標変換情報が表す少なくとも2以上の点Ti’(変換候補位置)から1つの代表位置を算出する。代表位置の算出方法としては、例えば、複数の点Ti’の位置の重心を算出する方法がある。また、例えば、複数の点Ti’の位置から等距離、またはほぼ等距離にある位置を算出する方法がある。そして、複数座標統合部7dcは、統合した座標(以下、「イラスト上位置情報」とも呼ぶ)を変換後位置情報提示部8に出力する。
【0068】
(動作その他)
次に、本実施形態の位置情報変換装置を搭載した車両Aの動作を説明する。
まず、経路誘導装置5(
図7の位置情報取得部6)が、位置情報取得装置2が出力した位置情報(車両Aの現在位置を表す情報)を取得する。続いて、経路誘導装置5(
図8の全区間パラメータ算出処理部7ca)が、取得した車両Aの位置情報(入力位置情報)、及び実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、実地図上の複数の第1道路区間のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が最短の第1道路区間(最短区間)を検出する。続いて、経路誘導装置5(
図8の全区間パラメータ算出処理部7ca)が、全区間パラメータ(対応区間候補、比率si、ti)及び最短区間情報(最短区間、比率si、ti)を設定する。ここで、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)と最短区間との間の距離(|AiEi|)が設定距離(|線分AiBi|)未満であったとする。すると、経路誘導装置5(
図8の単数パラメータ算出部7cb)が、設定した全区間パラメータ及び最短区間情報に基づき、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離(|線分AiEi|)が設定距離(|線分AiBi|)未満であると判定し、線分検出情報(対応区間)及び線分パラメータ(比率si、ti)を設定する。
【0069】
続いて、経路誘導装置5(
図7の座標変換部7b)が、設定した線分検出情報(対応区間)、及び線分パラメータ(比率si、ti)に基づいて、対応区間から、対応区間の長さと比率s、tとの乗算結果が表す距離を隔てた第2地図上の位置を、入力位置情報が表す実地図上の位置に対応するイラスト地図上の位置(イラスト上位置情報)とする。続いて、経路誘導装置5(
図7の変換後位置情報提示部8)が、検出したイラスト地図上位置情報、及びイラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、位置付イラスト地図をイラスト地図表示装置4に表示させる指令をイラスト地図表示装置4に出力する。これにより、イラスト地図表示装置4が、経路誘導装置5からの指令に従って、車両Aの現在位置及びその周辺部を含むイラスト地図上にイラスト地図上位置情報が表すイラスト地図上の位置を重畳した画像(位置付イラスト地図)を表示する。それゆえ、経路誘導装置5は、入力位置情報が表す実地図上の位置と実地図上の最短区間とが十分に近い場合に、実地図上の位置(点T)をイラスト地図上の位置(点T’)により適切に変換できる。
【0070】
一方、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)と最短区間との間の距離(|線分AiEi|)が設定距離(|線分AiBi|)以上であったとする。すると、経路誘導装置5(
図10の複数パラメータ算出部7cc)が、設定した全区間パラメータ及び最短区間情報に基づき、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)と最短区間との間の距離(|線分AiEi|)が設定距離(|線分AiBi|)以上であると判定し、検出前複数線分パラメータ(対応区間候補、比率si、ti)を設定する。続いて、経路誘導装置5(
図10の複数対象線分検出部7da)が、検出前複数線分パラメータ(対応区間候補、比率si、ti)に基づき、最短区間候補(第1道路区間)のうちから、入力位置情報が表す実地図上の位置からの距離が閾値Lより短い第1道路区間を少なくとも2以上検出する。続いて、経路誘導装置5(
図10の複数対象線分検出部7da)が、イラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、検出した少なくとも2以上の第1道路区間に対応付けられている第2道路区間(複数対応区間)を検出する。
【0071】
続いて、経路誘導装置5(複数対象線分検出部7da)が、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した少なくとも2以上の第1道路区間それぞれと入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離と当該第1道路区間の長さとの比率tiを算出する。続いて、経路誘導装置5(
図10の複数対象線分検出部7da)が、実地図格納装置1が格納している実地図に基づいて、検出した少なくとも2以上の第1道路区間(線分AiBi)の基点端部(点Ai)を通り線分AiBiと直交する直線(直線AiDi)それぞれと入力位置情報が表す実地図上の位置(T点)との間の距離(|si・線分AiBi|)と当該第1道路区間の長さ(|線分AiBi|)との比率siを算出する。続いて、経路誘導装置5(
図10の複数対象線分検出部7da)が、検出した複数対応区間を表す情報(複数線分検出情報)を設定する。また、経路誘導装置5(
図10の複数対象線分検出部7da)が、算出した比率si、tiを複数線分パラメータとする。
【0072】
続いて、経路誘導装置5(
図10の複数座標変換部7db)が、設定した複数線分検出情報、及び複数線分パラメータに基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置(点T)に対応するイラスト地図上の位置(変換候補位置。複数座標変換情報。点Ti’)を少なくとも2つ算出する。続いて、経路誘導装置5(
図10の複数座標統合部7dc)が、複数座標変換情報が表す少なくとも2以上の点Ti’(変換候補位置)から1つの代表位置(イラスト上位置情報。点T’)を算出する。続いて、経路誘導装置5(
図7の変換後位置情報提示部8)が、統合したイラスト地図上位置(点T’)、及びイラスト地図格納装置3が格納しているイラスト地図に基づいて、位置付イラスト地図をイラスト地図表示装置4に表示させる指令をイラスト地図表示装置4に出力する。これにより、イラスト地図表示装置4が、経路誘導装置5からの指令に従って、車両Aの現在位置及びその周辺部を含むイラスト地図上にイラスト地図上位置情報が表すイラスト地図上の位置を重畳した画像(位置付イラスト地図)を表示する。
本実施形態では、
図7のパラメータ算出部7cが複数道路区間検出部、複数比率算出部及び複数対応区間検出部を構成する。
【0073】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、第1実施形態(1)(2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)経路誘導装置5は、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離が設定距離未満であると判定した場合には、比率t、及び対応区間に基づいて、イラスト上位置情報(変換位置)を算出する。一方、経路誘導装置5は、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離が設定距離以上であると判定した場合には、少なくとも2以上の比率ti、及び少なくとも2以上の第2道路区間に基づいて、イラスト上位置情報(変換位置)を算出する。
【0074】
このような構成によれば、位置情報が表す実地図上の位置と実地図上の最短区間とが離れている場合にも、実地図上の位置をイラスト地図上の位置により適切に変換できる。
(2)経路誘導装置5は、入力位置情報が表す実地図上の位置と最短区間との間の距離が前記設定距離以上であると判定した場合には、少なくとも2以上の比率ti及び少なくとも2以上の第2道路区間に基づいて、入力位置情報が表す実地図上の位置に対応する第2地図上の位置を少なくとも2以上算出する。続いて、経路誘導装置5は、算出した少なくとも2以上の位置から1つの代表位置を算出してイラスト上位置情報とする。
このような構成によれば、実地図上の位置に対応する第2地図上の位置を少なくとも2以上算出し、算出した少なくとも2以上の位置から1つの代表位置を算出して変換位置とする。これにより、実地図上の位置をイラスト地図上の位置により適切に変換できる。
【0075】
(変形例)
なお、上記実施形態では、経路誘導装置5が、入力位置情報が表す実地図上の位置をイラスト地図上の位置に変換し、変換した位置をイラスト地図上に重畳した画像を表示する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、経路誘導装置5が、イラスト地図上の位置を実地図上の位置に変換する構成としてもよい。これにより、経路誘導装置5は、実地図上の位置と、イラスト地図上の位置とを双方向に変換できる。
【0076】
また、例えば、経路誘導装置5は、複数の入力位置情報を用いることにより、実地図上の点列をイラスト地図上の点列に変換できる。これにより、経路誘導装置5は、実地図上の走行経路や移動経路をイラスト地図上に重畳した画像を表示できる。また、経路誘導装置5は、イラスト地図上の点列を実地図上の点列に変換することもできる。